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平成25年第3回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:246069

平成25年第3回教育委員会会議

第3回教育委員会会議録

 

1 日時  平成25年1月21日(火曜日)午後4時00分~午後6時00

 

2 場所  大阪市立中央図書館大会議室

 

3 出席者

長谷川惠一  委員長

高尾 元久  委員職務代理者

矢野 裕俊  委員

大森不二雄  委員

 

永井 哲郎  教育長

荻野 哲男  教育次長

沼守 誠也  教育次長

浅野 宏子  総務部長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

山田  昇  生涯学習部長

大継 章嘉  指導部長

上林 幸男  教育事業監理担当部長

森本 充博  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

徳岡 信英  学事課長

森  知史  高等学校教育担当課長

藤巻 幸嗣  総務課長

松浦 令   総務課担当係長

 

4 次第

(1)長谷川委員長より開会を宣告

(2)長谷川委員長より会議録署名者に矢野委員を指名

(3)議題

議案第5号 大阪市立桜宮高等学校生徒死亡事案への対応について(その2)

(4)議事要旨

議案第5号「大阪市立桜宮高等学校生徒死亡事案への対応について(その2)」を上程。

大継指導部長及び小川学校配置計画担当部長からの説明要旨は以下のとおりである。

桜宮高校の事案に対する認識について。

さる1223日、桜宮高校2年の男子生徒が自宅で自ら命を絶つという痛ましい事案が発生した。教育委員会としては今回の事案を極めて厳しく受け止めている。

本事案については、顧問教諭はもとより、その指導を点検し改善できなかった学校・教育委員会の問題点を今後検証し、責任を明らかにしていく。

また、教職員の意識において過度の厳しい指導を容認しながら、運動部の実績を競い合う体質が生まれていたのではないか、顧問教諭の指導を期待する人々の意識も厳しい指導を容認する体質の醸成に繋がり、それが暴力行為等を生む背景となったのではないかという点についても、今後明らかにしていきたい。

今回の事案に対し、桜宮高校の全校生徒の中には、自分たちがこれまで取り組んできた活動全体を、世間から否定されているように受け止め、傷付いている者も少なくない。在校生への温かい配慮と支援が極めて重要である。

二度とこのような事案が起きないよう、部活動をはじめ全ての教育活動において一切の体罰・暴力行為等を排した新しい教育方針のもとに、健全な学校運営を実現できるマネジメントを確立すべく、教育委員会が積極的に支援を行い、在校生や保護者、学校関係者の協力を得て、桜宮高校の新しい伝統を築くための抜本的改革を行う。

改革の柱について。

・学校体制の抜本的刷新を行い、体罰・暴力行為等を一掃し、学校の体質改善をすすめる。

・信頼と誇りを取り戻し、生徒・保護者・市民とともに先進的な学校づくりをすすめる。

・豊かな教養と幅広い人間性(他者を慈しむ心)を最重視し、その基盤の上にスポーツマインドを持った人材を育成する。

桜宮高校改革プラン(案)について。

1 部活動改革

部活動から、体罰・暴力行為等を伴う指導や、勝利至上主義に基づく指導を排除し、豊かな人間性を育む教育活動の場とする。

2 カリキュラム改革

すべての授業・部活動の年間計画や実施状況を公開し、管理職が日常的に視察・点検するとともに、人間性を重視した新しい指導のあり方を追及するスポーツモデル校をめざす

・他者を慈しむ人間性重視の教育

・勝敗や技能よりも人格形成をめざすスポーツを通じた徳育の推進

・保護者・生徒・教職員によるスポーツ理論研修会の定例実施

・生徒による市内小中学校へのボランティア活動等の社会貢献を実施

3 マネジメント改革

・管理職を校長、副校長、教頭2名の体制とし、外部人材を積極的に登用する

・スポーツ・マネージャーの配置

・生徒・保護者、教職員の相談窓口の設置

4 ガバナンス改革

管理職・体育科教員の刷新を早急に実施。外部人材の積極的登用を図り、風通しのよい 市民に開かれた人事の実施。

・コミュニティースクールをめざす

・市民(区民)に開かれた学校づくり

次に、大阪市立桜宮高等学校の体育科、スポーツ健康科学科における平成25年度入学者選抜の実施について。

平成25年度の大阪市立高等学校の入学者選抜について、前期入学者選抜は、出願日が213日、214日、学力検査等は、220日、21日、合格者の発表は、226日に行う予定となっている。

大阪府下の私立の高等学校の願書の受付は21日から始まり、試験は、29日、10日に予定されている。

市立桜宮高等学校体育科及びスポーツ健康科学科の入学者選抜を実施するか、停止するかについて、2つの案を示す。

案1について。

新しい桜宮高等学校とするため、学校体制の抜本的刷新を行い、すべての授業・部活動の年間計画や実施状況を公開し、カリキュラム改革を行い、人間性を重視した新しい指導のあり方を追求するスポーツモデル校をめざす。

そのことを踏まえ、前期入学者選抜において、体育科・スポーツ健康科学科の募集人員120人3学級分について、募集学科を前期選抜の普通科に変更し、府内全域から募集する。  

検査教科、実技検査及び配点は、国語(50)、数学(50)、英語(50)、運動能力(30)、運動技能(120点)とする。この検査教科等及び配点は、体育科・スポーツ健康科学科の検査教科、実技検査及び配点と同じであり、実技検査の種目も同じである。

この前期選抜の普通科は、スポーツに特色のあるカリキュラムの編成とする。

平成26年度の学科のあり方については、桜宮高等学校改革プランの進捗状況に応じてあらためて検討する。

案2については、平成25年度大阪市立高等学校入学者選抜方針及び要項に基づき、予定どおり入学者選抜を実施するものである。この場合は、長期目標を設定し、教育振興基本計画に基づいた改革のモデル校と位置付け、改革プランを実施する。

質疑の概要は以下のとおりである。

大森委員「前回の教育委員会会議におけるお詫びと基本的な対応方針を決定したことを受けて、本日はこの重大な事案が起こった桜宮高校をどう改革するか、それと表裏一体のものとして目前に迫った入試をどうするのかという非常に重い議案を審議することになる。その際に申し上げたいのは、入試の問題は教育行政を担う立場ではあまりにも重大すぎて、今回の事案を受けて入試をどうするのかということが我々の中から出てこなかったのは厳然たる事実である。市長からの指摘要請により始まったというのは周知のとおりである。ただ、我々の誰ひとり市長の問題提起を受けて突拍子もない話だと受け止めた者はいない。受験生の影響を考えた時に大きな混乱を避けたいというのは教育行政に責任を持つ立場としたら当然と言えば当然である。先ほど市長から話があったが、現に一人の生徒が亡くなるという重大な結果を招いた事案が起こったこの学校において、いまだ実態解明中であり、その結果を踏まえた再生を行わなければならないという厳しい状況にある学校である。在校生にきちんとした教育を行い、ケアをきちんと行いながら、なお、どういった形で新入生を受け入れることが適切なのかは教育的に重大なことである。我々教育委員がどういう考えを持つに至ったかはそれぞれが話すが、一人ひとりの頭の中に市長が先ほどおっしゃった観点がある一方で、何の落ち度もない受験生からみた、大人の問題で起こったことを自分の進路に影響を及ぼすのかという当然の思いの両方が大切なこととして、委員一人ひとりの頭の中にある。私がちょっと残念なのは、受験が大事だという観点のみが教育関係者から我々のところに届いてきていることである。我々教育委員一人一人は決して市長の無茶な要求と切実な受験生の進路への思いを受け身的に考えたのではなく、二つの価値の重要性を認めたうえでどうするのかを真剣に考えてきた。本件についてはやはり、一人の生徒が取り返しのつかない命を失うという事態に至った、一人の生徒の命の重さをきちんと受け止めた対応をやっていくためには、単にこれまでのように入試の問題が起きれば、入試は一大事だというだけの方向性に流れていくということはなかったし、だからこそ真剣に悩み考え、議論した経過があるということは理解してもらいたい。ここから私の意見を申し上げると、入試とこの桜宮高校の改革というのは一体的なものであるので、私どもがどうするべきかというのは、学校の再生改革、刷新を図りながら、同時に受験生の影響を、やはり一人ひとりの進路は大きいので、そこに対する悪い影響は最小限に抑えたいという思いがある。私としては、議案の案1のような形で、入試については解決を図ることが妥当であると考えている。その場合、この文章だけでは単に看板の掛け替えではないかと思われる向きがあるかもしれないが、そうではなくて、先ほど事務局からも説明があったように、桜宮高校の一方で誇るべき教育の成果があった半面今回のような事案を招いた暴力行為を伴う指導があったということを正面から受け止めて、これまでの体育科のあり方ではなく、勝利至上主義、技能偏重の教育ではなく、人間性を重視した教育、人の痛みがわかる、市長の言葉ではどんな目上の人に対してもだめなものはだめと言える姿勢、そのためには幅広い教養に根差した人間性を強調したカリキュラム、あるいは暴力を徹底的に排したスポーツ活動、運動部活動に転換していくということを実行するものとして、120名の前期選抜普通科と受け止めている。この問題については100点満点の回答はなく、どういう方策をとっても必ず問題点はある。私個人は案1以上のものを思いついてはいない。」

矢野委員「この議案の中にも書かれているように、桜宮高校の生徒のみなさんは学校で学んでいることに希望と誇りを持って日々学習し、活動してきたと信じている。そういうことは様々な形で聞いているし、非常に頼もしさを感じる。にもかかわらず、在校生のみなさんが現在の状況で肩身の狭い思いをしているとしたら、我々がその点については対応して、生徒のみなさんが胸を張って登校でき、引き続き学べるようにすることが教育行政の重大な責務であると考えている。桜宮高校の生徒のみなさんについては、会議が開かれる前に市長が紹介されていたように、大変立派なふるまいを示されたと聞いているし、そのことは教育の大変大事な成果であると考える。しかし、大変残念なことに一人の生徒の命が絶たれてしまったということが起きた。これについて、教育は一番何を大事にしなければならないかというと、学力向上とか、運動とか、様々な技能を向上させるということよりも、命が守られ、安全が確保されて、その中で健やかに知性と心が育つことである。そのもっとも教育の基本的なところにおいて、機能していないところがあったと認めざるを得ない。そのことから本日の議案第5号の中で桜宮高校の改革の方向性を打ち出し、学校の中で部活動において勝利至上主義がはびこっていなかったか、勝利至上主義によって、いろいろな厳しい指導、その中で体罰あるいは指導の名において暴力行為が許容される風土や体質がなかったか、ここを徹底的に検証し、そういうものが見えてきたら、徹底した改善に取り組まなければならない。スポーツにとりくんで高等学校教育を学ぶということを考えている生徒も少なくない。そういう生徒に対してどういう高校教育が正しいやり方としてありうるのか。勝利至上主義や、それに基づく厳しい体罰に耐えるような指導ではなく、教養や人間性に裏付けされたスポーツマインド、スポーツマンシップを育てていける高等学校として新しいスタートを切れればという思いを委員の一人として強く持っており、責任を全うしたい。改革プランは、新しい学校として素晴らしい学校として再生していくために避けて通れない関門であると考えている。入学者選抜についての私の意見は、みなさんが誇らしく思っている教育ではあるが、もっとも基本的なところにおいて弱さをさらけ出してしまったということも認めざるを得ない。そういうこととどうやって新たな改革の道をスタートさせるのかと考えると、やはり現在の体育科、スポーツ健康科学科の募集をすでに発表している入学者選抜方針、選抜要項に基づいて行うということであれば、これから進めていく改革のスタートとしては弱いのではないかという思いをしている。そういうことで、私は案1により、まずは専門学科ではなく、普通科の一環として新しい新入生を迎え、その中で新しいスポーツに特色をもった高等学校教育をこれから新たな創造をしていくというとっかかりとすることができればと思っているところである。案1にはその受験生のみなさんに対する受験科目や配点において、要項に照らしてみて違いがない。そういう点で先ほど大森委員の言葉にあったように、ベストの改革、答えはないと思うが、そういう中で案1をよりよい選抜のあり方として考えたいと思っている。私どもは入学者選抜をいじることによって学校がよくなるとか、新しい学校づくりが進むとは思っていない。むしろ大変痛みの伴う決断であるが、これをきっかけとして、我々が重大な決意を持って教育委員会と学校と、さらに生徒のみなさんの力、保護者の支持もいただいて学校づくりを進めていく、その一つのステップとして今回の入学者選抜の案があるのではないかと考える。」

高尾委員「この深刻な事件の後、多くのご意見がいろんなところから出された。その中で、最も利害関係を持つ当事者なのに話を聞けない人がいる。それが当該の亡くなった生徒である。その彼については私たちが一番耳を傾けなければならない人だろう、声だろうと思う。ご家族の方はこれまでの経緯の中で深く傷つかれたこともあったのではないかと拝察する。ご家族は彼と苦しみを共有されていた。彼にご家族は家では何でも話をしたらいい、とされていたと漏れ伺っている。また、キャプテンになるにあたってご家族で、その責任の重さや困難さについても十分話し合われたとも伝え聞いている。彼はバスケットのチームに対して「心ひとつ」というスローガンを掲げていた。彼は「心ひとつ」のチームを作ろうと一生懸命に頑張った。チームメイトの勉強をみたりするなど、彼にはキャプテンになるに十分な資質があった。彼とご家族の思いは伝わっただろうか。学校に、私たちに、社会に。どうもそうは思えない。ご家族は自分たちの思いが伝わらないことを強く悲しまれたと思う。伝えられない悲しみはより一層深い悲しみとして、その人に返ってくる。彼が命を絶った前夜、彼が学校から帰宅した時に彼は自分の運命を知っていたのではないかと思う。この日、彼は何十発も殴られていたが、彼の心は穏やかだったと思われる。沈黙の中でご家族と向き合い、彼は心の中でこれまで育ててくれてありがとうとお別れをされたのだと私は拝察している。翌朝彼は自ら命を絶つが、ご家族は生きてほしいと懸命に祈られたことと思う。彼は桜宮高校とバスケを愛していた。こうした状況やご家族のお苦しみを私なりに整理すると胸が張り裂ける思いがする。たとえば東日本大震災のことを思い浮かべる。「復興」と言う言葉があった。元通りにしよう、経済を立て直そう、しかしたくさんの人が亡くなった。夫を、妻を、子どもを亡くした方、いろんな方がいた。その人たちの魂と心を置き去りにしたのではないかという思いが私にはある。人は生きていかねばならない。前進を続けなければならない。しかし、何事もなかったのかのように時が過ぎ去っていくことを容認することはできない。少しだけでも立ち止まって祈ろうと思う。彼は何も語らないが、彼の魂と共に私はありたい。これが私のこの件を判断する基礎的な考えである。ベストなものはない。でもベターなものとして案1を私は支持したい。」

委員長「これで三人が案1を支持しているので、結果として答えが見えたが、私は案2を支持している。私は今回の事案についてはご遺族のことを思うと胸が張り裂ける思いであるが、これをしっかり受け止めて、今後これが次のステップで活かされないと、この桜宮高校の事案が浮かばれないと思うし、亡くなった彼の思いに本当に応えないと申し訳ないという思いである。それにあたって私が大事にした点がある。1225日に教育委員協議会でこの話を聞いた。その後話を積み重ね、1月8日にオープンにすると決めた。私は直接関係者にお会いして話を聞きたいということで、1月11日にご遺族宅を訪問した。それから1月17日に校長会との会合を持ち、中学校、高等学校の校長先生との会合を開いた。1月18日にPTA協議会の皆さんとも話をした。そのあと、桜宮高校を訪問し、施設全体を見学した。体罰事件の起こった体育館にも足を運び、この場でたたかれたのかとその現場を見ることができた。そのあと、生徒さんと会合する時があった。彼らの切々とした訴えに私は感動した。この子たちの期待に応えたいという思いになった。そのあと教員の方々と会合をもった。私はこの桜宮高校に行って、すごい学校だと思った。私も学校を経営している立場でしつけることの難しさを感じている。しかしこの学校はきちんとしつけられている、会う子会う子がきちんとあいさつする。すばらしかった。施設の整備されている状況、彼らが地域の清掃をしているという話、地域に対しての貢献、自転車がきちんと整理して並べられていた。聞いたところ、子どもたちが自分できちんとすると言っていた。なかなかできるものではない。そういう意味の教員のみなさんの別の意味での評価をした。しかし、その現場においては、少し先生方には違和感を感じた。今回私がこの事案で私の感覚を大事にしたいと思ったので、いろんな関係者に会ったことは貴重な判断材料になった。私は、1225日の事案を知った時、その後いろんな報道がされ、そして、橋下市長のいろんなコメントが出ていく過程において、これはある意味で私が私の信念でこの結論を出さなければならないと思った。正月に自分なりの案を作ってみた。それはなぜかというと、こういう重大な決定をするときに、私は未来のイメージを持たないで意思決定はできないと考えるからである。自分はこういう信念でこういう決断をする。それは未来のイメージを描いた形で決断するというのが私の経営スタイルである。そのために私は自分で案を書いた。その案は教育委員会のメンバーにも配ったし、先日の市長との会合の中でも配った。市長からの返事は、今この内容を議論するのはまだ早いと言われた。私はその答えを疑問に思ったが、とりあえず市長の意見を尊重した。この案は教育委員会内では議論できていない。案2に書いているが、補足させていただく。桜宮高校を教育振興基本計画に基づいた改革のモデル校にしたいと思った。振興基本計画は、ついこの前にパブリックコメントを行って、今まとめているところである。ほぼこのパブコメを取り込んだ案がそう遠くない時期に示されると思うが、私はまさにチャンスだと思った。計画に基づいた改革のモデル校にしたいと考えた。これは我々教育委員会のみなさんが概ね了解していただいている内容であると思っている。今度の意思決定にあたって、未来のイメージをしっかりと思い描いたうえで私の結論を出した。私はアンケートを昨日見せてもらった。アンケートを見たうえで最終決断をしたいと思ったが、アンケートの中を見てみると、普通科と体育科の体罰事案が数字的には変わらなかった。それならば今回の結論の普通科に入れるということでも私はつじつまが合わないのではないかと思っている。普通科に入れることによって、将来、体育科を復活する時に、ある意味の配慮ではあるが、私にはつじつま合わせとしか映らない。アンケート結果を見てそういう思いに至った。私の提案の中に、振興基本計画は5つの改革が示されている。カリキュラム改革、グローバル改革、マネジメント改革、ガバナンス改革、学校サポート改革がある。本日の議案の改革の方針の中には、カリキュラム改革とマネジメント改革、ガバナンス改革が記載されている。私の案はこの5つの改革を含んだものとなっている。教育振興基本計画は教育委員会がコミットしている内容であるのでこれを使わない手はないと考えた。教育振興基本計画は教育委員会のみんなが自信を持って作ったので、絶対に実現できると考えている。桜宮高校を教育振興基本計画のモデル校にしたいと思っている。私の提案は体育科をもっと広げようという案である。私はこの伝統は素晴らしいと思っているので、この伝統を活かしてあげた方がいいという感覚である。ただし、桜宮を訪れていろんな疑問点があった。そのままでいることはできない。大改革は必要である。勝利至上主義という言葉が使われているが、残念ながら私もそう感じた。市長が間違っていることを間違っていると言えることを大事にしたいとおっしゃっていた。私は教育の観点からは他者をいつくしむ観点が必要だと考えている。そういう意味では桜宮高校は非常に問題がある。議案の1については私は賛成である。改革は進めないといけない。人事の刷新を含め手をつけなければならない。そういう意味で言うと、案1の内容は、体育科の名前を変えて、普通科という名前にしたものだと考えている。こんな大事な内容を一時的な変更で進めることは納得できない。私が大事にしたいのは未来の姿からの結論である。それと他者をいつくしむ教育を桜宮高校に入れ込みたい。そういう意味で案1には賛成しかねる。」

教育長「教育長という立場で議案を提出する立場であるが、私の感覚では募集停止をこの時期にするのはあまりにも影響が大きすぎると思った。桜宮高校は府下全域から応募者があり、2倍くらいの倍率がある。中3は進路を決定している状態である。その時期に募集停止するとその子どもたちの描いてきた自分なりの進路を大きく変更を余儀なくされるということで慎重に議論しなければならないと考えた。一方で一人の尊い命が学校教育の場で失われたということは重く受け止めなければならない。学校は毎日教育活動を続けているという実態がある。在校生のこと、亡くなられた方、両親の思い、府下全域で桜宮高校をめざしてきた生徒、保護者の思いをどう受け止めるのか思い悩んできた。改革の方向性は必要だと思っており、我々自身に期限を課して改革をやり遂げるということで、案1のようにいったん普通科として、将来専門性の高い学科に転科することも、ベストではないが選択肢としてあると考えている。特に5ページの案1に記載されているように、前期普通科としてスタートするが、府内全域であること、検定内容も現在桜の体育科が実施しているものと同様である。もちろん普通科なのでカリキュラムは異なるが、人間力の育成など平成26年以降の考えも記載している。自らここまでやらなければならないということを課す意味でも、中学3年の思いに応えるということからもパーフェクトではないが案1で進めることが必要だと考える。」

大森委員「在校生についての教育に関して、受験の問題は受験生、保護者、進路指導の現場を考えるが、現に在籍している高校生たちがどう受け止めるかという、自分の学校、自分が受けた教育、学んできたこと、こういうことを抜きにして入試のあり方、桜宮高校の再生を図るのは困難であると思っている。そういう意味では、一人の生徒が亡くなられたという重大な事実というものを我々としてきちんと受け止め、対応していく場合に、入試だから何事もなかったかのように今まで通りにするということは、今の学校の状況から考えてとるべき方向性ではないだろうと考え、他方で現に在籍している子どもたちに対する、彼らが頑張って来たことを全否定されたかのように受け止め傷つくこともあるので、心理的ケアを行い、新しい姿での教育に円滑に転換していくということが重大な課題である。入試と同様に、ある意味それ以上に重大な課題であると思っている。最初の発言を補足すると、刷新が必要であるが、現在問題がそこにあって、実態把握の最中であるということを申し上げた時に、はっきりと申し上げなかったのは亡くなられた生徒さんが我々教育委員会や学校に投げかけたもの、学校の責任、教育委員会の責任を明らかにして適切に対処するが、亡くなられた生徒さんがなげかけたことをきちんと受け止めることが、再生するために避けては通れない。他方で今いる高校生をいかに大切にするか、指導者や教師や大人に責任はあっても、彼らには責任はないのであって、私も生徒と対話したが本当に一生懸命頑張っているのはわかった。つらいが一人の仲間が命を失ったことを見つめてもらって、学校が素晴らしい成果を上げていること、みんなが頑張っていることの上に、問題を正して、新しい伝統を築いていくということを在校生に理解してもらうことが難しいが重要な点である。その際、この学校、学科がどうなっていくかという将来像がどこまで説明できるかは重要であると思っており、この議案を提案した事務局に質問したい。案1の平成26年度の学科のあり方については改革プランの進捗状況に応じて検討するとあるが、これに対する私の意見は、旧来の体育科とスポーツ健康科学科に戻すということではないということであり、今般普通科という枠組みで受け入れ、これまでのスポーツ指導の問題点を抜本的に改めて、外部の専門家の助けを得ながら調査することになるが、これがうまくいくと、その路線上に新しい学科があるのだろうと理解しているが、これについての事務局の見解を教えてほしい。」

小川部長「前の段落に書いているように、案1は今回の桜宮高校の改革の方針をもとに整理したものであり、この学科についても、スポーツモデル校として、改革の進捗を十分見ながら、あるべき専門学科のあり方を、時期を踏まえて議論したいということで記載している。」

大森委員「現在実態解明中であるわけだが、たしかに委員長ご指摘のように桜宮高校の中での問題というのが完全に体育科とスポーツ健康科学科の中だけで起こっていて、普通科ときれいに切り離されるものでないということは指摘の通りの面であるが、大事なことは桜宮高校がスポーツにおいて成果を上げ、全国大会を始め、名をはせている中で、部活動は普通科からも入れるが、体育科とスポーツの専門学科の存在を抜きにしてこの高校がスポーツにおいて成果を上げる半面で、もっと早期に発見し対処する責任があったということはあるが、専門学科の存在抜きにこの高校のプラスの面もマイナスの面も語れないというのは厳然たる事実である。そこの体質改善を図るということが一人の取り戻すことのできない命にこたえるためには必要なプロセスだと思っている。その際、在校生への最大限の配慮を払っていかなければならない。」

高尾委員「普通科という名前にすることについて、看板を替えただけという指摘は当たらない。普通科としたことには大きな変革が伴っている。その決意があると考える。技術中心、勝つこと中心という要素が強かったところから、人間性に根幹を置くという大きな転換がある。二つのメッセージがある。一つは彼のことを忘れないということ。もう一つは本当のスポーツを学ぶ学校ということを目標としてチャレンジしようというメッセージがあると考える。新しい1年生にも入ってもらって、ともに考えようというメッセージが込められている。将来体育科に戻すということを前提とした、新しく生まれ変わる取り組みである。今度新しく入ってくる生徒及び在校生は、自分たちが真のスポーツを勉強する新しい学校を作る思いを持ってほしい。東京、メキシコ等オリンピックで数々の成果を先輩が上げている。その誇りを胸に持ってほしい。ただ、真のスポーツ選手はただ単に勝つだけでなく、人間としてもすばらしい。自らに一定の義務を課し、もくもくとしてそれを果たす。これは単なる看板の架け替えでなく、スポーツの意義を考えてほしい、記録を伸ばすためになにをするのかということではない、もう一度原点に戻る。そこに立ち返って新しいものを生んでほしいという希望を持っている。」

委員長「看板の架け替えでないということについて、普通科のところでカリキュラムの問題がある。カリキュラムの改革を行うことについて、全く異論はない。それは普通科に変えなくても、専門科でもできるはずである。わざわざ変える必要がどこにあるのか。一時的な内容にするのはおかしい。昨日夜中の2時近くまで議論した。最後の方は技術論になっていき、悲しかった。もっと内容を深く掘り進めて議論したかった。しかし、どんどん技術論になっていった。内容を見ても看板の架け替えと今でも思っている。今後の方向性で市長の考えている方向性については、私は反対していない。市長が最初に条例を作り、予算を大きく付け、振興基本計画まで持ってきたシナリオはすごいと思う。だからこそ私は5つの改革をしようと言っていた。このような一時の流れではなく、大きな改革を桜宮高校でやったらいいと思う。どうしてできないのか。アンケートを見ても体育科と普通科でそれほど変わらない。看板の架け替えと言われる。私はそこを考えてほしいと思っている。教育のあり方、人間力を強化することについて、5人全員了解している。しかし、残念ながら看板の架け替えのような状況になってしまったことを悲しく思う。」

高尾委員「私は、カリキュラムの根本的な改革、欠けていたものを持ち込み、スポーツを学ぶ科を作りたい。いずれ結論が出た時に普通科という名前ではなくなるかもしれない。しかしそこには実質的な改革が行われているということを理解してほしい。看板をAからBに変えようとしているだけではない。十分に時間をかけ、深掘りした議論ができていないことはその通りであるが、きちんとした基本計画があるのだから、それに沿った中で冷静な議論を積み重ねて道を見つけるべきである。」

委員長「私は、教育は子どもたちに夢を持たせることであると考えており、今回の改革案は振興基本計画で解決するということを申し上げている。これだけ方向性を示している中では堂々と言えばいいではないか。これまで進めてきた内容をこれに活用しないのか。未来を示すことで子どものモチベーションはあがる。桜宮高校は体育科を中心とした高校になりますよと示すことで彼らは夢を描ける。今回は改革のチャンスだと思って案を作って示した。しかし、私ひとりこういう形で話をしないといけないのは非常に悲しい。」

大森委員「私も有識者会議に出席している。議案の1の改革の方向性の中の改革プランは振興基本計画の柱に沿ったものである。内容的にもガバナンス改革でもコミュニティースクールをめざすということで、基本的な方向性としては、振興基本計画と十分合致した方向性で桜宮高校の再生を図っていこうというものであると理解している。委員長の考えは、体育スポーツをより先進的に、世界レベルにするというイメージのものとして打ち出すべきとの考えを聞いた。私の受け止めとしては、ここはスポーツ指導の中で起こったことというのをきちんと受け止めて、それと異なる暴力的指導に頼らないカリキュラムの中で人間性を強調したもの、豊かな教養にも十分バランスをとってやっていくということが、当座我々が知恵を絞った方向性であり、私が案1が望ましいと受け止めた理由である。そういうことでまずは普通科で再スタートということだろうと思う。」

委員長「子どもたちにはわかりやすい形で示すべきである。この改革プランを子どもに示してもわからないと思う。世界に通じるものとしてチームワークを持って、他者を慈しむ教育をベースとして考え、子どもに伝えることが大事である。子どもたちに夢を持たせたい。そういう意味で体育系をかなり強化した未来の学校にするというメッセージを子どもたちに伝えたい。普通科でやっていくだけでは子どもに夢は伝わらない。私は子どもに夢をはぐくむような、今回の事案を通して夢をはぐくむような内容にしたい。」

矢野委員「委員長の熱い思いについて、共感することもあるが、具体的な提案がさらに体育スポーツに特化した状態で選ぶことが未来志向の高校教育のあり方かはもう少し慎重に見極めたい。桜宮高校の生徒のアンケートが出てきた。その中でも体育科とスポーツ健康科学科と普通科の間での内訳をみると、部活動中で起こっている暴力行為は体育系の学科の生徒に突出して高い。そこの構造なり問題点をしっかり分析して問題点を抽出することなしに次には進めないだろうと思っている。夢を描き、それによって生徒が集まる、そういう学校をぜひとも振興基本計画の中で実現していくことを望んでいるが、やはりやらなくてはならない重要な関門として、徹底した分析と必要な対処をするということが必要であるという趣旨で先ほど発言した。」

委員長「アンケートはいろんなデータがある。一番重視したのは、教員が自分自身が暴力・暴言を受けたかについての回答である。それが普通科と体育科では大きく異ならない。だからこの内容については、私はやはり一案の内容でやるなら普通科も危ないのではないかと言ってしまう。なぜ体育科とスポーツ健康科学科だけが危ないのか。私はなりたい自分、つくす自分を私の教育の基本として考えているので、先ほど市長が言われたことと違う。あの学校は、なりたい自分はできている。しかしつくす自分はできていない。改革のポイントがここにあるというのは賛成である。少し小手先に走っているのではないかという思いを持っている。」

高尾委員「お願いをしたいことがある。一つは志半ばで倒れた彼を忘れないでほしい。2つ目は現在の桜宮高校に対してご理解とお願いがある。生徒は桜宮がすべて否定されているという思いですごく傷ついている。桜宮のすべてが悪いのではないということをきちんと把握してほしい。ストーカー行為をされたということも聞いているし、都島区のPTA関係団体も決議をされたが、そうした懸念も表明されている。桜宮高校の生徒が過剰なストレスにさらされている。駅の駐輪場で待ち伏せして生徒を追い回すことがあったとか、自転車がパンクさせられる、罵声があびせかけられるということがあったと言われている。同じ桜宮という名前がついただけで、中学生に対しても嫌がらせをされるということもあると聞いている。そういうことがないよう皆さんのご支援をお願いしたい。3つ目はこれから就職したり進学したりということがあると思うが、差別やハンディが生じないよう特段の配慮をお願いしたい。4つ目に自分の子ども、よその子どもに注目していただいて、その子が何を考えているのかを受け止めてもらいたい。命の話をしてもらえたらと思う。」

委員長「私もかなり強く言わせてもらったが、今回の議案全体を通じて、それぞれの方々がそれぞれすばらしいものを持っていると思っている。子どもたちも私の前で勇気をもって話してくれた。私は彼らが大変夢を持って進んでいるということを感じ、その姿に感動した。その子どもたちが話してくれたことに感謝したい。先生方については、荒れていた学校をしずめて次のステップに進めたことに評価したいが、少し勝利至上主義になっていた。ただ、土日も休みなく出ていると聞いている。子どもたちのことを考えてやってもらっていることに敬意を表したい。今回事務局のみなさんが素晴らしい動きをしてくれた。1ヶ月間休みなく夜遅くまで頑張ってくれている。永井教育長の仁徳であり、そのおかげでここまで来れたと感謝している。いい学校づくりをしたいという思いでは5人は一致しているので、そこは理解してもらいたい。それでは採決に入りたい。議案第5号のうち、1の改革の方向性は異論がないということでいいか。」

委員一同「よい。」

委員長「次に2の体育科及びスポーツ健康科学科の平成25年度入学者選抜の実施について採決する。」

挙手採決の結果、案1に賛成が4名、案2に賛成が1名で、案1により可決。

 

(5)長谷川委員長より閉会を宣告

 

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