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二十五菩薩聖聚来迎阿弥陀経万部法要

2019年1月9日

ページ番号:8851

二十五菩薩聖聚来迎阿弥陀経万部法要

にじゅうごぼさつしょじゅうらいごうあみだきょうまんぶほうよう

分野/部門

無形民俗文化財

保持者

宗教法人 大念仏寺

所在地

大阪市平野区平野上町1

紹介

二十五菩薩聖聚来迎阿弥陀経万部法要 写真

 融通念仏宗の総本山である大念仏寺で毎年5月1日から5日まで催される法要である。阿弥陀経を一万部読誦し、あわせて来迎の様を描く「お練り供養」を行う。当初は10日間に亙って行われていたが、近年は5日間となっている。
 
 各日に法要の最後に行われる「お練り供養」は特によく知られるが、これは迎講あるいは来迎会と呼ばれる、極楽往生に際しての来迎の場を描く宗教劇である。来迎に際して阿弥陀如来に随伴する二十五菩薩が練り歩く様を、行道面と呼ばれる菩薩の面を着けた人間が演じるもので、近年まで伝わった事例は全国でも 30例ほどである。現在も続くのはこのうちの半数である。
 
 「お練り供養」は浄土教信仰が浸透した平安時代後期から鎌倉時代頃に淵源が求められる儀式で、奈良県の当麻寺の例がよく知られている。阿弥陀如来の木像が、像内に人間が入ったり、輿に乗ったりして儀式に現れる場合もある。大念仏寺の場合は、当麻寺の儀式を参考に、鎌倉時代に融通念仏宗の中興の祖とされる法明がはじめたものと伝える。その後中絶していたが、元禄9年(1696)に、近世の融通再興の祖とされる大通が復活した。
 
 「お練り供養」は、鐘と太鼓の音を端緒とし、本堂の周りに設けられた橋の上を、面を着けた僧侶が演じる二十五菩薩とともに、大阪や奈良など各地の信徒が練り歩いて本堂に向かい、菩薩が仏前に献花することで、現世から極楽へ向かう様を体現する華美荘厳な儀式である。
 
 大念仏寺ならではの特色としては、二十五菩薩を在家ではなく僧侶が演じること、二十五菩薩に加えて、融通念仏宗では特に厚い信仰を集める地蔵菩薩の面もあり、やはり僧侶が面を着けて出ること、融通念仏宗特有の画像本尊の十一尊天得如来の軸も練り歩くことがあげられる。
 
 さらに、万部法要の中の一儀式として来迎会が取り入れらていることも重要な特色である。もともと、阿弥陀経を一万部読誦することを主とする万部会という法要と、来迎会の儀式は別のものである。大念仏寺の場合は、早朝の勤行から、締めくくりの本堂での献花に至るまで、各日一万部の読誦を行う。これが万部法要である。このクライマックスとして「お練り供養」すなわち来迎会が位置付けられたかたちになっている。一説には、元禄時代に大通が来迎会を復活した際には、来迎会のみであったものが、明和年間(1764~72)頃に万部法要が開始され、現在のようなかたちになったという。全国的に見て、来迎会の遺例として貴重なだけでなく、大念仏寺独自の特色も強く、興味深い法要である。

参考文献

『融通念仏宗 その歴史と遺宝』(大阪市立博物館 1991年)

關 信子「"迎講阿弥陀像"考1~4」(『仏教芸術』221・223・224・228 1995~96年)

 

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