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平成26年第32回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:316009

平成26年第32回教育委員会会議

第32回教育委員会会議録

 

1 日時  平成26年12月9日 火曜日 午前9時30分から午前11時30分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎屋上会議室

 

3 出席者

大森不二雄  委員長

林  園美  委員

高尾 元久  委員

西村 和雄  委員

帯野久美子  委員

 

山本 晋次  教育長

寳田 啓行  教育次長

沼守 誠也  教育次長

浅野 宏子  総務部長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

森本 充博  生涯学習部長

大継 章嘉  指導部長

多田 勝哉  教育改革推進担当部長

岡田 和子  学力向上支援担当部長

三木 信夫  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

笹田 文雄  指導部首席指導主事

忍  康彦  教職員服務・監察担当課長

芝谷 浩誠  教務部担当係長

田岡  進  教務部担当係長

中村 浩之  教務部担当係長

坪井 宏曉  初等教育担当課長

井谷 正美  指導部総括指導主事

畠  邦子  指導部主任指導主事

川本 祥生  教職員人事担当課長

江原 勝弘  教職員人事担当課長代理

橋本 洋祐  教務部担当係長

川阪  明  総務課長

松浦  令  総務課長代理

東川 英俊  総務課担当係長

ほか係員1名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に林委員を指名

(3)議題

議案第190号  体罰・暴力行為を許さない学校づくりの徹底について

議案第191号  就学前教育カリキュラムについて

議案第192号  職員の人事について 

議案第193号  職員の人事について 

議案第194号  職員の人事について 

議案第195号  職員の人事について 

なお、議案第192号から議案第195号については、会議規則第6条第1項第2号に該当することにより、採決の結果委員全員異議なく会議は非公開とされた。

 

(4)議事要旨

議案第190号「体罰・暴力行為を許さない学校づくりの徹底について」を上程。

大継指導部長及び林田教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

【大継指導部長】  体罰・暴力行為に対する処分等の基準を策定いたしまして、体罰・暴力行為を行った教職員に対する懲戒処分及び行政措置の量定の判断に当たりまして、児童・生徒の非違行為がある場合とない場合をきちんと区分した基準とするものでございます。

 基準を定義するに当たり、体罰・暴力行為を許さない学校づくりの徹底といたしまして、これまでの取り組みの経過と、今回の基準の策定、今後の取り組みの方向について示しております。

まず、桜宮高等学校の事案について、事実を振り返り、亡くなられた生徒のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げますとともに、弁護士から成る外部監査チームによる調査の最終報告からの指摘、勧告内容を示しております。

 次に、この指摘、勧告をもとに、体罰・暴力行為等に関する指針に基づく取り組みといたしまして、平成25年9月、「体罰・暴力行為を許さない開かれた学校づくりのために」、体罰・暴力行為の防止及び発生時の対応に関する指針、及び、児童・生徒の問題行動への対応に関する指針を一体的に策定し、従来明確化されていなかった、体罰、暴力行為、正当防衛、正当行為等の区分を具体例も含めてはっきりと示し、教職員が自信を持って適切な指導を行う一助としたこと、また、体罰・暴力行為の発生時の対応として、必ず報告が上がる透明性の高い報告体制の構築、及び、報告漏れに対する厳正な対処をはじめ、適切な対応及び処理の体制を明示したことを示しております。

 同時に、学校現場が直面する課題や、問題行動を起こす児童・生徒について、体罰等の暴力的指導に頼らず、人格の尊厳に根差した指導法の確立に向け取り組むことができるよう、問題行動の重篤度に応じてレベル1から5の段階に分け、段階に応じた対応をルール化したことについても触れております。

 また、桜宮高等学校の事案が運動部活動に起因したことに鑑みまして、部活動から、体罰・暴力行為や、暴言、ハラスメント等の暴力的指導を一切排除するため、平成25年9月、「大阪市部活動指針~プレイヤーズファースト~」を策定いたしまして、社会的自立に向けて生徒みずからが考え行動できる力を育てるプレイヤーズファーストの精神に基づく部活動の構築に取り組んでいること、さらには、体罰・暴力行為を許さない風土の醸成に向けて教職員の意識の向上を図るため、平成26年1月、指針と合わせて活用する「ケーススタディによる校内研修の手引」を作成、昨年度末に教育センター主催で研修会を校種別に実施いたしまして、校内研修を担う人材の育成に努めていることを明記いたしました。

 アンケート調査では、教職員の90%以上が指針の内容を理解し、生活指導に活用したり、生活指導のあり方を見直したり、生活指導の参考とするなどの結果となっております。また、指針に基づく取り組みによりまして、事案発生時の報告が徹底されるようになりましたが、指針の中で明確に区分した体罰と暴力行為が混在していることが鮮明となりまして、これらを同一基準で判断することは適当でないとの課題が浮かび上がってまいりました。

 このため、今般、「体罰・暴力行為に対する処分等の基準について」を策定し、体罰・暴力行為を行った教職員に対する懲戒処分及び行政措置の量定の判断に当たり、児童・生徒の非違行為がある場合とない場合を区分した新基準を策定いたしました。この基準を広く周知していくことによりまして、教職員のさらなる自覚を促し、暴力的指導に頼らない、人格の尊厳に根差した指導を徹底し、学校教育への信頼を確立したいと考えております。

 また、児童・生徒からの暴力行為や、いじめ、教職員に対する暴力行為・暴言等の問題行動については、その様態と指導等を一対一対応させたルールを明示して段階的に対応するとともに、重篤な事案につきましては特別な指導体制で手厚い個別指導を実施する、仮称でございますが、個別指導教室を27年度に整備してまいります。

 教育委員会といたしまして、改めて桜宮高等学校の事案を厳しく受けとめ、その後の2年間の取り組みを総括し、体罰・暴力行為を許さない開かれた学校づくり、児童・生徒の安全・安心と教育を受ける権利を守る学校づくりの徹底に向け、校長をはじめとする教職員、保護者の皆様、地域の方々並びに関係諸機関の力を合わせて、一丸となって取り組んでいく決意をするものでございます。

【林田教務部長】  引き続きまして、「体罰・暴力行為に対する処分等の基準について」でございますが、児童・生徒の非違行為に対する行為と、非違行為のない児童・生徒に対する行為を同一基準で判断することは適当ではないのではないかという考え方から、今回、新たに基準を設けるものでございます。

 傷害のない場合、ある場合と大きく分けまして、また、その体罰・暴力行為が1回だけなのか、そして、被害生徒が1人の場合、複数の場合、また、その行為が複数回という場合で分けてございます。また、傷害が軽微な場合と傷害がある場合ということで基準を設けて運用してまいったところでございます。

 改めて今回、処分基準を定めまして、そして、その基準を公表、広く周知していくことで、教職員にさらなる自覚を促してまいりたいと考えております。

 処分の基準でございますけれども、①から⑤につきましては、ほぼ従来の基準と同様でございます。ただし、①から⑤につきましては、児童・生徒の非違行為に対する行為ということで定義してございます。新基準というところが、非違行為のない児童・生徒に対する行為ということで、新たに5から10と設けさせていただいておりますが、より厳正な処分にしてございます。非違行為のない児童・生徒に対する行為が1回のみで傷害がない場合、そして被害児童・生徒が1人の場合につきましては戒告、そして、それぞれ6から10までございますけれども、非違行為のない児童・生徒に対する行為で傷害がある場合については停職1月といった、段階を追った基準としてまいりたいと考えております。そして、これを明確に示していくことが重要であると考えております。

 さらに、共通の加重基準ということで、過去に校長指導、行政措置を受けている場合、懲戒処分を受けている場合、この事案について申告しておらない場合、また、管理職であった場合につきまして、加重措置を行っております。

 また、非違行為のない児童・生徒というのは、例でございますけれども、部活動の練習中に指示どおりにプレーできない、ミスをする児童・生徒や、授業中の問題を解くことができない児童・生徒等のことをあらわしていることでございます。ただ、これは例示でございますので、さまざまなケースがあろうかと思います。ただ、部活動の練習などに示されているものが大きくイメージとしてあろうかと存じます。

 さらに、今申し上げました加重、そして、一方で、全体的な事案の状況を通じまして加重するケース、そしてまた、軽減するケースがございますので、総合的な判断ということでございます。また、一方で、正当防衛、正当行為と考えられる事案については、こういった基準は適用しないということはございます。

 この基準について広く周知していくということから、本日ご承認いただけましたならば、本日中にも各学校のほうに送付を行いたいと考えております。また、さらに、学校長に対する説明につきましても、この処分基準についての説明、そして、冒頭申し上げました体罰・暴力行為を許さない学校づくりの徹底ということで、改めて体罰・暴力行為の防止の指針の趣旨についての説明も行いたいと考えております。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【大森委員長】  本日決定されたら、この基準だけではなくて、その前の文書も一緒に各学校のほうに送付、通知ということでよろしいのですね。

【大継指導部長】  桜宮高校の事案以来の取り組みと、今後の方向について示しているものでございますので、新基準を適切に使用していただくために、今回、改めて作成したもので、基準とあわせて通知してまいりたいと考えております。

【大森委員長】 この文書と基準は、まず学校長に通知することが先決でございますけれども、その後市民にという意味ではホームページに一般公開することが妥当かと思いますが、その点はいかがでしょうか。

【林田教務部長】  そのように行ってまいりたいと思います。桜宮高校の事案について、この間、教育委員会のホームページにも、この間の経緯や取り組み内容を掲示しておりますので、そこにあわせてというふうなことを思っております。

【林委員】  今回、このような新しいルールをつくったということですけれども、やはり、大阪市の教育委員会として、桜宮高等学校の事案の教訓を忘れないことがまず一番大切なことだろうと思っております。その事案を受けていろんな取り組みをしてきたわけでありますけれども、体罰は絶対認めないという姿勢を常に明確にしておくことが一番大事だろうと思います。それをまた学校現場の全ての教職員の皆さんにしっかりと認識していただいて対応に当たっていただくという、事務局のほうもご努力していただいていると思いますが、やはりそこが一番大切なことだろうと思っております。

 処分に関しましては、事件以降、指針も出しましたし、私たちの体罰を許さないという態度も明確にしてまいりましたが、やはり、若干のそういう処分事案が上がってきております。まず、隠さないということにおきましては、この事案以降、報告もスムーズに上がってきていると思いますし、起こったことはきちんと上がってきている、明らかになっていると感じております。それに対して処分をしていくに当たって、やはり、処分される側にとっても納得のいくルールを改めてこの機会に明確に示したということで、意味のあることであるかなと私は感じております。

 先生方に対しても明確なルールということでこういうことになりましたけれども、やはり子どもたちに対しても、今後は、同じような考え方でルールを明確にしてきちんと対応していくことが非常に大切だろうと思っております。先生方も子どもたちもということで、ここで1つ形になったのかなと思っております。

【高尾委員】  体罰も暴力行為もともに排除すべきだということは、論をまたないところです。

 特に予防的な側面を述べたいと思いますが、やはり、このように丁寧に詳しく書いてあることによって、非常に認識を明確にする効果があるのではないか、区別をするということの過程において非常にはっきりするということがあるのではなかろうかと思います。先生方の日々の行動、あるいは、いわゆるこれまでぼやっと体罰と言われてきたものに対しても、意識が明晰になってくるのではないでしょうか。それによって、こうした行為に対する効果、減少が望めるのではないかと期待しております。

 おそらく旧来に比べて、まずは暴力行為の割合というのは減ってくるでしょうし、それから、全体としての発生もやはり今後減ってくるという効果が望めるのではないかと期待しております。

【大森委員長】  議案書に2年間の取り組みの総括がありますけれども、実際に数字の面でも報告が上がるようになっていることはまず間違いないところで、23年度までに比べて、24年度以降、数がものすごく増えてしまっているという現実があります。それは決して、23年度以前は大阪市は体罰・暴力行為が全く行われず24年度以降、突然、体罰・暴力行為がたくさん行われるようになったということはあり得ないことであります。明らかにこれは、きちんと報告いただけるというか、報告が上がってくるようになっていると言えると思います。

 26年度はまだ途中ですのでわかりませんが、現実の発生が減っているということじゃないかなと私は期待しております。

 かつ、もう1つ、データに基づいてといいますか、体罰といって明確な区別もない中で、私ども大阪市では体罰と暴力行為を区分したと。これまで事務局から上がってきた事案の中で、23年度以前に比べると、24年度以降、全体が増えている中で、いわゆる暴力行為に当たるものの比率は減少傾向にあるのではないかと期待しているわけであります。ですから、数字の感覚といたしましては、総括の文書に書いてあるように、報告が徹底されるようになっている、報告体制が確立されているということは、少なくとも一歩前進なのではないかと私自身は感じておりますが、事務局のほうではどう認識されていますか。

【大継指導部長】  桜宮高校事案以来、委員の皆様から、体罰と暴力行為についてきっちりと分けて考えていくべきと、こういうお考えを示していただいたところでございます。これに基づきましてこの防止指針を策定いたしまして、現場のほうに周知し、徹底してきたところでございます。

 現場のほうでは、ここにございますように、この指針の内容を90%以上の方々が理解している、また、何らかに活用していると、このような結果が上がってきているところで、暴力行為や体罰についての学校現場での感度は大変高くなっていると、このように思っているところでございます。

 一旦、軽微なものも含めて全て報告を上げるようにと指示をしてまいりまして、一時的には報告の数が上がってまいりましたが、この指針が徹底されるにつきまして、現場での暴力行為、暴力的な指導または体罰が減少傾向にあるものと感じているところでございます。

【大森委員長】 関連して、私ども大阪市では、体罰と暴力行為という言葉を区分はしておりますが、国のほうの調査は、たしか相変わらず体罰という一言で調査件数が来ていますよね。昨年9月、この指針を策定した際に、あるいは策定した後に、文部科学省のほうには我々の考え方や資料はそもそも提供されていますか。

【沼守次長】  桜宮高等学校の一件につきましては、全て資料を文部科学省には提出させていただいております。

【大森委員長】  この区別について特段何か説明を行う、あるいは説明を求められたことはなかったですか。

【大継指導部長】  特に説明はしておらないところでございます。

【大森委員長】  幾ら大阪市あるいは大阪市教育委員会が体罰と暴力と2つの言葉を並べていても、マスコミを含めて世間一般では、学校内で起こる全ての教師による暴力が体罰という言葉で一くくりにされていますので、その状況は実際上何も変わっていないと思うので、かつ、文部科学省がそれだと変わりようがないと私は思います。

 この問題に限らず多くの問題について、国の政策を我々がどうこうしようもないので、大阪市の教育についてどうするかということでやってきましたけど、やはりこの問題について、桜宮高校の事案があってきちんと対応したこと、その考え方なり大事なポイントを国に伝えていくという責務もあるのではないかと思うので。きちんと説明した上で文部科学省がどう反応するのかしないのかというのは向こうの責任ですが、少なくとも私どものこの意図が重要なものであるということを理解してもらってということで、2年が経過しようとしているところでありますので、早くはないのですが改めて文部科学省に対して、あの調査で使われている用語も含めて、体罰と暴力行為をちゃんと区別してほしいということを申し入れるべきじゃないかと思います。

 体罰というのは懲戒の目的を持った物理的な行為ですので、懲戒の目的と到底言えないような部活中のこういった暴力、そういったものについて体罰と。学校の外であれば単なる暴力にすぎないものが、学校内で大人が子どもに対して行えば体罰になってしまうのであれば、それはおかしな話でありまして、この機会にきちんと文部科学省のほうに一度説明と申し入れをお願いできますか。

【沼森教育次長】  基本的に今までも報告を文部科学省にさせていただいていたのですが、2年が経過した中で、再度その教訓を生かした形で大阪市の取り組みということで、1つは、体罰・暴力行為のいわゆる明確化とそれに対応する処分のあり方。それと同時に、大阪市が取り組んできた子どもたちの安心・安全な学校づくり。当然、そこには、全国で初めてのいわゆる個別指導教室整備に向けて今進んでいますので、そのことも全体的に1つの流れの中で大阪市の責務において取り組むべきであると考えておりますし、文部科学省のほうに、報告、ご説明に当たらせていただく機会を設けるよう動いてまいりたいと思っております。

【大森委員長】  これは全体の、学校から暴力をなくしていく、先生による子どもに対する暴力はもとより、子ども同士の暴力、あるいは子どもによる教師に対する暴力、そういった行為は誰が誰に対するものであれ暴力は許されない、あるいは許さないということでやっていくということです。やはりルールというものはしっかりしていく、そして先生に対するルールというのが、こうやって一定程度現場に理解、受容されつつあるということだろうと期待していますので、これをさらに推し進めると同時に、子どもたちに対してもきちんと、いじめ・暴力を中心とする問題行動に対し、あらかじめ明示したルールで公平にそのルールを適用するといった一貫した対応をすることによって、学校という場を子どもたちが安心して学べる場にしていくことが大事じゃないかと思っているところです。

 なお、暴力行為と体罰を区分するからといって、体罰ならいいのかということでは全くなくて、当然のことながら、体罰も学校教育法で禁止されているのみならず、子どもたちの心と体に傷を残すおそれのある許してはならない行為ですので、処分等の対象になることに変わりないと。ただし、今までの内規、今までの基準というものが、子どもに何ら非がないものについても、全く同じ基準でもって、外形的に傷害があるがないかとか、回数とか、被害に遭った子どもが何人かとかいうことだけでは、これはやはり不合理であろうと。体罰も暴力行為もいけないが、処分の基準が同一ではおかしいということで、区別すべき、ただしどちらも許さない、許されないということなので、ここをきちんと現場のほうにも伝え切っていくことが必要だろうと思っております。

【林委員】  委員長のお話からしますと、言葉を正確に使うという意味では、先ほど私が、体罰は認めない、許さないという言い方をしましたが、私の本意としては、体罰・暴力行為を許さない、認めないということであります。委員長が言われたような使い分けに関しても十分理解をしておりますので、ここで訂正させていただきたいと思います。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

議案第191号「就学前教育カリキュラムについて」を上程。大継指導部長からの説明要旨は次のとおりである。

 

 平成25年3月に改訂した大阪市教育振興基本計画に基づき、新たな幼児教育カリキュラムとして就学前教育カリキュラムを策定する。

 就学前教育カリキュラムは幼児期の教育の重要性に鑑み、幼児教育の改革のための基本的な考え方を踏まえ、規範意識を明確化して繰り返し指導することや、数の概念、空間認識、言語コミュニケーションを育むこと、指導者の教育的働きかけを明確にするということを新たに示している。

 今後、本カリキュラムを周知し、大阪市立の幼稚園・保育所において、本カリキュラムを踏まえ、各園の実情に合わせて実践を行ってまいる。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【林委員】  この就学前教育カリキュラム完成を見て、全て見せていただきましたけれども、昨年度から作成に当たって頑張ってこられた部分の報告も受けておりましたが、非常に中身の濃い、充実したものができ上がったなというのが正直な感想であります。

 この就学前に関しましては、私は、保護者の立場からしますと、全ての保護者がいい教育を受けさせたいという願いがありました。早期教育も非常に活発になっておりますけれども、私立の幼稚園ではなく、公立の大阪市の幼稚園、また保育園で質の高い教育が受けられる、教育的な視点も持った保育が受けられるという部分におきましては、非常に評価をしたいといいますか、保護者も非常に喜ばしいことになるだろうと思っております。

 保育所の先生方と幼稚園の先生方がそれぞれのノウハウを持ち寄って、また、スタートカリキュラムということで、小学校の先生方も入って自分たちの意見交換をされて、この本ができたと聞いておりますが、そのあたりの具体的なメリットを教えていただけたらと思います。

【大継指導部長】  25年度からでございますが、幼児教育の改革のための基本的な考え方につきまして、教育委員の皆様方からご提示いただきまして、それに基づき、0歳児からの6年間の保育・教育の営みをトータルとして視点を統一して考えて作業に当たったこと、さらには、小学校と接続を意識しながら、小学校側からもスタートカリキュラムとしてご提示いただいて、ともに考えることができたこと、このような場を2年間にわたって持てたことは大変意義があったと思っております。

【井谷総括】  最初は幼児期のカリキュラムということで始まったのですが、幼児期を考える上で、やはり乳幼児期が知・徳・体の視点でも土台になるということが、保育所の先生たちとお話をする中で明らかになってまいりまして、途中から就学前教育カリキュラムという名前に変えさせていただいております。そういった意味でも、生まれたときからずっとそういう教育的視点を持ちながら、養護の面も大事にして子どもを育てていく、小学校へ行って、そこからつないでいくというあたりで、お互い、幼稚園と保育所がやっている保育内容のことをお互いに情報交換しながら、大阪市の全ての子どもたちのために、就学前の子どもたちのためにと思ってつくらせていただいたという意味では、非常に私たちも勉強になりました。その内容が盛り込まれたと思っております。

【林委員】  非常に具体なカリキュラムがたくさん掲載されておりまして、現場の先生方、保育に当たられる方々にとって使いやすいものになっているものになっているのではないかと感じております。大阪市の保育所、幼稚園の先生方だけでなく、ほかの大阪市全市の保育者の方々に手をとって見ていただきたいものになっているのではないかなと思っておりますがいかがでしょうか。

【大継指導部長】  巻末に示しておりますが、この幼保合同研究協議会に際しましては、公立の幼稚園、保育所のみならず、私立の幼稚園からも代表の方にご参加いただきまして、この2年間、ともに協議をしながら、この巻末には実践事例をお寄せいただいているところでございます。

 今後は、次年度、これが成案となりましたら、さまざまな機会を通しまして、私立の幼稚園や保育所の皆様方にもご提示させていただけるような機会を考えたいと、思っているところでございます。

【高尾委員】  この大事なポイントというのは「指導者の教育的意図」という言葉であろうかと思います。このことをいつも現場のほうでも自覚して、実践をお願いしたいと思います。漠然と自由にさせておけばいいというふうなことではない、そこには新しい意義があるということを、ぜひいつも認識しながら実践をお願いしたいと思います。併せて、特別支援教育について、特段のご配慮をお願いしたいと思います。

【帯野委員】 これは就学前の教育カリキュラムなので、発達障がい児の教育については、このカリキュラムでは触れないということでよろしいのでしょうか。発達障がいの場合、早ければ早いほど、それを認識して周りが支えるということが重要でありますが、それに関しましては盛り込まないということと理解してよろしいのですか。

【大継指導部長】  特別支援教育の子どもたちのニーズに合った教育につきましては、発達障がいのある児童・幼児に対しても、支援をして取り組むように指導しておりますが、さらになお一層の中身の充実については求められるべきと思っておりますので、今後ともそちらの研究は進めていきたいと思っております。

【大森委員長】  今の点はすごく大事な点で、やはり、帯野委員がおっしゃったように、中教審でもそういうお話が出ているのだと思いますが、年齢が幼いほどきちんと発達障がいを認識した上で対応する、そうすると、その後違ってくるということなので、年齢が上がれば上がるそれは難しくなるということ、おそらくかなり数的に証拠が積み重なってそういうことが言われていると思います。

 これはぜひ、幼児教育のほうの担当と特別支援教育のほうの担当、両者の協力のもとに、やはり早いほどいいということで、具体的な研究等、具体的に大阪市としてやり得ることというのを、研究を踏まえて考えていってほしい、あるいは提案してほしいなと思いますので、ぜひ具体的な宿題として受けとめてほしいなと思います。

【大継指導部長】  いわゆる発達障がいの子どもたちにつきまして、指導者側としてどのようなことが必要かということにつきましては、集団生活を行いますので、さまざまな発達障がいに気がついていく機会が多うございます。その際には専門機関などと連携をとっていくことが非常に重要でございますので、そのあたりをさらに一層深めながら、研究、それから取り組みを進めていきたいと思っております。

【大森委員長】  また、高尾委員がおっしゃったように、大阪市の就学前教育カリキュラムの特色は、やはり教育的意図を持った働きかけということが非常に重要なポイントだと思います。従前といいますか、現在もそうでしょうけれども、日本の幼児教育、幼稚園教育、あるいは保育も含めてかもしれませんが、環境による教育というと、環境の中に置けばいいといった誤解が生じるおそれがあります。 やはり、教育的意図を持った大人、つまり指導者の幼稚園教諭なり保育士、あるいは、もっと幼いときには保護者の方も含めて、その意図、意図を具体化するこのラーニングデザイン、、これがやはり大事で、具体的に意図が実現するような環境を設定し、また、大人の働きかけというものも大事に描写し、子どもたちがどういう活動をするのかということがラーニングデザインだと思いますけれども、この教育的意図とラーニングデザインというのが、就学前教育カリキュラムを一貫している背骨みたいなものだと認識しております。

 私は、非常にすばらしい仕事を、大阪市全市の幼稚園の代表の先生、保育所も含めて、先生方と一緒に事務局のほうでやっていただいたなと思っております。ただ、1月の有識者会議のときには各有識者の先生方からそれなりに厳しいご指摘もあったかと思います。

例えば有識者の中のお一人、久野先生からは、1月の時点ですが、この教育的意図ということはあらわれているけれども、果たして十分その意図が実現するような、つまり、現場の先生がこれを使えば子どもたちが実際にそういう学習するということが担保されるほど具体的なものになっているかと。例えば空間の認識とか数の概念とか、具体的にもうちょっと示さないと、現場の先生方が日々の中で活かしていこうというときに、ほんとうに指導者の側はこういう意図を持っていますと言っても、子どもたちがほんとうにそういう学習経験をするかどうか担保されるかどうかというのが、十分そのレベルまで具体化されていない。そういう専門家の厳しいご指摘も1月時点であったのですが、何かその後のカリキュラムの改善作業に反映されましたか。

【大継指導部長】  今回、幼児教育の改革のための基本的な考え方の中で、教育的指導を行う者の意図的な働きかけというのを意識しなさいということをかなり明確にお示しいただきましたので、今回のカリキュラムの編成に当たりましても、指導者側が意図を持った指導を心がけるということで、あえて後ろのラーニングデザインの中にも項目を設けて書きました。これを改めて現場の担当者がそれぞれ振り返ることで、意図した働きかけはどういうものかということが非常に明確になったという現場の声を聞いているところでございます。

 今回、各園でさまざまな実践をしていただいておりまして、いわゆる「知」というものに重点を置いた取り組みの中で、どのような働きかけによってそれが実現していくのかということの実践を今重ねているところでございますので、今後、このカリキュラムに基づきまして、各園・所でそういうような取り組みの実践を重ねていき、検証していきたいと思っております。

【大森委員長】  知・徳・体の知ですね。ありがちな、漢字をたくさん覚えるとか、計算を小学校入学前からできるようにするとか、何か早期教育みたいな話ではないので。

 有識者の中の今先ほどお名前を出した久野先生のお考えでは、そういうことをやり出す前に、まず、具体的な事物や具体的な経験に基づいて、それがいろいろ、数とか空間とか、物、同じものと違うものとか、さまざまな認識や概念や言葉というものが実物と結びつくことによって、小学校入学以降のいわゆる教科の学習の学力の基礎になるということで、教科前基礎教育とか、久野先生はそういう言葉を使われていらっしゃるということでしたけれども、小学校以降の先取りじゃないわけですよね。

 これ、すごく大事なことで、おそらく久野先生がおっしゃりたかったのは、教育者が意図を持つだけではまだ十分じゃなくて、その意図がほんとうに子どもの具体の活動なりを通じて意図した学びがほんとうに行われているかどうかということの検証これが大事だろうと思います。ほんとうに子どもの内面まで含めて教師が意図したような学びに結びついているのかどうか、その担保が必要で、これから実践を積み重ねながらということではあると思うのですが、1月の時点でおそらくそういうご指摘であったのんだろうと思います。実際に子どもの学びに結びつくには相当具体的なものを持たないとというようなご指摘だったと思います。

 その後のカリキュラム改善、あるいは研究会での検討に今の点をどう生かされたのか、いかがでしょうか。

【井谷総括】  1月の有識者会議でご指摘いただいた点につきましては、1月の時点でお示しさせていただいたカリキュラムをそこからまたさらに加筆して、ラーニングデザインもかなり具体的になるように文言を整理して、昨年の3月に案としてまとめているところでございます。さらに、今年度、実践をする中で、学びがしっかり子どもに結びついているかも含めて整理をしながら、全体を見通して改善しているところです。

【大森委員長】  ありがとうございます。今の点も既に活かされているということですね。

 ただ、ほんとうに個々の先生方の実践というものに浸透していくためには相当まだ労力を要すると思いますので。あとアンケートを拝見しましたけれども、非常に有益なカリキュラムの可能性というか、そういう評価をいただく一方で、やはりまだ浸透途上にあることは明らかで、実践の先端にある園とか先生というのは一定程度既に実践に反映されているのかなとは思いますけれども、大阪市全市で考えていくと、私立幼稚園にこれを押しつけるわけにはいかないのですが、ご理解いただいて、もしいいと思われれば採用されるという形で浸透していくためにも、一層の努力が必要じゃないかなと思いますので、引き続きこの中身もこの先定期的に改訂していくということも含めて考えていけばいいかと思うんです。

 大きな話になりますと、国のほうで幼児教育の無償化とか、報道がされていますけれども、そもそも、子育て支援という側面はもちろん重大事ですが、同時に、この乳幼児期の教育、幼児期の教育というのが教育なんだということがどうも忘れられがちで、何か教育というのは小学校から始まるという認識がまだまだ一般的ですが、実際は、幼児期にどういう経験、学習経験をしているかということで大きな差が生じることがあります。

 特に大阪市に限った課題としましても、学力向上が重大課題ですけれども、ほんとうに幼児期教育というのが、就学前教育カリキュラムで意図しているようなものが、実際の実践かつ子どもたちの学びというものに全て結果に出てくれば、そもそも小学校、中学校の学力向上というのが、大げさに言えば飛躍的に伸びるぐらいの話だろうと、幼児段階、乳幼児段階の教育はそういうものだということで、ぜひ引き続きよろしくお願いしたいと思っています。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第192号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 小学校の事務職員について、過去に1度勤務時間中の喫煙により懲戒処分を受けていたところ、再び勤務時間中に喫煙行為を行ったことから、懲戒処分として、停職2月を科すものである。

 

質疑の概要は、次のとおりである。

【大森委員長】 当該職員の日ごろの勤務の評価はいかがでしょうか。

【林田教務部長】  真面目にはやっているということでございますが、やや仕事をため込みがち、やや作業が遅いということは聞いております。

【大森委員長】

2度目ということで停職2月ですね。

【林田教務部長】  はい、その分量定を加えております。

【大森委員長】  1月だったのを2度目だと2月というのは、これまでもありましたか。

【中村係長】  以前に同じような形、喫煙による2度目の懲戒処分として、停職2月の処分の例がございます。

【林委員】  停職中の2カ月間の業務というのは、学校ではどのように対応されるのですか。

【林田教務部長】  代替の職員を配置いたします。

【大森委員長】  適任者というのはすぐ見つかるものなのですか。

【林田教務部長】  今から探さなければなりませんけども、教員と違い資格は必要ございません。

【大森委員長】  教員ではないですけれども、事務ですので、事務ができる人間がそう簡単に見つかるものなのですか。

【林田教務部長】  処分のケースに限らず、学校の事務職員も、病休でありますとか産休などで欠員が生じる場合に代替職員を配置いたしますので、そういう中で登録者などもおります。

【高尾委員】  お金を扱っておられるので、その点は大丈夫なのでしょうか。こういう機会にきちんと事務センターから派遣されていて、その辺をしっかりチェックされると安心だなと思ったんですけど、アルバイトということですが、その点は大丈夫ですね。

【林田教務部長】  教頭、またセンターと協力しながら、当然、何かあれば、この2カ月の期間ですから、そういう観点も含めてきっちり進めてまいたいと思います。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第193号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

高等学校の実習助手について、公的債権を滞納したことにより、懲戒処分として、停職1月を科すものである。

 

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第194号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 聖和小学校教頭の死亡退職に伴い、後任として指導部指導主事土井一弘を平成26年12月12日付で同校教頭に任命するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  後任の方は、指導部でどういうご担当ですか。

【沼守次長】  小学校ですので、いわゆる小学校のブロック担当にあたっております。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第195号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

我孫子中学校教頭の休職に伴い、その後任として歌島中学教諭河原倫生を昇任し、平成26年12月26日付で同校教頭に任命するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】   前任者は、校長公募には応募されていらっしゃったのですか。

【橋本係長】  まだ教頭になって1年目の方で、応募されておりません。

【林田部長】  後任者は当該学校の経歴がございまして、その際も非常に学校にも評価されていたと聞いております。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

(5)大森委員長より閉会を宣告

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