ページの先頭です

【第6号】「思春期その3 親としてのかかわり方のヒント」                           フェリアン 津村 薫

2022年10月30日

ページ番号:121074

子どもとのコミュニケーションのポイント


この時期の子どもとのコミュニケーションで大切なことは、ふたつの落とし穴に陥らないことです。ふたつの落とし穴って?それは、知らず知らずのうちに、思春期の子どもをもつ親が陥ってしまうものなのです。

落とし穴その1 一緒になってイライラしてバトル

中学三年生の美由紀さんは、ついお母さんに偉そうな口をきいてしまいます。自分でもこのイライラをどうしていいのかわからないのですが、お母さんは美由紀さん以上にイライラして、ものすごい勢いで言い返してきます。ついつい自分も言い返し、問題が何だったのかはよくわからず、バトルで消耗してしまうというコミュニケーションになってしまっています。

親が、「ここで言い負かさなければ自分の敗北だ」とばかりに意地になる態度では、コミュニケーションがうまくいきません。怒りはもっともです。生意気言われると本当に腹が立つ!でも、まずは深呼吸しましょう。お茶を飲んだり、からだを動かしたりして、自分自身のメンテナンスをしてみます。そして、いったい子どもに何を伝えたいのか、何をわかってほしいと思っているか、それをよく確認してみましょう。

伝えたいことを確認したら、それをシンプルに伝えましょう。長々と言ったり、頻繁に言ったり、「前もそうやったでしょ!」と過去のことを持ち出さないようにします。「そんなに偉そうに言うなら、もう洗濯しいひんわ!」という脅しも使いたくなるけど・・・我慢(笑)。問題に焦点を当て、一緒に解決していくための作戦会議を立てるような気持ちでやってみましょう。

子どもの態度が悪い!とイラっとしているお母さんは多いのですが、よくよくチェックしてみると、意外に自分の態度も荒れているという場合があります。せっかく子どもに伝えたいと思うことが伝わらないのは残念。できるだけ良い状態で伝えられるようにできるといいですね。

落とし穴その2 言わせっ放しで叱らない

一方、同級生の健くんのお母さんは、「子どもの気持ちをよく聴いてやらないと」という主義です。健くんが「死ね」「クソババア」と暴言を吐いても、「子どもには子どもの気持ちがあるから」と叱りません。

健くんのお母さんの態度にも問題があります。子どもの気持ちをよく聴いてあげることは大切ですが、暴言・暴力はしてもされてもなりません。良くない行動を止めないことは、GO!サインになってしまいます。

「どんなに腹が立っても、死ねなんて言葉は簡単に使わないで」と真剣に叱りましょう。それには大人も暴言・暴力を使わないことが大前提です。

あれもダメ、これもダメでは子どもは窒息しますが、命を粗末にしたり、誰かを傷つけるような言動については真剣に叱る必要があるでしょう。「これ以上は絶対にだめ」「人として許されないよ」という限界設定は、思春期の子どもたちを守ることにもなります。

言いっ放しも聴きっ放しもNGですね。

 

子どもたちの巣立ちの準備を


さて、子どもの話をよく聴いてあげながらも限界設定をしていく必要性についてお話しました。思春期は、近い将来待っている巣立ちのために、準備を整えていく時期でもありますね。

子どもたちが独り立ちできるように、その骨格を鍛えておいてやる必要があるのです。親と話し合いながらも、子どもが選択したり決断することを手助けしたいものです。まだ失敗したり、行きつ戻りつがあるかもしれませんが、「頼りない」と決めつけずに、応援してあげたいですね。

子ども自身が自分の人生を決めて、いきいきと歩いていけるように、私たち大人もいきいきと人生を楽しみましょう。「そんな甘い態度で世の中やっていけないよ」と脅かすのではなく、「あなたなら大丈夫」と認めてあげたいですね。小さな失敗を繰り返しつつ、人は大人になっていきます。

あまりに困ったことがある場合は、パートナーや友人など身近な人や専門家に相談するなどして、ひとりぼっちで苦しまないことをお勧めしたいと思います。子どもの問題は早ければ早いほど、解決もスムーズです。ピンチはチャンスともいいます。みんな間違いながら親業をしていきますし、それで良いのです。そんな時は誰かに助けてもらってください。

お母さんだって、小さな失敗は繰り返しても、頑張って子育てしてきたことに間違いはありませんよね。自分を責めたり、落ち込むのではなく、前を向くために何ができるか考えましょう。あなたの笑顔が、あなたの人生はもちろん、お子さんの現在と未来をやさしく照らしますように。

                             執筆者: Felien(フェリアン)別ウィンドウで開く津村 薫

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当社会教育・生涯学習グループ

住所:〒550-0014 大阪市西区北堀江4丁目3番2号(大阪市立中央図書館4階)

電話:06-6539-3345

ファックス:06-6532-8520

メール送信フォーム