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平成27年第7回教育委員会会議

2022年9月1日

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平成27年第7回教育委員会会議

第7回教育委員会会議録

 

1 日時  平成27年3月17日 火曜日 午前9時30分から午後0時30分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎屋上会議室

 

3 出席者

大森不二雄  委員長

林  園美  委員長職務代理者

高尾 元久  委員

西村 和雄  委員

 

山本 晋次  教育長

寳田 啓行  教育次長

沼守 誠也  教育次長

浅野 宏子  総務部長

小川 芳和  学校配置計画担当部長

林田  潔  教務部長

森本 充博  生涯学習部長

大継 章嘉  指導部長

多田 勝哉  教育改革推進担当部長

岡田 和子  学力向上支援担当部長

三木 信夫  学校経営管理センター所長

沢田 和夫  教育センター所長

植木  久  文化財保護担当課長

髙島 康吉  生涯学習部担当係長

佐藤  隆  生涯学習部主任学芸員

澁谷  剛  総務課担当係長

黒野 大輔  学校保健担当課長

村上 敏昭  学校給食改善担当課長代理

笠作 良一  人事・効率化担当課長

山野 敏和  企画担当課長

山東 昌弘  総務課担当係長

忍  康彦  服務・監察担当課長

武井 宏蔵  服務・監察担当課長代理

芝谷 浩誠  教務部担当係長

川本 祥生  教職員人事担当課長

江原 勝弘  教職員人事担当課長代理

橋本 洋祐  教務部担当係長

飯田 明子  学事課長

森本 義範  中学校教育担当課長

松井 宏之  指導部総括指導主事

市川あい子  指導部主任指導主事

松田 淳至  高等学校教育担当課長

塩見 暢朗  指導部総括指導主事

永田 夏穂  指導部指導主事

川阪  明  総務課長

松浦  令  総務課長代理

東川 英俊  総務課担当係長

ほか係員2名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に林委員を指名

(3)議題

議案第44号      博物館の登録に関する規則案

議案第45号      大阪市立学校文書規則の一部を改正する規則案

議案第46号      大阪市学校給食の実施に関する規則の一部を改正する規則案

議案第47号      区担当教育次長の設置にかかる協議書案について

議案第48号      職員の人事について【継続審議】

議案第49号      平成28年度大阪市公立学校・幼稚園教員採用選考テストの

実施要項案について

議案第50号      大阪府都市教育長協議会及び大阪府町村教育長会からの

大阪府教育委員会への要望書について

 

なお、議案第48号については、会議規則第6条第1項第2号に該当することにより、議案第49号については、会議規則第6条第1項第5号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開とされた。

 

(4)議事要旨

議案第44号「博物館の登録に関する規則案」を上程。

森本生涯学習部長からの説明要旨は以下のとおりである。

大阪市内に所在する博物館の登録に関する事務はこれまで大阪府が所管していたが、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律が成立し、平成27年4月1日より博物館法が改正されることに伴い、大阪市内に所在し、都道府県が設置するものを除いた博物館の登録に関する事務・権限が大阪府から大阪市に移譲されることとなり、博物館法の規定により、必要な事項を当該指定都市の教育委員会が定めることとされたことから、本規則を制定するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  これは、27年4月1日の施行以降、直ちに何か予定されている本市教育委員会としてのこの法律に基づく行為というのはありますか。

【森本生涯学習部長】  今現在、私どもが把握している限りでは予定されているものはございません。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第45号「大阪市立学校文書規則の一部を改正する規則案」を上程。

浅野総務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

大阪市立学校文書規則について、大阪市全体の文書分類表の扱いと統一するため、大阪市立学校文書規則から文書分類表を削除し、規則とは別に定めるものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  他の部局といいますと、要するに市長部局ですかね、あるいはほかの行政委員会事務局もそうかもしれませんが、従来から、教育委員会以外は規則ではなくて庶務課長が、要するに実務レベルで定めていたというのは、教育委員会以外はみんなそうだったということですか。

【浅野総務部長】  はい。

【大森委員長】  改正の理由としては、ほかにそろえるというのは1つの理由なんですけれども、ただ、この件じゃなくて一般論として言えば、ほかにそろえるって、ほかが正しいとは限らないので、要するにこの件については教育委員会よりもほかの部局がやっていることがより適切であると。規則で定めるのではなくて、実務担当課長レベルで整理することが適当である理由づけをきちんと説明してください。

【浅野総務部長】  文書分類表につきましては、事業の改廃とか法改正とかの影響がございます。ほんとうに細かいことで、毎年、改正を行う必要が生じてまいりまして、定期的にメンテナンスを行う必要がございます。そのため、規則にございますと、一々それを議案としてお諮りしないといけないということがございましたので、他部局と同じように、事務事業の効率化という点から、今回、文言の修正などにつきましては庶務担当課長が定めるということにさせていただきたいと思っております。

【大森委員長】  そこに重要な政策判断を要することが紛れ込むなんていう可能性は皆無と考えてよろしいですか。

【浅野総務部長】  はい。万が一そういうことがございましたら、当然、教育委員会会議にお諮りすることになると考えております。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第46号「大阪市学校給食の実施に関する規則の一部を改正する規則案」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

平成27年4月に開校する大阪市立なにわ高等特別支援学校について、生徒が社会的自立をめざす学校であり、教育活動の一環として、昼食は生徒自身が用意するため、当該学校については学校給食を実施しない旨新たに定める必要があるため、所要の規定整備を行うものである。

なお、府立の高等支援学校においても学校給食は実施されておらず、昼食は生徒自身が用意するという同じ考え方であり、平成28年度の大阪府への移管ということも踏まえた内容となっている。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第47号「区担当教育次長の設置に係る協議書案について」を上程。

浅野総務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

本協議書は平成27年4月1日付で区担当教育次長等を設置し、それに区長等を充てるにあたり、地方自治法第180条の3に基づき、市長と教育委員会の間で締結するものでである。

めざすべき目標像について、教育行政において市政改革プランのニア・イズ・ベターの徹底などに向け、さらなる分権化を推進し、教育改革を促進するため、分権型教育行政への転換を進めるものである。

 分権型教育行政への転換は校長裁量の拡大と新たに設置する区担当教育次長への分権をセットで実現するものであり、この中で、区担当教育次長には学校や教育コミュニティの状況と取り組みの進捗をモニタリングするとともに、その状況に応じてサポートすることにより全市の方針と目標を達成するという役割を担ってもらう。

 区担当教育次長への分権について、大阪市として一元的に実施していくことが必要な事務等を除き、区の区域内における教育長の一定の権限と責任を分担することとする。

 区担当教育次長は、学校や教育コミュニティのモニタリングとサポートという役割を担うため、区において保護者や地域住民、そして校長等の多様な意見、ニーズを酌み取るための仕組みを運営してまいる。また、区担当教育次長は、区長及び区シティ・マネジャーと一体であることから、学校だけでは解決できない横断的な課題について、区長及び区シティ・マネジャーの権限や区が持つさまざまな財源、人材も活用し、子どものための施策に家庭や教育コミュニティを含めて総合的に推進することをめざしてまいる。

 区担当教育次長は、所掌事務を執行するにあたり、区シティ・マネジャーと区との関係と同様に、教育委員会事務局の各部・事業所を補助組織とすることができるようにする。また、区役所の兼務職員も補助組織となる。

 あわせて、教育委員会事務局内に区担当教育次長の事務執行をサポートするための体制として、教育政策室(仮称)を設置する。

 スケジュールについて、平成26年度中に関係規程を整備し、区長に報告する。この骨格案をもとに、平成27年度に区担当教育次長が具体的に取り扱うべき事項やモニタリングする項目などの詳細案を検討し、順次、実施してまいる。その後、区の予算編成や体制整備などの分権化がさらに進むなど、市政運営の抜本的な状況変化に応じ、区担当教育次長の役割について再検討する。あわせて、各区における分権型教育行政の実施状況を検証し、必要に応じて改善策を講じてまいる。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  地方自治法180条の3というのはどこに条文がありますか。

【山野課長】  地方自治法第180条の3というのは、いわゆる市長部局と行政委員会の間におきまして、職員を兼ねるもしくは充てる際に協議を要するという規定でございます。

【大森委員長】  協議を要するというのは、今その規定を見ていないのでよくわからないんですが、ロジカルには、双方が合意して初めて兼ねることができるという意味ですか、それとも、一方に決定権があって、もう一方に一応相談はするけど、最終的にはどっちかが決めるとか、法律、どういう表現になっているんですか。

【浅野部長】  「普通地方公共団体の長は当該普通地方公共団体の委員会または委員と協議して」という表現になっております。

【大森委員長】  協議して、その先、何ですか。

【浅野部長】  「その補助機関である職員を当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員と兼ねさせ、若しくは当該執行機関の事務を補助する職員若しくはこれらの執行機関の管理に属する機関の職員に充て、又は当該執行機関の事務に従事させることができる」とされております。

【大森委員長】  違和感があるのは、協議というのは誰に決定権があるのかというのがやっぱり明らかでない日本的な法律条文がここにも発見できたなと。おそらく推論するに、双方が合意しない限りは、このケースでは兼ねることは無理だと思うんですけど、そういうふうに書けばいいのに、協議といったら、相談すればよくて、相談して、その結論がどうだというのは、あるいは誰が決めるということも何も書いていないので、よくわかりませんね。いずれにせよ、法律上、兼務じゃなくて充て職ですか。

【山野課長】  区長と副区長につきましては充て職という形をさせていただきたいと思っております。課長級以下につきましては、それぞれの区によって補職が変わってまいりますので、それは兼務発令を行う、いわゆる兼ねるという形をさせていただきます。

【大森委員長】  西成区について、西成区教育担当理事というのは副区長さんですけれど、区教育担当部長も副区長ですか。

【浅野部長】  ほかの区で副区長は全部、部長級でおりますけれども、西成区に関してはその部長級がおらず、局長級が副区長になっておりますので、その者に、ほかの区で部長級がしておる仕事より、西成区という特性もありまして、少し幅広く持っていただくということでございます。

【大森委員長】  先にテクニカルな質問をさせていただきましたけど、この話の本質としては、今後、校長への分権ということと同時に、それをモニタリングすると同時にサポートもする区担当教育次長への分権、これをセットで進めていくということ、それから、例外的なものを除いて原則は区担当教育次長が教育長の命を受けて担うんだという規定ぶりになっています。ということで、今後は、3月9日に区長会議の勉強会に呼ばれまして、お話をし、そして、意見交換をさせていただいたんですが、そこで申し上げたのは、とにかく各区、各学校が改革競争をするような状況に持っていっていただきたいということをお願いいたしました。

 ただ、改革の方向性というのは、本市、大阪市の方向性と180度逆の方向も自由、分権されるという話ではありませんので、改革の方向性というのはしっかりわかっていらっしゃるはずなので、その方向性でいろんな施策、いろんな方策、措置、そういったもののアイデアを競って、そういう積極的な風土というのが、区役所だけじゃなくて、もっと大事なのは、学校現場、校長さん方に根づくように、しっかりとモニタリングもし、サポートもしてほしいという趣旨のお話をしてきました。要するに、活力がそれぞれの学校、それぞれの区に生まれるという状況にしてほしいということであります。間違っても文科省がこう言っているからというふうな思考停止のあり方で学校現場が染まったままということにならないようにしてほしいと。最後の部分は余計でしたかね。そんなことまで9日には言わなかったような気がしますけれども。というようなことで、ちょっとお話ししてきました。

【林委員】  私が一保護者から教育委員になって一番驚いたことは、大阪市はほんとうに広くて大きな自治体だなということでありました。自分の近隣の区の教育状況と、北のほうだったり西のほうだったり東のほうだったり、私の知らないような教育状況があるということに一番驚きました。やはり各区、各地域によってそれぞれ状況も違いますし、抱えている課題も違うということに対して、分権型教育行政というのは一番機能する形になったのではないかと思っております。

 今までの大きな大阪市の中で、中央のこの大阪市の教育委員会に意見なり要望なりが届くためには、あまりルートもなかったように思いますし、非常に大きな強い要望でなければなかなか届かなかったような気がしております。それが、やはりこういう分権型で、地元地域にきちっと近い立場で地域の課題なり保護者の要望なりを吸い上げていく形になったというのは、今まで表には出てきていなかったと思いますけれども、地域や保護者にあった要望や不満をきちっと吸い上げていって、先ほど委員長も言われましたけれども、解決していく上向きのベクトルでの教育行政がなされていくのではないかと、私としては非常に期待をしております。

 あと、大事なことは、新しい制度が始まりますので、きちんとその制度が機能しているかどうかを見守っていくことだと思っておりまして、来年度から始まりますけれども、そこに関しては報告も上げていただきながら、きちんと状況を見ていきたいなと考えております。

【高尾委員】  基本的に、この転換というのは非常に大きな一歩である、評価し得る大きな前進であろうと私は認識をいたしております。

 あと、いささか瑣末なところになるかもしれませんけども、言葉として、モニタリングとサポートという言葉が出てまいりますけども、サポートというと、ほんとうの主役、権限者とは別の、それを支援する者だというイメージが一般的にはあるのかなという気持ちを受けました。ただ、この区次長さんというのは、ほんとうに教育委員会のしっかりとした一員として果たすべき大きな中核となる機関といいますか、そういう位置づけであろうと思っております。今後につきましては、所掌事務、権限というのがきちんと明確になって、明確になるということは、実際に行われる、その改革において、実行においてということなんですけども、進められていく、私どもと歩みを一にして改革を進められていくというふうになっていくように希望したいと思います。

 所掌事務につきましては、除外規定的な書き方をとろうとしていますから、そういう書き方になっておりますので、ちょっとわかりにくいかもしれませんけど、それだけ期待が大きいんだということ。

 それからまた、授権の程度についても、きちんと理解した上で実質的な一歩を踏み出していただきたいと思うのが1点でございます。

 それから、もう1点、区長さんとのご意見の交換を聞かせていただきました中で、区担当教育次長から教育委員会の事務局について、今ある事務局を具体的にイメージしたという形なんでしょうけども、そこに対する指示はできても、その先、実際に事務局から学校園に行く指導なり、あるいは命令なり、そういったルートがきちんとなっていないのではないかというご意見が出ました。今の段階ではないのかもしれませんが、きちんとこの辺のルートも設定しておく、あるいは、もしかしたらきちんと所掌事務、権限というものが明確になれば当然という形で出てくるんだろうとは思いますけども、そういうご意見があったということもご紹介をしておきたいと思います。

【大森委員長】  まさに区担当教育次長は権限を担う存在、そういう意味では、今いらっしゃる2名の教育次長と、そういう位置づけにおいて何らかかわるところはないわけで、その所掌する範囲をきちんと仕分けして、分担していかなきゃいけないということだと思います。

 これから具体の事務の仕分けというものが大きな課題になってくるかと思うんですが、つまり事務事業レベルに落としたときに、どの事業を区担当教育次長が担う、あるいは従来からの教育次長が担うという整理、これは各論をきちんとしないと混乱いたしますので。その際に、やっぱり大原則として私は大事だと思っているのは、共有していただきたいのは、今までの行政のあり方というのは、別に大阪の話をしているんじゃなくて、日本全体の話ですし、教育行政に限った話じゃなくて、ほぼ全部の行政領域に共通することだと思うんですけれども、成果を問わないで手段のところの手続規則を縛る、これが今までの行政の姿ですね。成果は問うていないんですね。結果として学力が上がったか下がったかなんて、はっきり言って、全然チェックされずに全国の学校の校長の人事なんかも行われているというのが実態に近いと思いますけれども。成果を問わない。そのくせ、箸の上げ下げじゃないけど、何をどうやるべきかは、やたら細かく縛る。これをやめるという方向性で考えてほしいということですね。

 ですから、事務の分担を整理するときに、各論になればいろいろ細かいことがあると思いますけれども、考え方として、その理想を実現してほしいということです。だから、整理するときに、成果を問わないような姿になっちゃうと困ると。他方で、成果を上げるための創意工夫を全市一律で縛るようなことは避けると。単純に言うと、そういうことをめざして、ここにいらっしゃる事務局の皆さんは、これまでこの中之島で教育長、教育次長2名のもとでお仕事をなさっていたので、区長、これから区担当教育次長となられますけれども、そことの整理に当たっては、ぜひ、そういう新しい行政の姿を自分たちがつくるんだということで気概を持って整理に臨んでいただけたらなと思うわけです。

 従来のそういう、従来って、現在もそうですけど、日本の行政の姿というのは、別にずっと間違ったことをやっていたんじゃなくて、言ってみれば、近代化の途上では非常に有効なんですね。つまり官僚制、官僚組織というものがそんなに完璧に整備されていない段階ではそれぞれの末端レベルできちんとした判断をするというのが困難なので、ある意味、手続で縛っちゃうということですね。これは官僚制の1つの特性ですけれども、それは別に悪いことじゃなかった。けども、今、こうやって発展して、日本以外の多くの先進国では、末端に手段の権限移譲をして成果の責任を問うというのが当たり前の姿になっているけど、日本の官僚制は、国も地方もそういう変化が見られない、あるいは全く不十分であるということが、これはOECDでもどこでも指摘されていることなので常識なんですけど、知らないのは日本人だけ。日本の国家官僚、中央官僚がそういうことを言いたくないので、一部の役人を除くと大半、そういう日本のあり方を変えようという気がないものですから知られていないんですけど、海外に比べると大きくおくれている。そのあり方というのは、決してかつて間違っていたわけじゃないけど、今や時代おくれということがはっきり言えると思っています。何よりも、現場に既に知識も能力もあるので、活力を持ってもらわなきゃいけないので、ただし、繰り返しになりますが、何をやってもいい、あるいは何もやらなくてもいいという自由、そういう意味での分権ではないので、きちんと本市の示す改革の方向性、方針というものに沿って、それをうちがよりよく実現するという手段、方策を競っていただきたいということです。これは学校長に対しても言えるし、区担当教育次長の皆さんに対してもお願いしたいと思っている姿であるわけです。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第50号「大阪府都市教育長協議会及び大阪府町村教育長会からの大阪府教育委員会への要望書について」を上程。

大森委員長からの説明は以下のとおりである。

【大森委員長】  この要望書は大阪府都市教育長協議会、それから大阪府町村教育長会から大阪府教育委員会委員長宛てに送られていた要望書、3月10日付の文書らしいのですが、私どもが最初に知ったのは毎日新聞の記事、3月10日朝刊ですからまだ発出されていないわけですよね。「要望書を府教委に提出する」と書いてありますので、これから提出するぞという記事が載ったということですね。

 見出しは「41市町村教委が苦言」ということで、大阪府教育委員会のほうの組織に関する混乱についての要望書ということですが、どうしたことか、この新聞記事にもありますけれども、一番下のほうに、「また、要望書は、2016年春に公立高校入試の内申点が絶対評価に変わる際、大阪市教委が相対評価の要素を加えた独自の評価制度を導入していることも批判している。府と市町村教委が行ってきた評価の妥当性を高める仕組みを全て否定する内容で到底認められない」と、この要望書の中でおっしゃっているということがわかりました。この記事のおかげで気がついたわけですが、その後、府教委から、内容に市教委に対する批判が含まれているということで、府教委から市教委に写しを提供いただいたと。

 府教委からこの要望書の写しを提供いただいていますけれども、この2つの協議会からは今もって私どもに写しも何も提供もないのでございますけれども、内容において、府教委に対してではなくて私どもの市教委の政策に対して「到底認められない」とおっしゃっているわけでございます。これに対して何も対応しないということは、この2つの会の主張を認めるということになってしまいますので、きちんと文書で対応しておこうという趣旨でございます。

 「本件要望書の手法及び内容には看過しがたい問題があるので、強く抗議するとともに、大阪市に言及した部分の削除を求めます」ということで、下記のとおりということで、記の1番のところに書いておりますけれども、この要望書というのは大阪府教育委員会委員長に宛てられて、件名は、「大阪府教育委員会の組織運営の正常化について(要望)」となっております。どうも大阪市教育委員会というのは大阪府教育委員会の組織の一部であるらしくて、かつ正常化を必要とするような不正常なことが行われている組織運営の問題の一部としてご指摘いただいたのでしょうね。こういう件名で、宛先、府教委委員長でこういうものを出されたのですね。それは根本から間違っている。府教委の組織の一部ではございませんし、そして、大阪市教委の政策、方針をそういう組織正常化を求める府教委宛て文書で批判するなんていう手法。今もってこちらに何の連絡もない。これは、少なくとも行政に携わる者の節度、行政組織と言いたいんですが、厳密に言えば協議会とか会ですので、それ自体は行政組織ではない。ただし、その構成員は行政組織、行政機関であることは間違いないわけですが、行政に携わる者の節度及び社会通念に照らしてあり得ない非礼であると言わざるを得ないと考えております。

 第2段落目、次に書きましたけれども、大阪府の政策じゃなくて大阪市の政策にご意見があるなら、府宛てじゃなくて大阪市宛てにお伝えいただくのが、これ、「行政」という修飾語をつける必要があるのかどうかわかりませんが、それが良識ある行為であると信じます。

 さらに、意図がよくわからないのは、「また」の段落に書いておりますけれども、この要望書が正常化を求めている府教委で生起している事案と、大阪市、本市教育委員会の調査書に関する方針の検討は何の関係もございません。大阪市教育委員会の権限の範囲内で大阪市立の中学校に関する学習評価のあり方の方針を検討しておるにもかかわらず、府教委の組織運営の正常化の名のもとに、全然関係のないこの2つを一括する意図というのがどこにあるのか、理解できるものでは全くなくて、憤りを禁じ得ないということでございます。

 それから、2番、要望書の内容にも問題がございます。

 本市教育委員会が検討中の調査書に関する方針というのは、本市の権限と責任のもとにある大阪市立中学校だけを対象としているものでありまして、別にこの協議会と会、41市町村教委で構成されるということでございますけれども、この41市町村教委で、「評価の妥当性や信頼性を高めるさまざまな取り組みを全て否定する」とおっしゃっているのですけれども、そのようなことは関係ない、そんな一方的に断定されておられますけれども、そこでのお取り組みってどんなものかというのは把握もしていませんし、否定なんてすることはできないわけでございます。本市教委が検討しているのは、あくまで本市の権限、責任のもとにある大阪市立中学校だけを対象にしたものであるのに、これは一体何をおっしゃっているのだろうということでございます。

 次の段落に書いておりますのは、いわゆる絶対評価による調査書の評定という新制度は、大阪府教委が決定された、府下の制度としてはこれしかないわけです。この制度下において調査書の評定の妥当性・信頼性や公平性・透明性をどう担保するのかという方針を検討すること、これは市町村教育委員会として当然検討すべき責任があるし、また、それを検討して実行する権限もあると。もちろん自分の市町村立の中学校に対する話でありますけれども。我々大阪市教育委員会もその責務を果たそうとしているだけでございまして、なのに、「到底認められない」とまでおっしゃっていますので、これこそ、この要望書におけるこういった一方的なご批判こそ、この取り組みを否定するものということではないのでしょうか。

 それから、次のなお書きの段落に書いてございますけれども、私どもは、要するに大阪市教育委員会として真っ当な権限と責任のもとに行えることを行わなきゃいけない段階に至ったのでそうしているわけでございますけれども、それ以前においては、まさに制度としては大阪府教育委員会が設定する制度しかないわけでございまして、その制度においてルールの名に値するきちんとした統一ルールをつくってほしい、そして、それを明確に示してほしいということをたびたび文書あるいは口頭で、さまざまな機会で何度となく意見表明あるいは要望を行ってきたわけでございますけれども、今、3月、そして、4月から来春の入試に向けた中学校3年生に対する成績づけ、成績評価というものが行われようとしているときに、残念ながら府が設定した制度というものにおいては実効性のある統一ルールが見られないという判断のもとに、私どもは、せめて大阪市内ではきちんとしたルールを設定しようと。評価の公平性と透明性を担保するための、市内限定版ではありますけれども、それでも何もない、大阪市立の中学校に「どうなるかわかりませんけど、どうぞやってください」というふうな、そんな無責任なことはできないということでございます。

 ほかの市町村教委で、同様に検討されて、どんなことをやられようとしているのかということは現時点では私は承知していませんし、委員も承知していませんが、事務局で何かきちんと把握されていますか。41市町村教委、これ、「お取り組み」とおっしゃっているので、全部何か同じことをされているのか、それぞれお取り組みが違うのか知りませんけれども、どういう把握状況ですか。お願いします。

【大継部長】  私どものほうでは、それぞれの市町村のお取り組みについて把握をしておらない状況でございます。

【大森委員長】  そういう状況で、この41市町村教育委員会は、今、事務局から答弁いただいたような状況で、大阪市の中学校、これは130校あるわけですけれども、何か仮に、多分そんなものはないと私は思いますけど、41市町村教委においてきちんと共通の尺度で、これぐらい学力がある子には、あるいはこれぐらい到達目標って、これぐらい達していれば5がつきますとか、4ですとか、3ですとか、そんなことが学校間でそろう、市町村間でそろうということが仮に41市町村間であったとしても、私はないと思いますが、大阪市にそんな話は来ていないのですから。私たちに任せてください、我々市町村教育委員会は一生懸命、文科省の言うとおりに絶対評価をやろうとしていますといっても、学校間、市町村間の評価の尺度というのが共通になるって誰がどう担保しているんですかということです。そんなものないですよ。それは本来、大阪府教委の設定されている制度において明示されているべきものと府統一ルールがそこに明らかに見てとれるべきものですが、残念ながらそれがない。それで、41市町村教委がどんなことをされているか、大阪市、堺市を除いて41市町村教委で何かしら共通の取り組みをなさっているのかどうかちょっとわかりませんけれども、それでもって各学校、各先生がつける、これは5か4か3かなんていうのが統一テストなしにそろうなんていうことは、それは奇跡。現実問題として、日本全国、大阪府を除く46都道府県が10年以上も前に始めたこの絶対評価の内申書でそんな奇跡はどこでも起こっていない。実際に起こったことはとんでもない不公平であったわけですから、そういう不公平が起こらない、それを具体的にどう担保するのか。41市町村教委の代表、これは池田市とどこでしたか、町村は。

【大継部長】  熊取町です。

【大森委員長】  41市町村教育委員会の代表と私ども大阪市で公開討論会をやるべきと思っています。堺市はどうされるかということはありますけど、41対1だったら、九十何%、大阪市に対する糾弾の話を聞いていなきゃいけなくなりますから、そういう趣旨ではなくて、きちんと論点を明らかにするために、同じ持ち時間で1対1なり同じぐらいの人数、厳密とは言いませんけども、何人対何人ということで、向こうは幸い41市町村が同じご意見だそうですから、驚異的、驚くべきことです。これだけ重大な問題について、こんないいかげんな、府教委が設定した現時点での制度なるものが全然統一ルールになっていないにもかかわらず、それでも共通の尺度があるそうですから、それは徹底的に、そういうご意見、論理をお持ちの代表の方々と、大阪市、そんなものはない、テストをやらずにどうやって、ほかの都道府県で起こったことが起きない保証なんてどこにあるんですかというこちらのロジックと、十分に議論を戦わせるという機会が必要だと思っております。

 私どもは、私どもが必要だと考えている、これは残念ながら大阪市の中でしか通用しないルールでありますけども、でも、何もやらないよりは責任を果たすことになるということでそういうことをやっていると書いてある。

 それから、既に府内全域で生徒や保護者に大きな混乱が起こっているんだそうですね。その混乱は十分理解できます。でも、それを引き起こしたのは誰ですか。これは41市町村教育委員会ですよ。なぜなら、大阪府教育委員会がこういう統一ルールのない内申書に至った大きな原因は、統一テストそのものに猛反対する、認められない、しぶしぶ1年生と2年生限定で認めるけれども、それも、認めても、成績評価への反映のあり方は、実際問題、きちんと物差しをそろえる役割を果たせるようなチャレンジテストの使い方になっているかどうかというと、正直、これは現時点で私の個人的意見で、大阪市教委としての見解はまだ何も決まっていませんけども。というのは、この1、2年生のチャレンジテストは来春の入試に何の関係もないですよ。なのに、同じく毎日新聞の2月24日夕刊の記事では何とこんなことが書いてあるのです。

 「大阪府教委は16年春から絶対評価を導入すると。評価尺度のばらつきが懸念されるため、中学1、2年対象の府内統一テスト(チャレンジテスト)で内申点を修正し、客観性を確保する方針だ」と。

 うそを書かないでくださいよ。16年春の入試にチャレンジテストの結果で内申点なんか修正されませんよ。そんなことを言って、他方で、この記事では、大阪市教委がなぜ3年生対象にこういうテストを、市内限定版とはいえ、やろうとしているかという、その理由が全く説明されていないですね。これは何でしょうね。意図的に大阪市教委の方針を批判したいのか。

 まず、マスコミは不偏不党とか公平中立とかいうのはどういうことか、よく考えてくださいよ。何が子どもたちのためで何が保護者、市民のためかということを、文科省がこう言っているとか偉い教育学者がこう言っているということじゃなくて、自分の頭で、実際に何が起こっているか、そして、こんなことをやったら何が起こるか考えれば子どもでもわかる。実際、よその都道府県では子どもたちがそう言っていますから。とんでもないと。教育委員会はばかじゃないかと。

 何でこんなことを真剣に、こういう会議で議論しなきゃいけないのかがそもそも私は理解できないくらいに、このいわゆる絶対評価なるもの、これ、厳密にはとんでもない、絶対評価なんていう言葉はまやかしですけど、自分の頭で考える力がある人間がちょっと考えりゃ、こんなものを行政でやっちゃいけない、選抜で、入試でやっちゃいけないなんて、すぐ答えが出る話ですね。

 双方の主張をきちんと紹介すべきです。もっと言えば、私は日本のマスコミの報道というのは、大体、いろんな問題について問題があると思っているのは、みずからの頭で判断が明らかにつく問題は「これは間違っている」とはっきり言うべきです。それは時の日本政府だろうが総理大臣だろうが、あるいは知事だろうが市長だろうが、あるいは議会だろうが、衆議院だろうが地方議会だろうが、間違っていると判断がつくものは間違っていると言うのが責務じゃないですか。自分の頭で考えもしないで、これとこれが対立しているとか、どうなるか注目だとかと言って、双方の主張をきちんと紹介するならまだましですけども、双方の主張をきちんと紹介せずに、どういう意図があるのでしょうか。

 やはりこういう抗論というか、日本においてはこういうものが発達していない。長いものには巻かれろ。空気を読め。そういう社会ですからそうなっちゃうのか知りませんけども、自分の頭で考える。おそらくわかっていながら統一テストに反対され、内申点に統一ルールを設けるということに反対してこられているのかなと。そんな、子どもでもわかることがわからないような方たちじゃないでしょうから、そうだろうと思います。そんな、子どもたちにとって、中学生や保護者にとって公平じゃない高校入試なんて、それは一体何ですかということはほんとうに考えればすぐわかる話です。

 それで、Aという意見もあればBという意見もあると対等に紹介していただければありがたいぐらいの扱いなのですね、大阪市の意見というのは。下手すると、一方的に相手方に肩入れされる。なぜでしょうね。全くそれも理解できないことですね。

 4番に行きますけれども、チャレンジテストによって公平性の担保の課題が解決されるみたいなことをおっしゃっているのですけど、それ自体、猛反対されてきたんじゃないですか、41市町村教育委員会が。肝心なことは、先ほど言いましたけど、チャレンジテストは来春の入試には無関係ですよ。再来春といいますか、29年度入試以降、調査書、内申書の評定、つまり内申点に最も比重が大きいのは3年生ですね。1年生、2年生、3年生の比率は、最終的に30年度以降、府教委の方針では1対1対3になるということが既に明らかになっていますけど、繰り返しますが、28年度は3年生しか内申点というのはありませんので、それにどうやってチャレンジテストで公平性、内申点を修正し客観性を確保する方針なのでしょうね。

 それから、なお書きで書いてあることが大事でして、本市教育委員会としては、チャレンジテストそのものについては大阪府教育委員会の実施方針を全面的に支持するものであり、第1学年及び第2学年の評定の公平性の担保に実効性を持たせるよう要望してきたところです。要望してまいりましたが、残念ながら、個人的見解と私も先ほど申し上げましたけども、少なくともこれまでたびたび文書で要望も含めて行ってきている中では、現時点で府教委から示されているものは決して十分でないということは、先ほど個人的見解と言いましたけど、これまでたびたび組織的に確認してきたことだったと記憶しております。

 そうではあるのですが、結局、何か、内申点の公平性が担保できているのかわからないような使い方しかこのチャレンジテストもできない、そういう今の状況に至らしめている最大の要因は41市町村教委。それだけ誰かが決めればそれに一致団結なのでしょうか。それとも思考回路が全く同じなのでしょうか。ちょっと信じがたいことですね。ほんとうに信じがたいので言っているのです。そういう41市町村教委のご反対があるからこそ、公平性の担保に実効性が十分にないような使い方しか今の時点では府教委から示されていない。ある意味では府教委にしっかりしていただきたい、責任を果たしていただきたいんですが、同時に、なぜそうなっているかという部分については府教委だけに責任があるのではない。むしろ府教委は実効性を持たせたかったのだけれども、この41市町村教委の、そもそもテストそのものに反対されていたのですから、ということがあるということでございます。ここでおっしゃっていますね、「統一テストの必要性に疑問を感じる」とまだおっしゃっているわけで、ですから、今言ったこと、このお考えというのは実は今も本音は変わっていらっしゃらないということをしっかりとこの文書に書いていらっしゃるのですね。これについては大阪市教育委員会は全く見解を異にするということです。

 それから、5番でありますけれども、もう言いましたけれども、それぞれ真剣に取り組んでいる。それはそうでしょう。これは文科省から、何か絶対評価ですとか、手を挙げる回数を数えましょうとか、何をもって関心・意欲が高い、態度がよいと考えるか、Aをつけるかとか。これは子どもの学力を上げるどころじゃない。授業をちゃんと振り返って、子どもたちが理解したかどうかを確認しながら、本来、教育に注ぐべき力が、授業中も、授業が終わった後も、成績評価の証拠づくりに追われているというのが全国各地で起こったというのは伝えられているとおりでありまして、そんなことがまた大阪でも起こるのかということなのです。だから、先生方は真剣に取り組んでいるのですよ。だけど、真剣に取り組んだところで、その結果として5だ、4だ、3だというのは市町村間、学校間でそろうわけありません。現実にそろってないから、ほかの46都道府県では信じがたい不公平な内申点の偏り、学校ごと、市町村ごとに大きな格差、その格差というのが学力差によってそういう差が出ているというならともかく、そんな証拠もなければ根拠も何もない話です。 真の意味の、本来の学術用語としての絶対評価というのは、学校が違っても、市町村が違っても共通の評価尺度でもって同じ物差しがきちんと用意されていて、それでもって5になる、4になるという話です。それを、文科省の絶対評価というのは、この絶対評価という言葉を使えばうまくごまかせると誰かが考えていたんでしょうかね。教育学者が考えていたことは間違いないんですけれども、それでもって、そんなのは絶対評価でも何でもないわけですよ。だから、本市の文書においては、いわゆる絶対評価という言葉を使うようにしているわけですけども。

 府下共通の評価尺度は府教委しか設定できない。実効性のある共通の評価尺度というのは、はっきり言って統一テスト以外にないです。そんなものができるのならつくって、目の前で、現実の先生方がつける成績、それがそろうというのを証明してみてください。それは奇跡ですね。現実問題、私も成績づけとか、大学でやっていますけども、これ、教員によって、テスト以外の手段でどれだけ成績がそろうかというのは非常に難しいというのは大学でもよくわかっていて、原理の話として、大学だろうが、高校だろうが、小中だろうが基本は同じで、テスト以外の方策でこういう共通の物差しというのは簡単にできることじゃないですよ。

 話を次へ行きますと、次の段落に行きますと、原理上、共通する評価尺度がなければばらつきが生じる。そういう関心、意欲、態度とかなんて言ってやっている観点別評価のことを、もっとわかりやすく言えば主観的評価、あるいは不公平評価、あるいは無責任評価と言えると思うのですけれども、これは選抜にそんなものを使うなんていうのは無責任ということで言っているのですけど、これは当然、評価のばらつきは避けられないというのはちょっと考えれば原理上すぐわかる。考えて、原理上明らかであっても納得しない人のためには、現実にこの10年以上の間に大阪以外の地で起こったことをちゃんと見りゃわかるのです。同じ県の中で6割に5をつけている中学校もあれば、わずか2%しかつけなかった中学校もあると。それから、市町村別でもなぜか格差が生まれて、5と4を7割近くにつけるという市町村もあれば3割ほどにとどまる市町村もある。これで人生が左右されているのですよ。

 これの一番の悲劇は、当の不公平な入試の被害者たちがどういう不公平な被害に遭ったのかを当事者が認識できないということです。全てが教育関係者の密室の中で、要するにデータは公表されていなくて、断片的に地方紙やら全国紙の地方版、何々県内の紙面とかで、かろうじてこういう想像を絶する不公平の実態が報じられて、垣間見るわけですけど、公式に文科省も都道府県教委もきちんと実態をさらさないので、結局、過去の不公平な入試の被害者は、自分たちがどんな不公平な入試を受けていたのかということもわからないのですね。

 ということで、その次の段落に書いていますけれども、統一テストなしに、こういう実際に起こった不公平、格差が生じないようにおできになるのだったら、それを教えてください。仕組みを具体的に示してくださいということでございます。

 それから、6番でありますけれども、当たり前のことですが、入試というのは人生を左右するわけですから、公平性、信頼性、妥当性、そして、大事なのは、実際、この絶対評価の内申書になって何が変わったということがどれだけ正確に、46都道府県の保護者や中学生に伝わったかどうかって、私は疑問だと思いますね。正確な理解を持っておられる方はおそらくごく一部だと思います。わからないから、結局、それが続いちゃっているという面が非常に強いです。その理不尽さ、これはスキャンダルですよ、とんでもない話ですよ、それを伝えるべきはマスコミの役割の1つだと思うんですけど、マスコミとしては、円周率を3と教えるようになったとか、教える量を減らしたとかという、いわゆるゆとり教育の教える量の話、カリキュラムの話はわかりやすかったのか、何か、熱心に報じておられまして、そちらは是正されましたけれども、少なくとも同じぐらいスキャンダラスな話ですね。要するにカリキュラムの話は、教える内容を減らせば、先生がより教えなくなれば子どもはどんどんわかるようになるって、摩訶不思議というか、とんでもない教育論ですから、そんなのはとんでもないということをようやく何年かたって、マスコミにおける論調も変わってきたのだと思うのですけど、評価の話、内申書の話というのは全然マスコミが取り上げていないに等しいですね。さっき言ったように、地方紙、地方面の話で小さな扱いですね。そんなわけで、結局、伝わっていない。これが、教えなくなればより学力が上がるというマジックみたいな話と同じぐらい、学習指導要領の目標に基づいて、その目標の達成度を見る評価ですと、何かそんなことを言っていりゃ都道府県下で同じ物差しの評価が行われるなんて、そんなこと信じることはできません。

 それで、そこに書いてありますように、ぜひこの問題の本質が保護者、市民、そして中学生の皆さんに伝わるように、何が論点なのかきちんと伝わるようにしていく、大阪市教委だけでは微力ですけども、微力であっても、ここは頑張らなきゃいけないと思っているところです。それが6.の第1段落に書いてあることです。

 第2段落においては、先ほど申し上げましたけど、この協議会と会の代表の方、それぞれ同じ発言時間ぐらいで、人数も大体同じぐらいで公開討論させていただきたい。それによって保護者、中学生、市民の皆さんに論点ができるだけわかりやすく伝わるようにしたいと思います。

 以上、長くなりましたけれども、何でこんなことを真剣に議論しなきゃいけないのか、悲しくなるようなぐらいに明らかな、どちらに理があるか、明らかな話だと私は思っています。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【林委員】  今こういう現状になっていることを非常に残念に思っております。私は、保護者代表ということで教育委員をやっておりますけれども、入試だけでなく教育全般、全てそうですけれども、やはりいろんな教育行政や制度の中心に子どもがいないといけないと思っております。特にこの問題に関しましては、子どもの利益を一番に優先する制度設計であってほしいと考えます。

 教育委員になる前は、一保護者として行政が決めた制度を受け入れて、その制度にのっとって我が子の受験先を決めてきたわけですけれども、今は教育委員という立場でありますので、制度自体を、きちんと子どもの利益に沿った制度をつくれる立場にあると思っていますので、やはりそこに最善の努力をしたいと私自身は思っております。

 そもそもこの入試制度を変える理由は、現行の今の相対評価における内申書による入試に問題点があるから絶対評価に変えるというふうになった経緯があると思っています。現行の制度は何が問題点かといいますと、やはり学校の中で相対評価をしますので、学校間格差がきちんと反映されないという課題がありまして、不利益をこうむっている子どもたちがいるという現状認識から、今の新しい制度に変えるという、そもそもそういう話だったと思いますが、やはりそれには、評価を絶対評価に変えるということに対して、私は素人ですので何が正しいのかという判断はつきかねますが、ただ、府が提示してきた制度をそのまま実際に使うとなったときに非常に問題がある、課題があるということに関しては理解ができます。絶対評価を使うということで今現状の相対評価による入試制度の課題を克服するには、やはり共通の非常に精度の高い物差しが必要であろうと私は考えました。

 進路指導に当たって、中学校の課題というか、目標の1つとして大事なことは、学力を上げることと子どもの進路、将来を保障するということが非常に大きな目的であろうと思います。私は地方都市の出身ですけれども、地方都市でありましたら、行ける学校、選択できる学校というのは非常に数が少ないんですけれども、大阪府には100を超える高校がありまして、ましてや学区撤廃ということで非常に選択肢の幅が広いという現実があります。言いかえれば、個人の希望と学力に応じて選べる学校が非常に多いということです。どの学校を選ぶかということに対して、やはり現状よりももっと精度を上げた進路指導を私は保護者として望んでおります。現状の状況ではなかなか、学校を選ぶに当たって情報が少ないし、その情報もぼやけていると思っております。やはり将来が決まりますので親も子どもも真剣に考えます。その考えるに値するデータ、エビデンスですね、そういうものをもっと欲しいというのが、今現状の制度でもそう思っております。新たな制度に変わって、それが保障される、今以上によくなる可能性は私はゼロだと思っておりまして、今よりも精度が下がる、学校選択が非常に厳しくなると思っています。そのためにも、ぜひとも子どもたちが適切な進路選択ができるためのエビデンスとして統一テスト、特にきちんと学力を反映した時期に行われる統一テストが必要だと私自身は考えております。

 あと、今回このようなことになりまして、41市町村にこういう要望書を出すことになりましたというか、要望書は向こうが出されたのですけれども、その内容を見ましてちょっと思うことは、大阪府教育委員会としては私たちに意見を求めていただいていまして、私たちも意見を申し上げて、要望書等を出してまいりましたけれども、私たちにするのと同じように、41市町村に対しても行われていたというところで、その経緯について全く知らされることがなかったということにちょっと疑問を感じております。やはり考え方が違いますので、公の場できちんと討論するということが、ここまで来ますと必要なのではないかと私も思っております。

 要望書の中に「絶対評価の課題を中学校の裁量と公平性の担保のバランスの中で解決する手法」という表現がありますけれども、これが何を意味するのかが私には全くわかりませんので、やはりそのあたりのことも聞いてみたいと思いますし、「この間行ってきた府と市町村教育委員会による評価の妥当性や信頼性を高めるような取り組み」、これについても今のところ何もわからないということですけれども、やはりそこのところが一番私の知りたいところでありますので、ぜひともお聞かせいただいて、私たちの主張も聞いていただいてというところで、大阪府の子どもたちにとって一番いい制度設計になればいいなと今は考えております。

【西村委員】  私は、教育委員会として、教育委員会もそうですけども、保護者が一番望むのは学力を上げることと学校の安全であるということだと思うのですけれども、まず、いわゆる絶対評価というのは、学力が上がるかというと、上がらない制度なのですね。全国でやっている絶対評価というのは客観的な基準というのは設けないです。しかもペーパーテストがよくても、ほとんど満点をとっても5をとれないと。先生に、ある意味、好かれなければ5をもらえないと。それはこれまでもマスコミでも報道されてきた。そうすると、幾らペーパーテストでいい成績をとってもだめだということになれば、学力は上がらないですよね。

 それで、もう1つの安全ということでも非常に問題がある。つまり、いわゆる絶対評価というのは、ルール、はっきりした基準がないのに評価して点数、数量化するわけですよね。それに対して子どもたちは非常に不正感、不正だという認識があると思う。

 それから、もう1つは、今、府のほうで調整をするといった案は、後からバランスをとるというのが少し出ていたと思うんですけど、もし後からルールを決めて、それで評価されるということになると、これも約束違いということで、子どもたちはものすごくそれに対する憤りを感じると思うのです。

 この問題、実は子どもたちの非行とかいじめとかが激しくなってきたというのは70年代の後半から80年にかけてなんですけど、内申書重視が始まってからいじめというのは激しくなってきて、それから全然減らないのですよね。それで、90年代には内申書重視がもたらしている害ということがいろいろ報道されるようになって、一度、中学1年生の子どもがナイフを持っていて、女性教員に廊下で注意されたらナイフで刺し殺したことがあって、それの事件の後に、そういった事件はほかにもたくさんありますけど、朝日新聞の群馬版に女の子の投書があって、これは内申書重視がもたらしたもので、私たちがどんなに苦しんでいるか知ってほしいという、そういう投書が出ていたんです。

 90年代にそういう声が出始めたら、2002年になって、じゃ、どうしたかというと、それを改定するどころか、各科目について、今までは普通にペーパーテストの成績で評価していた算数、英語、国語とか、そういう通常の教科全部が絶対評価で、ペーパーテストだけでは点数が決まらない、先生が観察して決めるという方式になっているのですね。それによって問題はさらに拡大して、先ほどのような、どんなに成績がよくても5がとれないという、そういうふうな現状になったわけです。

 だから、大阪市ではそういった、ほかの県でやっているような内申書、これまでやってきた、いわゆる絶対評価による害をできるだけ少なくしたい。子どもたちのため、あるいは保護者のためにも、子どもたちが学力をつけられるように、それから、もう1つは、いわゆる憤りとかそういう感情を持たせないように、ある種の公平感を持たせられるような、そういった制度にしなきゃいけないということで、こういうような統一テストをやるということによって府の方針を補完するという、議論の結果、そういうふうになってきたわけです。その点をよく理解していただいて、できるだけ大阪市、あるいは大阪府全体でも、そういうふうな改善案ということを一緒にやれるのであればそうしてほしいと思います。

【高尾委員】  やはり生徒さん自身、それから保護者の皆さん方にしっかりと理解をしていただきたいと思っております。

 根本的に考えれば結論は明確だろうと思います。入試には当事者の方は大変大きな不安を持って臨まれる。それは当然ですよね、将来の自分を決める選択肢になることですから。それに対しては最大限の公正さ、あえて公平と言いませんけども、公正さが求められているということがあります。

 絶対評価という言葉があります。この言葉に思わず惑わされてしまうという点が私たちはあるんじゃないかと。絶対だから絶対的に正しいという受けとめ方の落とし穴がそこにはあると。しかし、もしそこにまやかしみたいなもの、とんでもない不公正というのが潜んでいたら、それは大変なことだろうと思います。

 1年生と2年生でいえば、府下の統一テストを行うという試み、これはある程度の物差しになります。しかし、今指摘があったように、重大なウエートを占める3年生には全くありません。結局、何をやっているかといえば、各校がそれぞれの方法で、あるいは、もしかしたら各先生がかもしれないけども、この子はできる、あるいはこの子はできていないという判断を下す。そのほかにも、教室で手を挙げる回数なんかもカウントされて、その数字も1つのファクターになるという話も聞いたことがあるんですけども、手を挙げないと関心がないと。実際、うちの娘なんかも、わかっていたのに手を挙げない。何でわかっているのに手を挙げないんだと言ったら、恥ずかしいからだと。そんな細やかなことまできちんとフォローしないと、十分に納得のいく制度になれないのではないかと思います。

 こうした問題意識に立って、大阪市の教育委員会というのは真面目にこの問題に正面からぶつかっていって取り組んできたと思います。つまり大阪市の子どもたちに不公平感がなく、できるだけ客観的な内申書を書くにはどうやったらいいのだろうか。そのひとまずの結論が今回出されたプランになっていると思います。

 正規分布、つまり子どもたちの成績の分布というのはおおむねなだらかな丘形になってくるだろうと。これは学力テストなんかの結果を見てもわかることです。それを1つの基準に置いて、基礎に置いて、その後、きちんと先生の目を加えていこう、先生の判断基準というのをきちんと入れていこうと。もう1つは、3年生に対する新たな統一的なテストでこれを担保していこう、それによってこの分布というのに修正を加えていって、より客観的な、より公正なものにしていこうという取り組みを私たちは打ち出したわけです。

 翻って、府のほうの教育委員会の方針というのは一体どういうことであったかというと、去年の、その前かもしれませんけども、今後の方向について、入試の成績で内申書を補正するという話も出ましたけども、残念ながら、いまだもってそんなものが出てきていない。よく考えてみれば、深みにはまればはまるほど、これはおかしいということに気づくだろうと思います。学校の平均値をとって、あるいは総合点をとって、高ければアップする、低ければダウンする。これは学校の責任というのを個々の生徒に押しつけるということですから、そこにある個一人一人のものを尊重した考えではないということなのです。また、もう1つの見方をして、それじゃ、個人の成績を比べてみて、入試の成績と内申点とをやってみようかということがあります。でも、もしそれで、たまたま入試のときにいろいろ家庭内のトラブルとかがあってほんとうの力が発揮できなかったと。じゃ、これはできが悪かったから内申書もおかしいだろうと。それで、どんと下げようと。そんなことをやっていいものだろうか。いろいろ細かな問題を想定していくと、このやり方は本質的にやっぱり問題が多いのではないかという結論に至らざるを得ないですね。

 1、2年の統一テストというのは一歩前進ではあるんですけども、その使用方法、どういうふうに使用するかというのはまだきちんとした方法が示されていないし、問題点があるんじゃないかと。先ほど申し上げたように、3年生については全く手つかずの状態で説明せざるを得ない、こういう現状があります。

 やはりこうした混乱の根源というのは41市町村の方々の意見というのが大きく支配していると。どうもどなたかが手に負えないということで投げ出されたようですけども、そうしたところもやっぱり反映しているのではないかと、ちょっとうがってみたりするところもあります。

 しかしながら、新学期目前にして、私たちは評価を始めなきゃいけない。こういうせっぱ詰まった状況にあります。繰り返しになりますが、私たちの委員会は、この中で正面からこの問題に取り組んできました。大阪の子どもたちが不利益を受けない、そしたらきちんとした判断を受ける、そういうふうにするにはどうしたらいいのか。今のところ、41の市町村の皆さんはこういう状況のようですから難しいようですけども、せめて大阪市内だけでも、できる限り公正な内申書が書けるように、それに基づいて各高校の入試できちんとした判断をされるように知恵を絞ったというのが私たちの中身です。しかも私たちは考えた基準というのをきちんと公表しています。41市町村の教育委員会ではどういうふうな基準でもってやるのか、絶対なるものを担保されているのか。これ、私は不明にして知りません。そういうことからすると、我々はそんなに大したことをやっているわけじゃないんです。私たちの責務を真面目に果たそうということをしているだけなんです。

 たまたまほかの市町村教委の話になりましたけども、その要望書はまことに残念の一言に尽きます。わずか十数秒で片づけるような、そういう軽い問題ではないと僕は思っています。しかも、どうも論点が、これまでいろいろ何か研修会をやってきたんじゃないか、それを無にするのかよというのが1つ、もう1つ、核心的なところは、テストのところ、1、2年においてのチャレンジテストをやるんだ、それによって公平性の担保になっているんだというご主張ですけども、これは先ほど申し上げたみたいに、その具体的な反映の仕方、それから、大きなウエートを占める3年生についての評価、これを全く担保していない、そういうふうな問題があると思うのです。

 申し上げたいのは、決して大阪市教委はほかの各市町村教委の権限を侵して、そこに泥を投げようと思っているわけでも何でもありません。ただ、やはりもっと、自分の所管する学校についてどうすれば客観的な公正な評価がつけられるのか、入試で公正に評価してもらえるかということを考えるべきであろうと思います。ぜひ、我々と同じ問題意識に立って検討をお願いしたいと切に思います。

 今後の議論ですけども、決してこの議論は人気投票やスペクタクル、見せ物ではないのです。また、41対1という多数決で判断すべき問題でもない。やはりきちんと根拠を示して、エビデンスという言葉がありましたけども、きちんとした根拠を示して、客観的な検証可能な方法でやるべきです。

 そのためにも、ぜひこの41市町村教委の皆さん方に客観的なエビデンスに基づいた反論をお願いしたいと。それこそがやっぱり将来へのはっきりした道を見つける大きな手段になっていくのだろうと思います。いつまでも「これまでやってきたからまあいいか」ということ、あるいは、今さらだめということでは済まない。もはやきちんとはっきりさせるべき段階に来ているのだと私は思います。

【大森委員長】  そもそもこの話が始まった経緯の発端というのは何かと、もう一度振り返りますと、私が教育委員に最初に発令されたのが平成24年6月でありましたけれども、その前に橋下市長と松井知事が高校入試について、さっき林委員が触れられましたけど、相対評価だと相対評価の不公平さがあると。わかりやすく言えば、勉強できる子がたくさんいる学校に在籍すると、結構いい成績といいますか、学力が高くても、その学校の中の順位で決まるので、よその学校だったら5がつくかもしれない子が、できる子がたくさんいる学校だと4とか、下手すると3になるとか、これは相対評価の問題点として広く指摘されることでありまして、それはおかしいという理由から、市長や知事が当時求められたのは、そういう学校間、たまたまどの学校にいるからじゃなくて、生徒個々人の学力がきちんと評価されるものが絶対評価らしい、でも、そのためには統一テストが必要だということで、統一テストによる絶対評価、これこそ本物の真の絶対評価ですね、これを求められる発言を、私が委員に発令されるちょっと前ぐらい、何月というのは正確ではないかもしれませんが、大体4月、5月ぐらいの話だったと思いますけれども、そういう発言を盛んになさって、私はそれを見ていて、まだ委員になっていませんので、ちょっと懸念を抱いていたのは、絶対評価に変えるという部分だけ捉えられると、市長や知事がおっしゃっている内申書の改善じゃなくて大改悪になっちゃうおそれがあるということを私はよく知っていましたので、委員として発令されると同時に、その件について市長とお話ししました。市長も、もとよりそんなでたらめ評価をやりたいということでおっしゃっている話じゃないので、相対評価の問題点をただすことができる本物の絶対評価、それは統一テストだということでおっしゃっているので私の話はすぐ理解いただきましたけれども、残念ながら、危惧していたとおり、いわゆる絶対評価、つまり文科省が10年以上前に言って、大阪府以外の46都道府県がそれに従った、いわゆる絶対評価をやる、相対評価からそれに切りかえる。今まで10年以上、問題点があるからこそやらなかったのに、10年たってから今ごろ文科省の言うとおりにやるのが間違いないなんて何を考えているんだということですが、そういう方針決定を平成24年8月、2012年の8月に大阪府教委が行っているのです。府教委の教育委員会会議において平成24年8月に「府立高校入学者選抜における調査書について」としまして、そこにおいて絶対評価に切りかえるという方針だけをご決定になられまして、ところが、肝心の統一テストをやるかどうかも含めて先延ばしです。つまり、私の危惧したとおり、相対評価の100倍悪い、いわゆる絶対評価をやるということだけを平成24年8月にお決めになったという経緯がございます。

 その背景には、当時から市町村教育委員会におかれましては、大阪市、堺市も違うのか、ちょっとわかりませんが、いわゆるここに挙がっている41市町村教委、当時から足並みがそろっていたのかどうかまでは知りませんが、少なくとも市町村教委におかれましては知事や市長が盛んに発言された統一テストなるものに非常に反感、反対があったということを踏まえて、結局、2012年、平成24年8月の府教委の教育委員会会議で決定されたのが、何とせっかく大阪がやめていた話を、つまり相対評価の100倍悪い、いわゆる絶対評価をやるということだけを決めて、市長や知事の本来の求めていたもの、つまり統一テストによる真の絶対評価、相対評価の、先ほど言いましたような、できる子が多い学校だと成績がよくならないという不公平、それを是正するということで言っておられたのですけど、その真の絶対評価に必須の統一テスト並びにそれを内申点に反映するということはほっとかれて、結局そこは何も言わない、やるともやらないとも言わないで、2012年8月に、100倍悪い、いわゆる絶対評価だけ決めたと。

 単純にわかりやすく言うと、真の絶対評価は確かに相対評価の100倍いいかもしれませんけれども、いわゆる絶対評価は相対評価の100倍悪い評価方法ですので、方法と言えるようなまともな代物ではないのですけど、そのことだけ決まってしまった。その背景には市町村教育委員会のテストに対する根強い反対があったと。そして、その後、やっぱりそこからチャレンジテストをやることすら、議論は行ったり来たり、説明会では府教委の人たちは市町村教委からそんなもの必要ないと糾弾される、そして、それをやるのならしようがないけど、内申点には関係ないという、簡単に言うと、そういうご主張がずっと続けられて、現実問題として、3年生ではなく1、2年生についての内申点への反映についても不十分なやり方でしかやれないなという今の時点の府教委のスタンスというのは、市町村教委の強いご意向、ご意見の賜物なわけです。

 ちなみに、今回、大阪市の中だけでも我々がやろうとしているのは、相対評価の100倍いい真の絶対評価の、完璧な形とは言いません、第一歩だと思っているわけです。

 それはどういう意味で真の本物の絶対評価かといえば、まず1つには、大阪市内のテストではありますけど、大阪市内の統一テストという共通の評価尺度でもって公正公平な真の絶対評価、2つの方法で本物の絶対評価だと言えると思います。1つには、全市の得点分布において上位に入る生徒には5段階評価の5とか4とかを与えることを保証するわけです。これは、相対評価の問題点として市長や知事がこだわっておられた、できる子が多い学校の子は損しているじゃないかという話、よその学校だったら5がつくかもしれない子が3とかになっちゃっているじゃないかと。その問題はこれによって救われるわけです。要するに、その学校の中での順位じゃなくて、大阪市全体の中で、この統一テストにおいて上位に入っていれば5、4を与えますということなので、それは1つの大きな、真の共通の物差し、共通の評価尺度による評価というのが真の絶対評価なので、観点別に自由につけて、その結果、学校間ばらばらな成績分布になるというのがいわゆる絶対評価でありますけども、真の絶対評価というのは物差しをそろえることで、それがまず1つ、個々の生徒、統一テストで上位に入った子は5や4をつけるということです。

 これは具体的には、きょうも配付されていますけれども、継続審議になっている2月24日の議案の資料でいけば、3ページの記の3番に書いてある話です。3.として、上記1の大阪市統一テストの結果、全市の得点分布において上位7%に入る生徒には必ず評点5を与えるものとする。同様に、全市の得点分布において上位31%に入る生徒には必ず評点4以上を与える。4以上というのは、学校の判断として、この子は5とすることもできるということですけれども、上位7%は確実に5ということです。そういうことが書いてあるわけでございます。

 もう1つ、真の絶対評価の特徴として、この統一テストにおいて、全市の得点分布において上位に入る生徒が多い学校は評点の5や4、つまり内申点の5や4をよりたくさんの生徒に与えることができるようにしているということです。これはつまり、一応、最低保証として5段階評価の5は31%、4は38%と言っていますけれども、これは継続審議の議案資料の記の2.の(1)と(2)に書いてある話ですけど、評点5は31%の割合を目途、評点4は38%の割合を目途、これ、目途というのは、一応、最低保証ですね。それに対して、そのただし書きとして、(1)のただし書きを見ていただくと、統一テストの結果、全市の得点分布において上位31%に入る生徒の割合が、全市の分布ですよ、その中で31%に入る生徒の割合が、その学校は31%を超えると。つまり、もっとわかりやすく言えば、ある学校、A校においては60%の生徒が全市の分布においては31%に入るということであれば、この学校は内申点5を31%じゃなくて60%の生徒に与えていいということを言っているわけです。この方法によっても真の絶対評価、つまり共通の物差し、学校の中の順位だけで決める相対評価の問題点を解消しようということです。こういう2つの方法をやれば確実に真の絶対評価、つまり共通の評価尺度による評価になるのです。120点満点、100点満点ということは言いませんけれども、今考え得る限りで最善を尽くしていくものだと思っています。

 それに対して、41市町村教委の主張に引きずられて、現在示されているものというのは、はっきり言って一言で言えば、統一ルールが何もない状況ですので、何が起こるかといえば、火を見るより明らかで、今まで相対評価という、確かにできる子が多い学校の子は損だという、そういうあれはあるにしても、一応、相対評価というのはたがなんですよ。7%しか5をつけられないというたががはまっていたのに、そのたがが外れちゃって、そのかわりになるルールが何も示されていないので、何割5をつけるか自由だと。現実に、よその都道府県では9割つけた学校もある。あるいは、同じ市町村内で6割つける学校もあれば2%しかつけない学校もあるということ。それは当たり前ですよね、何もルールを示してないのだから。たがだけ外して、あとは学習指導要領の目標の到達度を見てくださいって、何ですか、それは。それでどうなっちゃうのって、やっぱりそんなもの、公平な結果は出てこないですよ。46都道府県がそれを実証してくださっているわけですよ。壮大なスキャンダラスな実験ですよね。実験台になって被害に遭われて、でも、その被害そのものがどういう被害だったかは気づかれずに過ぎ去っていったこの入試の膨大な被害者の数のことを思うと、ほんとうにいたたまれない。だから、大阪においてこういうことは二度と繰り返してほしくないという思いですけれども、我々は府教委ではないので、市教委なので、一定の公平公正に担保された内申点ということを権限の中でやれることが大阪市内限定になりますので、市内限定とはいえ、今申し上げたように、真の絶対評価の特色を持つ方針というものを2月24日の議案資料として示されているということです。非常に重要な事柄ですので、1回で決めるのではなくて継続審議したということでございます。

 ですから、真の絶対評価、これは確かに相対評価よりいい。それを我々はやろうとしているんです。大げさに言いますけど、100倍いいでしょう。でも、よくわからないですけども、41市町村教委がこれまでおっしゃってきていることから推測すると、そのお取り組みの内容をちゃんと聞かなきゃいけないのですけれども、ほかの46都道府県で起こってきたことと同様のやり方かなというふうに類推すれば、これはそういった、いわゆる絶対評価というのは相対評価の100倍悪い。それに対して我々がやろうとしている真の絶対評価は相対評価の100倍いい評価方法であると思っております。

 いずれにせよ我々は、現実に不公平が起こっているじゃないかというのは火を見るより明らかで議論の余地はないのですけれども、そうはいっても、そうじゃないとおっしゃる方々がたくさんいらっしゃる。教育委員会の数だけ見ると、圧倒的に多勢に無勢という話でありますので、これ、何が問題なのか、論点、双方の主張、数が多いので向こうにAをお譲りして、大阪市がBとしましょう。41市町村教委がAの意見、それに対して大阪市教委はBの意見としましょう。双方の主張と何が議論されていてということがきちんと世の中に伝わり、そして、受験を控えた、特にこれから4月からの3年生中心ではありますが、先々に影響することですので、広く子どもたち、そして保護者、市民に伝わる、論点を明らかにする公開の議論の場、これを設定するように、異論がなければ今後そういうふうに進めていきたいと思います。もちろん相手のある話ですから、そういう公開の議論に応じていただけるかどうか、これは学校関係者、それから教育行政関係者だけで密室で議論するにはあまりにも重大な問題ですので、双方の主張をオープンな場で展開し合って、何が議論になっているかということを、ぜひ、中学生、保護者、市民に伝わる機会を設けたいと思います。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第49号「平成28年大阪市公立学校・幼稚園教員採用選考テストの実施要項案について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

今回の募集方法は大きく6つの変更点がある。

1点目は、例年一括募集していた養護教諭について、幼稚園における独自の給料表が新設され、幼稚園に勤務する養護教諭と小中高等学校に勤務する養護教諭の給料面の差が大きくなったためそれぞれ別枠採用とした。

2点目は、身体障がい者の採用選考について、年齢制限を緩和するとともに、別枠による採用予定数を5名と明示した。

3点目と4点目は、平成28年度に特別支援学校の大阪府移管に伴う措置として、特別支援学校枠の募集を停止し、これまでは、中学校の特別支援学級に勤務する新任教員の配置は特別支援学校枠で合格した教員を充てていたのに代えて、中学校の特別支援学級に専任として勤務する教員を募集する枠を設置した。

5点目は、義務教育の早い段階から生きた英語に触れる取り組みを推進するため、小学校教員を希望する受験者のうち英語の教員免許、または英語技能を有する受験者について1次選考及び2次選考の総合計点にそれぞれ加点を行う。

6点目は、1次試験の筆答テストについて府下共通の問題を使用するため、問題数を30問から50問に変更する。

質疑の概要は以下のとおりである。

 

【大森委員長】  養護教諭(幼稚園)枠は併願を認めるのですか。

【林田部長】  認めます。

【大森委員長】  小中高の枠で不合格になった人が、幼稚園なら採用されるということが起こり得るわけですか。

【江原代理】  ありえます。

【大森委員長】  中学校(特別支援学級)について、これまでは特別支援学校への応募だったが応募者の変化というのは予想がつきますか。

【江原代理】  中学校に特別支援学級の講師の方等が申し込んでいただけるのではないかと考えています。

【大森委員長】  講師の方はもともと、大学の教員養成課程で特別支援教育のほうを選考されたような方が多いのですか。

【江原代理】  そうではないです。

【川本課長】  講師登録をされている方で、特別支援学級も希望するという方を中心にお声がけをさせていただいているので、特別支援教育に非常に専門性が高いという形での採用は講師ではなっていないものですから、採用試験ではそういう専門性を持っておられる方という募集の仕方をしたいと考えています。

【高尾委員】  中学校の特支学級枠で募集する際、応募者が少ないということは予想されますか。

【江原代理】  それはないと思います。

【川本課長】  講師で中学校に入っている人だけで200人ぐらいいますので、高い割合では受けていただけるのではないかと思っています。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第48号「職員の人事について」を上程。

林田教務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

議案第43号の継続審議案件につき、前回会議での指摘事項を踏まえ内容を追加・修正している。追加した資料のうち、職員倫理規則3条の2項の4において「職員は、利害関係者に該当しない者であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等、社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待または財産上の利益の供与を受けてはならない」という規定があり、今回はこれに該当すると考える。

 また、職員基本条例第7条によると、職務上利害関係のある者ということで、「労働団体その他の団体及び地方公共団体の議会の議員を含む(以下「利害関係者」という)」との規定がある。また、同条別表の43項において、「正当な理由なく利害関係者から金銭もしくは物品の贈与もしくは貸与、便宜の供与を受けることは免職または停職」と規定されている。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  私が前回お尋ねしたのは、ご子息、つまり亡くなられた先生はこの校長にとって利害関係者に当たるのかどうかについて確認してくれと言ったと思うのですが、結論はいかがですか。

【芝谷係長】  前回の教育委員会会議を踏まえて、いわゆる人事監察委員の弁護士に確認をさせていただきました。

 利害関係者の考え方ですけども、やはりそもそも大阪市における利害関係者の定義というところでの弁護士の見解として、確かに文面的に明白に、具体的には書かれていないところがあるのですけども、まず、倫理規則での利害関係者のやってはいけない行為というのが書かれているところがかなり具体的に書かれていること、条例の別表のところでの規定が免職または停職ということで、量定的には非常に厳しいところを想定した内容になっているので、ここで言う利害関係者というのはかなり狭義的、要は狭い範囲での該当者という考え方をするべきであるとのことでした。ですので、いわゆる利害関係者に準ずるようなものを、イコール利害関係者と位置づけすることは、法律家としては好ましくないとのことでした。逆に、今回、違反行為とされている3条4項の「利害関係者でない者であっても」という規定をかなり広義的に捉えるべきであると。要するに、見合いであるとか準ずるものについても、利害関係者ではないもののそれに近いものということであれば、ここの3条4項に規定するということで判断をしたほうがいいでしょうとのことでした。ただし、そこを広義的に判断するに当たっては、やはり処分量定についても一定の量定の幅というのが出てくるので、例えば利害関係者でない場合であっても減給である場合もあれば戒告になる場合もあるでしょうし、その辺の幅というのは、逆に、利害関係者でない場合であっても判断をする余地はあるという見解です。

【大森委員長】  ということは、端的に、私の質問の答えは、その弁護士の条例上の利害関係者に当たるかどうかということについては、一言で言えば、親族だけじゃなくて教員自身も当たらないということですね。

【芝谷係長】  そういうことです。

【大森委員長】  つまり、それは世間一般というか、あるいは国での利害関係者の定義がどうかということ、一般的な定義がなくて、あくまで本市の場合はこの条例で解釈するしかないということなのですね。

【芝谷係長】  そうです。

【大森委員長】  世間一般というか、国も多分、許認可権も利害関係者に入っていたのではなかったのでしたかね。

【山本教育長】  許認可権はあります。補助金の執行とか許認可は。要するに、例えば何か昇任とかがある部下の親族なんていうのは、それは規定も何もないので。

【大森委員長】  言ってみれば、自分が人事評価する部下そのものですわね。人事評価と言っても、いわゆる人事評価じゃなくて、まさに処分性を持った決定を下すかどうかという部分ですけど、そういう職員内部については通常は利害関係者に入れていないのですね。

【山本教育長】  入れていないです。

【大森委員長】  芳しくないものは芳しくないのでしょうけれども、ただし、この厳罰な別表の免職または停職を見ると、これは典型的な業者との癒着的なものを念頭に置いているのだろうという解釈なわけですね。だから、何か芳しくないことがあったからって、この別表にあるものを適用すべきということではないということですね。物の軽重を見て減給だったり戒告だったりすることがあるのではないかということなのですね。

【山本教育長】  そうですね。

【林田教務部長】  議案につきましては、案としては、現状、戒告という状態でございます。

【大森委員長】  前が戒告でしたか。

【林田教務部長】  そうです。前回も減給にすべきではないかというご議論がございました。事例上も減給一月という経済局の事例もございますので、そこはこの場で最終的にご判断いただけたらと思っております。

【大森委員長】  利害関係者の定義というか、該当するかどうかとか、そういうことの確認は一応していただいたと思うのですが、ですから、量定をきちんと議論する条件がほぼ整ったかなと思います。

 前回の情報の範囲内で我々が議論したときには、委員の皆さんは、戒告でいいというご意見はありましたっけ。減給で、でも、あまり重い減給じゃなくて軽い減給というご意見が多かったかなという記憶ではありますが、改めて、もちろんご意見を賜りたいと思います。どなたからでも。

【西村委員】  減給でいいというのは変わりません。

【大森委員長】  減給の量定というのは10分の1、一月とか。

【林田教務部長】  はい。一月からですので。

【大森委員長】  減給は10分の1というのが基本でしたかね。10分の1を何月にするかということですよね。

【芝谷係長】  一応、基本条例の中で懲戒の効果というところで、減給のところは10分の1以下の額を減じて行うものとすると定めています。

【大森委員長】  でも、以下といったって、それより小さくしたらあまり効果がということで、大体みんな10分の1にしているということですかね。

【芝谷係長】  これは基本条例の第29条ということで、懲戒の効果というところで定めております。

【大森委員長】  期間は大体、最低一月というのは何か根拠があるのですか。

【林田部長】  一月、三月、六月ですね。

【大森委員長】  理論上は何月でもあるわけですね、二月でも三月でも四月でも。

【芝谷係長】  一応、条例上は一日以上六月以下という表現になっています。

【大森委員長】  六月という上限があるわけですね。

【芝谷係長】  そうですね。

【林田教務部長】  基本は一月でございますので、一月より重いということでいえば三月ということになるかなと思いますけども、基本は一月。経済局の事例は、これは課長級で減給一月なので参考になるかなと思います。

【大森委員長】  課長級が一月でしたか。量定について、まず、西村委員は減給でいいのではないかということですが、ほかの委員の皆さん、減給でいいかどうかも含めて、いい場合はその期間はどれぐらいが妥当かというご意見があれば承りたいと思います。

【高尾委員】  ちょっと基本的に確認しておきたいのですが、地方公務員法33条違反、信用失墜行為、これの具体的な中身としては市職員倫理規則違反、こういう形でよろしいわけですね。

【芝谷係長】  そうです。

【高尾委員】  ということは、逆を言えば、市職員倫理規程に直接には触れなくても、信用失墜行為があれば、それは地方公務員法に基づいて処分ができるという理解でよろしいですね。

【芝谷係長】  そういうことですね。

【大森委員長】  利害関係者そのものではないけどという規定に触れているわけですよね。

【高尾委員】  責任はやっぱり重いとは思います。例えば私が大阪市の職員の方に「君は直接その仕事をやっていないのだけど、友達にこの人がいるだろう。この人に頼んで、あることをやってもらえないか。お礼は100万円あげるよ」と言った場合、これは当事者に当たりませんよね。この場合なんかは、やはり倫理規則を通さないで地方公務員法の処分、信頼失墜行為ということになるわけですね。

【芝谷係長】  利害関係者に位置づかない場合であったとしても、そういった金銭のやりとりということになってくれば、もちろん贈収というところの疑惑も出てくるのですけど、当然、別表に当てはまらない場合であったとしても、それが非違行為と認定されれば、やはり信用失墜という大前提のもとで処分がなされるというケースはございます。

【高尾委員】  この課長級の方が担っていた役割と、校長先生が担っていた役割、大体同等と判断してよろしいんですかね。同等であるということなら減給一月ということでいいのですが。

【山本教育長】  役割というか、ポジションは同等でございますね、地位の高さはイコールなので。

【大森委員長】  地位の高さは同等ですね。校長は課長級と。でも、実際には役割はより重いような気はします。

【高尾委員】  ならば、減給一月ということで。

【大森委員長】  校長に対するこの親族の方の処罰感情というのはどうなのですか。

【芝谷係長】  実際、初段階で受けた状態のときには非常に校長先生に対しての処罰感情というところがやっぱり大きく出ておりました。そういった中で、先ほど申したとおり、お子さんのいわゆる名誉回復という部分も非常に大きく持っておられたので、校長先生に対する処分感情が全く消えたということではないのですけども、今回、我々が事実認定していることに対しての処分を非常に厳罰化してほしいという思いというのは、当初よりはちょっと薄れてきているのかなというところは見受けられるということです。

【大森委員長】  我々が、教育委員会というか、行政機関がやる懲戒処分において、被害者的な方がいらっしゃる場合に、その処罰感情というのはどれぐらい考慮するのでしょうね。

【芝谷係長】  参考にはいたします。

【大森委員長】  参考にはする。ただ、その強弱に応じて変わりますという、比例関係とまで言ったらちょっとおかしくなっちゃいますよね。客観的に行った行為がどれぐらい悪質なのかどうか、そして、その結果としてどれぐらい信頼を失墜させる状況に世間がなっているのかということが重要であって、被害者的な方の処罰感情は、参考にはするけど、それに応じて比例するという話ではないですよね。

【芝谷係長】  おっしゃるとおりだと思います。実際、どんな行為であったとしても、相手方がいる場合に、その相手が納得しているのか、やっぱり納得していないのかというところで、その当該者がとった行動そのもの自体の非違行為の度合いといいますか、やるべきでなかったものというところの認定では、やっぱり被害者の意識というところは参考にさせていただくケースというのは多いですね。

【大森委員長】  そこは処罰感情と関連はあるけど、処罰感情そのものではなくて、事実認定にかかわる情報ですよね。

【寳田次長】  やっぱりこれは社会的影響力とか、先生たるものがとか、そういう角度のほうが我々は意識しますね。

【大森委員長】  やはり総合的に考えると、たかりの意識は全くなく、結果としてこうなっちゃったという、そういう状況ではないですよね。全体としては、やっぱりこの校長先生にたかりの意識はあったとしか思えない流れ。そうすると、そこの部分に着目して、戒告ではなくて減給というのは妥当かなと。それで、高尾委員は一月ということで、ほかの委員。

【西村委員】  私も一月が妥当であると考えます

【高尾委員】  何かすごく、人情としてわからない部分がないわけではないけど、それにしても、これはあまりにも軽率な行為ですよね。校長という職員である方がとるべき行為ではないと。

【林委員】  難しいですね。非常に難しいなと思いますけれども、私は戒告でもいいのかなと考えていましたが。一番考えるのは、過去の量定と比べたときに、やはり経済戦略局の方の減給一月は直接な利害関係者であったという部分ですかね。やはりそこのところで、確かに役職としては同等であるだろうし、もちろん教育、学校長ということですかね、社会的な重さもあるとは思いますけれども、量定ということなので、そういう意見です。

【大森委員長】  おっしゃる意味はわかりました。経済戦略局のケースは明らかに、言ってみれば条例が想定している、業者のつき合いの典型に近いですわね。そういう意味ではこれと同じ事案かというところは躊躇を覚えるということで、他方で、林委員ご自身もおっしゃったのですけど、やはり校長という教育者のトップの立場として、結果としてではなくて、やはり見るとたかり的な流れがあるということを考えると、高尾委員や西村委員は減給にしていいんじゃないかというご判断だと思います。

 以上をお伺いして、私としても、意図がなかったのならともかく、おそらく意図はあったとしか思えない行為なので、減給一月ということに私も賛同したいと思います。

採決の結果、議案第48号については、原案の処分内容について「戒告」を「懲戒処分として減給10分の一月」に改める旨、委員全員異議なく可決。

 

(5)大森委員長より閉会を宣告。

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