絹本著色光明本尊 1幅
2024年1月15日
ページ番号:8982
絹本著色光明本尊
分野/部門
所有者
宗教法人 光用寺
所在地
大阪市淀川区西中島7
紹介

光明本尊とは、仏光寺教団で多く用いられる独特の画像であり、中央に光明を発する「南無不可思議光如来」という九字名号を記す。その向かって左側に釈迦如来と六字名号、右側に阿弥陀如来と十字名号をそれぞれ記す。さらに画面右上方にインド・中国の高僧連坐像を描く。画面左上方には、源信に始まり、源空、親鸞と連なる日本の高僧を描き、末尾には、その寺院の歴代や発願者など在地にゆかりのある人が描かれる。その下には聖徳太子と六侍臣を描く。また、画像の上下には墨書で賛を記す。
光用寺には、中世に制作年代がさかのぼる絵画史料がいくつか伝来しているが、それらはいずれも仏光寺教団の勢力が大阪、特に淀川流域に早くから浸透していたことを示すもので、大阪の中世史を考えるうえで重要な史料である。そのひとつがこの光明本尊である。光明本尊としては通規の形式で、上方の賛は失われているが、下方には大無量寿経からの一節を墨書している。光用寺に伝来する絵系図にも登場する僧で、大阪の北部を中心に活動していたと思われる空円の姿がここにも描かれている。
制作年代については、14世紀末から15世紀前半と推定される。市内に残る中世絵画のひとつとして貴重な作例である。全国的にみても光明本尊の遺例は少なく、その点からも注目される史料である。
用語解説
賛(さん) 仏徳などをほめたたえる偈頌(げじゅ)のこと
大無量寿経(だいむりょうじゅきょう) 無量寿経ともいう。浄土教の根本経典の一つで浄土系諸宗の所依の経典となっている
参考文献
信仰の造型的表現研究委員会編『真宗重宝聚英』(同朋舎 1987年)
『大阪市内真宗寺院の遺宝』(大阪市立博物館1993年)
『仏光寺の歴史と信仰』(思文閣 1989年)
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