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【第29号】「不登校~子どもに『学校に行きたくない』と言われたら?~」女性ライフサイクル研究所 渡邉 佳代

2022年10月30日

ページ番号:221514

子どもに「学校に行きたくない」と言われたら?


 学齢期の子どもがいる親であれば、一度くらい子どもに「学校に行きたくない」と言われたことがあるのではないでしょうか。私たち大人も、「今日は仕事に行きたくないな」「何となく嫌だな」と思うことがあるように、疲れている時、不安や心配事がある時、解決しなければならない問題が生じた時などに、子どもが「学校に行きたくない」と訴えることは自然なことです。
 ちょっとおっくうになっているだけ、ポンと背中を押してもらえれば行けるということもありますが、何らかの理由で疲れがたまっていて休息が必要だとか、解決しなければならない問題を抱えていて、学校どころではないということもあります。子どもの年齢や発達段階、その子が抱えている課題によって、状況に応じたサポートが必要です。

子どものストレスサイン


 不登校はいきなり始まるわけではなく、普通、初期状態があります。次のような反応は、しばしば、子どものストレスサインです。
【身体の不調】登校時の腹痛、頭痛、発熱、めまい、倦怠感など
【生活面の変化】不眠、朝起きられない、食欲の低下、過食、生活リズムの乱れなど
【学校内での変化】遅刻、早退、保健室・職員室周辺によく行く、交友関係の変化など
 このような兆候が見られる時、一時的に遅刻や早退、保健室の利用なども考えてみることもできます。大切なことは、子どもの様子を見守りながら関わることです。子どもが何らかの困難を抱えていることを理解して、普段より手厚い配慮をしましょう。

体の不調を訴え続ける場合には


 子どもが体の不調を訴え続ける場合は、病院で診察してもらう必要があります。体に問題がないと言われても、症状が続く場合は「心因性」と考えられます。心と体は密接に関係しています。体の症状として表されるのは、自分のしんどさを言葉にして表現できない場合、表現しても受け止めてもらえない場合、本人がそのしんどさに気づいていない場合などが考えられます。まずは、子どものしんどさを理解して、「体はどこも悪くないんだって。良かったね。安心したよ」と伝えましょう。
 心因性の身体症状は、子どもが言葉で自分のしんどさを表現して、周りに受け止めてもらえるようになれば、自然に消えていきます。「自分の気持ちを我慢したり、気づかないでいたりすると、体がSOSのサインを出して、頭痛や腹痛が起きることがあるんだって。“思い通りにうまくいかないな”とか“~したいのに我慢しないといけない”とか、そんな“困ったなぁ”ということはあるかな?」など、話題にすることができます。
 体の困りごとをきっかけに、心の困りごとに気づく子どもたちは少なくありません。どんな時に症状が出るのか、何故、症状が現れるのかを子どもと一緒に考えてみると良いでしょう。保健室で少し休めば良くなるのか、誰かに話を聞いてもらったら楽になるのか、自分の心と体とのつきあい方を考えてみましょう。日頃から、自分の気持ちを言葉にしたり、小さなことでも自分でいいなと思うことを選ぶ練習をするのも良いですね。

不登校になった時には~親子を支えるネットワークづくり


 子どもの不登校には、環境調整が必要な場合、休息が必要な場合、学力面への支援が必要な場合、対人関係での困難がある場合、専門的な支援が必要な場合…など様々な背景が考えられ、複雑に絡み合っています。
 気がかりなことがある時や、学校での子どもの様子を知りたい時には、まずは担任の先生に相談してみましょう。家とは違った子どもの様子や学校での課題を知る手がかりがつかめるかもしれません。また、子どもが外に関心を向け始める時期にも、学校の先生の力が必要になってきます。学校での行事を知らせて誘いかけてもらったり、学校での受け入れ体制について、一緒に考えてもらうことができます。
 子どもの不登校を理解するために、専門家を利用することもできます。学校ではスクールカウンセラーを利用できます。学校の先生とは違った立場の専門家から、今は見守っていたら大丈夫なのか、それとも何か手を打ったほうがいいのか…などの方針を考える上でも参考にできます。
 大切なことは、子どもの不登校を家族で抱え込まずに、親子のサポート・ネットワークを築いていくことです。子どもも親も、たくさんの人のあたたかい眼差しや支えられる体験によって、変化と成長をしていきます。親自身が周囲のサポートを得て、失敗しながらでも子どもと向き合い、それぞれの対応を見出していこうとする姿勢こそが、子どもにとって大きなサポートになっていくでしょう。


【参考文献】FLC21子育てナビシリーズ10『不登校とのつきあい方』村本邦子・渡邉佳代著 三学出版

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