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平成22年第16回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:96961

平成22年第16回教育委員会会議

第16回教育委員会会議録

 

1 日時  平成22年7月27日(火曜日)

午前10時00分~午前11時40分

午後1時05分~午後1時55分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎地下1階第11共通会議室

大阪市役所3階教育委員会事務局内会議室

 

3 出席者

池田 知隆  委員長

佐藤友美子  委員

勝井 映子  委員

矢野 裕俊  委員

長谷川惠一  委員

 

永井 哲郎  教育長

中尾 寛志  教育次長

沼守 誠也  教育次長

岡田 俊樹  総務部長

荻野 哲男  教務部長

山條 哲男  教職員資質向上担当部長

三宅  卓  生涯学習部長

吉田 豊治  指導部長

大東 正則  教育事業監理担当部長

小畠  稔  学校経営管理センター所長

藤巻 幸嗣  教職員人事担当課長

三田村珠央  教職員人事担当課長代理

宇野新之祐  教務部担当係長

中野下豪紀  教務部担当係長

本  教宏  教務部担当係長

赤銅 久和  初等教育担当課長

坪井 宏曉  指導部総括指導主事

高橋 年治  指導部主任指導主事

余川 恭子  指導部指導主事

冨山富士子  指導部指導主事

寛座 純一  高等学校教育担当課長

長谷川義高  指導部指導主事

島田 保彦  特別支援教育担当課長

津村 友基  指導部指導主事

小川 芳和  総務担当課長

川本 祥生  総務担当課長代理

松浦 令   総務部担当係長

 

4 次第

(1)池田委員長より開会を宣告

(2)池田委員長より会議録署名者に長谷川委員を指名

(3)議題

議案第108号 平成23年度使用教科用図書の採択について

議案第109号 教職員の懲戒処分に関する指針の一部改正について

議案第110号 職員の人事について

議案第111号 職員の人事について

議案第112号 職員の人事について

なお、議案第110号から議案第112号については教育委員会会議規則第6条第1項第2号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開とされた。

 

(4)議事要旨

議案第108号「平成23年度使用教科用図書の採択について」を上程。

委員長「議案第108号「平成23年度使用教科用図書の採択」について審議を行う。本件については、去る7月20日の教育委員会会議で選定委員会及び選定調査会から答申を受け取った。この答申を尊重しつつ、厳正かつ公正に採択に向けて審議してまいりたい。本日は、選定委員会委員長にお越しいただいているので、選定の経過や答申の内容について、改めてご報告をお願いする。」

選定委員長「平成23年度に小学校で使用する教科用図書の選定について諮問を受けて以降、選定委員会では、「大阪市立学校教科用図書選定委員会要綱及び細目」に沿って、市内8採択地区について、教科用図書の選定を行うための選定事業計画を立案し、公正確保に留意しながら適正に教科用図書の調査・研究を進めるとともに、選定のための審議を行ってまいった。第1回、第2回の選定委員会では、選定事業計画の立案、調査を進めるための「調査の観点」の作成等を行った。各調査委員会は、「調査の観点」に沿って、「学校調査委員会」は学校ごとに、「中央調査委員会」は5回、「地区調査委員会」は3回の種目ごとの調査・研究のための会合を経て、調査票を作成した。第3回、第4回の選定委員会では、各調査委員会の調査票を集計し、取りまとめた選定資料を受け取るとともに、あらためて「中央調査委員会」「地区調査委員会」の代表から調査・研究の詳細について報告を受けた。答申資料の作成にあたっては、各調査委員会の評価が分かれる点については、選定資料を熟読し、評価の根拠や違いを明らかにし、選定委員が実際に見本本を調査し、審議を重ねるなど、学校や地区の実情を十分考慮しながらも、本市学校教育指針、教育基本法等の改正や新しい学習指導要領の趣旨を踏まえた『教科書改善に当たっての基本的な方向性』を参考にし、新学習指導要領の下で学習する児童にとってより適切な教科用図書を採択していただける資料作りに努めてまった。いずれも保護者代表、学識経験者代表、学校代表、教育委員会事務局代表とそれぞれの立場からの意見が出され、議論を重ねた結果、より適切な教科用図書を推薦するための答申案を作成することができたと考えている。このように選定委員会では8つの採択地区ごとに11種目の全発行者について、十分かつ綿密に調査研究したことをもとに、それぞれ「特にすぐれている点」や「特に配慮・工夫を要する点」を列記しながら、答申資料としてまとめた。採択地区ごと各種目に2~3者に○印をつけているが、それが選定委員会の推薦する発行者である。最後に、選定委員会として、公正確保の観点を最重視し、選定委員会全委員の合意のもとに答申させていただいた。」

委員長「それでは、審議に入る前に、答申資料を判断するに当たっての、教育委員会の方針を確認したい。私たちは答申資料をもとに全ての発行者について検討を重ねる中で、答申資料を判断する上で一定の方針を立ててまった。答申資料には、各調査委員会におけるABCの三段階の絶対評価による評点が記載されており、これらの評価を判断するに当たり、今回採用することとした採択の方針は、第一に、「中央」「地区」「学校」の3つの調査委員会の評点が全て高いものについては、これを採択する、第二に、「中央」「地区」「学校」の3つの調査委員会の評点が全て同じ場合は、答申資料の文章記述をもとに判断する、第三に、「中央」「地区」「学校」の3つの調査委員会の評点が分かれた場合は、Aの数の多さやCの有無等を考慮し、答申資料の文章記述をもとに判断する、ということであった。今回の採択に当たって、この方針で判断していくことに異議はないか。

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、今回の採択に当たって、今申し上げた方針で判断してまいる。採択の方針が確認されたので、まず、小学校の使用教科用図書の採択から始めてまいる。小学校は11種目あり、種目別に採択地区ごとに採択を行ってまいりたい。

まずは「国語」から始めたい。答申の推薦は、第1地区、第5地区、第6地区及び第8地区が「東書」、「学図」及び「光村」となっている。また、第2地区、第3地区、第4地区、及び第7地区は「東書」、「三省堂」及び「光村」が推薦されている。評点を見ると、第1地区、第2地区、第4地区、第6地区及び第8地区において、「東書」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「東書」を採択することとしたいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「次に、第3地区、第5地区及び第7地区については、「東書」及び「光村」の評点が中央・地区・学校のいずれもA評価で、同じである。この2者の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「まず、「東書」の特徴についてご説明申しあげる。「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の領域において、バランスよく教材が配列されている。系統的に配列されており、児童が自ら課題をもったり考えたりする題材が多く採用され、教材を生かした言語活動が提示されている。主体的な学習を行う手立てとして、各単元のとびらにその教材のねらいが示されており、「学習の手引き」にも学習内容の順序や方法が書かれている。大きな特徴として、情報を活用したり、自分の意見を形成したりするという新学習指導要領の目標にのっとり、3年生以上から、二つの資料を比べて読み、それぞれの内容や述べ方について意見を交流するという単元が設定されている。その際、図やグラフ、写真などの読み取りなども意識的に取り上げられている。また、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の各領域と読書活動とが関連付けられた内容となっている。読書活動については、「本は友だち」「こんな本もいっしょに」などのコーナーを設け、同じ作者の本を紹介するなど読書意欲を高めるように工夫されている。

続いて「光村」の特徴についてご説明申し上げる。教材が「食育」「福祉」「自然」「環境」など、話題や題材が多岐にわたっており、他教科と関連のある題材や、他教科の学習に生かせるような言語活動が設定されており、習得と活用が意識された構成となっている。そのために、必要な資料を探す方法や活用の仕方を提示している。「読むこと」の領域では、3年以上で説明文教材を二つ並べた単元を設定し、読む力の習得、定着、活用が図られるよう工夫されている。「書くこと」の領域では、意見文や報告文など文種に応じて、構成、記述、推敲の観点が取り立てて示されており、「書くこと」の力の育成に配慮されている。「話すこと・聞くこと」の領域では、話型や発表例を具体的に提示している。また交流の観点が取り立てて示され、活用することに配慮されている。高学年の巻頭には「学習の見通しをもとう」のページがあり、年間を通して、どのような学習をするのか、どのような力を身につけるのかが児童によく分かるように表で示されている。また、光村の大きな特徴は随所に「伝統的な言語文化」が効果的に配列されている点である。例えば、狂言の文章の前に、伝統的な文化についての説明文や解説文を配列したり、挿絵を見ながら昔話を聞いたりする教材が配列されている。」

委員長「この2者のうち、どちらを採択するかについて、意見を述べられたい。」

長谷川委員「選定委員長に聞きたい。今回「光村」がこのような構成に変えた狙いについてはどのように考えられるか。」

選定委員長「今までは国語は教材の内容を深く読み取ることに重点が置かれていたが、それだけでは生きた言語力が身に付かないということで、教材文から読み取った筆者の表現の工夫や仕組みに焦点を当てて自分で使えるような手立てを非常に細かく書いているということである。」

矢野委員「「光村」は、活用の力に重点を置くという方針が明確であり、また、伝統的文化や芸能について正面から取り扱っていることや、作品の扱い方についても短くするのでなく本格的な取り上げ方をしていることなど、優れた点があると思うので、「光村」がよいのではないか。」

長谷川委員「私も今選定委員長がおっしゃった「光村」の「生きた言語力」に主眼を置いているところはすごくいいと思う。」

勝井委員「「光村」が採用している作品が非常に良く、言語的センスを養うために効果的であり、製本やデザインも非常に良くできており、保護者の立場からも子どもに使わせたいと思うような教科書になっている。」

佐藤委員「私も「光村」が習得活用に重点を置き、自分の力で読み解くような工夫がされ、思考力をあげるような工夫がされている点を評価したい。また、高学年が分冊でなく1冊となっており、1年間の流れがわかり見通しをもって学習できていいと思う。表紙のデザインについても良くできていると思う。」

委員長「いま出た意見はいずれも光村を推すものであった。それでは採択を行いたい。第3地区、第5地区及び第7地区については、「光村」を採択することに異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第3地区、第5地区及び第7地区については、「光村」を採択する。「国語」の採択結果について確認する。第1、第2、第4、第6及び第8の採択地区は「東書」、第3、第5及び第7の採択地区は「光村」と決した。」

続いて、「書写」にまいりたい。答申の推薦は、すべての地区において「東書」、「光村」及び「日文」となっている。評点を見ると、第1地区から第3地区及び第8地区において、「東書」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「東書」を採択することとし、第7地区においては、「日文」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、方針により、「日文」を採択することとしたいと考えるが、異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区から第3地区及び第8地区については「東書」を、第7地区については「日文」を採択する。次に第4地区においては、3つの調査委員会の評価が分かれているが、何か意見はないか。」

佐藤委員「「光村」がA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、答申においても、鉛筆の持ち方が丁寧に説明され、筆の動きを写真でわかりやすくするような工夫がなされているなどの特に優れている点が比較的多くあげられているので、「光村」がいいのではないか。」

委員長「それでは4地区につきましては、「光村」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第4地区は「光村」を採択する。次に第5地区について、「東書」及び「日文」の評点が中央・地区・学校のいずれも同じである。この2者の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「東書」の特徴は、毛筆における筆使い、穂先の向き・通り道、筆圧などが感覚的にとらえられるように工夫されており、児童が理解しやすいものになっている。新学習指導要領に対応するものとしては、伝統的文化に触れさせる教材として「俳句」や「百人一首」「竹取物語」「枕草子」「論語」が、他教科で活用できる教材として「新聞を作ろう」「調べたことをつたえよう」などが配置されており、児童の興味・関心を高める内容になっている。

「日文」の特徴は、各学年の最初に入門期の筆の持ち方、書く姿勢、用具の置き方等を再度提示してあり、児童が授業に入る前に基礎・基本を確認することができる点である。また、筆使いのポイントを写真で示してあって、児童にとって理解しやすいように工夫されている。新学習指導要領に対応するものとしては、「生活に生かそう」が各学年に複数箇所設けられ、他教科や生活の中で活用する力を養うようになっている。そして、全学年を通して、キャラクターが課題をわかりやすく説明しており、児童にとって親しみやすいものとなっている。」

委員長「この2者のうち、どちらを採択すればよいか意見を述べられたい。」

佐藤委員「細かい筆使いの解説が丁寧で、あとで見返して自主学習をする際にも役に立つと思うので、「日文」がいいのではないか。」

矢野委員「確かに「日文」は筆順を含めた筆使いの指導がすごく丁寧に示されているように思う。」

委員長「それでは採択を行う。第5地区については、「日文」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第5地区は「日文」を採択する。続いて、第6地区について審議する。第6地区は、第4地区と同様に3つの調査委員会の評価が分かれているが、何か意見はあるか。」

長谷川委員「「日文」がA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、さきほどもあったように筆使い等の解説が丁寧であるということがあるので、「日文」がいいのではないか。」

委員長「それでは第6地区については、「日文」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第6地区については、「日文」を採択する。「書写」の採択結果を確認すると、第1から第3及び第8の採択地区は「東書」、第4地区は「光村」、第5から第7の採択地区は「日文」と決した。

続いて「社会」にまいりたい。社会については、日文から2種類の教科用図書が発行されているので、AB版の「小学社会」を「日文①」と呼び、B版の「小学生の社会」を「日文②」と呼ぶこととしたい。答申の推薦は、全ての地区において「東書」、「教出」、「日文①」となっている。評点を見ると、全ての地区において、「日文①」が中央・地区・学校のいずれもA評価で他に並ぶものがない。このように「日文①」が高く評価された理由について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告をいただきたい。」

選定委員長「AB判を採用し、写真やグラフなどの資料が大きく鮮明なところや、「学習問題をつかむ」「資料をもとに調べる」「調べたことをもとに考える」「わかったことをまとめる」という学習活動の流れに沿って、本文が構成されているので、子どもたちは問題解決する力を伸ばすことができるといった点が特にすぐれていると考えられる。さらに、評価が高い最も大きな理由は、写真などの資料に大阪や関西のものを使うなど身近な資料がたくさん使われているということだと考える。例えば中学年では高槻市のごみ処理場や六甲アイランドの埋め立て地、奈良県の水道、兵庫県や岡山県の産業などを扱っており、5年の農業では和歌山県の棚田を扱ったり、自然環境保護として琵琶湖を扱っている。」

委員長「それでは採択方針により、すべての採択地区で「日文①」を採択したいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、「社会」については、すべての地区で「日文①」を採択する。

続いて「地図」にまいりたい。「地図」は発行者が「東書」と「帝国」の2者しかなく、2者とも推薦されている。評点を見ると、全ての地区において、「帝国」が中央・地区・学校のいずれもA評価で他に並ぶものがない。このように「帝国」が高く評価された理由について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「帝国」の地図の評価が高い理由について、地図の見方や、地図帳の索引の引き方、統計資料などの活用の仕方、わが国の位置と領土、地形や気候の概要、47都道府県の名称と位置、農業や水産業、工業の盛んな地域や運輸の働き、主な国の名称と位置、地球儀などについて、理解するために必要な資料が豊富に取り上げられているほか、地図帳の使い方のページが、大阪府とその周りを中心に取り扱っており、大阪の児童にとって大変親しみやすいものになっていることが大きな理由だと考える。」

委員長「それでは採択方針により、全ての採択地区で「帝国」を採択したいと考えるが異議はないか。

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、「地図」については、全ての地区で「帝国」を採択する。

続いて「算数」にまいる。答申の推薦は、全ての地区において「東書」、「啓林館」、「日文」となっている。評点を見ると、第1地区、第4地区、第5地区及び第8地区において、「日文」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「日文」を採択することとしたいと考えるが、異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区、第4地区、第5地区及び第8地区については「日文」を採択する。次に第2地区におきましては、「東書」が地区及び学校がAで中央がBとなっており、「日文」が中央及び地区がAで学校がBとなっており、AとBの数が同じである。この2者の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「東書」の特徴は、既習学習を活かし問題解決の過程を大切にした単元構成と「活用」を意識した練習問題の工夫である。まず、巻頭には、「『新しい算数』を使って学習しよう!」のページを設け、教科書を使った学習の進め方が提示されていて、自主的な学習を促すとともに、家庭学習においても十分活用できるようになっている。各単元の導入には、既に学習した事柄についての理解が確認できるページが設けられていて、新しい学習内容に対する興味・関心が高められる工夫がなされている。問題解決には様々な算数的活動が取り入れられており、吹き出しなどの支援も活かしながら児童が主体的に学習できるよう工夫されている。数学的用語のまとめ方や記号も分かりやすく示されている。また、「考える力をのばそう」のページは、身のまわりの事柄について算数で学んだことを使って考えることができるようになっていて、「活用」によって算数のよさが味わえるようになっている。「算数マイノートをつくろう」では、自分の考えの書き方や、考えをまとめるときのポイントなどが示されていて、表現力の育成も大切にされている。

「日文」の特徴は、問題解決過程を意識した紙面構成と練習問題の工夫、そして「活用」と「表現力」の重視である。教科書がAB版と大きく、紙面右端に設けた「帯」に思考の補助やヒントが示されており、余裕のある紙面構成で、美しい色合いとあわせ、とても見やすくなっている。また、ページ左端に「つかむ」「見通す」「解決する」「発表する」「話し合う」「まとめる」と明示し、繰り返し、問題解決過程を意識して進めることができるようになっている。巻頭の「算数を考えよう!」は、話し合いを大切にした主体的な学習を促がす内容が分かりやすく示されている。練習問題については、「たしかめポイント」として基本問題が、「じっくりチェック」「ぐっとチャレンジ」として発展問題が示され、習熟に応じた取り組みができ、家庭学習でも使えるようになっている。また、「はってん」として学年を超えた内容へのチャレンジもできるようになっている。さらに、算数で学んだ事柄を生活場面で活用する「いち・に・算活」や「活用」のページを設け、算数的活動を通して「よさ」が味わえるようになっている。」

委員長「それでは、第2地区において、「東書」と「日文」のどちらがよいか意見を述べられたい。」

矢野委員「「東書」が活用の力に対する配慮が明確であり、学校現場もより高い評価をしていることから、「東書」がいいのではないか。」

佐藤委員「「東書」はすっきりして読みやすい印象を受ける。また、既に学習した事柄を確認できるページが設けられていて、新しい学習内容に対する興味・関心が高められる工夫がなされている点や、教科書を使った学習の進め方が提示されることにより、自主学習に活用できる点もいいと思うので、私も「東書」がいいと考える。」

委員長「それでは第2地区については、「東書」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第2地区については、「東書」を採択する。次に第3地区及び第6地区については、3つの調査委員会の評価が分かれているが、何か意見はないか。」

勝井委員「「日文」がA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、答申の特にすぐれている点においても、問題解決学習の過程を大切にし、紙面右の帯に解決の流れや考え方のヒントにより児童が自主的に学習できるよう工夫されているなどの点がいいと思う。また、習熟度に応じた取組みができる点や学年を超えた内容にチャレンジできる点もいいと思うので、「日文」がいいのではないか。」

委員長「それでは第3地区及び第6地区については、「日文」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第3地区及び第6地区については、「日文」を採択する。次に第7地区について、こちらも3つの調査委員会の評価が分かれているが、どの教科書が良いか意見はあるか。」

長谷川委員「「東書」と「啓林館」においてA評価が2つとなっており、残る一つの評価が「東書」がBであり、「啓林館」がCとなっている。また、「日文」はAが1つとなっているので、「東書」がいいのではないか。」

委員長「それでは第7地区については、「東書」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第7地区については、「東書」を採択する。「算数」の採択結果を確認する。第1、第3から第6及び第8の採択地区は「日文」、第2及び第7の採択地区は「東書」と決した。

続いて「理科」にまいりたい。答申の推薦は、第1地区及び第4地区が「大日本」、「学図」及び「啓林館」となっている。また、第2地区、第3地区及び第5地区から第8地区は「東書」、「大日本」及び「啓林館」が推薦されている。評点を見ると、第1地区から第3地区及び第5地区から第8地区において、「啓林館」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがない。このように「啓林館」が高く評価された理由について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「啓林館」の特徴は、大阪の地域性に合致した写真と単元配列となっており、使われている写真資料に関西を含む西日本のものをたくさん扱っているところが他の発行者には無い点である。また、「結果」と「結果からわかること」を区別できるように、発達段階を考慮し、5、6年では、「結果を記録しよう」と「考察しよう」、3、4年では、「結果を記録しよう」と「結果から考えよう」にわけてあり、整理し考察する学習活動が間違いなく行えるように工夫がされている。」

委員長「それでは採択方針により、第1地区から第3地区及び第5地区から第8地区において「啓林館」を採択したいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区から第3地区及び第5地区から第8地区については「啓林館」を採択する。次に第4地区について、3つの調査委員会の評価が分かれているが、どの教科書がよいか何か意見はあるか。」

矢野委員「「啓林館」がA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、さきほど選定委員長からの説明にもあったように大阪の地域性にあった資料の掲載など特筆すべき特徴があるので、「啓林館」がいいのではないか。」

委員長「それでは第4地区については、「啓林館」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第4地区については、「啓林館」を採択する。「理科」の採択結果を確認する。全ての採択地区において「啓林館」と決した。

続いて「生活」にまいる。答申の推薦は、全ての地区において「東書」、「啓林館」及び「日文」となっている。評点を見ると、第1地区、第2地区、第4地区、第5地区及び第8地区において、「啓林館」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「啓林館」を採択することとしたいと考えるが異議はないか。

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区、第2地区、第4地区、第5地区及び第8地区については「啓林館」を採択する。次に第7地区においても、「日文」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「日文」を採択することとしたいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第7地区については「日文」を採択する。次に第3地区においては、「東書」が中央及び学校がAで地区がBとなっており、「啓林館」及び「日文」が中央及び地区がAで学校がBとなっており、AとBの数が同じである。この3者の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「東書」の特徴は、図鑑的な内容が多く組み込まれており、昆虫や植物の観察など子どもたちの自主的な活動の場に役立つことである。また、教科書の中にあいさつや手洗いなど実際の生活や活動に必要な習慣が身につくような配慮があり、地域の人たちとの交流場面などでは、伝え合う言語活動を重視している。さらに、春の草花の成長の過程を写真で段階を追って提示しており、児童にとってわかりやすく興味を引く内容になっている。

「啓林館」の特徴は、図鑑的なものとして「せいかつめいじんブック」が別冊扱いで作成されているので、校外での活動の際に持ち歩いたり、児童が自主的に活動するときに参考にしたりするのに適している。また、学習したことを発表し、友だちや他の人たちに伝える方法も新聞形式やクイズ形式などいろいろなパターンが示されているので、子どもたちが自ら選んで自分なりの方法を考えるときのヒントとして活用することができる。

「日文」の特徴は、巻末に発展的な内容がまとめられており、作業のための注意や図鑑的な利用が期待できる。また、他社に比べてワークシートやカードの種類や形式が豊富で書き方にも工夫が見られるので、児童が自分なりの表現活動をしようとするときに参考にすることができる。草花の栽培をする単元では、単に栽培だけにとどまらず、その花を使って、地域の人々との交流場面が設定されているなど、発展的な学習に広げようとする工夫が見られる。

委員長「それではこの3者のうちどれがよいか何か意見はあるか。」

矢野委員「私としては、大阪という大都市での生活を行う児童にとって、乗り物に乗る機会が日常生活の中で多くあるので、乗り物に乗ることをとりあげている「東書」がいいのではないかと思う。」

勝井委員「私も「東書」が説明文や写真、絵の配置がすっきりしていて読みやすいと思う。」

委員長「私は、生活は学校現場が使いやすいということがポイントになるのではないかと思う。そういう点でも「東書」は学校評価がAとなっているので、いいのではないかと思う。

それでは第3地区については、「東書」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第3地区については「東書」を採択する。次に第6地区においては、3つの調査委員会の評価が分かれているが、どの教科書がよいか意見はあるか。」

長谷川委員「「日文」はA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、活動の流れが児童の思考に沿った自然な展開になっており、探検や安全に対する気付きを促す配慮があることや他の教科書に比べてカードの種類が豊富であるなどのよい点が多くあるので、「日文」がいいのではないか。

委員長「それでは第6地区については、「日文」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第6地区については「日文」を採択する。「生活」の採択結果を確認する。第1、第2、第4、第5及び第8の採択地区は「啓林館」、第3の採択地区は「東書」、第6及び第7の採択地区は「日文」と決した。

続いて「音楽」にまいりたい。答申の推薦は、全ての地区において「教出」及び「教芸」となっている。評点を見ると、全ての地区において、「教芸」が中央・地区・学校のいずれもA評価で他に並ぶものがない。このように「教芸」が高く評価された理由について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「教芸」は、各学年の目次に、「題材」「学習目標」「学習活動」が提示されているので、指導内容が明確で指導しやすく、発達段階に応じて児童も主体的に学習できるよう配慮されている。また、「共通教材」については「こころのうた」とタイトルを付け、よく分かるように記載されている。題材および教材については系統性を重視し、低学年からくり返し学習することで、基礎的・基本的な事柄を確実に身につけられるよう構成されているところも特徴である。鑑賞教材は、音の高さや旋律の流れが図形譜を使って分かりやすく表されていたり、また、2つの楽曲を対比させたりすることによって特徴をとらえやすいように工夫されている。他にも我が国の伝統音楽の扱いが丁寧で、分かりやすいとか、楽譜の大きさが適切で見やすいことも特徴としてあげられている。」

委員長「それでは採択方針により、すべての採択地区で「教芸」を採択したいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、「音楽」については、すべての地区で「教芸」を採択する。

続いて「図工」にまいりたい。答申の推薦は、第1地区から第6地区まで、及び第8地区が「開隆堂」及び「日文」となっており、第7地区が「東書」及び「日文」となっている。まず、第2地区について、「日文」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「日文」を採択することとしたいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第2地区については「日文」を採択する。次に第1地区及び第3地区から第5地区において、3つの調査委員会の評価が分かれているが、どの教科書がよいか何か意見はあるか。」

矢野委員「「開隆堂」はA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、答申の中にも、作るプロセスや図解が大きく提示されていて、これらをもとに作っていく上で有効であり、また、主体的に説明図を読み取り、作っていけるよう配慮されているなどの特に優れている点が多くあるので、「開隆堂」がいいのではないか。」

委員長「それでは第1地区及び第3地区から第5地区については、「開隆堂」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区及び第3地区から第5地区については「開隆堂」を採択する。次に第6地区においては、「開隆堂」が地区及び学校がAで中央がBとなっており、「日文」が中央及び地区がAで学校がBとなっており、AとBの数が同じである。また、第8地区においても、「開隆堂」が地区及び学校がAで中央がBとなっており、「日文」が中央及び学校がAで地区がBとなっており、AとBの数が同じである。この2者の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「開隆堂」の特徴としては、まず、表紙の作品の表現が大きく、表現したいという意欲を高めるものになっている点が挙げられる。また、「道具箱」「パレットコーナー」では、基礎的・基本的な材料や用具の扱い方をまとめて提示してあるだけでなく、児童が戸惑いやすいところを丁寧に解説している。そして、児童の作品や挿絵、美術作品などが大きく掲載されているので、学習活動に役立つ情報源になっている。また、作るプロセスや図解も大きく掲載されていて、これらの図や絵をもとに作っていく上で有効だと思われる。主体的に説明図を読み取り、つくっていけるよう配慮もされている。

「日文」の特徴としては、各題材のページの中に、学習の「くふう」「ふりかえり」「あとかたづけ」が記載されているので、その活動のプロセスを明確につかむことができる点が挙げられる。これは、他の2者には見られない工夫である。また、活動につながる作品の題材名に工夫が見られるとともに、「呼びかけ」や「吹き出し」があるので、書いたり作ったりするイメージを広げ、自分のよさを出しやすいものになっている。ほかにも、「形や色を楽しもう」では、日本独自の色の名前や風景を題材に、形や色・イメージに対する捉え方や、日本の伝統文化などを再認識することができる内容が色濃く出ている。」

委員長「それではこの2者のうちどれがよいか意見はないか。」

勝井委員「「開隆堂」が色使いの美しい絵や勢いのある作品が大きく掲載されており、いい意味でインパクトがあり、すばらしいと思うので、「開隆堂」がいいのではないか。」

佐藤委員「「開隆堂」はイマジネーションが広がる感じを受ける。こういう教科は、学校現場の人がクリエイティブに刺激を受けるような教科書の方がいいのではないか。また、児童の作品や挿絵、美術作品などが大きく掲載されていたり、作るプロセスや図解も大きく掲載されている点も評価でき、いいと思う。」

委員長「それでは第6地区及び第8地区については、「開隆堂」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第6地区及び第8地区につきましては「開隆堂」を採択する。次に第7地区について、「東書」が地区がAで中央及び学校がBとなっており、「日文」が中央がAで地区及び学校がBとなっており、AとBの数が同じである。「東書」の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「東書」の特徴としては、多様な作品例を紹介しているため、自分の思いを表現するヒントになり、主体的な表現を生んでいる点が挙げられる。次に、「みんなの道具箱」は、材料や用具の扱い方に配慮した題材の取り上げ方をしており、発想の広がりが期待できる。そして、各題材のタイトルデザインが、児童の「おもしろそうだ」という素直な思いを触発し、主体的な活動の元となる意欲づけになっている。黒板調の「めあて」も、表示がはっきりとしていてわかりやすくなっている。しかしながら、2学年合冊で、多様な作品例を紹介してあるために、制作の過程の紹介や、活動の様子のイラストや写真がやや少なく、材料や用具の工夫が少し分かりにくいところがある。」

委員長「それではこの2者のうちどちらがよいか意見はないか。」

長谷川委員「「日文」が各題材のページに学習の「くふう」「ふりかえり」「あとかたづけ」が記載されているので、その活動のプロセスが明確につかむことができるようになっており、とてもよいと思う。」

佐藤委員「「日文」は、少し説明が多いようには思うが、学習の流れを大切にしており、いいのではないか。」

委員長「それでは第7地区については、「日文」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第7地区については「日文」を採択する。「図工」の採択結果を確認する。第1、第3から第6及び第8の採択地区は「開隆堂」、第2及び第7の採択地区は「日文」と決した。」

続いて「家庭」にまいりたい。「家庭」は発行者が「東書」と「開隆堂」の2者しかなく、2者とも推薦されている。評点を見ると、第1地区及び第3地区から第8地区について、「開隆堂」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、「開隆堂」を採択することとしたいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区及び第3地区から第8地区については「開隆堂」を採択する。次に第2地区について、3つの調査委員会の評価が分かれているが、どの教科書がよいか意見はあるか。」

矢野委員「「開隆堂」はA評価が2つあり、「東書」よりもAの数が多く、答申の中にも、調理や製作の実習にチェック表や振り返りのコーナーがあり自己評価できるよう工夫されており、実習・調べ学習・話し合い活動などが豊富に設定され、ワークシートも多く言語活動の充実につながるなどの特に優れている点が多くあるので、「開隆堂」がいいのではないか。」

委員長「それでは第2地区については、「開隆堂」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第2地区については「開隆堂」を採択する。「家庭」の採択結果を確認する。全ての採択地区において「開隆堂」と決した。

最後に「保健」にまいりたい。答申の推薦は、全ての地区において「東書」、「光文書院」及び「学研」となっている。評点を見ると、第1地区について、「学研」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがなく、第3地区から第6地区について、「東書」が中央・地区・学校のいずれもA評価で、他に並ぶものがないので、採択方針により、第1地区は「学研」、第3地区から第6地区は「東書」を採択することとしたいと考えるが異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第1地区は「学研」、第3地区から第6地区については「東書」を採択する。次に第2地区については、「東書」及び「学研」が中央及び学校がAで地区がBとなっており、AとBの数が同じである。また、第8地区においても、「東書」及び「学研」が中央、地区及び学校がすべてAとなっており、Aの数が同じである。この2者の特徴について、選定委員会としてどのようにとらえているか報告いただきたい。」

選定委員長「「東書」は、ことばの解説や補足説明を多く取り上げ、児童の発達段階にあった内容であり、挿絵・写真やグラフなどの資料が豊富に掲載されている。掲載されている資料などは、高齢者、外国人、障害者などをとりあげ、一人一人の違いを認めるように配慮されたものとなっている。各単元の最後に「学習をふりかえろう」というページがあり、学習のまとめとしている。さらに「かつよう」という欄を設け、身近な生活環境の課題で、自分でできることは何かを考えるなど、学んだ知識をもとに自分の健康について考える学習活動を取り入れ、健康な生活を送るための資質や能力が培われるように工夫されている。

「学研」は、挿絵やグラフなどの資料が見やすく、バランスよく配置され、個人差についてのグラフ、絵、体の変化についての作文や共生を意識した挿絵を扱っており、一人一人の違いを認めるよう配慮されたものとなっている。また、親しみのある挿絵、写真、グラフなどが豊富で、児童の発達段階に応じて説明が加えられている。また、単元のはじめに「ここで学ぶこと」を提示し、学習目標をはっきりさせるなど、健康・安全について実践的に理解するように配慮されている。さらに、自分の考えを深めることができるよう、調べたり、話し合ったり、チェックしたりする学習活動を提示するなど、健康な生活を送るための資質や能力を培う工夫がされている。」

委員長「それではこの2者のうちどちらがよいか意見はあるか。」

矢野委員「「東書」が記述のしかたが丁寧であり、発展学習に配慮した編集がなされており、いいのではないかと考える。また、各単元の最後に振り返りのページがあることや「かつよう」欄が設けられていることなどもいいと思う。」

勝井委員「私も「東書」が記載内容や説明が多く充実しているのではないかと思う。」

佐藤委員「解説や補足説明などにある程度記述のボリュームがないとなかなか理解できない教科であると思うので、私も「東書」がいいと思う。」

委員長「それでは第2地区及び第8地区については、「東書」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第2地区及び第8地区については「東書」を採択する。次に第7地区について、3つの調査委員会の評価が分かれているが、どの教科書がよいか意見はあるか。」

長谷川委員「「学研」はA評価が2つあり、他の2者よりもAの数が多く、心の問題が多く取り上げられていることについて、現代社会は心の問題に関する課題が多いので、いいのではないか。また、絵や写真などの資料がわかりやすく適切であるなどの優れている点も多いと思う。」

委員長「それでは第7地区については、「学研」を採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、第7地区については「学研」を採択する。「保健」の採択結果を確認する。第1及び第7の採択地区においては「学研」、第2から第6及び第8の採択地区においては「東書」と決した。

以上で、小学校で使用する教科用図書の採択は終了した。

次に高等学校の使用教科用図書の採択に移ってまいるが、今回の答申の特徴について、事務局より改めて説明願いたい。」

寛座高等学校教育担当課長「高等学校では、各学校の教科用図書選定調査会が、普通科及び英語科・理数科などの普通科系の専門学科、商業科や流通経済科などの商業系の専門学科、機械科や電気科などの工業系の専門学科および総合学科などの、各学科の教育目標や教育課程、生徒の興味・関心・適性・進路希望等の実態に応じて、適切な教科書を選定し答申している。平成23年度使用の教科書については、全部で906点であるが、新たに改訂されたのは、国語総合2種3点と、オーラル・コミュニケーションⅠ2点の計5点のみである。したがって、継続使用の教科書が、全体の約80%と例年より多くなっている。」

委員長「ただいま、今回の答申の特徴を説明いただいたが、採択を行うにあたって、何か質問、意見はないか。」

佐藤委員「継続使用の教科書が多くなっているとのことだが、選定答申書を詳細に検討すると、英語については新規選定が比較的多く見受けられる。これはどういった理由からか。」

寛座課長「英語については、教科の特性上、授業において取り扱う題材が、生徒の興味や関心を持ちやすいものであることが望ましいとされている。そのため、選定にあたっては、生徒の興味や関心の変化に敏感に対応することに努めており、結果、例年新規選定が多い傾向となっている。なお、英語について、今年度新規選定された割合は約50%となっている。」

勝井委員「高等学校では、特色ある学校づくりを進めている中で、科目によっては文部科学省が検定、作成した教科書がないものがあり、そのような場合は一般図書を選定しているとのことだが、今回の選定ではどのような状況か。」

寛座課長「高等学校では、学習指導要領の総則において、地域、学校及び生徒の実態、学科の特色等に応じ、特色ある教育課程の編成に資するため、学習指導要領に掲げる以外の科目、いわゆる『学校設定科目』を設けることができると定められている。当該科目には検定済教科書等が発行されておらず、そのような場合には、一般に使用されている図書を教科書として使用することが認められている。今回は6校で計55点の一般図書が選定されている。例えば、咲くやこの花高校の食物文化科における調理師養成のための『食文化』や『調理』などの科目では、社団法人全国調理師養成施設協会が発行する『必修編調理師養成教育全書』が選定されるなど、それぞれの科目の教育目標に合致した図書が答申されている。」

委員長「高等学校では、特色ある教育課程に応じ、また、生徒の興味・関心等を生かす観点から、各学校の教科用図書選定調査会において、綿密な調査研究が行われたものと理解している。各学科に応じ適切な教科書が推薦されていると考えるので、選定調査会から答申されたものを採択して差し支えないと思うがどうか。」

長谷川委員「私も答申資料を検討し、教科書も拝見したが、各学校の選定調査会において、それぞれの学科の専門性や生徒の状況を踏まえた適切な調査研究が行われたと考えるので、 選定調査会の答申通り採択することについて、差し支えないと考える。」

委員長「それでは採決を行う。平成23年度の高等学校の使用教科用図書は、各学校の選定調査会の答申のとおり採択することとして異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、高等学校の使用教科用図書は、選定調査会の答申のとおり採択する。

次に特別支援学校の使用教科書の採択に移ってまいりたい。事務局より今回の答申の特徴について改めて説明願いたい。」

島田特別支援教育担当課長「本市では、ノーマライゼーションの理念のもと障害のある児童・生徒一人一人のニーズを的確に把握し、適切な指導及び必要な支援を行う特別支援教育を推進しており、教科用図書の選定にあたっても、児童・生徒一人一人の障害の状況等に応じた選定を進めている。特別支援学校で使用する教科書の選定にあたっては、原則として各校の校長を委員長とする選定調査会を設置し、教育委員会の諮問を受け調査会で該当学校の教科用図書について調査および研究を行い、選定結果を教育委員会に答申する形をとっている。教科用図書の選定について、特別支援学校の特徴となる点を改めてご説明申し上げる。特別支援学校では、教科用図書を大別して、次の3種類の中から選定している。①視覚特別支援学校、聴覚特別支援学校、特別支援学校(知的障害教育)用の文部科学省著作教科書、②文部科学大臣の検定を経た小学校・中学校・高等学校用検定教科書、③教育委員会が定めた選定資料にある絵本や、視覚特別支援学校、聴覚特別支援学校の専門学科で使用する専門書等の一般図書。このように、児童、生徒一人一人の障害の状況等に応じた教科書が使用できることになっている。選定にあたっては、文部科学省著作教科書や検定教科書を該当の学年に応じて使用できるか、また文部科学省著作教科書を別の障害種別の学校で使用したり、下の学年で使用したりできるか検討する。そのうえで、著作教科書や検定教科書が児童生徒の状況に合わない場合は、絵本等の一般図書から選定している。教育委員会事務局としては、各学校に対して、児童、生徒一人一人の実態を踏まえた選定となるように指導・助言している。」

委員長「ただいま、今回の答申の特徴を説明いただいたが、採択を行うにあたって、何か質問、意見はないか。」

矢野委員「選定答申書を見ていると、視覚障害や知的障害といった障害種別によって、選定している教科書の傾向が違うように感じられるが、それぞれどのような特徴があるのか。」

島田課長「特別支援学校では児童生徒の障害の状況に応じた教科書を選定することから、障害種別によって傾向があるのは事実である。例えば視覚特別支援学校では、点字・拡大化した書籍やあんま、針、灸の理療関係の専門書籍を多く選定しており、聴覚特別支援学校では、一部重複障害者も在籍しているが、多くは知的障害がないことから検定教科書を多く選定している。また、知的障害特別支援学校や肢体不自由特別支援学校では、絵本を中心に選定している。」

長谷川委員「絵本などの一般図書を教科用図書として選定する場合について、もう少し詳しく説明いただきたい。また、採択された絵本などの図書は、実際はどのように教科用図書として使用されているのか。」

島田課長「絵本などの一般図書については、大阪府教育委員会が昨年度に定めた「附則第9条関係教科用図書選定資料」の中から、教科ごとに児童・生徒の実態に合うものを選定することとしており、各学校の教員が教科書展示において、実際に絵本を手にとり調査研究している。例えば、視覚特別支援学校で選定されたこの『おかあさんおしえてこれなあに② のりものこのおとなあに?』は、選定理由に『自分でボタンを押して、イラストの10種類の乗物の音を楽しめるようになっている』とあるように、実際には、乗り物の音を出して拡大ルーペ等で該当の乗り物を確認したりして、聴覚をてがかりに身近なものに興味関心を広げ、生活科の教科書として楽しみながら使用する。」

委員長「各学校の選定調査会からの答申を一つ一つ検討したところ、答申された教科用図書については、児童・生徒一人一人の障害を把握したうえで、各学校が設定する教育課程や児童・生徒の興味・関心・能力・適正等の実態に応じて選定されたものとなっていると思う。私としては、各学校の選定調査会から答申されたものでよいと考えるが、どうか。」

佐藤委員「今回各学校の選定調査会で答申されたものは、児童・生徒一人ひとりの障害を把握したうえでのものと考えるので、選定調査会のとおり採択することで差し支えないものと考える。」

委員長「それでは、特別支援学校の教科用図書の採択については、各学校の選定調査会から答申された教科用図書を教育委員会として採択することで異議はないか。」

各委員「異議なし。」

委員長「異議がないようなので、平成23年度の特別支援学校の使用教科用図書は、選定調査会の答申のとおり採択する。

以上で、大阪市立の小学校、高等学校、特別支援学校において、平成23年度から使用する教科書を全て採択した。この際、教育委員を代表して私から一言申し上げたい。ただいまの採択は、答申資料に基づいて行ったが、これらの資料は教職員や保護者の皆様方の厳正なご審議の賜物である。ご協力いただいた皆様方に対し、厚く御礼を申し上げる。私ども教育委員としては、子どもたちにとって、より適切な教科書を選んでほしいという皆様方の思いを肌で感じながら検討を重ね、ただいまの採択を行ってまいった。私としては、これまでの厳正な審議により、公平かつ公正に採択が行えたものと確信している。事務局におかれては、採択された教科書を使って、各学校において、教育実践が積み重ねられるよう適切な指導助言をお願いする。最後になったが、採択の公正かつ円滑な執行にご協力いただいた関係各位に対し、心から深く感謝と敬意を表して、採択を終えるにあたってのごあいさつとさせていただく。」

 

議案第109号「教職員の懲戒処分に関する指針の一部改正について」を上程。

藤巻教職員人事担当課長からの説明要旨は以下のとおりである。

大阪市環境局の斎場における心付け問題などを受けて、市長部局において懲戒処分指針が改正された。これを受けて教育委員会においても業者からの供応にかかる懲戒処分例を指針に追加するものであり、また、これまで本市の公的債権に限定していた公的債権の滞納にかかる懲戒処分例を本市以外の公的債権の滞納に拡大する改正を行うものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

矢野委員「市長部局に準じて改正を行うとのことだが、一般職員と教員の職務内容は大きく異なる。教員の場合、誰が利害関係者なのかという点をはっきりしないと、会食をしただけで処分されるということになり問題がある。」

藤巻課長「利害関係者とは、学校と契約をしている、もしくは契約の申し込みをしようとしている業者等であり、例えば、教材や物品の納入業者、遠足等の旅行会社、卒業アルバムの製作業者などが考えられる。また、保護者も利害関係者となる。」

矢野委員「保護者というだけで利害関係者なのか。」

藤巻課長「利害関係者となる。」

矢野委員「保護者というだけで利害関係者ということは、保護者とは会食をしてはだめということなのか。」

藤巻課長「地域の公式行事の打ち上げや懇親会などにおいて正当な対価を払い、学校長の許可を受けている場合は差し支えない。」

矢野委員「教頭などは土日も返上して地域の行事に参加することがよくある。その場でお茶やお菓子が出されることや昼食が出されることもある。教員と地域の関わりを大事にすることによって生じるような事例について一律に同じ基準で処分することは問題があるのではないかと思う。」

藤巻課長「職務に関連する中で、社会通念上妥当な範囲での湯茶や弁当の提供は差し支えないと考えている。」

荻野部長「規定はあくまでも「正当な理由なく」ということが前提である。すべての会食が駄目というわけではない。今ご指摘を受けた点については通知をする際に留意してやっていきたい。」

矢野委員「懲戒処分の指針について、市長部局に準じているケースが多いが、教育委員会として教員の職務内容に十分配慮し、教員の特殊性など実情に応じた対応をしてもらいたい。市長部局の指針をそのまま適用するのではなく、そういった点をきちんと検討してもらいたい。教職員が萎縮してギクシャクした関係になるのは望ましくないので、会食の点については十分配慮してもらいたい。」

教育長「これまでも毎年夏と冬の休み前に贈り物や業者との飲食等をやめるよう毎年通知を出している。今回心付けの調査の際に、職員が業者と会食やゴルフをしたり、旅行に行っていた事実が出てきたので、この指針を公表することにより対外的な抑止力を働かせる意味合いもある。学校現場に通知する際には利害関係者の定義等を丁寧に説明していきたい。」

長谷川委員「やってはいけないことということを全面的に押し出すのは方向的にはあまりよくないと思う。そうせざるを得ない状況であることは理解できるが、モチベーションが低下することを懸念する。コミュニティの中で自浄作用が働く組織作りが重要である。規制を多く作るのではなく、2:6:2の原則の前の2割の人が全体を引っ張っていく仕組みづくりをしていってほしい。前の人がひっぱりやすい制度作りを考えてほしい。」

委員長「こういう規定を作る際には現場が萎縮しないよう丁寧に説明することが大事なので、その点をきちんとしてほしい。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第110号「職員の人事について」を上程。

藤巻教職員人事担当課長からの説明要旨は以下のとおりである。

中学校教諭が部活動の合同練習会に以前退部した生徒が勝手に参加しようとしたため、帰るよう指導したところ、当該生徒が反発して当該教諭と口論になり、当該教諭に対して挑発的な言動をとったことにより、感情的になった当該教諭が当該生徒を殴打するなどの体罰を行ったことにより、当該生徒が左後頭部打撲などのけがを負った。当該体罰を行ったことにより当該教諭に停職1月の停職処分を課すものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

佐藤委員「生徒側が被害届を取り下げたのは何か理由があるのか。」

中野下係長「保護者懇談会で保護者と話をし、生徒のけがが完治したので、先生に処罰を課すまでもないということで取り下げの意向を示したと聞いている。」

長谷川委員「この教諭の普段の仕事ぶりに関する学校や保護者からの評価はどのようなものか。」

中野下係長「熱心に指導をする先生であると聞いている。」

矢野委員「当該生徒は自分から退部したのか、それとも退部させたのか。」

中野下係長「この生徒を含めて何人かの生徒が全く部活動に来なかったので、部の中で話し合いを行い、本人から退部するということになった。その後部員数が少ないので、当該生徒は時折練習相手として部活動に参加していた。」

矢野委員「合同練習会は部員の少ない部がやっているのか。」

中野下係長「部員の少ない部が行っている。合同練習会は部員しか参加させないということだったが、当該生徒はそんな話は聞いていないと口論になった。」

矢野委員「合同練習会は部員以外の者は参加させないという厳密な位置付けのものなのか。」

沼守次長「いろいろな形で合同練習会を行っているが、他校へ連れて行くということもあるので、そういう場ではきちっと規律を守るべきであり、服装等についてもちゃんとして行くべきであって、当該教諭が指導をしたことについては何ら間違ってはいないが、その後の体罰という形での指導は問題である。」

矢野委員「なぜ口論になったのか。教師の言い方が高圧的だったというようなことはあるのか。」

中野下係長「当該教諭は生徒に対して合同練習会に参加させないと淡々と説明したが、生徒が反発し、反抗的な発言をしたため、当該教諭が感情的になって最終的にこういう行為になった。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第111号「職員の人事について」を上程。

藤巻教職員人事担当課長からの説明要旨は以下のとおりである。

中学校の教諭について、公共交通機関を乗り継いで通勤する旨の届を出し、通勤手当を受給していたにもかかわらず、中学校体育連盟の役員に就任したことにより荷物等の運搬に自動車を使用するため、平成21年7月から10月にかけて勤務日の3分の1以上の頻度でマイカー通勤を行ったことから、減給3月の懲戒処分を課すものである。また、同じ学校に勤務する教諭について、公共交通機関による通勤手当を受給しながら、父母の介護などのため平成21年7月に勤務日の3分の1以上の頻度でマイカー通勤を行ったことにより、減給1月の懲戒処分を課すものである。さらに、同校校長について、管理監督責任及び前者のマイカー通勤及び学校敷地内への駐車に対して独自の判断から許可を行っていたことにより、減給1月の懲戒処分を課すものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

矢野委員「事務局の当該校への実態調査はどのような経緯で行うことになったのか。」

宇野係長「当該中学校で自動車通勤を行っている職員がいるという通報があったため、調査を行った。」

佐藤委員「以前の事例で校長が許可をすれば問題ないという件があったと思うが、その事例との違いはなにか。許可できる事由にはあたらないという理解か。」

教育長「以前の件は、郊外校でこどもたちをいろいろな施設等に連れて行く際に必要だったというケースだったが、今回の件は、中体連の役員になり、いろいろな場所に移動する必要があるなどを理由として挙げていたが、他に移動手段があるということが理由としてある。」

中尾次長「通勤そのものには車は必要ではない。車がないと絶対に通勤できないというわけではない。中体連の行事等で車が必要だという理由はマイカー通勤とは違う観点である。」

委員長「親の介護事情でも基本的には認められないということか。教員は通常勤務でも負担が大きく過労気味で、それに親の介護が加わると非常に疲れるので、体の負担を減らすために車を使うのは一定仕方ない面もあるのではないか。厳格に適用しすぎているように思う。もう少し柔軟に考えてもいいのでは。」

矢野委員「原則として禁止で安易に例外を認めるべきではないというのはわかるが、それぞれの教員のライフサイクルで介護や育児が大変な時期があり、一律に定めるのは難しいのではないか。もう少し配慮がいるのでは。また、マイカー通勤は他の非行と態様が違うと思う。無断欠勤や体罰とは少し違う。校長が事情がやむを得ないと理解を示しているような場合は、一度目は厳重注意として、二回目以降に処分という考え方もあるのではないか。」

教育長「マイカー通勤については厳格に適用をしている。マイカー通勤は教員自身が加害者になる可能性もあり、運転をしないことがいいと考えている。」

矢野委員「事故を起こすのは本人の責任である。大阪市として禁止するのはいいと思うが、一律的に禁止するのは現場の教員も納得しない。」

藤巻課長「平成19年に全市的にマイカー通勤をしている者を処分し、大阪市としてマイカー通勤を認めないということは全市的に浸透している。教育現場だけ例外としてマイカー通勤を緩めるということはできない。取扱としてはこうせざるを得ない。対外的な理解を得られない。」

教育長「頻度が勤務日数の3分の1以上となれば通勤手当を戻入するという一定の基準があり、全部がだめというわけではない。」

委員長「現場の事情を一番知っているのは校長であり、その校長の裁量の範囲がかなり狭められている。校長が判断する余地がほとんどない。」

教育長「今回は中体連の役員とはいえ、基準を超えるマイカー通勤を行っていたとして問題となっている。」

佐藤委員「ということは、関係ない日も乗ってきていたということか。」

教育長「常態化していたと言える状況であった。」

荻野部長「今回のケースは、もともとの事由を超えて頻度が増え常態化してしまっている。学校現場では車を使いたいという安易な感覚がまだある。それを改めていかないといけない。」

沼守次長「昔はマイカー通勤が比較的緩やかに認められていて、荷物を持ってくるのに楽であるという理由でよく乗ってきていた。今回のマイカー通勤の禁止も急にこの原則を適用したわけではなく、10年間以上にわたって、校長会などとも話を重ね、段階的にやって大阪市として方針を出した。マイカー通勤はダメだということはすべての教員に浸透していると思う。にもかかわらず、今回のケースでもこれくらいだったら許されるという甘えがある。また、これまでも公的な土地に自分の車を停めることに対して市民から非常に強い苦情があった。そういったことから校長、教員を守るためにも厳しく規制したほうが有効であると考えている。現場に任せると結果として教員を守れないということになるのではないかと考えられる。」

佐藤委員「処分理由の説明にもう少し詳しく書いておかないと、どういうところが問題で処分するのか理解しにくい。本来許可した理由以外で使用していたということが問題であり、それを監督できていなかったということをはっきりしておくべき。許可も場合によってはあり得るが、それを超えたらだめということをはっきりさせておかないといけない。」

矢野委員「安易であってはならないが、校長の裁量権をある程度認めるべきである。」

委員長「今回のケースでも、校長はだめだとわかっていても、やむを得ないと苦しい判断をしているのではないのか。ただ、それを逸脱してしまっている部分があったのだと思うのだが、許可も認められないケースなのか。」

沼守次長「私が校長であれば、家から届出通りの通勤経路で来て、出張についてはやむを得ない事情があればタクシーを使えと指示をしていると思う。荷物を運ぶのであれば中体連の中で論議をして解決をすべき。マイカーを使う必要はないと思う。」

宇野係長「校長の話では、自身が以前中体連の役員をしていて当時は車を使っていたので、今回のケースでも安易に認めてしまったということである。荷物を運ぶのであれば業者に依頼するという選択肢も可能であったにもかかわらず、自分がたいへんだったので当該教員もたいへんだろうと概ね全ての活動でマイカー通勤を認めてしまっている。それが常態化と言える状況となり、通勤手当の不正受給という事象も生じているので処分せざるを得ないということになった。」

長谷川委員「現状では一定仕方がないとは思うが、このどんどん処分が重くなる流れを続けるのではなく、どこかで全体的な考え方を変えないといけない。管理型の仕組みをどんどん増やしていくと悪い方向にいくのではないかと思う。今回は仕方ないとしてもどこかで考え方を転換してほしい。」

沼守次長「厳しい状況があり、マイカーについてダメなものはダメと説明を繰り返し、今は過渡期の状況にある。教員の気持ちも理解しながら話を続けていかなければならないと思う。ガチガチに決めるのではなく、学校の活動を理解しながら説明をしていきたい。」

委員長「今は振り子が振れすぎている。不祥事も多くやむをえない状況かもしれないが、説明が不足すると変なイメージが定着して、大阪の学校で教員をしたくないということになってしまうので、その点を注意して丁寧に説明をしていってもらいたい。学校ののびやかな雰囲気をどうやって作っていくか考えてもらいたい。」

長谷川委員「こういった処分に費やす時間が非常に長くなっている。本当は彼らが成長するための仕組みを議論する時間を多くとれるようにしていくことが健全な方向に進んでいくために必要なことだと思うが、管理や処分に費やす時間が多くとられていることについて考え直さなければならないと思う。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第112号「職員の人事について」を上程。

藤巻教職員人事担当課長からの説明要旨は以下のとおりである。

小学校教頭の休職に伴い、その後任として南津守小学校教頭に大成小学校教諭 矢田政則を任命する。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

(5)池田委員長より閉会を宣告

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