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【第16号】思春期の子どもの心理1 ~人の心と身体の成長で~ 六甲カウンセリング研究所 所長 井上 敏明

2019年3月20日

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思春期に遭遇するとは

 思春期に遭遇するとは、身体の発達の変化に驚き、自我の覚醒が促され、自分を意識し、私が私であるのだと分かり始める時代だといえます。

 私は「人の心と身体の成長で『崩れる時』ってあるのでは?どうですか、皆さんご自分の体験でお感じになっておいでではありません?」と思春期心理のお話で、講演会に出席のお母さん方にお尋ねすることがよくあります。

 ほとんどが「思春期と更年期」ですと答えて下さいますね。そこそこの年齢を辿られると、きっと同じ答え方をなさるのではないでしょうか。

 では男性だとどうなのでしょうか。お互い心と身体の激変期といえますが、やはり男の方が身も心も狂わんばかりのとは言い過ぎですが、大変な思いの「思春期」であり「厄年」と世間でいう、男の四十二才前後の激動期もそうではないでしょうか。

 私は教育関係の講演でテーマが「思春期の心と体」ですと、「もしも神様がもう一度君に人生をプレゼントするよ!」と声を掛けられたら、「思春期はもういいですから、十八才頃からにして欲しい」と話すことにしています。それほど辛い時だったのかしれません。


思春期の渦中にある子どもたち

 では思春期の渦中にある子どもたちは、日々どんな感じ方をしているのでしょうか。男女問わず辛いと感じる子もいますが、楽しくない、腹が立つ、イライラする、体調が悪い、急に周りが嫌になる、などこれまで体感したことのない思いにとらわれてしまうのではないでしょうか。

とりわけ同学年間の心の葛藤が、小学生高学年の安定期とは異なった違和感を抱くようになるのです。群れる時期だからですね。

 ずーっと昔ですと、中間反抗期が小学三年と四年にやって来て、五・六年の高学年では落ち着きを取り戻します。中学生に入る頃の思春期に差しかかると、一気に心身の安定が崩れ、本人のみならず周りがびっくりするほどの変身が起きて、いうなれば飛行機事故のダッチロールのような状態に陥ってしまう時期、これを専門家は「通過儀礼」とも言っていますが、皮肉なことに人はその難所を通って始めて次のステップに辿り着くわけです。

 従来ですと、青年期を前・中・後の三時期に仕訳し、前期の中学生、中期の高校生、後期の大学生と分類していました。

前期は衝動と生命の躍動、中期は自己の世界の取り込みを、それが後期になると「私(アイデンティティ)とは何?と、前後左右を見届けつつ「自己同一性」を問う時に到る、というわけです。

人間の成長のプロセスって変ですね。せっかく小学の高学年で意識も安定していましたのに、思春期の中学生になったとたん身と心のバランスが崩れてしまい、いわゆる不具合の渦中に放り出されるわけです。

理由ははっきりしています。血管や神経、筋肉や腱が一斉に発達のレールに便乗し、それぞれの身体の部位や臓器がビッグに成長していくわけです。それもバランスを崩しながらです。意識という、いわば「私や僕」の司令塔が一時お休みして、バラバラの動きに翻弄されるのだとでも言えるかしれません。これが心理的混乱の主因です。

とかく心というより、「身体の発達・成長」が子どもの育ち盛りと重なり、食べること、遊ぶこと、身体を動かすこと、群れること、どんなことも面白く、箸が転んでも笑う時代ですから、まさしく「傍若無人」と大人には映る言動が出てくるのです。

私たち大人は

私たち大人は、その頃の自分を体験してますから「あの頃はみんなそうなんだ」と了解しつつ暫くしたら落ち着くから、まあ見守るしかないね、と子どもの無軌道ぶりに当惑して「その内に?!」とアクセプトしているといえます。要は、「放っていて良い」わけではありませんが、「そういう時」「誰もが必ず辿って来た」と大筋了解した上で、「うーん、そうか」「なるほど」と共感して本当にそうだと納得の意を伝えた上で、お母さんは、お父さんは寄り添いつつも時には「こう思うよ」と筋目から外れさせない方向での声掛けをしつつ、心理的にも混乱の状態を見守る、ことこそ「通過儀礼」をなし終えることが出来るように援助するのが一番の対応かと思っています。

人の目が気になるので、父や母のことが恥ずかしいと思ってか、ある日突然男の子だとこれまでの「お母さん」や「ママ」の声掛けが「おばさん」と一変したり、女の子だとパパは臭いなどと言って「無視」(シカト)が始まり親から離れていったりします。

ともかく、これまでに予想もしなかったわが子の像が突然、我が家の中で変身するのです。それだけに本人も大変です。

心理の混乱が成長のサインであり、身体の変化だと長いスパンで見守る心の留意こそ、「戸惑い、思い悩み、時に辛い」と感じているお子さんとのお付き合いのポイントではないでしょうか。


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