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【第3号】「子どもが新しい親と出会うとき~赤ちゃん返り、反抗などはよくあること」                       花園大学 津崎哲郎

2019年3月20日

ページ番号:121007

増加する離婚・ひとり親・再婚家庭


近年、父母の離婚、そしてその結果としてのひとり親家庭、あるいは再婚家庭が増加する傾向にあります。たとえば、平成2年度に157,608件であった離婚件数は、平成21年度には、253,353件に増加していますし、母子世帯の推計値は、平成2年度で543,000世帯から、平成21年度には752,000世帯に増加しています。(厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」「国民生活基礎調査」)
 再婚に関しても同様で、夫、または妻、あるいは双方が再婚である婚姻件数の割合は、平成2年度で18.3%であったものが、平成21年度では25.9%に増加しています。(厚生労働省大臣官房統計情報部「人口動態統計」)

実親との別れ、新たな親との出会い

これらの家庭状況の変化により、これまで一緒に暮らしてきた親との別れを体験する子どもや、また、再婚により新たな親との出会いを経験する子どもたちが確実に増えてきています。

子どもたちが、自らの意思でこの状況を決定することは大変難しく、むしろ多くの場合まったく受け身で、親が決めた環境に自らの意思や納得しがたい気持ちを押さえて順応することを求められることになりがちです。しかし、その子どもの心情を親たちがどのように受け止め、そしてその傷つきにどのようないたわりや配慮を示すかで、子どもの心の安定が大きく異なったものになることを、大人たちにはぜひ知っておいていただきたいと思います。

 

新しい親との出会い


親の離婚や死別などにより、一時ひとり親家庭であった子どもに、新しい母親や父親が現れ、家族に再び両親が存在するということは、ある意味望ましいことといえます。しかし、当事者である大人の期待とは異なり、子どもたちの心はもっと複雑で微妙です。例えば、ある子どもには別れた実親のイメージが強く残り、新たな親をすぐには自分の親として受け入れる気にはなれないかもわかりません。また、ある子どもにとっては、ひとり親の時の強い親子の結びつきと愛情の独占が、新たな親の出現によって妨害されていると感じて反抗的な気持ちが生じてしまうかもわかりません。つまり、子どもの立場、とくにその心情で考えれば、新たな親の出現は必ずしも望ましいこととは言い切れないことが起こりがちです。

中途から親になるということ

 中途から新たに親になるという現実には、実は思う以上に複雑で難しいプロセスが存在します。このプロセスは中途で子どもをもらい育てることになる里親家庭で顕著に起こる現象として知られています。多くの場合、子どもは当初見せかけのよい子の時期があります。しかし、この時期は長く続かず、次には退行現象(赤ちゃん返り)と試し行動の時期が結構長く続きます。退行現象とは年齢より幼い状態に戻ることを言い、試し行動とは、大人が本当に自分を無条件で受け止めてくれる人なのかどうか試す行動です。そしてその試し行動を親がおうようさと愛情で受け止め、子どもが新たな親を安心な大人として肌でしっかりと感じとった時に、本来の望ましい安定感のある親子関係がスタートするのです。わがままと聞き分けのなさにうんざりするような試し行動を、罰によるしつけで教育しようとすると、ほとんどの場合新たな親子の関係はぎくしゃくし、安心した関係は育たなくなってしまうのです。

 

新たな親としての心構え

 再婚で新たな親が生じた時も、子どもは実は里親家庭の出会いの時とよく似た反応を引き起こすことになります。子どもの試し行動や聞き分けのなさは、新たな親の立場で見れば、年齢にふさわしくない幼稚な行動、可愛げのない反抗的な行動に映るかも知れません。また、親の立場としては、自分が親になったのだから良い子にしつけないといけないという気負いが生じるかもわかりません。しかし、子どもが退行現象や試し行動を頻発するときは、あえてそれをおうようさで受けとめる懐の深さが求められているのです。関係が育っていないときの罰による強いしつけや矯正は、一時的に困った行動が収まり効果があったような印象を持たれるかもわかりません。しかし、それは恐怖と警戒によっての制御であって、その分信頼と安心は損なわれて行き、かえってぎくしゃくした親子関係が長く続くことになってしまうのです。

子どもの安心感の育成こそが近道


試し行動の実例では、おんぶや抱っこを執拗にせがむ、欲しいものを駄々っ子のように要求する、簡単な大人の指示を無視する、おとなが困る行動をわざとのように繰り返す、反抗的な態度を取り続ける、等々さまざまです。これらは、年齢や個性などによって一人一人特徴がありますが、その困った行動が半永久的に続くということはありません。徐々に新たな親への安心と信頼が芽生え始めると、自然に消滅してしまうことが多いのです。
 すべての効果的なしつけや教育は、この安心感を土台にして初めて可能であることを、ぜひ大人の立場として周知していただきたいと思います。焦りは禁物、安心感と信頼感の育成こそが新たな親子関係構築の近道なのです。

                         執筆者:花園大学 社会福祉学部教授 津崎 哲郎 

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