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特定給食施設(事業所)の食育事例

2023年12月20日

ページ番号:519320

大阪市では、年に1度、特定給食施設(事業所)の食堂の巡回指導を実施しています。
巡回時には各施設での健康に関する取り組みについてもお伺いしています。メニューの栄養成分表示や栄養バランスの良い組み合わせ例(モデル献立)の展示、POPやポスターなどを利用した情報発信など、利用者の健康づくりに取り組んでいる施設が多数あります。
そこで、市内の社員食堂で実際に取り組まれている事例を集めましたので、これから社員の食育に取り組もうとする企業の皆様のきっかけや、さらなる健康づくりの展開に向けた参考としてご活用いただければと思います。

特定給食施設(事業所)の食育事例

掲載企業

事例1 DIC株式会社 大阪支店

施設情報

施設名:DIC株式会社 大阪支店

所在地:中央区

従業員数:180名

業種:化学メーカー

委託給食会社名:日本ゼネラルフード株式会社

取り組みの背景

 「健康な食事・食環境」認証制度の登録に向けて

 平成26年より「からだ元気定食」として健康メニューを提供しており、当時は総務担当者が対応していました。
 その後保健師を採用し、健康づくりのサポートに取り組むこととなりました。社員の健康診断の結果から生活習慣病、特に脂質異常症およびその予備軍の社員が多いことが課題に挙がり、食事面からアプローチが必要であると感じました。そのタイミングで、第一回「健康な食事・食環境」認証制度を知り、これだ!と思い導入検討を進めました。
 当社は平成30年より健康経営優良法人2018(ホワイト500)に認定されています。社員の健康をサポートしていく上で、7割以上の職員が利用している食堂で昼食から、まずはバランスの取れた健康メニューを選んでほしい、健康への気づきのきっかけとなってほしい、ということから「健康な食事・食環境」認証制度に応募することを決意しました。

取り組みの内容

取り組み1:委託給食会社との連携と社員にメニューを選択してもらう工夫

3つ星獲得のために

 献立等に関しては委託業者の栄養士にお任せしています。
 「健康な食事・食環境」の認証に向け、スマートミールの基準やPFCバランス等をお伝えして入念に打合せを繰り返しました。3つ星獲得のためには必須項目に加えてオプション項目を10項目以上クリアしなければならず、今までは行っていなかった5大栄養素の栄養成分表示、フルーツや野菜の提供など項目に沿って1つずつできること、できないことを確認して対応いただきました。
 また、社員にスマートミールを選択してもらえるよう、ポスターやPOPの作成など広報は当社の保健師が担当しました。
 委託給食会社の栄養士と連携を図った結果、第一回認証制度で3つ星を獲得することができ、当時は大阪府内の企業において給食部門で3つ星を獲得したのは当社のみでした。


 食数の増加

 認証後、社員の注目も上がり、以前の健康定食では一部の女性社員のみが購入してましたが、男性の方も喫食するようになり、食数が増えました。
 また、健康診断の結果に対して一人一人にアドバイス等のコメントを記載しているので社員自身の健康に対する意識が高まったことも一因と言えます。


 更新のための工夫

 スマートミールの認証は2年ごとの更新制です。継続して提供するためにも更新時の応募項目の変更点に合わせてポスターやPOPを分かりやすく、目を引くように作り替え、献立等も基準に当てはまっているかの確認や、改善するための打合せを入念に行いました。
 その結果、更新時も3つ星(オプション項目も追加)で認証を受けることができました。

取り組み2:支店から全事業所への波及

 当社は東京本社を含め工場など全国に事業所があります。大阪支店が初めてスマートミールの3つ星を獲得したことで会社のイントラネット上に掲載されました。掲載を見て興味を持った、本社をはじめとする他事業所についてもスマートミール導入のサポートもしています。
 現在は大阪支店を含め4つの事業所が認証を受けています。会社全体でも健康について意欲的に考えてもらえることは健康経営においてもとても素晴らしいことだと思います。そのきっかけになれたことは私たちの中で大変誇り高く感じています。

今後の課題

 健康意識の向上に向けて

 社員の平均年齢が上がるにつれて、生活習慣病を治療している方や予備軍の方が増えています。
 健康は意識の高い方と低い方の差が大きいです。「健康な食事=味が薄い、美味しくない」という概念を崩し、楽しみながら健康な食事を提供し、健康への意識を高めてほしい、という思いから、スマートミールに加えて、減塩の日に減塩メニューの提供、社内セミナーに合わせたメニュー提供等の企画も提案しています。

 
 産業保健スタッフの立場から

 健康診断のデータなどから健康課題を抽出し、改善のために活かせることが産業保健スタッフの社員食堂に関わる利点だと考えています。健康メニューに携わることで、健康相談に繋がるケースも増え、社員自らが自身の健康について考えるきっかけのお手伝いができていると実感しています。
「健康」は食事だけではなく様々な要因が関連していますが、食べるもので身体はできているので食事面のアプローチはとても大切です。運動だとまずやり始めないといけませんが、食事は必ず毎日とるものなので続けやすい部分だと感じています。
 今後も社員の皆様の健康をサポートできるような企画を提案していきたいと考えています。


スマートミール


POPなど啓発媒体


食堂入口の啓発看板

事例2 YKK AP株式会社 関西支社

施設情報

施設名:YKK AP株式会社 関西支社

所在地:中央区

従業員数:約550名

業種:建築用工業製品の製造および販売

委託給食会社名:シダックスコントラクトフードサービス株式会社

取り組みの背景

 食堂から発信する健康づくり

 平成20年に現在の委託給食業者と契約し、平成25年には建屋内の従業員数が500名を超え、管理栄養士必置施設となりました。またその頃にはタニタ食堂も大きな話題となりました。
 健康指導を日々する中で、従業員には食事内容(栄養面)にも興味を持ってもらい、健康増進につなげたいという思いと健康診断結果から見える課題には食生活の改善も必要であると感じ、食堂を活用して何か取り組みを進めたいと考え、委託給食業者の管理栄養士と打ち合わせを開始しました。中でも、血圧という健康課題があり、減塩メニューや塩分に関する取り組みから始めました。
 食堂利用回数は人により異なりますが、多ければ週5回利用されます。1日3食の中の1食を大事にし、そこから少しでも意識が変わるきっかけになることを目的としています。

取り組みの内容

取り組み1:委託給食業者との連携

 健康診断の結果の共有~減塩メニュー~

 平成27年度から、当社の保健師と委託給食業者の管理栄養士で毎月30~60分程度の打合せを行っています。打合せでは、健康診断結果の情報共有を行い、双方でアプローチすべき方向性を確認しています。
 当社では血圧の高い方が多いことから、週に1度、1食あたり塩分1.5g以下の減塩メニューを提供しています。揚げ物の下味は基本付けず、後からソース等をかけることで見た目も良く、喫食者の反応も良いです。炒め物や照り焼き等は調味液に減塩醤油を使用したり、出汁や甘みを活かす等工夫をしています。


 健康メニュー

 平成28年度からは3種類あるメインのおかずのうち1種類を「健康メニュー」に変更しました。脂質控えめ、野菜たっぷり、減塩、鉄分のいずれかをテーマにしたメニューを管理栄養士が考え、毎日提供しています。

 
 意識の変化

 平成30年にとった食堂アンケートでは、健康メニューの提供によって健康に対する意識が「変わった」、「少し変わった」と回答した方が43%、また減塩の必要性を感じるようになった方は41%であり、健康メニューの提供によって少しずつ意識が変化したことが分かります。

取り組み2:健康キャンペーン

塩分味覚チェック

 委託給食業者と連携し、「味噌汁飲み比べ~塩分味覚チェック」を実施しました。3種類の塩分濃度の味噌汁が入ったポットと紙コップを準備し、おいしいと感じる濃度を知ることで減塩意識につなげることを目的にしました。参加者からは「自分の味覚を自覚し、塩分に気を付ける機会になった」と意見をいただいています。


減塩メニュー購入でポイントゲット!

 平成30年からは2か月間の健康キャンペーンとして、減塩メニューを購入した方へ1pt付与し、10pt貯まると小鉢1品サービス、15ptで特茶と交換する特典を実施しています。
 令和元年の本期間中に減塩メニューを提供した日は24日あり、10pt達成者が125名、15pt達成者は48名でした。スタンプカードにポイントを貯めることで購買意欲につながり、自然に健康メニューを選択するきっかけづくりになっています。

取り組み3:情報発信

 安全衛生委員会にて健康キャンペーンの案内や結果報告、委員以外も参加できる減塩についての講話も実施しています。
 食堂内の入口に小鉢1品で栄養価が上がるお勧めの選び方や、卓上POPに減塩の工夫を記載し、食事中にも関心を持つきっかけづくりをしています。
 職員からは「健康メニューのアピールポイントが、プチ知識にもなり、会話のきっかけにもなる」や「以前より野菜たっぷりメニューが増え、ポップ表示が出されるので選びやすい。」などのお声をいただいています。

今後の課題

 自ら「健康に良い」を理解し「行動できる」を目標に!

 当社はカフェテリア形式でメイン料理や小鉢を選んでいくシステムです。理想的な食事を定食で提供すれば良いのですが、「自由に選択できる」今のサービスをなくすことへの抵抗があるのも事実です。
 職員自らが「健康に良い」を理解し、選べる(行動できる)を数年後の目標とし、最終目標である健康診断有所見率の改善(全国平均以下)、職員の健康意識・自己健康管理力の向上に向けて、美味しく食べて健康にをモットーに今後も取り組んでいきます。


減塩メニュー


掲示および啓発媒体


掲示(小鉢)

事例3 株式会社大丸松坂屋百貨店 大丸大阪心斎橋店

施設情報

施設名:株式会社大丸松坂屋百貨店 大丸大阪心斎橋店

所在地:中央区

従業員数:5,000名

業種:小売業

委託給食会社名:シャチフードシステム株式会社

取り組みの背景

 食堂の利用で健康に!

 当社の従業員食堂は、食堂を利用することで健康になることをコンセプトに運営しています。
 当社は従業員の平均年齢がやや高いこともあり、提供するメニューはボリューム優先より、野菜を多くしたり、栄養バランスの良いものになることを重視したメニュー考案をしています。メニューについては、グループ会社である株式会社消費科学研究所に所属する管理栄養士が栄養バランスや使用する食材に偏りが無いか、サイクルメニューの期間が適正か等を客観的にチェックしています。

取り組みの内容

取り組み1:委託給食業者との連携

 メニュー会議と脂質異常症に対する取り組み

 メニュー決定のため、グループ会社の管理栄養士と委託給食会社の栄養士、調理師にて週1回会議を開催しています。会議の際には、食材や味に偏りがないか、季節感などを確認しています。
 また、当社では脂質異常症の方が43%と割合が高いことから、ドレッシングをフレンチや中華からノンオイルやポン酢に変えたり、副菜を揚げ物から蒸し物にしたり、小鉢の内容は揚げ物メニューが重ならないようになど、社員の健康づくりへの取り組みについても話し合いの上で実施しています。

取り組み2:ヘルシーメニューの提供

 食堂利用で1日の半分の野菜が摂取できる!

 野菜がしっかりとれる取り組みとして、定食では毎日緑黄色野菜50g、淡色野菜100g、合計150gの野菜を使用しています。
 アラカルトの小鉢にも野菜が多く取れるものを提供しており、朝食や夕食の食事が乱れていても、従業員食堂を利用することで1日の半分以上の野菜がとれるように、との思いで提供しています。
 その他にも月2回、脂質や塩分を下げたヘルシーメニューも提供しており、提供時にはヘルシーメニューの基準や野菜量をPOPにて掲示しています。

取り組み3:健康イベントの実施

 大阪市保健所との共催イベント

 平成30年7月の1週間、大阪市保健所との共催で食堂内にて健康イベントを実施しました。
 定食とは別に日替わり1品メニューの中に、野菜を多めにした特別メニューを提供しました。併せて食堂内にてコンビニや外食メニューに含まれる野菜量の提示やパネル展示、パンフレットを配付し、啓発を行いました。
 野菜量については、料理写真を見て野菜量を当てるクイズ形式のものが好評で、楽しみながら参加されていました。野菜摂取の重要性と健康について、改めて考える良い機会になりました。

今後の課題

 献立内容とモデル献立の検討

 令和元年度から脂質異常症の割合が増加しており、献立の脂質量について改善を進める予定です。
 魚を使用したメニューが少なかったので、今後は魚を使用したメニュー開発も進めていく予定です。魚に比べて肉料理を手にする利用者の方が多いので、魚の種類を変更したり、調理方法を変えるなど、工夫して提供数増加につなげたいと考えています。
 また、アラカルトでメニューを選ばれる際、より健康的な組み合わせで選んでいただけるよう、モデル献立の実施も検討しています。


料理写真


啓発媒体

事例4 中西金属工業株式会社 本社

施設情報

施設名:中西金属工業株式会社 本社

所在地:北区

従業員数:500名

業種:製造業( 一般機械 )

委託給食会社名:(株)ISA

取り組みの背景

 給食改善検討会の発足

 当社社長の「人間は口から栄養を摂るしかないのだから、より安全で美味しいものを」という声を受け、平成15年に『給食改善検討会』が発足しました。社員の健康管理を担う立場として社長自ら構成員となり、より良い給食提供に向け検討を重ねています。
 平成23年には食堂利用者の健康的な食生活を推進するため、ヘルシーメニューの提供を開始しました。
 また、日々の献立は委託会社調理師が作成しますが、当社ではフリーランスの栄養士と契約し、月2日献立内容の確認・精査を一緒に行うことで、ヘルシーメニューだけでなく給食全体の改善にも取り組んでいます。

取り組みの内容

取り組み1:ワンメニューデーの導入

 よりバランスの取れた健康食の提供を!

 平成26年より肉、魚、野菜等をバランスよく摂れる定食を週1回提供しています。
 普段5種類ある定食がワンメニューデーは1種類になるため、麺類を選択する利用者を除けば、ほとんどがこの定食を食べることになります。献立内容は肉・魚・副菜3種のワンプレートで、主菜のボリュームを『肉類多め』か『魚類多め』で選択できるようになっています。
 導入にあたり、社員からは「好きなものを選んで食べたい」等の反対意見も多々ありました。
 しかし、社員の健康管理の一端を担う当社としては、現在の健康状態だけでなくリタイア後の健康も考慮し「よりバランスの取れた健康食」を提供する義務があると考え、多くの利用者に啓蒙する意味も込めて導入に至りました。 
 導入後の利用者の意見として「健康に配慮した食事で有難い」等の意見もある一方で、「好きなものを食べたい」という意見も残っています。しかし社員の食生活改善に繋げるため、考え方は変えずに提供を続けています。

取り組み2:ダイエットメニューの導入

 毎回完食の人気メニュー

 平成29年より”カロリーは減らしているけれど、食べ応えのあるメニュー”をコンセプトに、600~650kcalのメニューを月2回提供しています。
 メニューはタニタ食堂等のレシピを参考にしています。社員には事前に周知し、毎回完売の人気定食です。

取り組み3:食堂格付けランキング(ナカニシュラン)平成25~平成30実施

 食堂の【環境・食事内容・サービス】の格付けランキング

 当社には『快適職場作り』という取り組みがあります。国内外工場の職場はもちろんオフィス、更衣室、食堂、休憩スペースなどの環境が、社員にとって快適となるよう改善していくことを目的としており、予算計上を義務付けています。
 この『快適職場作り』の一環として、国内工場の食堂監査を食堂格付けランキング『ナカニシュラン』と称して実施しました。外部審査員が食堂環境、食事内容、提供(サービス)のそれぞれの項目について審査し、各食堂を評価します。このランキング結果は、工場長など管理職の目標管理の評価項目となっており、給与査定にも影響します。そのため、どの工場でも創意工夫を凝らして取り組みました。
 始めた目的は健康づくりではありませんが、食堂格付けランキングが社員食堂改善に向けた取り組みを推進したと言えます。

今後の課題

 【給食の改善】から【健康経営】へ

 これまでは栄養に特化した形で、『給食改善検討会』として社員の健康増進に向け取り組んできました。しかし健康づくりにおいては栄養のみでなく、運動・休養も欠くことのできない要素です。
 この考えのもと令和2年に『給食改善検討会』を『健康経営会議』と改めました。
 その第一歩として、令和2年からウェルネスプログラムを始動しました。この取り組みは、参加者の生活習慣に合わせたプログラムをジムのトレーナーや管理栄養士が作成し、参加者はこのプログラムに沿って自身の健康改善に取り組みます。
 このように今後は三位一体となった取り組みを推進し、給食担当者のみでなく社員一丸となって「健康経営」に注力していく予定です。


ワンメニュー(ハンバーグと鯖味噌煮)


ダイエットメニュー(鰆の幽庵焼き)ご飯にはキヌア入り

事例5 パナソニックエナジー株式会社 住之江工場

施設情報

施設名:パナソニックエナジー株式会社 住之江工場(社員食堂)

所在地:住之江区

従業員数:1,400名

業種:製造業

委託給食会社名:(株)東テスティパル

取り組みの背景

 「健康パナソニック21」

 当社では、「健康日本21」に呼応し、平成13年度からパナソニックグループ全体の職場の健康づくり運動「健康パナソニック21」を開始しました。その取り組みのひとつとして、パナソニック独自の認定制度である「ヘルスアップ食堂認定制度」が始まり、食環境を整備し健康づくりに活用しました。
 当施設ではエネルギー600kcal以下、野菜120g以上等を基準とした「栄養士おすすめメニュー」を提供し、平成22年には「ヘルスアップ食堂認定制度」に認定されました。従業員の約8割が製造部門に所属しているため、しっかりエネルギーが取れ、かつバランスも良いメニューを提供しながら、従業員の健康づくりをサポートしています。

取り組みの内容

取り組み1:委託給食会社との連携

 メニューは委託給食会社の管理栄養士が考案しています。調理法に偏りは無いか、栄養バランスは良いか、など様々な視点からチェックしています。野菜摂取の取り組みとして、野菜を中心とした小鉢の充実や、火を通してかさを減らした野菜たっぷりの主菜の提供を心がけています。さらに、野菜が多い小鉢の値段を他の小鉢よりも低めに設定することで、利用者が選びやすくなる工夫を行っています。
 そのほか、食物繊維やカルシウムなどの栄養素について表示したポップを設置することで、健康メニューを選択するためのきっかけを作っています。
 年に2回開催している食堂管理委員会には、各部署の代表社員、労働組合、健康管理室、事務局、委託給食会社が参加します。委員会では、食堂利用者からの意見を共有し、積極的に食堂運営に反映しています。

取り組み2:POSレジの導入

 食堂にはPOSレジを導入しており、トレイに乗せた1食分の栄養価がレジの画面に表示されるようになっています。それぞれのおかずだけでなく、トータルの栄養価を見える化することで、従業員ひとりひとりの健康管理の意識付けを期待しています。
 POSレジ導入後は、以前と比べて小鉢が完売することが増えました。栄養価を見る習慣がつくことで、利用者が意識してメニューを選択するようになっていることを実感しています。

取り組み3:健康管理室との連携について

 パナソニックグループ全体の健康課題の改善に向け、各事業所が実情に即した活動を行っています。
 当施設では、会社(事業所)と健康管理室が共同で掲げるテーマに向けて、委託給食会社と随時打ち合わせをしながら、メニューやイベントを考案しています。健康に関する様々な情報を健康管理室から発信し、健康診断の結果は食堂管理委員会でも情報共有しています。
 食堂では、ハーフサイズのおかずや小ご飯も用意しており、体格や健診結果に合わせてメニューが選択できるよう配慮しています。

今後の課題

 今後の取り組みについて

 令和4年8月1日からスマートミール2つ星の認証を受け、引き続き3つ星認証に向けて、健康管理室、委託給食業者と協力しながら、認証基準に合わせたメニューの考案、提供を行っています。
 また、令和4年4月からは毎月19日を「食育の日」として、「よく噛んで食べよう」「魚を食べよう」など様々なテーマのイベントメニューを一年間通して提供する予定です。
 そのほか、野菜をテーマにしたイベントメニューや、5色の食材で見た目も楽しめるカラフルメニュー、季節のメニューなど、健康面だけでなく、楽しみながら食事ができるような企画も行っていきます。
 今後も、利用者に合わせたメニューを提供し、健康管理室や委託給食会社と連携を図りながら、食を通じた従業員の健康づくりをサポートしていきたいと思います。


スマートミール認証基準メニュー


スマートミール2つ星の認証書と認定ラベル


食育の日の様子

事例6 株式会社阪急阪神百貨店

施設情報

施設名:株式会社阪急阪神百貨店 阪急うめだ本店
       株式会社阪急阪神百貨店 阪神梅田本店

所在地:北区

従業員数:18,183名

業種:小売業

委託給食会社名:株式会社ハートダイニング

取り組みの背景

 当社では食堂利用者の健康を考える上で単一の健康定食を提供するのではなく、様々なメニューの中から栄養成分表示を見るなどし、従業員自らが健康的な食事を選択することを目指し、食堂運営を行っています。利用者の健康に関する知識の向上と健康意識を高めるため、様々な企画を検討しています。

阪急うめだ本店

取り組み1:委託給食会社との連携

 2ヵ月に1度、福利厚生部、総務部、労働組合、委託給食会社で給食運営会議を行い、利用者アンケート内容の共有やフェアメニューの評価、百貨店社員の健診結果の評価などを行っています。
 アンケートは、座席にQRコードを掲示し、食堂利用者がスマホで気軽に回答できるように工夫しています。さらに、アンケートに回答すると食券が当たる抽選も併せて実施することで、より多くの利用者から回答を得られています。 またアンケート内容につきましても、献立メニューをはじめ、提供方法、清算方法などサービス面まで意見集約を行い、従業員が食堂で楽しく過ごして頂けるよう工夫を重ねています。
 さらに、令和4年8月からは、スマートミール認証基準に合わせたメニューを提供しています。福利厚生部、総務部、労働組合、委託給食会社と連携を図りながら、提供メニューを考案。まずは、利用者の健康に対する意識付けを目的として月2回から提供し、定番化に向けて進めていく予定です。

取り組み2:体組成の測定

  平成9年頃、福利厚生部の栄養士が千里阪急の従業員食堂で栄養相談を始めていましたが、どなたも相談には来られませんでした。そこで当時発売され、世間の注目を浴び始めていた体組成計を導入すれば興味を示してくれるのではないかと思い、体脂肪測定会を開催したところたくさんの方が参加されました。その後も定期的に開催するようになり、各支店の従業員食堂へ広がっていきました。
 現在も、健康相談会という名称で、2か月に1度、体組成の測定を実施しています。1回あたり50~100人程が参加されており、測定後は、福利厚生部と委託給食会社の栄養士が食事相談を実施しています。継続して測定を行い、前回の結果と比較して評価することで、従業員の健康意識の向上につなげています。
 

取り組み3:野菜摂取の意識向上に向けて

  以前は、野菜摂取に対する意識が低かったことから、野菜をたっぷり摂ることができるように環境を整えました。ただ単に野菜が多い定食を提供するのではなく、あくまでも利用者自らが健康に対する意識を高め、自分に合わせた食事を選択できる環境を目指して、メニューの充実や健康に関する情報発信を行っています。
 定食の小鉢は選択できるようにし、単品の小鉢も販売することで、手軽に野菜が摂取できる環境を作っています。さらに野菜を100g以上使用しているメニューにはマークを表示して、利用者の方が選びやすいように工夫しています。
 令和3年には、1食で野菜が120g以上摂れる環境がある食堂として、大阪市の「やさいTABE店」に登録されました。啓発ステッカーなどを掲示し、野菜摂取に力を入れていることを利用者にアピールしています。


スマートミールメニュー


スマートミールの情報発信


メニューの情報発信

阪神梅田本店

取り組み1:委託給食会社との連携

 毎月、労働組合、総務部従業員施設担当、委託給食会社にてメニュー検討の会議を行っています。また2ヵ月に1度は福利厚生部、労働組合、総務部、委託給食会社でも会議を行っており、利用者アンケートの内容確認や要望への返答、提供メニューの評価、従業員の健診結果の総評確認などを行っております。
 また、委託給食会社と協力しながら、食や健康に関する啓発を行っています。
 防災の取り組みでは、防災レシピの配布やポリ袋を使った調理方法の展示を行いました。
 2か月に1度実施している健康増進イベントでは、1回あたり100人程度が参加されており、体組成、血流などの測定後は,福利厚生部と委託給食会社の栄養士が栄養相談を実施しています。
 その他には、情報発信として減塩のPOPを作成し、麺類や汁物に含まれている塩分量を記載しています。鉄分やカルシウムアップの強化月間では、POPにて不足しがちな栄養素であることや充足するための工夫を記載し、食堂メニューでもこれらの栄養素がしっかりとれるメニュー提供を行っています。
 

取り組み2:野菜摂取量増加に向けて

 以前は野菜摂取量増加のため、山盛りの野菜サラダを提供していましたが、量が多く食べにくい等の意見があったため、定食や単品にプラス1品で野菜をとりやすくするようなメニューを提供することとなりました。継続しやすい量と値段に変更したことで小鉢の売上げが増え、さらに弁当持参の方や麺類やどんぶりなどの単品の購入者が小鉢も一緒に購入するようになりました。
 また、野菜100g以上のメニューにはPOP表示をして利用者の方が分かるようにしたり、野菜摂取の啓発ポスターを貼ることで小鉢の販売数を増やすなどの工夫をしています。
 令和3年には、1食で野菜が120g以上摂れる環境がある食堂として、大阪市の「やさいTABE店」に登録されました。今後も引き続き、野菜摂取の啓発を行っていきます。
 

取り組み3:健康イベントについて

  企業とも共催し、食堂の空きスペースを使用して骨密度測定や肌年齢測定などを実施しています。骨密度測定は2日間で1,000名の参加があり、多くの方の健康の気づきになるイベントとなりました。
 令和4年4月には大阪市保健所との共催でカルシウムアップに特化したイベントを実施しました。お取引先企業にも協力いただき、骨量測定の実施とカルシウム摂取量のチェック、食事相談を行い、100人程が参加されました。併せて、5月に提供するカルシウムが手軽に取れるメニューについても紹介し、カルシウム摂取の啓発を行いました。
 カルシウム摂取以外にも、野菜摂取や栄養バランス、栄養成分表示についての啓発を行い、参加者の健康意識の向上につなげることができました。
 従業員食堂を通じて、従業員が正しい知識を持ち、自らの健康づくりに取り組むことができるよう、今後も取り組んでいきたいと思います。


メニューの一例


野菜が豊富な小鉢


野菜摂取の啓発

事例7 京セラドキュメントソリューションズ(株)

施設情報

施設名:京セラドキュメントソリューションズ(株)

所在地:中央区

従業員数:約1,900名

業種:製造業

委託給食会社名:(株)エル・スエヒロフードサービス

取り組みの背景

 当社では、健康意識のさらなる向上を目指して、スエヒロさんと共同で、食堂の環境づくりを進めています。    
 健康だけを考えた社員食堂ではなく、食事を楽しみながら、社員が自ら健康を意識したメニューを選択できるきっかけになるよう、様々な工夫を行っています。さらに、社員から寄せられる意見を積極的に取り入れることで、社員の想いが現在の環境を作り上げ、喫食率の向上へ繋がっていると考えています。

取り組みの内容

取り組み1:健康増進月間

  厚生労働省が毎年9月に実施している「健康増進普及月間」に合わせて、当社でも2015年より毎年9月を「健康増進月間」と定め、社員の健康増進に積極的に取り組んでいます。
 「健康増進月間」には、毎年スエヒロさんとテーマを決め、期間中に健康一口メモの朝礼発表を行い、それに沿ったメニューを設定するなど、共同で企画検討を行います。また、食堂では、塩分濃度の表示や、健康小鉢の提供、揚げ物を控える「ノンフライデー」の実施。主菜や小鉢、味噌汁、ご飯で650kcal以下かつ野菜120グラム以上になる組み合わせのモデル献立も用意しています。そのほかにも、メニューの名前を工夫しています\。例えば”豚肉の野菜炒め”は、”豚と1日の1/2の野菜の炒め物”など、社員が食事に興味を持って楽しみながら、健康への意識付けを後押しできるような、さまざまな取り組みを行っています。

取り組み2:減塩への取組み

 減塩を意識した取り組みとして、毎日数種類の薄味小鉢の提供や減塩コーナーの設置、啓発ポスターの掲示などを行っています。
 減塩コーナーでは、醤油、ソースなどの調味料のほかに、酢とポン酢を設置し、「酸味を活用すると少ない塩分でも美味しく食べられる」などの情報を発信しています。
 また、減塩コーナーや卓上に設置している調味料は、一滴ずつ注げるプッシュ式の容器に入れて提供することで、かけすぎない環境を作っています。さらに、プッシュ式の容器を使用した際の減塩効果を卓上POPに表示することで、効果が見える化され、利用者の意識の変化に繋がっています。

取り組み3:食の満足度向上に向けた取り組み

 年に1回、グループ全体で社員に対する定量アンケート調査を実施しています。味や提供温度、メニューなど細かい項目について、毎回様々な意見が集まります。
 調査結果については、スエヒロさんと検討を重ね、食堂運営に反映することで、食の満足度向上に繋げています。アンケートでは食堂運営に毎回高い評価をいただいており、新たな取り組みへの後押しとなっています。

今後の課題

  2019年以降、コロナ禍で社員の運動不足が引き起こす身体への影響など、課題があると考えています。個人の嗜好は様々ですが、引き続き食堂と連携し、脂質異常症や肥満の改善に向けて取り組んでいきます。
 さらに、各部門の代表者で構成される「食堂委員会」を通じて、情報交換を行い社員の希望を収集しながら、毎日・毎週の食堂での食事を楽しめる企画運営を実施していきたいと思っています。


各種イベント&健康増進推奨ポスター


ドレッシングかけ過ぎ注意POP


減塩効果表示POP

事例8 日立造船株式会社 本社

施設情報

施設名:日立造船株式会社 本社

所在地:住之江区

従業員数:約2,000名

業種:製造業

委託給食会社名:エームサービス(株)

取り組みの背景

職員の健康への寄与について

 当社では2016年度の定期健康診断にて肥満・高血圧・脂質異常等の所見率が高く、健康問題に起因する労働生産性の低下など諸問題が山積していました。そこで、2018年より職員の健康改善のきっかけとなるよう週に1度ヘルシーメニューの提供を始めました。
  食堂は職員の約7割が利用することもあり、多くの職員が健康を考えるきっかけにしたいと考えています。

取り組みの内容

取り組み1:ヘルシーメニューの提供

  健康経営の取り組みの一つとして2018年からは給食委託会社と連携し週1度ヘルシーメニューの提供を行っています。献立作成は給食委託会社の管理栄養士にお願いしています。
 ヘルシーメニューには脂質カット、糖質カット、野菜豊富メニュー、減塩メニューがあります。調理方法や使う食材に変化をつけ、ヘルシーながらおいしく食べていただけるように工夫しています。
 例えば脂質カットメニューでは通常揚げものとして提供するメニューの調理方法を、焼きものに変更し提供しています。糖質カットメニューのどんぶりはご飯に刻んだ野菜や寒天をまぜたり、麺類は糖質カット麺を使用することで、糖質を20%減らしています。減塩メニューは塩分が3.5g以下で提供しています。
 これらのメニューは職員からの評判もよく、食生活改善の一助になっていると考えています。

取り組み2:野菜摂取量増加にむけて

 野菜摂取の取り組みとして野菜豊富メニューを提供しています。小鉢は選択制となりますが、おすすめ小鉢を合わせると約360g(約1日分)の野菜を摂取できるようにしています。また、定食の主菜のつけあわせをサラダにしたり、小鉢の一つとして12品目サラダを毎日準備しています。その他の小鉢においても野菜を中心としたものを提供するなど、自然と野菜を手に取ってもらえるよう工夫しています。食堂には職員へ野菜の摂取を促すため、「やさいをたべよう」という大きなポスターを貼っています。

取り組み3:栄養情報の提供

 職員からの「献立を手軽に見たい」という要望や給食委託業者からの提案で2021年度よりイントラネット内に食堂専用サイトを開設し、栄養成分表示やイベントメニューについての告知、ヘルシーメニューのポイントなどの栄養情報を開示しています。
 食堂では、POPや一口メモ、デジタルサイネージを利用し、より多くの人に栄養情報が届けられるようにしています。また、調味料コーナには減塩のポイントや漬物の塩分量などの掲示をして減塩への意識づけができるよう工夫しています。
 イントラネットと食堂の両方から栄養情報を発信することで、利用する方の特性を考慮した情報提供に努めています。

今後の取組みについて

 現在、会社と健康保険組合を中心に、健康診断結果をもとに今後のアプローチ方法を検討しております。生活習慣病の所見がある方や健康に対する意識が不十分な方へ健康メニューを選択いただけるよう、様々な取り組みを進めていきたいと考えています。
 食の楽しみを通じて、職員の健康を支えていけるように、職員からの意見も大切にしながらより充実した食堂をめざしていきたいと考えています。

 


脂質カットメニュー メニューサンプル


減塩POP(ドレッシング置き場)


健康サイネージ

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このページの作成者・問合せ先

大阪市 健康局大阪市保健所管理課健康栄養グループ

住所:〒545-0051 大阪市阿倍野区旭町1丁目2番7-1000号(あべのメディックス10階)

電話:06-6647-0662

ファックス:06-6647-0803

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