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市長との意見交換会(平成24年2月22日)

2022年9月1日

ページ番号:191668

市長との意見交換会(平成24年2月22日)

・平成24年2月22日(水曜日)19時~21時20分 於本庁舎5階大応接室

 橋下市長

 矢野委員長、長谷川委員、佐藤委員、勝井委員、高尾委員、永井教育長

 

 矢野:前回の意見交換以降、教育委員会として教育基本条例関係について議論を重ねてきており、我々の思いを込めた条例案を作成している。本日は我々が考える条例案について市長にご提案を申し上げるので、それに対する市長のご意見をいただき、大阪の子どもたちにとって、大阪の教育のためによりよい条例案にするべく意見交換をさせていただければと考えている。条例案の内容については、永井教育長から大阪府の条例案との主な違いや本市としての特色と考えられる部分を中心に説明する。

 永井:時間の関係もあるので、府案との主な相違点、本市の特徴に絞って申し上げる。まず、基本的に、府市統合本部会議の議論を踏まえ、(仮称)「大阪市教育行政基本条例」と(仮称)「大阪市立学校活性化条例」の二本立てとしている。各条例案については、学校園や教職員の活性化を図るという観点を取り入れているところが特徴である。大阪市教育行政基本条例案について、子どもたちに視点を当てる形で作成している。前文については、第1段落は教育に寄せる市民の願いを、第2段落は教育を取り巻く情勢や教育の基本理念を、第3段落は本市教育行政の在り方を記述している。前文については引き続き議論してさらにブラッシュアップしたい。以下の条文について、第1条について、府条例案では「保護者及び地域住民のニーズ」となっているところを、子どもも含めた市民のニーズを斟酌するという観点などから、「子ども、保護者等市民の意向」としている。第4条については、第3項において、市長が、教育振興基本計画の案を市議会に提出するにあたり、教育委員会との協議が調わなかったときは、教育委員会の意見を必ず付していただくよう、文末を「するものとする」から「しなければならない」としている。第5条については、第1項において、「子どもの最善の利益に反しない限り」の文言を加えた。第2項においても、同様の文言を盛り込んだ。第6条については、第3項において、教育委員の取組等の評価は教育行政点検評価の一部であるということを明確にするために、文末を「委員が自ら行う点検及び評価を含めるものとする。」とした。第7条については、第2項の文末について、府案では「するものとする」となっているが、「することができる」と、必要があるときに市長が判断するよう表現を変更した。第8条については、第1項については、学校園や教職員の活性化を図るという観点から、学校教育の支援や教職員の研修等の充実を定めた。また、家庭教育や社会教育も重要な施策であり、市長との連携・協力によって進めるべきことから、第2項及び第3項で、それぞれ定めたところである。続いて、大阪市立学校活性化条例案について、題名は、仮称であり、学校園や教職員を活性化させるという観点からさらに検討してまいりたい。第1条については、この条例は、学校の運営と教育委員会が行う支援の基本的事項を定めるものであり、目的として、学校が子どもや保護者等の意向を斟酌することと、教職員が能力を十分に発揮することにより、幼児、児童及び生徒の活気にあふれる場となるよう学校運営を行い、最終的には、幼児、児童及び生徒にとって将来にわたって必要となる力をはぐくむ学校の活性化及び学校教育の振興であることを掲げている。第3条については、校長は、当該学校の運営に関する権限と責任を有すること、教職員に対し、その能力、適性及び勤務意欲の向上を図るよう支援及び指導し、かつ監督することを加えている。第6条については、積極的な情報提供について「児童等の最善の利益に反しない限り」との文言を加えている。

 市長:今も学校の運営の計画は作っているのか。

 永井:作っている。教育委員会が示す計画もあるし、各学校が作る計画もある。条例が制定されれば、この条例を受けた新しい計画にしていきたい。

 市長:誰がPDCAサイクルを回すのか。

 永井:各学校のものは学校及び学校協議会が回していくことになる。各学校の計画は委員会に報告してもらっているので、各学校と話をする。教育委員会の計画は私どもでPDCAを回したうえで点検評価することになる。次に第9条については、第3項において、学校協議会の委員は、児童・生徒や教職員の個人情報などを取り扱うことが想定されるため、守秘義務を設けることとした。次に、第4項の学校協議会の所掌事務に関しては、第3号に、「教員の授業その他の教育活動に係る保護者等の意見に関する協議を行い、指導が不適切である教員に対する措置等について、校長に意見を申し出ること校長に意見を述べること」を規定している。

市長:大阪府案では校長への意見申立権になっているか。

 永井:第12条第4項第3号において、府の方も校長に対して意見できるとなっている。

 市長:また議論させてもらう。

永井:第11条について、教職員の勤務成績の評定は、府費負担教職員は大阪府の制度が適用され、市費負担職員は市の職員基本条例が適用される。残る市費負担教員についてはこの条例で定める必要があるので、府費負担教職員に準ずることといたした。第12条については、第2項において、教育委員会が、教員等の研修を奨励するとともに、教育活動を第一に取り組むことができるよう環境を確保することを規定したものである。第13条については、根拠規定を盛り込むとともに、校長が申し出た意見を尊重「しなければならない」から「するものとする」としている。

 市長:それはどう違うのか。

 永井:実務上、校長からの意見は聞くが、しなければならないというように義務規定に見えると、実際の人事をやっていくと校長に誤解を与えかねないため、「するものとする」という表現にしている。第14条については、指導が不適切な教員に対して、第1項で、校長は疑わしいと考えたとき又は学校協議会の申出があったときに、指導や事実確認などを行うこと、第2項で、校長は、事実確認に基づき指導が不適切な教員かどうか判定して教育委員会に申し出ること、第3項で、教育委員会は、校長からの申出を踏まえ、指導が不適切であると認定した教員には指導改善研修などを行うこと、そして第4項で、指導改善研修などを行ってもなお改善が見られない教員は、免職その他の措置を厳正に講ずることを定めている。第15条については、教育委員会が、就学校指定の手続、いわゆる学校選択制の制度を設計し、それを公表することを定めている。なお、制度を適用するかどうかは、区長が、区民の意見をとりまとめて判断することになる。附則関係について、施行期日については、第10条の校長の採用等と、第11条の勤務成績の評定に関しては、大阪府と調整する必要もあるため、府条例案に合わせて平成25年4月1日施行としている。ただし、校長の公募などの手続については、第2項により、24年度中から準備を進めてまいりたい。以上、よろしくお願いいしたい。

 矢野:次に、他の委員の細くなり考えをそれぞれ述べさせていただく。

 高尾:最上のものを出して議会で審議頂きたいので、市長もこれを精緻に見ていただいて、ご意見、ご批判を頂きたい。それを入れてベストなものを作りたい。前文について、大阪府案とは違いが相当表れている。それが妥当かどうかはご議論をいただきたい「子どもが育った地域」は府市両方に出てくるが、私にはそれが何を意味するのかが分からない。第4条第3項と、第7条第2項についての市長の意見を聞きたい。第4条5項については、私は主語を「市長は」とすべきであると考える。

 市長:府の方はどうなっているのか。

 永井:同じ表現になっている。

高尾:第5条に2か所、「子どもの最善の利益」という言葉が出てくるが、馴染みがないので、どういう意味合いなのか把握したうえでご意見を頂きたい。第8条で、家庭教育を入れた。大阪の教育の実態は学級崩壊など大変な状態で家庭がしんどい状況にある。これは前回、経済格差があり、社会的な固定性を打破したい、社会的変動性を確保したいと申し上げたが、解決は難しい。何かできないかと考え、家庭にちょっとした情報を提供することで、家庭が救われる。お金をかけずに効果的な手だてとなるものとして入れた。学校活性化条例第9条第4項第3号については、保護者が自分たちが申立権をもっているのか理解してもらえるのか、もっと分かりやすい表現の方がいいのではないかと思う。その中の典型的な事例として、不適切教員への措置についての保護者の意見に基づいて意見を申し立てるということがいいのではないかと思う。第10条には、外部面接の必要性、外部の知見を入れる必要があるのではないか。

 市長:大阪府案には入っていないのか。

 永井:入っていない。こまかい採用の規定の中でどうなるかはわからないが。小学校及び中学校は府費負担なので、大阪府案に合わせてやっていく。

 勝井:教育は子どものためにあるもので、子どもの最善の利益というのは、ものが言えない子どもでもその時々に応じて実現してあげなければならないことがあるとして、子どもに関わる弁護士の中ではよく使われる言葉である。市長、わかりにくいでしょうか。

 市長:いや。

 勝井:子どもにとって最もいい状態、実現すべきもので書いている。わりとよく使われる言葉である。子どもの発達段階に悪影響のある場合は控えるべきであろうということについて留保をおいているだけで方針として違うことを言っているわけではない。条例を作るのであれば、子どもに何が大事かを検討しており、子どもの意見・意向を一番実現するために、市民が英知を絞るということを条文に入れたいと思っている。前文の子どもが育った地域について、我が国というのは府にはなかったので、大阪市はいろんなバックグラウンドを持った子どもを積極的に受け入れてやってきたので、子どもたちが自分が育ったルーツや地域を大事にしてほしいということで入れており、私としては入れてほしい表現である。

 高尾:私は、誰が子どもの最善の利益を判断するのか非常に難しいという思いを持っている。それと義務教育を定めており、対象は日本国民であり、義務教育では我が国という表現を入れるべきだろうと思う。

 永井:我が国という表現について、我々は義務教育を所管しているので、大阪市という立場から入れた方がいいだろうとして入れている。

 佐藤:子どもの最善という表現は入れてほしい。前回、市長は言わずもがなであるとおっしゃったが、忘れがちであるので入れた方がいい。我が国という表現について我々の間では議論してきたが、この入れ方であれば大丈夫かと思う。それと育った地域は大事なことであり、大阪を愛してほしいと思うので、自分たちが今いるこの場を意識してこのように入れるのはいいことだと思っている。

 矢野:学校活性化条例については、名前を見て内容が分かるようにこのような名称にした。活性化のためには学校が元気を出して頑張ることが大事であるが、そのために教育委員会が積極的な支援をするということも同時に書きこんだ条例としている。

 市長:それは例えばどのあたりか。

 矢野:第12条第2項や第5条第2項、第4条第5項などである。

 佐藤:第12条第2項について、大変な状況にある学校現場において、頑張っている教員を応援しないと、学校現場は良くならないという問題意識があるので、教育委員会としては積極的に支援していきたい。それを活性化条例という名称で表し、条文でも規定している。

 長谷川:教育行政基本条例第8条第2項及び同条第3項については、かなり議論をして付け加えたものである。今の格差の問題から生じる家庭教育の問題、学力以前の問題であるということがかなり議論になった。家庭教育という文言を入れ、家庭の教育力の向上という文言もあわせて入れることによって全体の整合性が出てくるのではないかと考えた。ただ、その中で第3項を別立てにしたのは、生涯学習に結び付けていく最終の着地点が、子どもが持っているものを引き出すという観点と連携があるはずなので、それはのせたいということで、あえて第2項と第3項に分けて内容でつながりをもたせ、最終的に生涯学習までつながっているという形で3番目の項目を設けた。

 矢野:今申し上げたような内容で条例案を検討しており、本日の意見交換の内容を踏まえたうえで、もう一度公開の形でこれを議論して、その次の教育委員会の会議で成案を得たい。

 市長:プロセスとしてはどうするか。今度こちらで検討する形になって、みなさんに成案にしてもらった後に修正する際には、伝える機会は設けた方がいいと思うが。

 永井:条例制定の手続きとしては、我々として成案ができれば、こういう内容で条例を作ってほしいと依頼文を出し、市長で案文を整えるときに、修正があればご報告をいただくことになるかと思う。

 市長:大阪府の条例も教育委員会が作ったものに対して、維新の会サイドで議論がいろいろある。府市統合本部会議はやらなくていいか。

 永井:府市統合本部で出てきた議論は押さえてある。大きく違うのは府立学校条例と学校活性化条例で、高等学校と義務教育で違って当たり前なので、すり合わせる必要はないと考えている。ただ、教育基本条例について、この点は府と合わせるべきだという市長からの指示があれば、府教委と議論することはあるかと思う。

 市長:保護者の申立権がこれで実効性あるかということは議論があるので、また後で議論したい。皆さんでご議論をいただいて、基本的には教育の分野におけることは教育委員会の意見を尊重するが、前文で主語が見えないところがある。我が国、子どもたちが育った地域と大阪を愛するというところは子どもはもちろんだが、教員はどうなのか。前文は教員は対象としないのか。

 永井:府の条例もそうだと思うが、条例の法的な部分は1条以下で、前文は条例を作ることのメッセージを市民に示すということで、教育委員会から市民、保護者や学校へのメッセージであり、当然、教員も前文の対象となる。

 市長:教員もそういう気持ちになってほしいと思うが、そうではない教員もいる。君が代の思想信条の問題でそういう教員もいる。行政の現場としては教員も子どもも「伝統文化を尊重して、それらをはぐくんできた我が国、子どもたちが育った地域と大阪を愛し、大阪にふさわしい新しい文化の創造をめざすことを基本としなければならない」、はっきりと主語は入れてほしい。もう一つは、教育権論争が以前あった。国が持っているのか教員が持っているのか、保護者がもっているのかということだが、どこかは決められない。僕の市政運営の全般にわたる姿勢として受ける側の視点を軸にしたい。例えば事務局では懲戒処分にする際に、子どもにヒアリングをしていない。子どもに聞く手続きをとっていない。子どもの最善の利益というが、実践するということを本気でやろうと思ったら、そこまでしないといけない。前文の「我が国」というところの表現は素晴らく、府と変わっても構わないが、子どもと教員も対象にしてほしい。そこはこだわる。供給者側からメッセージを投げかけるのではなく、ユーザーサイドの視点も前分に入れてほしい。なんでわざわざこんな条例を作ったかというと、子どもサイドの視点で、教育行政をとらえていきましょうということで、これは異論ないと思う。

 長谷川:異論はない。われわれも子どもの視点を入れようとしているので、おっしゃっていることは異論のない内容だと思う。

 市長:それを前文に入れて、どーんと出してほしい。それと教員を主体で入れてはどうか。子どもたちに言っておいて、教員が思わなくていいというのは全然違う。

 永井:条例が成立すれば教員にも当然に適用される。

 市長:当然であっても入れ込むべき。

 勝井:違うわけではないが、子ども、教員を入れると前文として違和感があるので、主語を入れるとしたらもう少し入れ方はあるかなと思う。

 永井:教育にたずさわる全ての者などという言い方はある。ただ、これは供給者サイドの言葉になるかもしれないが。

 市長:なぜ僕らがルールを作ってこれだけこだわって、府市統合本部でもあれだけ議論したのは、理念条例ではなく、はっきりさせようということである。国、地域、大阪を愛するのは教員もそうだということを明確に入れてほしい。きれいに文章をまとめなくてもいいので。実効性を持たせるために。

 矢野:前文の2段落目は教育のめざす方向なので、教員もめざしてもらうのは当たり前で一番中心の主体である。教員という言葉がなくても当たり前。

 市長:それがないから君が代の問題では恥ずかしい状態になっている。

 矢野:おっしゃる趣旨は分かるが、文章として子ども、教員はとするのは。教員は子どもに対する責任を負って教育をするので、教員と子どもを並立的に入れると文章として不自然な感じがする。

 市長:きれいな文章にするつもりはない。ルールだから意味のあるものにしようということで、教員という言葉は絶対に入れたい。入れないとルールとして意味がなくなってしまう。あとは子どもの視点を明確にと思ったのは、第5条で子どもの最善の利益に反しない限りということになっているが、学校選択制につながるので、最善の利益というところで、学校を選択するためには情報を提供しないといけない。僕はもっと具体的な実務レベルの視点で見ている。「子ども、保護者の教育の選択のために」という言葉、教育の選択というようなニュアンスを入れたい。

 矢野:市長の思いはそういうことだとお聞きしたので、今後検討したい。ただ、大阪府の条例を見ても教員という言葉は入っていない。

 市長:これから入れていく。

 矢野:「子ども、保護者の教育の選択のため」について、ユーザー側と供給側という言葉を市長はおっしゃるが、私どもの考えでは、保護者は用意された教育のメニューのどれを選ぶのかということではなく、自分たちが望む教育を教員と作り上げていくというのでなければいけない。だからこそ、協議会という制度を設けて、学校教育に外の人の考えが入るようにする。用意されたメニューのどれがいいのかという話でなく、よりよい教育を一緒に作り上げていくための制度枠組みだと思っている。

 市長:おっしゃるとおりだが、それではだめで、関係者と一緒に作っていくというのは、それこそあたり前の話で、むしろ条文に入れなくていいと思う。懲戒処分をするときに子どもにヒアリングをしないのは、関係者で作り上げていくというときに具体の指示が飛んでいないということである。これだけの大きな組織を動かすには、はっきりとそういうものを示さないといけない。

 勝井:懲戒処分の際には、私は必ず子どもはどう言っていたか質問をしていて、それに対して答えをもらえるので、基本的には聞いてもらっていると理解していたので、今聞いてびっくりしている。

 市長:それは直接被害にあった子どもに聞いているということである。

 永井:当事者には聞いている。先生の評価を第三者としての生徒からは聞いていない。事案を知らしめることがどうなのかという危惧があり、これまではしていない。

 市長:価値観を変えるのはすごい大変なことである。そういうことを知らしめるのはまずいという判断はあったと思う。子ども側の教育の選択という視点にしておくと、そういうことも知らせないといけないということになる。最善の利益という言葉になると、具体の事例をあてはめると、例えば教員が不祥事を犯したときに、そういう事実を子どもに伝えるのかが利益となるのかどうかはわからなくなる。今までの教育現場では教えない方がいいだろうと考えていた。しかし僕はそれは教員を守ったととらえる。教育委員会事務局としては教えない方が子どもの利益になるだろうと。言葉は否定しないが、実際の時に使えない言葉はルールじゃないと考えている。だから、そこに選択という言葉を入れると、いい情報を悪い情報も伝えないといけなくなる。伝えることが選択の根拠になるので。だから、最善の利益だと伝えることがプラスなのか伝えないことがプラスなのかわからないが、選択ということになるといい情報も悪い情報も伝えないといけなくなるので、選択という言葉にすごいこだわっている。インフォームドコンセントはそういう考え方。

 高尾:教育はみんな一緒というのはそのとおりではあるが、これまでのことを考えるとどうだったのか痛切な反省がある。保護者や子どもの気持ちを聞いたのかという反省がある。サプライヤー側の論理に立っていたのではないかといいう思いがある。前文の下から3行目のところに「市民の多様な願いや思いを十分にくみ取りながら」という表現がある。ここがみそである。言い換えれば切実な願いや思いで、それをちゃんとくみ取ろうということである。それから、その少し前の「家庭及び地域住民その他の関係者」というところで教職員も含めているわけで、それは上から5行目の「そのためには、教育基本法の趣旨に則り」のところで「そのために」の後で主語を明確にして、例えば「教職員、保護者、地域住民その他の関係者が、教育基本法の趣旨に則り」と入れてやれば明確になるのではないか。「・・・人間としてはぐくまれるよう図らねばならない。併せて」これこれとすれば明確になる。

 市長:あと事務局でまとめてもらうことになるが、前文の下から4行目の「本市」は、「教育委員会」が主語だと思う。保護者の願いをくみ取る不断の努力を教育委員会がするということをはっきり明記すべき。僕らは選挙があるからそういうことは当然にやる。そこでタウンミーティングをやらないとかはあり得ない。「教育委員会が」ということにしてほしい。それと選択は絶対に外せない視点。最善の利益は入れることは否定しないが、分からなくなってしまう。

 勝井:そういう意味では私はヒアリングすべきであると思っている。被害にあわないとかよりよい状況にすべきというのは子どももいろいろ思っているだろうからくみ上げるべきである。最善の利益を入れているのは、個人的に出さない方がいい情報を、これだと積極的に提供となっているので、ミスリーディングされたら困るという趣旨で入れている。

 市長:入れていただいても構わない。

 勝井:教育の選択のためにという限定的にするかどうかはまた協議させてほしい。施設内容をよくするとか、教育の選択・・・。

 市長:内容をよくするとすると誰がという話になる。実態面で行政サービスがいいか悪いかは提供側の思い込みでしかない。今の成熟した社会では、それに価値があるかどうかは受ける側の選択を基準に使わないと無理である。

 勝井:そこがいつも私と市長の違うところで、7、8割の選べる人の意見ももちろん大事だが、2、3割の声を出せない人の思いは行政として最もくみ取らないといけないところだと思う。

 市長:それはそうだが、多くの声を無視してはいけない。今までの理屈は少数の意見が重要だということになりがちだったが、まず多くの人の声を聞いてそれにしっかり応え、それにプラスして、声を上げられない人たちの声をしっかり汲む。できる人の選択は尊重しながら、2項になるのか次のところで、選択ができない人のためにパターナリズムで行政がしっかりフォローしていきましょうということだと思う。

 勝井:その主従というか感覚が少し違う。デメリットが多いのならそれを最大限下げなければならない。もし選択制に何らかのデメリットがあって、それが回復できないなら、それは避けるべきだと考えている。

 市長:デメリットは誰が判断するのか。

 勝井:それは我々の中なり、いろんな良識の中でやらなければならない。それを選挙民に委ねるのはどうかと思う。

 市長:それはいろんな議論で専門家がよく言うことである。やっぱり判断できない人のために判断権者が判断するべきだということになる。

 勝井:制度設計の中でなるべくデメリットをなくすべきということを言っている。

 市長:原則は選択にゆだねる。ただ、そうではない場合もあるだろうから、そういう場合は入って行って違いますよということは必要だと思う。どっちが軸かといえば、住民や保護者の選択を第一に考えないといけない。哲学的なところになるので、そういう意味では前文のところで、今までの教育が、学者は教育は専門的な領域だから教育現場の方が提供してあげる、選択になるととんでもないことになるという考え方だった。しかし僕はそうではないだろうという考え方にシフトしているので、そこを明示できるかどうか。有権者、保護者を信じましょうということである。それを貫くと不適格教員の申立権につながってくる。

 長谷川:私は反対ではない。今までの閉塞感の打破という観点で振れ幅を大きくしようとしているのだと思う。心配するのは行き過ぎの問題。今のところはバランスの問題なので我々にも議論させてほしい。子どもたちの視点を選択という観点でとらえているということが分かった。振れを大きくしたいためにやりたいということもわかる。こういうものは長く続くのでバランスを考えながらしないといけない。私らは長期の視点を意識して作りたい。市長の思いも加味しながら、どこらへんが着地点なのかについて議論したい。子どもたちの利益という観点は私もそう思うが、前文の主語に点について、私も教育委員会がいいと思うが、現状では限界がある。もしそういう風にするなら仕組みを含めて我々も言わせてほしい。

 市長:後で言おうと思っていたことだが、みなさんお仕事があるので全員は無理としても常勤的な教育委員をおくことに挑戦したい。みなさんと議論して。そういうことも必要ではないかと思っている。今の体制でそこまでくみ取ってくださいというのは無理なので、仕組みが必要なのはおっしゃるとおり。

 佐藤:前例ということがいっぱいある。いろんな改革がなされてそれがどうなったかを知った上で判断しないといけない。閉そく感があるからこれだということではだめだと感じている。情報をきちんと示してあげれば有権者の判断ということもあるかと思う。もう一つは子どもに話を聞いてほしい。意外に子どもは本質的なところを見ている。選択制についても子どもの意見を聞いてほしい。親は親の思いがいっぱいある。今回学校協議会に子どもの意見を反映してもらうことを入れたのはそういうことである。自分の問題としてとらえてもらうのが第一歩である。

 高尾:説明責任を果たすべきだと強調しているのは、本人や子どもたちが決断するためである。しかも決断したことに対して責任をとってもらうために説明責任はある。情報公開をする、説明責任を果たすということは本人・保護者の判断に資するためにという内容を入れないといけない。

 市長:教育はこれまで、ほどこすものということ、提供してあげるものという考え方だったが、これからは有権者を信用しますか、保護者を信用しますかということであり、ふれすぎについて表現は工夫するが、選んだ限りは責任をとってもらう、そこまでを求めるかどうか。ふわっとした理念条例は作っても意味がない。今回は、選択・判断・責任という言葉はしっかり明文化しないといけない。だからといって教員サイドに役割がないわけではなく、教員がしっかりフォローし、サポートするという姿勢に転換しないといけない。なんのためにやっているかというと、保護者、子ども再度の方の選択と判断と責任に対して一生懸命サポートしていきますという姿勢が必要だし、そういうように転換していかなければならない。表現は別にしてそういう価値観が出るかどうかと思っている。

 矢野:いただいた意見は教育委員で議論してどうまとめるか検討する。

 市長:みんなで作っていくというのは否定しないが、根本の軸はどうなのかをしっかり示さないといけない。活性化条例も名称はこれでは大賛成。校長の採用に外部面接ということが飛んでいるが、これは規則ということになるのかもしれないが。一番は第9条。指導が不適切な教員に対する措置について、僕がもともと考えていたのは2ルートあり、校長が指導研修に送りこむルート、もうひとつは、校長の判断とは別個で学校協議会で完結しないといけない。そちらの申し立ては自動的に研修に入れる仕組みにしないと今までと変わらない。今の校長と教員の関係ではなかなかここまでふみこめる校長はいないと現場教員は言っていた。公募制にしてそういうことができる校長に張ってもらえばいいのだが、校長が送れるルートと、モンスターペアレント的な意見は精査してもらって、協議会で機関決定したら、学校長への意見具申ではなく、そこはまさに選択と責任という意味で、学校協議会で機関決定したら指導研修に入れてもらわないといけない。その前提で相対評価を外した。

 永井:府の方も一緒だが、学校協議会には校長は参加しない。校長は学校協議会から聞くという立場で、直接聞くということは校長の目を通さずに、学校協議会が直接教育委員会にということをおっしゃっているのか。

 市長:職員基本条例では人事監察委員会を作って、適格性については第三者に判断してもらうことになっている。この不適格教員も外部の目が必要。ビジネスマンだけでは難しいという話をもらったので、教員OBということあったとしても、大阪の教員OBは学閥や退職OBとの関係はものすごいものがあるので、適格性チェックの委員に大阪の教員OBを入れてもきちんとした判断ができないだろうから、九州や北海道の方からお願いをして適格性チェックをしてもらいたい。適格性をチェックする機関に対して協議会から直接申し立てる、校長も直接申し立て、適格性の調査に入る、この仕組みを作らないとだめ。学校協議会が申し立てをするにあたって、事実などの資料を集めるとなると協議会が動かなくなるので、校長はいつも教員を見ているので、校長は資料を集めてチェック機関に申し立てると、学校協議会の方はある意味機関決定して申立したら、あとはチェック機関で判断してもらえればいいと思う。

 永井:実務的に整理して大阪府と相談したい。

 市長:そこが一番のこだわり。選択と責任と判断を重視しない人の考え方だと、協議会で本当に正しい判断ができるということになると思うが、正しい判断ができようができまいが、保護者サイドの選択と責任だというように考えることができるかどうか。

 永井:申し立てた責任は協議会がとることになる。これまでは校長が責任を持ってあげることになるが、学校協議会が責任をとるという立て方になる。

 市長:学校選択制の手続きはこれからやるということか。

 永井:手続きに関して必要な事項定めて公表する。区民の集まりの意見を反映してと考えている。

 市長:情報提供に関しては、保護者が嫌がることまで公表とは考えていないが、学力が低い地域と高い地域ははっきりしている。その時に子どもの最善の利益となると、学力が低い地域の結果は公表しないということにこれまではなっていた。選択という話になるなら、そこはあえて出さないといけなくなる。そういう価値観に変えられるかどうか。

 永井:この条例では学校評価を公表していくということで、選択制の場合は、協議会による学校評価を出していくことになる。そこで考えてもらいたい。各学校・協議会で知恵を出してもらうことになる。

 市長:差別があるようなところは行政としてお金をつっこんで変えていこうと思っている。そういうところが改善すれば、おのずからここがよくなりましたよと出していきたくなると思う。格差にふたをするのではなく、改善してもらって、子どもたちに選択をしてもらうような形で、学校選択制で子どもたちを呼び込むために、地域や学校がこう変わったと言える状況にしていきたい。今は格差があることにふたをして見えなくしているだけ。これは子どもの最善の利益に資していない。供給者側の論理になっている。もっと本当の意味での子ども・保護者の視点に立ってほしい。

 長谷川:今回平成24年の指針には数値化する項目を入れてもらった。そのときに教員を含めてマイナスのところのフォローをどうするかということをもっと打ち出すべき。西成の方向性を出されているのはいいことだと思う。数値化をすることにおいては、点数の高さでなく、どれだけ上げたかが重要。どれだけあがったかを評価するようにすれば、先生の努力が見えてきて、先生方も達成感が出る。

 市長:府知事時代、平均を下回ったところに10億円のお金をつぎこんで人を配置するというやり方をした。数値化してまずいところはサポートしないといけない。

 長谷川:悉皆でテストしている努力はすごい。かなり改善してきていると私はみている。これだけのデータあるのにもったいないと感じている。

 佐藤:学習困難校では家庭の問題がそのまま出ている。子どもたちは自分の相手をしてくれる人を求めている。バウチャーは教育意欲がある家庭はいい効果が出ると思うがそれ以前のネグレクトされている子どもに対してどうするか。先生方は大変な思いをしている。A問題はあがっているが、コミュニケーションや家庭環境が影響するB問題に課題がある。かなりきめこまかいことをしていかないと成績が見えるようにならない。やれば確実に上がっていって、子どもたちの成長につながる。個々人の目標だったらいいと思うが、この点でなければならないということになると、余計に落ちこぼれが出ると思う。

 長谷川:行政基本条例で西成でやられていることが第8条第2項で出ている。点数だけではなく、勉強以前のところをしっかりとフォローすることによっても学力はあがると我々は思っている。そこをしっかりやっていくという観点で8条はとらえている。

 市長:あとは条例に入れるかどうかで、義務制は難しいと思う。府は高校なのでグローバルな人材という言葉を入れているが、これまでの公教育は凝り固まった価値観があって、困難な子どもを助けることが公教育と言い過ぎである。少数者も大切だが、お金がなくても頑張っている子も圧倒的に多い。多数者に対する配慮がなかった。意欲的な子も支えていきますよということもこれまで言ってこなかった。公教育は僕は両方あると考える。そこは何とか入れたい。

 矢野:公立学校教育はやはり全ての子どもが学ぶということが前提なので、市長と我々で大きな違いはない。

 市長:それが現場におりるとなかなかそういう考えではない人も多い。

 矢野:かつてはそういうこともあったと思うが、今はないと思う。

 永井:振興計画のスローガンが「ええとこのばそ」で、要するに子どもの可能性を伸ばすこと。子どもの状況に応じてきっちり力をいれるようにしている。ただ、各学校での先生の関わり方に違いはある。

 長谷川:活性化はそういう意味で使っている。思いは同じ。

 高尾:エネルギーがどこに投入されてきたかというと、しんどい人に向けられていたのは事実である。義務教育が6歳になったら入学で、あとはどういう状況でも15歳で卒業となる。本当は成績とかそういうことも考えないといけない。機械的に卒業してしまうことが多かった。そういう中で習熟度別学級編成をやる、主な目的はわからない子どもたちに知ってもらうことで、一方頑張っている層への支援という観点は足りなかったかと思う。

 矢野:習熟度別学級ではなく、習熟度別授業をしているので、それは学力のモチベーションの低い子も、学力が付いている子もそれぞれが伸びるようにしている施策なのでそれは誤解。

 長谷川:習熟度別授業をしたり、悉皆で学力のデータを集めたりして、市長がしたいことの準備はかなりしている。準備はしてきているので一気に進む可能性はある。子どもたちの自己実現するための数値化に異論はないし、レベルを上げることに一生懸命になるという方向性出せるなら、教育委員会が準備してきたデータがかなり使えると思う。

 市長:校長に人事権、予算権、申立権を与えている、これは大変なことになると思うが、本当に大丈夫か。統合本部でも出たが、勤勉手当の査定を校長に渡すことを入れてほしい。

 永井:それは大阪府の条例で決まることである。

 市長:校長及び教頭の給料アップも府に言う。尾木さんから留年ということについての発言があったが、それについてはどう考えるか。子どものためになると思うが。

 矢野:ヨーロッパ、特にフランスでは昔から小学校で留年制を導入している。しかし最近は反省が生まれ、厳格な課程主義は逆効果で、子どもの学習意欲をそいでしまい、学力にいい影響はないという研究結果が出ている。そこで完全にはなくなっていないが、規制をかけている。同時に別の手だてとして学力に課題のある子については、保護者と学校が協定を作り、その子のための学習の個別計画を立て、それを実行することによって学力を引きあげている。留年に頼るのはフランスでもやめる方向にある。

 市長:厳格なものは問題あるが、無条件にあげるのも問題。教科ごとで習熟度別みたいに、4年のある子を算数だけ3年にするとか、そういうことをすればどうか。1クラスの時間だけなので、それが終われば元の学年に戻ってくるので。

 高尾:おもしろい考え。一つは、年齢でやってしまうと、学力がついていない人も押し出してしまう。ある程度目標に到達しないとできないということを考えると、多様な年齢で学べるメリットもある。将来的には少子化なので、下に留めおいても大丈夫。後は劣等感の問題をどうするか。不登校になったりする問題がある。どっちが本人の利益になるかということある。上の学年に行くほど学力差が広がるので、下の学年ほどしっかりやり、おすことはせず、上の学年に上がるとある程度の到達という観点も入れないといけない。今の日本では難しさはある。しかし突破口がある。それは中高一貫校。中高だったらピラミッド型で構成できる。中学校2年生の子が3年生の授業を聞きに行くことはできると思う。やらないといけない。

 矢野:子どもがもう一度やりたいと言えば今もできる。子どもが本当に何を願っているのか。子どもの最善の利益は何なのか。

 永井:共通しているのは、子どもにとって何がいいか。小中一貫した教育をすることで、中学校の教師が小学校でどのように教えているのかわかった。どこで躓いたのかわかったので指導できる。実際は放課後補習している。小中一貫することにより、今よりいいほうに行くようにしたい。残すことのダメージが余りに大きいので、今後子どもにとって何がいいかを引き続き議論。

 佐藤:早い段階で気づいてきちんと手当てをすることが必要。最初のつまづきは小さなもので、小中一貫教育でしっかり見ていく。少しぐらいクラスを戻ることがあってもいい。自分が学ぶためにはそういうことも大事なことだという視点をもってもらうことが必要。高校の中退率が高いのは、小中のつまずきが原因である。落としていくのではなく、上げていくようなことを考えた方がいい。

 市長:学校のマネジメントの中でそういう発想がなかった。今まで下の学年へ行ってやっていいということをやってこなかった。校長の裁量に任せてもいいように。

 永井:小学校は1歳の年齢差というのは大きいので、下のクラスにいくということは教育的には課題が多い。児童にあわせて下の学年の復習を担任がするという仕組みをとった方がいいと思う。

 市長:本当に子どものことを考えたら、クラスを分けるのか、5年のついていけないクラスをつくるのか。

 永井:個別指導になる。放課後に到達段階に応じたその子に合った、学年を超えた補習のような形になるかと思う。

 市長:分からない授業を聞くほど苦痛なことはない。

 永井:わかるレベルまで下げていかないといけない。

 市長:府教委では高校だったので議論は深化しなかったが、分からない授業を聞きながら放課後に別に時間をとって補習するのか、わからない授業から切り離してあげるかである。

 永井:習熟度は近いが、基本は普段の授業は聞きながらということ。

 市長:それは供給者側の論理。

 永井:わからない授業を聞くことと、同じ年齢の子どもと一緒にいるというメリットを議論しないといけない。

 市長:本当に子どものことを思ったら、同じような体格の子と苦痛な授業を50分受けることと、体格が違い違和感があるかもしれないが苦痛な授業から解放することとどちらがいいか。勉強量が足りないということもあるが、苦痛な授業を受けることがつまずきの大きな原因と聞いている。

 長谷川:市長がそこまで柔軟な形で考えるなら、もちかえって検討したい。私の学校では、成績の悪い子を落としていた。留学生だから必ずしも一緒ではないが、落としたら、その子たちはものすごく士気が下がり、帰国してしまうということが続いた。ある時期から落とすのはやめて一緒にあげて、しかし教えあう仕組みを作ってやろうとしている。私たちはクラスコミュニティという言葉を使っているが、コミュニティができると、成績のこともあるが、出席のことも、例えば休んでいる子に自分たちが電話するようになる。支援しあう関係の場づくりに先生が一生懸命になってもらえれば、教えあうことも含めて仲間として協力するという仕組み作りも私はあると思う。方法論はいろいろあるので議論させてもらいたい。

 高尾:年齢が違う人が入っても、同じように教えあうことは可能であると思う。やはり保護者の理解も非常に大切だろうと思う。卒業は非常に重い。可能性をとめおいて奪ってしまう可能性もある。また、一芸を認めていいのではないかと思う。学科は駄目でもこれはすごいというものがあれば校長の判断で卒業を認めてもいいのでは。そういう裁量があってもいいのでは。

 市長:方法論は教育マターだと思う。学校の先生に聞くと教えあいは全部が全部できるわけでない。僕は分からない苦痛な授業から解放するべきと思う。今は学年の流動性がない文化であるが、それが当たり前のようになる風土にしていくことが必要。流動性に時間がかかるなら、そういう子を集めて、お金は入れるので、義務的に一定の期間、1週間とか2週間とか、特別学級を地域に設けて集中的にやるというようなことをシステマチックに制度化してすればいいのでは。区ごとにするのか地域ごとにするのかはあると思うが、大々的な習熟度をすればいいのでは。それはやりたいと思うので、クラス間の流動化の制度に時間がかかるなら、本格予算にはそういう事業に予算をつけたい。

 矢野:おっしゃっているところは学校が本当に悩んでいることであり、いろんなアイデアがあり、すでに有効に機能しているものもあるので、問題提起をいただいたということで我々として議論したい。

 永井:平成24年度の予算に間に合うようにしたい。

 市長:学校選択制はこれから議論してもらいたいが、地域の学校に行かせるというのはナンセンス。子どもに合う学校に入れられる、子どもに合ったクラスに入れるというのがいい。ある程度のレベルまでは意地でもあげてから元のクラスに戻す。1年間全部切り離すのは課題があるので、一定期間、各地域の子どもを入れ替えででもできないか。

 矢野:時間なので教育委員の一部常勤化はまた別の機会に議論したい。ただ、我々は非常勤という形で任命を受けた人間としては、その仕組みでその職責を全うするよう努めており、常勤化についてどう思うかというと、自分が委員になった制度の在り方ということなので、そこはちょっとということはあるが、教育委員の中でも議論したい。

 市長:文言は事務方で検討してほしい。指導研修の申立権についてもう少ししっかり入れてもらいたい。目安箱はどうなったのか。

 永井:やる。文書を出す。合議制なので、お集まりになったときに見ていただこうと考えている。

 市長:圧倒的に事務処理のシステムが大変という声が多い。パソコンを普通に使っている僕らの世代では手書きで文書を作れというのは無理である。指導要録は手書きでないとだめなのか。

 永井:いつも委員からはIT環境が遅れていると怒られる。指導要録は22年から文科省が手書きでなくていいと言っているのでそこは変えていくが、1人1台パソコン環境にないということがある。以前本庁舎が一人1台パソコンを導入する際、学校現場もそういうようにお願いしたが、結果的に費用対効果で認められなかったという経過がある。

 市長:教育委員会からの照会事項はFAXで流しているのか。

 永井:メールで流している。学校では教頭が文書を打ち出してコピーし一人一人に配っている。一人1台パソコンをもつようになればそういった業務が軽減される。ただ、1万人からいるので費用がかかる。

 市長:教頭の事務処理が大変である。あと先生は自分のPCを持ち込んでいるみたいだが。

 永井:それはある。ただ情報管理の関係で、できるだけしないようにしている。

 市長:LANにつなげるのか。

 永井:接続できる台数は限られている。22年の国のIT予算がついたときに、子どものパソコンを優先して整備し、教員の校務用パソコンは後回しにした。

 市長:海外では、みんなPCで処理をしている。フランスでは親とネットでつながっている。今はそういう時代である。

 矢野:日本は諸外国からIT面で後れをとっており、大阪は日本のなかでも後れをとっている。

 永井:学校事務の改善の形で、各学校からアンケートを終えて、ヒアリングを始めている。

 市長:予算はいくらぐらいかかるのか。

 永井:教員は1万人以上いるので。システムの構築にもお金がかかる。

 市長:でも、やっていくべきだと思う。

 永井:市長の応援をもらいたい。

 市長:まだ無駄もあると思うので、そこを削って。その代わり教員に意識改革をしてもらいたい。これまで教頭が取りまとめをしていた事務について、教員に直接送信できるようにすればそれだけで教頭の事務軽減につながる。大きな課題だと思う。次は学校外バウチャーと学校の事務処理のIT化。統廃合の問題があるので、どこまでするかはあるが。指導要録は手書きではなくなるのか。

 永井:今は手書きだが。

 市長:入試の内申書は。

 沼守:それはOKである。指導要録については変えていくが、小学校では6年時まで引き継いでいくものなので、順次変えていく形をとるのか、新入生から変えるのか、学校負担にならないようにやり方を考えたい。

 市長:それをコピーでいいとかいうのは。

 永井:中学校に進学するときに、写しを作るのだが、それは原簿のコピーで問題ないので、そのへんが周知できていないなら周知しないといけない。

 高尾:ハードが入ってもソフトの部分もきちんと考えないといけない。僕の体験で言うと、パソコンが入っても仕事が楽になったかというとそうではないことがある。そういうことも考えないと。

 沼守:どっちもできるというように縛りをかけない形で考えたい。

 市長:いまやメールでやり取りするのが当たり前の時代なので。IT化はぜひ進めていきたいので、本格予算の際に議論したい。

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