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【第38号】「親力」向上してみませんか?3~コーチングというコミュニケーションを学ぶ~

2022年10月30日

ページ番号:250504

怒りとは何か?


 脳には「偏桃体」と呼ばれる部分があります。ここが「危険にさらされた」と認識すると、身体全体が「戦闘モード」に入ります。これが「怒り」。物理的な危険に出会った場合に限らず、たとえば否定されたとか、プライドを傷つけられたといった場合にも起こります。身体の反応ですから、いいとか悪いとか、正しいとか間違っているとか論ずる類のものではなく、怒りは自動的に起きるものなのです。

怒らなくてもいい自分になる


 この身体の仕組みを押さえ込むことは出来ません。できるのは、怒りが作動しない自分になることです。一言で言えば「緩い」状態。
 「緩い」は「許す」の語源で、ゆったりおだやか、ユルユルした状態を表す言葉です。
 許さない日々を送っていると怒りが作動しやすくなります。逆に許すことを習慣化していると、怒りは作動しにくくなります。
 お母さん方からのメールを紹介します。

 娘がブスっとしている時も、ゴロゴロしている時も口を出さずに見守り、心の中で「S美、許すよ」とつぶやいています。ほとんど口をきかなかったあの子が、このごろよくしゃべるんです。ケラケラ笑うし、別人みたい(笑)。(中2女子のお母さま)

 許せずにイラっときて声を荒らげることもありますが、そんな時は許せなかった私を「許す」、やってますよ。「許せなかったね。OKだよ」って。先日、主人に「K太が『お母さん、最近やさしい』って言ってるよ」と言われました。(小4男子のお母さま)

 「『ごめん』の代わりに『ありがとう』を言ってみたら」と教わった通り実行しています。正直言って驚きです。娘がこんなに素直だったなんて!よく考えてみると、これまで私は「ごめんね」と言いながら、そのあとに言い訳をくっつけていました。その言い訳に娘は反応していたのかもしれません。娘の素直さを邪魔していたのは私でした。(小6女子のお母さま)

 息子は国語が嫌いで、特に漢字は大の苦手でした。今まで何度も「がんばろう!」「やりなさい」と言っても勉強せず、DSの「かきとりくん」を与えてみても一向にしようとしませんでした。その彼が先日、翌日の塾のテストの為に自ら辞書を引き、漢字勉強をし始めました。「成長モード」が働くってこういうことなんですね。(小5男子のお母さま)

 息子が「塾を続けたい、頑張るから応援して」と言ってくれました!涙、涙です。はじめは「許す」のにすごく勇気がいりました。何をやってもダメな息子、そんな子に育てた私、サポートしてくれない夫、私を育てた両親・・・仕方ないとは思えても、許せるとは思えない。許すことは恐怖に近かった。でも機械的でもいいからというアドバイス通り、誰に対しても、自分に対しても「許すよ」「ありがとう」と、ことあるごとにつぶやくようにしました。あれから一カ月、気が付くと、怒りや憎しみという感情がほとんど起こらない自分になってきました。ふと母親であることに幸福を感じる瞬間も。そんな矢先の子どもの「頑張る宣言」、ほんとに驚きです。他の子たちの頑張りにはまだまだ追いつかず、あせりも正直あります。でも、この子は大丈夫。そう思える私がうれしい!(中2男子のお母さま)

叱る


 こうして怒らない自分を手に入れると、必要に応じて叱ることができるようになってきます。「怒り」は自動的に怒りますが、「叱り」は意図的です。「さぁ、怒ろう」と思って怒ることはできませんが、叱りは「さぁ、叱ろう」と思って行います。

子どもが求めている言葉


 子どもたちは、様々な失敗をします。ダメな自分に直面することもあります。そんな時、お父さん・お母さんからどんな言葉を掛けて欲しいのでしょうか。子どもたちを対象にしたアンケート調査(2010年 対象者1400名)から分かったことを紹介しましょう。

A 成績が下がったとき


 「次は頑張ろう」「次はいい点とろう」「応援しているよ」「やればできるよ」「もっと勉強しよう」がベスト5でした。共通するのは未来に対する言葉掛けだということです。「どうしてこんな成績になったの?」「しっかり勉強したの?」など、過去に対する言葉掛けを希望する子どもは皆無でした。子どもたちは、「失敗は失敗として認めて、僕の未来を見て!」「私も『しまった!』と思っているんだから、明日に向かって背中を押して」と思っているようです。
 勉強や仕事において成果や成長を実現していくためには「リジリエンス―心の回復力」が必要です。転んでも、落ち込んだりあきらめたりせず起き上がって走り出す力。その力を育んでいくためにも、未来に対する言葉掛けをしたいものです。

B 勉強に対してやる気が出ず、なまけているとき


 「頑張りなさい」「しっかりやりなさい」といった指示系の言葉、「休んでいいよ」「そんなときもあるさ」という許容系の言葉を希望する意見がだいたい半々です。「黙って見守って欲しい」という回答も目立ちました。
 「頑張りなさい」と似ていますが、「頑張らなきゃダメ」と言って欲しいという子どもはゼロでした。「ダメ」禁忌で人は動かない。つい口から出る「やっちゃダメ」「やらなきゃダメ」は、子どもたちのやる気を引き出す言葉ではないのです。

C ゲームをやめられず、長時間やっているとき


 興味深いのは、「ゲームやめなさい(やめて)」という実にストレートな表現がトップであったことです。「そのへんにしておきなさい」「○時間たったよ」「続きは明日」などが続きます。
 「ゲームばかりしてていいの?」「何時間やったら気が済むの?」「テスト近いんじゃないの?」「ソフトを買うとき、一日30分以内って約束しなかった?」こういう婉曲表現を望む子どもはほとんどいませんでした。

D 寝坊したり、もたもたしたりして、学校や塾に遅れそうになったとき


 「早くしなさい」「遅いわよ」といった言葉が口から出る親御さんが多いかと思います。子どもたちの希望べスト3は、「気をつけて行きなさい」「あわてないで」「明日は早く起きよう!」でした。幼稚園児は「ママ待ってるよ」「バスさん待ってね~」「よ~いどんできょうそうしよう」なんていう言葉もありました。「遅れた!」・・・その事実を否定したり、非難したりせず、事実を事実として受け入れ、寄り添ってほしい。そんな願いが伝わってきます。

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大阪市 教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当社会教育・生涯学習グループ

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