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市長との意見交換会(平成24年2月7日)

2022年9月1日

ページ番号:191667

市長との意見交換会(平成24年2月7日)

・平成24年2月7日(火曜日)10時~12時10分 於本庁舎屋上階会議室

 橋下市長

 矢野委員長、長谷川委員、佐藤委員、勝井委員、高尾委員、永井教育長

 

 矢野:前回は、大阪の教育全般という大きいテーマで意見交換をさせていただいたが、今回は、まず大阪府教育委員会とも話をされている教育基本条例関係について、我々の思いと、市長の思いについて意見を交換させてもらえればと考えている。まずこちらから一通りお話をさせていただいてから、市長のご意見をお伺いしたい。お手元に「大阪市における教育関連条例案の検討について」という文書をお配りしている。これは、教育基本条例に関わって、大きな二つのポイントについて我々の考え方をあげている。まず、最初にお断りすると、教育委員で、2月2日協議会を開いて、それを踏まえたものではあるが、意見が完全に一致したものではない。基本的な考え方として、大前提にあるのが、本市における教育行政は市長と教育委員会及び学校組織が、法令にしたがって共に役割分担を担い、協力し、補完しあうことによって進めていくべきものであるということである。これは当然の話であるかとは思うが、大事なことだと思うので、あえて書いている。教育の目標については、この間の議論を見ていると、教育目標という言葉が曖昧な形で使われているということを感じているので、そこをまず明確にした上で、我々のスタンスを示している。具体的には、教育の目標には、教育基本法や学校教育法において「教育の方向性」として掲げられた、方向目標と言うべきものがあり、この方向目標の範囲内で、地方教育行政は進められなければならないと考えている。この目標は、すでに法令に明記されており、個別の学校の教育目標は各学校の校長の責任で設定されているものと理解されるべきものであり、各学校の教育目標に対して上位の教育目標を設定して各学校に従わせる権限は教育委員会にも与えられていない。行政機関には付与されていない。市長にもないというのが現行法の法理であると考える。一方、教育行政の運営に当たっては、「施策の達成目標」と言うべきものがあり、予算執行にあたっての定量的な「施策の達成目標」を当然に立てる必要がある。お金を投入するのであるから、それに見合った成果が得られたかどうか点検・評価・検証するのは当然で、予算権限を持つ市長が、ここに大きな関心を持つのは言わば当たり前のことだと思う。教育目標と施策の達成目標のこの二つをきちんと区別をしておく必要があると我々は考えており、その上で、地教行法に定める役割分担の下、教育委員会が「教育振興基本計画」案を策定するにあたっては、市長が教育委員会と協議して定めた施策の達成目標を明記するものとすることとしたいと考えている。この「教育振興基本計画」は、議会の議決を経て大阪市の計画として定めるものとする。教育の目標に関わっては、このような考え方を基本とし、先般示された府教育委員会の案を勘案しつつ、大阪府と違って義務教育に直接の責任を負っているなどの大阪市の特性を踏まえた、学校園の活性化を図るという観点を基本にした条例案を、我々として検討し、市長に提案したいと考えている。次に・・・。

 橋下:ちょっと確認させてもらうが、今日の議論はどういう趣旨だったのか。教育の目標については府市統合本部ですでに決まっている。教育委員も参加することは全く自由であった。それをひっくり返すということか。

 永井:府のように条例の原案も出来ていなかった。教育委員でも意見が一致しておらず、論点整理が出来ていないので、府市統合本部には私だけが参加させてもらった。府市統合本部は府市統合本部として認識はしているが、基本的な部分で、市長と我々として意見を合わせていく必要があると考えている。

 橋下:8月に維新の会として条例案を出し、これまでに議論しようと思えばできたはずで、選挙も11月に結果が出ているわけだから、それを蒸し返すのはちょっと違うのではないか。府教委とさんざん議論して府市統合本部で専門家も入れて議論して決定した。義務制は府教委の所管と違うので、市教委として、高校と違うところはあると思うが。教育の目標の振興計画については議論して、計画案は首長が決定する。議会に提案して、議決を得るというところは、そこは変わるという話は違うのでは。実質的な議論をしたいが、ちなみに教育振興基本計画を策定するにあたって、委員のみなさんはどのくらい関わったのか。

 永井:策定には2年間かけている。第3者で構成される教育振興基本計画策定懇話会を設置し、そこで原案を作成してもらい、その案を数度にわたって委員に議論していただき、パブリックコメントを経て、前市長の決裁も得て策定した。

 橋下:その教育委員会会議議事録は残っているのか。

 矢野:策定懇話会が原案を作成し、我々の思いとは違うところがあったので、直接話をした方が早いだろうということで、懇話会のメンバーと意見交換を行い、3月の31日だったと思うが、計画が出来た。我々の考えを原案に入れてもらったうえで、再度議論し、必要な修正も行った。

 永井:懇話会は委員会ではないので、教育委員会で議決をして、当時の市長に決裁をして出来たもの。

 橋下:教育委員のみなさんが方針をもち、こういう方向でやってくださいということだったか、事務局が素案を作ってきて委員に意見を求めたのかどちらか。

 永井:基本的には、教育振興基本計画は、前に教育委員会で作っていた教育改革プログラムを引き継いだ形で策定した。計画の理念編のところは委員に議論をいただいて、その内容を大きく盛り込んだ。

 橋下:僕と維新の会の考え方は、文部科学省から教育委員会につらなる鉄のラインを断ち切らないといけないと考えている。市の教育振興基本計画は文部科学省のガイドラインとぴたっとあっている。市の計画のポイントとはどういうところか。

 矢野:ええとこのばそ大阪の教育を合言葉に、4本の柱で成り立っている。一つ目は学力、二つ目は生きる力、三つ目は社会総がかりで子どもを育む、4つ目は地域のコミュニティを作っていくという、生涯学習の4つの柱。

 橋下:大阪は少年犯罪の発生率が群を抜いて高いが、これをどう対処していくのか。

 佐藤:少年犯罪は、地域の問題、家庭環境や貧困の問題など環境全体の問題として、教育だけではどうしようもないことも原因となっているが、地域の力を入れて、総がかりで解決していかなければならない。

 橋下:環境を整備していくなかで、要素として、教育分野ではどのような対応をするのか。

 高尾:教育基本法では教育の目的、目標が定められており、それを受けて地域の実情にあわせて教育振興基本計画を立てることとなっている。地域の実情を考えて、ニーズをきちんととらえて、具体的には自己責任であったり、これまでそれが欠けていたと思う。

 橋下:プロセスに欠けていた。こういうことに問題意識があり、問題提起を公選職である首長がしなければならない。選挙で選ばれたものが全て正しいとは思わないが、やはり公選職である首長から問題提起をしないと。前回長谷川委員は子どもの顔を見れば分かるとのことだったので、すぐに事務局に視察の回数を確認したら2、3回しか行っていなかった。そんな視察でわかるはずがない。525校の学校があるなかで、少ない時間で見ても分かるわけがない。だから僕みたいな者が大阪全体の課題について選挙活動、政治活動をやるなかで、議論をテーブルにあげて、いろいろと議論をしている。そういったプロセスが教育行政には欠けていると思う。それが私の認識。

 長谷川:私は職業柄のことで申し上げた。確かに視察校数は少ない。もう少し増やしたいと思っている。

 橋下:500校全部見るのは無理である。それは政令市の問題。僕が一番思っているのは、少年犯罪率、離婚率、低年齢者による出生率、就職率などである。小中学校の学力が低下していると言っているが、これはお金のある人は私学へ行っている。大阪では公立小中の学力は低いが、大学センター試験では大阪は平均点よりも高く、逆に大学受験では秋田県などの学力テスト上位層が低くなる。これは秋田や福井が私学に行っているということではなく、まんべんなく公立に行っているということがある。大阪はそういう現状になく、就職率の問題にしても2極分化が激しくなっている。僕はお金がなくて私学へ行けない人の就職率の低さをなんとかしないといけないと思っているが、教育振興基本計画にはそういう具体の話は出てこない。

 高尾:視察回数は少ないが、その中でも学ぶべきものはあった。ある中学校で授業に入らず、廊下で座っていた少年がいたので、どうしたのかと聞いたら、勉強がおもしろくない、自分は鳶職になりたいので、学校の勉強は役に立たないということだった。それを聞いて、教育の論理が破綻している、我々はこの子を説得できるだけの教育を持ち合わせていない、大阪の教育を考え直さないといけないと考えるようになった。今おっしゃったことに対して我々にできることはあるはずである。

 橋下:僕は教育の専門家ではないので、教育の内容にまで入るつもりはなく、少年犯罪率の高さをなんとかしてほしい、こういう問題についてなんとかしてほしいということに対して、教育委員の皆さんで議論していただいて、事務局も使いながら、方向性をまとめてくださいというのが僕の考える教育目標である。教育委員会の考え方はわかった。こういう考え方はわかった。学校の視察については、500校を見に行くのは無理だし、府知事時代何度か行かせてもらったが、知事が行くと大名行列になる。学校側が身構える。視察はふらっと行くのが一番である。

 高尾:これでわかったとおっしゃったが、私はわかったと思ってほしくない。

 橋下:教育委員がこう考えているのだとわかったという意味である。ただ、僕は府市統合本部で決めた内容で行かせてもらうので。

 矢野:現行法上でも市長が立てられる目標があると我々も思っていて、教育内容そのものに直接かかる目標については教育委員会に任せてほしいということである。ただ、予算をかけて例えば大阪の子どもの学力をどうするのかとか、先ほど指摘のあった少年犯罪の問題について学校教育の中で取り組むことは重要な問題で、こういうことには我々もこういう予算をつけてほしいと市長に具体的に言っていかないといけない。最初に少年犯罪や離婚率などについて言われたが、さらに大阪市は就学援助率が群を抜いて高いということがあり、非常に困難な状況があるということについて、学力をあげるということを繰り返し叫んで、先生頑張ってくださいと言うだけではだめである。また、高校生の就職率は確かに低いが、特別支援学校の高等部の就職率も全国平均と比べて低い。この点ももっと企業に働きかけて改革していくということをしなければならない。我々の問題意識は市長とそれほど差はない。ただ、教育振興基本計画はある程度総花的にならざるを得ない。それは最初につくったものであるので、あまりピンポイントでという形にできなかった。国の枠組みをどう大阪という地域の中で具体的にし、方向性をはっきりさせるのかというレベルにとどめた経過がある。

 橋下:教育振興基本計画を目標ととらえてもいいと思うが、今までのプロセスでやっていてはだめである。全国の教育振興基本計画を見比べたことがあるが、どこも同じ内容である。そこに政治の力をかけて大阪としての具体的なメッセージをこめないといけない。行政的な積み上げのペーパーになってしまっていて、他との違いがない。そこで政治が一定の方向性を示すことが必要となってくる。安倍晋三さんが教育に対する首長の関与を広げるという方針で教育振興基本計画を地方公共団体が定めることとした。原案は皆さんと議論して作るが、議会に提案する権限は首長が持つことでいいですねというのが前回の府市統合本部での議論。首長が教育委員会と協議して教育振興基本計画を策定し、議論が整わない場合は教育委員会の意見を付して議会に提出できるとなった。議会で最終決定するというプロセスになった。

 長谷川:この内容は、今市長がおっしゃったことを包含していると思う。我々も府市統合本部の内容そのものに異論はない。ただ、目標という言葉が条例に出てきてなかったので、我々として教育の目標の内容に踏み込みたいということである。方向性目標と予算執行目標と分けましょうと、それで教育振興基本計画は予算執行計画の方に比重がかかった内容だと思うので、今市長がおっしゃった内容はここに入れていると考えている。

 高尾:私の意見であるが、この文書では最終責任がどこにあるのかぼやけるという危惧がある。定性的な目標と定量的な目標という二つに分けているがバラバラでいいのかという思いがある。教育基本法の1条で目的、2条で目標が定められており、これは守らなければならないが、教育振興基本計画ではその中でどの項目をどの程度より重視してどこまで到達しなければならないかを定めるべきである。そこにおいて、定性的なものと定量的なものはそれぞれ独立したものではない。違いをなくそうとし、同一のものにしていくことが必要であり、もしそこで違うものが出てくるなら、民意を受けた首長の判断に委ねるべきであると考える。

 長谷川:それは違う。ここは我々としても議論を続けているところである。そういう意味で今回我々の意見がまとまらなかったことは逆にいいことだと思う。しかし、ばらばらなのは結論がでていない、これから議論してまとめていくことになるもので、決め付けないでほしい。計画なので、数値が入ってくる内容になる。それは市長の権限でやられたらいいと思う。その中で方向性目標が少し重なってくる部分があるので、そこは我々も意見をいわせてくださいということである。

 橋下:教育委員会の意思決定の際には多数決なのか全会一致なのか。

 永井:全会一致を基本としているが、意見が割れる場合は、多数決。

 橋下:今回の教育委員会の考え方は多数決で決めたのか。

 永井:前回協議会で議論した内容を踏まえて委員長がまとめ、メールで調整して、多数の意見として出している。

 橋下:これは委員会の決定事項なのか。今お聞きしたところ決定ではないように見えるが。これが行政委員会の欠陥ではないか。意思決定されたものか。

 矢野:教育委員会の正式の決定は会議で議決を得ることである。協議会というのはその前段階で考えを整理するとかする場であって、その場で決定することはない。

 永井:今回これを出すに当たって議決は得ておらず、多数の方がそれでいいということでこの文章になっている。

 橋下:高尾先生は違うということで、少数意見があるなら、付記すべきである。

 永井:事前に意見がある場合は口頭で補足説明をするという形で整理させていただいた。

 長谷川:私は付記してほしいと申し上げたが、時間がなかったので結果的に付記はされなかった。

 橋下:行政のトップだったら、こんなことは大変なことになる。ペーパーとして出すなら賛成していない人の意見も出すべき。

 矢野:教育委員会の責任として自覚して出している。教育委員会として現時点での意見を市長にご説明するに当たってお示しするということである。

 橋下:教委が首長と話をするには、合議体なので意思決定をしてもらわないと、僕として話ができない。

 高尾:私は大阪市教育委員会という名前で出すのは問題で、委員長名で出されるのはいいと申し上げたが、教育委員会名で出すので、異論があるなら口頭で言ってほしいということだったので、申し上げた。

 橋下:教育委員会は合議体であるが、こういう場には決定して持ってきてもらわないと。僕としてこれを受けてどうすればいいのかわからない。ここは決定の場なのか。単純な意見交換の場なのか。

 矢野:意見交換の場と理解している。意見交換をして教育基本条例案についての考え方をまとめていく上でのひとつのステップとして到達したところを確認しておくということである。これがすべてではなく、この後各論の条例案の具体的なところを盛り込んでいただきたいところに説明していく、その最初のステップとして理解してほしい。

 高尾:こういう重要なものを出すならば、公開の教育委員会会議の場で議論して、意見がまとまらないなら多数決で議決して出すべきだと思う。

 橋下:今のままだと大阪市教育委員会名で出すのは間違いではないか。例えば多数意見という形で。整理をさせてもらうと、教育基本条例には二つあって、教育行政基本条例と学校運営条例がある。学校運営条例については市では小中学校があり府と状況が違うので、僕の思いを言わせてもらって、それを条例に盛り込んでほしい。教育行政基本条例についてはもう議論は終っており、変えるわけにはいかない。目標の区別について、概念的には分かるが、具体の教育振興基本計画を見て、実務上、これは定性、これは定量と分けるわけにはいかない。教育マターとして、定性的なことは教育委員の意見をしっかりうけたまりたい。定量的なものも教育委員のみなさんに考えてもらわないといけないと思っているので、教育委員の皆さんとしっかり議論しますよというのは教育行政基本条例の中に入れている。話がまとまらなかった時にどうするのかをこの間さんざん議論して、最後は首長が議会に提出できることにまとまった。教育委員会の皆さんの考えかたはわかった。振興計画も5年固定ということにはしない。首長が変われば教育がころころ変わるなんてことがよく言われるが、実際にそういうことになるわけがない。首長が変われば問題意識も変わり、修整すべきところは修整するということをやっていく。そのときに原案を議会に提案するのは合意がなくてもできるということをこの間の府市統合本部で決めた。議論、協議はする、定量的なところも定性的なところもまずは教育委員会の皆さんのご意見が一番だと考えているが、府市統合本部で決まったことは了承してもらいたい。話がまとまらなかったら、首長が議会に提出して、最後は議会に判断してもらう。

 矢野:市長のお考えは明快でわかるのだが、我々を何を危惧してこういうことを言っているのかというと、府市統合本部の議論がメディアを通してどう市民に伝わるかと言えば、例えば教育目標については、首長が決定できることに決まったとか報道されている。しかし、教育目標は国が定めたものがあり、それに基づいて教育行政は進めなければならないということがある。橋下市長はそうではないかもしれないが、その後、条例をよりどころにしてフリーハンドで教育目標の設定をされることがあったら困る。府の条例案は理解できるし、方向はいいと思うが、ただ、そのときにはっきりさせておくべきこととして教育の基本的な方向性、教育目標が3年や4年で変わったのでは子どもに大きな影響があるので、そこのところは安定的な教育目標というのを我々共通に理解をして教育活動を進めていくことが我々に求められている役割だと思う。教育目標はそういうものだという認識を持てば、首長が設定できるのだという言い方は問題がある可能性がある、仮に今はなくても将来的に禍根を残すのではないかということを危惧している。

 橋下:それはメディアの伝え方が悪い。教育振興基本計画の作り方を条例で決めただけ。教育基本法では地方公共団体が教育振興基本計画を作るとなっているので、地方公共団体は首長でもあり、教育委員会でもあり、議会でもある、そこを濁してあるので、プロセスを定めただけの話である。計画原案を作成する際には教育委員会と協議をするが、協議が整わなかったときに首長が議会に提出できることとした。教育委員会の意見を付記しなければならない義務を首長に課している。そこのところを徹底的に議論して決めた。そこまでの緻密な条文構成をしている。それなのに教育振興基本計画の中に目標が二つあって、首長が関われるのは一つだけとする議論を今からするのは無理である。首長がおかしい計画を作るのであれば、議会の場で首長、教育委員会が意見を言って、議会に決めてもらえばいい。これが教育基本法に反しないということは府教委に確認している。だから、そのプロセスを定めた中に、目標が二つといわれても、教育委員の認識の中でそういうことを考えてもらえばいいが、計画を出すのは首長の決定権で出させてもらう。このペーパーは教育委員会内部の話としてとどめてもらって、教育行政基本条例のプロセスはご理解いただきたい。それが駄目だとなると一からの議論になる。

 長谷川:基本的には駄目だということではない。定性目標、定量目標について、私もマネジメントをしているが、必ず両方入れている。両者は融合する内容である。二つに分かれているから無理であるという表現は無理があると思う。そこは話し合いをすればやっていけるので方向性は大きな齟齬はないと思う。

 橋下:別に2つに分けてもらってもいい。僕は教育の専門家ではないので、みなさんにそこは委ねているので。仮に定性的なところで協議をして整わなかった場合にどうするかを条例で定めた。その場合に首長は合致しなかったことを書いて議会に提案できるとしている。それもだめということなのか、それとも分けて議論するが決着がつかなかったら意見を付して出してもいいのか。

 長谷川:最終的に決定しないといけないので、市長の言うとおりになると思う。なぜかというと、市長は予算権を持っているし、人事権も実質的に持っている。ということは、基本的にはそういう形になっていくと思う。市長がすべての権限を持っていると思うので、今の話の流れは普通だと考えている。

 佐藤:教育の内容が政治マターになることを危惧している。教育は100年の計というように短期的な視点で考えられるものではない。今の判断で決めていいのか、政治に委ねることが本当にいいものかという素朴な疑問である。

 橋下:政治とは何なのか。僕がこのポジションについてみなさんと話をするまでに、選挙での投票をくぐっている。政治に教育を委ねていいのかという意見があるが、では、逆に教育委員に最後の決定権と責任を委ねていいのかということもある。みなさんは教育の専門家なので基本的にはみなさんでやってもらったらいいと思うが、決着がつかなかった問題に対して、政治に委ねていいのかということについては、政治家は有権者が選んだ人物であるので、最後は有権者のある意味自己責任ということである。先日テレビ番組で元文部事務次官の寺脇さんが出演していたが、寺脇さんは票で選ばれていないのに、ゆとり教育というとんでもないものを推進した。判断としていいか悪いかはいろいろあるが、国民は自分が選んでない人が決めることに不安を感じる。それが、議会が決めたということであれば、いい方に行こうが悪い方向に行こうが、最後は自分が選んだ責任があるということが言える。

 高尾:変化は積極的に受け止めるべきである。目標、目的をどう運用していくか。その中で今何が必要なのか。どういう風にやるべきなのか。世の中がどんどん変わっていって、変化に応じてそれをどこが決めるのか。それは民意だと思う。民意を踏まえて変えていかないと教育の責任は果たせない。

 橋下:よく教育は安定性、一貫性、継続性が大事だと言われるが、安定しているか、一貫しているか、継続しているかということは相対的なものであり、周りとの関係性において言われるものである。周りの環境が変化していっているのに、教育だけ変わらないのは継続性がなく不安定であると言える。変化に応じて対応することで安定性、継続性、一貫性が保たれる。教育行政でおかしいと思っているのは、周囲の変化に合わせようとする意思が全くないことである。

 長谷川:全くないということはないと思う。一緒にやっていきましょうという意思があれば十分そこはやっていける内容である。我々も変化と継続性をしっかりと見ていきましょうということを言っているのである。教育にとって子どもの幸せが一番大切なことであり、時代は変化しており、グローバル化する世界にあわせて、グローバルな視点を入れていくというのは理解できる。市長は変化を強調し、我々はこう考えると議論してバランスをとって進めていくことが大事である。

 橋下:その通りで、そういう形で議論をさせてもらって、いきすぎだとか、いやこうだということは議論させてもらう。議論はしたが、どうしてもこの点はおりあいがつかなかったときにどうするかを決めるために教育行政基本条例を作った。

 高尾:府市統合本部の議論及びその成果は最大限尊重したいが、府教委案にはまだ足りないことがある。3つのことを要望したい。一つは東日本大震災の経験を入れるべきということ、一つは維新の条例案にあった基本理念を入れるべきということ、最後の一つは、過去の教育に関する痛切な反省と出直しを入れるべきということを思っている。

 永井:市長と我々の方向性が一致すれば原案は我々が作ることになる。今の高尾委員の言ったことは我々が議論するときに織り込むかどうか判断するべきものである。府の教育委員は市長が知事時代にかなり議論をされたし、松井知事とも議論をされている。大阪市の場合は、維新の会の条例案は9月30日に議会で否決され、廃案になり、そういう意味で我々が議論すべきものがなくなったということがある。1月10日でスタートしたので、府市統合本部の議論はあるが、基本的なことを市長と話したいという思いで臨んでいる。

 橋下:それはわかった。今高尾委員が言われたような内容は、僕と知事の間では教育振興基本計画に入れるべき内容と考えているので、教委の中で議論してもらえばいい。条例に入れるのか、振興基本計画に入れるのかというところは議論してもらいたい。僕と知事ではそういう内容は教育振興基本計画でと整理している。あくまでも教育行政基本条例はプロセスをはっきりさせる条例の立て付けにするということである。

 高尾:2万人になんなんとする人が亡くなったという体験は条例にぜひ盛り込むべきだと考える。

 長谷川:私も教育振興基本計画の中で入れたらいいと思っている。今日のペーパーでは学校の活性化という言葉を入れている。府市統合本部ではあまりここに触れられていなかったが、この内容を大きく取り上げたいと考えている。教育委員会は学校の活性化、子どもの幸せをベースに考えたい。

 橋下:学校の活性化は、学校運営条例の大目的になると思っている。学校の活性化は絶対にやりたいと考えている。教育行政基本条例の方はだいたいそういう話でいいか。

 矢野:市長がどういう考えで条例を作ったかということがわかった。ただ、ここで決定というわけにはいかない。教育委員会で議論して着地点を話し合いたい。

 橋下:教育行政基本条例でこだわったのは権限と責任をはっきりさせるということ。教育振興基本計画を首長が決定するなら、首長にはそれにしたがってお金をつける責任がある。そしてそれに基づいて教育委員会が現場をマネジメントしてもらう。そこで条例で出てきたのは、自己評価をしてもらって、罷免事由に当たるかどうかチェックするという項目が入っている。権限と責任をはっきりさせた。計画をたてた以上は首長は予算をつけなければならない、予算がついた以上は教育委員は教育振興基本計画を達成しなければならない。きちんと毎年自己評価してPDCAサイクルをまわしていく、そういう枠組みになっている。

 矢野:それは理解しているが、首長の責任は選挙で問われるという考えなのか、それとも事業ごとに首長としての自己点検評価をするのか。

 橋下:評価は首長と教育委員との共同ですることになっている。共同で評価をした上で、首長は予算をつけたが教育委員が教育現場をマネジメントできなかった場合には教育委員に責任をとってもらう。罷免権、罷免権とさかんに言われるが、教育委員を罷免しようとしても議会の同意がいるので、一方的にはできない。PDCAをしっかりまわそうということで共同で点検評価をし、どっちの責任かということになった場合に議会の判断をあおぐということになる。

 長谷川:市長のおっしゃる意味は分かるが、我々の評価はどちらの条例に出てくるのか。

 橋下:教育行政基本条例の方である。

 長谷川:教育委員会が機能するというのは一体どういうことかということになる。今我々には手足がない。手足がないところで評価をされても非常に困る。手足をつけていただいたらこういうことをしようとできるが。

 橋下:手足は事務局という組織である。

 長谷川:教育長は市長が決める。委員長の下に指導部であるとか事務局を分けてでも手足となる部隊をつけてもらうことが必要である。

 橋下:市長部局でマネジメントする際には僕が局長に指示を出してやっている。僕にも手足はない。本来、教育委員は教育長に指示を出してやらないと。そこはマネジメントしてもらわないといけない。僕はそれは非常勤ではできないでしょということを言っている。今の仕組みでここまで大きな組織は動かせないということを言っている。

 高尾:現在の法制度の問題点が明らかになっている。現実の問題として非常勤のこのメンバーだけでは足りない。教育委員の数を増やし、常勤でできる人を増やし、そういう人の中から委員長や教育長を選ぶということをしないとやっていけないと思う。

 橋下:そこは教育委員会制度のあり方の議論である。合議体で行政組織を動かすのは無理である。委員を増やすのではなく、決定する委員の数を少なくして、作業をするスタッフの数を増やすということはありだと思う。大阪府では教育委員会に特別顧問をつけた。これは本来は事務局がスタッフとしてやるべきである。最終的に行き着くところは、教育の専門家の皆さんが首長の暴走を押さえる権限をもちながら、意見をもらって僕がマネジメントするという形の方がいい。

 長谷川:それで言うと、今の形で我々の責任を言うのは少し強引ではないか。

 橋下:現行制度はそうなっていない。教育現場の人事権を持たせてもらえるなら僕が全責任をもつ。しかし、教員の人事権は皆さんがもっている。皆さん意識したことはないかもしれないが。

 矢野:その責任は感じている。我々は事務局と密な連絡、情報収集をしている。直接学校へ行く回数が少ないとおっしゃっているが、事務局が日々学校との連携をとってもらい、それを必要な情報としてもらっている。もちろん、直接行くということも大事なこと。

 橋下:それだけではだめである。

 矢野:それだけだと駄目だと思うので、できるだけ学校を見に行っているようにしている。それと私は大学で教育学を教えているので、生徒の教育実習先を訪問することがあり、そういう機会が情報源となっている。学校の感覚がつかめないという思いはない。

 橋下:校長の人事もみなさんが面接しているのか。

 矢野:それは今の仕組みの中で基本的には事務局を尊重している。ただ、これは変じゃないかということになれば、当然意見はする。

 橋下:どういう基準で校長を選ぶよう事務局に指示しているのか。それが人事権者の権限であり、責任である。やってますということが事務局がやっているような話ではなくて、自分たちはこういう校長を選んでるんだということであって、それは今の教育委員制度ではできないので、ルールを作ろうとしている。現在、教員と教頭、校長の給与の逆転現象が生じている。ベテラン教員の方が給料が高くなっており、やる気をなくしている。それを府の中西教育長に指示してなんとかなくすようにお願いしている。こういうことは本来教育委員が言うべきことである。

 佐藤:それはこれまでも我々としても言っていたことである。校長会でも話が出ていたし、その問題を議論して、ちゃんと考えないといけないということでやっていた。

 橋下:考えるのはいいが、僕が言わなければ動かなかったではないか。

 長谷川:市長の言いたい意味は良く分かる。僕は教育長と委員長の両方が暴走しない仕組みを作らないといけないと考えている。おっしゃるように限界はある。あらゆる判断をやらないといけない。だから仕組みとして変えていかなければならない。委員長は専従者に近い人を据えなければ、現実の問題は解決しない。

 橋下:今の制度でひずみがでているということをみなさんに声を上げてもらわないと、何も知らないコメンテーターは今の教育委員会制度でできるということを言う。皆さんにもっと切実な思いを発信してもらわないと。それと同時に今は皆さんが全部責任を負うシステムになっている。それを僕が責任をとる方向に変えていく。こういうところを市長に責任を持ってほしいと訴えがあれば責任はとる。その代わりに教育振興基本計画の原案の決定権をもらいたいとか、人事についてもこれからいろんな問題を提起するので議論してもらって、最後に教育長に言ってもらう仕組みを作っていきたい。給与の問題一つにしても、現実問題、今の仕組みでは何も動かない。

 佐藤:これまでも言っているが、府費負担の問題があってできない。市の教員を元気にして活性化したいと思っても、府の制度との関係があってできない。

 永井:その度ごとに議論になるが、府費負担であるので、市では何も出来ない。私たちができるのは指定都市の教育委員協議会などから国へ要望することである。

 橋下:給与問題が動いたのは僕が知事や府教委に話をしたからである。行政を動かすには政治の力が必要だということを理解いただいて、役割分担が必要である。教育のことは教育委員の皆さん、しかし行政を動かすには政治の力が必要。今は行政を動かすことも教育委員の権限になっている。

 長谷川:私も2年くらいして教育委員をやってみて、このままでは難しいと感じた。ただ、目標と評価、入り口と出口の問題をきちんとチェックすれば今の中でもできないことはないかなと思う。今マネジメントプロジェクトを作って学校の計画評価を見てみたら、一本筋が通っていない。これを一本の筋が通るようにすれば学校はもっとよくなる。入り口と出口を押さえていくことが大事である。

 高尾:マネジメントの問題、学校園の活性化の問題は非常に重要だが、もう一つ忘れてはならないのは、我々として発想の転換が必要だということである。生産者側の論理から消費者側の論理に発想を転換しなければならない。それを無視して教員の信頼関係だ、モチベーションだということだけでは道を誤る可能性がある。背後にあるものをきちんとおさえて、積極的に推進すべきであるとすべきである。ドラッガーの本を教員にも読んでほしい。決して企業は利益を出すだけが目的ではない。顧客を獲得する、そのために何をするのか。これにはイノベーションをやらなければならない。イノベーションで社会で認められる価値を創造しないと駄目になる。この考え方は経済活動だけに適用されるのでなく社会全体で適用されるということを言っている。こういう考え方をきちんと押さえて、その一方で教員がお互いに協力しながらするということをバランスをとってやっていかなければならない。

 矢野:高尾委員の言っていることは半分は理解できるが、イノベーションだけでは教育は成り立たない。教育には変われない部分がある。

 高尾:イノベーションは天才的な発想でごろっとかえるのだということだけではなく、同じようなやり方であっても発想を変えていくということもある。

 橋下:学校の活性化は絶対に重要である。今の法の建前では皆さんは会社の取締役のようなものである。人事権もあり、事務局のメンバーも選べる。そういう権限がありながらできないようになっているというのが今の教育行政の仕組みである。みなさんも指揮命令できず、僕も入れず、ではどうするかというと、事務局がすべてを取り仕切っている。それを変えなければならない。僕は学校を普通の組織にしたいと考えている。校長が権限と責任を持つようにする。校長は自分から手を上げる意欲の人でないと駄目である。庁内外で公募する。そして校長を選ぶ際には外部の面接を入れる。内部の論理で選ぶのはだめである。校長に予算権と人事権を渡し、各校長がマイスクールといえるような学校を作りたい。校長が全責任をもつのであるから、校長が自分と一緒にやっていこうという教員をどう集めるかが課題。校長に人事権がないのは最大のネック。校長の任期中に2~3名の人をひっぱってこれる制度を作ろうと思っている。その人は正式な公務員という身分は与えられずに校長が退任するときには一緒に退く。それから、教員の役割分担をしっかり考えてあげる、教員は教えることだけに特化してマネジメント部分に手をわずらわせられないようにする。大阪府では照会文書を半分にしてもらった。照会事項が多すぎる。それと校長、教頭などのマネージャーの数も少なすぎる。もう1、2名増やさないといけない。先生のクラブ活動の負担も大きい。学校外のバーターを使ってどうにかできないか考えている。そういう環境整備が必要である。決定権を校長に与える。職員会議の実態もきちんと整理しなければならない。決定権は校長にあるのに実際の決定権は現場の教員が握っているということがある。校長がマイスクールという認識のもとに自分の権限でマネジメントできているか。今は教員に部下という意識が全然ない。そういうことを言うと、教員が校長の顔色をうかがうようになっていいのかと言う人がいるが、教員が校長の方をみて仕事をするのは当たり前である。学校をきちんとした組織に改めてもらう、そういうことを条例でやりたい。

 勝井:最初に少年犯罪率が高いという話しがあったが、これは社会環境とともに、学校から見捨てられるとか、大人が見てくれないということが繰り返される、しんどい子どもたちがかなりいる。解決策としてその子が戻ってこられる、何度も受け入れる学校づくりが必要である。そういうお金がかかることもぜひやってほしい。教員評価の中で危惧されることは、しんどい子どもに関わったがうまくいかなかった場合にD評価につながることになると、子どものためにならない。そういう子どもに関わって時間を使った人は評価が高くなるということにしないと、本当の子どものための教育にならない。市長からどんな子どもも見捨てないということを発信してほしい。一人ひとりの子どもを伸ばす教育をしていくということを思っているなら言ってもらいたい。それを基にいろいろな制度の変更は我々として受け入れていきたい。

 橋下:それはそうだが、僕らの仕事は理念だけでは駄目である。子どもたちを大切にあつかうのはそのとおりだが、議論させてもらいたいが、指導なんかでも弁護士チームとかそういうものをきちんとつくって、学校の先生の手に負えない者は、別の機関できちんとやってあげないといけない。予算をつけてでも。今は先生が全部を引き受けなければならないことになっている。全部引き受けるのは無理だから、先生が引き受ける者とそうでない者をきちんと仕分けをしてあげる。それから保護者の選択権をしっかり認めないといけない。市の職員も一定割合は私学に子どもを入れている。この現実を見て、公立の小中でも選択権を与える。教育に競争の原理を持ち込むなという意見について、市場原理は競争だけではない。僕の市政運営の方針はユーザーの視点を入れ、ユーザーの評価を入れること。教員の評価に保護者サイドの意見を入れれば、頑張っている先生はちゃんと見てもらえる。今の評価のシステムを変えないといけない。保護者に評価権を持ってもらうのは必要。学校選択制を入れることによって、学校も評価される。自分たちでは解決できない問題があるということを言われることがある、うちの学校はこういう生徒が多くいる、引き受けることになっているということを言われるが、大変な地域であろうが、それを強制しているのが現行の教育行政である。保護者が学校を選ぶ自由を与えないのは一体どういうことか。それによって学校が評価されるし、学校現場にも緊張感が生じる。ええとこを伸ばすというのはその通りだが、あまりにも課題が多すぎて、今そういうことを言っていると有権者から見放される。そういうことではなくて、小中学校をなんとか立て直してくれということが僕が受けている保護者の思い。

 勝井:教育の一番のユーザーは保護者ではなく子どもである。有権者の声と言うが、声を出せない貧困層もいるということが大阪の問題。それを拾うのが公の教育である。そういうことなくして全部政治に委ねるのが怖いという発想に我々はなっている。

 橋下:声を出せなくても実際に行動に起こせばいいわけである。西成で教育外バウチャーなど今までやってこなかったことをやっている。中学校給食だって、乳幼児医療の拡大だって、行動を起こしていっている。ええとこのばそというのは当たり前のことで、子どものことを守るというのは当たり前のことで、それを前提として具体の仕組みを議論していきたい。

 勝井:当たり前のことが市長から伝わらないようなことで不安に思っている人が多いと思っているから申し上げている。

 長谷川:これはマスコミの発信の仕方もある。学校の活性化の視点がこれまでの府市統合本部の議論で出てなかった。市長も大事というなら表現のバランスをとってもらわないといけない。今マネジメントシステムの話を聞いていたら活性化の内容になっていた。危惧するところは、会社のマネジメントと教育のマネジメントはだいぶ違いがある。教育は志のところに手をつけるということがいろんな意味の基本になる。市長のおっしゃることに今お聞きしている限り異論はないが、マスコミがとりあげるのは監視の問題やD評価のことである。そういうことばかりとりあげるとネガティブな内容にとられることになる。活性化の意味合いの表現を増やしてもらうとずいぶんイメージが変わると思う。おっしゃっている内容もプラス面のことが多いので、むしろそっちを強調してもらうと、活性化の意味合いでとれるので、そういう表現を増やしてもらえばイメージも変わると思う。

 橋下:表現は考える。ここまで僕が教育に関してうるさく言っているのは子どものためである。誰でもいえるような偽善者のようなことを言うのは僕のイメージに合わない。一つ一つ個別に見てもらいたい。府知事時代はクラブ手当の額を上げたし、今回も校長、教頭の給料も整理する。こういう一つ一つの積み重ねを見てほしい。今のままだと5年、10年経てば大阪の子どもたちは就職できなくなる。教育振興基本計画をこれから修正していきたいと考えているが、そこに就職できる力を与えること、自立してご飯を食べていける力をつけることを入れてほしい。そのために今の経済状況、雇用状況を見て、どういう教育をしなければならないか考えてほしい。このことをものすごく心配しているが、教育振興基本計画からつらなるそういう話が現場には行っていない、現場の校長先生、教頭先生いろいろな人と話をしても、日々悪戦苦闘して、教員はそこまでの認識をもてないとのことだった。だから役割分担が必要だと言っている。少年犯罪を減らすためにも教育の現場で何をしなければならないか何か打ち出してほしい。大阪特有の問題について教育の分野でこういうことをやっていくのだと強烈に打ち出さないと、世の中は動かない。根本は子どもたちのためであることは間違いない。そのために具体的に学校現場をどう変えていくのか、教員の負担をどう減らすのか。進路指導の負担をいかに減らすか、クラブ活動の負担をいかに減らすか。そういうことに全部僕は予算をつけていくつもりでやるので、計画を作る際に、具体の目標を決めて、具体の内容を持ってきてほしい。

 矢野:我々の中で一致しているのは、教育の現状認識である。それと積極的な手を打っていかなければならないということはおっしゃるとおり。教育基本条例が最初に出てきたときはびっくりした。しかし、その後府の中でもまれているものを見てきて、むしろこの条例を積極的に定めることで大阪の教育をよくしていくことができるし、そういうものとして条例を考えるべきだと思うようになっている。どうせ作るなら、子どもたちが元気になり、教員が活き活きできるような案を考えていきたい。また案がある程度固まったら市長にお示しをして意見をいただきたい。

 長谷川:我々が議論している中で条例の名前を教育活性化条例などのネーミングをすることも一つの方法かなと思う。

 橋下:それはメッセージの出し様なので、皆さんでいいメッセージを考えてもらえばいい。教育委員は強烈な権限と責任をもっているので、能動的な姿勢で、教育振興基本計画の中で総花的に入れるのではなくて、課題を認識した上で、これをやるんだということを打ち出すことでしか行政は動かない。教育振興基本計画は今後議論をさせてもらって予算化していきたい。学校活性化条例は、今の学校組織の問題を洗いなおしてもらって、今学校の校長、教頭は本当に大変な状態になっているので、何が原因となっているのか、どうすれば解決するのかを考えてほしい。組織を動かして行く最大の力が予算権と人事権なので、それをいかに校長に渡して、学校を普通の組織にしていくか。あと評価にはこだわる。評価のないところに緊張感はない。これが一番いいだろうという評価の仕組みを作りたい。知事との間では2回連続D評価をとった教員をすぐに免職にするのはやめようかと考えている。5%の枠を外して、その代わり保護者に指導力不足教員の申立権を与える。ユーザーサイドに立った視点で。評価の仕組みとして、生徒や保護者に評価をさせる。私学はすでにやっている。そうすれば5%の枠ははめなくていいと考えている。ここも議論させてもらいたい。

 佐藤:学校の先生は新卒でもいきなり一人の先生として教壇に立つので、それがどういうように見られるかとか、それをいかに育てていくかということがないと、全体がうまくいかないので、しっかり議論しないといけない。

 矢野:評価はあくまでも手法の話である。何のために評価するのかということをしっかり議論したうえで、評価を組み合わせていけばいいと思う。

 橋下:僕がメールを開けたら、メールがわんさか来ている。本来こういうものは教育委員会で聞いてもらって対応しもらわないといけない。メールを僕に送ってくる人には、教育委員会に出したら握りつぶされる、にらまれるという思いがある。今はいろんなことが起こっている。そういう声を聞いてどうするか考えることが必要である。教育委員会でも目安箱を作ってもらえないか。事務方の職員が開けないようにして。教育委員に直接情報が入るような仕組みを作ればいい。

 永井:教員レベルがストレートに物が言える仕組みを作りたい。

 橋下:ぜひよろしく。条例に関わって次はどうしたらいいか。

 永井:2月中に委員会の日程を集中して議論し、案が整った段階で報告したい。

 橋下:途中で必要なら計画の内容でも予算の内容でもいいので、条例に限らず意見交換させてもらいたい。今月中にもう一度30分なり1時間なり時間をとってもらいたい。

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