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【第23号】「子どもの発達過程を知り、ゆったり子育てを楽しもう」神戸大学大学院人間発達環境学研究科准教授 北野 幸子

2019年3月20日

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 職業柄、多くの子育て中の方から、相談を受けます。幼い子どもと触れ合う経験が少なければ、なかなかその時期の子どもの特徴がつかめず、見通しも持ちにくいことでしょう。子どもの発達の過程を知っていれば、もっとゆったりと子育てを楽しめるのに、と思うことが多々あります。

 もちろん、一人として同じ子どもはいません。よって、子育てにはマニュアルはなく、難しい点も多くあります。しかし、子育てには、常に新しい発見の連続があり、多くの喜びがあります。保護者の方が、子どもの発達の過程に応じた子育てを楽しむことができるように、このコラムがそのヒントとなれば嬉しく存じます。

できたか?できなかったか?といった結果より、プロセスを大切に


 同い年のお子さんを育てている保護者の方は、同じような不安を抱いておられる場合が多いです。見方を変えれば、同じ不安や悩みがあるということは、それがその年齢の子どもの特徴であるともいえます。

 例えば、食事について考えてみましょう。「むらぐい」「ばっかりたべ(偏食)」「食事中に立ち上がる」といった相談を2歳児前後の子どもの保護者の方から良く受けます。ということは、こういった姿がその時期の子どもの特徴である、とも考えることができるのです。

 子どもを叱るのは保護者にもストレスです。この時期の子どもがこういった特徴があると知っていれば、「できるようにせねば」「できたかどうか」といった結果ばかりにとらわれず、「正しいことを伝え教え続ければ、いずれできるようになる。今その過程にある。」と思うことができます。「すぐにできるはずがない。すぐにできなくても良い。」と余裕をもって欲しいのです。

 もちろん、「好き嫌いをなくそうね」「一口は食べてみようね」「食事中は立ちあがりません」と正しいことを必ず伝えなければいけません。今できなくても、根気よく伝え続けていけば、少しずつ、出来るようになります。大切なのは、凛として一貫した態度を保護者が取り続けることです。

自己主張への対応の仕方


 幼児期は自己主張が強い時期と言われます。例えば、2,3歳の時期の子どもは「やだっ」「ダメ」「自分が」といった言葉をよく発します。一見、大人には反抗に見えますが、実はけっして大人に反抗しているのではありません。自分への自信と期待、意欲の表れなのです。子どもの「いやだ」「ダメ」に同じ目線から「いや!じゃないでしょう」と一緒になって怒るのではなく、「おぉ、自己主張するやん。大きくなったんやね。」と余裕をもって対応したいものです。キャリアのある有能な保育者の先生は、命令語・指示語よりも、誘い語・疑問語が多く、ほめ上手・促し上手だといわれます。

 むしろ、自信と意欲がたくさん出てくるように、子どもが十分に「自分」を発揮できるように、促して欲しいと思います。子どもを褒め、誘い、選択肢を与えて選ばせることにより、逆に自己主張に対応しやすくなります。

知りたい、できるようになりたい:探究心を大切に


 自己主張が強い分、この時期は人生のうちでもっとも探究心、好奇心が旺盛で、チャレンジ精神に満ちている時期です。「面白そう」「どうして」といった気持ちが強く、多いに五感を活用して体験的に多くのことを学んでいきます。

 自然・生活・人が、子どもの学びに多大な影響を与えることが分かっています。人工的な体験ではなく、与えられた知識ではなく、自然に生活の中で、人との相互作用のもと、まずは触れあう、親しむ、楽しむことから、子どもの知的な発達が豊かに展開することを大切にしましょう。

 体験がもとになって、子どもたちは、「さらに知りたい」「もっと(あんなふうに)できるようになりたい」といった気持ちを抱きます。そして深く詳しく知ったことを「伝えたい」、できるようになったことを「見て欲しい」という気持ちが育っていきます。これらは、人とかかわる力、社会性の大切な基礎となります。

知らんまに、できるようになっていた、知っていた:目的志向型ではない学び


私は小学校1年生になるまで、我が子に一切お稽古ごとをさせませんでした。18歳から乳幼児教育を専攻し、幼児期には一斉に与えられた経験ではなく、子どもの主体的な遊びと生活、その中での多様な経験こそが大切であると学んだからです。

 「めあて」を持って学ぶ、目的志向型の学びは小学校以降の子どもの発達にふさわしい教育方法です。幼児の発達にふさわしい教育は、同じ時期に同じ内容を同じ教材(教科書)をつかって教える小学校教育とは大きく異なるものです。

 与えられた経験ではなく、自らが選んだ経験の中で、「知りたい気持ち」「できるようになりたい気持ち」がわき出てきます。それに大人が十分に応えられる力があれば、気付いたら子どもたちは、与えられた経験から得られる以上に、驚くほどたくさんの知識と技術を身につけます。

 子どもは教えれば英単語もいくらでも覚えますし、練習すれば計算もどんどん早くなり、特定の運動を限定的に繰り返しすれば、早くできるようになります。しかし、今この時期の発達にふさわしい教育は、ワークシートでも、トレーニングでも、刺激に反応させる暗記でもありません。

 子どもは、自己を思い切り発揮しながら、遊び・生活の中で、気付いたら驚くほど多くのことを学んでいきます。その育ちの過程を楽しみながら共に見守っていきましょう。

(注)子どもの発達について、より詳しく知りたい方は、「保育所保育指針 第2章 子どもの発達別ウィンドウで開く」をご覧ください。

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