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平成27年第13回教育委員会会議

2022年9月1日

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平成27年第13回教育委員会会議

第13回教育委員会会議録

 

1 日時  平成27年6月9日 火曜日 午前9時30分から午後0時20分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎地下1階第11共通会議室

 

3 出席者

大森不二雄  委員長

林  園美  委員長職務代理者

高尾 元久  委員

西村 和雄  委員

帯野久美子  委員

 

山本 晋次  教育長

寳田 啓行  教育次長

大継 章嘉  教育次長

沼守 誠也  教育監

筋原 章博  大正区担当教育次長

吉田 康人  住吉区担当教育次長

臣永 正廣  西成区担当教育次長

小川 芳和  総務部長

多田 勝哉  教育改革推進担当部長

三木 信夫  学校配置計画担当部長

井上 省三  教務部長

松本 勝己  生涯学習部長

加藤 博之  指導部長

岡田 和子  学力向上支援担当部長

島田 保彦  インクルーシブ教育推進室長

源  俊司  学校経営管理センター所長

林田 国彦  教育センター所長

飯田 明子  学事課長

堀川 隆史  学事課長代理

山岡 祐二  学事課担当係長

川阪  明  総務課長

松浦  令  総務課長代理

東川 英俊  総務課担当係長

ほか係員2名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に高尾委員を指名

(3)議題

議案第121号      福島区の就学制度の方針の変更について

議案第122号      天王寺区の就学制度の方針の変更について

議案第123号      西淀川区の就学制度の方針の変更について

議案第124号      大正区の就学制度の方針の変更について

議案第125号      住吉区の就学制度の方針の変更について

議案第126号      西成区の就学制度の方針の変更について

議案第127号      職員の人事について

 

なお、議案第127号については、会議規則第6条第1項第2号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく非公開として審議することを決定した。

 

(4)議事要旨

議案第121号「福島区の就学制度の方針の変更について」から第123号「西淀川区の就学制度の方針の変更について」を一括して上程。

三木学校配置計画担当部長からの説明要旨は次のとおりである。

規則において、区長の裁量により設定可能な指定校変更の要件に兄姉関係が追加されたことに伴い、学校選択制により通学区域外の学校へ就学指定された弟妹がいる場合に、受け入れ可能な場合に限り、その同じ学校に兄姉も指定校変更できるようにするという要件を追加する。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【高尾委員】  それぞれ3区について、「時限的な適用」とのことですが、一定期間が過ぎた後の優先的措置はどうなるのですか。弟妹が兄姉のいる学校を選択できる、優先的に入学できるという仕組みは残されるのか、一切なくなるのか。

【三木部長】  制度の趣旨といたしましては、既に兄姉が通学区域内の学校に就学しており、それが理由となり弟妹が自由に選択できないとなれば、弟妹の選択権を制約することになるので、そういう制約がないよう、弟妹が選択する際に姉兄も同じ学校に行けるようにする経過措置です。

 経過措置がなくなった後は、学校選択制の基本に戻るので、入学時に学校を選択する際、兄姉がいる場合の優先関係をどうするかについては、学校選択制の内容として、各区担当教育次長の判断により、きょうだい関係を優先させる、距離関係を優先させるといった、いろんなオプションの1つとしてございます。きょうだい関係を優先させている区もかなりの数あり、それぞれの区の学校選択制の内容に従っていただくことになります。

【高尾委員】  基本的にはわかりました。この3区ではどうなっているかは未確認ですか。

【三木部長】  はい。

【高尾委員】  仮に、兄姉も学校選択制で入学していて、弟妹も学校選択制で入学するが、異なる学校なので同じ学校に行かせたいという場合はどうするのですか。

 具体的には、議案121号で見ると、「2 新たに設定する指定校変更の要件」の上から3行目、「その兄姉も、弟妹と同じ学校へ就学できることとする」という言葉がありますが、「その兄姉も」の前に「学校選択制の対象とならなかった」と付け加えることが必要なのか、あるいは、既に選択された方でもその対象になるのか。兄姉が学校選択制によって選んだ学校に通っていて、弟妹が別の学校に通う場合にも対象になるという趣旨であれば、そのままで結構です。そうではなく、一度選んだ方が再度というのは具合が悪いので、「公平」という意味から、兄姉は学校選択制の対象にならなかったというのが本旨であれば、きちんと付け加えた方が正確なのではないですか。

【三木部長】  規則の第15条第1項第4号でございますが、正確に引用いたしますと、「学校選択制により通学区域外の学校を就学校として指定されている弟又は妹がいる児童生徒、これは兄姉のことである、について、弟又は妹が当該学校に就学する最初の日より、当該学校に就学を希望する場合」とあります。兄姉は学校選択制が導入される前で、通学区域の学校に行かざるを得なかった場合、弟妹が選択する際にそれが足かせになってはいけないので、その場合は兄姉も同じ学校へ行けます。ただし、それは弟妹が就学する最初の日、つまり入学の際に同時に移ってもらうという趣旨です。要は、きょうだいで別々の学校を選択したとか、入学時には移らずに兄姉はそのまま別の学校に通学していたが、途中で同じ学校に通学したいと言われても、規則上それはできません。

 平等を担保するために、選択は入学時の1回限りということであり、その他、施設や受入体制等の制約もありますので、規則上は弟妹の入学時と同一の年度に限って兄姉に指定校変更を認めるという趣旨です。

【高尾委員】  説明に理解しかねるところがありましたが、字面から言うとあまりすっきりせず、方針が定まっていないように思いますので、しっかりした表現になるように、あるいは実際の適用の際に誤解がないようにお願いしたい。実質的な問題はそう出ないと思いますが。

【飯田課長】  委員ご指摘のとおり、学校選択制の対象とならなかった兄姉をという内容です。具体的にそこを表すために時期を限定しておりますので、必然的に学校選択制の対象とならなかった兄姉であるということは読み取れます。学校選択制の対象とならなかった兄姉が対象ということで間違いありません。

 先程の、逆に兄姉が既に在校している場合の優先関係につきましては、福島区、天王寺区、西淀川区のいずれも設定しており、それは今後も引き続き実施されると理解しております。

【大森委員長】  そもそも、学校選択制の対象となっていた年度に兄姉が学校に入学していた場合、弟妹が選ぶ学校に兄姉が移ることは認めないという、そこの根本の考え方に疑問があり、すっきり腹に落ちません。というのは、兄姉の転校を認める根本のところは、兄姉の選択権のためではなく、弟妹の選択権を保障するためです。それなのに、兄姉が一度学校選択制で選んでいる場合は、弟妹が選ぼうとする学校に移れないというのは、弟妹の選択権を侵害していると私は思います。

事務局案の「兄姉は一旦学校を選んでいるので移れない」という理屈は、兄姉だけに着目しています。兄姉の転校を認めるのはなぜか、優先するのはなぜか。弟妹の選択権が制約されないがためにしているのですから、兄姉に選択権があったかどうかは関係ないと思います。

【三木部長】  趣旨としてはわかりますが、今年1月の規則改正は、弟妹の選択権を保障する意味で、学校選択制の対象とならなかった兄姉が通学区域に通っている場合、弟妹が自由に選択できるよう、同時に指定校変更できるというのが本来の趣旨です。そのために選択権がなかった方に限っており、経過措置です。

【大森委員長】  事実を確認したいのですが、我々が教育委員会会議で、4月1日施行の教育委員会規則を審議したのですか。

【三木部長】  はい。1月13日です。

【大森委員長】  議案の中で、既にそういう扱いを定めていたということですか。

【三木部長】  そうです。

【大森委員長】  では、私はその時、そういう問題に気が付かなかったということです。要するに、哲学的、理念的に突き詰めて考えた場合、弟妹の選択権が事実上制約されることを避けるために設定しているのですから、兄姉が入学する当時に選択権があったかどうかは関係ないと思います。当時議決していますので、そこに責任はありますが、むしろここでちゃんと委員間で議論して、修正が必要ならば委員会規則そのものを改定、改正することも何ら不都合はありません。議論を突き詰めておく必要があると思います。該当人数は少ないかもしれませんが、それでもやはり、ロジックが仮におかしいのであれば、それは改めなければなりません。例えば、学校選択制は導入されていたが、通学区域の学校に行くことにした兄姉がいる場合どうなるのですか。弟妹の選ぶ学校への兄姉の転校は優先されるのですか、されないのですか。

【飯田課長】  そのケースも、兄姉は対象にはなりません。学校選択の機会はあくまでも入学時の1回のみという大前提に立っていますので、その時点で校区の学校を選んだか、校区外の学校を選んだかに関わらず、学校選択の機会があったと考えております。

【大森委員長】  その場合、校区の学校を選ぶにしろ、校区外の学校を選ぶにしろ、兄姉にふさわしい学校と、その弟妹が行きたい、あるいはふさわしい学校が、常にイコールである合理的な理由はありません。兄姉にはこちらの学校が向いている、あるいは本人が行きたいと言っているが、弟妹はこちらがいい、向いているということはあり得ます。その場合、異なる学校に兄弟姉妹がばらけてしまうと大変だから、事実上諦めておけという話にならないよう、この規定があるのですから、兄姉が一度の選択権を行使したという理屈で縛るのは目的に即していないと私は思います。

【三木部長】  選択権についてはいろいろと議論があったと思いますが、規則の中で、平等を期するということで、誰もが入学時の一度限りの選択としております。再度の選択は認めていないということが根本にございます。

【大森委員長】  待ってください。今の兄姉の話は学校選択ではなく、指定校変更を認めるかどうかの話です。指定校変更は「選択」ではないので、例えば、いじめなどを事由として変更することはいくらでもあります。学校選択を行った児童生徒であっても、指定校変更は学校選択制とは別の制度であり、いじめのケース等、類似の目的で利用されることはあり得ますが、そもそも「選択権の行使」ということに着目した制度ではありません。

これは弟妹の選択権を実質的に保障するために、兄姉の指定校変更を認めるかどうかという話なので、兄姉の選択権の行使の問題とは切り離さないと理屈が整理されません。

【山本教育長】  おそらく、事務方なり区長会議での議論において、今の委員長ご指摘の観点がなかったわけではないと思います。大前提として、「選択の自由」を保障すると言っても、一定の枠のある問題になります。それが学校選択制であれ、指定校変更であれ、一定の枠の中で希望者が多数の場合は選別をしていかなければなりません。そういう意味で、各々の選択権、あるいは指定校変更を、数の限界があるという前提で、入学時で割り切っていきます。入学時に選択権や変更権がなかった者につきましては、今回、限られた枠の中ではあるが対応するというのが、1月の協議で認証いただいた考え方であったかと思います。

 もしも、規則のあり方を根本的にもう一度考えるということであれば、もう一度元に戻って改めて議論し直して、という形になるのではないかと思います。

【大森委員長】  改めて議論したいと思います。今日の議案では、規則そのものが議案ではないので、改めて議論しないと。仮に私の意見に他の委員が賛同いただける場合でも、この場は規則の議案ではありませんので。

 ただ、今教育長がおっしゃった人数の限りの問題は、これはそもそも指定校変更の対象にした場合でも、「受け入れ可能な場合に限る」という大前提があり、実際運用していると、結構な数の学校で「ダメ」ということがあるのでしょう。

【三木部長】  これも規則の中で、希望者が受入可能人数を上回っている場合には、「公開抽選」という形になっています。実際には、先行している淀川区では1年間で兄姉関係の指定校変更は3件だけということで、その3件はいずれも受け入れができています。

【大森委員長】  今議論しているのは、原理原則でどうするかということなので、今、私は、学校選択制導入以降の者はダメというルールはおかしいのではないかと言っています。

キャパがなければダメというのは、兄弟姉妹の問題に限らず、指定校変更に共通でしょう。いじめ等なら認めざるを得ないでしょうが。

【三木部長】  まず、指定校変更には全市基準と区独自基準があり、全市基準は委員長がおっしゃったような、いじめやネグレクト、卒業の半年前に引っ越したが通っていた学校に引き続き通いたい等であり、これは必ず受け入れることが原則です。

 今議論いただいておりますのは、区が独自に設定できる指定校変更の基準で、これについては区長が区内の小中学校のキャパシティやその他の状況を勘案し、導入するかどうかを判断されることになっております。

【西村委員】  「指定校変更」という言葉がわかりにくいです。誰が指定するのですか。保護者ですか。

【三木部長】  就学校の指定は区長の委任事務です。通学区域が設定されており、通学区域内の小学校、中学校に就学していただきます。それは入学前に区長から通知することになっております。

【西村委員】  区長が保護者に対して通う学校を指定しているのですか。

【大森委員長】  「学校指定」というのは、小中学校の場合、教育委員会が、児童生徒が通学すべき学校を指定するということが、学校教育法施行令に定められておりまして、大原則は、教育委員会が就学すべき学校を指定することになっております。その指定の行為のことを「就学校の指定」といいます。それで、いじめ等さまざまな特例的な理由で、指定された学校以外の別の学校に就学、通学したいという場合に、教育委員会が指定した学校を変更します。これも教育委員会が変更を決定するのですが、これを「指定校の変更」といいます。

 ちなみに、「学校選択制」は指定校変更とは異なり、教育委員会が学校を指定するにあたり、保護者の意向を聴取する行為です。あくまで「意向の聴取」であり、保護者の希望どおりに、選んだとおりにしなければならない法的義務は教育委員会にはなく、教育委員会が自発的に、保護者が希望した学校を就学校として指定するのが学校選択制です。ですから、キャパに問題があれば、当然、「あそこを選びたい、行きたい」と言われても、「そこはダメですよ、満杯ですよ」ということがあり得ます。指定する前に希望を聴取するのが学校選択制、指定後に変更を認めるのが指定校の変更で、別制度です。

【西村委員】  そうすると、指定校を変更するのは教育委員会なのですか。

【大森委員長】  教育委員会です。

【高尾委員】  要するにこの問題は、どれだけ人を公平に扱うかということ、それから、その人の「できるだけ良いところを選びたい」という自由意思をどう調整するかという問題かと思います。いろいろと実情を伺うと、弟妹をどうするか、兄姉と違う学校へ行かせるのか、あるいは優先を認めるのかということで1つ議論が分かれたと思います。概ね、「同じ学校の方が良いのではないか」という意見が多かったように思います。

 それからもう1つ。併せて出てきた問題が、「2回選択する」ということに対する強い反対意見です。やはり選択は平等にして、どんな事情があっても一度限りにしようというのが、地元のご意見として非常に強く出たのではないかと思います。

 それで、この問題を「学校選択制の改善」で議論するのか、それとも「指定校変更」で議論するのか。指定校変更は、先程説明があったように、非常に強い措置ということになります。そういったことも考えると、結局、議論の流れとしては、地域の選択の価値観に任せる、実情を判断したうえでのことにしようとなり、こういう流れができたのではないでしょうか。地域の判断というのは、保護者や地元の意見を聴取したうえで、どちらがいいのかを選ぶ。公正さと自由さということをということで、こういう流れになっている議案ではないかと理解しています。

【大森委員長】  高尾委員のおっしゃるとおりです。それで、区独自の指定校変更理由ということです。全市的に適用するルールではなく、各区の判断で指定校変更の対象に含めるかどうかです。

 ただ、4月に施行された、1月13日にこの会議で決定された教育委員会規則におきましては、学校選択制が導入された以降の兄姉は、その弟妹の入学する学校への指定校変更は、区独自の判断でも認めない規定になっています。区の判断は関係なしに、教育委員会規則で排除されています。

【飯田課長】  規則上はそういう趣旨であることを説明し、了解いただいたと思っております。規則の文言上に「学校選択制の対象になった方は除く」という文言はありませんが、各区の議案はそういう趣旨で、各区の適用期間を設定して諮り、決定することになっていました。規則の文言上、その制約はないのは事実ですが、ここでの説明、議論としては、そういう話であったと理解しています。

【大森委員長】  了解しました。規則の文言上はないという場合は、各区の個別の就学制度の議案ごとに決まるという話ですか。これまで教育委員会が各区に対し、統一的な見解として、そういうことを示してきていると。ということは、今日議案に挙がっている6つの区以外の区も、これまでの教育委員会の見解をベースに検討し、それぞれの区の制度ができ上がっているということですか。今日の6つの区だけに影響する話ではないのですか。

【飯田課長】  そうです。

【大森委員長】  了解しました。文言上はそういう制約はありませんが、運用の際、各区に対して統一見解を示し、そのように運用してもらっていると。規則改正は要しないのかもしれませんが、いずれにしても24区全体に関わる話なので、高尾委員がおっしゃるように、公平、不公平のところで微妙な議論があったことは記憶しています。

 他方で、私自身はやはり、最終的にはキャパという制約がありますが、キャパが許す限りは人為的に制約するのはどうだろうと思います。ましてや弟妹の選択権に関わるという考え方もあり得ると思いますので、いずれにしても今日の6つの区だけに関わる話ではないので、日を改めてその点は議論したいと思います。

 学校選択制の対象になっていない兄姉については指定校変更を認めるというのが、これらの区の議案の趣旨ですが、その他いかがでしょうか。

【高尾委員】  今後の区の方針決定に当たり、今委員長が指摘した趣旨の観点があると、この点も踏まえて検討してもらいたいと伝えてください。

【三木部長】  今日の議論の内容は十分検討させていただきたいと考えております。

【西村委員】  今問題になったことは、本当は、何のために学校選択制を導入したかということです。「競争を促すため」でしょう。一度選択権を行使し、入学したらもう変更できないというのはいかがなものか。移りたい理由としては、「学校が荒れている」、あるいは「学力が低い」といったことだと思いますが、学校選択制は、導入することによって競争を促すことが目的だったので、「途中で移りたい」と言った時に認めないのはどうなのかという気もしないではないと思って聞いていました。だからと言って強く主張するわけではありませんが。

【大森委員長】  西村委員のおっしゃるとおり、入学したけれども期待したのと違うとか、入学後に荒れ出したとか、いろんなことが起こり得ます。「選択の自由を拡大する」という観点からは、入学時だけでなく、常に転校の自由がある方が、子どもや保護者の立場により立ったあり方だとは思います。

 ただ、これまで一切入学時も認めていなかった中で、ある種、児童生徒数の安定性というのは、行政にとって「便宜的」と言えばそうなのですが、これが常に流動、変動するという場合には、行政としての対応が必要になるので、その辺いろいろと議論したと思います。入学時だけに絞るのは、最初の学校選択制の導入としては、ソフトランディングや、そもそもキャパの問題もあるからだったと思います。

 ただ、入学時に1回選んだら、その後どんなに学校の姿が変わっても、あるいは思っていたのと違っても、もう選べません、出ていけません、変えられませんというのは、それは確かにベストとは言えない状態であると思いますので、是非、そういった考え方を正面から言ってもらい、また議論できればと思います。

【帯野委員】  もう一度議論する場を設けるということについては賛成です。西村委員が学校選択制について、よく聞いてくださったと思うが、私もよく意味がわかりませんでした。多分、この学校選択制そのものは、私が就任する前に制度ができたと思うのですが、私は自由に学校を選べるのは素晴らしいと、当時、関わる前にそう思っていたのですが、実際に就任して見てみると極めて限定的で、それは諸事情からそうなっていると思うのですが、理解もなかなか難しい中で、こういう問題に取り組んでいるので、用語1つについても過去の経緯についても、もう少し資料等も用意してもらい、もう一度議論したいです。制度そのものをもし見直すのであれば、そういう議論の場を設けることは良いのではないかと思います。ただ、その場合、いったん導入した制度をどうするかという問題も起こります。しかし、議論をもう一度というのは可能ではないかと思います。

【大森委員長】  まだご発言があるかもしれませんが、忘れないうちに申し上げます。今、帯野委員がおっしゃったとおり、「就学制度の改善について」を議案として決定した時の教育委員は、高尾委員と私だけです。林委員もその後で、西村委員もそう、帯野委員も新しく来られました。山本教育長を含めても、6人のうち、新しい就学制度を正式決定した時にいた委員は2人しかおりませんでしたので、委員が全員知っている前提ではなく、本来であれば本日もそういった配慮が欲しかったところです。

 もう1つは、就学制度の改善が最初にされたのは平成26年4月入学者からです。全ての区が一斉ではありませんが、早い区で平成26年4月1日なので、今2年目です。この制度は、大阪にとっては全く新しく導入した制度なので、この2年間の状況を見て、見直しが必要なのかどうか、制度の修正が必要なのかどうかということを確認、チェックするという意味での見直し時期として、早過ぎるということはないと思います。何かしら課題があれば対応するという、早め早めの見直しということになるかもしれませんが。まだ2年目なので。是非、帯野委員、西村委員がおっしゃったように、制度のそもそものところ、それから、実際に運用してみて、学校や区や、あるいは事務局から、きちんと課題を聴取して見直すと。見直した結果、特に大きな修正は必要ないとなるのか、微修正が必要となるのか、あるいはかなりの修正をした方がいいとなるのか、それは検討すればいい話だと思いますので、早めに見直しプロセスを走らせることにしたいと思います。

【林委員】  1つ明らかにしてもらいたいのは、私自身が知りたいこととして、就学校の指定をする際の優先順位です。先程も話がありましたが、いじめ等を優先して順番に決めていくということでしたが、実際の運用がどのように行われているのかまた教えてください。例えば、距離で指定校変更したい子どもと部活動で指定校変更したい子どもが重なった場合、どちらを優先しているのか。学校長の判断なのか、区長の判断なのか。その辺が気になります。今の話だと、その後に学校選択制の枠ができるということだと思いますので、実際の運用がどうなっているのか。優先順位が曖昧かもしれないし、区によって異なるかもしれないと思ったので、はっきり教えてください。

それと、学校選択制で校区と違う学校を選んだが、通わせてみたら思ったような学校ではなかったというような場合に、校区の学校に戻すことを認めるのかどうかといったことについては議論をして、きちんと決めていけばいいと思います。

 あと、調査をすれば意見として挙がって来ると思いますが、「枠の見直し」ということを、2年経って3年目というところで、少し考えてもいいのではないかと私自身は思っています。やはり枠が狭いという不満の声をよく聞いていますし、抽選で漏れることもあります。逆に、大阪市は広いので、余っていたり、いろんなパターンがあると思いますが、そういう声も聞きます。その辺のところも、調査で挙がってきて検討したらどうかと思います。

【大森委員長】  学校や区や事務局が直面している課題ももちろんですが、同時に、それ以上に大切なのが、保護者がこの2年間の経験をどう受けとめているかということです。私はアンケート調査をやるべきと思います。やっていましたか。

【飯田課長】  やっています。1年目の結果は既に報告させていただいており、2年目の分は今調査票を回収したところです。

【大森委員長】  1ラウンド目は、どんなことを聞いて、どんな結果が出たのですか。

【飯田課長】  選択理由や、情報収集、つまり情報源はどういうところだったのかということ、それと、その中でどういう点を見たのかといったところが主なアンケート項目になっています。

【大森委員長】  見直しの視点は入っていないのでしょう。当然のことながら。実施してみて、どういう理由で選んだのかといったことが知りたかったわけです。1ラウンド、2ラウンドとしては、それは極めて真っ当なことだと思いますが。

この後、今までやった2回の、選択理由等の調査とは視点を変えて、今、林委員がおっしゃったような、制度に不満な部分や、見直してほしい部分や、場合によっては「わかりにくい」というのもあると思います。区ごとに違っているということもあるので。どれぐらい行き渡っているのかということや、キャパシティに限りがある中で、どういう順番で決めているのかといったこともあるでしょう。

現行制度の上で、どういう理由で選んだかはもちろん大事で、2ラウンド調査をやっているということですが、見直しのためにはまた違った視点のアンケート調査というのも必要かと思います。それはまた我々委員と事務局とで議論して、調査の設計をします。あまり保護者に負担をかけない程度の設問数や、必要不可欠な質問は何かということは、詰めていけばいい。

【飯田課長】  現在実施している、1年目、2年目のアンケートの中からも、自由記述では、おっしゃったような「枠が少ない」であるとか、「選択できる範囲が狭い」といったご意見も確かに挙がっています。また、区長会のこども教育部会からも、ある程度中長期的な観点での見直しという点で、また違った形でのアンケートも検討していかなければいけないというご指摘もいただいています。そのあたり、区長会とも相談しながら、教育委員の皆様に協議していただいてという形で考えています。

【大森委員長】  まだ2ラウンドやったばかりなので、早いと思われる向きもあるかもしれませんが、早いくらいでちょうど良いので、見直しの検討を始めます。その際、見直しのための追加アンケート調査についても、内容、設問も含めて、また協議していきたいと思います。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第124号「大正区の就学制度の方針の変更について」を上程。

筋原大正区担当教育次長からの説明要旨は次のとおりである。

大正区において、区が設定する指定校変更の要件として、平成26年度より、小学校は通学距離、中学校は通学距離と部活動を導入していたが、このうち部活動を廃止する。

また、学校選択制により通学区域外の学校へ就学指定された弟妹がいる場合に、受け入れ可能な場合に限り、その同じ学校に兄姉も指定校変更できるようにするという要件を追加する。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  通学距離は、いったん学校選択制で選択の機会があっても、その後も問い合わせ等の実績、実態があると。それに対して部活動の方は、そういうものがないというのが別れ道の理由ですか。

【筋原大正区担当教育次長】  これは大正区の現場の事情ですが、距離の方は、目の前に北恩加島小学校があるのに、少し離れた中泉尾小学校が就学校になってしまうエリアがあり、長年、これは何とかならないかという区民からのニーズがあります。平成26年度から指定校変更でこれに対応し、平成27年度からは学校選択制で対応できておりますが、まだそれ以前に、遠くの中泉尾小学校に通っている児童もおり、「そういう制度ができたのなら、近い北恩加島小学校に行きたい」という声が収束しきっていないと思われます。それが収束し、ゼロになったら学校選択制で対応できると思っており、その状況を見ているということです。

【大森委員長】  部活動の扱いと通学距離の扱いについては、全市的な見解としては何か考え方に違いがあるのですか。

【三木部長】  部活動、距離については、いずれも区の指定校変更の基準に入っています。特に、アンケートでもそうでしたが、中学校については学校選択制の中の選択する理由の1つとして、区域内の学校には行きたい部活動がないが、他のところにあるということで、それで選択されるケースが結構ございます。そういう意味で、学校選択制を導入すると、それによって包括されるというか、学校選択制で対応ができるので、指定校変更する必要性が薄れてきているということがあると思います。距離については、それぞれの学校との距離について地域性がかなりあるので、区の方で、先程、大正区担当教育次長がおっしゃったように、それぞれの実情のもとに運用されているということだと思います。

【林委員】  部活動で希望される方が、学校選択制で必ず希望が叶えられるのかというところについて、抽選でもし外れるようなことがあれば、本人は部活動で他の中学校に行きたかったのに行けなくなります。でも、指定校変更で指定していれば、優先順位が指定校変更の方が高いのであれば、それを使うことによって必ず行けることになるのではないですか。そのあたりが非常に曖昧で、私の中では少し理解できません。統一のルール、例えば優先順位に対する統一のルールがあるのかどうかを教えてください。

【飯田課長】  まずは学校選択制で、受入枠の範囲内で希望をお聞きします。その後、区基準での指定校変更につきましては、その残った枠の範囲内で受け入れができます。指定校変更には先程申しあげたように2つあり、いじめをはじめとする全市基準のものと、区長が設定可能なものがあります。

全市基準のものは、学校選択制で仮に受入枠がいっぱいになっていても、その後に指定校変更で、例えばいじめとか転居とかいうことで申し出があれば、それは必ずお受けすることになっています。受入枠とは一切関係がない形になっています。ただ、指定校変更の区基準のものに関しては、あくまでも学校選択制で残った枠に対して抽選という形になっております。

【大森委員長】  同じ指定校変更でも優先順位として、学校選択制より優先されるもの、それは全市基準である、それと、区基準という、学校選択制よりも優先度が低いものの2つが、同じ指定校変更制度という傘の下に運用されているということですか。

【飯田課長】  そうです。区基準はあくまでも就学通知が出されてからということになりますので、新入生について言えば、どうしても、学校選択制で希望を聞いて就学通知を出すのが先になります。その後、余った枠に対して区基準での指定校変更を受けていきます。

【大森委員長】  同じ指定校変更制度で異なる趣旨のもの、全市基準と区基準があるのは全然構いませんが、全市基準の場合は学校選択制よりも優先され、区基準は学校選択制よりも優先されないというのは、何となく少しすっきりしない感じがあります。間違っている可能性もありますが、今、直感的には、指定校変更というのはやはり本来は、学校選択制よりも優先度の高い事柄に集中するべきかなと思います。本来的にはキャパの問題でもはじかれないようなもの、つまり、「やはり受け入れてあげなくては」というようなものが指定校変更の変更事由になっていて、学校選択制よりも優先しないようなものは、指定校変更制度にはなじみません。むしろ、学校選択制の範疇で処理すると。そこの仕分けがどうも、過渡期ということもあって、学校選択制を導入したばかりで、上級生は学校選択制の恩恵に浴していないから、指定校変更という制度、手段によって、実質的に学校選択制と同様の政策効果を児童、生徒、保護者に与えていると。そういう権利を行使していただいているという側面もあるかと思います。学校選択制が運用されて何年という風になり、上級生も全員経験し、学校選択制の下で校区の学校も含めて学校を選んでいる、という平常化した状態以降は、何となく学校選択制ではなくて指定校変更で救う部分というのは、やはり学校選択制よりも優先度の高い事由に限っていった方が良いのかなと。直感的な、フィーリングで思うが、これは私の今日この場での感覚なので、そういうことも含めて、見直しの時には議論したいと思う。今のフィーリングを前提に話すと、部活動というのはやはり学校選択制よりも優先度が高いというのは困るというか、指定校変更の事由にして、学校選択制よりも優先してしまうというのはクエスチョンはあります。今の私のロジックでいえば。

 通学距離の場合は、これは程度にもよるが、学校選択制だと抽選ではじかれてしまうケースもあるので、あるいはそもそも受け入れキャパがこの学校にはないということもあり得るので、少し部活と違って学校選択制よりも優先度高く救う。ただ、その場合は、一定の基準というのも、市としてか、区としてか、議論が必要だと思います。学校選択制よりも優先して救うとしたらだが。優先して入学を認める、あるいは転校を認めるということになれば。そういう意味では、今の全市的な基準、あるいは区ごとの基準、それぞれについての見解がこうなっている以上は、その下で考えれば、この大正区の提案、通学距離と部活動を区別して、取り扱いに差を設けるというのは、一応ロジックはあるのかなという気がしてきました。

【三木部長】  少し補足すると、学校選択制導入にあたり、平成24年10月に「就学制度の改善について」というものを教育委員会が取りまとめています。その中で、学校選択制の導入と併せて「指定外就学の拡大」ということが取り上げられており、その中で、いじめであるとか心身的な事情、家庭的な事情であるとか、より深刻な必要性の高いものについては全市共通の項目とし、それ以外の通学距離や部活動等については区が設定できる項目として、学校選択制とセットで併せることにより、その範囲を広げていくという方向性が出ています。現在、そういう全市基準と区基準という形になっている経過はあります。

【大森委員長】  おそらく、平成24年秋に決定した議案においては、学校選択制を導入するにあたり、既に入学している子どもたちのことを考えて、そういう就学校の指定校変更の対象の拡大を区ごとに、ということになったのではありませんか。

【小川部長】  当時、学校選択制を担当していたが、大森委員長の受け止めはまさしくそのとおりです。この「就学制度の改善について」を平成24年10月に教育委員会で議決していただきましたが、それに先立って半年間、高尾委員も入っていただき、PTA等の関係者にも入っていただき、「熟議」の場で、指定校変更の事由となるいじめ等は当時既にあったので、そういう現状を踏まえ、どう今後の学校選択制、あるいは指定校変更をしていくのかということを、半年間、いろいろと現場の意見も聞きました。

 具体的に言うと、今でこそ浪速区以外には学校選択制が導入されていますが、当時は、学校選択制、指定校変更、いろいろな意見があったので、平成24年10月の就学制度は二本柱になっている。最初に指定校変更を入れて、それから学校選択制に変わっている区もございます。そういう意味で言うと、部活動なり通学距離というのは、その当時のPTAからの意見で、そのあたりのニーズが最も高いのではないかという意見があったので、項目として入れました。

 ただ、今、大正区で学校選択制を導入すると、学校選択制は選択理由を一切問わないので、そういう意味で外す理由はあるのではないかと。ただ、やはり学校選択制は当時から、PTAからもいろいろとあった制度なので。既に就学しているお子さんに適用するのはどうかというPTAの意見があったので。

 ただ、先程筋原区担当教育次長がおっしゃったように、目の前が違う校区の学校だというケースは大正区以外にもいくつかあるので、そういったお子さんには指定校変更という形で、やはり就学制度で緩和する以上、在校生にもそういう機会は与えるべきだということで入れています。

 そのあたり、大森委員長からもあったように、まだ制度を体系的に整備すべき観点はあると思いますが、趣旨としては、そういう意見も十分にお受けしながら入れています。今、制度の運用で、個々の意見はあるが、大きな混乱が各区で発生しているということはありません。ただ、制度が区により微妙に異なるというのは、例えば転居される方もおられるので、保護者にとって分かりにくいだろうから、議論させていただき、できる限りまず、スタンダードモデルは何なのかということで、多分、区長会、区長にもご意見があると思うので、そういう議論に入っていただき、そこはまた新たな整理はさせていただいたらどうかな、と思っています。

【大森委員長】  ある意味過渡期だから、そういう意味では学校選択制と指定校変更、この2本を使って、あるいは区によっては指定校変更の緩和が先に走って、というこの経過的な時期においては、ある意味そういった複雑な対応というのも、保護者、住民のニーズに対応していたということだと思います。これがある程度定着した状況になっている中で、じゃ、もう少し理屈と制度を整理した方が、むしろ保護者や市民にとって分かりやすく、利用しやすいという時期になりつつあるのではないかと思います。今、西村委員の意見、私も原理原則としては非常に賛成だが、「過激」と言うと語弊があるかもしれませんが、そういった考え方から、今般議案として出されているような、行政的な微修正的なものまで含めて、今日の議案は、あくまで制度の状況とそれに伴う各区に示している見解に基づいて判断しなければバラバラになると思うので、それはそれとして、見直しにおいては、それに縛られない議論をしていくということかと思います。

【林委員】  大正区では、指定校変更の通学距離というのは、学校選択制よりも優先事項なのですか。それとも学校選択制の残った枠で対応するのですか。

【筋原大正区担当教育次長】  残った枠で対応します。

【林委員】  私は、通学距離については優先した方がいいという意見を持っていますが、実情、希望が叶っていない方が多分いないからそういう制度運用をされているのだと推測するのですが、そのあたりはいかがですか。

【筋原大正区担当教育次長】  通学距離は「自宅から最も近い通学区域外の学校が指定校までの直線距離のおおむね2分の1以下の距離にある場合」というルールを設けています。当区の場合は、指定校変更と学校選択制の両方を使いながら、地域のニーズに応えられたということがありますので、今のところ、これで大きな苦情や混乱は起こっておりません。

【大森委員長】  今の林委員のご質問に直接的に追加質問したいのですが、通学距離を理由にして指定校変更の申請をしたけれども、学校選択制に優先しないため、キャパの関係で、この「2分の1」という基準を満たしているがはじかれたケースは皆無なのですか。【筋原大正区担当教育次長】  今のところございませんが、学校選択制では選択理由が分からないので、キャパの問題ではじかれるという可能性がないわけではありません。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議案第125号「住吉区の就学制度の方針の変更について」を上程。

吉田住吉区担当教育次長からの説明要旨は次のとおりである。

 住吉区の学校選択制について、自宅からの通学距離がおおむね2キロメートル以内の小学校を選択範囲とする制限条項について、これを付さない自由選択制へ改正する。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  議案書にも書かれているが、非常に、教育改革を進めていくという心強い考え方が示されていて、元気が出るというところです。同時に、検討にあたって詳細なデータや話し合いを受けて、今般の議案を提案いただいていることについても敬意を表します。質問としては、住吉区の就学制度の総括が必要であると、校長からもそういう意見や声があるということですが、それはどういう観点からの総括をしたいという意見なのか、紹介してください。

【吉田住吉区担当教育次長】  やはり一番根幹にあるのは、導入の是非についてです。もちろん、校長としての立場からの、導入の是非に関する意見は聞いておりませんが、やはり地域の中には、この制度の導入について、ネガティブな意見を持つ方もまだ少なからずおりますので、学校協議会等の場を通じて、校長達もさまざまな意見を区民の皆さんからいただいているので、例えば先程紹介のあった、住吉区のアンケート調査結果はどうなっているのか、区長は今後どのように考えているのかといった質問を相次いでいただいているところです。

【大森委員長】  「導入の是非」というが、既に導入されている。ということは、校長達の意見は端的に言うと「廃止しろ」ということですか。

【吉田住吉区担当教育次長】  公的な意見としては受けておりませんが、立場上そうだと思います。私の感覚ですと、やはりそのような意見を内々持っている校長はいると思っています。ただし、こうした校長連絡会の場で、区民の皆様方とか、あるいは他の校長から、「これは大阪市教育委員会の方針として導入したものなので、それを前提としてこの制度の改善の議論を尽くすべきではないか」という意見が多数を占めているという実態です。

【大森委員長】  仮に、はっきり言っていないにしろ、「総括」ということが、いったん導入した学校選択制そのものの廃止ということを希望してという意味だとすれば、それは保護者や市民全体のこの間の意識変化なり、特に直接該当するお子さん、これから小学校に入学するようなお子さんの保護者の考えがどうかというのは、もうデータから明らかです。それを否定してまで、学校としては学校選択制がない方が良い教育ができるという、ちゃんとした理屈をお持ちならば、是非ここで伺いたいぐらいです。

【吉田住吉区担当教育次長】  私が代弁するのは適切ではないと思っていますが、正式な意思表明ではございませんが、そうしたニュアンスというのは数々の会議で教育関係者からいただいているという実態があります。さらに、実務の現場で、希望される保護者に対する説明の場等で、あたかも学校の方針が学校選択制にネガティブであるかのような説明がかつてあって、区内で問題になったことも実態としてはございます。

【大森委員長】  住吉区の議案書に、「学校選択制をはじめとする改革のDNAを現在の大阪市域に承継する」云々と書いていただいていますが、まさに学校選択制というのは、大阪市の近年の、ここ何年かで進めてきた教育改革の精神を体現する一つの大きな施策、別に全国的に見れば全然目新しくはないが、体現する一つの大きな政策だった、だったというか、現在もそうだと思っています。

 それはなぜかといえば、声なき声、一般の保護者、直接子どもの教育に関わる子どもや保護者の意向を大事にするということであって、地域や学校や団体の有力者の声だけで、行政が何かしらそういう声を優先して制度を決めていくというあり方ではなくて、直接その利益やその逆やらの、影響を受ける人たち、声なき声がどういったことを希望しているのかに基づいて制度を考えるというのが、学校選択制をはじめとする大阪市の近年の教育改革の基本的な考え方だと思います。

 だから、是非それは住吉区においても、理解を広げていくと同時に、やはり、いいことはいいことなので、有力者の声がどうであれ、校長の声がどうであれ、もちろん聞くべきことは聞かなければいけない、校長にしろ、力のある方の声、真っ当なことは聞いていかなければならないし、より良くするために必要なことは取り入れていかなければいけないが。根本の考え方のところで相容れないという部分は、やはりそれはどこを向いて行政するのかという根本のところだと思います。

【帯野委員】  住吉区担当教育次長としては、2キロ制限条項を撤廃して完全な自由選択制にしたいという趣旨であると。

【吉田住吉区担当教育次長】  はい。

【帯野委員】  それともう1つは、この住吉区の改革を1つのモデルとして大阪市全域にというのは、これは2キロ制限条項を撤廃して完全な自由選択制にするということであるのか、あるいは学校選択制そのものをもう一度見直した方が良いのかという、「大阪市全域」にというところは、どちらの方を主張しているのですか。

【吉田住吉区担当教育次長】  その両方です。学校選択制に関しては、今、区長の判断ということで、完全な自由選択制、我が区がめざしているものもあれば、自由選択制であっても距離制限を入れているところも、同じ自由選択制でも2通りあるので、そこは、先程委員長がおっしゃったように、ロジックをどこに置くのかということで、議論はしていかないといけないと思います。住吉区だけが2キロ制限条項を撤廃して済むのかというと、そうではないんだろうと思っています。

 それと、「改革のDNA」全体の問題としては、これまで、先程も事務局から話がありましたが、「アンケート調査」とか、あるいは、「フォーラム」等と称して、ノイジーマイノリティの声が集まりがちなことはやってきたが、本当にサイレントマジョリティの意見を酌み入れて制度設計しているかというと、まだまだ不十分なことがあります。

 当区においては、私が社会調査の仕事を専門にしていたことから、社会調査のツールを導入して、区民全体とか、あるいはこれから小学校に就学する児童、保護者の声を聞いたりなどする手法を導入してサイレントマジョリティの意見を集めるという努力をしました。これはツールの1つであり、他の区においてもやはり、概念だけではなくて、実際にサイレントマジョリティの声を収集するために、どういう風にしたらいいか悩んでおられると思うが、それを具体的に踏み込んで、実施していく必要があると考えています。

【帯野委員】  私個人は、区担当教育次長がそのように判断して、保護者や校長が「完全な自由選択制の方が良い」ということであれば、それはそれで良いのではないかと思います。

 それから、「大阪市全域」ということですが、私はやはり今日いただいた意見は傾聴に値することだと思うし、少なくとも参考にしないといけないと思います。というのは、私は住吉区がそういう意見に至った背景とは別なのですが、私はずっとこの議論を聞いていて、本当にわからないのです。それはおそらく私がそもそも学校選択制ということを議論する時に携わっていなかったということもあるし、私の能力の不足ということがまず第一だと思うので、後でしっかりと説明を受けたいと思うのですが、「学校選択制」というとどこでも自由に選択できると、西村委員がおっしゃったように、転校も、問題があれば自由にできると、普通はそう受け止めると思います。でも事実はそう簡単に、そういう制度にできないので「枠」がついていると。しかし、その「枠」というものを理解するのに、理解しなければならない「枠」があるということ自体に、仕方がないとはいえ、そこは1つ、私も努力がいりました。

 その上で聞いていると、全市基準があって、しかも区独自の基準があって、指定校変更であるとか、学校選択制とか、いろんなものがあって、ずっと説明を聞いていてわからない委員がいるような制度を、本当に市民が理解できるのかな、というところが非常に心配です。やはり制度というものは、市民が努力すればわかるものでなければなりません。できれば努力をしなくてもわかるものでなければならないと思うので、我々はもう一度この学校選択制を議論する時に、今問題があるから、改善するために、より複雑には絶対にしてはならないと思います。やはりいろいろな区民の、市民の声を聞いて、できるだけ多くの市民の声を聞いて、よりシンプルに、より分かりやすくするということを我々は心がけなければならないと思います。そういう意味では、区担当教育次長の意見は非常に貴重であると私は思いました。

【高尾委員】  実は、将来に向けた議論とか、そういうこととは少し違うのですが、小学校、中学校の校長達がいろいろと発言していることについて。短絡的かもしれませんが、私はこれを見て、認識の実態、それから現状の実態、それについて非常に残念な思い、それと同時に、大変苦労をおかけしているという思いがあります。

 論点が大きく3つ程あるかと思いますが、そのうちの2つについては、制度導入以前から論議されて、きちんとそれなりに結論が出てきたことであるが、まだこういう発想が続いているということに1つは驚きを禁じ得ませんでした。

 例えば、ある方はどういうことを言っているかというと、「本来の学校選択制というのは、学校間の競争による教育の活性化が図られるとの趣旨だったが、この間の結果を見ると、その選択動機の多くが通学距離となっている」と主張しています。通学距離で選んではいけないのか。通学距離で選ぶのは悪いことなのか。距離というのは、やはり子どもさんにとっては非常に重要なファクターです。端的に昔からの言葉で言えば、「地域」というのがまさに距離を意識した、その概念上にある言葉である。「選ぶ」ということは、非常に大切なこと、これは一市民、一個人の重要な権利だと思います。その第一歩として、距離で選んでどこが悪いのか。大阪がやった初めてのことです。「距離なんて問題じゃない」、「とにかく指定した学校に行きなさい」というのが、これまでの導入以前の姿でした。それが1点。

 それから、このように言っています。「公立学校の良さは、どの学校でも同様の教育を受けることができるというふうに考えている」。これ、言葉は非常にスムーズかもしれませんが、よく考えると、皆さん少し違和感を感じるところがないでしょうか。つまり、目線の位置です。主語は確かに児童の立場をうまく表現しているように思いますが、同じ教育を受けることができるということは、実はそう言いながら、同じ教育を授ける、子どもたちに授けるという目線がそこには、僕はあるというふうに感じます。

 本当に大切なことは、同じことをやるということなのか。少し考えてみるとそうではなく、実は結果ではないかと思います。子どもさんたちが、どんな学校で、どんな先生についても、やっぱりきちんとした学力がついて、一定程度の学力がついて、社会でも一人前の社会人としてやっていける、あるいは国際社会においても活躍できる、そういったものをきちんと保障してあげる。もちろんそこには人格的なものもきちんとついているはずである。そういうものをつけてやるというのが本来の目的ではないかと。「同様の教育を授ける」という観点ではないはずです。

 そこで、今1つ問題なのだが、ではどうしたらそういう結果というのは客観的に保障されて、結果がついてくるかというと、絶対これは同じ内容の同じ教育をしただけではいかないと思います。なぜかと言えば、そこには当然、児童や生徒の特性があり、あるいは家庭やら地域やら、価値観、将来に対するビジョン、そういったものがさまざまあると思います。だから、それに応じて、いいものを育てていく。間違ったところがあれば、「それはちょっとおかしいよ」と指摘してやる。そういう風な特性をどんどん出していく。そうして、やっぱり一定のレベル、これだけは身につけてほしいというものをつけるというのが教育であろうと。

 そういう意味では、教育において「特色」というのは不可欠なもの、不可分なものであろうと私は思っています。その中で、各学校でベストを尽くしていく。どうしたらうちの子どもたちがきちんとやっていけるかということを考えたときに、そこに特色が出てきます。決して私は、学校選択制における特色というのは奇抜なことをやるのではない、何かすごいことをやって新聞記事に載るということが学校選択制の趣旨ではないよということを何回も言ってきたが、理解されていないのか、という気がします。

 それから、「学校間の競争による」という表現があるけれども、これは真の意味の競争ではないと私は思っています。おそらく想定されているのは、無秩序な戦争状態、そういうことを表しているのではないか。本当の競争というのは、協働を否定するものではない。お互いに学ぶという姿勢がそこには絶対あるはずです。

 それから、2点目であるが、「地元地域との関わりが薄れる」というものがあります。でも、現状どうでしょうか。これほど地域との関わりがダメになった、地域が壊れてしまったという議論があるのでしょうか。実態があるのでしょうか。むしろ僕は逆だと思います。これまでになく、校長達、先生達、保護者の方も関心を持って話をするようになってきました。それはわずかかもしれませんが、大きな前進がそこにはあると思います。

 また、私が関心を持っている防災や減災について、ある中学校の先生はこういう風に仰っています。「災害時に地域の力になれるのは中学生なのだが、遠くから来ている子はなじまない。地域とのつながりが薄れていくのではないか」。他所から来た子は放っておいていいのか。たまたま、別の事情でそこに来た子がいたとして、「なじまないからいいや」ということでいいのか。災害というのは、大人、子どもを問わず、どこに生まれてどこに育ったかということも問わず、ただそこにある、現存するということだけで襲いかかって来ます。そんな時に、こんな議論で進めていっていいのか。やはりそこにいるのは、同じ区民じゃないか。同じ市民じゃないか。同じ日本人じゃないか。同じ人間じゃないか。その観点が僕は非常に薄れているように思います。

 仮に違った距離から来ている子がいるとしても、その子を見捨てるのか。その子はむしろ将来、2つの地域をまたいで発展する架け橋になるかもしれません。そういうことに思いを至しているのかなという気がします。その2つが、これまでにも随分と議論されて、あえてまた私が言わないといけないのかなと思いました。

 もう1つ、追加して申し上げると、ある小学校の先生から、「学校選択制はいいけれども、高学年になって、遠距離通学などで選択したことに疑問を持った場合どうしたらいいのか。途中でその生徒が疑問を持ったらどうなるか」という意見が出されています。しかし、それが直接に、学校選択制全体をやめろという議論になるのでしょうか。

 例えば、もう1つの裏をひっくり返してみれば、生徒が、学校選択制が導入されない段階で、指定されたままの学校に行って、「何で私はもっと好きなところへ行けなかったんだろう」、「変わりたいな」、例えばいじめがある、「そんなところより、私はもっと違うところできちんとした教育を受けられるところに行きたい」という疑問を持った子どもに対して、どう応えるのか。おそらく、私は、入ってから、選択した後に疑問を持ったということよりも、後者の方が多いと思います。また、私は子どもさんが親といっしょになした決断というのはきちんと尊重したいなと思います。

 以上、雑多な問題であるが、ただ、私たちとして、やはり注意しないといけないのは、特別支援学校への支援については、きちんと取り上げていかなければ、対応を持っていかなければいけない論点であろうかと。これは真摯に受けとめて、現場に問題を聞いて、本当に学校選択制で受け入れるような体制作り、さらにその発展というのを、子どもにとってのベストな道を準備してあげることが必要なんだろうということが、私は学び取るべきだろうという風に思います。

 私が今申し上げたことは、発言された校長がいない場で一方的に申し上げることで、本当にフェアでないかもしれません。もし事務局で、校長達に、「こんな意見を言う教育委員がいたけど、あなたはどう思うか」ということを聞く機会があったら、是非聞いてきてもらい、また、それに対する反論、学校選択制はやめるべきだというご意見があったら、紹介してもらいたいと思います。もしかしたら校長も地域の声を反映してそう言っているのかもしれない。私はそれを聞いてみたいです。

【大森委員長】  今後の見直しというのを考える上で、本日の住吉区の議案、つまり、小学校の2キロメートル制限条項を撤廃するということは、1つ大きな考え方をお示しいただいていると。つまり、選択の自由をできるだけ拡大していく方向というのと、帯野委員がおっしゃったように、できるだけわかりやすいシンプルな制度構造に、こうやって一定進捗して、経過期間が過ぎたところで、見直し、制度を再設計するにあたっては、そういう、選択の自由の拡大とシンプル化、制度の仕組みをシンプルにして、できるだけ保護者の方々、あるいは児童生徒にわかりやすくするということ。これは重要な原則のうちの2つだろうと思います。

 それから、高尾委員が言及された、別に特定の学校、特定の校長という趣旨は全くないが、「公立学校の良さはどこの学校でも同様の教育を受けることができる」という、ある校長の発言があるけれども、現実には、公立学校であればどこの学校でも同様の質の教育が受けられているということはないということは、大阪に限らず、日本全国、あるいは世界中見渡しても厳然たる事実であり、公立学校であれば同様の質の教育が受けられるというのは、本気でそうおっしゃるならフィクションです。ただし、公立学校である以上は、一定以上の質の教育を保障すべきであると。それは学力という側面においても、あるいは問題行動、学校の荒れ、そういうものがないということにおいても同様ですが、一定以上の質を保障すべきであるということにおいては正しい。ただし、現実にその保障も、残念ながらなされていないということは、我々認めざるを得ないと思います。

 大阪市において、学力の問題、それから生活指導の問題、特に厳しい現実、現状があって、それを目に見えて改善できていないということは我々の責任でもありますが、同時に、程度の差はあれ、日本全国あるいは広げれば世界中に、そういう問題、課題というのは程度の差はあってもあるわけであって、教育の質あるいは状況、そういうものに保護者、児童生徒が反応する1つの手段が学校を選ぶという行為です。

 ただし、学校を選ぶにあたっては、必ずしも教育の質とか特色とか、そういった教育内容や教育方法に着目して選ぶとは限らないわけで、それは通学距離の方がその保護者や子どもにとって重大であれば通学距離を優先して選ばれるだろうし、それはもう選択する者の判断なわけです。それを、ある意味では2キロメートル制限条項というのは制約してしまっているわけで、子どもが通うべき学校を誰が判断するかというのは、保護者よりも行政、つまり教育委員会とか校長の方が、保護者よりも適切に一人一人の子どものための学校を選べる、指定できるという考え方が、今もって「就学すべき学校の指定」という日本の教育制度の根幹をなしているわけです。その例外として、自治体の判断で学校選択制を実施しても良いとなったのが数年前です。

 だから、今もって行政の方が子どもや保護者よりも、どの学校がその子に良いかというのを適切に判断できると。子どもや保護者に判断を任せると危ないと、そういう考え方は、適切な日本語がないんですが、英語では「パターナリズム」と言いますが、まさに制度の根幹が、就学校の指定制度というのはそういうところに立っています。

 それに対して、究極的には、西村委員がおっしゃったように、究極の姿としてはやはり、めざすべき方向は子ども、保護者がイメージどおり選べると。あるいは帯野委員がおっしゃったように、「学校選択制と言われれば、普通、自由に選べると思いますよね」という、まさにそれが究極にめざすべき方向性だと思います。そして、その制度の仕組みは、複雑さは極力排して、単純明快な方がベターであるということです。

 あと、学校選択制というのは、教育行政あるいは教育政策の考え方、あるいは教育改革の考え方として、これ単独であることではなくて、先ほど、通学距離とかで選ぶことももちろん結構ですが、教育の中身、そこには部活ということも入って来ますが、教育の中身あるいは教育の方法、端的に学力の絶対水準というよりは、その学校に行けば、いる間にどれだけ学力を向上させてくれるかという意味での学力を上げる力、それから、もちろん生活指導上の問題があまりないようにするとか減らすとか、そういったことは校長や教職員の力によって大きく変わる部分であり、そういう部分への保護者や子どもの望む方向への変化というのを刺激するという意味での応答性というか、そういう意味合いも、通学距離なんかと並んで重要であって、どういう理由で選ばれようと、それは選択する方の権利、自由なわけであるけれども、その応答性という部分でいけば、本当は選ばれる学校になるためには校長が教職員をきちんとリードし、マネジメントできなければいけないわけであって、人事も含めて、自分の学校経営にふさわしい教職員を揃えるとか、そういったこと。ただし、校長は自分の在任期間中に、学力であれば、例えば中学校のチャレンジテストとか、大阪市で導入を決めた大阪市統一テストとか、あるいは全国学力調査結果、そういったものにおいて在任中にどう引き上げていくかとか、あるいは生活指導上の問題をどう減らしていくかとか、そういったものを校長に対して、できるだけ客観的なデータをとれるものはとって、きちんと責任を問うていく。同時に、人事も含めて、校長の権限を拡大していく。さらには校長と教頭の処遇を改善し、本当にマネジメントする職、つまり子どもや保護者が行きたいと思うような学校により良く改善していくことを、きちんと目に見える責任を問うとともに、その権限を持ってもらうと。そしてそれに見合う処遇、給与も含めてしていくというトータルの教育の仕組み、教育行政の仕組み、学校運営の仕組みというものがあることによって、本当は学校選択制の意義が今以上にプラスの意味を増していくわけなのですが、現状は残念ながら、大阪市においてもさまざまな工夫、校長の権限や裁量の拡大、予算面の、例えば校長戦略予算等も含めて、あるいは人事についても校長による教職員の公募とか、さまざまなことをやってきてはいますが、では、校長や教職員の意識、行動が大きく変わるというところまで、日本の制度の中で大阪の制度が変わったかと言えば、その制度も意識も十分には変わっていないというか、もっと率直に言えば、ほとんど変わってないというのが冷静な自己評価かなと私自身は思っています。

 だから、そういう改革の方向性を、学校選択制に留まらず、その意味が持つ改革の方向性というのは、そういうものだと私自身は解釈、受けとめています。これは他の委員の皆様に解釈を強制するつもりは毛頭ございませんが、少なくともこれまで進めてきた改革は、大体そういう方向性をめざしてきました。ただし、現状は少しも実態が変わったと言える状況にはまだまだ全然ないと、私自身は自己評価しています。

【林委員】  私も、今回の提案に関しては賛成の立場をとっています。ここで議決されると、来年度から小学校も自由選択制になるということで、私が気になるのは、児童の通学の安全性です。小学校の校長の代表的な意見としても、やはり保護者責任ではありますが、学校としては不安があるという部分、ここをどう担保し、不安部分をある程度解消していくかということが大事ではないかと思います。

 保護者責任であるということは明確でありますが、やはりそこの部分の具体的なところを説明会ではきちんと説明していかないと、選択してから事故、事件が起こっては困るし、保護者がきちんと責任をとれない状況になることもあろうと思いますので、そのようなことも想定しながら、やはりきちんと区としても対応していく必要があるのではないかと思います。

 この議論の中で、区として安全確保は実施してきているという回答をしている部分がありますが、具体的に住吉区として取り組んでいることを少し聞かせてください。

【吉田住吉区担当教育次長】  今回の提案に関すれば、2キロメートルの内外で差を設けることにより、あたかも2キロメートルの中には区役所や学校に責任があるとなると、これは制度矛盾であるということから、この改正を提案いたしましたが、校長達には、校区の中であろうと外であろうと、公務員、校長も含めて、その安全の保障には責任があるんですよということを申し上げています。

 区役所としては、通学路であるとないとを問わず、あるいは通学時間であるとないとを問わず、子どもたちの安全は保障していかなければなりません。犯罪者の数は変わらないので、ここを抑えればここに出てくるということになるので、区全体の安全を保障していくということに努めております。

 先程お話させていただいたとおり、住吉区では子ども見守り隊の連携が非常に各地区でとられており、おそらく24区では、子ども見守り隊の連絡会というものを作っている区は、我が区をおいてはないと思っております。そうした横の連携とか、防犯カメラを公設置公営で、これも大阪市には今まであまり主流でなかった概念ですが、公設置公営で住吉警察の協力を得ながら設置したり、もちろんどこの区でもやっているように、防犯教室とか、ありとあらゆる策を通じて、時間を問わず、場所を問わず、子どもたちが安全に学び、遊べる環境に特に力を入れて、この3年間やってまいりました。

【林委員】  中学校では自転車通学は禁止であるという明確なルールがありますが、小学生が通う場合、保護者責任ということですが、具体的には、例えば公共交通機関を用いて通学するということも区の端から端ならあると思うのですが、このあたりに関してはどうお考えですか。

【吉田住吉区担当教育次長】  これは全市統一のルールがあるので、今、公共交通機関を利用してというのは想定しておりません。ただし、委員がおっしゃるように、今後のことを考えると、公共交通機関を利用して子どもたちが通学することに何の問題があるのかといったことも含めて、議論をする必要は今後は出てくると、私は個人的には考えております。

【林委員】  市のルールがあるということですが、全市に広げていくにあたっても、やはりこのあたりはクリアにしていく部分だと思います。

 いろんなことが想定されるので、いろんなことを区として、また市として考えていかなくてはいけないというところがあると思いますが、もう1点、これを進めていって、枠も広げていってということになって、選択が進んでいくと、選択されない学校というものが出てくるのではないかと。そこに対して、教育委員会としてきちんと対策を打ちフォローしていく必要があると、今回、あらためて私は感じた次第です。

【大森委員長】  実は、ここの資料に載っている校長達が仰っていることは、別に何か特別なことでも何でもなくて、日本全国あるいは海外でも同じですが、必ず学校選択制に消極的反対ないし消極的な方、それは校長に限らず、一般市民の方であれ誰であれ、あるいはいわゆる有識者と言われる方々であっても、そっくりです。特に独自性などありません。これは熟議の段階から明らかでしたが、消極的な意見というのは大阪特有の何かということは全くなく、大阪に先行して、東京とか関東は随分早かったので、そちらとか、あるいは海外で学校選択制を実施している国であるとか、どこでも本当に驚くほど同じような理由で学校選択制反対とかやめるべきとか、はっきり言えばそういう意見、もう少し婉曲にぼかして言うにしても、挙げられる理由やトピックというのは本当にそっくりです。

 私は、最終的にはこの議案に賛成であり、具体的な住吉区の議案の中身、2キロメートル制限撤廃という判断に賛成するのですが、もちろん通学の安全の確保ということをきちんと詰めなければいけません。ただ、先程申し上げたように、パターナリズムという片仮名を使って恐縮であったが、やはり根本のところは誰がその子どもの教育、その子どもの通う学校を選ぶ、判断するというのが原則であるべきかという根本のところ、それを、2キロにしろ何キロにしろ、あるいは通学距離、あるいはそれ以外の事由でもって行政、教育委員会や学校等行政サイドが制約するのではなくて、根本原則はやはり当事者に決めてもらう、判断してもらうというのが根本的なところで、では交通の安全であるとか、犯罪に遭わないとか、そのための工夫というのを地域の方々の協力も得ながらやっていくという行政としての責任を十分その上で果たすということで、それがあるから選択はダメだという考え方は、私はおかしいと思い、パターナリズムという片仮名を使って申し上げた次第です。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第126号「西成区の就学制度の方針の変更について」を上程。

臣永西成区担当教育次長からの説明要旨は次のとおりである。

 

 西成区における就学制度について、小学校において、隣接区域選択制に加え、中学校区を1つのブロックとしたブロック選択制を併用する。また、現在、校区は面で接している校区を隣接としているが、点で接している校区も隣接として選択できるよう変更する。さらに、学校選択制により通学区域外の学校へ就学指定された弟妹がいる場合に、受け入れ可能な場合に限り、その同じ学校に兄姉も指定校変更できるようにするという要件を追加する。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  中学校区を1つのブロックとしたブロック選択制が影響するのは、今説明があった橘小学校と天下茶屋小学校だけで、その他については隣接区域選択制によって事実上中学校区によるブロック選択制も実現されてしまっているという理解で正しいですか。

【臣永西成区担当教育次長】  そのとおりです。

【大森委員長】  それから、「点と面」という話がありましたが、それは規定上、これまでの西成区の就学制度においては、明文上、「点はダメ」となっているのですか。

【臣永西成区担当教育次長】  「点はダメ」と注意書きをしているわけではありませんが、「接する」ということで、あくまで地図上で言うとラインのように面で接しているということを前提にしていました。

【大森委員長】  では、文章に書いてあるわけではなかったが、運用上そのように解釈していたということですか。

【臣永西成区担当教育次長】  理解としてはそうです。ピンポイントで接しているところを想定していなかったということです。現実的には、接しているということで言えば、地図上で点で接しているというケースもあり得るので、これも拡大というか、きちんと解釈していくとすれば、そういう範囲を広げるべきではないかという理解です。

【大森委員長】  点と線の話も、ブロック選択制の話も、どちらについても保護者の方々ないし住民の方々からそういう要望、あるいは疑問、「選べるのではないのか」といった誤解等、何かしらあって、それを受けてということなのですか。それとも、ある意味、区役所の方で、より制度を合理化、改善した方が良いだろうという考えがあったのですか。

【臣永西成区担当教育次長】  趣旨としては、学校選択制の可能性をできるだけ広げておくべきだという趣旨の下での区の判断と、それから、各地域を回っていたところ、やはり「選択肢は広い方が良い」という声も実際にあるので、その両面である。

【高尾委員】  金塚小学校、晴明丘小学校、晴明丘南小学校、これは阿倍野区にあるのですか。これは西成区と阿倍野区で相互協定を結んで、フリーにそれぞれ通えるエリアを設定したということなのですか。

【臣永西成区担当教育次長】  区が異なるので、あくまで阿倍野区は阿倍野区側の学校選択制の中に入っています。元々の校区も異なっています。この辺は、行政区の境が戦中戦後で一時変わったりしており、西成区の判断はここには及んでおりません。

【飯田課長】  「就学制度の改善について」の中で、基本的に、お住まいの区の就学制度に則るということが定められているので、西成区にお住まいで、阿倍野区の小学校が通学区域の学校として指定されている所が3校ございますが、その方々についても、阿倍野区の通学区域の学校を選んでいただくか、もしくは西成区の制度に則って選択できる学校を選択していただくかということになると考えております。

【西村委員】  改正後の案のところに金塚小学校と晴明丘小学校と晴明丘南小学校があり、一見すると西成区の小学校かと思いました。

【小川部長】  行政区は西成区なのですが、一部、阿倍野区にあるこの3校が通学区域として指定されているところがあり、西成区と阿倍野区という行政の区切りと、通学区域、校区が一致していないところがあります。それがこの3校であり、阿倍野区の区域に隣接している区域になっており、ここにお住まいの方は、従来はここに書いている金塚小学校なり晴明丘小学校、晴明丘南小学校なのですが、行政区的には西成区の住所になっているので、その方も、西成区が学校選択制を導入したので、例えば金塚小学校の区域の方であれば、今後は天下茶屋小学校も選べるということになります。市内でも非常に希有な事例です。普通は学校の校区と行政区は合っているのですが、ここに関しては歴史的な戦前からの経過があり、現在も合っていないことから生じている事例です。

【大森委員長】  行政区としては西成区だが、阿倍野区の学校が通学区域になっているというお子さん、保護者の場合、西成区の学校を選択できるだけではなくて、阿倍野区のその校区以外の学校も選択できるのですか。

【飯田課長】  阿倍野区のその通学区域以外の学校は選択できません。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第127号「職員の人事について」を上程。

井上教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 

 小学校の教諭について、大阪市内にある大型レジャー施設の休憩室において、自身の隣に寝ていた18歳未満の児童に対して身体を触るわいせつ行為を行ったことにより、地方公務員法第29条1項1号及び第3号に基づく懲戒処分として、免職するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】 反省の弁として、「さわったら寝ている子どもが目を覚ますかなと思いさわってしまった」というこの理由は、わいせつ目的ではなくて、子どもを起こしてあげようという目的であったと言っているのですか。

【有上係長】  本人は、わいせつ目的ではないと強く述べておりまして、さわることによって寝ている子どもが起きるかな、どうかなと、酔った頭で考えながらさわってしまったというふうに、ちょっと理解しがたいのですが、本人はそのようなことを述べております。

【大森委員長】  わいせつ目的ではなくて、酔っぱらった頭脳の中で好奇心が湧いたと。

【有上係長】  さわって起きるかどうかというところに興味を持って、さわってしまったと。

【大森委員長】  それは真実ではないという判断で、この処分を行うわけでしょうか。

【有上係長】  人事監察委員のほうにも意見を賜りまして、本人はそう述べていたとしても、わいせつ目的というところは否定できないと聞いておりますので、こちらとしては、本人はそう述べておりますけれども、結果自体は、わいせつというふうに認定をして、免職ということを案として上げております。

【大森委員長】  職員基本条例の別表においてはどのように記載されておりますか。

【井上部長】  教職員が18歳未満の者にわいせつ行為を行うことに。

【大森委員長】  「わいせつ行為」ですよね。

【井上部長】  はい、行為です。

【大森委員長】  「わいせつな目的を持って」とは書いてないわけですね。

【井上部長】  意図ではなくて、行為そのものですね。

【大森委員長】  行為そのものの客観的なわいせつ性ですよね。ですから、本人の主観的な目的が別だった、これが仮に真実だとしても、行為が外形的にわいせつな行為であるということが事実認定できれば、それに該当する処分となるのですね。

 ご本人はもう分かっていらっしゃるのですよね。厳しい処分となるということは。

【有上係長】  はい。認識は持たれております。基本的に条例の説明はさせていただいており、わいせつ行為があれば、教職員の場合は免職ということが一般的に該当しますということを説明しております。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

(5)大森委員長より閉会を宣告。

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