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「大大阪観光」フィルム 1巻

2019年1月9日

ページ番号:8967

「大大阪観光」フィルム

だいおおさかかんこうフィルム

分野/部門

有形文化財/歴史資料

所有者

大阪市

所在地

大阪市西区北堀江4

紹介

 昭和12年(1937)に、大阪市電気局と産業部が制作した約30分の動画フィルムを16mmフィルムのかたちにしたものである。ナレーションに「ここに産業の都モダン大阪の内に流れる古き難波の姿をしのび、歴史の都として由緒ある過去の姿を見、一面また観光都市としての大阪を鑑賞することは、旅する人にとって、またひとつの憧れでありましょう」とあるように、観光という視点に立って、商工業都市として栄える大阪の活力とその歴史性を広く一般に紹介することを目的としている。

 内容は、観光案内らしく、大阪駅前の市内交通案内所に立ち寄るところから始まり、地下鉄、バス、観光艇などの交通機関を乗り継いで、市内の主要観光地をまわる形になっている。その主なルートは、まず梅田から当時最新の交通機関であった地下鉄に乗って難波に向かい、電車に乗り換えて新世界の通天閣にのぼり、また天王寺公園、動物園を訪ねる。阿倍野橋からバスに乗車し、住吉大社、四天王寺、高津神社をめぐり、大阪城に至り、造幣局、天満宮、中之島を観光する。中之島からは観光艇「水都」に乗船し、中之島周辺の中央公会堂などを臨みながら周遊し、安治川筋の工場群を見て産業のありさまを知る。さらに木津川筋を経て、肥後橋に戻り下船する。そこからバスに乗り継いで、新聞社、電気局、大阪港、電気科学館などの諸施設を見、心斎橋筋から道頓堀、千日前の繁華街へと至り、最後は浪花踊りを鑑賞して幕切れとなる。

 映像は、各所の外観をとらえるだけでなく、建物の内部を詳しく紹介したり、関連する映像を巧みに挿入するなど効果的に作られている。また音声として、簡潔なナレーションがつけられているほか、「大大阪地下鉄行進曲」「大阪音頭」といった当時の流行歌やタンゴなど時代の雰囲気をよく示す音楽が用いられている。

 市営交通機関の普及と観光宣伝という行政的観点に立ちながら、昭和初期の大阪をコンパクトに紹介した映像として高い意義を持つ。いわゆる記録映像として制作されたものではないが、都市景観、名所旧跡、産業の状況などを伝える映像として価値が認められるとともに、各部分の映像にも、天神祭りや住吉大社の御田植神事といった祭礼・神事、地下鉄や観光艇「水都」などの交通機関、電気科学館や電気局内の電気普及館などの市の施設、水上生活者の暮らし、動物園の人気者リタ嬢とロイド君の芸、浪花踊りの模様など、興味深いものが含まれている。本映像は、昭和初期の「大大阪」の時代の雰囲気を多面的に伝える映像資料として貴重なものといえる。

 昭和12年に作成されたオリジナルはセルロイド製であり、危険物との認識がなされ、昭和50年代に 16mmフィルムにダビングしたものが現存している。

基礎データ

  • タイトル  大大阪観光
  • 発行者  大阪市電気局・大阪市産業部
  • 原案  潮田 耕
  • 指導  原 喜太郎
  • 製作  J.O.スタジオ
  • 構成  中野 孝夫
  • 撮影  玉井 正夫

 

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