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公立保育所の再編整備計画について

2010年7月5日

ページ番号:2524

1 計画の策定にあたって

(1)保育所を取り巻く状況
 大阪市では、行政区を基本とする保育サービス圏域(35エリア)を設定し、各エリアにおいて、公立・民間双方の保育所があいまって、保育所入所をはじめとする多様な保育サービスの提供に努めている。
しかしながら、女性の社会進出の増大、厳しい経済状況や雇用情勢等の理由により、保育所への入所ニーズが増大している。大阪市の保育所入所児童数はこの5 年間で5,000人以上増加しているが、平成17年4月1日現在の保育所待機児童数は政令指定都市中第1位である。このことは、保育所入所に対する市民のニーズが依然として高い水準にあることを示しており、保育所入所枠の拡大は、大阪市の保育施策の中でも喫緊の課題となっている。
また、家庭や地域における子育て機能が低下し、子育てに対する不安や負担感が増大する中で、保育所は地域の身近な子育て支援施設として、在宅の子育て家庭を支援するという役割もますます重要になってきている。

(2)公立保育所と民間保育所の機能分担
 これまでから、大阪市では、公立・民間双方の保育所が、それぞれの特徴を発揮しながら、市民の多様な保育ニーズに対応してきた。
大阪市内には、平成17年4月1日現在、135か所(うち1か所は休止中)の公立保育所と207か所の民間保育所があり、公立・民間合わせて39,903 人の児童を受け入れているが、これは政令指定都市中第1位となっている。
公立と民間の入所児童数の内訳を見ると、公立保育所は12,827人、民間保育所は27,076人であり、全体の約7割を民間保育所が担っている。
民間保育所は、地域に根ざした保育所運営を行い、それぞれが独自性のある多彩な保育を実施してきたが、近年、待機児童の問題が深刻化する中にあって、その解消に向けて、保育所の新設、駅前分園の設置、定員の弾力化など、その柔軟性、機動性をフルに発揮し、入所枠の拡大に多大な貢献を行い、市民の切実な保育ニーズに対応し大きな効果をあげてきた。
一方、公立保育所は、特に昭和40~50年代において、都市の急激な発展に伴う保育ニーズの増大に対応するため整備を進めてきた経過があり、幅広い保育の実践に先駆的な役割を果たしてきたほか、障害の種別や程度に関わらず、障害児の受け入れを積極的に進め、また、アレルギー症児や福祉的ニーズの高い児童など、特に配慮が必要な児童に対して、個々の状況に応じた保育を行ってきた実績がある。
また、公立保育所においても待機児童の解消に向けて、保育所ごとの定員を精査しながら職員を効率的に配置するとともに、平成14年度には職員配置基準の見直し、さらに保育室の余裕面積を活用し、非常勤嘱託職員を配置することなどにより、入所枠の拡大に努めてきた。しかしながら、行財政改革を推進していく中で、新たな公立保育所の整備・運営による入所枠の拡大は困難な状況である。
このように、増大する保育ニーズに対して、公立、民間があいまって入所枠の拡大を図ってきたところであるが、待機児童の水準は高いまま推移しており、入所枠の拡大が保育ニーズの増大に追いついていない状況となっている。
このような状況を踏まえ、待機児童の解消に向けた入所枠の拡大などについては、民間保育所の特徴である柔軟性、機動性が効果的に発揮できることから、今後は民間保育所を中心として施策の推進を図るべきであると考える。一方、公立保育所については、配慮を要する児童の受け入れなど、その特徴を活かした分野においてさらに充実を図り、蓄積された経験とノウハウを地域のすべての子育て家庭の支援のために積極的に活用していくことが重要であると考えている。
今後は、公立・民間の保育所がそれぞれの特徴をより一層発揮できるよう、さらに機能分担を明確にして、効果的・効率的に施策を展開していく必要がある。

(3)再編整備の必要性
 保育施策の充実は、次代を担う子どもたちを健やかに育成支援するための様々な施策の中でも中核をなす重要かつ緊急の課題であり、多様化する市民の保育ニーズに応えるため、大阪市全体の保育サービスを質・量ともに向上させていく必要があると認識している。
しかしながら、大阪市の財政は、市税収入の大幅な減少、義務的経費の増加などにより極めて厳しい状態が続いており、経常経費のうち人件費や経常的施策経費等の圧縮が求められている。
このような状況において、増大かつ多様化する保育ニーズに的確に対応していくためには、限られた人的・物的資源を有効に活用する観点から、公立保育所の運営について民間活力を導入するなど、そのあり方を抜本的に見直し、公立保育所の再編整備を実施する必要がある。
公立保育所の再編整備については、市会においても、「家庭で子育てをしている方々への支援策も重要であり、創意工夫を凝らした総合的な対策を講じる必要がある」「公立保育所のあり方についても、費用対効果や公・民の役割分担といった観点から、厳しく見つめ直す必要がある」、「公立保育所の民間委託の効果は、単に経営面で効果的な運営が図れることにはとどまらない。民間保育所の大きな特徴である、園長が中心となり、保育士が一丸となって、地域に愛され、その努力が地域の要望に応じた保育サービスの充実に大いに期待されるものである。早急な民間委託化が望まれる。」等の指摘がされてきた。

2 計画の位置付け

(1)市政改革マニフェストとの関係
 市政改革マニフェストの「マネジメント改革」の中の大項目「組織の生産性の向上」において、課題として「事業の経営形態の見直し」、具体的取組みとして「民営化・独立行政法人化など経営形態の見直し」が挙げられているが、平成18年2月に調査報告(経過報告)が出され、その中で具体的な取り組みとして、「民営化を進め、経費削減、サービス向上を図る」よう求められている。
これまでの慣行・先例から訣別し、大阪市政に"経営"の仕組みを導入するという市政改革の基本戦略の上に立って、公立保育所の果たすべき役割について厳しく見つめ直しをしたうえで、そのあり方を検討する必要がある。

(2)次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画との関係
 次世代育成支援対策推進法に基づき、平成16年度から平成21年度を計画期間として、数値目標を含めた行動計画を策定している。公立保育所の再編整備を推進していくにあたっては、行動計画をふまえて整備を図っていく。
民間委託を行う保育所については、待機児童の解消に資するため途中入所など弾力的な運営を図るとともに、可能な限り入所枠の拡大に努める。
また、公立のままで残す保育所については、地域子育て支援センターを中心とする特別保育事業の実施を進めることにより保育施策の充実を図る。

(3)計画期間
 公立保育所の再編整備を推進していくにあたり、平成16年度及び平成17年度の2年間については、今後の再編整備のモデルとして位置付け、「短期計画」とした上で、既に取り組みを開始している。
今後の再編整備については、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の終期が平成21年度であることから、平成18年度から平成21年度までの4年間を「前期計画」とし、「短期計画」の内容をふまえて推進する。
また、「前期計画」の実施内容を再検討した上で、平成22年度から平成25年度まで、4年間の「後期計画」を平成21年度に策定し、着実に推進していく。

3 これまでの取組内容の検証

(1)主な内容
 公立保育所の抜本的な再編整備に向けて、平成15年度より本格的に準備を開始し、平成16年度には、3か所の公立保育所を多機能化するとともに、3か所の保育所の入所枠を拡大し、運営を民間に委託した。
また、平成17年度には、5か所の多機能化を推進するとともに、4か所の民間委託を実施してきたところである。

(2)効果
 民間委託については、保育室の増築又は改修をすることにより入所枠を拡大し、待機児童の解消にも資することとして、2年間で、計7か所の公立保育所において実施してきた。運営を委託した7か所の公立保育所では、委託先法人の努力もあり、保護者の方々のご理解とご協力を得て、現在のところ、特段の混乱もなくおおむね順調に運営されている。
一方、地域における子育て支援のニーズが高まっていることから、2年間で、8か所の公立保育所において、地域子育て支援センターを7か所及び一時保育を6 か所で実施し、これらのニーズに応えてきた。事業を実施するにあたっては、地域子育て支援センター、一時保育の専用スペースを保育所内に増築またはその施設の一部改修を行い、事業担当の職員を配置した。このことにより、公立保育所がこれまで培ってきたノウハウを活かし、地域の子育て支援に重要な役割を果たしつつある。

(3)課題
 民間委託の取り組みの中で、保護者からは様々な不安や不満の声が寄せられた。
民間委託に伴い、現在の公立保育所の職員については他の公立保育所へ異動することとなるが、保護者からは慣れ親しんだ現在の職員が入れ替わることに対する不安とともに、委託後に経験の少ない若い職員が大半を占めるのではないかという不安の声が寄せられた。
また、入所にあたって複数の保育所を見学したり、様々な情報を収集した上で公立保育所の入所を希望した保護者からは、なぜこの保育所を民間委託するのかという疑問や、一方的に運営主体が変更されることに対する反発も見られる。
これらの課題を解消するために、当該保育所に勤務していた本市職員2名(所長及び主任)を1年間法人に派遣し、保育内容の引き継ぎに努めるとともに、社会福祉法人が運営する保育園から次期所長候補、次期主任候補を含む中堅職員を異動すること等により、委託後の保育所運営に支障がないよう関係先と調整、協議を行い、実施した。
今後もこのような手法を継続することにより委託後の保育内容の継続と円滑な保育所運営に努めていく。
しかしながら、この間の取り組みを通じて、児童や保護者の不安が相当に大きいことが明らかとなっているため、保護者の様々な疑問点に対して誠意を持って説明することにより説明責任を果たすとともに、より円滑に移行する方策等について検討していくことが必要であると考える。
特に、民間委託される保育所の保護者からは、民間委託による具体的なメリットが求められているため、民間の特徴である柔軟性を活かした運営を図るほか、保育時間の延長等、よりサービスの向上を図れるよう検討していく。
多機能化については、その計画段階においては、対象となる保育所の保護者から、増築に伴う所庭の減少等に対する反対も見られたことから、今後は、入所児童の保護者に対し、決定後速やかに情報提供を行うとともに、保育所は子育て支援の拠点となる重要な施設であることを説明し、施設整備をはじめとする様々な条件整備について理解を求めていくことが必要である。

4 民間委託の推進(民間活力導入の意義)

 平成13年11月の児童福祉法改正により、「第56条の7(1)保育の実施への需要が増大している市町村は、民間事業者への公有財産(地方自治法第238 条第1項に規定する公有財産をいう。)の貸付けその他必要な措置を積極的に講ずることにより、社会福祉法人その他の多様な事業者の能力を活用した保育所の設置又は運営を促進し、保育の実施にかかる供給を効率的かつ計画的に増大させるものとする。(2)国及び都道府県は、前項の市町村の措置に関し、必要な支援を行うものとする。」と定められているところである。待機児童が継続的に高い数値を示している大阪市において、この規定が該当することは言うまでもない。
平成14年3月29日に閣議決定された「規制改革推進3か年計画」においては、福祉・保育等の分野における様々な改革の方向性が示されているが、「公立保育所に関しては、社会福祉法人等が運営する認可保育所に比べ、運営コストがかかるだけでなく、利用者へのニーズへ迅速かつ的確に対応できていない。このため、限られた財源を有効に活用し、かつ社会のニーズに応じた保育を実践するという観点から、公立保育所の運営については、社会福祉法人やNPO、民間企業等へ民間委託することも有効な処方箋である。」とある。
そもそも保育所運営経費は、入所児童の定員区分・年齢区分によって決められた単価(厚生労働省が定める「保育単価表」)に、毎月1日付の児童数を乗じた金額が事務費及び事業費として積算されている。それ以外に、延長保育などの特別保育事業等を行う場合は別途補助金が交付されたり、市町村の事情による独自加算はあるが、基準となる運営経費は、入所児童の定員区分・年齢区分によりおのずから決定され、その範囲内で運営することが原則となっている。
民間保育所は、このような保育所運営経費を前提として、適正な職員構成により効率的な運営を行いながら、児童の受け入れに柔軟に対応するなど、各保育所が経営努力を行っている。
一方、公立保育所では、職員の平均年齢が民間よりも高いため、経験豊かな職員が多い反面、人件費の平均単価が高くなり、運営費総額に占める人件費の割合が高い結果をもたらしている。
これらの点を勘案し、公立保育所の運営に民間活力を導入することは、今後の効率的な保育所運営の面で非常に有効であるとともに、公立・民間双方のすぐれた点の相乗効果による保育サービスの向上が期待できる。

5 公立保育所の今後の方向性

(1)公立保育所のあり方
 今後、公立・民間の保育所は、それぞれの特徴をより一層生かした機能分担を行う必要がある。
今後の公立保育所は、関係諸機関との幅広い連携を構築しながら、地域における子育て支援の拠点的な施設として積極的な役割を果たしていく必要がある。これまでに蓄積された経験とノウハウを、地域のすべての子育て家庭に対する支援のために活用していくことが、今後の公立保育所の基本的な方向性である。

(2)配慮を必要とする児童の積極的な受け入れ
 本市の保育所入所児童数39,903人の内訳は、公立32%、民間68%となっているが、一方、その内の障害児1,045人の受け入れ状況を見ると、公立 60%、民間40%と比率が逆転している。このように、公立保育所の大きな特徴の一つとして、障害児の受け入れを積極的に進めてきた実績が挙げられる。ノーマライゼーションの理念に基づき、「障害のある子どももない子どもも共に育ち合う保育」である障害児保育については、このような実績をふまえ、公立保育所が  今後とも積極的に推進していくことが重要である。
また、アレルギー症児や福祉的ニーズの高い児童についても、公立保育所は、従来から積極的に受け入れているが、これら配慮を要する児童の受け入れについては、公立保育所がその特徴を発揮できる分野であり、今後とも、その重要性は増していくと考えている。
待機児童解消に向けた入所枠拡大などについては、民間保育所が中心的役割を果たすこととするが、配慮を必要とする児童の受け入れについては、地域におけるセーフティーネットとしての役割を果たす観点から、公立保育所が積極的に担うべき分野である。

(3)多機能化
 今後、多様化する市民の保育ニーズに的確に対応でき、公立保育所が地域の子育てを支援する役割を効果的に発揮できるよう、可能な限り多機能化を推進する。
今後の公立保育所においては、配慮を必要とする児童を積極的に受け入れることはもとより、条件の整った保育所においては地域子育て支援センターや一時保育など、多様な保育サービスの拡充を図ることによって、在宅で子育てを行っている家庭や様々な就労形態にある家庭など、すべての子育て家庭を視野に入れた事業展開を図る。

(4)公立保育所の集約化
 今後、公立保育所は、セーフティーネットとしての役割をはじめ、その特徴を活かした機能を効果的に発揮していく必要がある。
そのためには、公立保育所の運営に民間活力を導入し、効果的・効率的な事業の推進を図る一方で、直営として残す公立保育所については、エリアごとに集約化を図る。
現在の公立・民間保育所の設置状況も考慮しながら、公立保育所が多数設置されているエリアについては、各エリア2か所程度を基本として集約化を図り、それ以外の保育所については、民間委託または統廃合を行う。
なお、多機能化する公立保育所の選定条件としては、地域全体の子育て支援を推進するのにふさわしい保育所を地理的条件、利便性、施設の状況などを総合的に勘案して選定する。

6 計画の推進

(1)年次計画案
 民間委託については、計画の早期達成が図れるようスピード感をもって実施していくこととするが、現在のところ、保護者の民間委託に対する抵抗感は依然として高い状況であり、円滑な移行を図り、保護者や地元の理解を得るために、民間委託の内容等について丁寧に説明していく必要がある。そのため、平成18年度から平成21年度までの前期計画においては毎年5か所以上の民間委託を実施し、ペースアップを図りつつ、平成25年度までに50か所以上の公立保育所の運営を民間に委託する。

(2)民間委託保育所の選定方法
 民間委託は、市内全域で推進していくものであるが、各エリアの状況については、保育ニーズをはじめ、公立・民間保育所の設置状況など、事情がそれぞれ異なることから、当分の間は優先的に実施すべきエリアを想定して計画的に進めることが、施策の効果的な推進の観点からは望ましいと考える。
ついては、当面の緊急課題である待機児童の解消を図ることを念頭において、次の2つの要素を総合的に勘案しながら、優先的に実施すべきエリアを選定する。

 <エリアの選定>

  1. 特に低年齢児の待機児童が多いエリア
     待機児童の解消は、本市の喫緊の課題である。
    特に、低年齢児の待機児童が継続的に多いエリアについて、その解消に向けて重点的に力を注ぐ必要があるため、当面は入所枠の拡大を図ることが可能であるエリアを優先的に選定する。(一定期間内の0歳から2歳の待機児童数の推移や増減数など、客観的な基準を設定して選定する。)
  2. 今後、大規模なマンション等の建設が予定されているエリア
    大規模なマンション等が建設された場合、子育て層も増加することが想定される。
    このようなエリアについては、将来的に保育ニーズが増大することが見込まれるため、保育施策についてより一層充実を図る必要があることから、優先的に選定する。


 <当該エリア内における保育所の選定>

  1. 増築・改修等により、入所枠の拡大が図れる保育所
     本市の喫緊の課題である待機児童の解消を図る観点から、増築・改修等により入所枠の拡大が図れる保育所を優先的に選定する。
  2. 利便性が高く、新たな保育サービスを提供することによる効果が大きいと考えられる保育所
     就労形態の多様化等により、保護者からは保育時間の延長などを求められているため、通勤途中等に送迎ができる利便性が高い保育所を優先的に選定する。
  3. 付近に既に多機能化を実施している保育所がない保育所
     付近に多機能化を実施している保育所がない保育所は、多機能化を実施している保育所がある場合と比べ、新たな保育サービスを実施する効果が大きいと考えられるため、優先的に選定する。

(3)円滑な推進のための方策
 公立保育所の運営を民間に委託するにあたっては、円滑な移行に向けて、

  1. 公設置民営方式の採用。
  2. 運営主体に、大阪市において多数の保育所の運営実績のある社会福祉法人を指名。
  3. 当該保育所の保育内容を確実に継続するため、本市職員(所長、主任)の委託先法人への1年間の派遣。
  4. 公立保育所の保育内容を継続するため、本市勤務経験者(臨時的任用職員等)の登用。
  5. 慣れ親しんだ職員をできるだけ残すため、パートタイム職員の継続雇用。
  6. 経験を積んだ職員を確保するため、社会福祉法人が運営する保育園からの次期所長候補、次期主任候補を含む職員の異動。
  7. 引き継ぎを丁寧に行うため、委託開始前の一定期間の引き継ぎの実施。(昨年度は約3か月)

など、様々な方策を採用した。
今後も、より円滑に移行する方策について検討を続けるとともに、民間委託が保育サービスの低下につながるという不安の解消に努める必要がある。このためには、次の観点を念頭に置いて、保護者の理解を求めていくことが重要である。


○保育サービスの向上
 公立保育所の民間委託によって、公立保育所と民間保育所の双方のすぐれた点の相乗効果により、保育サービスの向上が期待できることから、民間委託が保育サービスの向上につながるということについて、保護者等関係者に理解を求めていく。

○積極的な情報提供
 すでに民間委託された保育所の状況をはじめ、民間委託に関する情報を積極的に提供し、保護者の不安解消に努める。

  • 保育所の見学会の開催
    既に委託された保育所又は委託先法人が運営する保育所の見学会を行う。
  • アンケートの実施及び情報開示
    委託保育所の保護者に対して、「委託前と委託後で、保育所の様子はどう変わったか。子どもの様子は変わったか。職員との関係はどうか。」などの項目について、アンケート調査を行い、結果について、民間委託の計画対象となっている保護者に情報開示を行う。
  • 契約内容の開示
    委託契約書に盛り込む内容について、事前に保護者に情報提供を行うことにより、保護者との信頼関係の構築に努める。

○委託までの準備期間の確保
 民間委託を行うための準備期間については、民間委託の発表から実施までの期間が1年未満であったことから、保護者からは「発表から実際に委託するまでの期間が短い」ということを指摘されている。
保育所の運営主体の変更が行われることについては、保護者にとって非常に重大なことであり、早い段階で情報提供を行い、委託を行うことについての説明責任を果たす観点から、発表から委託までの期間を1年以上確保するよう努める。

(4)民間活力の導入手法の検討
 現在、民間活力の導入の手法については、大阪市の条例施設という体制は維持しつつ、その運営について社会福祉法人に委託する「公設置民営方式」を採っている。また、運営を委託する社会福祉法人については、大阪市で多数の保育所を安定して運営している社会福祉法人を指名している。
今後、このような手法の他に、運営を委託する法人を公募する方式、指定管理者制度の導入、民設置民営方式への移行等についても、十分に検討を行う必要がある。

(5)課題

  1. 民間委託後の保育所運営のチェック体制の構築
     公立保育所を民間委託するにあたっては、現在の保育内容を継続し、円滑な移行を図ることを重要な条件としている。また、民間委託を予定している保育所の保護者からは、委託後に保育内容が大きく変更された場合はどうするのかなど、委託後の保育所運営について大阪市がどのように関わっていくのかを問われている。
    これに対し、民間委託後の運営をチェックし、問題がある場合には、法人と共同で速やかに問題解決を図るような仕組みを構築し、明確にしたうえで、委託契約書に盛り込んでいくことも検討する。
  2. 第三者評価制度の導入
     委託後について、保育水準が低下していないかどうか、適切な保育所運営が図られているかどうか等について、客観的な視点で判断を行うことは重要である。
    このため、各保育所に苦情相談の窓口を設置するほか、委託後の保育所運営にかかる第三者評価制度の導入についても検討を行う必要がある。

これらの課題については、引き続き検討を行い、可能な限り早期に方向性を出すこととする。遅くとも前期計画期間の終期である平成21年度までに一定の考え方を整理した上で、後期計画に反映させるように努める。

民間委託新実施基準

 これまでの保護者説明会等でいただいたご意見やご要望、また、この間の民間委託の実績や実施状況を踏まえ、本市の民間委託についての基本的な考え方を「大阪市立保育所の民間委託の実施にあたって(民間委託新実施基準)〔平成20年10月策定〕」として改めて整理しました。

大阪市立保育所の民間委託の実施にあたって(民間委託新実施基準)について

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