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民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について〔令和8年4月1日施行〕

2026年8月28日

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令和6年5月17日、民法等の一部を改正する法律(令和6年法律第33号)が成立しました。

この法律は、父母の離婚等に直面する子の利益を確保するため、子の養育に関する父母の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流等に関する民法等の規定を見直すものです。

この法律は令和8年4月1日に施行されました。

目次

1.親の責務に関するルールの明確化

親権や婚姻関係があるかどうかに関わらずこどもを育てる責任と義務についてのルールが明確にされました。

〇こどもの人格の尊重

父母は、親権や婚姻関係の有無に関係なく、こどもが心も体も元気でいられるよう育てる責任があります。こどもの利益のために、こどもの意見にしっかりと耳を傾け、こどもの人格を尊重しなければなりません。

〇こどもの扶養

父母には、親権や婚姻関係の有無に関係なく、こどもを養う責任があります。「養う」度合いは、こどもが親と同じくらいの生活を送れる水準でなければなりません。

〇父母間の人格尊重・協力義務

父母は、親権や婚姻関係の有無に関係なく、お互いを尊重して協力し合う義務があります。下記のような行為はこのルールに違反する場合があります。

  • 暴力や相手を怖がらせるような言動、濫訴
  • 他方の親によるこどもの世話を不当にじゃますること
  • 特段の理由なく他方に無断でこどもの住む場所を変えること
  • 特段の理由なく約束した親子の交流の実施を拒むこと

  ※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。

〇こどもの利益のための親権行使

親権(こどもの世話や教育をしたり、こどもの財産を管理したりする権利や義務)は、こどもの利益のために行使しなければなりません。

2.親権に関するルールの見直し

〇父母の離婚後の親権者

これまでの民法では、離婚後は、父母のどちらかだけを親権者として決めなければなりませんでした。これからは、離婚後に父母2人ともが親権を持つ共同親権、1人だけが親権を持つ単独親権の選択ができるようになります。

(1)親権者の定め方

<協議離婚の場合>

父母が話し合いによって親権者を父母2人ともとするか、どちらか1人ににするかを決めます。

<父母の協議が調わない場合裁判離婚>

家庭裁判所が、父母とこどもの関係や父と母の関係などを考慮した上で、こどもの利益を考えて、親権者を父母2人ともとするか、どちらか1人にするかを定めます。この手続きでは、家庭裁判所は父母それぞれから意見を聴かなければならず、こどもの意思を把握するように努めなければなりません。

ー次のようなケースでは、家庭裁判所は共同親権と定めることはできません。ー

・虐待のおそれがあると判断された場合

・DVのおそれやその他の事情で、父母が共同して親権を行うことが難しいと判断された場合

 ※身体的な暴力を伴う虐待・DVだけとは限りません。

 ※これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権と定めることとされています。

(2)親権者の変更

離婚後の親権について、こどもの利益のために必要だと認める場合は、家庭裁判所がこども自身やその親族の請求によって親権者を変更(父母の一方から他の一方/一方から双方/双方から一方)することができます。離婚前の父母間に一方からの暴力等があり、対等な立場での取り決めではなかったケースでは、こどもにとって不利益になるおそれがあるため、この手続きで親権者を改めることができます。

  ー次のようなケースでは、家庭裁判所は共同親権と定めることはできません。ー

・虐待のおそれがあると判断された場合

・DVのおそれやその他の事情で、父母が共同して親権を行うことが難しいと判断された場合

 ※身体的な暴力を伴う虐待・DVだけとは限りません。

 ※これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権と定めることとされています。

〇親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)

(1)監護教育に関する日常の行為

日々の生活における監護教育に関する行いでこどもに重大な影響がないもののことを指します。個別の事情にもよりますが、日常の行為にあたる例、あたらない例には、次のようなものがあります。

<あたる例>

  • 食事や着る服を決めること
  • 短期間の観光目的での旅行へ出かけること
  • 心と体に大きな影響がない治療などを決めること
  • 通常のワクチン接種
  • 習い事
  • 高校生の放課後のアルバイトの許可

<あたらない例>

  • こどもの引っ越し
  • 将来の進学先を決めること
  • 心と体に大きな影響のある治療などを決めること
  • 財産の管理について

父母の意見が対立するときには、家庭裁判所で、父母のどちらかが1人でその事項を決められるようにする裁判を受けることもできます。

※暴力等や虐待から逃げることはルールに違反しません。

(2)一方の親が決められる緊急のケース

父母の協議や家庭裁判所の手続きを待っていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合には、日常の行為に当てはまらないケースでも父母の一方が単独で決めることができます。個別の事情にもよりますが、例えば、緊急のケースとしては、次のような場合があります。

  • DVや虐待から逃れるために引っ越しなどをする場合
  • 病気や怪我などで急ぎの治療が必要となる場合
  • 入学試験の結果発表後に手続きの期限が迫っているような場合

(3)親権行使者の指定

父母が共同で親権を行うべき特定の事柄(例:緊急であるとはいえない場合のこどもの引っ越しや財産の管理など)について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が父または母の請求によって父母の一方を親権行使者に定めることができます。親権行使者は、その特定の事柄において、単独で親権を行うことができます。

※未成年のパスポートの申請の際には、親権者の同意が必要です。詳しくは各都道府県のパスポートセンターや大使館等までお問い合わせください。

〇監護についての取り決め

(1)監護の分担

父母が離婚するときは、こどもの監護の分担について決めることができます。これを決めるにあたっては、こどもの利益を一番に考えなければなりません。監護の分担の例には、次のような取り決めが考えられます。

  • 平日は父母の一方がこどもの監護を担当し、土日祝日はもう一方が担当するといったこと
  • こどもの教育に関する決定は同居している親に委ねるが、その他の重要な事柄については父母が話し合って決めるなどといったこと

(2)監護者の権限

離婚後の父母の双方が親権者となっている場合でも、どちらか一方を「監護者」と決めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。このように決められた場合には、「監護者」は、日常の行為だけではなく、こどもの監護教育や住む場所、職業の決定を単独ですることができます。監護者ではない親権者は、監護等の妨害をしてはなりませんが、妨害しない範囲であれば、親子交流の機会などにこどもの監護をすることができます。


3.養育費の支払確保に向けた見直し

〇合意の実効性の向上

これまでは、養育費の支払いがされ⁠⁠⁠⁠⁠⁠⁠ない場合には「債務名義」という一定の文書が必要でしたが、今回の改正によって「先取特権」と呼ばれる優先権が与えられるため、文書で養育費の取り決めがあれば、その文書をもって一方の親の財産を差し押さえる申立てが可能になります。改正法施行前に養育費の取り決めがされていた場合には、改正法施行後に発生する養育費に限ってこの改正が適用されます。

〇法定養育費

離婚時に養育費の取り決めがなくても、取り決めるまでの間、こどもと暮らす親が他方の親へ、こども一人あたり月額2万円の養育費を請求できる制度です。離婚後もこどもの生活が守られるよう設けられました。養育費が決まるまでの暫定的、補充的なものであり、父母の協議や家庭裁判所の手続きにより、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取り決めをしていただくことが重要です。

※法定養育費は父母間で取り決めるべき養育費の標準額や下限額を定める趣旨のものではありません。

〇裁判手続の利便性向上

家庭裁判所は養育費に関する裁判手続きをスムーズに進めるために収入情報の開示を命じることができることとしています。また、養育費を請求する民事執行の手続きでは、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。

4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

〇親子交流の試行的実施

家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどものことを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し、親子交流の試行的実施を促します。その具体的な手続きは、次の通りです。

(1)家庭裁判所は、こどもの心と体の状態に照らし合わせて実施が相当かや、調査の必要があるかなどを考慮して、親子交流の試行的実施を促すかどうかを検討します。

(2)家庭裁判所は、(1)の検討を踏まえて当事者に対して親子交流の試行的実施を促します。その際、家庭裁判所は交流する日時や場所、方法などを決めたり、約束事項を定めたりすることができます。

(3)当事者は、家庭裁判所からの促しに応じて、親子交流を試行的に実施します。

(4)試行的実施の状況や結果は、家庭裁判所調査官による調査や当事者である父母自身による報告を通じて、家庭裁判所と父母との間で共有されます。

(5)家庭裁判所は、(4)の結果を踏まえて調停の成立や審判に向けて、必要に応じてさらに調査や調整を行います。

〇婚姻中別居の場合の親子交流

父母が婚姻中にこどもと別居している場合の親子交流は、こどものことを最優先に考えることを前提に、父母の協議で決め、成立しない場合には家庭裁判所の審判等で決めることが明確に記されました。

〇父母以外の親族と子どもの交流

こどもと祖父母などとの間に親子のような親しい関係があり、こどものために特に必要があるといった場合は、家庭裁判所はこどもと父母以外の親族との交流について定められるようになります。家庭裁判所への申立てを行うのは、原則として父母ですが、父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは祖父母、兄弟姉妹、それ以外で過去にこどもを監護していた親族などが、自ら家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。

5.財産分与に関するルールの見直し

〇財産分与の請求期間

財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です。財産分与については、夫婦の協議によって決めますが、成立しない場合には家庭裁判所に対して財産分与の請求をすることができます。これまでは、財産分与の請求ができる期間は離婚後2年に制限されていましたが、改正によって離婚後5年を過ぎるまで請求できるようになります。

〇財産分与の考慮要素

これまでは、財産分与にあたり、どのような事情が考慮されるべきかが明確に決められていませんでした。今回の改正では、財産分与の目的が各自の財産上のつり合いがとれるようにすることを明らかにした上で、以下の考慮要素を例に挙げています。

  • 婚姻中に取得または維持した財産の額
  • 財産の取得または維持についての各自の寄与の程度(原則2分の1ずつ)
  • 婚姻の期間
  • 婚姻中の生活水準
  • 婚姻中の協力や扶助の状況
  • 各自の年齢、心身の状況、職業、収入

上記のうち、「財産の取得または維持についての各自の寄与の程度」については、直接収入を得るための就労だけではなく、家事労働や育児の分担などさまざまな性質のものが含まれるため、寄与の程度は原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされています。

〇裁判手続きの利便性向上

財産分与に関する裁判手続きでは、分与の対象となる財産の種類や金額を明らかにする必要があります。今回の改正では、家庭裁判所が当事者に対して財産情報の開示を命じることができるようになり、手続きがスムーズになります。

6.養子縁組に関するルールの見直し

〇養子縁組後の親権者

未成年のこどもが養子となった場合、養親がこどもの親権者となり、実親は親権を失います。養子縁組が複数回された場合は、最後に養子縁組をした養親だけが親権者となります。離婚した実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組(連れ子養子)の場合は、再婚相手とその配偶者である実親が親権者となります。このケースでは、実父母の離婚後に共同親権としていたとしても、他方の親権者はそれを失います。

〇養子縁組についての父母の意見調整の手続

15歳未満のこどもが養子縁組をするときは、こどもの親権者が養子縁組の手続きを行う必要があります。これまでは、父母の双方が親権者である場合に意見の対立があっても、それを調整するためのルールがなく、意見が一致しなければ養子縁組をすることはできませんでしたが、今回の改正では、父母の意見対立を家庭裁判所が調整する手続きを新しく設けました。家庭裁判所は、こどもの利益のために特に必要がある場合に限り、父母の一方を養子縁組についての親権行使者として指定することができるようになります。親権行使者は単独で養子縁組の手続きをすることができます。

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