第1章 地震・津波に備える
2021年1月1日
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第1章 地震・津波に備える
地震のメカニズム(しくみ)を知る
海溝(プレート境界)型の地震
海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込み続けているために、ひずみが限界に達すると大陸プレートが跳ね上がって起こる地震。東日本大震災がその代表例です。
特徴
- 揺れている時間が長い(1分以上)
- 津波が襲ってくる可能性が高い
- 90年から150年程度の間隔で発生する
地震例 東海地震、東南海地震、南海地震、東日本大震災、北海道南西沖地震、スマトラ沖地震など
内陸活断層による地震
陸地の地下(ユーラシアプレートの内部)で活断層がずれて起こる地震。兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)がその代表例です。
特徴
- 揺れている時間が短い(10秒から数十秒)
- 震源が近いため、断層の近くでは揺れが激しい
- 1,000年から1万年程度の間隔で発生する
地震例 濃尾地震、三河地震、兵庫県南部地震、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震など
今後、想定される地震は
東南海・南海地震
東南海・南海地震は、100年から150年の周期でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生しており、今世紀の前半にも発生するといわれています。
- 1605年2月3日 慶長地震 (東海地震、東南海地震、南海地震の同時発生)
- 1707年10月28日 宝永地震 (東海地震、東南海地震、南海地震の同時発生)
- 1854年12月23日 安政東海地震 (東海地震、東南海地震の同時発生)
- 1854年12月24日 安政南海地震 (南海地震)
- 1944年12月7日 昭和東南海地震 (東南海地震)
- 1946年12月21日 昭和南海地震(南海地震)
- 2000年代 3つの巨大地震が連動して発生!?
上町断層帯地震
上町断層帯地震は、陸域で発生するタイプの地震で、マグニチュード7クラスに達することもあります。
上町断層帯は、豊中市から大阪市域の中心部を通り、岸和田市まで至る、長さ約42キロメートルの活断層です。
他にも有馬高槻断層帯 (神戸市北区の有馬温泉西方から高槻市街地北部)、生駒断層帯(枚方市から羽曳野市)、中央構造線断層帯(近畿地方の金剛山地の東縁から、和泉山脈の南縁、淡路島南部の海域を経て、四国北部を東西に横断し、伊予灘に達する長大な断層帯)が知られています。
大阪市に想定される被害
発生確率は今後30年以内に地震が起こる予測値 (平成26年1月1日時点)
- 南海トラフ巨大地震 マグニチュード9.0から9.1 死者 約12万人(大部分は津波によるもので、避難が遅れた場合です。) 全半壊建物 約296,000棟
- 東南海・南海地震 マグニチュード7.9から8.6 発生確率 70パーセント程度 死者 約100人 全半壊建物 約26,200棟
- 上町断層帯地震 マグニチュード7.5から7.8 発生確率2から3パーセント (活断層の中では発生確率の高いグループ) 死者 約8,500人 全半壊建物 約276,700棟
- 生駒断層帯地震 マグニチュード7.3から7.7 発生確率0から0.1パーセント 死者 約1,400人 全半壊建物 約135,100棟
- 有馬高槻断層帯地震 マグニチュード7.3から7.7 発生確率0から0.03パーセント 死者 約100人 全半壊建物 約14,400棟
- 中央構造線断層帯地震 マグニチュード7.7から8.1 発生確率0.06から14パーセント 死者 0人 全半壊建物 約2,400棟
地震による揺れと被害
- 震度4 ほとんどの人が驚く 電灯などのつり下げ物は大きく揺れる
- 震度5弱 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる 棚にある食器類や本が落ちてくることがある
- 震度5強 物につかまらないと歩くことが難しい 固定していない家具が倒れることがある
- 震度6弱 立っていることが困難になる 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある
- 震度6強 はわないと動くことができない。飛ばされることもある 耐震性の低い木造建物は、傾くものや、倒れるものが多くなる
- 震度7 耐震性の高い木造建物でも、まれに傾くことがある 耐震性の低い鉄筋コンクリート造の建物では、倒れるものが多くなる
地震が起きたら 自分や家族の身を守るために
地震発生時
- 落ち着いて
何が起こったのか瞬間には判断できません。数秒の揺れでも、とても長く感じます。まずはあわてず落ち着きましょう。 - 身体をかくせ
まず、自分の身体を守ること。家具や天井の下敷きにならないよう、丈夫なもので身体を保護しよう。 - 寝ているとき
布団や枕で頭を守り、ベッドの下など家具が倒れてこないところに身を伏せます。地震による室内の状況変化に注意しましょう。 - 料理中など
机の下などに隠れ、揺れがおさまったら速やかにストーブやアイロンを切り、ガスの元栓を閉めましょう。大きな揺れを感知すると自動的にガスの供給を遮断するガスマイコンメーターの設置が進んでいますが、燃え広がる危険もありますので消火器は必ず設置しましょう。 - 火に近づくな
都市ガスは震度5相当以上で自動的に遮断されます。無理に火を消そうとせず、揺れがおさまるまで近づかないようにしましょう。 - 風呂やトイレに入っているとき
あわてて飛びださず、ドアや窓を開けて出口を確保しましょう。お風呂に入っているときは、揺れがおさまってから火の始末をしましょう。
災害発生時の外出中の心構え
- 車の運転をしているとき
急ブレーキは事故の原因となります。ハンドルをしっかりと握り、徐々にスピードを落とすなど、できるだけ安全な方法により道路の左側に止めてください。やむを得ず、道路上に置いて避難するときは、エンジンを止め、エンジンキーは付けたままとし、窓を閉め、ドアロックはしないでください。また、連絡先の電話番号や名前を書いたメモをフロントガラスの内側に貼るなどして、車検証などの貴重品を忘れずに持ち出しておきましょう。
(注意)高速道路を走っているときも、あわてずゆっくり減速し、路肩に寄せて停車してください。非常口は約1キロメートルごとに設置されていますので、周囲の状況に注意し避難してください。 - バスに乗っているとき
前の座席やつり革をしっかり握るか、しゃがみこんで座席の足にしがみつくようにしましょう。揺れがおさまってもあわてて外に飛び出さず、運転手の指示に従います。 - 電車に乗っているとき
つり革や手すりにしっかり両手でつかまりましょう。座っているときは、上体を前かがみにして、雑誌やバッグなどで頭を保護しましょう。勝手に車外へ出たりしないで、乗務員の指示に従いましょう。地下鉄の場合はレールの横に高圧電流が流れており感電するおそれがあります。 - エレベーターに乗っているとき
地震時管制装置により最寄りの階に停止するものもありますが、全ての階のボタンを押し、停止した階で外に出ましょう。閉じ込められたときは、もし停電でまっ暗になっても落ち着いて、救出を待ちましょう。 - デパート・スーパーにいるとき
揺れを感じたら、かばんなどで頭を保護し、ショーウインドウや商品などから離れましょう。柱や壁際に身を寄せ、店員の指示に従って行動しましょう。あわてて出口に殺到すると、危険です。 - 地下街にいるとき
大きな柱や壁に身を寄せ、揺れがおさまるのを待ちます。約60メートル間隔に出口があり、停電になっても誘導灯がつくので落ち着いてマイク放送の指示に従いましょう。もし火災が発生したらハンカチなどで鼻と口をおおい、壁伝いに身体を低くして地上に避難しましょう。 - 学校にいるとき
先生や校内放送の指示に従いましょう。教室にいるときは机の下にもぐりこみ、机の脚をしっかり持ちます。本棚や窓から離れ、安全な場所に移動しましょう。 - 職場にいるとき
窓際やロッカー、資料棚などから離れて、机の下などに入り、身を守ります。 - オフィス街にいるとき
ビルの窓ガラスが割れて落下する場合があります。安全な場所に移動しましょう。 - 橋の上にいるとき
橋や歩道橋の上にいるときには、振り落とされないように手すりや柵にしっかりつかまりましょう。揺れがおさまったら、即座にその場を離れましょう。 - 海岸や河川敷にいるとき
津波に注意し、その場から離れ、高台など安全な場所へすぐに避難しましょう。
発生直後 揺れがおさまったら
- ラジオ、テレビをつける
情報をできるだけ早く確認し、冷静に行動しましょう。 - 家族は大丈夫か
けが人が出た場合は、自力や隣近所の人の助けを得て病院へ向かうことを考えましょう。 - くつ、スリッパをはき室内のガラスに注意
家の内外は、割れたガラスなどで危険です。絶対に裸足では歩き回らないようにし、必ずスリッパなどを履いてください。 - 余震に注意
外に出る場合は、家の倒壊に備えて、安全な服装で身を守りましょう。 - 津波から避難
海岸や河川近くなど、津波の浸水予測地域にいる人は、できるだけ早く津波避難ビルなど鉄筋コンクリート造の3階以上に避難しましょう。 - 集合住宅では
ドアや窓を開けて非常口を確保しましょう。避難にエレベーターは絶対に使わないようにしましょう。火災のときは、炎や煙に巻き込まれないように低い姿勢で、階段を使って避難しましょう。 - 家を離れるときは、表示をしよう
避難所に入ったり、地域外に一時避難するときは、家の前に行き先や連絡先を表示しておきましょう。 - 車で逃げるな
渋滞により避難が遅れる場合があることや、緊急車両が通行するための道路を空けておくためにも原則として車での避難はやめましょう。 - 公衆電話を使う
家庭の電話がかからなくなっても、公衆電話が使える場合があります。
隣近所の助け合いもたいせつです
- 隣近所で声を掛け合い、安否を確認しましょう。
- 建物や家具などの下敷きになっている人がいれば、ガス漏れや漏電、余震に注意しながら、隣近所の人と力を合わせて助け出しましょう。
- 余震に気をつけながら各家庭にある食料や水を持ち寄り、みんなで分け合いましょう。
- けが人がいた場合は応急手当をしましょう。重傷者は病院や救護所に搬送しましょう。
- 出火してしまったら消火器や可搬式ポンプなどを使い、隣近所の人と力を合わせて消火にあたってください。
- 救助作業にはシャベルやロープ、バールなどが役に立ちます。家庭の大工道具や小中学校や公園などに配備している救助用資器材を活用しましょう。
- 災害に乗じた悪質な犯罪が起こることがあります。状況に応じて交替で見回りを行うなど、まちの安全を守りましょう。
地震火災や2次災害を防ぐために
- 漏電、ガス漏れに注意
電気が復旧し家屋内の断線箇所や使用中だった電気器具に電気が通じたことによる、「通電火災」が発生することがあります。避難するときは必ず電気のブレーカーを切り、ガスの元栓を閉め、復旧時の2次災害に備えましょう。 - 出火してしまったら
消火器などですぐに消火しましょう。天井に火が回るようであれば消火器では消せません。早く近所の人に火事が起きていることを伝えましょう。 - 壊れた家やブロック塀には近寄らない
応急危険度の判定が行われます。赤色の印がつけば立ち入り危険。二次災害を防ぐために近寄らないようにしましょう。
津波から身を守るために
南海トラフ地震発生後、国の想定では、最も早くて1時間50分で津波の第1波が大阪市に到達するとされています。大阪市では津波等の水害から市域を守るために防潮堤を整備していますが、東日本大震災の教訓を踏まえ、大阪市域に津波警報・大津波警報が発表された場合は、速やかに避難してください。
津波の特徴
- 速くて力が大きい
沿岸部でも津波は短距離選手なみのスピードでせまってきます。また、くるぶし程度の波でも力が大きく、立っていることができません。 - 津波は川をさかのぼる
津波は川をさかのぼってきます。沿岸部に限らず、河川流域でも津波に対する警戒が求められます。 - 繰り返しやってくる
津波は繰り返しおそってきます。警報、注意報が解除されるまで、避難している、高い場所にとどまりましょう。 - 引き波があるとは限らない
津波が来る前には、引き波があると言われることがありますが、前触れなく津波が来ることもあります。
避難のポイント
津波から身を守るためには、少しでも早く、高いところに避難しましょう。
- 地震の揺れの程度で自己判断しない
揺れが小さくても津波が起こることがあります。小さい揺れであってもまずは避難しましょう。 - 避難に車は使わない
原則として車で避難することはやめましょう。渋滞により避難が遅れる場合があります。 - 「より早く」、「より高く」逃げましょう
浸水が始まってしまった場合は一刻を争います。「遠く」よりも「高い」場所に避難しましょう。近くのマンションやビルの3階以上に逃げ込むようにしましょう。
津波避難施設(津波避難ビル、水害時避難ビル)
平成25年8月の大阪府による津波浸水想定結果を踏まえ、市民の皆さんが津波から一時的または緊急に避難・退避する施設として、西淀川区、此花区、港区、大正区、西成区、住之江区、淀川区、福島区、西区、浪速区、北区、都島区、中央区、旭区、城東区、鶴見区、住吉区を対象に津波避難施設の確保を進めています。公共施設については順次指定を進めており、民間施設についても民間企業の協力のもと協定を締結し、津波避難施設の確保に努めています。
津波避難施設の指定状況については、危機管理室ホームページをご覧ください。
大正橋の津波碑
嘉永7年(1854年)の大地震による大津波の被害は甚大でした。その模様を記録し後世に対する戒めを伝えるのが、大正橋東詰(北側)にある安政2年(1855年)7月建立の安政大津波碑です。
所在地 浪速区幸町3丁目9番
碑文 「大地震が起きた場合には、必ず津波が襲うものと心得るべき」探している情報が見つからない
