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【第51号】「誰にでも起こりうる不登校1~未然に防ぐために家族にできること~」一般社団法人家庭教育支援センターペアレンツキャンプ代表理事 水野 達朗

2019年3月20日

ページ番号:332997

<家庭が全ての教育の出発点>

私は不登校支援の専門家として、全国の多くの不登校の子どもたちの復学支援に従事し学校へ戻る姿を見届けてまいりました。不登校の主体は児童・生徒ではありますが、支援を通じて外からは見えにくい家庭内の現実を見てきました。また家庭の在り方にまで切り込んでいかなければならない場面がありました。

その中で、「もっと早く家庭内で保護者が対応できていれば子どもも保護者も苦しまずに済んだだろうに」と痛感させられることは少なくありません。

もちろん不登校を解決するのも重要な支援ですが、不登校になってしまう前に未然予防する支援がとても重要な時代になってきたことを感じます。


<未然予防のための家庭教育支援の重要性>

不登校を未然予防する上で大切なのが、実は家庭教育なのです。

子どもは家庭で社会に出るための基礎を身につけ、学校という社会で実践的に経験を積んで成長していきます。

子どもが学校社会で課題を乗り越え成長していくための基礎をしっかりと身につけるために、まずは、保護者自身が我が子に適した家庭教育を学んでいくことが大切です。

そして、親子のコミュニケーションを通じて自立心やストレス耐性、協調性や社会性などを育んでいくことが、不登校の未然予防につながるケースが近年増えてきていると私は考えます。

<こんなコミュニケーションしていませんか?(我が家の家庭の傾向を知ろう)>

不登校は「いじめ」や「発達障がい」や「教員の質」だけの問題ではありません。実は子どもの性格傾向やコミュニケーション力に起因する不登校が増えてきているのです。

私は不登校の復学支援と家庭教育支援に携わる中で、親子のコミュニケーションの在り方に注目して支援を行ってきました。

ここでは皆さんに自分の子育てを振り返ってもらうために、不登校につながるリスクがある4つのパターンの子育てスタイルについて説明していきます。


1 過干渉傾向タイプ

親子の会話を振り返った時に、「お風呂入りなさい」「勉強しなさい」「ゲー

ムはそろそろやめなさい」などと、命令や指示や提案(私はこの3つを合わせてメシテイと呼んでいます)が多い親子コミュニケーションになっているタイプです。

なぜ保護者はこのように過干渉になるのでしょう。

それは、何を持って過干渉なのか、どこからが必要なしつけなのかという明確な線引きがわからないため、ついつい親心で子どもに干渉したり、年齢以上に幼く扱ったりしてしまうということにつきます。ひと言でいえば「子どもに失敗をさせたくない」保護者の方が当てはまります。

このタイプの家庭では、「宿題した?」「忘れ物はない?」「はやく食べなさい」「もう時間よ」などいつもお子さんの行動を監視してしまいます。

行動しない子どもに対して保護者はイライラしがちです。なので、今よりも保護者は子どもが自分から行動するまで「待つ」努力をし、メシテイ(命令・指示・提案)ではなく保護者の気持ちを伝える対応(お母さんは心配だわ。お母さんは悲しいよ。など)を活用することによってお子さんの自立心を育むことが大切になります。

何か注意をするときには「子どもがその行為をしたら困るのは本人なのか保護者なのか」を考え、一呼吸置いてから行動に移るように努力してみましょう。困るのが子ども本人の場合、注意は不要です。その結果を子ども本人に経験させるほうが子どもの行動は変わりやすいです。

この過干渉タイプの保護者はお子さんに大きな問題があらわれない限り自覚症状がないケースが多いです。不登校や非行などの問題が起こってからでは大変です。

「この子は私がいないとひとりでは何もできないから……」と決めつけていませんか。

その対応がお子さんの「年相応の自立」にとって有意義なことなのか、よく考えてみましょう。

2 放任傾向タイプ

会話の中にメシテイがなく、なおかつ保護者発信で親の気持ちを伝えることもないのがこのタイプです。また、子どもからの会話に対してどうこたえればいいのかがわからないと感じられる保護者の方もこのタイプとなります。

親子の対話はお子さんの心の成長を促し、コミュニケーション能力を育む場です。社会のルールなどもしつけとして子どもに伝えていくことも求められます。お子さんからの問いかけには共感的な姿勢で対話してみましょう。この共感的な保護者の姿勢については次回のコラムにてさらに詳しくご説明しますので楽しみにしておいてくださいね。

中には会話をせずとも保護者の背中を見せて育てたいと思われている方もいることでしょう。しかし子どもの方は「保護者の考えを聞きたい」「保護者に話を聞いてもらいたい」と思っていることもあります。

その場合は保護者自身の経験や考えを話してあげましょう。これは自己開示と呼ばれるカウンセラーのテクニックで家庭教育の場でも効果的です。


3 子ども上位タイプ

家庭内で子どもが『王子様・お姫様』のようになっているタイプ。

子どもの性格傾向は自分本位でワガママ、自立心が低く、我慢力がないことなどが挙げられます。保護者からすれば驚くほど小さな理由の「挫折」を学校で経験してそのまま不登校になるパターンが多いです。

簡単に言えば王様(子)に召使い(親)が何を言っても聞かない状態ということです。保護者の立場が低く子ども上位になっているタイプと言えます。

家庭内の雰囲気としては、保護者が子どもの言いなり状態。子どももそれが当然であるかのように振る舞っています。「ママ。すぐにポテチ買ってきて」「ママ、かばんから水筒出しといてね」「パソコンすぐに交代して」などの行動が目立ちます。

このタイプでは子どもの発言のすべてを受容するのではなく、「気持ちをくんだ上で非受容」という態度が望まれます。

例えば子どもが「お菓子買ってきて」と言ってきたとしましょう。そのときには「お菓子が食べたい」という子どもの気持ちは共感的に聞き、「お菓子を保護者が買いに行く」ということに対しては非受容の態度で接します。返答としては「お菓子が食べたいのね(共感)。でも今ママは買いにはいかないよ(非受容)。」となります、

保護者が明日死んでも自分で考え行動できる子どもに育てるのが家庭教育の究極目標であると私は講演会などでよくお話します。果たして子どもに不快感を一切与えないことが自立につながるのかということを考えてほしいタイプとも言えます。

4 親が期待過剰タイプ

保護者としては子どもが優秀な成績をとったり、スポーツや習い事で他の子さんよりも抜きん出た結果を残すとうれしいものです。しかし、上に立つ者がいれば下に位置する者もいるのが社会の常です。常に我が子がグループのトップに居続けることのみが幸せではないということに、早期に親が気づいてあげることが大切です。

このタイプの親子コミュニケーションの特徴としては、保護者の会話のほとんどが「子を褒めること」と「子を叱ること」になっています。

時に子どもの成績のことでヒステリックになることもしばしば見受けられます。成績があがったり、習い事で賞をとったりすると、まるで自分自身のことのように喜んでお子さんを褒めます。逆に成績が下がったり、思いのほか成績が上がらなかったりした時に保護者がヒステリックになりがちです。

子どもの成績が上がって褒められることに慣れると下がったときに思いのほか精神的にダメージを受けがちになります。私たちだって頑張っても成績が伴わないなんてことはありますよね。でも保護者は数字しか判断せずに頑張りは褒めてくれないとなればかわいそうでしょう。

この子育てタイプの子どもの性格傾向としては、保護者のプレッシャーの影響で家の中では本当の自分を出すことが出来ず、家と外での態度が極端に違う子が見られます。

また成績について幼少の頃から言われてきた子は結果が出なくなると心を支えていたものがポキンと折れて異常に卑屈(僕なんて〇〇してもできない・どうせ〇〇なんだから無理など)な性格になる傾向もあります。また、周囲の友達に対しても成績という物差しでしか人を判断出来ず、うまく人間関係が作れなくなることもあります。

子どもに対して期待過剰な保護者は、ついついご自身の夢や希望をお子さんに投影しがちです。ですので、保護者の価値観を押しつけないことを意識した対応が大切です。

真の勝者は「自分の考えで行動し、その結果を自分で受け止めた上で次に進める子」ではないでしょうか。

今回のコラムでは不登校につながるリスクのある4つの子育てタイプについて説明しました。

この4つのタイプがすべて不登校に直結するわけではありません。あくまでも参考程度に自分の子育てがこの4つのタイプになっていないか振り返ってみましょう。

その上で子どもの年相応の自立心と社会性を育む家庭教育を意識して取り組んでいきましょう。

<ころんでも立ち上がれる子に育てましょう>

最後に不登校を未然予防し、子どもの社会性や自立心を伸ばす秘訣をお伝えします。

それは真の保護者の愛情とは「目先のかわいそう」を取り除くことではなく「将来的なかわいそう」を取り除くことを意識することです。

親心としては子どもが躓きそうな時に手を差し伸べて「目先のかわいそう」を取り除いてあげたくなります。しかし、子どもはそれによって「つまずいた経験」と「それを乗り越えた経験」の2つを得ることができません。

これらの経験が極端に少ない子は自分で課題を乗り越えることができなくなってしまいます。そして、学校のように保護者が側にいてくれない環境で課題にぶつかった時、「学校に行きたくない」「学校に行けない」となってしまうこともあります。

不登校は保護者のせいでもなければ子どものせいでもなく、学校のせいでもありません。ケースごとに複合的に絡み合ったものばかりです。

その大前提がある中で、今回は家庭教育という視点で不登校の未然予防の重要性についてお話をしました。


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