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【第37号】「親力」向上してみませんか?2~コーチングというコミュニケーションを学ぶ~

2022年10月30日

ページ番号:250449


A 「Youのほめ」は「評価」


 一般に「ほめ」と言われるのは、表の「A」ですね。「よくがんばったね」「立派だね」…こういう言葉でほめてもらえるとうれしいものです。ただ、注意したいのは、これらは「評価」の言葉だということです。
親「80点もとったね、すごいね。がんばったね」
と「A」でほめてみましょう。このような反応になる可能性があります。
子1「あ…まあね。(…実はたまたまヤマが当たっただけだよ。お母さん分かってないな…)」
子2「あ…まあな。(全然すごくないよ。90点目指してたんだもん…)」
 親の評価が常に正確だとは限らないわけです。こういうことが重なると、子どもの潜在意識は「お母さんは僕を(私を)見ていない」と理解するかもしれません。
 また、
子3「べつに。(なんだよ、偉そうに…。)」
というような反応も、特に反抗期の子どもなどには起こりがちです。評価というものは「上位者」が「下位者」に対してするものだからです。

B「認めない」のは「否定」


 子どもが「認めてほしい」「ほめてほしい」と思っている時に「B」のような「認めない」対応をすると、子どもの潜在意識は「否定された」と理解します。極端な言い方をすれば「自分は無用」「愛されていない」「興味を持たれていない」という理解かもしれません。そして無意識に、興味を持ってもらうための行動を始めます。いたずらや反抗なども含めて、その行動は様々な形をとります。

C「Iのほめ」は「愛のほめ」


 「B」の対極にあるのは「C」。相手のことを言うのではなく、「ママはうれしい!」「父さん感激したよ」と、「自分の心に何が起こったのか」を言うところから「Iのほめ」と呼んでいます。感情をそのまま言葉にするのです。
 「自分の行動や創り出した結果が、親を幸福にしている」…子どもの潜在意識はそう解釈します。心のつながり、愛情のつながりを感じます。「Iのほめ」は「愛のほめ」です。
 「A」の「Youのほめ」で育った子どもと、「C」の「Iのほめ」で育った子ども、それぞれの将来を想像してみてください。「評価されることを目的に生きる人」はどちらでしょう。「人の役に立ち、人の幸福に貢献する人」はどちらでしょう。

D「フィードバック」は「鏡」


 「D」は無機質な印象ですね。テストで80点とったら「80点だね」、子どもが2時間机に向かったら「2時間机に向かったね」、そう言うだけ。評価を一切交えずに、見たまま、ありのままを伝えるだけ。これを「フィードバック」と言います。「事実を事実として確認したよ、受け取ったよ」というサインです。ほめではありませんが、確実な「承認」です。
「80点も」「2時間も」になるとたちまち「A」の「評価」になってしまいます。

教育コーチは「事実」を伝える


 教育コーチは評価者ではありません。ですから評価・解釈・判断・思い込み・先入観など(総称して「概念」と呼びます)を極力手放し、「事実」だけを扱います。「事実」を扱う会話は「D」ですね。そしてもう一つ「C」です。 
「C」は感情を言葉にしたものですね。感情が「事実」であるという感覚は腑に落ちないかもしれませんが、身体に実際に起こった変化ですから「事実」なのです。
 具体例を挙げてみましょう。
 いつも真面目に掃除をしない子どもが部屋の掃除をしていたとしましょう。
 「偉いね」とか「いつもそんなふうにきれいにしなきゃダメよ」という前に、「事実」を見てみるのです。
そこにある「事実」は、
1.子どもが掃除をしている。
2.自分は「驚き」と「喜び」を感じた。
です。それをそのまま口にします。
 「掃除してるね」
 子どもは「お母さんは自分を見ている」と感じます。子どもが何も言わなければ、「質問」をしてみるといいですね。「どんな気分?」と。
 そして、
 「お母さん、ちょっとびっくり! そして、すっごくうれしい気分!」
 理由も説明も不要です。理由も説明もない方が、思いが届くことが多々あります。

条件付承認と無条件承認


 皆さんは、どんな場面で子どもを承認しますか?「何かが出来たら認めてあげる」…こうお答えになる方がほとんどです。これを「条件付き承認」と言います。
親御さんに持っていただきたいスタンスは「無条件承認」=「結果に関わらず認める」「ありのままを認める」、つまり「存在承認」です。
 子どもにとって親の「承認」は「愛」です。ですから「何かが出来たら認めてもらえる」という感覚は「何かが出来る自分は愛され、出来ない自分は愛されない」に等しいのです。「どんな自分であっても愛される」「世界中の人が自分を否定しても、親だけは自分を愛し、自分の存在を認めてくれる」という無意識の実感が子どもには必要なのです。この実感が自己有用感・自己肯定感を高めます。障害にぶつかったり失敗したりした時に立ち直る力を「リジリエンス(心の回復力)」呼びますが、その源泉になるのが自己有用感・自己肯定感なのです。
 「愛しているよ」「大好きだよ」「いつも思っているよ」…そんな「C」の言葉で「無条件承認」を届けてください。
承認できないと感じる時にこそ、「C」「D」を活用してください。素敵な「無条件承認」ができます。
子どもがテストで0点をとったとしましょう。
 まず「D フィードバック」です。「0点だね」です。事実を事実として承認する言葉です。
そして、「C Iのほめ」をしてみてください。感情をそのまま言葉にするんでしたね。「ママ、悲しいよ」「父さん、悔しいぞ」でしょうか。これは相手に対するダメ出しではありません。結果を結果として認め、起こった感情を伝える承認の一言なのです。その一言に乗って、親の温かな愛情が子の心に届きます。そしてもう一言、「C Iのほめ」を添えてください。「できる子だって信じてるぞ」。

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大阪市 教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当社会教育・生涯学習グループ

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