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平成28年第7回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:363524

平成28年第7回教育委員会会議

日時

平成28年3月30日 水曜日 午前10時15分~午後0時30分

場所

大阪市役所本庁舎7階市会第5委員会室

出席者

大森不二雄  委員長

林  園美  委員長職務代理者

高尾 元久  委員

西村 和雄  委員

帯野久美子  委員

 

山本 晋次  教育長

寳田 啓行  教育次長

大継 章嘉  教育次長

沼守 誠也  教育監

小川 芳和  総務部長

多田 勝哉  教育改革推進担当部長

三木 信夫  学校配置計画担当部長

井上 省三  教務部長

松本 勝己  生涯学習部長

加藤 博之  指導部長

岡田 和子  学力向上支援担当部長

源  俊司  学校経営管理センター所長

林田 国彦  教育センター所長

山野 敏和  教職員人事担当課長

本  教宏  教職員制度担当課長

益成  誠  教職員給与・厚生担当課長

水口 裕輝  首席管理主事

松本 哲弥  教職員給与・厚生担当課長代理

中野 泰裕  教職員給与・厚生担当課長代理

樫根  剛  教務部担当係長

忍  康彦  教職員服務・監察担当課長

栗信雄一郎  教職員服務・監察担当課長代理

田岡  進  教務部担当係長

森本 義範  中学校教育担当課長

眞野 麻美  中学校教育担当課長

大西 啓嗣  指導部総括指導主事

平田 和也  指導部主任指導主事

奥野 直健  指導部主任指導主事

塩見 暢朗  指導部総括指導主事

綾野 宏一  指導部主任指導主事

山東 昌弘  総務課担当係長

川阪  明  総務課長

松浦  令  総務課長代理

東川 英俊  総務課担当係長

ほか係員2名

議題

議案第77号        権限移譲に伴う新たな教職員人事給与制度の基本的な考え方(素案)について

議案第78号        平成29年度大阪府公立高等学校入学者選抜における調査書に記載する評定等に関する方針について

議案第79号        大阪市教育委員会教育長専決規則の一部を改正する規則案 【継続審議】

議案第80号        大阪市教育委員会職員安全衛生管理規則の一部を改正する規則案

議案第81号        教育長の職務代理者に係る職務の委任等に関する規則案

議案第82号        教員と教科書出版社との接触について(方針案)

報告第4号        職員の人事について

議事要旨

議案第77号「権限移譲に伴う新たな教職員人事給与制度の基本的な考え方(素案)について」を上程。

井上教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 平成29年度より人事、給与にかかる事務権限が都道府県から指定都市に権限が移譲されることに伴い、教職員の人材育成に資する新たな人事給与制度のあり方についての考え方を諮るものである。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【大森委員長】  ここで示されている考え方に基づく制度設計というのは、当初から、使用可能な財源の範囲でそういう制度設計をやってほしいと思います。つまり、今、大阪府がやっているような、府教委がやっているような人事制度をそのまま大阪市のほうに持ってきてやってしまっては、ここに書いてあるような制度設計は実現しがたい。とにかく必要な財源を国等から獲得、確保することが最優先課題ではありますが、利用可能になった財源の中で、こういった制度設計というものを実現していくことが肝要であると思っております。

 これは、基本的に、利用可能な財源をどう配分するかという配分の仕方の問題ですので、これは給与、そして、それがまた評価とか研修とかと結びついて、人事制度全般にかかわる基本的なデザインです。

【井上部長】  財源の問題につきましては、ここ数カ月で一定検討、検証を加えていきたいと思っておりますので、それから逐次考えてまいりたいと思います。

【大森委員長】  いや、前提条件というと何か誤解を招くのでね。必要な財源が全部来なければ、この制度設計そのものがやれないかのような誤読がされるような表現になっておりますが、そういう意味じゃないでしょう。

【井上部長】  ただ、このまま財源不足のまま導入しますと、給与減のおそれがございますので、そういうマイナスイメージの中で新しい制度を始めるのは非常にまずかろうとは思っております。ですから、一定財源の確保に動きまして、そのめどを一定立てたいというふうには考えております。

【大森委員長】  財源確保のめどを立てるということは、最優先課題であると。ただし、完璧に財源が確保されなかった場合は、府教委の今の給料表体系をそのまま受け継ぐという話じゃないと思うのですね。財源の規模によって、給料体系を変えられるかどうかが左右される必要はないと思います。

【山本教育長】  こういう形で基本的な考え方をまとめていただいた以上は、権限の移譲とともに、いろんな考え方が整理された形で新しい制度に移るというふうにご理解をいただきたいと思います。

 ですから、その財源の問題については、こうした基本的な考え方とは別途に、例えば国との関係、あるいは府との関係、あるいは市の内部での様々な関係という形で、一定必要な財源を用意するというのが我々の責務でありますので。

 ですから、財源のことを理由において、現行制度をそのまま維持するということはありません。

【大森委員長】  利用可能な財源の規模によって、調整が必要になってくるとは思うのですけど、せっかく皆さんが大変な労力をつぎ込んでデザインしてくれたこの基本的な考え方に、できるだけ沿ったものを当初から目指して、獲得できた予算規模に応じて必要な調整を行いながら、この考え方をできるだけ実現するようなデザインを大阪市で当初から目指すと。

 事務局においては大変な労力とそれから細かい詰めを行っていただいて、ほんとうに学校現場の活性化のために非常に重大な、非常に大きな第1歩だと思っています。取り組んでもらった皆さんに感謝しているところでございます。

 それともう1点、ついでに申し上げると、優秀な教員の人材確保ということで、「今後、初任給水準の引き上げについても検討」とあります。

 初任給の問題については、官民比較だとか、公務員給与全般についてのいろんなご批判もある中で、なかなか打ち出しは容易ではないことは理解しておりますが、やはりご説明の中にもあったように、学校の先生というのはある種の専門職と捉えると、基本的に職務給の原則で考えると、同じ教諭というのは、それぞれのクラスとかあるいはそれぞれの教科とかに責任を持って教える先生であることにかわりなくて、かつ、必ずしも年齢が上の方が授業力をはじめ教育力、指導力が高いということでもないので、やはり、基本同じ仕事をしている同じ職務、それに対して、対価である給与というのは基本的には同様であるというようなことからすると、初任給はやっぱり引き上げる、それによって本市に優秀な人材を質、量ともに引きつけるということが、本市の学校教育にとって多分ものすごく重大な必要な課題だと思っています。人事院勧告という、制度的なものもございますし、もちろんその背景には世論のご理解も必要だと思うのですが、やはりすぐれた教育が行われるよい学校を目指すには、やはりよい先生に本市に来てもらう、引きつけるということは重大な課題だと思います。

【林委員】  この権限移譲に伴う新たな制度設計がきょう初めてオープンになったわけですけれども、私自身、教育委員になる前、PTAとして学校とかかわっていたときに、先生方のモチベーションというのはどのようにして保たれているのだろうと、疑問に思ったことがあります。

 学校現場の先生方の働き方といいますか、そういう部分に関しても、現状ではなかなかしんどいものがあるのではないかなというふうに、実は感じております。こういう形で自分も意見を出しながら進めることができたということを、まずうれしく思っています。

 やはり大事なことは、先生方のモチベーションをどう上げるかということで、これは1つ。あと、教育現場で大事なのは、先生方のモチベーションを上げるシステムができるということと、あと、子どもたちの学習意欲の向上ですね。モチベーションをどうつくっていくかという、この2つがすごく大事だと思っていまして、その1つであると思っています。

 この制度を実行するに当たって非常に大切なポイントは、どう評価するかということだと思います。先生方の能力と実績をなるべく公平に、正確に反映し得る人事評価制度をどうつくっていくかということが大きな肝だと思っています。それには、やはり現場の先生方の意見や、事務局の担当の方々のリサーチが非常に大切だと思いますので、細かい対応にはなっていくと思いますけれども、そこのところをしっかりと見ていきたいなというふうに私自身は思っています。

 どう育てていくかという部分では、やはり研修も組み合わせてということになっていると思いますので、適切な研修をきちんとつくっていくということなのだろうというふうに考えています。

【帯野委員】  林委員の言われたとおり、この新しい給与制度を導入するに当たって、財源とともに大切なのは、制度改革をトータルで実行するという、両方が必要だと思います。具体に言うと、例えば研修制度、今も触れられましたけれど、子どもも変わっているし、教育方法も変わっていく。この中で、今も研修は行われていますが、ゼロベースで考え直さなくてはいけない。そのためには、相当な知恵と工夫と、また財源が要るということを、押さえておかなければいけないと思いますし、何よりも評価制度ですね。これができるかどうかで、この新しい給与制度が導入できるかどうか、理解が得られるかがかかっていると思います。

 そしてまた、処遇という風に誤解されないように。首席については評価もされていると思いますが、問題は指導教諭のほうで、この制度が導入されたときから曖昧な部分がありますので、改めて指導教諭の条件を定めて、それを評価するためには、今まで指導教諭の制度導入によってどれほど教育現場が変わったかというところの実績がまず必要だと思います。29年度から可能な限り実施ということですけども、財源とともに、相当調べて議論をしないといけないと思いますので、事務局にもしっかりと検証お願いしたいし、我々も心しなければならないのかなというふうに感じています。

【高尾委員】  私もこれを拝見しまして、やはり総合的に、極めていろんなところまで目配りがなされた施策、その意味では、ほんとうに根本的な大きな原動力になり得る施策だろうというふうに考えております。例えば、キャリアステージを拡大することによって、処遇面、それから評価、研修、採用といったところまで及んでいるということです。

 1つお願いしたいのは、管理制度の強化であるとか、人件費の削減であるとか、そういう誤った方向に評価されないよう、丁寧にやっぱり説明する。当然と思いながらもなかなか受けとめてくれない、こういう単純化する動きもあるものですから、きちんとやっぱり伝えていくということが必要だろうと思っています。

 今後の問題ですけども、先ほどからご指摘がありましたように、私も、指導教諭をはじめとするこの職責の再定義というのがやっぱり必要だろうと思います。それは指導教諭にとどまらず、副校長の役割、校長補佐とか教頭補佐とか教頭先生とか、こういうのをどう位置づけるかというのをきちんとやることが、また必要であろうかと思います。

 それから2点、先ほども研修とおっしゃいましたが、これも非常に重要なことだろうと思います。客観的に見れば、ほんとうに先生というのが非常に専門化しており、やはり大学での勉強だけではとても追いついていかないんじゃないか。きちんと専門分野においてもフォローして、いろんなところでそういうのが必要だろうと思います。

 それから、それは子どもさんにとっても非常に大切な研修であると同時に、ご本人の人生、働く側の先生一人一人のライフステージ、それにおいても非常に意義あるものであるように、私はここの教員になってよかった、こんなことを勉強させてもらって、今自分が人生でやりたいと思ったことを実現できたという制度になるような、そういう研修制度をつくり上げていかなければいけないなと思っております。

 財源というのは、問題になりましたけれども、これはもう権限移譲がある以上、我々が直面しなければならない、やらなきゃならない問題なので、やはり先ほどの教育長のお話がありましたように、この問題についてはぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。

【西村委員】  人事給与制度は、大阪市の教育改革を反映して、ほかの全てとかかわっていると思うのです。

 教職員のモチベーションを向上するのに、能力や実績に応じていろいろ柔軟にというところで、その能力や実績をどうやって評価するのか。評価結果の一部相対化や、客観的な評価も関係します。 そして、優秀な教員の人材確保。筆答、実技をより重視した採用選考方法。これはより客観的な評価ということです。

日本の一番の問題は生徒の学力低下と先生の学力低下です。筆答、実技を軽視して、より客観性の劣る面接の評価の比重を大きくということは、例えば、生徒で言えば意欲、関心、態度の比重を大きくして、筆記試験の比率を下げるということと対応している、そういうことを改めていくということが、実は教職員のよい意味の動機づけになると思います。

 だから、ここで言われていたことというのは一つ一つの制度改革の集まりじゃなくて、全体として大阪市の教育改革の、人事給与制度であって、ほかも同じような思想でやると。そういう意味で、これをもう1度見たときに、今すぐできることはすぐ、具体的に実行してほしいと思います。

【大森委員長】  この新しい人事給与制度というものは、もちろん我々委員の議論に基づいてはいるわけですけれども、この詳細な制度設計というのは、事務局の皆さんがほんとうに考え抜いて、ある意味、人事給与制度そのものについては、評価、研修も含めてトータルにデザインしてもらった。そういうことで、ぜひ誇りといいますかプライドを持って、今後、この議案そのものが素案とありますように、具体の、実際の制度にしていくには、給料表自体は条例ですし、さまざま議会、市会はじめ、学校関係者、そして保護者をはじめとする市民の皆様の理解を得るべく、わかりやすい広報に努めていただきたいと。

 先ほど高尾委員からお話がありましたけど、意図的に曲がった視点から、角度をつけた批判というのも当然のことながらあり得ると思うんですけど、間接的にそういう情報が伝わるんじゃなくて、直接的に、教員の皆さん、それから保護者をはじめとする市民の皆さん、そして、また人材という意味では、教員を志望する学生を含む教員志望者の皆さん、そういう方々に、間接的に情報じゃなくて、直接話法で、我々の直の情報が伝わるように、わかりやすい広報というものがものすごく重要で、そこにもぜひ力を入れていただきたい。

 これだけのことを、事務局の皆さん、日本において例を見ないといいますか、大阪市が先行することになりますから、そういう誇りを持って、その広報というものにもぜひ果敢に取り組んでほしいなと思っています。

 その上で、中身について、先ほど来、評価ということについてございました。この中で校園長評価に関して、より学校の実績を反映した客観的な評価を実施とございます。これがものすごく重要でして、本市においては、学力テスト、全国学テ、全国学力調査結果について、学校別の結果を各学校において公表するということをやっておりますが、正直言いますと、それだけでは実はあまり、現実の学校現場がそれによって何か大きく変わったかというと、それ自体によってはそれほど大きな変化はないと私自身は思っています。

 やはり大事なことは、学力調査結果というのは1つの数字であります。教育というのは、数字で全てあらわせない。それはよく言われることですが、数字であらわせるものはきちんとあらわしていくということが大事で、評価というのは、主観的なものよりも客観的な、ある種、評価というより測定、誰かに主観的に評価されるよりは、客観的な証拠でもって測定されるほうが、評価されるほうも気分がすっきりしているわけですよ。

 もちろん、それは言葉で言うのは簡単だけど、現実問題は難しい、簡単ではないということはわかっていますけども、そこの評価の難しさと同時に、基本的に何を目指すのかというところを見失わない。つまり、誰かが誰かを評価するというのは、非常に、人間が人間を評価するので、これは簡単なことじゃないと常日ごろから私は思っているわけで、主観的であればあるほど実は信頼性は低くて、評価者によって評価は大きく食い違う。これは面接をやっていても、常日ごろ、我々、感じることでありますけれども、だからこそ、可能なところはきちんと、実際の具体的な教育成果、それは子どもたちの学力であり、また学校が安全・安心な場になっているということであり、そういったところが先生方の、まずは校長先生の評価というものに明確に反映されることがすごく大事だと思っています。

 もちろん、結果がいい状況になっている学校が、その校長先生の取り組みの成果かどうかというのはきちんとチェックしなきゃいけない。実際の学校の姿、あるいは子どもたちの学力とか生活状況、成長の状態と無関係な評価というのが一般的だったと思うのですけど、そういうことから一刻も早く脱して、実際の子どもたちの状況を向上させる。成長させ、学力を上げ、そういうことが究極の評価基準なんだということを見失わないようにする。そのためには、やっぱり第1歩が、校長の評価、学力を含めた学校のさまざまな達成指標に基づいて、そういうものを反映した校長の評価というのがものすごく大事で、それがあってこそ、校長はそういう成果を念頭に置きながら、管理職として部下の、自分の学校の教職員、先生方の評価というものをやれると思います。

 ですから、これまで本市において、校長経営戦略予算ですとか、あるいは課題の大きな学校に対する人事面、予算面の格別の支援だとか、いろいろやってきましたけれども、根本のところで、やはり学校の、子どもたちの教育成果を上げていくことが校長先生に求められていることだということが、人事制度上、給与制度上、評価制度、トータルで求める、この人事制度だけで成り立っているんじゃなくて、教育政策トータルのプランだと思うんですけどね。

 この人事給与制度改革というものがトータルで、ぜひいろんな関係方面に、間接的にそれこそ誰かの紹介を通じてじゃなくて、我々の直接話法、我々の直の説明、紹介、広報というものが届くように、誇りを持って取り組んでいただきたいなと思っております。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第82号「教員と教科書出版社との接触についての方針案について」を上程。

井上教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 全国的に教科書発行者である出版社が主催する編集会議などにおいて、外部への流出が禁止されている検定申請本の内容を教員などに閲覧させ、意見を聞き、謝礼を支払っていたような事案が発覚していることを受け、職員基本条例第7条にある職務上利害関係にある者との関係において、市政に対する信頼性を高める必要がある。

一方、児童・生徒のためによりよい教科書を作成していくために、教科書の執筆にかかわることは、本市の教育に資することも否定できないことから、教員と教科書出版社との接触につき、一定のルールを定めるにあたり、その方向性を諮るものである。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【帯野委員】  教科書会社との接触、これの承認を得ないものは禁止するということですが、この承認はどのように得るのですか。

また、接触をしたということが何らかのことで露見した場合に、それがもし処分の対象になるのであれば、その方法もやっぱり明確にしておかないといけない。電話による、口頭で申し出るのか、あるいは書面で申し出てその承認を得るのか、そのあたりはどうされるのですか。

【井上部長】  これから詳細設計のときに詰めてまいる必要があろうかと思います。

【高尾委員】   校長先生などのお話では、教科書会社の方が向こうから来られて、直接の教科書ではないけども補助教材の話をされたり、あるいは、対応する方が学科の主任がほとんどであって、管理職の方がノータッチの場合とか、いろいろケースがあるようでございますので、どれが適切か、どれが適切でないか、あるいは適切でないものを適切にする道筋としてはどういうものがあるのか、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

【井上部長】  詳細設計の中で、実はまだ全てにわたって細かいケーススタディーをしておりませんので、今後どういう問題が発生するかというのは、実は見えておりません。ただ、方向性として、この方向でやっていく中で、例外的なものを認めるかどうかというのは、十分な検証をしながらやっていくことになろうかと思います。

【大森委員長】  とにかく、この問題については、本市を含めて全国的に、先生方が何か悪いこと、後ろめたいことをしているという自覚があまり強くなかったという、ある意味、慣行、慣習と化していたのではないか、そういう実体ではないかということは否めないわけですけど、もちろんそれは許されることではないと。これまで報道されたような接触の具体の例というのは許されるものではないということで、厳正な対処が必要なケースが少なからずあると思っていますけれども、許されることではないけど、何となく慣行、慣習的受けとめをされていて、言葉は悪いですが、全国的にこれだけ一般化していたという現実は踏まえなきゃいけないと思います。

 ですから、そこに挙がってきている先生方というのは、教科指導の面でそれなりの力量を認められていたものだから、そうやって教科書発行者、つまり教科書会社からアプローチがあったりしたのだろうと思うわけですけど、言葉は悪いですけど、その人たちを厳正に対処してこの問題は終わりということじゃなくて、むしろその個々の先生方に対する厳正な対処というのは、ある意味、きちんと慎重に、拙速じゃなくて時間をかけて、適正な対処のレベルを考えていかなきゃいけないんですけども、それ以上にやはり重要なのが、教科書出版社との接触についてルールが明確であるということですね。

 ですから、詳細な設計は今後詰めなきゃいけないということなんですが、この考え方自体は極めてわかりやすいものだと思うので、このわかりやすさが詳細設計においてさらにわかりやすくなると。

 それから、先生方だけじゃなくて、教科書会社、教科書出版社に対して、やはり大阪市のこの方針というものを知らしめていくということで、協力を仰がなきゃいけないということがあると思っております。

 そういう中で、ちょっと具体的に質問としては、今まで教科書会社というのはある意味先生を指名してアプローチしてきている実態があるわけですけど、今後この新しい方針を実施していく場合に、このアプローチに対してはどう対処するのかということですが、いかがですか。

【井上部長】  基本的には、教員が非常に曖昧な中で請け負っていた。報酬についても、もらっていいのかなと思いながらもらっていた人もいると思うのですけども、そういう意味で、指名を受けてということではなくて、もう全て委員会のほうでそれにふさわしい人材を選んで充てていくというのを原則にしなければいけないと考えております。

 ということで、指名につきましても、指名の妥当性を検証した上で、こちらが人選した者のほうがよりよいということであれば、そちらを推薦していくと。そのような格好になるのではないかと。このあたりは、これからの設計の中身になろうかと思います。

【大森委員長】  つまり、教科書会社が個人名を挙げることを妨げるというものではないけど、その個人名に縛られずに、最終的に教育委員会として推薦する人間、先生を決めるということですか。

【井上部長】  左様でございます。

【大森委員長】  可能ですよね。つまり、この人よりこの人がいいとか、そこまで把握力というのが、教科書会社以上に、市教委事務局は大丈夫ですか。

【井上部長】  教科書会社よりはわかっていると思います。

【帯野委員】  私は、最終的なことを決めるのかなと思って、部分的な質問をしたのですが、要するに、今後一定のルールをつくるということ、原案であるということは、今まではどうだったのですか。特に今年においては、文科省から教育委員会に、採択の前に通知が来ていたと思うのですが。

 昨日大阪府において処分が決定しましたね。何に基づいて大阪府は処分をしていたのか。大阪市はこういうルールは今までなかったのですか。

【忍課長】  私ども、教科書出版社に教員が接触されるに当たって、どういうことに服務規律上違反するのかというのを考えましたときに、やはり兼職兼業違反というのが一番だと思いますし、それ以外にはあまり明確に決めたことがない。出版社側においては、検定本を教員に見せてはいけない時期があるように思いますけれども、今般の事案においては、それを知らない、見せられているものが検定本かどうかもわからないような形で見せられている、あるいは会合、会議に呼ばれているけれども、依頼文、文書の形ではなくて電話等々の口頭呼び出しみたいな形でお答えになっていると。そういう状況で出られているというのが多うございますので、私どもは、現状は、兼職兼業についての適切さを欠いていた事例が多いだろうというふうに認識しています。

【井上部長】  というよりも、職員基本条例、利害関係者の関係という第7条のところに一番抵触するだろうなと考えておりまして、ここに参考として入れております。

 細かい詳細なルールにつきまして、大変曖昧な状況がずっとあっただろうと思いますので、ルール化するということでございます。

【大森委員長】  つまり、教科書発行者との接触についての、そういう、それそのものについてのルールというのは、今まで示されていなかったわけですよね。大阪市においても、また大阪府においても、それから、もっと言えば国においても。

 国のほうは、あくまで教科書会社側に対する監督指導として、検定に申請した教科書の原案といいますか、これを外部に見せちゃいかんというルールが国のほうにはあるけど、それは教科書発行者に対するルールであって、それを勝手に見せられた先生が、仮に報酬、謝礼とかを受け取ってもいなくて、何ら利益供与を受けずに見せられただけだったら、その先生の非違行為、問題行動ということにはなりませんよね、それは。

【井上部長】  現状ではそうですね。

【大森委員長】  発行者の、教科書会社の問題ということでね。文科省のほうは、とりあえず何か教員に対する処分云々というふうな権限は当然文科省にはないので、教科書発行者、教科書会社に対する権限に基づいて、申請本云々ということを特出しにしていろいろ取り組んでおられるようですけども、我々自治体、教育委員会の立場からすれば、教科書発行者に対して何ら権限はないわけで、また、我々が何か責任を負うべきものでもないわけです。その教科書発行者とかそこの社員とかの行動に仮に問題があっても、そのことについて我々は責任も権限も何もないわけです。我々が責任を持って権限行使をしなきゃいけない対象は、先生方が教科書会社との関係で、それと知らず、あるいはそれと知ってかわかりませんが、不適切な行為に走ってしまうことを防止すること。そして、何が不適切かについてのルールが明示されていなかったために、こういう利害関係者との関係だとか、あるいは兼業兼職だとかそういう観点から、問題のあることがかなり広く本市を含めて行われてきたということ。そこを、この教科書会社との接触というピンポイントでもって、我々教育委員会、自治体としては、教員の側に焦点を置いて、先生がある意味どうしたらいいかというのを安心して対応できるようにルール化するということですよね。やってはいけないこと、やっていいことを明確にするということで。

 ということで、今後詰めなきゃいけないのは、具体的な推薦依頼の文書だとか手順だとか、そういう具体的な手続ですよね。そこまできちんと示せば、帯野委員が最初にご心配になったような、具体に先生としてはどうすればいいのかというのが明らかになると。

手続やその手続に伴う必要書類がどんなものになるかというのを明示すれば、それによってこの方針案に示されたことが現実に、それでもって先生方もどうしたらいいのというのがわかるし、これはあくまで協力依頼ですが、教科書発行者、教科書会社のほうも、大阪市に対してはどうしたらいいというのがわかってくるという話だろうと思うのですね。

【帯野委員】  そこのところを明確にしたいという私の理由は、こういうものが個々の先生にどれだけ通じるかということなのですね。やっぱり、具体的に書類があって書き込むという、何かそういう手続方法までなければ、とにかく承認がなければというような漠然としたことであれば、あれだけ文科省が教育委員会を通じて各学校、先生方に事前に厳しく通知していたにもかかわらず、こういう問題がたくさん起こったということは、個々の先生はそれをどれだけ知り得たかというところは大きなポイントだと思います。

【大森委員長】  いずれにしても、特にこの推薦というのが決定的に、人選して教科書会社に回答するというこの部分である意味そこが非常に重要だと思うので、そこで今般の本市を含む全国的な問題発生というものの反省を十分に生かして、その人選、あるいは推薦、回答に当たっては、教科の専門性の判断だけじゃなくて、服務規律上問題がないかどうかという判断もきちんと行った上で回答することが必要だと思います。

 あとは、教科書発行者へ、これは先ほど申し上げましたように、権限も責任もないというようなことを言いましたけども、これは我々の責務として、協力依頼をきちんとしなきゃいけないということがあると思います。

 こういうルール化の動きというのは、今の時点では、ほかの自治体とか文科省のほうから何かあるのでしょうか。

【井上部長】  聞いておりません。

【大森委員長】   懲戒処分及び行政措置を含めて、処分、厳正な対処というのは報道されていますけど、やはりそれも我々としてもきちんと、個々人の職員としての人権にもかかわりますから、きちんとした証拠の上に、それも迅速に取り組む必要はありますけれども、やはりルール化というのは、この問題がこれだけ一般化していた反省の上に立ってやるべきこととして、厳正な対処と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なことだと思いますので、ぜひこの具体の手続や書類の様式まで、この本日の議案に基づいて進めてほしいというふうに考えます。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議案第78号「平成29年度大阪府高等学校入学者選抜における調査書に記載する評定等に関する方針について」を上程。

加藤指導部長からの説明要旨は次のとおりである。

 昨年大阪府教育委員会が決定した、中学校3年生を対象に独自の府統一テストを実施するという平成29年度の新たな方針を踏まえ、本市の方針を策定する。

 また、今後の大阪府教育委員会等の動向を見きわめ、必要に応じまして本方針を見直すこととする。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【林委員】  昨年度とほぼ同じ内容の部分につきましては、1回実施をされてみて、現状、特に問題なく実施されたのか、課題点があったのかいかがでしょうか。

【加藤部長】  学校現場のほうから、特に混乱が生じたとか、この実施に当たりましていろいろなふぐあいが生じたというようなことについては、今のところお聞きしていないところでございます。

【林委員】  昨年においては学テの結果で評定の範囲を決めましたので、実施された教科の評定をもって、他の教科の評定も縛ってしまったということに対して、特に不具合とかということはなかったですか。

【森本課長】  特に聞いておりません。

【林委員】 あと、大阪府のほうに要望していくというところで、チャレンジテストの時期を2学期にということで要望書にありますけれども、ほんとうに大阪市として3年生の統一テスト、来年度も10月に実施するというところにこだわった理由としましては、やはり生徒がみずから学力を把握して入試に向かってきちんと学力を上げていっていただくということと、進路指導のデータにしていただくという部分を大きな目的として時期にこだわっているということですけれども、その点に関しては、学校現場のほうではいかがだったでしょうか。

【加藤部長】  その点に関しましては、今のところ特に大きな反論は呼んでいないところでございます。

【林委員】  効果として実際に客観的に評価できる部分があるとかというのであれば、ぜひ検証もしていただきたいと思います。時期にこだわって大阪市統一テストをこの10月に実施するということは、予算も伴って実施するわけですので、やはりそこに一定評価が必要なのではないかなと思っています。

 今の状況では、大阪市内の学力の中での自分の位置しかわかりませんけれども、入試は大阪府全体で行うものですから、やはりより正確なデータにするためには、大阪府全体の中での自分のポジションがわかるということが重要だと思いますので、やはり子どもの学力向上のための大きなモチベーションになりますので、入試というのはやはり大きなことだと思いますので、ぜひとも要望も努力をしていただきたいと思います。

【加藤部長】  チャンレンジテストにつきましては6月実施と少し時期が早いということでして、そういった意味で、大阪市の独自の統一テストを10月に実施するという方向を示しておりますので、ここに要望書で上げておりますように、チャレンジテストの時期をずらしていただければ、一番ありがたいかなと思っている次第でございます。

【西村委員】  大阪府の評定平均の範囲というのは緩いですね。

【加藤部長】  評定の範囲というのは、前回は、府が全国の学力テストの結果に準じ3.22と評定平均を出したということで、それに従い、この5、4、3のパーセント数を出したわけでございます。

 今回につきましては、府がこの6月に実施しますチャレンジテストをもとにして評定平均を出しますので、それをもとにしてまた決めていきたいなと思っている次第です。

【大森委員長】  府のほうの統一基準というのは、学校間の公平性を担保するということで、学校ごとに評定平均の範囲というのが、前回は全国学テ、次は3年生の府のチャレンジテストの結果に基づいて学校間の公平性を担保すると。去年の3月、4月のときの動きの中で、本市の動きに応じて、本市の方針決定に応じて、そういう府内統一基準、統一ルールというものに踏み出してくれたというのは、遅かったとはいえ、英断として評価すべきことだと思っています。

 ただ6月実施ということでは、3年生の、特に個々の生徒の成績、内申点に活用してくにはちょっと無理だと。3年生で教わる内容というのはほんとうにごく一部しか入れられないので、そうなると、本市としてはやはり秋に、10月に実施する大阪市統一テストというのは引き続き継続してやらないと、学校間の公平性は府教委のほうの統一基準で担保されるにしても、本市としては生徒間の公平性というものも担保したいので、それにはちょっと府の3年生チャレンジテストは使えないということで、10月の本市のテストを引き続き継続するということだと思います。

 またテストが多過ぎるというご批判ももっともな面があって、できればこの府教委への要望書にあるように、中3チャレンジテスト、府のテストが10月なり2学期遅い時期、秋以降に実施されてくれるとほんとうにいいんですよね。ということで、ぜひこれは、引き続きお願いしていくべきことだろうと思っています。

【西村委員】  質問ですが、「関心・意欲・態度」を文章化すると。文章化した後、点数にするわけではないですよね。

【加藤部長】  別途文章で表記するということでありまして、評定という形のものではございません。

【西村委員】  「知識・理解」「技能」及び「思考・判断・表現」等の学力を客観的に評定すると書いてありますけど、客観的に評定するというのは、何に基づいてということですか。それは、合意が得られているのですか。

【加藤部長】  いわゆる学校の日常のそういったテストとか、そういったものを使ってという形になっていると思います。

【西村委員】  それは確実なのでしょうか。要するに、宿題を何回出した、手を何回挙げたという客観性が、ここで意味しているところではないので。

【西村委員】  それは確実なのでしょうか。要するに、宿題を何回出した、手を何回挙げたという客観性が、ここで意味しているところではないので。

【加藤部長】  それは、あくまでも「関心・意欲・態度」の評定に入ってくるのかなと思っております。

【山本教育長】  当時の議論は、西村先生のご提案で、評定というものと、中から「関心・意欲・態度」を文章化して除くという、そういう結論に至ったこの表現だったと思います。

【西村委員】  文章はそうですけど、その前の「学力を客観的に評定するものとし」の、客観的に評定するときに、評定のもとになるデータが、当然小テストとかを使ってと思っていたのですけど、そこが大丈夫か心配になりましたので。

【加藤部長】  西村委員のほうからご指摘がありました中身については、そのように我々も理解しておりますので、また学校現場のほうには周知してまいりたいと思います。

【高尾委員】  ここで使われている客観的という言葉は、「関心・意欲・態度」というのが非常に主観的な要素が多いことに対して使用された言葉だろうと思いますけどね。それを具体的に裏づけるのは、日常のテストであったり、期末とか中間とかそういうテストであったり、そういったものがあるだろうというふうに理解しております。

【大森委員長】  それぞれの学校の中で先生方が工夫されている校内テストというのもあるのですけれども、1年生、2年生、そして今般3年生も通じて、府のチャレンジテストというのもあるわけで、かつ全国学テもあるわけで、文科省がだめと言ったのは、全国学テを行政のルールとしてああいう統一ルールとか統一基準に使うのはだめと言っているだけで、各学校が、1年生、2年生、3年生、どの段階でも、内申点をつけるに当たって、この府のチャレンジテストはもとより、全国学テも校内テストと同じように参照して、内申を評価したって構わないわけですよね。

【加藤部長】  そうです。

【大森委員長】  ですよね。それは、学校現場の裁量であって。ですから、やはり西村委員がおっしゃるとおり、この入試の内申書って結局入試なので、やはり公平、公正であることが重要、重大でありますので、全てテストで評価しなさいとまでは言いませんけれども、何を根拠に評価しているのかあやふやな「関心・意欲・態度」を筆頭に持ってきている。子どもたちにとっても、保護者にとっても、何が評価基準なのか、何で評価が行われているかわからないと。そして先生方も、評価の証拠づくりに追われていて、肝心の学習指導や学力を上げること自体への努力よりも、評価の証拠づくりが大変になっているということが、ずっとほかの都道府県で言われていたことです。

そうすると、大阪府、大阪市が今まさに踏み出してきている公平、公正な内申点評価のあり方と言うのは、現場の先生方にとっても、そして子どもたちや保護者にとっても非常にいいものなのですよ。

 これから定着していくと、まさにこの議案書類にあるように、「みんなが明るく頑張れる、ルールが明確だから、みんな前向きに頑張れる、評価を上げてもらうんじゃなくて、学力を上げればいいんだ」と。それで先生の側は、成績にすぐ納得いただけるし、自身を持って進路指導できるということで、我々としては、これは府及び本市教育委員会、ほんとうにいい方向に踏み出していると思っていますので、これがちゃんと現場の先生方に伝わるように、引き続き、我々、努力していくことが大事じゃないかなと。

  それと、平成30年度入試においては、1年生も入ってくるわけですね。ですから、そうすると、30年度入試以降は、内申点の中での比重というのが、1年生、2年生、3年生それぞれの比重が1対1対3で、3年生は確かに5分の3で重いけども、1年生と2年生をあわせると5分の2ということで、これも軽いとは言えないという状況になっております。府教委が今示されている基準においては、3年生については非常に明確な学校間の公平性の担保になっておりますが、1、2年生については、個々の生徒の成績が統計理論上の外れ値に当たる場合のみ是正するという考え方を、今もって府教委のほうはとっておられるので、それはかなり実効性のないものと言えます。

 外れ値というのは極端な話で、100点満点で仮に換算して、90点を取っても5じゃなくて3をつけて構わないと。他方で、60点しか取っていなくても5をつけて構わないぐらいの。そういう外れ値の是正というものが非常に不十分なので、ぜひ3年生と同様に、1、2年生についても評定の範囲というものをきちんと統一基準が示されるような、そういう府内統一ルールというのを、3年生のみならず1、2年生にも拡大していく。そういう制度設計を、府教委に対しては、お願いしたいなと私自身も思っております。

 遅かったとはいえ、こうやって府内統一ルールというものが示され、そして2回目、確立していくということは重要なことだと思っていますので、まだまだ我々の理想としている完璧な姿ではないですけども、やはりその方向に動き出してくれた府教委への敬意を表しながら、引き続きよりよいものになるように一緒に連携して、また、こうやって要望もしてやっていくことが大事なのかなと思っております。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第79号「大阪市教育委員会教育長専決規則の一部を改正する規則案」を上程。

小川総務部長からの説明要旨は次のとおりである。

平成28年4月1日に改正行政不服審査法が施行されることに伴い、規則の一部を改正するものである。なお、前回教育委員会会議における指摘を踏まえ、情報公開等に関する審査請求に係る裁決についても、教育委員会会議の審議事項とする。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議案第80号「大阪市教育委員会職員安全衛生管理規則の一部を改正する規則案」を上程。小川総務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 平成28年4月1日より新教育長制度に移行することに伴い、必要な規定整備を行うものである。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議案第81号「教育長の職務代理者に係る職務の委任等に関する規則案」を上程。

小川総務部長からの説明要旨は次のとおりである。

平成28年4月1日より新教育長制度に移行することに伴い、新制度において新教育長職務代理者は、非常勤の教育委員が務めることから、その職務を教育委員会事務局職員に委任または臨時に代理できるよう、必要な事項を定めるものである。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【大森委員長】  新制度においては、新教育長が旧制度の委員長の職務と旧制度の教育長の職務、両方を兼ねるということになりますが、ここで事務局職員に委任ないし臨時的に代理させる対象というものは、旧制度の委員長の職務ではなくて、旧制度の教育長の職務の部分という理解で間違いないですよね。

【小川部長】  おっしゃるとおりです。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 報告第4号「職員の人事について」を上程。

小川総務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 4月1日付の事務局職員の人事異動について、ポストの増減は、10増12減となりまして、結果としてマイナス2の減となっている。

 新設ポストについては、中学校給食の学校調理方式に向けた施設整備として、教務部の学校保健担当に建築職の学校給食施設整備担当課長代理及び事務、機械、電気のそれぞれの職の係長をそれぞれ設置する。

 指導部の業務執行体制の効率化として、教育活動支援担当に課長代理級ポストを1、係長級ポストを2、それぞれ設置する。

 府費負担教職員の給与負担等の権限移管に伴い、学校経営管理センター給与システム担当課長代理を設置し、学校教育ICT活用事業の進捗管理を伴う教育センターICT教育担当課長代理のポストを新設の上兼務させる。

 生涯学習部の業務執行体制の効率化として、社会教育施設担当課長のポストを廃止し、社会教育施設担当課長代理のポストを改めて設置をする。

 なお、4月1日付の人事異動については、3月25日に人事委員会の承認を得て、28日に本人宛て内示を行い、本日の午後2時より本市のホームページで公表する日程であることから、大阪市教育委員会教育長専決規則第2条第1項に基づ急施専決処分を行い、同条第2項により報告するものである。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【林委員】  新設ポストのところに、指導部、業務執行体制の効率化ということで、課長代理と担当係長2ということで出ていますけれども、具体的にはどのようなことを担当されて、どういう部分で強化をされるということでしょうか。

【小川部長】  指導部につきましては、これまで初等教育担当、中学校教育担当にそれぞれ事務の課長代理を配置しておりましたが、やはり指導部全体の特に業務の執行を見たときに、教育活動支援担当に行政職の職員を集約することにより、指導部全体の事務処理も含めましてより円滑な業務執行が図られるというところで集約したところでございます。

【林委員】  全体を見ていくということになりますでしょうか。

【小川部長】  各ライン指導部全体を見ることとなります。

【大森委員長】  本日は行政職ですけれども、教育職も含めて、やはり人事というのは予算等と並んで最も重要な政策手段と思いますので、先ほど別の議案でも申し上げましたように、ぜひ教職員の人事制度だけじゃなくてこの事務局の人事制度についても、引き続きよりよいものにしていくと。あるいは、制度だけじゃなくて、具体の異動も政策手段の1つであるという認識で、子どもたちの学力向上をはじめとする本市の教育の成果が上がる方向で、事務局においてもいろいろ検討いただきたいなと思っていますし、また、委員の皆様もそういうことで審議いただきたいなと思っております。

 採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

 議事終了後、大森委員長より次のとおり退任の挨拶を行った。

【大森委員長】  教育委員の皆様におかれましては、先般の教育委員会会議において、非公開の議案として、任期終了を前に退任するというわがままをお認めいただき、ほんとうにありがとうございます。また、申しわけなくも思っております。

 市長のほうからも同意をいただきましたので、おわびと、そしてこの間、委員、そして委員長として務めさせていただいて、委員の皆様、それから事務局の皆さん、ほんとうにご協力いただいて、審議の円滑な進行というもの、また政策立案、実施、ご協力いただいてきたことに深く感謝申し上げたいと思います。

 委員として最後の機会でもありますので、何を考えて仕事をしてきたかを発言する最後の機会としてご発言させていただきます。

 2012年6月に橋下前市長から委員として発令いただいて以来、4年弱ということになります。また、2013年11月からは、委員長ということで拝命してまいりました。

 この間、実にさまざまなことも起こり、さまざまな課題に皆さんとともに取り組んでまいりました。その中で、学校選択制の導入や、本日もありました内申点の公平性確保ですとか、そして桜宮高校の事案の反省に立っての体罰・暴力行為を許さない学校づくり、それから幼児教育、就学前カリキュラムの策定、こういったものは、私自身の記憶にも特に残るところかなと思っております。

 また、国の制度改革に先行して、本市においては市長と教育委員の協議、そうした枠組みによって、厳しい財政事情にもかかわらず、校長経営戦略予算など、全国にあまり例を見ない規模の教育予算というものでもって、各学校の創意工夫を支援していくということができたんじゃないかなと思っております。

 その全体的な底上げとともに、特に学力や生活指導の面で課題のある学校に対しては、これはやはり子どもたち、経済格差を教育格差にしないということにつながる課題でありますので、そういう課題の大きな学校に対しては、人事、予算、両面で、さまざま手段を動員して支援してきたということは、努力はしてきたんだと思います。

 しかしながら、最大の懸案であります学力の向上に関しましては、現時点で胸を張れる成果には至っていないんじゃないかなというふうに自己評価もしておりまして、この点はまことに残念であります。また、そのための必要条件として、学校が安全・安心な学びの場になることが不可欠であるというふうに考えております。

 大阪市は、ほかの自治体に例を見ない教育改革を進めてきたようにも見える、あるいは、それをやり過ぎというふうに批判的に見るご意見も承知はしております。ただ、私自身は、逆に改革がまだまだ足りないんじゃないかというふうに分析しております。

 教育改革というのは、やっぱり学校現場に根づかなければ実質化しないわけでありまして、予算だけ投入しても、あるいは市役所のこの建物の中で政策立案しても、それだけでは子どもたちの学力は上がっていかないわけでありまして、学びの場というのはあくまで学校ということで、校長先生のもとで教師が、先生方が一丸となって、子どもたちに高い期待をかけ続けることが何よりも重要だと思っていまして、そのためには、学校現場がそういう前向きのカルチャーといいますか、組織文化、これが現場に根づくことが大事だと思っていまして、その上で、本日審議いたしました教職員人事制度改革、あるいは市会のほうで認められ成立した予算の中で小学校3年生以上の全市共通テストというものもあるわけですけれども、そうやって個々の子どもの学力を継続的に把握できる、これからやろうとしているそういうものが、言ってみれば前向きの組織文化をほんとうに根づかせる上での制度的なインフラになっていくんだろうというふうに期待しているところでございます。

 そういうインフラの上に立って、子どもの学力や成長に直接的な効果が見込める施策、いわば直に効くような政策を目指して、これまで必ずしも十分でなかった教育活動や学習活動に直接働きかける具体策、こういうものに力点を置くことが、特に今後の課題かなというふうに考えております。

 その第1歩として、やっぱり教育というのは、小学校から始まるのではなく、幼児期から始まると。あるいはもっと言えば乳幼児期から始まるということで、幼児教育は極めて重要でありまして、吉村市長におかれては、幼稚園、保育所、認定こども園を総合的に捉えて、教育という視点から幼児教育の無償化の方針を示されました。僭越な言い方ではありますが、私自身もそれは卓見だと思っております。

 私個人も、前市長が主催された市立幼稚園の民営化に関する関係者の協議会において、教育の各段階のうち、社会にとって最も投資効果が高いと言われており、また一人一人の子どもの人生を左右するという意味でも非常に重要なのが、幼児教育の教育としての重要性、ここを市長と同様の認識を指摘させていただいた経緯があります。幼児教育というのは、入れ物だけじゃなくて中身が重要で、それを見直して質の充実に取り組む必要があるということをその協議の場でも申し上げて、就学前カリキュラムの策定ということにつながった経緯がございます。

 今般、私の身勝手を市長及び教育委員の皆様にお認めいただいて、4月からは新体制ということが、市会においても同意が得られたと伺っております。この新体制、この山本新教育長をはじめとする新しい教育委員会において、これまでと同様の部分は、こういうことをお願いしたいなと思っております。

 公開の正式会議における活発な審議はもとより、非公式の協議会においても、教育長、教育委員、事務局が納得のいくまで議論を行っていただいて、各自の良心と知見に照らして、最善の判断、意思決定というものを引き続きやっていただけると期待申し上げております。

 そういうことで、去り行く者が現状についての自分の考えと、また今後についての願望といいますか、お願いをするのはまことに僭越ではございますけれども、改めて任期末前の年度末を節目として職を辞することをお認めいただいたこと、おわびとお礼を申し上げるとともに、何を考えて本日まで取り組んできたかということを蛇足として、申し上げさせていただきました。

 委員の皆様及び事務局の皆さん、本当にありがとうございました。

 

大森委員長より閉会を宣告。     

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