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平成26年第15回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:310156

平成26年第15回教育委員会会議

 

第15回教育委員会会議録

 

1 日時  平成26年5月27日(火曜日) 午前9時30分から午後3時

 

2 場所  大阪市役所本庁舎屋上会議室

 

3 出席者

大森不二雄  委員長

林  園美  委員長職務代理者

高尾 元久  委員

西村 和雄  委員

帯野久美子  委員

 

山本 晋次  教育長

寳田 啓行  教育次長

沼守 誠也  教育次長

浅野 宏子  総務部長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

森本 充博  生涯学習部長

大継 章嘉  指導部長

多田 勝哉  教育改革推進担当部長

岡田 和子  学力向上支援担当部長

三木 信夫  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

坪井 宏曉  初等教育担当課長

松田 淳至  高等学校教育担当課長

島田 保彦  特別支援教育担当課長

小花 浩文  指導部主任指導主事

嶋田 裕光  指導部指導主事 

塩見 暢朗  指導部総括指導主事

永田 夏穂  指導部指導主事

岩本 由紀  指導部総括指導主事

平岡 昌樹  指導部指導主事

大場 博美  人権教育担当課長

玉置 信行  公設民営学校担当課長代理

山野 敏和  企画担当課長

本  教宏  企画担当課長代理

曽我部しのぶ 総務部担当係長 

仲村 顕臣  総務部総括指導主事

川本 祥生  教職員人事担当課長

江原 勝弘  教職員人事担当課長代理

橋本 洋祐  教務部担当係長

田岡  進  教務部担当係長

有上 裕美  教務部担当係長

川阪  明  総務課長

松浦  令  総務課長代理

東川 英俊  総務課担当係長

ほか係員2名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に林委員を指名

(3)議題

議案第113号  平成27年度使用教科用図書の採択の方式について

議案第114号  大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則案

議案第115号  大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会の設置等について

議案第116号  職員の人事について

議案第117号  職員の人事について

議案第118号  職員の人事について

議案第119号  職員の人事について

議案第120号  公設民営学校の設置における制度設計(案)について

報告第6号      平成25年度局運営方針自己評価結果について

 なお、議案第115号については、会議規則第6条第1項第5号に該当することにより、議案第116号から第119号については、会議規則第6条第1項第2号に該当することにより採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開とされた。

 

(4)議事要旨

議案第113号「平成27年度使用教科用図書の採択の方式について」を上程。

大継指導部長からの説明要旨は以下のとおりである。

 市立小学校及び市立特別支援学校小学部の教科用図書については、大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会の厳正かつ公正な選定を経た答申を踏まえ、教育委員会において採択するものとする。また、市立中学校及び市立特別支援学校中学部については、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律第14条及び同法律施行令第14条第1項の規定により、平成25年度と同一の教科書を採択するものとしている。

   採択の流れについては、教育委員会が教科用図書選定委員会を設置し、選定について諮問を行う。教科用図書選定委員会が専門調査会及び学校調査会を設置し、調査研究をした後、選定資料を作成し教育委員会に意見を答申し、教育委員会で採択をしてまいる。

   なお、採択にあたっては、これまでの8採択地区を統合し、大阪市で1採択地区として設定し、大阪市で種目ごとに1種類の教科書を採択するものとしている。

   教科用図書選定委員会委員については、教育センター職員をはじめ、学識経験者、区担当理事、保護者、校長を委嘱する。また、選定委員会は、各種目別の調査員から成る専門調査会より報告を受け、選定委員会は学校調査会から報告を受けるとともに、学校協議会や保護者並びに市民から意見をいただくような仕組みとなっている。

   次に、高等学校及び特別支援学校の採択の方式についてであるが、高等学校及び特別支援学校の教科書については、学校教育法第34条及びその準用規定の第62条及び第82条により、文部科学省検定済教科書及び文部科学省著作教科書の中から採択することが原則である。ただし、高等学校の実習教科などや特別支援学校の各教科等で文部科学省検定済教科用図書または文部科学省著作教科用図書がない場合については、学校教育法附則第9条及び学校教育法施行規則第89条により、他の適切な教科用図書を使用することができると定められている。

   市立高等学校及び市立特別支援学校における平成27年度使用教科用図書の採択については、各学校に教科用図書選定調査会を置き、教育委員会からの諮問により当該学校の選定調査会が教科用図書の調査及び研究を行い、教育委員会に意見を答申した上で教育委員会が採択する。選定調査会は、昨年度の教育委員会会議の附帯決議を踏まえ、当該学校の教育課程や生徒の状況を基本に置きながら、複数の教科用図書の特徴を答申に加えるなど、内容に着目し最も適した教科用図書が採択できるよう答申する。また、調査及び研究の公正・透明性を確保するため、選定調査会では、高等学校及び特別支援学校においては、当該学校の生徒、保護者の意見を聞き、それを踏まえ意見を答申するものする。

   なお、咲くやこの花高等学校につきましては、中高一貫教育校であることから、大阪市立高等学校及び特別支援学校教科用図書選定調査会要綱第4条第1項に基づく、咲くやこの花高等学校と咲くやこの花中学校の校長及び教員で選定調査会を組織する。

   次に、教育委員会が各学校の選定調査会に対し指導・助言をしている内容についてであるが、本市の高等学校はさまざまな学科を設置しており、それぞれ多様な教育課程により教育活動を展開しているため、各校においては、設置学科の教育目標や保護者及び生徒の意見を踏まえながら、生徒の興味・関心、適性、進路希望などの実態に応じた適切な教科用図書が選定されるよう指導・助言を行っている。

   特別支援学校では、在籍する児童・生徒が障害の状況などが多様であることを踏まえ、個々の障害の状況を的確に把握して、次の4種類の図書の中から選定することとなっている。1点目は、文部科学省の検定を経た小学校、中学校、高等学校用の検定教科書、2点目が、特別支援学校視覚障害、聴覚障害、知的障害教育用の各文部科学省著作教科書、3点目が、教育委員会が定めた選定資料にある絵本などの一般図書、4点目が、視覚特別支援学校など職業学科を有する特別支援学校で使用する専門書である。また、絵本などの一般図書から選定する場合は、音が出たり、手でさわり感触を楽しめるよう工夫しているものなど種類もさまざまであり、児童・生徒の障害の状況に応じ、きめ細かく調査研究するよう指導・助言をしている。

小中学校の特別支援学級については、学校教育法第34条第1項及び第49条の準用規定により、児童・生徒の当該学年の検定教科書を使用することが原則であるが、学校教育法附則第9条により、特別支援学校と同様に他の図書を教科書として使用することができ、特に特別支援学校に準じて小中学校内に選定調査会を設けて選定することとなる。ただし、実態としては、特別支援学級在籍児童・生徒は、通常の学級での交流を行うときに同じ教科書を配慮して使用するなど、当該学級の検定教科書を使用している。また、各校では、必要に応じ、児童・生徒の障害の状況から別途特別支援学級の図書として絵本などを整備するなど、きめ細かく対応している。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【高尾委員】  今回の教科用図書の採択につきましては、採択の仕組みが非常に明確化されたと、すっきりした形で進めるようになったと考えております。一例を申せば、教育委員会事務局の役割などについても非常に明確化されてここに位置づけられたということが言えるのではないかと思います。それから、採択に当たっての視点についてこれまであまり明確でなかったのではないか、あるいは、ほかのところと同じような形で進めてきたのではないかと思いますが、今回、大阪市の教育振興基本計画あるいは条例などをもとにして、きちんとした位置づけができるのではないかと思っております。具体的に言えば、振興基本計画におきましては、学力を身につけるということ、自立した個人として自己を確立するということ、次代の社会を担うようになるということ、それから、国際化の進展、未曽有の災害の発生等を踏まえて、子どもたちが心豊かに力強く生き抜く、未来を切り開く、そういう力が必要なのだということを掲げておりますし、また、グローバル化が進む国際社会において力強く生き抜くということも掲げております。我が国と郷土の伝統文化を尊重するということ、それから、学力、道徳心、社会性、健康、体力を育むと具体的に明示しておりますので、こうした観点に立って今後採択が行われるよう期待しております。

 それから、今回採択のエリアが変わったわけですけども、ぜひそれを生かしていただきたいと思っております。教科書の採択後、問題意識が全市で共有できるのではないかと思っておりますし、先生方の間で討議やら研究やらが積極的に進められて、教授方法とか、あるいは将来どういうふうに改善していけばいいのかということの研究がさらに進化して、大きな効果を導き出すということを期待しております。

 それから、高等学校に関して、実はある先生から、これまでの採択の中でなかなかほんとうに議論するということに至らなかったという側面があったということをお伺いしました。これは一部の現象かもしれませんけども、主としてその教科を担当なさっている主任の先生のご意向でほとんど事実上決まってしまうと、それに対してはなかなかほかの先生も意見を言いにくい、校長であっても言いにくいことがあるということを伺ったことがございます。ぜひ、これを機に実質的な議論が皆さんの間で展開されていって、よりよい教科書を選ぶというふうになっていけばと期待をしております。

【林委員】  今回、採択に当たっての仕組みが非常にすっきりとしたのではないかと私も思っております。各専門調査会ではきちっと専門の各科目の研究を行い、適切な教科書をきちっと報告として上げていただく。最終的に、さまざまな学識経験者や先生方の意見だけではなく、いろんな方の意見が反映される形で教科書が選定されていくということが非常に大切だと思っておりまして、今まで私もこの立場に立つ前は、教科書がどのように採択されていたかなんてことは全く関心の外でありましたけれども、市民の意見、保護者の意見、また学校協議会の方にも広く意見を募ると聞いております。また、アンケート等もとられるということも聞いておりますので、たくさんの方の意見が反映された上でベストのものを選定できればよいと考えております。そのベストのものという意味では、先ほど高尾委員が言われておりましたけれども、大阪市の子どもたちをどのように教育するのか、どういう目的で教育していくのかということが非常に大切だと思っておりまして、そこに沿った形の教科書を選べればよいと考えております。

 あと1つ質問なのですが、学校調査会からの報告はいつどのタイミングで上がってきて、どこの段階で反映されるのでしょうか。

【大継指導部長】  学校調査会につきましては、各学校がそれぞれ教科書センターなどに出かけたりいたしまして調査研究をいたすわけでございますので、一定答申を作成するまでに専門調査会のほうに学校ごとに調査結果を報告され、それを加味しながら専門調査会の中でまとめられると、このように理解をしているところでございます。

【林委員】  わかりました。その段階で各学校の先生方の意見もきちんとそこに反映されていくと考えてよろしいでしょうか。

【大継指導部長】  結構です。

【大森委員長】  今後の流れはどのようになっていますか。

【大継指導部長】  この後でございますけれど、教科用図書選定委員会を立ち上げていただきまして、その選定委員会の中で調査研究が始まるわけでございまして、その間、調査研究がありまして、答申を受けるといいますのが7月の上旬というスケジュールになっております。その答申をもとに、教育委員会の委員の皆様方が選定資料をもとに採択に向け研究していただくということになります。

【大森委員長】  そうすると、この場が唯一公開の場で、これまで事務局の皆さんと我々委員の間で議論して詰めてきたことというのをご紹介する公の場はこの場が唯一だと思いますので、議案を補う形で我々が詰めたことのうち、大事なことをご紹介しておく必要があると思います。まず、義務教育と高校は違いますが、両方について言えることは、これまでのように特定の教科書を候補として別の教科書を代替候補にするとか、そういう順位とか優劣とかというのをつけない形でという大きな考え方があったわけですが、他方で高等学校については、特に専門学科の教科書を中心に、順位づけをしないで行うなどの議論もあったわけです。そういう意味で、大事なことはご紹介しておく必要があると思います。まず、答申について、義務教育のほうと、ちょっと大きくあえて高等学校のほうと言いますけれども、この2つに分けて、また、特に高校のほうになるかとは思いますが、教科の特性というものを踏まえて我々はどういう議論をしたかということの1つの結論めいたものを、簡単にわかりやすく事務局のほうから紹介いただけますか。

【大継指導部長】  先ほどご説明を申し上げました内容で申し上げますと、昨年度の教育委員会議で附帯決議を頂戴いたしましたので、まず生徒の状況というものを十分に踏まえるということが基本でございますが、各調査会では複数の教科用図書の特徴を答申に加えるということで、委員長のほうからございましたように、順位というものをつけずに複数のものをしっかりと上げていただき、そして教育委員の皆様方が複数の中から適切なものをお選びいただくと、このようなシステムになっているということでございます。

【大森委員長】 それは義務教育の話ですか。

【大継指導部長】  これは高校でございます。義務教育におきましても、基本的に調査会から各学校で報告が上がってまいりますが、選定委員会よりそのような内容の答申を教育委員会のほうに上げさせていただくということでございます。

【大森委員長】  ただ、高等学校について、専門学科の教科書についても、全ての教科について優劣をつけないということでは物理的に無理であると考えます。

【松田高等学校教育担当課長】  お答え申し上げます。専門学科につきましては非常に多岐にわたるとありますので、その点は一定学校の答申を絞らずにするとなっていまして、国語、英語、こういった一部の教科につきましては、今回は複数をあげて選択いただくと考えております。

【大森委員長】  高等学校については、昨年度の附帯決議に基づいて検討してきたわけですが、結局、今お答えいただいたように、今般の検定を通った教科書で、普通科系の教科であるところの国語と外国語を中心に、いわゆる前回の附帯決議でもって、答えが最初から決まっていない形で、つまり優劣とか順位づけをしない形での教育委員会において責任を持って選定するということにすると。他方で、専門学科等のありとあらゆる教科書についてそういったことをやるということは、事実上困難であるのみならず適切でもないだろうということで絞り込みをやったという理解、そういうふうに記憶していますけれども、それで大丈夫ですかね。他方で、義務教育のほうについて、高等学校との違いも含めて正確にご紹介いただけますか。

【沼守教育次長】  今ございましたように、基本的には、教育基本振興計画に則り、大阪の子どもたちに何が一番いいかということを委員の皆様方に最後は決定していただくということで、高等学校のほうは小学校より多岐にわたりますので、そういう意味では、きちっとした各学校の生徒の実態に合わせた形で2社なりをきちっと上げさせていただいて検討させていただく。ただ、義務教育のほうは、検定教科書は最大でも8社、7社でございますので、その特徴なりすぐれた点なりをしっかりと調査委員会の中、選定委員会の中でご論議いただいた中で答申をいただいて、委員の皆様方にその内容を見ていただいて選択していただくという形で、その点では、やっぱり義務教育のほうは数が限られておりますので、全て手にとって見ていただきながら中身を検討していただく材料を事務局でつくらせていただくという形になると思います。

【大森委員長】  我々教育委員は、専門家に近い方もいらっしゃったりすることはありますが、各教科の専門家ではないので、素人が素人判断でということではなくて、きちんと選定委員会から上がってきた答申、さらには、我々の判断の材料を事務局でちゃんと整理していただく。これはつまり、どういうことかというと何を重視すれば、どの教科書を選ぶか、Aの観点、Bの観点、どちらを重視するかというのは、それはやはり市民に対して行政として責任を負う立場の機関がやるべきことだろうと思います。ただ、Aの観点でどうなっている、Bの観点でどうなっているというのは、これはやはり専門家の方にきちんと分析、整理、記述していただかないといけないことです。その上で、AよりもBの観点を仮に重視するのだということで委員の間で合意がなされれば、Bの観点において、より優れている教科書を採択するとか、抽象的な話になりますが、そういった検討や議論をするということであって、教師、先生方とか教育の専門家、あるいは教科の専門分野の専門家に成りかわって、我々教育委員、素人が素人考えで選ぶということではなくて、専門家が整理した判断材料に基づいて、何を重視してどちらになるかということをきちんと判断したいということでございます。

教科用図書選定委員会の中には、いわゆる狭い意味の事務局職員、もっと具体的に言うと指導部職員は入っていないという整理でした。それで、広い意味では事務局職員になるのでしょうけれども、選定委員会の委員のほうには、現場の指導力向上研修、そういった現場により近い立場での教育センターの職員が選定委員に入るべきであって、我々委員を補佐する専門職としての指導部の職員は委員会のほうには入らないという整理だということで、そういうふうに整理しました。そういったことも、きょう以外にきちんと我々が議論してきて詰めてきたことを公の場で明らかにする場が、この後、実際の採択までないということです。

【林委員】  今までのお話の流れでも、どの観点で教科書を選んでいくかという、その観点が非常に重要になってくるだろうと思います。先日、少しこういう観点でという案を見せていただきましたけれども、教育振興基本計画に則った部分に加えて、今年度はさらに学力向上を掲げていますので、そこに結びつくような、特に学力テストで大阪市の子どもたちの課題となっている部分をきちんと補うような教科書であるかどうかという部分の観点も今年度は1つ加えて選んでみてはどうかというアイデアも出されていましたので、その観点についてもこれから議論をして、きちんと詰めて、いい教科書が選べていけたらいいなと思っております。

【大森委員長】 観点については、実際に教科書の調査研究が進むにつれて、今後も柔軟に見直す余地はあるかとは思いますが、これまで議論してきていることといたしましては、教育振興基本計画に基づいた本市の教育施策、教育政策との関連性というものを重視するというのが1つの観点であったかと思います。もう1つの観点として、今、全国学力・学習状況調査、あるいは保健体育などですと全国体力・運動能力、運動習慣等調査、こういったデータあるいはエビデンスに基づく調査研究というものをやるとことです。これは、言うは簡単で実際はなかなか難しいと思いますが、いろいろ現場と協力して、事務局においても我々が判断できるような方向に持っていってほしいと思います。選定委員会への諮問、調査内容も含めてそういった形に持っていってほしいと思いますが、今の段階で、そういった本市の教育施策との関連、それから、そういう全国学力調査等のエビデンスに基づく調査研究をするといったことは議論してきているかと思います。それらによって、結局、子どもたちにとって最良の教科書となるということでございます。

 仕組みの話に戻りますと、義務教育について、今般、選定委員会が条例に基づく附属機関になる条例案が可決されればということですが、この名称が選定委員会で、かつ、この議案資料に厳正かつ公正な選定を経た答申とありますが、この選定という言葉で聞きますと、一般の方は、ああ、ここで1つの教科書に選ぶのだねと、普通日本語的にはそう理解される言葉だと思うのですが、これはそうではない意味といいますか、教育委員会において採択する、つまり最終的に1つに絞り込むための調査研究という意味で、この選定委員会の任務はそういうふうになっているかと思います。一般に選定と書いてあると誤解されるかと思いまして、そういう理解でよろしかったですよね。

【大継指導部長】まず、最初の話でございますが、諮問に当たりましても、選定委員会で本市が25年3月に改定をいたしました教育振興基本計画、やはりこれに基づいた内容、そして、今回、全国学力・学習状況調査や体力調査の結果に基づき、しっかりと踏まえた内容になるようなもので調査をしていただくと、このような観点を審議していきたいと思っております。

 あわせまして、選定の件でございますが、教育委員の皆様がその後しっかりと検討いただきますように、複数の教科書につきまして順位を決めずにしっかりと調査をいただきまして、その中から全てを教育委員会のほうに上げていただくと考えております。

【大森委員長】それから、現実問題として、答申をいただくのが7月上旬で、教育委員会会議での採択が7月下旬と、これは高等学校のほうも同じスケジュールかと思いますけれども、極めて短期間ですよね。教科書というのは、大阪市のほうにそれぞれ1種類の教科書、これは何冊ずつ配付されているのですか。

【坪井初等教育担当課長】  今現在大阪市へ配付されております教科書は、教科書センターの部分を除きまして9セット来ております。種類でいいますと230冊程度になろうかと思います。230が9セットと考えていただいたらいいかと思います。あと、教科書センターのほうには2冊ずつですので、今回、教科書センターが31ありますので、62セット、これは教科書センター用ですので、調査研究とは別の分となっております。

【大森委員長】 9セットで調査研究に支障は来さない十分な量ですか。

【坪井初等教育担当課長】  その中で工夫して調査研究をいたしますと、これは文部科学省のほうから定められた冊数でございます。前回、教科書センターが8カ所でございましたが、これを各区に必ず1カ所開設するということで、これまでの8教科書センターもそのまま残しまして、プラスアルファ8から教科書センターを合計31カ所に増やしております。ですから、ここの表の3ページにございますように、より広く市民の皆様方、または保護者の方々にも文書を配布して、協議会の方にも文書を配付して、ぜひとも行ってくださいということも広げております。教科書採択におきまして、こちらの選定委員会で調査する部分、それから専門調査会で調査する部分を含めまして、今、計画の段階では、送られてくる冊数、セットというのは十分であると考えております。

【大森委員長】  7月下旬に採択を決定しなければなりませんが、我々教育委員は1人1冊確認することができますか。これは、みんなが来たときに閲覧するとか、そういった形では到底責任ある判断ができないと思いますが、本当に十分な冊数が来ているのでしょうか。

【坪井初等教育担当課長】  冊数はかなり多くございますので、教育委員の皆様方は、この教科書をじっくり見たいということにつきましては、それぞれじっくり見ていただくような形でお渡しすることができると考えております。

【大森委員長】  国が定めている冊数ですからしようがないということですよね。支障はないというお答えだったので、ぜひ支障がないようにやっていただきたいと思いますが、十分に供給すべきものではないかと思います。それぞれできちんと学校現場から我々教育委員に至るまでということでいくと、どうも出し渋りみたいな冊数のように思えますが、これは、少ない理由について文科省は何か言っておりますか。

【坪井初等教育担当課長】 それぞれ教育委員会に何セット、それから教科書センターに何セットということで決められておりまして、実は、大阪市が31カ所を開くということで、ほかの教科書採択地区に比べてかなり多い数ですので、驚かれているようなところはございます。

 

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第114号「大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会規則案」を上程。

大継指導部長からの説明要旨は以下のとおりである。

大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会を設置することに伴い、選定委員会の組織及び運営に関し、必要な事項を定めるため規則を制定するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【高尾委員】  第2条の2項の中の、どんな方にこの職務をお願いするかということで、(5)のところに教育に関し学識経験を有する者という規定がございます。文面どおり、また狭い範囲で読みますと、いわゆる大学の教育学部の方、教授方法とかそういうことの専門家というふうに意味がとれますが、私はもっと広い意味で、その教科の各諸分野において専門知識を持っておられるトップレベルの方も含んでこういうような表現をなされたのだろうと思いますが、この点はいかがでしょうか。

【大継指導部長】  この第2条の第5でございますが、これまでは教育の専門の方々を学識経験者としてお願い申し上げておりましたところでございますが、この間の教育委員協議会のご議論でございましたり、また、教育振興基本計画にございますカリキュラム改革でございましたり、グローバル化改革などの視点を踏まえまして、多様な視点からご審議、ご検討いただけるような方を考えたいと思っているところでございます。

【大森委員長】 学識経験者枠で経済界の方も入れる、経済人も呼び込むという読み方ですかね。それとも、第7号のその他になるのでしょうか。

【大継指導部長】  教育に関し学識経験を有する者と第5項に書いておりますので、それらの観点から申し上げますと、第7項に該当するのではないかと考えます。

【大森委員長】  つまり、具体の人選については非公開の別の議案になっておりますが、基本的にどういうカテゴリー、どういう方々をこの委員に、委員構成としてどういう方々から成るかというのは、この議案の第2条のところですので、そういう意味で、ちょっと書いていないことをきちんと公の場でご紹介しておくべきと思ったのですが、経済人を我々は入れるということ、これは既に合意しているところで、これは第2条第2項の第7号のほうで読むということですね。その他というか、前各号に掲げる者のほかということですね。

 これは義務教育についてですが、このメンバー構成と、これまでの選定委員会と今般の条例に基づく機関として設置される選定委員会のメンバー構成など、変わった点というのはどういう点でしょうか。

【坪井初等教育担当課長】 今回変わりましたのは、より広く意見をいただくという形で、事務局のほうは教育センターの指導主事に絞ったということと、あとは第2条の(3)の区担当理事が新しく明確に入ったということ、あとは(6)の学校協議会の委員が入ったことです。また、(7)で教育委員会が適当と認める者というのは、振興基本計画に書かれているように、国際社会ではばたく、いわゆる未来を担う人材のために何がいいかということの視点から経済界も入れさせていただいたということでは、20名以内にその方々を配置させていただきたいということになっております。

【大森委員長】 つまり、以前の委員会に比べると、今般設置される委員会においては、狭い意味の教育関係者だけで成り立っている。もちろんPTA、保護者の方々は入っていらっしゃっいましたが、保護者も学校関係者とみなすとすれば、狭い意味での学校関係者に比較的限定されていたメンバー構成を、この新しい委員会についてはかなり幅広くさまざまな立場の市民の方々のご意見が入り得るようにしたということでよろしかったですよね。ただ、それは、繰り返しになりますけれど、きちんと専門的な調査に基づいてこの委員会の親委員の方々も議論できるように、調査、審議できるようにということでお入りいただくということです。ですから、広げると、何か素人で集まってどうするのだという批判が必ず出てくると思いますが、そういうことではないということであります。

 

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第120号「公設民営学校の設置における制度設計(案)」を上程。

多田教育改革推進担当部長からの説明要旨は以下のとおりである。

【多田部長】  本案件につきましては、本市が提案する公設民営学校の基本的な制度設計(案)を策定しまして、文部科学省に正式提案するものでございます。

 まず、これまでの経過についてでございますが、平成25年9月13日に、公設民営学校の設置につきまして、本市から国に対し、国家戦略特区の提案を行いました。必要な規制の緩和としまして、1つは、学校教育法第5条の設置者管理主義を改正すること。また、小中学校の教職員人件費の財源措置につきまして、公設民営学校でありましても義務教育費国庫負担法第2条及び市町村立学校職員給与負担法第1条を適用すること。また、公設民営学校の教職員数につきましても地方交付税の措置を受けられることができますように地方交付税法第12条を適用すること、大きくこの3点を求めているところでございます。

 この提案の後に、12月7日に国家戦略特別区域法が成立しまして、その附則におきましては、かいつまんで申し上げますと、政府は、産業の国際競争力の強化及び国際的な経済活動の拠点の形成の推進を図る観点から、公立学校の教育水準の維持向上及び公共性の確保を図り、この法律の施行後1年以内を目途として、その具体的な方策について検討を加え、その経過に基づいて必要な措置を講ずるものとするということで規定をされているところでございます。

 また、本市では、昨年の10月以降、3回の市場調査を行いました。3回目の時点では9つの事業者と1つのグループから回答をいただきまして、民間事業者の参入に対する高い関心を確認しております。加えまして、どのタイプの公設民営学校を希望するかということにつきましては、国際バカロレア認定コースを含む中高一貫校や通常の中高一貫校を第1希望とする事業者が最も多かったという結果が出ている状況でございます。内部調査など、これらの状況を踏まえまして、まずはこの3つの提案内容のうちで中高一貫校と国際バカロレア認定校などとをあわせ持つ公設民営学校の設置につきまして、今後、文部科学省などと協議をしてまいりたいと考えているところでございます。

 制度設計の内容につきましては、ポイントのみご説明申し上げたいと思います。

 前提条件でございますが、文部科学大臣が昨年の国会答弁におきまして、想定される事業者は非営利性のものに限る旨、発言されている趣旨を踏まえまして、非営利の法人を中心として制度設計を考える、ただし、事業者の選定の際に、既に私学などを経営する学校法人に限定されるおそれがあることや、営利法人が入札のためだけに経営基盤の脆弱な非営利法人を考えるということも懸念されますことから、支払える経費に対し費用が同額になる運営を行うことなどを条件として営利法人の参入も可能とする、また、倒産など継続して経営ができなくなった場合のセーフティーネットとして、例えば、非営利法人の主たる出資者である営利法人の事業代行を緊急避難的に認めることをあわせて検討していただくように国に要望していきたいと考えております。

 次に、公設民営学校の設置の目的と本市の提案内容でございますが、まず、設置の目的としまして、国際バカロレアの認定を受けたコースを設置するとともに、例えば理数系や英語等に特化した学科を設置する中高一貫校、または中高一貫した学科を設置する、これらの相乗効果によりまして、中学校の早い段階からグローバル人材と特色ある人材の双方の育成を図るとともに、国際的な人材を招聘し、海外からの高度人材の子弟の受け入れなど、国際ビジネス環境を整えた都市づくりに寄与するとしまして、公設民営とする目的としましては、学校運営の全部または一部に民間活力を導入することで、民間の学校運営に関するノウハウや専門的人材を活用し、学校運営や教員育成などの課題解決を図るとともに、特色ある学校運営を実現するということといたしております。なお、学校の規模につきましては、国際バカロレアについては1学年2クラス、特色ある学科につきましては1学年3クラス程度の計5クラス程度を想定いたしております。

 今後の想定するスケジュールでございますが、26年度中には、必要な措置について文部科学省との調整の上、法改正の実現を国に求めてまいります。27年度は実施校の決定、仕様書の作成、施設整備費の予算要求、28年度はプロポーザルの実施、施設設備の設計、それから、29年度は施設設備を行いまして、生徒の募集、30年度に開校という運びでございます。なお、このスケジュールは、既存の学校で実施する場合の最も基本的な流れでございまして、既存校舎でありましても校舎の改修などにより若干前後することも考えられます。また、新設の場合には、建設工事の期間などを考慮いたしますと31年度に開校となることが考えられます。

 次に、学校の管理運営に際してでございますが、今回、法令、また国の学習指導要領、本市の条例などを踏まえることを基本といたしたいと考えております。なお、国際バカロレアにつきましては、バカロレア機構が必要とする教育課程が求められるなど、特例措置が必要となると考えているところでございます。

 続きまして、学年及び学期につきましては、通常の公立中学校、高校と同様とします。休業期間中における部活動、補習授業、水泳指導など、必要に応じた教育活動の実施につきましては、事業者からの提案によるものといたしたいと考えます。 教職員の配置についてでございます。法に基づき教職員を配置し、学級編成を行うことを基本とします。ただし、国際バカロレアは、文部科学省が定める教育課程の指導の教員と、別途バカロレア機構において認定された教育課程の指導のための教員が必要となりますので、別途定めた上で事業者からの提案をいただきたいと考えます。

 また、学校の維持管理業務につきましては、第三者に委託することや、事業者の裁量により、委託料の範囲内で必要に応じ教職員を配置することを可能としてまいりたいと考えます。

 それから、想定される教職員の種類でございます。ここでは本務の教職員を掲げております。これ以外に事業者の職員、あるいは嘱託職員といった別の職員の配置が想定をされるところです。

 それから、学級編成につきましては、法に規定されます40人以下の編成としまして、その上で、国際バカロレアの学級編成につきましては、認定基準によりおおむね20人から25人の編成となると考えます。

 それから、教職員の資格要件につきましては、一般的な公務員の任用要件を掲げました。校長は日本国籍を問わない旨、記載をしました。これは、国際バカロレア認定校の校長の要件としましては、バカロレア機構が指定する全て英語で実施するワークショップの認定を受ける必要があること、また、他校の例を見ますと、英語を母国語とする外国人教員による授業が不可欠でありまして、それらの教員も含めた教員を管理監督する立場にある管理職につきましては、日本国籍に限定すると有為な人材を得にくい場合も考えられますことから、国に要望してまいりたいと考えます。

 管理運営に要する経費についてでございます。委託料として支払うということ、教職員の総人件費の算出方法につきましては、大阪市における校種ごとの教職員の平均給与に想定される教職員の配置数を乗じた金額を基礎額としてまいりたいと思います。

 施設の目的外使用と目的外使用許可につきましては、学校施設の目的外使用につきましては教育委員会の許可を必要とすることとします。営利目的の目的外使用は認めない形で進めたいと考えます。

 また、指定期間につきましては9年間としまして、その上、実態を考慮した上で長期の指定期間の検討を行ってまいりたいと思います。

 申請資格につきましては、冒頭申し上げましたとおり、非営利法人を中心として一定の要件のもとで不測の事態が生じた場合、営利法人の参入も認めるということでございます。

 事業者として果たすべき責任につきましては、市立学校において求められる法令などを遵守すること、その中で、職員の服務につきましても、本市の職員基本条例に準じることを求めるところでございます。

 それから、調整会議の開催でございます。民間事業者との間で問題点や課題解決のため協議をする場を置き、事業報告書で求める内容、あるいは生徒、保護者の意見、満足度の把握方法などに関する詳細なチェックなどを行う場として設置をしてまいりたいと思います。

 モニタリングの実施でございます。通常の学校において求めております運営に関する計画の策定、提出や、自己評価の実施に際し、生徒、保護者、そのほか学校関係者から意見、満足度の調査を行うこととすること、また、学校協議会において学校関係者評価を受けること、加えて、23に記載します教育委員会が設置する第三者による評価委員会において評価を受ける仕組みをつくってまいりたいと思います。

 事業者の自己評価を掲げております。事業者が選定時に提出した事業の計画書や仕様書、教育委員会との間で締結した協定などに沿って学校運営を適正に遂行しているかどうかについて、自己評価及び学校関係者の評価による評価を実施するものといたします。なお、中学校におきましては、学校評価の客観的指標の1つとして、全国学力・学習状況調査や全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果を使うことが求められておりまして、今後の検討としまして、いずれかの結果が2年連続前年度を下回った場合については改善指示を出しまして、さらに翌年度も下回った場合、契約を解除するなどの要件を加味することも考えていきたいと思います。

 事業者に対する是正勧告でございますが、総合評価の結果、教育委員会は改善措置を求めることができること、また、事業者に対する改善指示も可能としまして、事業者が正当な理由なく改善指示に従わない場合、その事業者による管理の継続が適切でない場合、教育委員会は経費の支払いの保留または減額、業務の停止、指定の取り消しを可能としたいと考えます。

 相談窓口の設置では、事業者が相談窓口を設けることを義務化するとともに、教育委員会の中にも窓口を設けます。

 事業者の選定に当たりましては、プロポーザル形式で行ってまいりたいと考えます。

 保護者からの費用徴収につきましては、通常の学校における額をおおむねの目安としております。なお、国際バカロレアに関する費用については、別途協議をしてまいりたいと思います。

 セーフティーネットの構築につきましては、民間事業者が撤退した場合の人事異動や講師の雇用による補塡などを速やかに公の学校運営に戻すためのさまざまな措置として行ってまいります。また、緊急避難的措置として、人事異動では補塡できない場合、指定管理者が雇用していた教職員を一時的に雇いがえすることの検討や、一定要件以下の事業者に対しては、保証人の設定など、不測な事態に対応したいと考えます。

 リスクへの対応としまして、事業期間中における主なリスクについて、大阪市と事業者のどちらが責任を負うかについての考え方を整理してまとめてございます。

 説明はおおむね以上でございます。今回の公設民営学校は、あくまでも大阪市、公の設置でございまして、その管理運営を民間委託するための基本的な制度について、法令あるいは本市のルールを踏まえながら、具体の運営の手法につきましては事業者の創意工夫による提案を可能とする制度としていきたいと考えております。

 なお、本日午後の市会の本会議で補正予算が審議をされます。その中に公設民営学校の調査費も計上しております。この制度設計(案)が、本日、この教育委員会議でご承認いただけましたならば、市会の議決以降、文部科学省に正式提案をしていきたいと考えます。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【帯野委員】  質問とお願いがございます。

 まず、お願いのほうなのですが、国際バカロレア、なかなかまだ市民には十分に理解をされていないのではないかと思いますので、そこの説明方法も含めて、これもぜひ周知徹底していただきたいと。これが1つ目のお願いです。

 それからあと、事務的な質問なのですが、費用の部分ですね。人件費ですね。これは府費負担が必要と。それから、あとは地方交付税の算定基礎、その算入の措置が必要と。これはどれぐらい担保されるのか、そこら辺の感触を聞かせていただきたいと思います。スケジュールがかなりきちんと定まっているので、ここら辺の原資が担保できるのかどうかですね。

【多田部長】  まず、周知につきましては、いろいろと工夫をして進めていきたいと思います。

 また、今回の国に対しての特区の中身の1つで、そういう人件費の負担の件についてお願いをしているところでございまして、今回、公設置民営の形ですので、大阪市立の学校であるということです。ですので、基本的な経費については、国なり都道府県、大阪府がご負担いただく枠組みの中で、必要な経費について措置していただくということでお願いしているところですので。

【帯野委員】  それは担保できると、相当可能性が高いということで理解してよろしいのですか。

【多田部長】  はい。文部科学省とは、今、事務的にはいろいろと協議も行っているところでございまして、その費用の面については、特段否定的な意見は聞いておりませんので。むしろ設置者管理主義ですとか義務教育部分の委託、いわゆる公設民営という手法への取り組みについて大阪府と意見交換しておりますので、費用の面では今のところ拒否的な意見というのは伺っていない状況でございます。

【帯野委員】  わかりました。

【多田部長】  ですので、その前段のところがクリアできれば、その費用はご負担いただけるのではないかと考えております。

【帯野委員】  わかりました。そうしますと、その前段のところなのですが、この設置の目的のところに、国際的な人材を招聘し、海外からの高度人材の子弟の受け入れなど、国際ビジネスに寄与する云々とありますが、ここのところの方法論、教員資格について、教員の資格要件のところに、一般教員の場合は、大阪市と同様、任期の期限を付さない常勤ということになってございますが、このときに、海外から招聘する教員が日本の大阪市の定める教員資格枠に該当するのかどうか、なかなかそこのところの審査というのは、国のほうでも今度外国籍の大学を認めるというところで、その教員資格審査をどうするのか、日本の資格要件になかなか適応しない海外の教員資格、そのところの資格審査をどういうふうにお考えになっているのかというところをちょっと教えていただきたいのですが。

【玉置課長代理】  教員につきましては、法律で教員の免許は日本の免許を持たないといけないということでなってございます。特に国際バカロレアに関することでありましたら、現行法では、授業を英語で全て行うとか、そういったようなこともございまして、高度人材という方に通常の法制度の枠組みではなかなかできないようなところがあろうかと思います。つまり、日本の免許を必ずしも持っておられるとは限らない状況があろうかと思います。その部分につきましては、臨時免許制度というのがございまして、具体に法律が定められていますけれども、都道府県の教育委員会のほうにこれまでの指導実績とか、そういったようなところを申請して都道府県のほうで臨時免許状というのを発行すると。それが発行できれば、許可されれば、必ずしも日本の免許を持っておられなくても一定期間教員ということで指導することができるという制度はございます。

【帯野委員】  そうすると、それで常勤採用で可能ということですね。

【玉置課長代理】  文科省との協議はこれからですが、そういった点も含めて、今後、私どもとしても今お伺いしたことは協議の中の1つであると思っております。

【帯野委員】  あと、海外からの高度人材の子弟、これは学生のことを指していると思うのですが、この場合、授業というのは全て英語で行われるわけではないですね。日本の教科書を使うわけですね。そのときに日本語の要件というのをある程度定めるのでしょうか。

【玉置課長代理】  日本語の要件でしょうか。

【帯野委員】  はい。全く日本語を理解しない学生を受け入れようとしているのか、あるいは、ある程度、日本語の要件、N1、N2、3といろいろレベルがありますよね。そういうところで、ある一定水準の日本語を理解できる学生を入学させようとしているのか、あるいは、全く英語だけで授業を行い、それで卒業資格が取れるという教育デザインをしておられるのか、そのどちらなのでしょう。

【玉置課長代理】  細かいところにつきましては、これから委員の皆様にもいろんな形でご議論をいただきたいといいますか、ご議決いただきたいなと思っているところでございますけれども、これまでの議論の中では英語で授業を進めていくと。特に今、国のほうでも一部の教科について日本語で国際バカロレアというのも認定できないかという動きもございますけれども、今の現行制度上では英語でということでございまして、あと、なおかつ実際に国際ビジネス人材の育成という国家戦略特区の趣旨等もございますので、英語でと考えているところではございます。

【帯野委員】  わかりました。では、それは今後の議論というところで。ただ、やはりここは目的に掲げておりますので、今、英語でできるコースを設置するとか、それは1つの方向性ではありますけれども、やはり日本語の能力というものがしっかり問われないと、卒業もできない、いろいろ日本でのサバイバルジャパニーズだけではなくて、きっちり授業についていけないという学生も多く出てくることは事実なので、その辺、日本語教育をどうするのか、あるいは日本語の要件を付加するのか、そういうところは今後設計段階でまたいろいろ議論できるということで理解いたしました。

【高尾委員】  私は、やはりこのIBというのは教育において新たな次元をまた開くものだろうと期待をしております。ただ、市民の方の理解をいただけるか、どれだけの方が理解していただけるか、ああ、これで予算をつけていいよと、どんどんやって、となるのかどうかということがまだほんとうに難しい現状にあるのかなということが非常に残念に思っている、ほんとうにIBの投げかける問題の重大さ、よさというのを理解していただけないところがまだあるのではないかなという気がいたします。その意味では、帯野委員がおっしゃった説得するための努力というのをさらに積み重ねていくということがまず1つは大事だろうと思います。

 その中で、やはり論点というのは、一般的になぜIBというものが必要なのかということを説明しないといけないと思います。これは、グローバル化という極めて例外的な珍しいことではなくて、ごく自然な当たり前の環境の中で、それをどう捉えていくのかということが1つの視点。もう1つは、では、なぜこの大阪で、しかも大阪市が、公立がこれをつくらないといけないのか、国は別としてもですね。その辺のところ、これをきちんと説明してあげないといけないと思うのですよね。これは、実は大きな大阪にとっての教育の起爆剤になる可能性を秘めた、最初のクラスはほんとうに小さなクラスなのですけども、大きな潜在力を持つ組織、やり方だと私は思っているのですけども、そこをきちんと説明してあげて、なぜ大阪で必要かということをやはり説得するということが大きなことだろうと思います。

 それから、あとは、まだ個別の具体的な内容については非常にいろいろご疑問とかが出るとは思うのですよね。それについて今後の議論の中でやはり深めていって、具体的な話をしないといけないのだなと思います。確かに営利法人を認めるかどうかということについても大きな論点でございましょうし、それについて、とりあえずのところ資本金が1つの基準になっているのですけども、資本金がでかいからといって継続して安定してできる企業ともまた限らないという問題点が出されたり、それから、委託の契約期間を一体どのぐらいにするのかという問題、それから、委託した先の学校のガバナンスはどういうふうにとられていくのかという基本的な問題、いろいろ個別にやると詰めていかないといけない問題が山積していると思うのですね。その点も、なぜ必要かという議論とあわせて、やはりさらに緻密な論理、対策というものが構築されて、市民の方のご理解をいただけるようにしていただきたいと思います。

【林委員】  今回、このような形で概要の説明になったと思うのですけれども、当初、この公設民営学校をどういう形で国に提案していくかという議論の中では、これまでの経緯のところにもありますけれども、やはり小中学校の公設民営も実は考えていたという経緯があります。なぜこういうものが出たかといいますと、やはり一般の市民の皆様にメリットを享受していただきたいという部分で、そういうアイデアも私どもは出していた部分があります。ただ、国の方針と目的という部分、国際ビジネス人材の育成という部分でなかなか合致しなかった経緯がありまして、今回、こういう形の公設民営学校になったということで、それはそれで事業として進めていくので仕方のない部分ではあると思うのですけれども、1つ、非常にレベルの高いといいますか、そういう学校が公営でできるということは、やはり何といっても、一般市民からしますと、費用がかからず高度な教育を受けるチャンスが目の前にできたという部分では非常に大きいものであろうと思います。そこの部分からしても、国際バカロレアはかなりハードルが高い部分はあると思いますけれども、それとあわせ持つ理数系や英語に特化したという部分、まだばくっとした表現にはなっておりますけれども、そこの部分もしっかりと詰めていきまして、学習意欲のある上をめざす子どもたちがぜひそこで学べるような形の学校に持っていきたいというか、持っていっていただきたいと思います。やはり何よりも、公設であるということは教育費用がかからないという部分で全ての子どもにチャンスがあるということなので、1人でもそういう学習意欲のある目標を持っている子どもたちにチャンスが与えられるようなものになっていっていただけたらと感じております。

【大森委員長】  この議案はものすごく重大な議案で、ほんとうは何時間でもかけて、公開された場で議論をしなければいけないと思うのですけども、もともと一般の小中学校の公設民営ということも提案していたわけで、ある意味、公立学校として、教育の機会均等ですとか、そのためのお金の面の負担は、保護者に求めるのではなくて、ちゃんと自治体と政府が公の責任でという公立学校としての責任を果たしながら、運営の部分で民間の創意工夫、アイデアを生かすといった考え方であって、いわゆる民営化という言葉で想像するような、要するにお金持ちが有利になるとか、そういうことでは全くないということで、今までの公立学校のあり方を変える、もちろんよりよい方向に変えるという意味ですが、そのための1つの方策として民間が運営する公立学校があっていいのではないかと。それからすると、本来は普通の小中学校を変える1つのモデルというか、そういった意味でやるというのも1つの考え方といいますか、重要だと思っていたのですが、やはり国のほうは、そこまでまだ、今の時点では慎重と。つまり、国際バカロレアをはじめとした国際的な経済競争力の強化に資するような、ある意味、そういう限定された領域の教育に限って特区において公設民営を認めるという趣旨にどうもなってしまっているようですので、バカロレア、あるいは今紹介ありましたように理数系、英語等に特化した中高一貫の教育とか、そういった整理に今の段階でまず突破口としてという姿になっているということだと思います。ですから、これは我々の判断として、最初3種類提案していたわけですけれども、いつまでもそれにこだわっていては話も進みませんし、そういうことで、文部科学省のほうに対して具体的な提案として、国際バカロレアプラスアルファみたいな形で中高一貫校の提案をしているということです。正直言って、この後、これがちゃんと、今の事務局説明にありましたように、法律、国家戦略特別区域法に書いてある必要な措置というのをとってもらって、必要な措置というものがつまり法改正でありまして、これは国のほうでといいますか、いわゆる岩盤規制と言われていることの1つとして、公立学校の運営というのは設置者管理主義、学校教育法第5条でもって設置者以外が管理運営するということはまかりならんのだという考え方を文部科学省のほうはとってきていたわけで、それに対して、今般、国家戦略特区ということで、ある意味、全国ではなくて特例的にそういったものを認める方向かなというところにようやく一歩踏み出したということでございます。昨年、私は国家戦略特区ワーキンググループというのに2回呼ばれて、1回は有識者ヒアリングというので7月、それから、2回目は関係各省ヒアリングというので文科省が出席されて、それで私は有識者側のほうに座ってやったのですけれども、ありていに言って、文部科学省は役所として、あるいはお役人、官僚組織として、もともとこれをやりたくてここまで来ている話ではなくて、みんなわかっていることですから率直に言いますけれども、今の政権において、特に総理大臣と、それから今の文部科学大臣のお考え、強いご意向があってここまで来ている話ですので、これはスピーディーに文科省との制度設計の話というのを進めて、ほんとうにこの法律に書いてあるように必要な措置というものを確実に講じてもらわないと、まだこれは実現が決まったわけではないということですので、それでやっていかなければいけない。そうすると、今各委員からご指摘があったような点も含めて、実は重大な要検討事項がまだ山積しているという状況でございます。

 すみません、それで、私は気になることを1つずつお尋ねしますので、端的にお答えいただきたいのですけれども、1つは、これまで市場調査は3回ありましたけれども、ウェブで調査回答者というのは公表されていましたか。

【玉置課長代理】  非公表を条件としていただいております。

【大森委員長】  わかりました。ちょっと確認したのですが、これは、今回の市場調査で調査対象といいますか、回答していなくても、これがちゃんと国における措置で制度化された暁には、今まで知らん顔していた民間事業者も含めて、大阪市がいよいよやるぞとなったら申請しても構わないわけですよね。

【玉置課長代理】  はい、おっしゃるとおりでございます。

【大森委員長】  正直言って、今の政権はともかく、官僚機構としての文科省がこれまで必ずしも積極的でなかったということもあって、どうも様子見している民間事業者も多分あるのではないかと思いますので、これをかちっと制度化すれば、その辺、日和見していた事業者も変わっていくのではないかなということが1つと、その際に、やはり非営利法人という限定がものすごい重責になっていて、特に1部上場企業みたいな株式公開の企業だと、なかなか非営利法人への出資というのは、下手すると訴訟を起こされるリスクもあったりするということで、非常に慎重という声も聞こえてくるのですけれども、これは、文科省のほうでは営利法人の参入というのは絶対にあり得ないという状況なのでしょうかね。

【多田部長】  文科省とのやりとりでは、現段階では非常に難しいという感覚をお持ちのようです。ただし、いろいろと制度面で運用上の工夫も含めて取り組むことができれば、例えば株式会社でしたら配当を学校の運営部分では出さないとか、いろいろなやり方が営利法人と非営利の性質で分けることもできるのではないかということを申し上げておりまして、実務的には技術的な検討は行うということは言われていますので、今のところ、そこのところに期待をしているということです。

【大森委員長】  もちろん政府とか、あるいは大阪市、地方自治体、地方公共団体としては、公の立場として税金を使う以上はきちんとした制度設計をする、しかも、公の責任で教育の機会均等等を担保しなければいけないのでということがある一方で、参入する側にとってもリスクがあるわけですので、そちらもちゃんと文科省が考えるように、あるいは我々大阪市が考えて文科省に投げかけられるように、やはり我々公の立場だけではなくて相手のある話ですので、相手にとっても非常にリスキーなことであるということで、そこを最善の答えが出てくるようにと思っています。非営利法人と限定されていることについては、我々よりマスコミの方のほうが詳しいかもしれませんけれども、下村文部科学大臣が一生懸命公設民営をやろうということで役所を動かしてこられたのですけれども、国会審議において相当与党議員からも含めて批判的な質疑が相次いでいた中で、やはり営利法人ではなくて非営利法人という方向性の答弁とかが出てきたという経緯があるようですので、そこは一定尊重といいますか、配慮はしなければいけないのですけれども、他方、使えない、使われない制度になってしまっては困るので、ちゃんと使える制度、そして、ちゃんとした経営基盤が安定していて、ほんとうに教育に力を入れたいと思ってやる事業者ができるだけ低いリスクでやれるような、リスクというのはお金の損得という以上に訴訟等々、そういった意味で申しているのですけれども、ということですね。

 それから、次の点として、「中高一貫校(又は中高一貫した学科)」、括弧書きで学科とあるのですけど、これは、例えばバカロレアの認定コースだとか、特色あるコースあるいは学科だとか、その部分が学科というのはあり得ると思うのですが、ただ、民間事業者に管理運営を任せる部分が一学科では困ると私は思うのですね。学校全体の管理運営というものを委託しないと、これは学科だけだと、マネジメント、経営管理の観点からいって、民間の創意工夫などはほぼあり得ないと思うのですね。これはどういう意味でここは括弧書きになっているのでしたか。

【多田部長】  1つは、今回の公設民営の手法は学校全体をお任せするという形で考えておりますので、一部ということではないというところでございます。

【大森委員長】  ですから、特色ある部分というものが仮に一部であっても、管理運営は、学校単位でその学校を丸ごと民間委託しないと、つまり学科だけの運営の民間委託ということではないですよねということですね。

【多田部長】  それはそのとおりでございます。

【大森委員長】  つまり、わかりやすいのはバカロレアに認定された部分ですけども、これが学校全体ではなくても、ただ、管理運営の委託自体は、中高一貫校丸ごとの民間委託ということではないと、これは現実問題、民間の創意工夫も何もあったものではないと思うのですけどね。

【多田部長】  その点はおっしゃるとおりでして、市場調査の結果でも一部ではなくて学校全体ということの意向が出ておりますので、それに沿った形で進めていきたいと。

【大森委員長】  わかりました。では、今後はそこを明確にして、管理運営は学校単位で考えているよということを断った上で、バカロレアを筆頭とする特色部分がひょっとすると学校の一部にとどまる可能性はあるという、違う話ですので、ちょっとそういう整理が対外的にも理解されるようにということでお願いします。

 それから、既存校、新設校の話がありましたが、これは学校設置としての既存校、新設校ではなくて、要するに今の校地・校舎を使うかどうかという話だというニュアンスの説明がありましたけど、既存校、新設校はそういう理解でよろしいですか。

【多田部長】  設置場所につきましては今後の議論になるかと思いますが、もともとある校舎を活用した形でつくる場合と新しくつくる場合とで、1年間、工期の都合で開設日が動くという理解です。

【大森委員長】  ですから、既存校といったところで、それは確かに今ある学校の校地・校舎を使うけれども、いわゆる学校の設置としては、新しい名前の新しい学校として設置する場合も含めて既存校という言い方をしているのですね。

【多田部長】  そういう理解です。

【大森委員長】  わかりました。それも今後はちょっと気をつけて整理いただいたほうがいいのかなと思います。

 あと、カリキュラムについては、教育課程特例校の申請というのはあるのですが、教員と生徒、これは非常に重大、重要な問題で、教員については、臨時免許制度というもので、今免許のない方、要するに例えば外国人でも対応できるということですよね。ただ、これは大阪市教委ではなくて府教委ですよね。これまで府教委はあんまりこれを発行していないという話ではなかったでしたか。

【玉置課長代理】  おっしゃるとおりですので、大阪府なり文科省にも働きかけていくことが必要と考えております。

【大森委員長】  これは本質的な障害はないのでしょう。要するに、国家戦略特区でやっているのだから、出してくださいといったら、府教委は当然出してくれるべきものでしょう。

【玉置課長代理】  現在のところはですけれども、何か法改正まで発展するとかいうことではあまり文科省も思っておられないようには認識しております。

【大森委員長】  この臨時免許制度がなかなか出ないというのは、府教委ではなくて文科省の何かしら規制というか、条件づけのせいなのですか。

【玉置課長代理】  いえ、臨時免許制度は、具体の個々の認める認めないにつきましては都道府県の教育委員会が判断できることでございます。大きな制度そのものが文科省という意味がございましたので、先ほどそのように申し上げました。

【大森委員長】  これはほんとうに重大なことなので、いわゆる本物のというか、普通の免許を取っていないととなったら、これは、そんなバカロレアを教えられるような方で本物の免許状を持っている人がどれぐらいいるのかなどと考えたらまず無理になってしまうと思うので、これはぜひお願いします。これは、国籍は校長について書いてあるのですけど、教職員についても大丈夫ですよね。

【玉置課長代理】  現状では、今の制度につきましては、教員につきましては、国籍に関するところでは任期を付さずして教員として、文科省がいうところの講師ということですけれども、登用するという制度はございます。

【大森委員長】  ごめんなさい、それは公務員の話ですよね。これは公務員ではないのでしょう。委託先の法人が雇用する教職員になるわけでしょう。

【玉置課長代理】  はい、おっしゃるとおりです。

【大森委員長】  なぜそれに対して、日本国籍でない場合は、常勤講師というのは公務員についての法的なといいますか、文科省、政府、国の整理がそういうふうになっているということは承知していますけれども、非公務員に教育公務員と同様の国籍による同じ考え方を適用しなければいけない理由というのは何かありますか。実際問題、学校法人においてはそのような制約はないと思いますけれども、いかがですか。

【玉置課長代理】  これは今後の議論ではございますけれども、実際に手を挙げられる事業者の方が、今お話しのとおり、具体的には教える方を採用して子どもたちを教えるということですけれども、今の日本の制度では、私立も含めて、設置者が雇用する教員につきましては日本の教員免許なり国籍というのを基本としたような制度になっておりますので、事業者の方が教員を雇用する場合のことを想定して書いておるところでございます。

【大森委員長】  免許の話と公立学校の教員、つまり公務員としての雇用の話は別の話ですので、常勤講師という整理は免許の話とは全く別問題なのですよ。常勤講師という整理は、日本国籍を持たない方を雇用する場合にはという国のほうの制度的な整理になっているのですけど、これはそもそも公務員ではないわけですから、今議論している公設民営になる学校の教職員というのは公務員ではないという整理ですよね。まず、そこはそれでいいですよね。

【多田部長】  そのとおりです。少し整理が必要かと思いますので、その点も、校長の件、それと教員の件は別でちょっと整理をしたいと考えます。

【大森委員長】  ですから、きょう、この公開の教育委員会会議の場でこれ以上この件について時間は費やしませんけれども、この後、これは事後的にきちんと確認していただいて、確認の結果、私が言っているとおりなら削除だと思いますね。

【多田部長】  校長だけ。

【大森委員長】  ええ、任用の期限を付さない常勤講師として採用と。つまり、これは外国籍の方は教諭としては採用しないという意味ですので、これは公務員についての規制なのですよ。教師、教育公務員についての国の考え方なので、教諭としては採用しないで常勤講師として採用するというのは国のほうの公務員についての考え方なので、わかりやすくいえば公立学校の教員についての整理ですので、私学、学校法人の教職員については現在においてもそういった外国籍の方は教諭にはできなくて講師でしか採用しませんなどということはないはずですので、それはきちんと確認してもらって、何かほかに問題があればですけれども、特段問題ないといいますか、私の指摘していること以外に特段別の論点があってこうなっているということではないのであれば、この場でこれ以上議論しませんが、これは単純に言うと私は間違いだと思うので、削除なり何なり、つまり教職員は公務員でないとすれば外国籍の方であっても教諭になることは妨げられないと考えますので、別に日本国籍の人が公設民営の学校の教職員になれるのは当然なので言っているのですけど、教諭になることを外国籍の方も妨げられないと思いますので、きちんと確認して必要なら修正ということでよろしいですか。

【多田部長】  わかりました。

【大森委員長】  それと、あと人事交流をどうするか、つまり、委託を受ける事業者がそういうことを望むか望まないかということもあるのですけれども、一般の公立学校の先生の中で、そういう民間が管理運営するような学校で、しかも、バカロレアとか特色のあるコースを持った学校で働いてみたいという方々がいて、しかも、委託を受ける事業者の側も一部そういう公立学校の教員を受け入れたいという意向が、この先の話になりますが、仮にそういうことはまず想定をされるのかどうか、その場合の人事交流みたいなことはあり得るのかどうか、その辺、現時点では固まっていないかなとは思いますけれども、その点について今の時点で言えることを答えていただけますか。

【多田部長】  大阪市の教員との交流という点でございますね。ですので、公設民営の新しい学校との交流ということかと思いますけれども。

【大森委員長】  つまり、もちろん雇う側の意思がありますから、雇う側、委託を受けた民間事業者がそれを望めばですが、大阪市の公立学校の教職員に公設民営校で働いてもらうということがあり得るのかどうか、並びに、今の時点で民間事業者はそういったことについて何か意向なり意見なりを市場調査の中で述べているのかどうか、ちょっとご紹介いただけますか。

【多田部長】  今までのところ、その点の議論は実はしておりませんので、実際にそういう交流を行うとすれば、身分上の取り扱いですとかさまざまな課題も出てくるかと思いますので、まずはそこのところの整理から行う必要があるかなとは考えます。

【大森委員長】  それから、これはやはり市民のご理解を得ることが重要ということで、インターナショナルバカロレアという教育の考え方自体も、日本的というか、ある意味では日本に限らずアジア的と思うのですが、必要な知識を効率よく子どもたちの頭に、俗に言う、悪く言えば詰め込み教育と。これは決して全否定する話では全くなくて、やはりきちんと知識が頭の中で体系立てられていれば、幅広い知識が入っているということは非常にいいことだと思うのですけれども、バカロレアの教育というのは、知識を前提としながら、その活用と、論理的な表現だとか思考力、表現力、そういったものを日常の教育活動の中で高めていくという姿だと、非常に漠然とした言い方をすればそういうことかと思うのですけれども、他方で、そういった教育を実現しながら、日本の大学にしろ、あるいはバカロレアですから海外の大学にしろ、きちんと進路保障をできなければいけないということを考えると、相当これは大変なことで、教育の水準もそうですし、入学していただくお子さん、生徒に対して相当な勉学が要求されるということになると思います。市民のご理解という観点からは、やはり大阪市の方々、あるいは、それを広げる意味があるのかどうかわからないですけど大阪府、とにかく大阪市を中心とする地元の子どもたちが一定数入って入学していただけるようにしなければいけないということ、他方で、インターナショナルバカロレアが要求する英語による授業を含めて高い水準のものを達成するというもう片方の要件、これの折り合いをつけるには、やはり中高一貫の中学部分で、帰国子女とかそういった特別な経験を相当お持ちのお子さんとかを別にして、一般の市民の方々のお子さん、生徒、これがやる気があれば、ちゃんと中学でそのレベルまで達して、高等学校段階ではインターナショナルバカロレアに要求されるもの、そういう教育についていけるという状況に持っていくための中高一貫だと私は思っているのですね。

 それで、帯野委員のご質問にもありましたけれども、生徒の日本語能力というところは、中学校部分についてはそうだと思うのですよ。ただ、高等学校については、ある意味、これは日本語バカロレアという話もありますけれども、それはちょっと置いておいて、現時点で国際通用性が担保されている英語によるIBに限っていえば、高等学校部分は、外国人、国籍というよりは日本語ができるかどうかですけれども、日本語能力のない生徒も含めて入る、そのほうがむしろ国際性の担保になると思いますので、中学部分はちょっとそれは無理だと思うのですね。基本は、中学部分では高等学校段階でのIB教育についていけるところまで持っていくのが中学校段階の教育の重要な使命だと思いますので、そこら辺もきちんと整理して、生徒にどういった勉学要求をするのかということ、それから、生徒の日本語能力、それから英語能力、そういったものについて中学校段階、高校段階でどういうふうに、そこら辺も明確に整理していかなければいけないと思いますので、よろしくお願いします。

 それから、最後に一番重要なことを言います。私にとっては重要なことですけれども、最初に申し上げたように、インターナショナルバカロレアとかは理数系のある意味何となくエリート教育みたいなにおいがするみたいに思われるかもしれませんけれども、これは大阪市がそういうふうに限定したのではなくて、国のほうで国家戦略ということで、まず公設民営を認めるのはそこら辺からやってくれと、ある意味、グローバル人材みたいなところからやってくれということでそうしているのであって、将来、ほんとうにこの公設民営というものが成果を上げれば、そういう特別な学校だけではなくて、一般の公立学校、義務教育の小中学校も含めて、そういったところにいい影響を与えていく、あるいは一般の小中学校においても公設民営というものが行われていくという将来の可能性も含めてやっていきたいと。そういう意味では、全国学力調査ですとか全国体力・運動能力調査とか、そういう具体の教育成果をきちんと検証して、だめなものはだめと、これが非常に重要なので、民間委託して事業者が幾ら公立学校とは違う特色ある教育とか何とか言ったって、根本のところで保護者や市民が求めるもの、あるいは子どもたちが最低限必要としているものが担保できなければ特色もへったくれもありませんから、委託したら委託前より学力が上がっていくと。これは、こういった学力や体力だけではなくて、事業者あるいは我々も考えていかなければいけないのでしょうけど、保護者や市民が求めるよりほかにも重要なことがあるのであれば、例えば問題行動の状況とかそういったことも委託前より改善されるとか、それの検証は学力調査ほど簡単ではないとは思いますけれども、保護者や市民が求める具体的な教育の姿、どういう教育がいい教育なのかということをできるだけエビデンスに基づいて検証していくということ、これは公設民営校だからこそ、こうやってストレートに求めることがある意味できるのですけど、本来であれば、これは公立学校全般について求められることなのですね。ところが、それが残念ながら十分でないということで、これが十分でないというのは大阪に限った話ではなくて日本全国そうですけれども、それを変えていくと。実際に教育成果、くどいようですが、これは別に私は狭い意味の学力に絞って言っているわけではないです、子どもたちにとって、あるいは保護者が求める、市民が求める、そういった常識的な成果を担保できない学校が、幾らうちは特色がありますと言ったってしようがないわけで、そこのところを、この原則は、ぜひほんとうに契約において厳しく事業者に求めていくと。その自信がなければそもそも応募してもらう必要はないというぐらいのところだと思っています。特に中学校段階についてはそういうことが言える。高等学校段階になるとバカロレアを筆頭に多様化してきますから、一律のというところはなかなか難しくなりますけれども。

 すみません、大分長時間しゃべって質問をさせていただきましたので、このぐらいにしておきますけれども、とにかく迅速に今お話しした点も含めてきちんと詰めて整理して、文科省に対して一刻も早い制度設計を求めていくということで、事務局のほうも大変でしょうけども作業を急いでいただきたいということと、もう1点は、インターナショナルバカロレアって、正直言って本市だけではなくて一般の公務員組織には経験値がありませんので、先行事例の学校からいろいろ調査、ヒアリングする等だけではなくて、やはり早い時期に、できるだけ早期にこの学校の構想立ての中心になっていただけるような方というのをつかまえる必要があるのだろうと思っています。その方は行政とか公務員組織というのは全然詳しくなくていいので、問題は、それをちゃんと行政として責任ある姿でやっていくというのは事務局の皆さんが担保できるので、ほんとうにインターナショナルバカロレアの教育の実際とか、そのマネジメントとか、そういうことがわかっている方、具体の人物を早くつかまえてやっていかないとほんとうにこれは成功しないと思いますので、その点もお願いします。お願いするだけではなくて、我々委員もこれからその辺、インプットできることがあればインプットしていかなければいけないと思いますけれども。

【帯野委員】  すみません、簡単に。私の意見を委員長がうまく専門的に説明していただいたのですが、特にどういう学生を受け入れるということは非常に大切なので、この文言、1文節がありますけども、これをちょっと修正したらどうでしょうか。私、日本語の要件という何か細かなことを言ってしまったのですが、そもそも海外からの高度人材、これは多分留学生をイメージしていると思うのですが、大学でも大変なのに中学校から、日本人にとって特色のある教育かもしれないけれども、わざわざ大阪市に来て、寮やら相当の奨学金やら何らかのインセンティブがないとかなり可能性は低いと思いますので、むしろ、これを外国人学生の受け入れといったような文言に工夫していただいて、これは事実でありまして、海外企業が大阪、関西に進出できない理由の1つに子どもの教育というものがあります。既にこちらで働いている外国人たちも、相当な費用とかなり遠隔の学校に負担を強いられて子どもを通わせておりますので、やはり公立の学校で英語プラス確かに高校であれば日本語の教育も受けられるということは大きなことなので、文言は事務局に工夫していただきますけれども、むしろ留学生ではなく在阪の外国人学生というふうに検討していただいたほうが、というのは、これは目的ですので、やはりこれが市民への約束事になりますので、そこのところを誤解を受けないようにぜひ検討していただきたいと思います。

海外からの高度人材の子弟の受け入れ。これをほんとうに留学生でやるというのであれば、それこそ日本語要件も含めてこれから細かなところを詰めていけばよいと思うのですが、私は相当難しいのではないかと思います。そこで市民に約束ができるというのであれば、我々は検討していけばよいわけですが、むしろ在阪の外国人の子弟を受け入れるという考え方で、外国人学生の受け入れ、児童・生徒の受け入れのほうが現実的でないかなと思いましたので、ご検討いただきたいと思います。

【大森委員長】  いかがですか。

【多田部長】  当初のこの案に加えて今おっしゃった趣旨のことを入れるという形でよろしいでしょうか。

【帯野委員】  いえ、それはこれからの決断だと思うのですが、ほんとうに留学生を呼べるのかと。自信があれば、いろいろ細かな制度設計をしていったらよいと思うのですが、私は非常に難しいと思います。それを市民に約束してしまってよいのかということで、むしろそこは単なる外国人と。もちろん留学生があればよしでありますが、やはり来阪の外国人の子弟というふうに我々はイメージをしたほうが制度設計はしやすいのではないかというご提案です。

【大森委員長】 これの読み方なのですけど、在阪の外国人の子弟も含むような意味で使っているつもりではないのですか。違うのですか、これは。ここの海外からの高度人材は、海外に今いる子どもたちを大阪に留学させるという意味で使っているのですか。

【玉置課長代理】  「受け入れなど」と書いていますので、広い意味で「など」というのは解釈をしてございます。必ずしも海外ということに特化してとは考えておりません。

【大森委員長】  これは、国家戦略特区のそもそもの発想として、海外から高度人材を受け入れるに当たって、子弟の教育が1つ支障になっているということがあって、この「海外からの」というのは「高度人材」にかかっているのではないかと私は思ったのですけど、つまり、要するに、帯野委員のご指摘の在阪の例えばビジネスマンとかビジネスウーマンの方々というものがこの海外からの高度人材というものではないかなと、勝手にそういうふうに思っていたのですけれども、事務局、ここはどういう意味でこの作文をされたのですか。

【玉置課長代理】  これはあくまでも海外からという形に特化してとは思ってございませんで、「国際ビジネス人材の育成」というものがもともと昨年の国家戦略特区の中のキーワードにもございましたので、それを念頭に置いております。実際は、「など」ということを入れておりましたので、広い意味でという形で。

【浅野部長】  もともとバカロレアの受け入れということで、大阪市の市税を投入しますので、大阪市民がまず中心になるのですけれども、もちろん今のバカロレアのコースを選んでおられる方は、ほんとうに海外からの帰国子女の方とか英語の堪能な方ではないといけないということが現実ということはわかった上で、では、日本人である程度英語をめざす人も入れるということから始まったのですけれども、プラス、帯野委員がおっしゃっていただいたように、在阪で勤務されている海外の方の子弟というものが次に来ると思います。だから、海外からの留学生というものは、もしあればその次の段階になると思いますので、もともと想定していた中では、ちょっとこの表現がよくないのですが、もうちょっと正確な表現に直さないといけないと思うのですけれども、あくまでも企業の方、ビジネスなどで海外から来られた方の子弟の方が行けるということを考えておりますので、最初に帯野委員からおっしゃっていただいたとおりの中身になると思いますので、もう少し文言を正確に修正したいと思います。

【大森委員長】  わかりました。では、きょうこの場でということではなくて、これだとちょっとそういうふうに伝わらない、いろんな読み方になってしまうと思いますので、要するに、留学生を排除するということではないけども、中心は帯野委員がおっしゃっているような在阪といいますか、大阪にビジネス等々で来られている方の子女という趣旨が、ちゃんとそういうふうに読める表現に後から工夫するということでよろしいですかね。

【帯野委員】  はい、よろしくお願いします。

【高尾委員】  私は全く素人なので、その考えに僕はあまり賛成できないのですね。帰国子女の方、あるいは外国からおいでになったビジネスマンの方の子女、子女という言葉は古いのですけども、お子さんの教育に当たる目的を主としてこの学校を設立するということが僕のこの学校設立の理解かなというと、私はそれではないと思うのですよね。やはり今、これは外国からおいでになった方、ずっと大阪に住んでおられる方、それは問わないのですけども、大阪が抱えているさまざまな問題があると。その問題解決の1つの手段として、この学校は、特にIBというコンセプトは高い理念を持っていて、従来の教育制度では実現できなかった国際性を持った、理念を読むと非常によくわかるのですけど、これまでの教育でやっていなかったことをやろうという、そこが見えてくるのですね。これを享受するのは専ら主として優先的に外国からお越しになった方、あるいは帰国子女の方ですよという論点ではなくて、やはり基本としては広く大阪に学ぶ人たちに可能性を私は与えたいと思っているのです。確かに現実問題として、おまえ、そんなことを一遍に言ったって誰が来るかよという話になったら、それは現実問題として、広く募集したけどもこういう人たちが入ってきましたという結果論に終わるかもしれない。でも、やはり、おまえたちは従たる募集者だよということを市民に対して僕は言いたくないと思っています。その点、表現をちょっと私は気をつけていただきたいなと思っています。

【浅野部長】  最初に私がちょっと申し上げたのがまずかったのかもしれないのですけども、もともとは、まず第1に大阪市民が対象で、市民対象の中高一貫校ですので、一番こだわりましたのは、試験をどうするかということも含めて最初のうちにご議論がちょっとあったと思います。ですから、英語教育にこれから大阪市も力を入れていますので、英語イノベーションに力を入れている中で、目指せるようなそういうコースを、小学校から入るわけですけども、市民の中学生の方に持っていただきたいということがまずベースなのですけれども、それだけではなくて、国家戦略特区ですので、海外からの人材を呼び込むという意味で、企業で働いておられる方の子弟の方も入ってこられるのではないかとか、それはいろんな夢が入っておりますので、ふたをあけてどうなるかということはまた違うかと思いますけど、高尾委員がおっしゃったように、まずは市民の皆さんに広くそういう夢を持っていただこうということで。

【大森委員長】  わかりました。ただ、ふたをあけてどうなるかわかりませんがではだめだと思います。ほんとうにそれを実現できるということをちゃんとやっていかなければ。ですから、高尾委員のご懸念の点は大丈夫なのですよ。両方やるのですよ、結局。市民のためのということは、ですから先ほどお話ししたように、特に中学校段階から入学していただいて、その部分は、やはり大阪市として税を投入してやる以上は、市民の子弟、子女は、中学校段階で何とか高校レベルでのインターナショナルバカロレアの教育に対応できるというところまで、中学校において相当困難な教育と学習が必要になってくると思うのですけれども、そういうお話をしたのは、まさに高尾委員がおっしゃるように、この学校というものが、帰国子女や、それから外国人ビジネスマンの子女とか一部の人たちのためだけにするのではないために中高一貫にもするしということだと理解しています。他方で、国家戦略特区の全体の理念にもあるように、やはり外国企業の駐在員ですとか、そういった方々の子弟に対する教育もやるとか、そういった観点も必要ですので、国籍を問わず、そういったグローバルに活躍されている方々の子弟、子女の受け入れという側面と、普通の大阪市民のお子さんに対してこういう機会を提供するという側面と、両方持ってやっていかなければいけない。それは高等学校だけだと到底無理だと、中学校も持っていないとそれは無理だということで、私もそういう議論をしてきましたし、ですから、その両方を狙っているのですけど、いかがですか。

【高尾委員】  両方ということはいいことだと思いますが、やめていただきたいのは、優先的にとか、これを主たる目的としてということで、根っからの大阪にお住まいの方などが排除される、ハンディを受けるということがあっては、僕はいけないと思っているのです。それが1点と、それから、やはりIBというものは1つの全人教育を目指しておられる、その中で入試をどうするかということがあるのですけども、言語というものは絶対的なわけでもないと僕は思っているのですね。あれがめざすのは、いろいろ考える人だとか、知識のある人だとか、心を開く人であるとか、思いやりを持つ人であるとか、そんなことを内容に盛っているのですね。言葉が話せたら、英語が話せたらオーケーだよという問題では、IBの理念はそんなところではないと思っているのです。ですから、そこら辺をきちんと考えて学校の設計をお願いしたいなと。極端な例を言いますと、小学校ですごく問題行動の多い子どもさんだったと、英語も全然しゃべれなかったと。でも、一念発起してこの中学校に入って立派なグローバル的に活躍できる人材に育っていってくれたと。そういうふうになっていったら、これまでだったらほんとうにお金もないしどうしようもなくて、私学に行けよと言われてもお金もなかったのでどうしても行くことができなかったお子さんさえも恩恵を受ける。恩恵と言ってはおかしいのですけども、努力で自分の力が発揮できるのだと、そういうものは極めて極端な例ですけども、そういうところも念頭に置いて設計しておいていただきたいと思っているのです。

【大森委員長】  私の理解では、少なくとも私はまさに高尾委員がおっしゃったようなつもりでやるべきことだと思っています。つまり、グローバル人材というものは一部の何か別世界の人たちということではなくて、普通の大阪市民の子女、子弟からこういった教育機会が設けられて、そこからグローバル人材になって巣立っていくと、そういうことが眼目の学校になるのだと思うのですよ。同時に、そのためには、やはり既にかなりグローバルな要素を持っている、グローバルなというのでしょうかね、もっとわかりやすく言えば異文化あるいは外国、それは国籍のいかんを問わず、そういった子どもたちが一定割合、一定数いるということがないと、同質な普通の日本の中だけで日本語だけで育ってきた子どもたちだけとなると、教育の姿って、理屈はともかく現実問題としてIBが言っているような教育というものはなかなか困難ですから、子どもたちもそういう多様性が入っていなければいけない。多様性というものは、国籍のいかんを問わず、異文化、外国文化あるいは外国語、そういったものを経験している子どもたちがいなければいけないし、教師の側も同様であります。ですから、教職員の免許云々のところで講師だとか教諭だとかそこら辺に私が相当こだわったのはそういうことなのですね。要するに、教諭にはなれませんよなどと除け者扱いみたいなことをしてどうなるのだと、これは公務員の規制だからそうなっているという話をしましたけれども、ですから、そういう教育の姿というものをほんとうに実現しようと思ったら、まず先生が、そういう先生方を取りそろえなければいけないということで、言葉ができる上に高尾委員がおっしゃったようなIBの教育の理念、やり方、方法、こういったものをほんとうにやれる先生をそろえるということは並大抵のことではありませんのでということと、子どもたちの間の多様性というものもやはりこういった教育を実現する上ではプラスになると。基本は、やはり高尾委員がおっしゃるように、普通の大阪市民の子女、子弟の中からこういったものにチャレンジしたいという子どもたちがちゃんとグローバル人材として巣立っていけるような学校が基本だと思っています。ですから、グローバル人材というものはどこか別世界の感覚だということがあるとしたら、我々一般人には関係ない話だよなどという意識があるとしたら、それこそ日本ないしは大阪が沈滞している原因の1つではないかと。ですから、最初のほうで私が言ったことを誤解されないように訂正というか、ちょっと軌道修正しておきたいのですけれども、一般の小中学校という言い方で対比しましたので、ちょっと誤解されるといけないのですけれども、このグローバル人材育成というものは、日本にとって非常に重要、あるいは大阪にとって非常に重要ということだけではなくて、一般の市民の方々とは別世界の話ではなくて、一般の市民の方々からそういったお子さんを受け入れて、高校卒業の段階ではそういったグローバルな人材を目指していこうかみたいな状況になれるような教育をやるということが第一眼目だと思っています。ほかの委員あるいは事務局のほうで、この点について、高尾委員のご意見について、さらに何かあればお願いします。高尾委員ご自身もよろしいですか。私自身はそういうふうに思っていますし、多分事務局のほうも別にそうですよね。まずやはり大阪市民からいかに入るか、そこですよね。特に中学校段階で入っていただきたいのですけど。

【山本教育長】  我々も当然そう思っておりまして、この前、ちょっと市長とお話ししたときにも、これは公費を使っている制度ですので、やはり一定の市民のご子弟の方にちゃんとそういう機会を持ってもらえるような配慮というものは要るのではないかという話。我々は、この問題は、さっきから議論がありましたけれども、やはり教育というものはとても難しい問題で、いろんな社会問題の底辺といいますか、そういうものを持っていますから、そういう中でどうやったら子どもさんに希望を持っていただけるのかという視点と、それから、さまざまな今あったグローバルな視点とか国際ビジネスということの観点を含めましても、基本的には、例えば大阪というものが、今、一生懸命先生たち、委員の皆さん方がリードしてチャレンジやフロンティアをやっていこうとしているような、そういう思いも生徒さんたちにわかってもらって、やはり大阪というものを考えてもらうような視点を基軸になるものを持っていただいて、グローバルに育っていただけるようなものをできたら一緒にこさえていきたいなと思っていますので、その点、またよろしくお願いいたしたいと思います。

【大森委員長】  このインターナショナルバカロレアというものは、まさに英語ができるとかそういう話ではないのですよね。私はアメリカに2年ほどいたことがありますけれども、そのとき、アメリカは当然英語の国ですけど、アメリカでIBというものはある種非常に質の高い教育のあり方として捉えられていて、公立学校でIBをやっていますといったら、それ自体、その学校がものすごく頑張っているというか、質の高い教育をやっているという代名詞で、高尾委員ご指摘のとおり、これは英語ができるようになるとかそういう話ではなくて、教育の質そのものですね。ですから、これは何か国際教育をやればいいのでしょうとかそういう話ではなくて、まさにほんとうにいわゆる狭い意味の学力も含めて広い意味の力、そういうものを身につけてもらうための教育なので、これは、まず先生方、それから生徒、入学者、いずれについても非常に我々自身が高いものを理想として持って、また、率直に言えば高い要求をセットしないと実現しないと思いますので、そういうことでやっていきたいなと思います。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

報告第6号「平成25年度局運営方針自己評価結果について」を上程。

浅野総務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

【浅野総務部長】  

 運営方針につきましては、全ての局・区が各年度の目標と取組について定めるものでございまして、それに沿って予算を編成し、事業を実施しております。そして、次年度に各局長、区長が目標の達成状況について自己評価を行い、その結果を市政改革室に提出いたしますとともに市民に公表いたしております。

 平成25年度に定めました局運営方針に対して、このたび事務局におきまして自己評価を行い、その結果を市政改革室に提出いたしましたので、ご報告を申し上げます。

 6ページをごらんください。

 表題4、運営方針の達成状況でございますが、25年度の運営方針では、経営課題の1、子どもの自立に必要な力の育成をはじめ4つの経営課題を掲げまして、経営課題の解決に向けて9つの戦略を定め、戦略に沿って33の具体的取組を進めました。この表は、それらの具体的取組や戦略ごとの評価を集計したものでございます。

 評価の基準につきましては、この表の下にございます評価区分の凡例をごらんください。

 具体的取組の目標達成状況につきましては、取組ごとに設定した業績目標に対して、目標を達成した場合は①、目標未達成の場合は②、目標を大きく下回り撤退基準も未達成のものを③といたしますとともに、①、②につきましては、それぞれ取組は予定どおり実施したものを(Ⅰ)、取組を予定どおり実施しなかったものを(Ⅱ)というように、全体で5段階の評価をすることとなっております。

 次に、具体的取組の有効性につきましては、その取組が戦略の進捗に寄与し、有効であるものを○、有効でないために見直すものを×、指標となる中間アウトカムが未達成であったり、もともと未測定であったりしたものを「-」というように3段階で評価することとなっております。

 なお、次の戦略の進捗状況につきましては、具体的取組の目標達成状況が全て①であれば順調としa、②が1つでもあれば順調でないとしましてb、具体的取組の有効性で「-」が1つでもあれば中間アウトカム未設定としてcと評価することとなっております。

 次に、アウトカムの達成状況につきましては、戦略ごとに設定したアウトカム、すなわち成果目標を達成し順調であるものをA、順調でないものをBと評価することとなっております。

 最後に、評価のアウトカムに対する有効性につきましては、具体的取組の有効性やアウトカムの達成状況などを総合的に考慮いたしまして、戦略が有効であり継続して推進する場合にはア、有効でないため戦略を見直す場合にはイと記載することとなっております。

 それでは、この凡例の上の表に戻っていただきまして、評価の内容についてご説明を申し上げます。

 経営課題の1、子どもの自立に必要な力の育成の戦略1-1、学力の向上につきましては、1-1-1、ICTを活用した「大阪市スタンダードモデル」の策定、以下8つの取組を進め、全ての取組で予定どおり実施をいたしましたことから(Ⅰ)と評価いたしました。

 なお、目標の達成状況は、ほとんどの取組で業績目標を達成したので①といたしましたが、この中で、1-1-2、小中一貫した教育の推進は未達成でございますので②といたしました。その理由は、小中一貫した教育に関する学校調査で、研究授業における交流を実施している学校の割合を75%以上にするという目的を掲げておりましたが、実績は69%であったためでございます。事務局といたしましては、26年度に小中連携コーディネーターを育成するための研修を充実・実施し、各小中学校における研究授業を活発化させることで取組の改善を講じてまいりたいと存じます。

 なお、ただいま申し上げた理由などにつきましては、9ページ以降の本体の表に記載しておりますので、後ほどご参照願えればと存じます。

 同じくこの6ページの表の右から2つ目の欄、アウトカムの達成状況はAといたしました。これは、この学力の向上の戦略で設定いたしましたアウトカムはおおむね目標を達成しておりますので、総合的に見て戦略全体では順調に推移していると評価をいたしました。

 一番右の戦略の有効性はアといたしました。これは、具体的取組の有効性が全て○であり、かつ、アウトカムの達成状況がAでありますことから、事務局といたしましては、各取組では課題に応じて改善を講じながら、戦略全体としては継続して推進していきたいとの認識を示したものでございます。

 次の戦略1-2、道徳心・社会性の育成と健康・体力の保持増進につきましては、1-2-1、道徳教育の推進、以下6つの取組を進め、ほとんどの取組で①の(Ⅰ)でしたが、1-2-5の子どもの体力向上支援は②の(Ⅰ)となりました。これは、全国体力・運動能力、運動習慣等調査におきまして、「運動やスポーツをすることが好き」と回答する児童・生徒の割合を小学校90%、中学校80%以上にするという目標を掲げておりましたのに対しまして、実績は小学校83.0%、中学校75.4%でありましたことから、目標未達成の②としたものでございます。事務局といたしましては、体力向上モデル校の成果を講習会などを通じて各校で共有することにより、児童・生徒が興味・関心を高める指導を広めてまいりたいと考えております。

 次に、アウトカムの達成状況は、先ほどの学力の向上と同じ考え方でAといたしまして、総合的に見て戦略全体では順調に推移していると評価をいたしました。その右の戦略の有効性も学力の向上と同じ考え方でアといたしまして、各取組では改善を講じながら、戦略全体としては継続してまいりたいと存じております。

 次の戦略の1-3、幼児教育の推進と特別支援教育の充実につきましては、具体的取組の達成状況は全て①の(Ⅰ)であり、アウトカムの達成状況はAでございましたので、戦略の有効性はアとしております。

 次のページに参りまして、2、学校教育の質の向上の戦略2-1、学校の活性化、その次の戦略2-2、教職員の資質向上と能力発揮につきましては、具体的取組の達成状況は全て①の(Ⅰ)であり、アウトカムの達成状況はAでございましたので、戦略の有効性はアとしております。

 次の経営課題3、市民が協働する仕組みづくりと生涯学習の支援の戦略3-1、学校・家庭・地域等の連携につきましては、3-1-1、開かれた学校運営は①の(Ⅰ)でございましたが、3-1-2の教育コミュニティづくりの推進は②の(Ⅰ)となりました。これは、学校元気アップ地域本部の登録ボランティア数などで目標を達成できなかったためでございます。事務局といたしましては、地域コーディネーターが連絡会等を通じてすぐれた実践事例などを共有し、保護者や地域等の皆様方に取組内容を周知して理解や協力を求めることで学校諸活動への支援の充実につなげてまいりたいと考えております。次に、アウトカムの達成状況は総合的に見ましてAとするとともに、その右の戦略の有効性は戦略全体としてはアとしております。

 次の戦略3-2、生涯学習の推進につきましては、3-2-1、生涯学習の機会や情報の提供の生涯学習センター及びクラフトパークの総利用者数に関する部分が②の(Ⅰ)になりました。これは117万人以上という目標に対しまして実績が113万人となったためであり、これは弁天町と城北の市民学習センター2館の廃止を見込みまして利用が控えられたものと推察されます。事務局といたしましては、2館の廃止で総利用者数の減は避けられないものの、引き続き施設や事業の積極的な周知により利用促進を図ってまいりたいと考えております。次に、アウトカムの達成状況につきましてはAとするとともに、その右の戦略の有効性はアとしております。

 次の経営課題4、体罰・暴力行為を生まない学校づくりと、運動部活動の適切な指導方法の確立の戦略4-1、桜宮高校の改革の推進につきましては、具体的取組は①の(Ⅰ)と順調でございましたが、アウトカムは、桜宮高校において体罰・暴力行為等の発生件数を0とするという目標に対しまして、体罰事案が残念ながら1件発生いたしましたことによりBとしております。ただし、戦略の有効性は、進学科の設立や地域との連携を強めるなど桜宮高校改革は着実に進んでおりますことから、戦略全体としてはアとしております。

 次の戦略4-2、適切な生徒指導のあり方や運動部活動における適切な指導方法の確立につきましても同様に、具体的取組は①の(Ⅰ)と順調でございましたが、アウトカムは、暴力行為等による教職員の処分件数を0にするという目標に対しまして、25年度に事案が発生したものが9件ございましたのでBとしております。ただし、戦略の有効性は、体罰・暴力行為を根絶するための指針等を策定し、研修を実施することで教職員の意識改革は進んでおり、処分件数は24年度の21件から半数以下となっておりますことからアとしております。

 8ページに参りまして、2、ムダを徹底的に排除し、成果を意識した行財政運営に向けた主な取組についてでございますが、評価の基準につきましては、表の下にございます評価区分の凡例をごらんください。

 取組の目標達成状況につきましては、取組ごとに設定した業績目標に対しまして、達成を①、おおむね達成を②、未達成を③と表記することとなっております。13項目の取組のうち①が10項目、②が3項目となっております。②としたものにつきましては、まず、未利用地の売却・転活用の促進は、一部の予定地で土壌汚染が発見されまして、対策の必要が生じるなどとした結果、目標額約230億円に対しまして実績が約210億円と1割程度下回ったことによるものでございます。

 次に、生涯学習センターの見直しの②は、3館の廃止で条例案を提出いたしましたが、市会の議決により2館の廃止とされたためでございます。

 職員数・超過勤務手当の削減につきましては、職員数の削減は目標を大きく上回りましたが、事務局職員の超過勤務手当が前年度より増加をしたためでございます。

 以上が自己評価の概要でございます。

 次に、戻りまして4ページをごらんください。

 ベストプラクティス事業についてでございますが、ベストプラクティス事業とは、局として創意工夫を行った結果、目標を大きく上回る成果を上げた事業のうちから選ぶこととされているものでございます。25年度は英語イノベーション事業の実施を選んでおります。理由といたしましては、下の貢献内容の欄の末尾に記載をしておりますように、中学校卒業段階で英検3級程度以上の英語力を発揮する生徒の割合を24年度の12.3%から25年度は18.7%と約1.5倍に増加させることができ、アウトカムの実現に大きく貢献したことによるものでございます。創意工夫や貢献内容等、詳細につきましては後ほどごらんいただければと存じます。

 教育委員会事務局の自己評価シートについての報告は以上でございます。このシートにつきましては、近日中にホームページに掲載し、公表することとなっております。

 最後に、今後実施いたします教育行政点検評価についてご説明を申し上げます。

 委員の皆様には、この事務局の自己評価をご参照いただきながら、大所高所の視点で施策の点検評価を行っていただきますとともに、各委員ご自身の活動状況について振り返っていただくこととなっております。本日の説明を踏まえたご意見につきましては既にお願いしておりますが、別途、事務局にお寄せをいただきますようにお願い申し上げます。今後、皆様から頂戴いたしましたご意見を踏まえ、協議も重ねながら、市長及び市会に提出する報告書を取りまとめてまいります。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【林委員】  ただいまご報告を受けましたけれども、全体の印象として非常によい結果になっていると受けとめております。細かい目標設定に対してきちんと実行され、その結果が出たということで、昨年度1年間、非常に事務局の皆様には頑張っていただけたと、まずお礼を申し上げたいと思います。細かいことを言えばいろいろあると思いますけれども、まず、ベストプラクティスにも選ばれておりましたが、英語のイノベーション事業ということでは、ほんとうに全ての小学校においてネーティブスピーカーが入り、子どもたちが非常に楽しく授業をしている様子を、全部ではありませんけれども、見せていただきましたし、モデル校ではありますけれどもICTを活用している場面も見せていただき、やはり授業が劇的に変わっていくというのを私自身も実感しております。これは今後、今年度からさらに全ての学校において入っていくということで、大きく授業の質が変わっていくというところで非常に期待をしております。

 それぞれさまざま土曜授業の実施でありましたり、いろいろありますけれども、全てにおいて着実に実行され、学校現場が、昨年、その前に比べましたらほんとうに大きく変わっていったのを、この1年間、肌で感じながら見させていただきました。ほんとうにありがとうございます。特に学校の校務システムも入れていただきまして、先生方は、やはり最初の段階では非常に戸惑い、なかなかなれないという話もたくさん聞きましたけれども、1年間たって、サポートもしっかりしていただき、使っていただけるようになっていると聞いておりますし、それと、あと学校ホームページに関しましても、全ての学校でホームページが開設され、保護者がいつでも学校の様子を確認できると、わからないことはそこで見ればほとんどの情報を得ることができるような形のホームページ、きちんと実のあるホームページが開設されているということも非常に保護者にとってはうれしいことでありますし、また、その周知がどんどんこの1年間で進んできているという部分では、学校現場が非常に大きく変わった1年であったろうと思っております。また、この結果をきちんと踏まえながら、今後、どこを進めていく、どこを掘り下げていく、どういうふうに進めていくかということをまた検討して、さらに大阪市の子どもたちがよりよい教育が受けられるような形になるように進めていっていただきたいと、私もまた意見を言いながら進めたいと思っております。

【大森委員長】 

 今、林委員のほうから事務局の皆さんの取り組みに対する評価の発言をいただいたんですけれども、言ってみれば、この今の状況というのは、事務局の皆さんと同時に我々委員も責任を負っているわけですけれども、そういう意味では、林委員がおっしゃったように、体感的にというか、実感的には随分といろんなことをやってきて、かつ学校においてもそれを受けとめていただいて変わってきている、よくなっていると思いたいんですが、具体的なデータとして、それをやはり市民の皆さん、あるいは市民の代表であるところの市会議員の皆さんとかに示せるかどうかというのが非常に重要でありまして、そういう意味では、今、林委員が例として挙げられたベストプラクティスになっている英語イノベーションなんかはその典型であると思いますけれども、つまり、具体に英検3級程度以上の英語力の生徒が24年度は12.3%、これが25年度には18.7%に増加したと。これは非常にわかりやすいですね。これは、英語あるいは教科に限らず、具体的に大阪の教育がこういうふうに変わってきている、しかも、それがいい方向に変わってきているという意味での変化を示すデータ、エビデンスというものを1回整理していただきたいなと。この運営方針の自己評価とか、あるいは、これから教育委員会としての、何といいましたかね。

【山野課長】  教育行政点検評価でございます。

【大森委員長】  教育行政点検評価というのは、やはり目標管理制度的なものなので、何か見える化しているように見えて結構見えづらいところがあって、見える化という意味では、やっぱり市民にとってすぐぴんとくるような具体的な変化のエビデンスだけを整理したものというのも別途必要じゃないかなと思いますので、探せばいろいろあるんじゃないかと期待しているんですよ。なければ調査をやってもらってもいいんですけど、やはりいい方向に変わっていると思いますので、それを立証するデータというものをいろいろ幅広く知恵を絞って探して整理していただきたいなと思っていますので、それをお願いできますかね。ご担当はどこになるか、教育長に差配していただいて。

【山本教育長】  全体的にそういった形を、市民の皆さんからやはり変わりつつあるということをわかっていただくために、今委員長のご指摘があった、例えば前後関係で明確に出るものもあるし、なかなかそれも難しければ、例えば横の関係で他都市ではほとんど動いていないものが大阪市では動いているようなもの、そういった形でわかりやすく一遍どんな取りまとめができるか局内で検討してまいりたいと思います。

【大森委員長】  ありがとうございます。

 あと、やはり究極は子どもたちであり保護者ですから、まず保護者の方々が、教育行政が変わることによって学校教育がいい方向に変わりつつあるという実感がないといけませんので、全てが伝わるかどうかは別問題といたしましても、やはり何の効果も伝わっていないというんじゃ、それはやっぱり困りますので、今お答えいただいたような、ある種、客観的なエビデンスと同時に、アンケート的なものも含めて、我々自身がこういった形でさまざまな取り組みをやっていて、それが当初設定したとおりにやれているかどうかという目標管理的な発想と同時に、市民にとって変化が実感できる教育行政、教育政策にしていくという上で、そういう客観的、アンケートを主観的と言うとあれかもしれませんけど、さまざまなエビデンスというのをとって、我々がちゃんと反省していけるというふうにしたいと思いますので、これはこれで市全体の制度ですよね。この事務局の自己評価もそうですし、それから、これから我々教育委員会としてやらなきゃいけないものもちゃんとやって、市長や市会に対してその説明責任を負っているということで大事な制度なんですけれども、なかなかこれにしろ、あるいはこれから出すものにしろ、市民一般の方々に、あるいは保護者の方々にわかりやすいかというと、うーんというところがありますよね。ですから、わかりやすいものをいかにちゃんと整理してというのも、別途の課題として早急に提案いただけますでしょうか。

【山本教育長】  実は、そういったものは、教育委員会の教育行政だけではなくて、一般の市政運営、あるいは区政運営でも同じ課題をやって、この間、市長のもとで改革を進めてきました。そのときに大事なことは、1つ1つのある時点でのいろんなご意見を伺うという切り込み方と、やはりいろんなモニタリングをやって、いろんな現場での受益者側のほうからのいろんなお答えというものをある程度コンスタントに定期的に聞いていく形で、それをPDCAの中に反映させていくという、さまざまな手法がありますので、そのあたりが一般市長部局と教育現場の中では少し違いがあるかもしれませんので、その辺も含めて検討させていただきたいと思います。

【大森委員長】  ぜひ、さまざまな手法を吟味の上で、効果的な形で取り入れていただければと思います。

【高尾委員】  根本的な疑問ではないんですけど、確認だけ。今春の学力調査の結果が明らかになるのは、おおむねいつでございましたかね。

【山野課長】  8月の末ですね。

【高尾委員】  それはこれに間に合わないんですね。

【山野課長】  最後にぎりぎり間に合うか間に合わないかです。

【高尾委員】  実に残念なのは、いずれも未達成のためということで、去年のデータをおおむねこれだろうという推測、推定をなさって評価されているところが、もうちょっと確実な評価に基づいてあれを出せたらご納得いただけるかなという、その辺がちょっと残念だったんですね。

【山野課長】  この自己評価ではちょっと間に合いませんけれども、先ほど申し上げた教育行政点検評価の最終段階で間に合えば、それをもとに再度修正をと考えてございます。

【高尾委員】  さらに形式的なことで申しわけないんですが、これは横棒を引っ張らなくてもいいわけですか。つまり、中間アウトカムが未設定の場合とか未測定の場合は横棒という表記になっているんですが、これは大丈夫ですか。

【山野課長】  その点は市政改革室と確認させていただきます。

【高尾委員】  わかりました。

【大森委員長】  6ページ、7ページの様式4の評価の中に、具体的取組というのと戦略の進捗状況とアウトカムの達成状況と戦略の有効性って、4つないし5つの評価があるんですけど、その相互の関係というのがわかった部分と必ずしもよくわからない部分があったんですけれども、具体的取組の達成状況が1つでも②がまじっちゃうと、右側の戦略の進捗状況がbになっちゃうというご説明でしたよね。そういう意味での対応関係というのがかしっとあると。他方で、アウトカムの達成状況というのはまた違う話ですよね。このアウトカムの達成状況の判定基準というのは、事前にアウトカムはここまで達成するよというのを目標値として掲げているのでしたか。

【浅野総務部長】  はい、アウトカムは全て後につけております個票に載っておりますけれども、個別の達成状況をそれぞれ判定いたしまして、それを全体で進捗していればAというような形で評価をしております。

【山野課長】  具体的に申し上げます。9ページをお開き願えればと存じます。

 下半分に戦略の進捗状況とアウトカムの達成状況ということで、アウトカムというのが①からずらっと設定をされております。これは教育振興基本計画で27年度までにめざすべき目標と掲げているものと同じものでございまして、こういったものを年度当初に定めさせていただいているところです。これが、先ほど高尾委員からもご指摘ありましたように、本来ならば26年度当初に行われた全国学力調査の結果で25年度の取組の実績というのがわかるんですけれども、残念ながらそれが間に合っておりませんので、25年4月の学力調査の結果から推定して、おそらくは達成しておるんだろうということで、評価結果としてはAという形でつけている、そのような形での方法になっております。

【大森委員長】  ここの9ページでいくと、個別のAというのが全体のAになるかどうかというのはどういう基準でしたか。

【浅野総務部長】  ここは、先ほどの例えば具体的取組の達成状況は1つでも②があれば進捗状況bというルールがあるわけではございませんで、全体として、この場合、1つ個別ではBという達成状況がございましたが、トータルとして事務局としてはアウトカムの達成状況はAと判定したということでございますので、Bが1個あっても全体としてAになっているということでございます。

【大森委員長】  例えば半分以上がAの場合は全体もAにするとか、何かそういう基準はあるのですか。

【浅野総務部長】  そういうルールはありません。

【山野課長】  市全体ではございませんけれども、委員長が先ほどおっしゃっていただいたような感覚で、我々はAならAという形でつけておる次第でございます。全体の判断という。

【大森委員長】  戦略の進捗状況というのは、やるべきことをやったかどうかですよね。アウトカムじゃなくてアウトプットですよね。つまり、事業をちゃんと予定どおりやったかどうかというのが戦略の進捗状況で、アウトカムの達成状況のほうは、その事業をやった結果、具体に学力が上がりましたよとか、そういう変化が、教育効果なり何なりがほんとうに出ているのかということで、別もんですよね。そういう切り分けでいいんですよね。

【山野課長】  さようでございます。

【大森委員長】  進捗状況がいいからって、達成状況がイコールよいというふうには論理的につながっているわけじゃないということですよね。他方で、この戦略の有効性というのがよくわからないんですね。これは、イというのはない、全部アですよね。これはどういう判定基準で戦略は有効であると設定しているのでしたか。

【山野課長】  これにつきましては、先ほどご説明申し上げました、すいません、資料としては6ページにもう一度お戻りいただければと思うんですけれども、この6ページの中ほどに具体的取組の有効性ということで○とか×とかをつける部分がございます。それの○をつけている部分と、あと、アウトカムの達成状況がどうかというところを総合的に見まして、有効性が戦略全体としてあるかどうかというところを判断してございます。例えば、戦略1-1、学力の向上ですと、全ての取組がやはりアウトカムの達成に貢献をしているというところで○となってございまして、アウトカムの達成状況もまた目標を達成しているということを総合的に勘案しまして、戦略の有効性全体としてはアと判断したというところでございます。

【大森委員長】  アウトカムが達成されていればそうですね。達成されていないのが経営課題4のところですかね。これでいくと体罰・暴力行為のところだけなんですね。その場合、アウトカムとして設定した目標自体が十分に意欲的な目標かどうかということ自体も常に反省を迫られることかなとは思いますけれども、それはちょっと今置いておくとすると、この有効性の○、○、○というのは何が基準になって、個別の有効性が○か×かというのはどういう判定基準があるのですか。

【山野課長】  それにつきましては、やはり具体的取組の達成状況と関係性がございまして、例えば、具体的取組の達成状況が①の(Ⅰ)となった場合は○にする、それから、①の(Ⅱ)となった場合は×にする。②の場合は、これは(Ⅰ)でも(Ⅱ)でも○か×かの判断については、実際に取組の実績であったりとか、そういったところを総合的に勘案して○か×かを判断する、そういう基準になってございます。

【大森委員長】  そうすると、②の場合、目標未達成と。ただ、これは事業をやったかどうかですよね。①とか②とかというのは、ちゃんと当初予定した事業をどの程度やれたかどうかですよね。

【山野課長】  まず、(Ⅰ)とか(Ⅱ)というのは、委員長がおっしゃるように、まず予定した取組が予定どおりやったかやっていないかというところの内容になります。それから、①とか②とかいいますのは、我々は中間アウトカムと呼んでおりますけれども、単に何回やったというのではなく、それをやることによって例えば教員のどれだけ理解が深まったかとか、そういう中間アウトカムもそれぞれ取組ごとに設定してございまして、それが十分に達成し得たかどうかというところが①、②ということになってまいります。

【大森委員長】  そうすると、②のほうは、アウトプットじゃなくてアウトカム的なものということですか。

【山野課長】  中間アウトカムといっていまして、先ほど申し上げたように、例えば小中一貫した教育の推進で申し上げますと、これは研修をすることで研究授業における交流というものが活発化したか否かというところを中間アウトカムとして設定してございます。

【大森委員長】  それはどうやってはかっているんですか。

【山野課長】  それにつきましては、各学校に対してアンケート調査をしてございます。最終アウトカムは、当然のことながら、子どもの学力が上がったかどうかというところで、先ほどごらんいただきましたように、全国学力調査の無回答の割合でありますとか正答率の割合というものが上がったかどうかというところになっております。

【大森委員長】  じゃ、中間アウトカムが②で(Ⅰ)、これでも有効性の欄は○となるのはなぜなんでしょう。目標未達成ということは、つまり中間アウトカムが達成されていないと、でも有効なんだよというのはどういう判定基準からそうなるんですか。

【山野課長】  我々としましては、今申し上げたように、小中一貫した教育において交流が活発になれば、当然、小中一貫した教育というものが推進され、それがひいては子どもの学力の向上にもつながるという施策の効果としてはあろうと考えてございます。ただ、今申し上げた交流が活発になったかどうかというところの目標について、実際の数値は昨年度と同じ数値で横ばいという形になってしまいましたので、そこで目標未達成という形で判定したところでございます。ただ、全体を通して言うと、そこの取組レベルで改善をしていけば戦略の進捗には寄与するものと考えている次第でございます。

【大森委員長】  端的に言うと、有効性のところは、かしっとしたこれで切れるみたいな判定基準はないのですか。

【山野課長】  ○に関してはございません。

【大森委員長】  有効性の○については。

【山野課長】  はい、さようでございます。

【大森委員長】  そうすると、この施策は大事なはずだと、効果的なはずだという、何かそういうことになっていないですか。

【山野課長】  そこに関しましては確かに委員長がおっしゃるところもあるかとは思いますけれども、その点につきましても、改めて教育行政点検評価の中でご指摘を賜ればと思ってございます。

【寳田次長】  恐縮ですけど、これは制度上、委員長がおっしゃるとおりのところがあります。表紙にもありまして、あくまでもこれは所属長、我々の場合は教育長ですけども、自己評価という制度でございまして、当然これを提出した後に、またPDCAの外部の有識者の先生方のヒアリングを我々は受けてまいります。それが、その目標の設定の仕方が正しいのか、我々はここまでいったと申告はいたしますけども、その進みぐあいというものが確かに自己申告のように評価して適切なものなのかということを、また厳しいご指摘を年々歳々いただいておりますので、今ご指摘の部分でいったら、あくまでも自己評価でありますし、逆に言うと、そこまで進んでいないということで、目標の設定の仕方そのものが誤りであるという逆指摘も覚悟せざるを得ませんので、恐縮ですが、少々手前みそ的なところはお含みいただけたらなと思います。

【大森委員長】  つまり、逆に外部を当てにする、外部の評価というのはもちろん重要ですけど、外部の人が幾ら頑張っても、まず自己評価自体がそういう自制的なものでないとよくならないですよね。だから、そういう意味じゃ、目標設定自体もほんとうに真摯に見直す、それから、目標に対する施策の有効性という観点から見ても、ほんとうにこれがベストの施策、対策なのかということも、やはりやっている当事者自身が真摯に見詰めないと、なかなか外部の人頼みでは改善されないと思うので、自己評価、それから第三者評価、これが両方相まってよくなっていく、いわゆるPDCAというものが回るとかいいますけど、やはり制度だけ、仕組みだけがあってもだめだと思うので、まず自己評価をやる我々自体がちゃんとそこを。

【山本教育長】  おっしゃるとおりで、ここの場合のそこの部分は、有効性の評価がなぜ総合的な評価になっているのかというのは、あくまでPDCAは単年度で回します。ただ、我々が目標としているのは27ですから3年間になるんですかね。普通の一般職務でやっていたアクションプランというのは3年間でやっている。その所属長自身が、3年間のタームの中でそれを最終的に達成できる中で、途中のアウトカム設定がまずければ、やはりそれは真摯に反省してつくり直すべきですけども、施策の一貫性というものと施策が浸透して結果を出す前の時間管理、そういうものからいったときに、今のところ変更の必要ないものについてはそういう総合的評価を下すと、こういう考え方になっていますので、そういうふうに受け取っていただいたら一番ありがたいと思います。

【大森委員長】  ありがとうございます。今後はさっきお話ししたような感じで、今のご説明は理解しましたけれども、これは教育委員会事務局だけじゃなくて、次長がおっしゃったように、本市全体でやっぱりそういうところがないわけではなかったんだと思いますけれども、それをそれぞれの局といいますか、それぞれの機関自体がちゃんと振り返っていくと。もちろん、今教育長がおっしゃったように、むやみやたらと途中で変えるという話ではないと思いますけれども、今後そういうことで教育行政点検評価をやっていきたいと思いますので、ご支援をお願いしますということです。

 

議案第115号「大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会の設置等について」を上程。

大継指導部長からの説明の要旨は以下のとおりである。

 平成27年度使用小学校教科用図書の採択に当たり、大阪市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会を設置するとともに委員を委嘱し、平成27年度使用大阪市立学校教科用図書の選定を諮問するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  メンバー構成は、協議会で伺っていたとおりですよね。

【大継指導部長】  そうでございます。

【大森委員長】  これは、メンバーを確定するというのがこの議案の趣旨ですよね。

【大継指導部長】  はい、そうでございます。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議案第116号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

 西淀川区の大和田小学校校長、大久保達巳を5月28日付で教務部付とする。

後任として、教育センター主任指導主事、有田伸一朗を新たに大和田小学校長とする。

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  教務部付というのは管理職手当は出ないのですか。

【林田教務部長】  出ません。

【大森委員長】  以前、総務部参事というのがありましたが、今回、総務部ではなく教務部のほうがいいというのは、何か判断の基準があったのですか。

【林田教務部長】  今後、事情聴取、聞き取りを行ってまいりますので教務部で聞き取りを行っていくということで教務部付といたしました。

【大森委員長】  管理職手当は出ないということですが、これは人事異動でありながら不利益処分という意味では分限処分の降任と同様の効果になると思うんですけれども、法的には耐えられるのですか。

【林田教務部長】  給料上は校長級のままです。

【大森委員長】  分限による降任とは明らかに違うということでよろしいですね。

【川本課長】  降任ではなく人事異動です。

【大森委員長】  仮に訴訟になった場合は、管理職手当は出ないということにおいては不利益処分というふうにみなすことができますよね。こういった不利益処分に当たるような異動をやることについては、前例もあり、十分理屈のある話といえるのですか。

【林田教務部長】  合理性はあると思っております。

【大森委員長】  管理職手当が出ない前例はありますか。

【川本課長】  三先小学校のとき、教育センター付としました。給料表としては同じ校長級の4級を支給したまま管理職手当だけが出ないと。研修という理屈でしたのでセンター付にしましたけれども、管理職の職についているわけではないので、管理職手当が出ないこと自体の理屈もありますし、今回についても待命ポストということで、管理職手当が出ないという理屈は通りますので、合理的だと思います。

【林委員】  本人とは全然話ができていないんですか。

【川本課長】  教務部からの連絡に対してはほとんど反応がない状態です。

【大森委員長】  今般は、懲戒処分、分限処分ではなくて人事異動です。制度上解任という言葉はないんですよね。だから、人事異動になるんですけども、公募制のプロジェクトチームの打ち出した解任ということでやっていくということです。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議案第117号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

大阪市立南津守小学校教頭の休職に伴い、その後任として総務課指導主事 藤田克史を同校教頭に任命するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  藤田指導主事は、総務課でどのような事務を担当されているんですか。

【川本課長】  企画担当で、教育振興基本計画の進行管理などを担当しております。

【林委員】  この休職された教頭先生は、この小学校は何年目ですか。

【橋本係長】  1年目です。

【林委員】  その前に教頭経験はあるのですか。

【沼守教育次長】  2校で6年あります。

【西村委員】  病気は前からあったんですか。

【橋本係長】  ないです。人事異動というのは負荷がかかるタイミングであり、メンタル不調を起こすタイミングであります。特に異動した直後は、前の教頭との引き継ぎの関係なんかでうまくいかなかったりすると、自分のストレス耐性以上の負荷がかかるということがまれに起こってきます。

【林委員】  原因の1つに、学校が少し荒れていて対応が難しいという部分のお話がありましたが、校長先生はどういう方ですか。

【橋本係長】  教頭時代は評判も高い方で、25年の4月から昇任でこの学校に赴任しています。

【林委員】  やはり校長先生に少し頑張っていただいて、きちっと学校のほうをマネジメントしていただきながら教頭先生にもやっていただくということになると思います。

 

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第118号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 中学校の講師について、勤務時間中に校舎内で喫煙を行ったことにより、懲戒処分として停職1月を科すものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】   これは特に特筆するような事情はなくて、通常の喫煙に対する量定、停職1月という、基本どおりの処分案件と考えてよろしいですね。

【西村委員】  学校でこういう生徒の喫煙というのは深刻なんですか。大したことない、あんまりないんですか。

【林田教務部長】  生徒の喫煙は。

【西村委員】  結構あるんですか。

【林田教務部長】  生活指導上の問題としてはあろうかと思います。

【西村委員】  あろうかというか、結構中学でもあるのですか。

【林田教務部長】  はい、中学でも。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第119号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。 

小学校の管理作業員について、自宅において親族に対し暴力行為を行い、傷害容疑で逮捕されたことにより、懲戒処分として平均賃金の1日分の2分の1の減給を科すものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  この減給というのは、何月とかそういうのは。

【林田部長】  これは、管理作業員は現業職員でございますので、現業職員の場合、1月とか3月とかいう期間はございませんので、減給、基本1日の2分の1ということでございます。

【大森委員長】  1日の2分の1というのは、1日だけの減給で済んだものですか。

【林田部長】  はい、区分がございません。

【有上係長】  労働基準法で制裁規定の制限というのがございまして、技能労務職員につきましてはその法が適用されまして、1日分の賃金の2分の1を上限とすると決まっておりますので、今回、減給としては、その1日分の2分の1が上限になります。

【大森委員長】  1日分の2分の1は幾らですかね。

【有上係長】  数千円です。1万円未満になるかと思います。

【大森委員長】  今まで減給って、例えば減給1月でどれぐらいのマイナスになるのですか。給料によって違いますけど。

【林田部長】  10分の1を1月ということであれば数万円ということになろうかと。

【大森委員長】  それに比べると、ものすごく軽く済んでしまうということですかね。

【林田部長】  はい。ただ、これは、市長部局も同じですけれども、今申し上げたような現業職員についての地公法の適用の問題ですので。

【大森委員長】  それはどうしてそういう考え方になっているんですかね。

【林田部長】  もともと地方公務員につきましては労働基準法が適用されないというのがまず前提にありまして、ただ、技能労務職員につきましては、その適用除外を除外するという規定がまた別途ございますので、結果的に労働基準法が適用されるということになるんですね。それでいいますと、労働基準法であります制裁規定の制限というのが適用されますので、減給が1日分の2分の1というのが上限という規定が適用されることになります。

【大森委員長】  労基法が適用される、つまり、一般の民間企業であれば、要するに技能労働者であれ、あるいはホワイトカラーであれ、これは上限が1日分の2分の1って、民間のサラリーマンについては全てそういうふうに適用されているということですか。

【有上係長】  減給という処分を受ける場合に労働基準法が適用されるということになります。

【大森委員長】  民間企業の人であれば、技能労働者であれ、ホワイトカラー、デスクワークであれ何であれ、上限は労働基準法で1日分の2分の1までしか制裁は課せませんよというのが等しく適用されるわけですね。じゃ、民間の労働者については、それがルールになっちゃっているわけですかね。

【有上係長】  そうですね。

【大森委員長】  すごく厳しいというか。

【寳田次長】  これは生活保障の関係ですね。

【大森委員長】  制裁側の裁量を厳しくしているという。

【寳田次長】  そうですね。

【大森委員長】  制裁の名のもとに人件費節約を図るような不届きな企業が出ないようにというのもあるのでしょうか。

【寳田次長】  それこそ労働基準法の解説書なんかを読んでみますと、今委員長が疑問に感じておられたそのとおりのことが書いてあったりするんですけども、法制度上は今担当が申し上げましたとおりですね。我々は、最低限、減給の場合は10分の1、1月以上というのが減給処分の基準になっていますが、彼らの場合は1日の半分が上限になっています。

【大森委員長】  あと、説明の中で不起訴ということがあったんですけれど、他方で逮捕はされていますよね。これって、結構逮捕というと世間的には大きいんですけれど、それは逮捕であっても不起訴であれば軽いほうに働くんですかね。

【林田部長】  逮捕されたことをもって加重をしているということはございません。

【大森委員長】  これは、過去にも逮捕されても減給で済んでしまっているという、つまり、停職または減給でしたよね。傷害で減給で済んでしまっているという例はあるわけですね。

【有上係長】  はい、ございます。逮捕されて、結果として減給処分ということで、市長部局のほうでされている例がございます。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

5.大森委員長より閉会を宣告

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