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平成25年第11回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:246080

平成25年第11回教育委員会会議

11回教育委員会会議録

 

1 日時  平成25年3月22日(金曜日)午前10時~午後0時10

 

2 場所  大阪市役所本庁舎屋上会議室

 

3 出席者

長谷川惠一  委員長

高尾 元久  委員長職務代理者

大森不二雄  委員

 

永井 哲郎  教育長

荻野 哲男  教育次長

沼守 誠也  教育次長

浅野 宏子  総務部長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

山田  昇  生涯学習部長

上林 幸男  教育事業監理担当部長

森本 充博  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

渡部 祥代  教職員資質向上担当課長

原田 公寿  教務部担当係長

黒田  光  中学校教育担当課長

田中  節  指導部総括指導主事

赤石美保子  教育センター主任指導主事

藤巻 幸嗣  総務課長

松浦 令   総務課担当係長

ほか係員1名

 

4 次第

(1)長谷川委員長より開会を宣告

(2)長谷川委員長より会議録署名者に高尾委員を指名

(3)議題

議案第62号 「平成24年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」「大阪市体力・運動能力調査」の結果の公表について

議案第63号 指導が不適切である教員の認定及びステップアップ研修の決定について

議案第75号 指導が不適切である教員の認定及びステップアップ研修の決定について

なお、議案第62号については、教育委員会会議規則第6条第1項第5号に該当することにより、議案第62号及び議案第75号については教育委員会会議規則第6条第1項第2号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開とされた。

 

(4)議事要旨

議案第62号「「平成24年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」「大阪市体力・運動能力調査」の結果の公表について」を上程。

上林教育事業監理部長からの説明要旨は以下のとおりである。

「平成24年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」「大阪市体力・運動能力調査」の結果の公表について、実技に関する調査結果及び経年比較、児童生徒質問紙調査結果、学校質問紙調査結果、子どもの体力づくり強化プラン及び都道府県別体力合計点を公表することとする。公表は、速やかに報道機関に情報提供するとともに、局ホームページに掲載することで行う。また、各学校に対してあらかじめ通知するものとする。また、全国及び大阪市の子どもの体力の状況を踏まえ、全小中学校及び特別支援学校に「体力づくりアクションプラン」を作成させ、教育委員会に提出させる。

実技に関する調査では、小学校はボール投げで男女ともに全国平均を上回ったが、他は下回り、特に20mシャトルラン及び立ち幅とびで差が顕著であった。中学校は男子は全ての種目において全国平均を下回り、女子は握力及びボール投げで全国平均を上回ったが、他は下回り、特に男子の20mシャトルラン及び持久走、女子の持久走で差が顕著であった。

質疑の概要は以下のとおりである。

大森委員「議案名が『「平成24年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査」「大阪市体力・運動能力調査」の結果の公表について』となっているが、2ページの議案の内容とあわないので、議案名を修正してもらいたい。それと2ページの1の(2)について、各学校には議案資料にある全国及び大阪市のデータとともに当該学校のデータが提供されるのか。」

田中総括「学校のデータは各学校がすでに持っている。各学校へはホームページに公表する資料について通知する。」

大森委員「保護者等からの問い合わせに対しては、自分の学校のデータについて回答しても構わないのか。」

田中総括「構わない。」

大森委員「公表の取扱いに関して、全国学力調査結果については、以前の教育委員会会議で議決がされており、学校協議会の意見を聞いて校長が決めるという手続きになっていたが、体力調査についてはどうなのか。」

松浦係長「全国学力テストの各学校での公表の議案の際に、全国体力テストについても入っており、同様の取扱いとなっている。」

大森委員「ということは、先般の学校管理規則の改正の際に決まったように、ホームページ等での情報提供が促されるということで、体力テスト結果のデータの取扱いも全国学力テストの取扱いと同様であるということで理解した。」

高尾委員「質問紙調査についても各学校でデータをもっているということか。」

教育長「質問紙調査は抽出校のみでしかやっていないので、データは抽出校しか持っていない。」

高尾委員「質問紙調査の内容は対策を講じる際に重要になるが、抽出校以外の学校ではどうするのか。」

上林部長「現状では、抽出校のみの参加となっており、その他の学校は質問紙調査に関するデータはない。」

高尾委員「その点の改善をしてもらいたい。ぜひ検討してもらいたい。2の(2)の全小中特別支援学校とは、全市立小学校、中学校、特別支援学校ということか。」

上林部長「そうであるが、特別支援学校は実施できる学校のみである。」

沼守次長「肢体不自由の特別支援学校は実施しておらず、知的障がい校も軽度の児童生徒のみに実施している。」

高尾委員「まだまだ全国との差が大きいが、一つの希望としては中学校女子が改善が見られることである。各学校でアクションプランを作って取り組んでいるとのことだが、こういった分析の中でどういうところに注目してアクションプランで取り組む必要があるのか。これまでと同じアクションプランを策定するだけでなく、プラスアルファして注目、検討すべきところはないのか。」

沼守次長「基本的な考え方としては、生涯にわたって運動好きの子どもを作らなければならないという視点が一つと、小学校では継続的な取組として、ランニングや縄跳びなど、効果が表れやすい取組をどうしていくかということと、小中一貫教育の取組を始めているので、授業の中で中学校の体育の専門教員の授業を小学校にどう採り入れていくかということについてモデル校で検討をしている。中学校の教員がどれだけ小学校の教員に専門性をどれだけ教えることができるかが一つの大きなポイントになるかなと考えている。中学生では部活動に入っている子どもとそうでない子どもの差が大きいという中で、授業がかなり大きなテーマになると考えている。」

高尾委員「ぜひそうした点を各校に伝えていただいて活かしてほしい。文科省がこれまでの調査に関して分析したもので、1週間の運動時間との因果関係をとらえて、運動時間を増やしていく方がいいとなっている。今回、小学校は因果関係が認められるが、中学校では不明であるという結果であったが、小学校では運動に取り組む時間を増やすことが重要だと思う。」

大森委員「実技に関する調査は全校参加で、質問紙調査は抽出校のみ参加とのことだが、実技の全校参加は学力テストと同じように市独自で参加しているのか。」

沼守次長「市独自で参加している。」

大森委員「学力テストも質問紙調査は抽出校のみであったか。」

沼守次長「学力テストは学力テスト、質問紙調査の両方で全校参加している。学力テストと質問紙調査はセットで実施できるが、体力テストについてはグラウンドに分かれて実施することになり、セットが難しいという問題がある。学力調査は決まった日にやることになっているが、体力テストは1学期間のいつでもやっていいということになっており、質問紙調査の実施日の設定がしにくくなっており、質問紙調査は抽出校のみが実施している。」

大森委員「そういう意味では高尾委員がおっしゃったような分析上の問題は体力テストのみの問題ということか。あとは分析のスキル、ノウハウ、そういうことをする余裕があるかどうか、有効に活用できるかである。学力テストの方は有効に活用されているか。」

教育長「学力調査は悉皆調査なので、質問紙調査も有効活用されている。」

沢田所長「活用のためのCDを配付して、自校と全国との差が一目瞭然になるようにしており、自校の強みと弱みがすぐにわかるようになっている。昨年度は質問紙との関連性もわかるようになっている。」

大森委員「そこまできちんと活用している学校が多いとすれば、体力テストも同じようにすればよいということになるのか。」

教育長「子どもの負担とこちらの作業の観点での検討が必要になる。」

大森委員「総合点、合計得点の意味するところについて、全国平均が50になるわけではないと思う。表の見方について教えてほしい。」

上林部長「競技別に10点満点で換算して合計している。」

沼守次長「平均得点よりも、Aのカテゴリーにどれぐらい分布しているかという見方が重要である。」

大森委員「学力テストとの違いは、経年変化が見やすいということである。体力テストは尺度が明らかである。」

沼守次長「中学校女子が経年比較では上がってきているという状況である。」

大森委員「中学校では部活動をしているかどうかで体力に差が出ると思うが、データとして出ているのか。」

田中総括「17ページ及び29ページに記載している。」

大森委員「大阪市の中学校の部活の中で全国的に強い部活は多くあるのか。」

沼守次長「ある。年度によって異なるが、男子ではラグビー、野球、女子ではバレーボール、ソフトボール、バトミントン、数は少ないがハンドボールは男女とも強い。部活動参加率は、中学校で80%が参加している。20%が部活に入っていない。内訳は全体の56%が運動部、23%が文化部である。」

大森委員「大阪はスポーツが強そうに見えるが、目立たない種目や部活動に参加していない生徒を入れると、トータルでこのようになるということか。」

沼守次長「上位層は優秀な選手が多くいるが。」

委員長「後のデータは経年比較がないが、データとしてはあるのか。それは各学校に行くのか。」

沼守次長「ある。各学校には送付している。」

委員長「総合評価を見ていると、小学校はばらつきがあるが、中学校は伸びているように見える。これをどうとらえているか。」

沼守次長「中学校は授業と部活でかなり専門的に教えられている。そういう意味では中学校の体育教員が小学校へ出向き、50m走などで足の上げ方や腕の振り方を適切に教えれば改善する。中学校が伸びているのは専門的な助言ができていると考える。小学校は専門的な教員がいない。やっていることがランニングや縄跳びなど、一定のことはやっているが、そこに専門的な中学校の教員を入れることによって、すべきことがさらに明確になると思う。小中一貫教育により、どれだけ中学校の教員が関われるかが来年度に向けての課題だと考えている。」

委員長「教育センターで体育系教員が小学校教員へアドバイスする仕組みはないのか。」

沢田所長「教育センターでは英語はやっているが、体育は各学校で課題が異なるので、各学校で取り組んでもらっている。センターでは特に体育に関してはやっていない。」

委員長「先ほどの話では中学校の教員が小学校の教員を指導すると変化が出てくるのではないか。」

沼守次長「意味があると思うので、やっていこうと考えている。」

委員長「全体的に改善は見られるが、改善が緩やかである。ここを大きく伸ばすためのキーになることはないのか。」

沼守次長「小学校では小学校体育連盟と連携しながら体力づくりに取り組んでいる。平成15年から府と連携しながら体力アップ事業に取り組んでいる。その中では大阪市の学校はいい成績を上げている。小学校段階は楽しむということにどう専門性を絡めるかということになると思う。」

委員長「小中一貫教育は全体を高める可能性があるということか。」

沼守次長「可能性がある。専門性を高める指導を継続してやっていかなければならない。あわせて運動嫌いを作らないようにしながら継続してやっていかなければならない。」

委員長「先生交流を増やすことで、こういう施策の成果を上げるという方法がある。施策としてやってもらいたい。頻度を上げてやってもらいたい。」

大森委員「何%ぐらいの教員が小と中の間で異校種の経験があるのか。」

沼守次長「ほとんどない。」

林田部長「採用試験も小学校と中学校で別々に採用しているので、基本的には交流していない。出前授業などで交流しているのが現状である。」

大森委員「管理職ではあるのか。」

沼守次長「管理職は多く交流している。」

大森委員「他都市ではどうか。」

林田部長「他都市では交流しているケースはある。」

大森委員「本市は少ないというか、ほぼないということか。」

林田部長「やっていない。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第63号「指導が不適切である教員の認定及びステップアップ研修の決定について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

中学校の教諭について、教科指導における指導方法が不適切であり、授業中や授業以外の場面で生徒を押さえることができず、当該教諭をカバーしている周囲の教職員から指摘を受けても「自分は頑張っている」という強い意識を表し、教職員から失望や不満の声が出ていることなどから、指導力向上支援・判定会議の意見を踏まえ、「指導が不適切である教員」と認定し、平成25年4月1日から平成25年7月31日まで、第一次ステップアップ研修を実施するものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

大森委員「当該教員は進学塾などで長年にわたって数学を教えているが、今の議案では教科がまともに教えられないということだった。その辺の関係はどうなのか。」

林田部長「当該教員は採用試験の状況で言うと、筆記の点数は非常に高かったが、面接点は低かった。」

大森委員「わかりやすく言うと、数学について自分では解けるが、それを生徒に伝えることができないということなのか。」

沢田部長「英語をしゃべれても必ずしも英語を教えることができないのと同様に、数学的な思考能力があって、問題を解くことはできるが、中学校の生徒に対して数学的な考え方を説明して、人間関係を作りながらそれを定着させることができないのだと思う。数学を一方通行で教えることはできると思う。塾では子どもはちゃんと座って聞いてくれるが、生徒指導をしながら教科指導をするということができないのだと思う。」

高尾委員「3ページに教育委員会からの支援という項目があるが、採用されてから4カ月の時点で報告がされているが、どのような報告だったのか。」

渡部課長「生徒との関係が築けないということだったが、学校で集中的に指導するということで、校長の支援で終わっている。」

高尾委員「一度は改善が見られたということか。」

渡部部長「改善が見られたという認識はない。校長先生はかなり力を入れて指導していたし、我々としてもこの一年間支援してきたが改善が見られなかったため、本議案を提案することとなった。」

高尾委員「携帯電話の件について、当該教員は他の教員が指導済みであるという話があったので、指導しなかったとあるが、事実としてそれ以上指導する必要はなかったのか。」

渡部課長「自らが担当する授業中に起こったことであるので、教員としての責任をしっかり果たす必要があるということで校長は指導したが、終わったことだからいいのですということであった。そのような姿勢にはやはり問題があると考えている。」

高尾委員「全般的に努力が空回りしている印象がある。本人は例えば6ページで朝早くから夜遅くまで努力していることを周りの教員が認識していること、テニススクールで学んでいること、夏の大会に出ることができたなど、それなりに努力しているが、それでも救済のしようがないということなのか。」

渡部課長「周りの教員が全力でサポートしてきてもこの状況である。生徒との関係でこれ以上わからない生徒が増えてくるよりも、一旦集中的な研修をすることが当該教員にとっても、学校にとっても、子どもにとっても妥当だと考えている。」

大森委員「数学の授業でわからないと言っている生徒が多いのか。」

渡部課長「生徒の声もそうだが、毎年保護者から来年は当該教員に教えてほしくないという声が上がる。」

大森委員「子どもたちとの人間関係がとれないとのことだが、周囲の先生とはどうか。」

渡部課長「周りの教員がこのようにすればどうかと教えると、ではやってくださいということを言う。当該教員に教えたら全部自分の方に振ってくるので、周りが援助できなくなっている。」

大森委員「周囲の教員ともうまくいっていないのか。」

渡部課長「そこも非常に課題があると校長から聞いている。」

委員長「今回の研修は学校から外して行うのか。」

渡部課長「改善が見られないため学校から離してセンターで研修を実施する。」

委員長「これまでとは違う研修になるのか。」

渡部課長「当該教員に一番課題のある生活指導、授業について集中して研修を行い、在籍校に戻ってどれだけできるかを見極めることになる。」

林田部長「今までは校内で研修していたが、今後は学校から切り離してセンターで行うので、内容もまったく異なったものになる。」

大森委員「教員の場合、こういう1人の教員の問題について、これだけ会議で時間をかけて議論し、研修となると校内、校外の多くの職員が当該教員のために多くの時間を割くことになる。1人の生徒のためにこれだけの労力をかけることはないのに、教員に対してだけこれだけの資源を投入しなければならないのか。」

林田部長「趣旨はわかるが、ここまでしないとこの研修や分限免職にはできない。」

大森委員「それは国の制度か。」

林田部長「分限免職をすれば、ほぼ訴訟になる。校内での研修を行い、このような教育委員会会議での議案の議論をして、センターで学校から切り離した研修を1年間やって、ようやく分限免職にもっていける。」

大森委員「結局コストである。もっと簡潔にやって、訴訟になればなったで結果としてどちらがコストが大きいかということだと思う。」

林田部長「これぐらいのことをしても訴訟になっているので、それをせずに免職するとなるとさらに労力が生じる。これだけの労力をかけないと生徒に授業をさせることにはならない。」

大森委員「もう少し簡潔な判断基準で短時間にできないか。分限免職すべきかどうかある程度分かっていると思う。簡潔な手続きにしておいた方が、訴訟になったときのコストを考えて、かける労力を大幅に簡略化した方が、訴訟になってからのコストを考えても効率的、合理的ではないのか。」

教育長「訴訟に負けたら復職させないといけない。そのためには絶対に訴訟では負けられない。ここまでしないと訴訟ではしんどい。裁判所の判断は厳しい。」

大森委員「証拠を積み重ねるにあたっても、もう少し合理的な方法はないのか。」

林田部長「簡略化したいという思いはあるが。」

大森委員「推進室指導員とはどういう人か。」

教育長「退職校長である。指導員が親身になって研修生を指導することで、ステップアップ研修の間に自己都合退職する教員もいる。研修の中で教師として向いていないことに気づいて辞める教員もいる。」

大森委員「1人の教員を最後までステップアップ研修でみて、分限免職もしくは自主的に辞めるときに、校長や事務局職員、推進室指導員が費やした時間に賃金単価をかけると膨大な額になると思う。」

沢田所長「ただ、指導が不適切と認定された教員が定年退職まで勤めるまでの給与を考えると、指導員が研修する方がかけるコストとしては有効だと思う。」

大森委員「そうは言ってももう少し簡略なやり方はないのかと思う。」

高尾委員「もどかしさを感じるのはその通りである。ただ、教員の母数が何人いて、その中でこういう研修に入るのが何人になるのかと考えれば数としては比較的少ないのではないか。労働という立場で見れば流動化できやすいようになっているが、公務員の身分は強固なままである。そういうところを改善しなければならないと思う。個人についてどうなのかという問題もあるが、組織的に考えると、我々として採用に関してどのような問題点があったのか、育成に関してどのような問題点があったのか、当該教員の精神的な問題点がどの程度あって、回復の可能性がどの程度あるのか、そういう検証が制度を改める場合の参考になると思う。教員に対するキャリアプランというか、優秀な方にはどんどんやってもらいたいし、向いていない方には違うところに自主的に行っていただくバイパスを作っていく。従来の法体系を変更しなくてもできる制度を考えることはできないか。」

沢田所長「私が最初に主任指導主事としてこの制度に携わった。平成16年3月に制度を始めて、平成17年3月に分限免職になった教員の訴訟が未だに続いている。訴訟資料も膨大なものになっている。この間、平成19年に法律が変わって、分限免職になったら教員免許が失効することになり、より一層の客観的で説得力のある資料が必要になっている。指導員は本人に寄り添いながら丁寧に指導している。ステップアップ研修に入ったほとんどの教員は分限処分に至る前に自主退職している。これだけの資料があるから本人も納得して辞めるということがある。最後に分限免職をしたのは平成19年度である。」

大森委員「復帰した人は何名か。」

林田部長「これまで37名が研修に入り、退職が25名、分限免職したのが4名、現場に復帰したのは5名である。」

教育長「今の教員採用制度では筆記点が良くても面接点が基準点より低ければ採用されない。」

大森委員「復帰した5名は、現場から外す際にある程度望みがあったのか。」

沢田所長「そういうわけではない。全体で4クールあり、その中で自分の振り返りができた教員は大変少ない。第2クールで自分の過去が的確に振り替えられた者は劇的に変わる。ちょうどその頃に職場体験をして、自分の立場と違った職を経験したときに、自分にできることができるようになった者が復帰できている。自分の非を認めて素直に研修に打ち込めるタイミングが早ければ早いほどいいが、それがなかなか難しい。6カ月以内にそれができた人は、後の6カ月で十分指導力が回復できるだけの研修内容を実施している。復帰できた人は気づきが早かった人である。自分の正当性を主張して自分の非を認めない人はなかなか改善しない。」

大森委員「研修のプロセスに意味があることは理解できた。」

委員長「20年度から分限免職をしていないということは、政策的に意図的に変更してきたと考えていいのか。」

沢田所長「分限免職になれば教員免許がなくなるという制度変更が大きい。」

委員長「当該教員の適性から考えるとそちらへ行く方が幸せだというように導くことも大切だと思う。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第75号「指導が不適切である教員の認定及びステップアップ研修の決定について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

小学校の教諭について、採用後3年間で3回の学級担任をもったが、その全てで学級崩壊を引き起こし、管理職や同僚からの手厚い指導や支援があったにもかかわらず、対応が受け身で、児童や保護者とのトラブルが頻発したこと、自らの言動と周囲の教職員や保護者が受け止めた内容に乖離があることを理解できず、日常的に問題を長期化・複雑化させたことから、指導力向上支援・判定会議の意見を踏まえ、「指導が不適切である教員」と認定し、平成25年4月1日から平成25年7月31日まで、第一次ステップアップ研修を実施するものである。

質疑の概要は以下のとおりである。

大森委員「校外研修になって初めてステップアップ研修と呼ぶのか。」

林田部長「そうである。」

大森委員「校内研修を経ているのか。」

林田部長「この制度は、規則に基づいて実施している。校外研修を命じる前には、当然に校内での研修を実施し、事実記録を積み重ねている。」

大森委員「校内研修に入る段階での判断はどのように行われるのか。」

渡部課長「予告をすることになっている。」

大森委員「校内研修を実施する際に、当該教員の身分に対する重要な決定をしていることになるが、それが予告なのか。予告をして初めて校内研修に入れるのか。」

渡部課長「校内研修はそれまでもしているが、規則に基づく手続きに入るために予告がある。予告後は校長の要請によって教育委員会からも指導員を派遣するなど、事実確認のための記録をしっかりとることになる。」

大森委員「校内研修をしますよということはどのように決められるのか。」

渡部課長「校長が課題のある教員に対して再三指導をしており、日常的に指導していることが前提である。また、校長支援という制度があり、予告を行う前に、教育委員会から指導員を派遣して研修を行っている。」

大森委員「校内研修に入るのは公式の意思決定を経るのか。」

渡部課長「予告を行うと校長から教育委員会に報告書の提出を求めている。その後、事務局の指導員と校長が相談し、校長の研修のみで行うのか、指導員が直接指導するのかを決める。」

大森委員「校内研修に入るにあたっては公的な手続きはないということか。」

荻野次長「14ページに記載しているが、校内での指導を行ったが効果がなかったため、規則に基づいて事実確認の実施の予告を行い、指導員の派遣を通告したとあるように、通告した上でシステムに向けて乗せていくということになる。」

大森委員「予告の前にすでに校内研修をしている。」

荻野次長「事実上校内で指導するが、それで改善が見られない場合にシステムに乗せることになる。」

大森委員「予告をする前の校内研修は行政的に公式の意思決定を経ているものではなく、校長の裁量と判断で行うのか。それとも教育委員会に何か申請書を提出するのか。」

林田部長「学校から指導対象の教員がいるという書類はもらっている。予告については規則で定めている。」

大森委員「改めて制度そのものの組み立てと、どこまでが国のモデルに沿っていて、どこからが市独自のものなのか教えてもらいたい。」

教育長「学校活性化条例の制定の際に、流れを整理しているので改めて説明する。」

大森委員「この議案で初めて位置づけとして指導が不適切な教員と認定されるということか。」

林田部長「そうである。学校現場から外す。学校に対しては講師を派遣して授業に支障がないようにする。」

大森委員「教員数が1万人を超える中で、年間にこの研修に入る数は少ないとのことだが、ここまであげてくるのに労力を要するので、実際にあがってきてもおかしくない教員が、そんな余裕がないということで校長からあがってきていないから、こういう数字で済んでいるということはないのか。」

教育長「今は各学校とも教員定数が非常に厳しいので、しんどい教員がいればむしろあがってくるような状況になっている。あるいは校長支援の声が多く上がってくるようになっている。」

林田部長「予告をする際にはハードルがあるが、学校長からの相談の中で支援を要する教員は200人近くがあがってきている。」

大森委員「同じようなレベルの問題を抱えた教員は何倍もいるが、たまたまこの人たちがあがってきているのではなく、予備軍の中でも特に問題が大きい教員があがってきていると考えてよいか。」

林田部長「よい。」

大森委員「当該教員は他都市の教員勤務歴が長いが、過去の状況はわからないのか。」

林田部長「教えてもらえない。当該教員の採用試験の状況は面接点は高く、筆記は平均より上であったが、実際の指導力がなかったという状況である。」

高尾委員「詳しく書いているが、すべて当該校での1年間の記録か。」

渡部課長「そうである。」

高尾委員「5年間で3回学級担任を持ち、そのすべてで学級崩壊を起こしたとのことだが。」

渡部課長「前任校で学級崩壊を2回起こしたことがある。」

委員長「先ほどの議案とステップアップ研修の中身を見比べると、似ているものと似ていないものがあるが、カリキュラムの策定過程を教えてもらいたい。」

渡部課長「指導員が当該教員の課題をつぶさに把握しており、計画を出す段階ではそれを踏まえて策定している。1週間単位で研修計画をたてている。特に議案第63号の教員は生徒指導に課題があるので、生徒指導に重点を置いた場面指導をロールプレイでやることや、授業が分からない生徒への指導方法を組みこんでいる。本議案の教員は小学生の発達段階への理解に乏しいので、小学生にどう接していくかということが中心になっている。これまで中学生を相手にしてきており、小学生の特性がわかっていないということがあるので、研修の中身が異なってくる。」

大森委員「発達段階に応じた教え方を大学の教育学部では教えているのか。実践的なことを教員養成でちゃんと教えているのか。以前は学校に入ってから現場での指導で培っていったのだろうが、昨今は現場でのOJTが難しくなっていると聞いている。」

渡部課長「判定委員の中に教育大学の先生がいたので聞いたが、大学時代にはきちんと教えているとのことであった。免許を取ってから期間が経過していることや、その間に大人の中にいることにより、子どもとの感覚が薄れていること、当時の子どもの状況と今の子どもの状況が相当異なっていることを本人が学び直さないとしんどいといった指摘があった。これらのことを丁寧に研修で教えていきたい。」

高尾委員「長く講師をやっており、講師時代に学ぶチャンスがあったのではないか。」

渡部課長「講師時代は担任をもつのではなく、サポート的に入っていた。」

高尾委員「そういう意味では講師経験はあまり役に立たないのか。」

大森委員「採用されて1校目の1年程度で適性はわかると思う。」

沢田所長「だいたいはわかると思うが、そこで決定づけるのは時期尚早であり、様々な可能性を探ることになる。」

大森委員「今の自民党政権が仮採用期間を検討しているとのことだが、それによりこれが改善されるかということを知りたかった。自分が向いていないと判断できるかどうかである。」

林田部長「仮採用ということで、こちらの一方的な判断で免職できるかということである。今も条件付採用期間があるが、訴訟リスクとしては分限免職の手続きと結果的に同じになる。一旦採用してしまえばあまり変わらない。」

大森委員「今の条件付採用とは違うことを考えているから、自民党政権は言っているのだと思う。」

沢田所長「大学も文科省の指導で来年度から実践的な講座を必ず入れることになっている。今までは座学的なもので教員免許が取得できたが、教員免許のカリキュラムの中で実践的なものを入れるよう大学も変わってきている。」

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 

(5)長谷川委員長より閉会を宣告

 

 

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