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平成24年第14回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:153595

平成24年第14回教育委員会会議

第14回教育委員会会議録

 

1 日時  平成24年4月17日(火曜日)午後6時~午後7時35分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎屋上会議室

 

3 出席者

矢野 裕俊  委員長

長谷川惠一  委員

勝井 映子  委員

高尾 元久  委員

 

永井 哲郎  教育長

荻野 哲男  教育次長兼総務部長

沼守 誠也  教育次長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

小畠  稔  生涯学習部長

大継 章嘉  指導部長

上林 幸男  教育事業監理担当部長

森本 充博  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

高井 俊一  教職員人事担当課長

武井 宏蔵  教職員人事担当課長代理

宇野新之祐  教務部担当係長

栗信雄一郎  教務部担当係長

山東 昌弘  教務部担当係長

藤巻 幸嗣  総務課長

川本 祥生  総務課長代理

松浦 令   総務課担当係長

 

4 次第

(1)矢野委員長より開会を宣告

(2)矢野委員長より会議録署名者に勝井委員を指名

(3)議題

議案第65号 職員の人事について

議案第66号 職員の人事について

議案第67号 職員の人事について

 

(4)議事要旨

議案第65号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

小学校の教員について、通勤届けとは異なり、1月当たり勤務した日の3分の1以上、認められていない自家用車両による通勤を通算して2月間行ったことにより、懲戒処分として減給10分の1 1月を科すものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

委員長「当該教員はどういう必要があってマイカーを利用したと言っているのか。」

山東係長「自転車で通勤していたところ、平成23年の5月に事故にあい、自転車を修理している間、自転車がなかったために、23年の5月にマイカー通勤をしたと言っており、また、24年2月に指導力不足教員ということで指導員の指導を受けたことでストレスが溜まり、朝起きることができなくてマイカー通勤をしてしまったと言っている。」

高尾委員「指導力不足については改善されたのか。それとも現在なお指導員の指導を受けているのか。」

山東係長「24年3月に校長が当該教員に事実確認の予告を行い、4月から第1回の観察及び観察後の指導助言を行い、1学期に10回程度の授業観察を行う予定である。そこで改善が認められなければ校外におけるステップアップ研修の命令について教育委員会会議に諮ることになる。」

高尾委員「それがストレスが溜まるような状況だったのか。」

山東係長「朝起きるのが遅くなったために、車で来るようになったとのことである。」

林田部長「あくまでも当該教員の主張であり、指導力不足にかかる研修がストレスに直接関係するものではないと考えている。」

委員長「それ以外の通勤には自転車を使っていたのか。」

山東係長「自転車を使っていた。」

勝井委員「自宅から最寄り駅までは遠いのか。」

山東係長「本人によると、全体の通勤時間は自転車であれば約40分で、電車であれば約50分かかると言っている。通勤手当の認定も自転車で認定されている。」

勝井委員「最寄り駅まで遠いかどうかは確認していないということか。」

山東係長「電車の方が通勤時間がかかると言っている。」

長谷川委員「自転車で40分で、車では35分であり、5分しか時間が変わらない。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第66号「職員の人事について」及び議案第67号「職員の人事について」を一括して上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

議案第66号については、中学校の教員について、平成24年3月13日に行われた卒業証書授与式における国歌斉唱時において、議案第67号については、小学校の教員について、平成24年3月21日に行われた卒業証書授与式における国歌斉唱時において、校長から受けた職務命令及び大阪市の施設における国旗の掲揚及び教職員による国歌の斉唱に関する条例に反し、起立して斉唱しなかったことにより、懲戒処分として戒告するものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

委員長「まず議案第66号の審議から行う。」

勝井委員「以前の協議会の場では職務命令はなかったとの説明だったが、何か考えが変わったのか。当該教員に通知を渡したことが職務命令と言えるかというとそうではないと思うので、明確に職務命令というのは疑問に思う。」

宇野係長「前回の説明以降、リーガルチェックを受け、判例を調べたところ、判例では職務命令は様式はとくに関係なく、業務に関する指示であれば職務命令との明示がなくても職務命令として有効であるとされており、実際の判例でも例えば彦根市の事件、仙台市の事件においても職務命令は様式や手続きに定めがないこと、職務命令の明示がなくても業務に関わる指示であれば職務命令になるとされている。委員会の通知では校長の指示に従わない場合に個別に職務命令を発することとしているが、校長が通知文を受けて職員会議で全教職員に指示していることは職務命令と解せられると判断した。」

勝井委員「それは考えが変わったということか。」

宇野係長「そうである。」

勝井委員「確かに職務命令は考え方としてあるかもしれないが、一般的に通知を渡す職務命令と具体的に立ちなさいという職務命令は別だと思う。そういう一般的な規律違反なのか具体的な命令に背いているのか、今回はっきりした職務命令違反としているのは少し抵抗がある。しかも通知文を4回渡したことが再三にわたる職務命令に違反したというのは書き過ぎである。もう一つ職務命令を疑問に思ったのは、当該教員は連絡係を割り振られており、教職員席につくことがあまり当然視されていなかったという記載があり、外に立つことも考えられ、具体的な職務命令があったとは感じられない。卒業式の後、3月26日にPTAの役員と面談した際に起立の約束はできないと答えたことを受けて、校長から入学式の際は警備の担当を指示されたとのことだが、校長はその際には職務命令は発していないと理解していいのか。」

栗信係長「3月16日の事情聴取でも立たないと明言していた。3月26日はPTAが入学式に向けて説得する場として持たれた。ここでも平行線であった。3月16日の事情聴取の際に校長からも説得を行い、再び起これば学校として地域、保護者に対する対応が持たないと話をしたうえで、再度確認したら立たないとのことだったので、校長の中ではこれ以上説得しても無理だと感じ、式にはいらない役割を割り振ることとした。」

勝井委員「立たなかった理由として条例に不満という他に何か心情的な思いはあったのか。」

栗信係長「それについては答えてもらえなかった。事情聴取では答える必要はないとのことだった。あえて言うならということで市条例に反対である旨を述べていた。」

勝井委員「職務命令について、思想信条に関わることの職務命令は本来そぐわない。自主的に起立して卒業生を気持ちよく送り出すのが本来の姿である。校長が説得して気持ちよく送り出そうと言ったことは評価している。職務命令まで出して無理に立たせるのは好ましくない。」

高尾委員「私はきちんとルールを守ってもらうのが一番だと考える。この件に関わっては思想信条についての考え方について最高裁の判例が積み重なっている。判例では式典の円滑な進行を図るものとして起立する必要があるとはっきりと認めている。最高裁判決では減給処分が違法であるとされたが、職務命令及び戒告という処分については違法性がないということである。職務命令かどうかについて争いがあるが、当該校長はどのような指導をしていたのか。指導となると職務命令と違うということになりかねない。指導の具体的な内容について教えてほしい。」

教育長「基本的に教育委員会から出した文章について職員に周知徹底していく際には、式場内にいるかいないかは関係なく全員に指示をする。そういう意味では、卒業式の挙行に際しては国歌斉唱の際には起立して斉唱しなさいという指示をしている。当該教員が起立しないことは予見していなかったので、他の教員と同じ形での指示であった。」

高尾委員「常識的には指示の内容及び回数から職務命令に該当すると考える。」

教育長「事情聴取では当該教員も職務命令と認識していたと述べている。今後争いになればそういった点も主張していく。」

高尾委員「処分で終わりかというと問題が多い気がする。当該教員は通知に従う必要がないと思ったと信じがたい発言をしている。自分が悪いのではなく、教育委員会が学校名を公表したことが悪いと言っており、話し合いを重ねて理解を得る必要があるのではないかと思う。」

長谷川委員「3月13日の卒業式の際に校長から受けた職務命令及び市の国旗国歌条例に反したということだが、以前の協議会では中学校のもう一人の教員のことも議論になり、今回は職務命令という形で決着をつけようという形になっている。ここで職務命令違反とするとなるともう一人の人も職務命令違反になりうるという覚悟でこのようなとらえ方になっているのか。」

教育長「そのとおりである。もう一人の教員はその後の反省を斟酌して行政措置としている。」

長谷川委員「情状酌量を行っているということか。」

教育長「そうである。裁判になってそのことを問われれば情状酌量を主張することになる。」

勝井委員「卒業生は当該教諭について何か言っていたというようなことはあるか。」

栗信係長「それは聞いていない。」

勝井委員「申し入れなどはあったのか。」

教育長「PTAからは入学式ではきちんとしてほしいという要望があった。式典は子どものためのものであるので、教員の個人的な思いは出してほしくないというPTAの意見であった。」

宇野係長「苦情の電話が今回の全ての学校で多くあった。」

教育長「処分についてはするべきという意見とするべきでないという意見の両方があった。直後は許せないという激しい意見が多かった。」

委員長「学習指導要領で国歌を斉唱することと記載されてから20年ほど経つ。その点では一貫性があるが、今回条例で規定されたのが新しい事柄である。国歌斉唱について文科省が調査するようになってから久しい。新しい状況で迎えた初めての卒業式・入学式である。それを考えると教育長名での通知の徹底を図ったということはあるが、間違った理解をもっていたり頑な思いをもっている教員がいるのは現実で、そういうことが今回わかった。それを改めることは必要だが、今回いきなり処分するかというともう少し距離を設けるべきだと思う。指導をさらに強化する必要がある。限られた時間の中でもPTAと話をしたのは意義があったと思う。もっと指導して改めてもらわないといけないが、この時点での、今後も変えるつもりはないという一言で処分という結論になるかというと、そこは慎重にならざるを得ない。」

沼守次長「国旗国歌法ができてから本市ではかなり粘り強く取り組んできた。10年前は国旗が式場内になく、国歌斉唱がない学校がたくさんあった。校長が努力して時間をかけて取り組んできた。それにより起立での国歌斉唱ができていた。当該校でも毎年校長から同じような指導をしていた。本市では荒っぽいやり方はしてこなかったが、それに対してここまでの反抗的な行為をするのは許せない。これまでの経緯を踏まえれば、当該教諭の行為は1回でも処分はやむをえない。指導主事は血の出るような努力をしてきた。一方的な指導はしてこなかった。それが実って2年前から100%できていた。それに対してこのような態度を示すのは学校組織のあり方からしてどうかという思いがある。」

長谷川委員「おっしゃる意味はよくわかるが、処分した後どうなるかが重要である。この処分を行うことは断腸の思いになると思うが、意見としては仕方ないと考える。ただ、今後もそこはしていかざるを得ない。3回職務命令違反をしたときに職員条例との関係が出てくるので悩ましい。こういった件で免職するのかという問題とからんでくる。これが非常に私としてはつらい。これが指導力不足という内容と結びついていったときに非常に問題は大きくなり、そっちの方が心が痛い。この内容で3回やったから免職になるとすれば非常につらい。それを考えると今回の決定は非常に重い。」

沼守次長「3回の件は職員基本条例が施行されていないため、まだ決定ではない。今回危惧していたのはもっと多くの人が意思表示するのではないかということであった。これまで意見を言ってきた教員がきちんと対応されたのは評価している。混乱を招かないため、校長の立場や地域を守るために苦渋の判断をした教員も多くいるので、この処分はやむを得ない。」

長谷川委員「組織運営なのでガバナンスを効かせなければならない。こういうことはあいまいにしてはいけない。私としては今回の処分はいたしかたないと考えている。こういうことでガバナンスを効かせられないなら組織のマイナス面が出てきてしまうと思う。」

高尾委員「条例ができて初めてのことだが、本質から言えば初めてのことではない。国旗国歌に対する姿勢、方針が決められて、それが条例の中で決められたということがある。その中で当該教員は過去にも不起立だったということが理解されていなかったということがあると思う。決して初めてだから処分しなくていいということにはならない。処分しない、または軽い処分でとどめることとした場合、他の教員との均衡はどうなるのか、あるいはルールを守った教員との均衡はどうなるのか、国旗国歌に対する指導を受けていた児童生徒の立場はどうなるのかということを考えると、処分せざるを得ない。ただし、これが解雇につながるということは別問題の検討を要することであり、解雇は慎重に行うべきである。」

勝井委員「これまで市として職務命令を出さずに粘り強く取り組んできたことには敬意を表している。最高裁も思想信条に間接的な制約にあたることは認めているところであり、違法かどうか、裁量権の逸脱をしているかどうかを判断しているだけであり、やはりこれは微妙な問題を含んでいることは誰もが思っていることである。すごく気の重い問題である。条例ができて戒告処分をするというのはこれまでの市教委のやり方と正反対であると感じている。こういう件に関してはいろんな思想信条がありながら、教員としてどうやって式に関わってもらうか納得を得ながら、大変だとは思うが努力して粘り強くやっていかないといけない事柄だと考える。規則だから守ればいいということでは性質上はないと思っている。処分しなかったから許されるということでは決してないので、学校を運営していく中でどういう協力をしてもらうかは校長が頑張って話をしていかなければならないことだと思うが、今まで聞いた事情や卒業生の気持ちを考えると今回は文書訓告が妥当で戒告は重いように考える。」

委員長「非をとがめるという意味は文書訓告にもあり、文書訓告だからよかったという話では毛頭ない。意味内容においては処分か処分でないかは同じことであり、同じ姿勢で臨むことはありうる。それで改善されなければ新しい段階に進むということはある。学校の秩序を乱したということや子どもが戸惑ったということは報告されていないので、起立しなかった行為は問題だが、非をとがめ考えを改めてもらうということでいいのではないか。考えというのは思想を改めるということではなく、式に列席する以上は子どもに求めることを教員もしなければならないということである。私の考えでは処分して非をとがめるのか、処分ではない形で非をとがめるのかという2つがある。これまでの市教委の努力は認めるが、ここで堪忍袋の緒が切れてしまったというのでは具合が悪いと思う。」

教育長「行政上の措置でも重く受け止めてもらえると思うが、法律上の位置づけが大きく違うので、懲戒をするかどうかにより大きく異なる。前回の協議会と構成を変えているのは、あくまでも職務命令があったということであり、67号のケースとこのケースでは差がないので処分の程度に差をつけるのはおかしい。もう1件は情状酌量を認め、懲戒をしないという差を出している。どちらも校長から職務命令が出されていたという同じ構成であり66号と67号で差をつけるのはおかしい。」

勝井委員「具体的な職務命令なのか通知を渡しただけなのかというところで違うと思うし、職務命令違反ということで一律に処分するのであれば、情状も考えられないことになる。個別の判断はありうる。」

委員長「それでは66号の態度は保留にして、67号の審議に入ることとする。」

勝井委員「処分事由説明書には再三にわたる職務命令違反と書いてあるが、3月16日に全職員へ行った職務命令が1回目であり、3月19日にしたがわないという本人の意思表示を受けて、3月21日に再度職務命令をしたと理解しているがそれでいいのか。」

宇野係長「当該校においても校長は1月16日以降の通知をすべて全教職員に対して指示をしている。中学校の不起立を受けて出した3月14日の通知後の職務命令は2回である。当該教員は職員会議でビラをまいたが、それを受けて校長や同僚が1時間30分にわたり説得を行っている。そのときにも一貫して当該教員は起立を拒み続けている。これを1回の職務命令と考えれば当該教員に対する個別の職務命令は2回で、一般の職務命令の考え方は議案第66号と同じである。」

長谷川委員「当該学校で当該教員の意見に賛同する声はなかったのか。」

宇野係長「同調する声はなかった。」

長谷川委員「そういうことも書いてもらった方がこちらも理解しやすい。」

沼守次長「これまで反対を述べていた方もこういうことは適切でないとして説得にかかったということがある。周りからはやりすぎだという説得が続いた。」

勝井委員「66号と67号では職場の同僚の受け止めなどいろんな状況が違うように感じられる。66号と67号を同じ処分にしないといけないとは思えない。」

高尾委員「具体的にどういうところが違うのか。」

勝井委員「卒業式に至る経過の中で同僚が当該教員が卒業式に出るとスムーズにいかないと不安になって説得にかかったところなどである。周辺状況が違う。」

高尾委員「それはあくまでも同僚の行動について説明をしているだけである。」

勝井委員「周りを不安にさせるようなビラを配ったりとか、卒業式がうまくいかないのではないかと周りの先生が思ったのだと思う。だから、66号と67号は周辺事情が違うことがあり、処分量定が異なる根拠になるのではないかということである。」

高尾委員「それは本質とは違う。それは状況の違いであり、起立して歌わなかったということでは同じである。」

勝井委員「最高裁判決でも信条に基づくものかとか、原因や効果や反響、その後の態度は処分に対する量定において考慮すべきとされている。単に立たなかったということで同じにするかというと違うと思う。」

教育長「そういう意味で差はあるが、66号は戒告で67号はそれよりも重い処分というのは科せないので同じ戒告としているが、戒告に重い軽いがあれば内容的には67号の方が重いと考えている。」

勝井委員「国旗国歌の問題について、行政は謙抑的であるべきであると考えているが、67号は戒告はやむを得ないと考えている。理由はつくと思っている。」

委員長「66号と67号を比較すると、説明文のところで、66号では職務命令という言葉ではなく指導、伝達という言葉が使われている。それを職務命令と解するとの説明が先ほどあったが、67号は職務命令で本人も職務命令には従わないと言っており、明示的な意思の表示がされている。それだけ職務命令として受け取っている。そして文書も出されている。明らかに両人の間では受け取りが違うと思う。事務局もそれを留意して原案を書いているものと考えている。本当にやむを得ない場合には処分という形で非をとがめるという形をとらざるを得ないが、グレーゾーンの場合は指導の徹底という行政上の措置でやるのが第一歩としては妥当だと考える。」

高尾委員「私はまったく反対である。当該教員が校長から話をするときに趣旨を極めて明確に話をされ、数度にわたって同じ説明がされており、誤解を与えようがないことであり、職務に関する命令という形で話をしたのだと思う。これを処分しないことは均衡を失する。職務命令の違反はしてもいいのだとなりかねない。そして、決して思想信条を強制するものではない。ルールとして決まったことについては守ってもらう。いろんな価値観はあるが、自分の思想に反するから授業では教えないということになれば非常に困ったことになる。そういう意味では教員の規律違反を確認して将来を戒めることが必要である。中学校のもう1件については将来を戒める必要は薄らいでいる。66号、67号の両名は今戒めておかないと同じ事を繰り返し、しかもそれは周りの悪影響が大きいと考える。」

教育長「66号についても校長の指示を本人が職務命令と理解している。そういう意味で我々としては一般的な職務命令があったと考えている。国歌斉唱時には起立して臨まなければならないということを本人は理解している。」

長谷川委員「私は処分については本人に意味のあるものにしてほしいと考えている。規定がこうだからということではなく、処分を受けて本人が今後仕事をしていく上でどうしていくかの方が重要だと考えている。本人は今後も繰り返すことを明言しているので先延ばししても同じ結論になるだろうと判断している。処分としてはっきりさせることによって、今後当該教員がどう変わっていくのかを見ていきたい。意思表明を教育委員会としてすることによって、次のステップとして状況が変化してほしいという願いを込めて判断する。私はここではっきりさせて、そこで次の議論を今後も続けていくということをしてほしいという意味合いで、今回の処分については判断する。」

沼守次長「卒業式は子どもにとって一番大事な儀式であり、子どもに焦点をあてて卒業式があるべきである。それがこういうことになるのはさみしい。こうならないのは本来は一番いいと思う。一番残念なのはPTAが説得に来た時に、なぜPTAの思いを頑なに拒めたのかと思う。教員として思想信条のことなら保護者に対しても何を言ってもいいという態度が他でも出てくるのではないかということを危惧する。そこも含んで今後話を続けていかなければならない。社会人としてもう少し適切な対応ができるべきではなかったかと思う。」

長谷川委員「法律はあとからついてくるものだと思う。その人が今後どうなるかが私にとっては一番大事。当該教員が今後どうなるかを見守っていきたい。そのことが今回の判断材料の中で一番重要と私は考えている。」

宇野係長「職務命令の判例の根拠として、大津地裁の判決では、校長が出した命令が君が代斉唱を含めた卒業式次第を示して、その実施に協力するよう求め、妨害のないよう指示したことが職務命令という判決になっている。もう一つが仙台地裁から高裁を経て現在上告審で争われている事案であるが、これについては教頭が朝の打ち合わせ会で出席した教員に対して児童の通信票は余裕を持って全員下書きを提出することと指示したことが職務命令とされている。これらを踏まえ我々としては全員に対する指示、協力も職務命令と認識している。」

勝井委員「目指しているところは同じだと思うが、今回これが議案として出てくることは教育委員会の態度が変わったというように感じる。私の中では66号の教員についてはまだ話をする余地があると思う。戒告は早いと考える。懲戒は重い処分であり、きちんとやってほしいというメッセージは処分でなくても出せる。戒告には賛成できない。」

委員長「これまでは不起立の教員はいなかったのか。」

教育長「21年度まではいた。校長報告では22年度でゼロになった。」

委員長「それらの教員への行政上の措置はどうしていたのか。」

教育長「していない。校長からの指導を行っている。条例ができて状況が変わっている。」

委員長「今回一歩踏み込んだことになっている。」

教育長「府条例、市条例ができたので、対応を変えなければならない状況が生じている。」

委員長「処分という形をとらないということが、この件について曖昧な姿勢をとるということとは私はまったく思わない。当該教員がPTAとの話し合いで約束はできないと言っていることについて、この問題への姿勢を変える可能性がないわけではないという気がする。行政上の措置で当該教員の非をとがめることはありうる。」

高尾委員「近年の式では不起立はいなかったと認識していたが、これらの教員がこれまでも起立しなかったというのには驚いた。これまでそういうことはあったが処分しなかったから今回も処分しなくていいのではないかということには賛成しない。」

教育長「指導を進めることで、不起立の教員の数が減り、22年度から不起立教員がゼロになった。そういうことを踏まえて条例は必要ないという主張をしてきた。今回意思を明示的に出してきたところがこれまでの状況とは違う。」

勝井委員「粘り強く指導してきてできていたのに残念である。」

教育長「条例の必要はないという主張をしていたが、条例ができるとその運用を我々はしないといけない。条例ができて校長から職務命令が出ている以上は処分せざるを得ない。」

委員長「非をとがめることはしないといけないが、それを処分という形でするかどうかというところで意見が分かれている。条例ができたから処分するというのは違う。均衡という話を持ち出したら全国での取り扱いはもっとばらつきがある。東京みたいなケースもあるし、もっとゆったりとした考えでやっているところもある。」

教育長「条例ができたというのは市民がそういう思いであるということであり、重く受け止めなければならない。条例違反については厳正に対処しなければならない。」

委員長「厳正な対処の中味をどのようにするかというところが問われている。全体にどういう影響をもたらしたのかということも勘案する必要がある。厳正さの中身をどう確定するかということであるが、厳正イコール処分というのは違和感がある。」

高尾委員「条例というのは自治という中で決めたルールであり、そのルールがアメリカにないから均衡を失するというものではない。今回のケースは今年に入って何度も丁寧に説明がされ、これまでも粘り強い指導が何年もなされている。私はきちんと処分すべきと考える。」

委員長「意見が出尽くしたので、挙手により採決を行う。議案第66号に賛成の方の挙手を求める。3名である。次に反対の方の挙手を求める。反対2名である。賛成3名、反対2名により原案どおり可決する。

次に議案第67号に賛成の方の挙手を求める。5名であり、全員賛成により原案通り可決する。」

 

(5)矢野委員長より閉会を宣告

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