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【第46号】「まばたきパチパチ~子どものチック~」大阪市立大学大学院医学研究科 神経精神医学 講師 宮脇 大

2019年3月20日

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これってチック?


 子どもが目をぱちぱちさせる、鼻をひくひくさせる、顔をしかめたり、肩をすくめたりすることはありませんか? また“アッアッ”と声を出す、鼻を鳴らしたり、風邪ではないのに咳をしたりすることはありませんか?これらが繰り返しみられるのなら、それはチックかもしれません。

チックってどんなもの?


 チックはやるつもりが無くても繰り返してやってしまう動作または発声です。「ピクッ」とか「グイッ」と形容できそうな素早い動きで、顔、首、肩や腕など上半身にみられることが多く、これらを「運動チック」と呼びます。また発声にかかわる筋肉が動くと、声が出たり、息を吐いたり、咳払いのようになり、「音声チック」と呼びます。
 チックは意図的にやっているのではありません。ただ、頑張って何分間か抑えることができるため、“やる気次第で止められる”と誤解されることがあります。しかし、実際には努力で抑え続けることはできません。

チックは珍しい?


 いいえ。チックは子ども10人のうち1人くらいは体験する、よくある症状です。チックのある男の子は女の子の2~3倍います。初めてチックが起こる時期は4~11歳頃で、6歳前後が一番多いようです。

チックはやがてどうなるの?


 「そう言えば、息子は年長の時によく目をぎゅっとつむったり、首を振ったりしていたけど、数カ月でいつのまにか消えていた」と言うのが典型的です。チック、特にシンプルな運動チックのほとんどは1年以内に消失します。このようなチック症状は『暫定的(一過性)チック症』という病名で呼ばれますが、特に治療は必要ありません。
 一方、ごく一部の子どもでは運動または音声チックのどちらかが1年以上続き、『持続性(慢性)チック症』と呼ばれます。また多彩な運動および音声チックの両方が1年以上続く場合は『トウレット症(症候群)』と呼ばれ、飛び跳ねたり、言いたくない言葉を口走ったりするような複雑なチックがあったり、種類や頻度が変動しやすい傾向があります。このようにチックが1年以上持続する場合でも、症状のピークは小学生高学年から中学生時代で、その後は良くなっていくことがほとんどです。

チックの原因は親子関係ですか?ストレスですか?


 いいえ。過去にはそのように考えられたこともありましたが、違います。原因は完全には解明されていませんが、近年の研究によりチックの起きやすさは子どもの体質(脳の特性)が原因であることが分かって来ています。“友達にいじめられてからチックが出るようになった”、“厳しく叱った後にチックが増える”と感じている保護者もおられます。しかし、これらはチックの原因でなく、チックを増やした一つのきっかけであるようです。病院の待合室で目をギョロギョロさせたり、うなり声を出したりすることが止められない子どもが、診察室に入るとこれらのチックがピタッと止まることがあります。これは強い緊張状態ではチックが一時的に減ることもあり、ストレスとチックの関係は一定でないことを示しています。このように様々なストレスはチックを一時的に増やしたり、時には減らしたりする要因になりますが、原因ではありません。

どう対応すればいいの?


 チックは、子どもの性格や親の育て方に問題があって起こるのでないことを理解してください。また一過性でも持続性であっても、一喜一憂せずに見守ることをおすすめします。我慢するように言っても効果はありません。むしろ、この時期の我が子の特徴の一つとして受け入れ、これまで通りチック以外の子どもの長所や成長に目を向けて、気長に応援するほうがよいでしょう。背の高さ低さなどの体質や喘息や花粉症などの軽い持病と同じように、“不便な時もあるけど、個性のひとつに過ぎない。自分が悪いわけじゃない。”と子ども自身がチックを前向きに捉えるなら、たとえチックが続いても大丈夫です。顔をしかめる政治家やスポーツ選手の活躍をテレビでご覧になったことがあるのではないでしょうか。
 稀ですが、チックが強くなり子ども自身が困り自信を無くす場合、友達にからかわれたり、勉強の邪魔になったりして学校生活に支障が出る場合、チック症状に加えて極端なこだわりや落ち着きの無さがみられる場合があります。その際には率直に心配していること、力になりたいことを伝え、チックについての子どもの意見や希望を聞いてみたほうがいいでしょう。担任の先生に伝えて、学校での様子を確認するのもよいと思います。専門家としては、子どもの脳やこころの発達に詳しいカウンセラー、保健師、小児科医や精神科医がおり、相談が出来ます。また最近ではチックを抑える効果のある副作用の少ない飲み薬があり、チック症状に悩む子どもの希望に応じて(一時的に)使用することがあります。

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