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平成27年第5回教育委員会会議

2022年9月1日

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平成27年第5回教育委員会会議

第5回教育委員会会議録

 

1 日時  平成27年2月24日 火曜日 午前11時から正午

                   午後3時30分から午後4時

 

2 場所  大阪市役所本庁舎7階市会第6委員会室

 

3 出席者

大森不二雄  委員長

林  園美  委員長職務代理者

高尾 元久  委員

西村 和雄  委員

帯野久美子  委員

山本 晋次  教育長

寳田 啓行  教育次長

沼守 誠也  教育次長

浅野 宏子  総務部長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

森本 充博  生涯学習部長

大継 章嘉  指導部長

多田 勝哉  教育改革推進担当部長

岡田 和子  学力向上支援担当部長

三木 信夫  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

飯田 明子  学事課長

松本 保美  学事課担当係長

森本 義範  中学校教育担当課長

松井 宏之  指導部総括指導主事

市川あい子 指導部主任指導主事

松田 淳至 高等学校教育担当課長

塩見 暢朗 指導部総括指導主事

川本 祥生  教職員人事担当課長

橋本 洋祐  教務部担当係長

川阪  明  総務課長

松浦  令  総務課長代理

東川 英俊  総務課担当係長

ほか係員2名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に高尾委員を指名

(3)議題

議案第38号  職員の人事について 

議案第39号  学習評価のあり方について

なお、議案第38号については、会議規則第6条第1項第2号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開とされた。

(4)議事要旨

議案第39号「学校評価のあり方について」を上程。

大継指導部長からの説明要旨は以下のとおりである。

平成28年度大阪府公立高等学校入学者選抜の調査書に記載される評定は、目標に準拠した評価、いわゆる絶対評価が導入される。導入に当たっては、その評価の公平性、信頼性を担保する方策について府内統一のルールを設定、明示する必要があることなど、これまで本市教育委員会から大阪府教育委員会へ文書による意見の申し入れを行ってきた。

 平成28年度入学者選抜における調査書の評定について大阪府の教育委員会で検討されているのは、大阪府教育委員会が評定に応じた範囲を作成し、学力検査の得点がその受験生の評定に応じた範囲から外れる場合は総合点から加点、減点するというものである。評定は生徒、保護者にとって持ち点として意識されており、それらを総合点から試験後、受験後に変えることについては問題が多い。よって、現時点では、大阪府教育委員会による府内統一のルールで公平性を担保する制度を事前に明示し進めることは難しいと考えられることから、大阪市の中学生の最善の利益を図るための方策として、目標に準拠した評価、絶対評価による調査書の評定への対処方針案について説明する。

 大阪市では、中学校間で共通の尺度、評定尺度を備えた真の絶対評価を実現するために、第3学年の5教科、国語、数学、社会、理科、英語について、全ての大阪市立中学校が参加をする、大阪市統一テストを2学期に実施することとしたい。このテスト結果は、各中学校における5段階評価の評点の分布に反映され、個々の生徒の評定にも活用される。さらに、生徒がみずからの学力を把握し、目標を持ち、学力向上に意欲を高めること、学校が生徒一人一人の学力を的確に把握し、学習指導の改善へ、また進路指導にも活用する。

 各中学校における5段階評価の評点の分布について。評点5は、生徒数の31%の割合を目途とするものである。ただし、大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位31%に入る生徒の割合が31%を超える学区は、当該割合を目途とする。評点4は、38%の割合を目途とし、大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位69%に入る生徒の割合が69%を超える学校は、当該割合から評点5を与える生徒の割合を減じた割合を目途とする。評点3は、24%以内の割合にとどめ、評点2は7%以内の割合とする。評点1は、使用の必要性を慎重に精査したうえで3%以内の割合にとどめ、評点1を使用する場合は、評点1を与える生徒の割合を7%から減じた割合を評定2とする。

 大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位7%に入る生徒には必ず評点5を与え、同様に全市の分布、得点分布において上位31%に入る生徒には必ず評点4以上を与える。さらに、全市の得点分布にいて上位69%に入る生徒には、必ず評点3以上を与える。

 評点5のうち特に到達度の高い7%の割合(ただし大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位7%に入る生徒の割合が7%を超える学校については当該割合)を目途とし、評定5の中でも特に到達度が高い旨を特筆すべき点として調査書に記載する。

 評定は知識、理解、技能及び思考判断、表現等の学力を客観的に評定するものとし、関心・意欲・態度の評価は別途特筆すべき点を文章化して記載する。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  指導部長の説明がありましたような対処方針をとらないで、大阪市が何の方策、対処もせずに、このまま入試、その前提になる成績評価というのがもうこの4月から3年生の成績評価が始まりますので、そういった事態を見過ごしてはいけない理由はなぜかということを端的に言うと、他の都道府県で絶対評価の内申書で何が起こったかということの具体な例を、ここに端的にわかりやすいものをピックアップさせていただいたということです。出典は、私が書いた本の中の1章に書いたものでございますけれども、大きく言いまして2つの問題が起こったと。1つは評価のインフレでございます。もう1つは、学校間の格差、格差というのは成績、内申点の格差、それから市町村間の内申点の格差、これが学力差を反映するのであればそれは本来の絶対評価なのですが、そういうものとは到底思えない成績の格差というものが現実に起こっておりますので、具体例をここにお示ししたということです。

 まず、評価インフレですけれども、首都圏、2008年の状況の中で、2008年というのは既に多くの都道府県が内申書を絶対評価にしてから五、六年経過した時点でありますけれども、その時点においてもまだ生徒の9割に5をつけている学校があったということ。それから、公立中学3年生の9教科平均で5、10段階じゃなくて5段階評価の5ですけども、相対評価ですと、これは正規分布を前提に5の割合は7%と決まっているのですが、千葉県が3倍、東京都と埼玉県が2倍と、これも同じく五、六年たった2008年の時点でございます。

他方で、インフレが各学校平等に起これば、是非の問題はあるにしても、生徒が被害者になるということはないのかもしれませんけれども、学校間の成績格差のところをごらんいただければおわかりのように、インフレというのは平等には起こっていません。インフレを起こせと誰かが公式に言っているわけではありませんので、文科省が言っている絶対評価というのは、要するに相対評価でないということ以外にあまり意味がありません。端的に言えば主観的につけていいという話になりますので。現実に起こったこととしてそこに神奈川県の2004年の入試の話がありますけれども、学年の6割、60%以上の生徒に5をつけた中学校がある一方で、わずか2%しか5をつけていないという学校も現にあったということであります。それから、次にありますように、これは個々の学校に完全に任されているかというとどうもそうではないようで、市町村ごとにやっぱりインフレの傾向に大きな違いがあるということも発生していたようでございます。これは社会科の例、あくまで例ですが、5、4を7割近くつけている市町村もあれば、3割強にとどめている市町村もあるということ。これを知った受験生が、「○○市の人たちはそんなに頭がよくて△△市の人は皆ばかですか」、「公平じゃない入試なんてわけがわかりません」、「子どもでも絶対評価にしてそのままならどうなるかわかるのに、はっきり言って教育委員会は頭が悪い」などと憤る事態が発生したわけです。この紙に書いてある例というのはあくまで例でございまして、現実にはこれと同様あるいはそれ以上の悲劇が全国で起こり、かつ、そのことに、そういう不公平な入試の実態自体、生徒、保護者、当事者がどれだけ理解されていたかということの問題がございます。ほかの都道府県あるいは指定都市においては、おそらくですが、こういうオープンな場でこの問題を正面から議論したところは少なくとも私は聞いたことがございません。こういう重大なことを教育関係者だけが内密に議論し、そしてその実態が保護者や受験生、当事者自身も正確に把握していないというのが全国で起こっている事態でございます。この10年以上既にほかの都道府県ではたっているわけですが、この状態というのは本質的な解決を見ておりません。ただし、鎮静化しているように見えるのは、単に都道府県教育委員会が極端なインフレを起こしている学校とか市町村を指導して、常識的な範囲にとどまるように長年かけて持ってきた結果として、今あまり騒ぎになっていない。ただし、本質的には個々の生徒にとってあるいは個々の中学校にとって公平、公正ではない、わけのわからない差が生じているのは間違いないことでございます。その本質的な問題は何も変わっていない、ただし目立たなくされているというのが現状でございます。少なくともこの導入後、五、六年たってもまだこういう事態が起こっているわけでございまして、残念ながら大阪府教育委員会におかれて、ほぼ他の都道府県と同様の絶対評価、いわゆる絶対評価による内申書にしようという方針を確定、決定されておりますので、結局他の都道府県で起こったことが大阪府でも起こるということはほぼ確実な情勢でありますので、これに対して大阪市としては、少なくとも大阪市内ではにせものの絶対評価ではなくて、本物の、真の絶対評価を行うと。そのために大阪市内の統一テストを行うということ。そして、それによってよい成績を得た生徒に対しては3にありますように、ちゃんと内申点にすると。他方で、その一発テストだけで生徒の日ごろの成績、よさというものがわかるわけではございませんので、ちゃんと中学校の先生方が日常的な生徒の学力、そういったものをきちんと評価できるようにそれはちゃんとやっていると。どちらかというと、例えば成績5段階で5がつく子どもというのは、テストの結果について保証されるのは7%にすぎませんので、それに対して2の(1)にありますように、5段階評価の5がつく子は標準31%、これを下回る学校はございません。ですから、わかりやすくいえば、学力的にも厳しい学校におきましても、実際の学力水準が全市と比べてどうかということがあっても、31%は最低限保証されている、5をつけることができるという意味でございます。他方で、統一テストの結果が31%よりも例えばたくさんの生徒が、非常に勉強ができる子が多い中学校があったとして、その学校の60%の生徒が全市のテストの成績分布の31%の範囲内に入るという場合は、その学校は60%の生徒に5段階評価の5をつけることができるということでございます。これこそ真の絶対評価であろうと考えております。絶対評価というのは、学校を超えて、教師を超えて、共通の評価尺度を備えた評価のことを本来の意味の絶対評価、真の絶対評価で、それは学問的な定義でございますので、大阪市においては真の絶対評価を導入していこうということでございます。

 ただし、現実に他の都道府県で発生したことに鑑みれば、おそらく大阪府内においてもインフレが起こるであろうと考えられますので、評定5というのがなぜ31%もあるのかと、相対評価の考え方、正規分布の考え方でいきますと、5段階評価の5に当たるものというのは7%ですが、それをその横長の表にありますように、5段階評価の5、4というのは10、9、8、7ですけど、5段階評価の5が10と9、5段階の4は8と7、これを全部10、9、8、7、全部合わせた数字が評定分布5、標準の31%というのはそういう意味合いの数字です。これだけ広げている理由は、大阪市の子どもたちを守るために大阪府下におけるインフレがどうなるか全く見通せない現時点で一応こういう設定を本日すると。ただし、なお書きで書いてございますように「今後の大阪府教育委員会、府内市町村教育委員会及び府内中学校の動向を見きわめ、本市の生徒に不利益が生じると判断した場合は必要に応じ方針を見直すこととする」、これは主としてこの方針全体にかかっている変更の余地を残すための文章ではありますが、主として想定されるのは、この評定のインフレというものがこれで十分なのかどうかということでございます。現実に各都道府県で起こったインフレでございますので、これに備えなければ大阪市の子どもたちに不利益が生じる、教育行政として責任が持てないということでございます。これはオープンな場でこそ議論すべきことで、密室で教育関係者のみで何か知らないうちにインフレになっているというのは許されることではないと私個人は思っております。

【林委員】  今回の府の絶対評価導入の詳細を聞きまして、私、保護者として一番感じたことは、他校や市町村からどのような評定が出てくるかわからないということが一番の不安点でありまして、ましてや我が子どもが通う学校がどのような評定をつけられるのかというのは全く基準がない、先生方の主観によってつけられる評定であるということに非常に不安を感じました。このことは入試に関することですので、やはり入試においてはどうしても絶対評価というよりは相対評価、入試は上から順番に学力の高い子どもが、学校が必要としている子どもたちをとっていくシステムだと私は理解しておりますので、子どもの学力がどのポジションにあるのかというのをまず子ども本人が正確に把握すること、それによって学校選びが可能になってくると考えます。そうなったときに、学校で与えられる評定が子どもの入試において必要な学力を正確に反映しているかどうかということは非常に不安であると、そこがイコールではなくなるのではないかと思いまして、そこを何とかしないといわゆる受益者である子どもが非常に困ったことになると思いました。そのために大阪市としてできることを考えたときに、基準となる統一テスト、こういうものを導入する必要があるのではないかと考えました。本来ならば大阪府全体でこういう基準になるテストを、実は、3年生の秋の時期に子どもたちの学力を正確に反映するテストというのをやっていただきたいと思い、実際に会議の場では提案もさせていただきましたけれども、そこを採用していただくことにはならなかったという経緯もあります。大阪市においては、市だけにはなりますけれども、きちんと統一テストを行い、子どもがみずからの入試に必要な学力をきちんと把握できる状況にしたいと思います。入試に向かって学力をつけていくということは、やはり客観的に、相対的に自分の力を把握することによってのみ学力向上はあり得ると思っています。何ができて何ができていないのかということを自分が理解しない限り学力が伸びるということはないのだと思っています。そこをしっかりとするためにもこの統一テストというのは必要であろうと思います。

 あと、保護者、子どもとして一番不安であったのは、事後的に学校間格差や絶対評価で飛び出た評価について事後的に補正を行うというようなことを聞いておりますけれども、事前にきちんと明示していただいて、納得した上で受験を行って合否を受けるということでないと非常に憤りが残ると思います。後で成績開示をして、自分が総点から減点されていたがゆえに不合格になっていたというような事実を後で知るようなことがあれば、それはほんとうにショックだろうと思いますし、保護者としてはやめていただきたいと思っております。

【高尾委員】  私は、この大阪市の案が非常にいい、すぐれているという観点からお話をしたいと思っております。新聞の報道であるとかあるいはさまざまな情報を総合しますと、どうも大阪府の入試というのは2つの方法がとられるようである。つまり、総点、総合点によってその判断をする方法と、それから、アドミッションポリシー、つまり学校がどういう生徒を求めているかということに応じて生徒を採るという2つのタイプがあるようでございます。その総点、総合点の構成は、学力検査とそれから調査書の評点で構成されるということでございます。

 まずは総点の問題からしますと、客観性、公平性ということに大きな問題があるのであろうと。やはり各校のインフレ評価という、これに対する懸念がございます。確かに、一番確かな、客観的なそういう評価をする基準というのはおそらく現状ではないのではないか。いろいろ試案みたいなものを出されていますけども、決して十分なものとは言われない。その中でインフレ評価というのは現実のものになっているということがございます。

もう1点は、関心・意欲・態度、これを数値化して入れるということによる大きな矛盾が出てまいります。この本来客観性となじまないような項目を主観によって導くという、そういうことで損なわれていくということがあろうかと思います。これに対して府のほうでは2つのポイントを上げて対処をするというふうになさっております。1つはチャレンジテストを導入して調査書の評点を縛るというやり方のようです。チャレンジテストの結果によって所定の範囲を示し、その中で評点を中学校に対してつけさせるということです。

 もう1点、これは1、2年生だけについてそういうふうな縛りをやるわけですけれど、3年生についてはございませんので、3年生に対してはあまりの外れ値に対して総点を、これは内申書の点になる、総点を加減するということでありまして、どうもまだ具体的にはそれを実際どういうふうに運用していくのかということは明らかにされていないということでございます。

 しかし、これらの府の対策案をとっても、やっぱり問題点は依然として残るのではないかと私は思います。例えばチャレンジテストによる修正ですけども、所定の範囲が広がっていくと結局は恣意的な記入を許してしまう。「この点数だったら2点から5点をつけてもいいですよ」と言われたら、どれをつけても同じじゃないかということになる。そこには客観的なものを担保することにはならないと思います。

 それから、チャレンジテストの欠席者とか体調不良者とかそういうことに対する対応というのがまだ未決定になっております。懸念しますのは、その日ほんとうに受験を受けたんだけど体調が悪くてテストは不調だったということには、そういう場合に対しては、この府の対応案では調査書の点さえ下げられてしまう。本来は調査書のほうをきっちり見てほしいのにそっちのほうを下げられる、チャレンジテストも悪かったという、二重のデメリットというのをこうむる可能性があると思います。

 それから、1年生は3教科、2年生は5教科のチャレンジテストですけども、これだけで果たして十分な担保になり得るか。大きなウエートを占めるのは3年生のときの学習効果でございますから、その辺が大きな問題として残っておるところがあります。

 一方、私どもがやろうとしている大阪市のほうでございますけれども、これは3年間を総括して評価できるようなテストをめざしているということ。これは大きな絶対評価の担保、絶対的な物差しの担保になるだろうと考えております。

 資料によりますと、基本は正規分布に基礎を置いております。これ自体はあるいは相対評価じゃないかと言われるかもしれませんけども、現状として判断の基礎にするにはこの正規分布をもとにするというのがベストな方法であろうと私は思います。その上に、学校によって、生徒に帰すべき責任がない、それを生徒に帰すべきには酷だというふうなさまざまな事情、そういったものもあろうかと思います。まずはこの正規分布をもとに考えるということです。ただ、そのままするのではなくて、修正がそこには加えられております。 1つは、絶対評価に近づけるためにテストの結果によって学校全体の評定分布を修正する、保障するというやり方であります。それから、もう1つは、それだけではなくて学校全体でやると個々の生徒が落ちこぼれてしまう、共通の中から外れてしまうという可能性がありますので、生徒一人一人に対してもそのテストによってきちんとした評点を保障すると、こういうふうなやり方がなされております。これは非常にすぐれたやり方、工夫ではないかと思います。

 学校全体を評価してその学校に持ち点を与えるというやり方も考えられなくはないんですけども、私はあまりその方法は好ましくないと思っています。学校全体が持ち点を持つようにすると、学校に対する評価が個人の評価に結びつけられる。学校全体の評価を個人に結びつけ責任をとらせていいのかという問題が出てまいりますので、私は非常に悩んでおりました。そうした点もクリアできるこれは内容であろうかと思います。うまく、学校全体について、分布の部分を上位のほうに補正をしていくという形での工夫がなされていると思います。

 それから、もう1つ申し上げたいんですが、このアドミッションポリシーに関しても私は疑問を呈しておきたいと思います。1つは客観性の問題。自己申告書、活動・行動の記録というのは、ほんとうに客観を持って書かれたものと言える、そういうものになっているのかどうか疑問があります。それから信頼性というもの。ほんとうに生徒はきちんと書いて、思いを100%発揮できているのか。それから、例えば面接とか自己申告書とか調査書そのものを全て点数化して、それぞれ点数化して、総合するようなやり方、果たしてこれは適正であるかどうか。客観性、信頼性という問題から大きなものが残るのではないかと思っています。

 それから、最後に、ぜひともこうした大阪市の計画につきまして府教委のほうにご理解をいただいて、真摯なご検討を賜って、改善のために、具体的、積極的な一歩を踏み出されるようお願いしたいと思います。

【大森委員長】  今、高尾委員からポイントを解説いただいたわけですけれども、なぜ大阪市としてこういう方針を、要するに黙って中学校任せにしないで、市内である種統一的な方針、ルールをつくろうとしているかといえば、「大阪市教育委員会としては府内統一ルールのない入学者選抜において大阪市立中学校の生徒が不利益をこうむらないよう」というのが1点でございます。再三、はっきりとインフレという言葉を申し上げていますが、それは現実でありますので、そういうことを教育関係者が言ってはならないみたいなタブー的な感覚、それはまずおかしくて、現実に起こったことがまた大阪で起ころうとしているわけでございますので、これに備えないということは行政としての責任放棄と考えております。大阪の中学生を守るということ、これが第1点。ただし、そのインフレというものも秩序立てて起こす、少なくとも大阪市内においては本物の絶対評価に近づけてその公平性と透明性を担保する、つまり、市内限定ではありますがルールを持って秩序立った形で予想されるインフレ傾向に備えると。市内においてはその学力差はきちんと反映されるという本来の絶対評価、本来の絶対評価は共通の評価尺度があるものでございます。学校教育において、共通の評価尺度は現実問題としてテスト以外に現状では存在しないのが現実でございます。だからこそ、文部科学省が、達成度がちゃんと達成されたとかと幾ら文章で書いても、現実問題として学校間、市町村間によってそのインフレ傾向は大きく違うと。そういう信じがたい状況を引き起こしているわけでございます。少なくとも大阪市内においてはこういう不公平、不公正は許されない。ただし、府下で予想される他都道府県と違う展開になるとは理由がございませんので、全体としてはインフレ傾向にするというのが行政としての責任ある対応であろうと思っております。

 それから、こういうことは大阪府に意見を言ってちゃんと話し合ったらどうなんだと思われる向きもあるかもしれませんが、これはもう会議での話し合いも何度もやりましたし、去年の7月8日の、意見という格好で意見書、要望書、これも去年7月が初めてじゃなくて3通目ぐらいでしたか、出しておるわけでございまして、文書、会議あらゆる機会を捉えて、大阪市は危惧、懸念を伝え、時には具体的な改善のための案もアイデアも示してきておるわけですが、残念ながら、第3学年、3年生の内申書についてその本質的な懸念を解決してくださるようなものはないままに、他の都道府県と同様の絶対評価で、3年生の内申点、来年の春の入試では1、2年生の内申点というのはございませんので、この本市の対処方針は来年の春のものですので、ですから3年生の部分だけをしているわけですけれども、残念ながら府教委のほうではもう方針を決定、確定なさっていますので、大阪市としてやれることをやるしかないというのが現段階の状況でございます。ただ、もちろん、高尾委員がおっしゃったように、万々一府教委のほうで何かこの市教委の本日の方針決定を踏まえて何かプラスの方向での対応をいただけるのならそれは大いに歓迎したいと思いますが、府教委にお願い、要望したり意見を提出したりする時期はもう過ぎたというのが現段階についての認識でございます。

【西村委員】  この内申書に関する評価の議論につきましては、問題は2つあります。第一に、内申書重視の問題、第二に、他の都道府県では2002年ごろから始まったいわゆる絶対評価の問題です。まず、内申書重視が1967年に東京都で始まってから、その後、内申書重視が全国に広がり、校内暴力、いじめとか、子どもたちのさまざまな問題が大きな問題になってきました。それらは、増加する一方で、一向に収まっていません。次に、いわゆる絶対評価が導入されるまでは、各教科については相対評価、それもテストの成績が、教室内での、学校内でのテストの成績を反映した評価でした。それが、いわゆる絶対評価の名の下で、数学、理科、国語、英語などもふくめて、テストの点数だけでなく、関心・意欲・態度を点数化して各教科の評価とするという方法が全国に広まりました。本来の絶対評価とは、例えば80点以上は全部員5とかいうものです。ところが、いわゆる絶対評価の名のもとに導入されたのは、本来の絶対評価とは似ても似つかない、関心・意欲・態度も点数化することで、教員が主観的に生徒の各教科の点数を決める方式なのです。

大阪市で、絶対評価という名のもとに主観的な評価を採用するとしたら、ほかの都道府県と同じ間違いを犯すことになる。少なくとも大阪市だけはある程度客観的な評価を反映する、ほんとうの意味の絶対評価に近いものにしていきたい。それがきょうの議論の中心だと思うのです。ほかの都道府県の犯した間違いが何かもう少し説明します。これまで、いわゆる絶対評価の名のもとで先生が主観的に評価することで、テストで常に満点をとった子が5をとれないということがあちこちで生じていました。逆に、テストの成績では低いけれども、先生に受けがいい場合は5をとるという問題も存在した。より悲劇的なのは、幾らテストの成績がよくて頑張っても絶対に5をとれないということが主観的な評価によって正当化されてきたことです。こういう子どもたちは、学力はあるのに、希望する高校に進学できないかもしれないわけです。その教科に関心があるから勉強する。勉強するから成績がいいわけで。テストの成績はいいということはその教科を理解していて、関心も意欲もある程度高いはずです。大阪市の方式はそういう子どもたちが絶対評価の下で低い評価を得ることを無くするということです。他の都道府県で、これまでいわゆる絶対評価の下で一番苦しんできた層を救うことができる、より真の絶対評価に近い評価が我々が提案している方式だと思います。

【帯野委員】  この案というのは、よく考えられた案であると感じています。ただ、一人一人の生徒にとっては大きな問題ですので、二、三、感じたことを質問させていただきたいと思います。

 まず、このインフレに対して、それに対応するために、5を31%の割合を目途とするということですが、先ほど、例えば委員長から資料でいただいた東京などは基本的に5をつけるといったような、いわゆるハイパーインフレなどが起こった場合に、大阪市は31%で対応していくけれども、他の市、他府県、私学がハイパーインフレを起こした場合に本市の受験生が不利益を被らないかのかどうかという点を1つ伺いたいと思います。もしそういう可能性があるのであれば、これは、28年度から初めての導入ですね、1年は様子を見るというようなことも考えられなかったのかどうか。それを質問させていただきたいと思います。

【大森委員長】  はっきり申し上げれば、これ以上のインフレといいますか、ハイパーインフレが起こる可能性はあると思います。ですから、これは特に事務局に対しては強くお願いしておきたいと思いますけれども、今後の動向を見きわめて本市の生徒に不利益が生じると判断した場合はこの評定の割合というのを見直さなきゃいけないかもしれない。おっしゃるとおり、これで十分という保証はございません。ただ、私どもとして、こうやって最初にオープンな場で、これを密室で「内緒ですよ」とかと言って各学校にこういうふうにつけましょうよと市教委から流すようなやり方というのはやっぱり好ましくないと。1発目として出すときに、どれぐらいインフレにするかというところを、正規分布を前提にした数値をベースに考えたということでございます。

 それから、1年目は様子を見てはというのは、様子を見るということは、つまり大阪市内においてあるいは大阪府下全体においても他の都道府県で起こったような事態が起こると、可能性が非常に高いということでありまして、それは生徒にとっては入試というのは一度限りのもので、「来年改善すればいいや」というと、「じゃ、今年の受験生はどうなるの」ということになってしまいますので、ちゃんと1年目から考えられる、こういうものは幾らでも批判しようと思えば批判できるわけですね。具体のこういう対処方針というのは、大体、「テストをやったら生徒が大変でしょう」、「負担が重い」、「入試の学力検査が先々控えているのに秋にテストをやるのですか」とか、いろんな批判はあり得ると思うんですよ。そうやって批判する方々にお尋ねしたいけど、ほかの都道府県で起こったこんな不公正、不公平な入試が大阪で起こってもいいのですかということですね。ここで提案されている議案書以上にベターなあるいは害の少ない、よりいいあるいはより害の少ない、デメリットの少ない方式があればぜひ教えていただきたい。単なる批判のための批判だったら幾らでもこういうものについては、テスト自体が気に食わないとかそういう方々もいらっしゃいますので。大阪府、府教委のやられるままに放置して、中学校にお任せして、結果として大阪市内においてもこういう学校間の格差とか、ある意味ではハイパーインフレする中学校あれば、5を1桁しかつけないというような学校もあるというようなことが起こっていいのでしょうかということでございます。

【帯野委員】  そういう意味で不公平が生じた場合、必要に応じて判断するということです。しかし、初年度の受験生にとってはやはり不利益になるということについては、その不安というのは残るということですね。今後、そういう不利益が生じた場合には必要に応じて修正するということですか。

【大森委員長】  この「今後」というのは初年度の方針自体、この方針というのは平成28年度入試だけの方針ですので、29年度になるとまたチャレンジテストが影響する2年生の内申点とかが入ってきます。さらには、おそらくこの平成28年度入試をやってみて、府教委がまた見直す、やり方をどの程度修正するのか全くしないのかわかりませんけど、見直す可能性もございます。ですから、29年度の方針を今決めることはできませんので、あくまでこの議案は28年度の入試への対処方針でございまして、ここに「必要に応じ見直す」というのは、この来春の入試に向けて、今後府教委なり市町村教委なりあるいは府下の中学校の全体的な動向がどうなるのかというのをきちんと頑張って見きわめられる限り見きわめて、来春の入試に間に合うように必要があれば見直すとそういう意味です。

【帯野委員】  了解しました。それから、2つ目なのですが、西村委員からも客観的な評価が必要であるという、真の絶対評価ですね、その真の絶対評価を求めるのであれば、例えばこの統一テストのみというのはなかなか難しいと思いますので、複数回実施するということはできないのかどうか。今度、大学入試の到達度テストは複数回実施になります。統一テストを複数回実施して正しい実力を見きわめるということは今まで検討されたのかどうかを教えていただけますでしょうか。

【大継指導部長】  現在のところ、この事務局で検討するときには1回ということで考えさせていただいております。府におきましても、3年生のチャレンジテストを実施しないということの1つの理由として、やはり負担感の大きさがあるというようなご意見を聞いたことがございますので、3年生の受験期の多忙なところに回数を重ねて実施をするのはどうなのかと。これは慎重に判断をしていく必要があるであろうということで、当面、この1回ということで示されているものでございます。

【帯野委員】  それから、この統一テストで評価に含まれます、7%に入る生徒は5を与える。ただ、5の成績をとらなくても、各校31%は5が与えられるということで学校間の格差もなくなって、市の中学校では理想的な制度だと思ったのですが、受験生を受け入れる府の各高校にしてみれば、その時点では、伸び代は別にして、成績の低い学生も入ってくるということになるのですよね。この統一テストの点数が高校に行くのではなくて、評定としてはこの評価が行くわけですよね。そうすると、統一テストの結果は5でないけれども各校で31%が5であるということは、点数にしてみれば、いわゆる成績優秀校でないところは、テストの点数がそこまでではないけれども31%には入っているということになれば、高校のほうがこの評定の割合を低くする、入試が7で、評定が3、あるいはもう1にするとか、そういうような現象が起こらないかどうか。これは相当受け入れる府立高校のほうの理解も要るのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

【大継指導部長】  統一の学力検査といわゆる評定、内申との割合につきましては、現行では4対6、5対5、6対4と、6割から4割の割合の幅を持って学校ごとに決めることができるとなっていまして、これが若干の幅を持って、7から3というような割合に広がりつつあるところでございます。

【大森委員長】  市教委のほうはこうやってわりと秩序立ってルールが見えるんですけど、ほかの市町村は、このままでいくと、府教委が示した要するに何もルールなしということでいくと、市教委以上にわけのわからないものが各府立あるいは国立も含めた公立高校に出てきますので、我々が混乱を引き起こすのではなくて、そもそも混乱は予定されていて、その混乱の中で大阪市の中学校が出していくものは少なくとも高校側には意味が見えるということを理解いただきたいと思います。

 最後に、私から申し上げたいのは、これほどの重大事が全国他の46都道府県で10年以上も前に導入、こういう問題大ありのことが導入されたのですが、その当時、ベースになる教育課程審議会の中間まとめというもので、この絶対評価が打ち出された2000年の10月のことなんですけれども、その当時のマスコミ各紙、新聞社の社説を見ますと、例えば「通知表革命に賛成」だとか、タイトルですね、「絶対評価、意義あるものに」、「絶対評価に頭を切りかえよう」、「教師も力量を高める努力を」とか、日ごろいろんな問題についてスタンスの違う新聞各紙が判で押したように絶賛のタイトルを掲げておるわけでして、なぜそうなのかということを考えると、文科省が公式見解として言っている絶対評価というのが非常に美しい言葉で語られていて、「子どものよさ」とか「一人一人の個性」とか。そうすると、何かテストというのは悪者で、要するにそういうよさを評価してあげるんだからいいじゃないのということ、おそらくそういう記者の、メディアの感覚もそうだろうと思うのですけれども、その結果どういう事態が起こっているかということをきちんと考えてほしいということですね。残念ながら、教育学者の大半も、こういう思想といいますかイデオロギー優先で、実際に選抜の場で何が起こるか起こっているということよりも、そういう美辞麗句のほうを優先して、いわゆる絶対評価を礼賛している教育学者のほうが多いのが現実です。そして残念ながら、メディアのほうでは社説の見出しで紹介したような状況があったと。その結果がこの他都道府県に起こった事態の、これはあくまで一部、ごく一部の例にすぎないわけですけど、こういう状態でございます。

 大阪市については、これまでも本日に至るスタンスというものを府教委や他の市町村教委に言ってきましたので、その際、報道などを通じて聞くところによると、大阪市教委、大阪市は現場の中学校の評価を信頼していないとかというふうな言い方でその他の教育委員会から批判を受けた記憶がございますけれども、それは信頼してないんじゃないんです。あるAという市とBという市のそれぞれの中学校の評価、それぞれが一生懸命やって、絶対評価でやって真面目に真摯につけましたということは信頼するとしても、A市とB市あるいはAという中学校とBという中学校の評価が同じ物差しであることをどうやって保証するのですかということを言っているのですね。現場を信用しないのではなく、何度も言いますが、絶対評価というのは共通の物差しがあって初めて成立するものなのに、日本で言われている、文科省が言っている絶対評価は共通の物差しが何もないところで、観点別、つまり関心・意欲・態度などでもってつけてあげましょうと。つけてあげるのはいいのですけど、最後は選抜、人の一生が、一人一人の人生がかかっている選抜の場において、そんないいかげんな、文科省が言っていることで起こった事態というのがこういう事態ですので、こんなことを大阪において再び10年おくれで同じ愚を繰り返すというのは耐えられないという思いがございます。

 本日はこの議案につきましては、この議案そのもの、さらなる慎重な検討が必要であると考えております。事務局からも説明いただきましたテスト、これの実施方法なども含めて、引き続き詳細に検討していく必要があると考えておりますので、この議案、方針案につきましては、本日、採決、決定する、結論を出すというのはいささか急ぎ過ぎではないかと考えております。公の会議の場でさらに議論するということで、議案第39号につきましては継続審議としたいと考えます。

なお、事務局におかれては、引き続き、きょうのこの会議の議論を踏まえて本件について検討を重ね、そしてこれに対してどう、レスポンスがあるのかないのかもわかりませんけれども、府教委をはじめ他の市町村教委あるいは学校関係者あるいは保護者、市民の方々からどういう反響があるのかないのかわかりませんが、そういったものも踏まえてきちんと継続審議においてさらに議論を尽くしていきたいと思いますので、事務局においては情報収集も怠りなくお願いしたいと思っております。

 

採決の結果、委員全員異議なく、継続審議とすることに決定。

 

(5)大森委員長より中断を宣告

(6)大森委員長より再開を宣告

(7)議事要旨

議案第38号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

4月に開校予定のいまみや小中一貫校の校長に堀端和彦を任命する。

また、4月より開設する個別指導教室の主席指導主事に赤間英松を任命する。発令は4月1日付であり、内示は3月2日に行う。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】 個別指導教室のほうは「室長」と言ってはいけないのですか。

【山本教育長】 実質的に室長と呼んでもかまいません。

【大森委員長】 この方が適任なのかどうかということですが、年齢は63歳ですけれども、もう少し若い現役でも務まる方がいるのか、それとも余人をもってかえがたいのでしょうか。

【沼守次長】 生徒指導主事としての実績があり、個別指導教室に来るような子の気持ちもわかるし、府警本部なり所轄の警察や弁護士ともつながりをもっている。立ち上げができる人物としては余人をもってかえがたいと考えております。

【大森委員長】任期としてはどういう扱いになるのですか。

【橋本係長】現在63歳ですので、再任用としてはあと2年です。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

(5)大森委員長より閉会を宣告。

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