ページの先頭です

平成27年第21回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:363958

平成27年第21回教育委員会会議

第21回教育委員会会議録

 

1 日時  平成27年9月1日 火曜日 午前9時30分~午前11時30分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎7階市会第6委員会室

 

3 出席者

 大森不二雄  委員長

 林  園美  委員長職務代理者

 高尾 元久  委員

 西村 和雄  委員

 帯野久美子  委員

 

 山本 晋次  教育長

 寳田 啓行  教育次長

 大継 章嘉  教育次長

 沼守 誠也  教育監

 小川 芳和  総務部長

 多田 勝哉  教育改革推進担当部長

 三木 信夫  学校配置計画担当部長

 井上 省三  教務部長

 松本 勝己  生涯学習部長

 加藤 博之  指導部長

 岡田 和子  学力向上支援担当部長

 島田 保彦  インクルーシブ教育推進室長

 源  俊司  学校経営管理センター所長

 林田 国彦  教育センター所長

 森本 義範  中学校教育担当課長

 田中  節  指導部総括指導主事

 仲村 顕臣  指導部首席指導主事

 冨山富士子  指導部総括指導主事

 大澤 啓司  教育センター首席指導主事

 仲田 弘伺  教育センター総括指導主事

 上原  進  経理担当課長

 深見賢一郎  施設整備課長

 川阪  明  総務課長

 松浦  令  総務課長代理

 ほか係員2名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に高尾委員を指名

(3)議題

議案第164号 運動会・体育大会における組体操に係る事故防止について

議案第165号 市会提出予定案件(その26)

報告第8号 平成27年度全国学力・学習状況調査 大阪市の結果概要について

なお、議案第165号については、会議規則第6条第5号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開として審議することを決定した。

(4)議事要旨

議案第164号「運動会・体育大会における組体操に係る事故防止について」を上程。

加藤指導部長からの説明要旨は以下のとおりである。

【加藤指導部長】  議案にございますように、運動会・体育大会においての組体操に関しましては、教育委員会協議会での議論を経まして、今回、各校への通知文としてまとめさせていただきました。

 これまでにも、学校における体育活動中の事故防止につきまして各校で取り組んでいるところでございます。また、平素の体育及び保健体育の学習の成果の発表の場であります運動会や体育大会の指導に際しましても、事故防止に万全を期すよう指示してきているところでございます。

 しかしながら、組体操に関する事故の報告が多数に上っております。例えば本市における平成26年度中の組体操の事故につきましては、5ページに資料としてつけさせていただきましたが、小学校で169件、中学校で32件のけがの発生の報告がございました。これは独立行政法人日本スポーツ振興センターの平成26年度災害報告書医療費支払い請求書により作成いたしました。このことからも、安全対策のさらなる強化の必要性が増していると言えます。

 また、組体操につきましては、学習指導要領において、教科としての体育・保健体育の内容として記載がございません。特別活動という限られた練習時間内において事故防止に万全を期すことが可能かどうかにつきまして、慎重な判断が必要となっております。

 以上のことを考えまして、3ページ目からは、今年度の運動会や体育大会におきます組体操の取り扱いにつきまして、配慮すべき点を示させていただいております。

 特に9番においては、塔(タワー)またはピラミッドを実施する場合は、高さを競い合うことなく、児童生徒の安全を最優先し、タワーについては3段、ピラミッドについては5段を上限とすることといたしました。

 なお、この段数以下なら安全が確保できるということを意味するわけではございませんので、上限を守って実施する場合におきましても、安全確保のために必要な教員を傍らに配置し補助するなど、事故防止に万全を期すことと通知いたします。

 次に、添付資料でございますが、6ページにつきましては、本年度に調査いたしました本市の組体操の実施状況であります。

 7ページ目から10ページ目につきましては、独立行政法人日本スポーツ振興センター発行の「学校の管理下の災害(平成26年版)」の中の帳票13、負傷・疾病でございます。

 以上が、運動会・体育大会における組体操に係る事故防止についての説明でございます。

 本日ご審議いただきまして、2ページ目から3ページ目までの内容を全学校園に通知し、事故防止に努めてまいりたいと考えております。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  高さあるいは段数の問題というのは、必ずしも高さ、段数を一定未満に制限すれば安全性が保証されるものではないということが非常に重要なポイントです。だからといって現状のような、小学校の場合、ピラミッドの場合ですと8段が最高ですか、それから中学校ですと9段までに至っているという状況、あるいはタワーの場合ですと5段が最高と、こういった高さ。小学校ピラミッド8段だと、何メートルぐらいになるのですか。10段だと7メートルと見た記憶がありますけれども、8段も相当の高さですよね。

【加藤指導部長】  8段はちょっと記載がないですけど、7段だと4メートルぐらいだということが記憶にあります。

【大森委員長】  他方で大人というか、労働者について安全確保のための規制ということで、労働安全衛生法でしたかね、法律に基づく、厚生労働省の省令かと思うのですが、労働安全衛生規則、この規則における2メートルを超える、あるいは2メートル以上の場合の特別な安全対策についての規定がありますよね。事務局で把握されていますか。

【加藤指導部長】  労働安全衛生規則の第519条の2、高さ2メートル以上の作業については、囲い、手すり、覆いなどを設けなければならないということがあります。

【大森委員長】  ですから、労働者についてそういった作業、仕事、労働する場合に、高さ2メートルだったら、それでも完璧と言えるかどうかわかりませんけども、完璧に近いような防護安全確保装置というものが義務づけられている一方で、子どもの教育活動において、2メートルどころか、倍、3倍、そういった高さ、あるいは場合によったら3倍以上という状況があって、しかも先生がそばについていたからって、実際問題、万が一のときに安全が確保できるとまではいきませんよね。体育あるいは特別活動といいますか、運動会での実情を御存じの事務局の方。そばにはついているのでしょうけど、崩れ方等々によっては、とてもじゃないけど、ついているからって安全が確保できるというものじゃないですよね。

【加藤指導部長】  先ほどの通知文にありますように、段数を制限して、その高さであれば安全であるということではありません。例えば2段であろうと3段であろうと、安全が絶対に確保できるとは思っておりません。

【大森委員長】  本来、法規制も何もないという状況の中で、大人の労働者についてはそういう2メートルという規制がある中で、ほんとうにこの上限、5段と3段、ピラミッドの場合5段、タワーの場合3段でいいのかということもあるかとは思うのですね。

 他方で現状を見ると、これは大阪に限らないことではあるでしょうが、小学校ですらピラミッドが8段、タワーの場合5段という中で、ピラミッドについて5段以下という、5段を超えるものは認めないというこの上限。今般のこの議案の案の場合、半分以上の学校がそこの6段以上ということで見直しを迫られると。ピラミッドの場合、小学校についてだけ見てもそういう状況があるということで、ある種、現状の中で、行政として教育委員会としてどこまでの根拠を持って高さを規制するかというときに、現状として高さがちょっといくら何でもというところを除外するのがこの上限規制であって、それ未満であっても安全が確保されるということでは全くないことは文章の中でも強調しているところであるわけです。やはり大人の2メートルということから比べても非常に危ない活動を子どもたちに強いているということを、ぜひ現場ではきちんと認識してもらいたいと。

 これは5段をぜひやってくださいという意味、あるいは3段のタワーをぜひやってくださいという意味では全くないので、冒頭の通知文の本文のところでも書いてあるように、「限られた練習時間において、事故防止に万全を期すことが可能かどうかについて慎重な判断が必要となる」、これが大事だと思います。

 それから、番号を打ってある1、2、3、4の特に1番の、ここでも再度強調しているんですが、「実施するか否かについて慎重に検討して、校長が責任を持って判断する」と。ここの校長の判断ということがほんとうにきちんとなされているのかどうか。漫然とこれまでやってきているから当たり前みたいに今回もやるということで、ひょっとしたらこれまで毎年続けられていないか。それはちょっと推測してもしようがない、これまでのことはしようがないとして、少なくとも今後の分、特に今年の秋、今月下旬あたりに実施するものについては校長が実施するか否かをきちんとご判断になって、実施する場合には、ここにあるような留意事項、注意事項をきちんと守っていただいて、とりわけ上限規制、くどいですけども、上限いっぱいやってくださいなんていう意味ではないということを理解いただければなと思います。

 それで、既に計画がなされているという場合であっても、これは番号の7番、安全性が十分に確保されないと判断した場合は、計画を立てた以降であっても変更または中止を検討するということ、これをぜひ校長先生方には認識していただいて、校長先生がきちんと責任を持って、やるかどうかということも含めて判断していただきたいなと思います。

【林委員】 まず、こういう決定がこの時期に、9月の1日になっているということの理由をご説明といいますか、運動会は大体秋に開催されることが多いかと思いますけれども、今この時期になってしまっているということで現場への影響が多いのではないかとちょっと推測されますけれども、やはり安全性の確保というのが一番大切であると認識した上で、この時期ではありましても、きちんと学校現場のほうにこういう形で指示をおろして安全性を確保するという判断に委員のほうで至ったということであります。

 やはり運動会は子どもたちにとっても晴れの場でありまして、自分たちの練習した成果を保護者や地域の方たちに見ていただく場であるということで、特別な教育活動ではありますけれども、それなりに意味もあるものだろうと思っております。その教育活動に時間を費やすからには、まず、子どもたちの達成感と充足感を第一に考えた取り組みにしていただきたいと思います。

 また、運動会ですので、体力向上という視点からも、けがのないようにやるのですけれども、組体操等の取り組みを行うことで結果的に子どもたちの体力が向上するという効果もあると思いますので、ぜひともそういう結果を出すような取り組みにしていただきたい。

 近年、この資料を見ましても、やはり骨折や捻挫等のけがが多いということで、子どもたちは自分の体を自分で支えるということもなかなか難しい、以前に比べてですけれども、少し難しいような状況もあると聞いております。特に小学生ですけれども、6年間かけて、大体、組体操は高学年、5年、6年生がやると思っていますけれども、長期的な視点で子どもたちの体力を、組体操がきちんとできるような体力をつけていくという考え方も教育現場にはあってもいいのかなと思ったりもしておりますが、何よりも安全が優先されるということで、今回、このような通達を通じて、そこは再認識を現場のほうでもしていただきたいなと思っております。

【帯野委員】  林委員のお話、ご発言を聞いて、どの程度危険なものか、なぜこれが危険であるかということを改めて認識した次第です。

 ただ、これが長年行われてきたということは、何らかの教育的な意味、教育的な効果があったと思うのですね。例えば社会が求めるということであれば、積極性であるとかチャレンジ精神であるとか、あるいは集団で行動するということの学びであるとか、そういうものが包含されていたものであるはずですので、短い時間の中での審議でしたのでやむを得なかったことではありますが、こういう問題が起こったときは、教育・学習効果と危険性のバランスのようなものをできたら外部の専門家からもヒアリングしたかった、現場の声も聞きたかったなというのが、ちょっと遅きに失しましたが、意見であります。今後、そういうことが行われるように希望いたします。

【高尾委員】  正直な話ですけども、随分とこの問題については協議会などで議論してきたのですけども、私、わからないところはやっぱりそのままでずっと来たのです。先ほどからご指摘がある教育効果とはどうだろう、何をこの組体操で期待しておられるのか、どういう効果をやっておられるのかというのが、何度か説明いただいたと思うのですけども、それが理解できなかった。確かに、個々のこの分がどんな役に立つのと言われると、非常に説明が難しいところがあるのかもしれません。歴史でこの時代はどうだったという勉強が、今どういうふうに役に立つかと言われると難しいというような問題はあるのかなと思いました。

 それは、1つは、やはりリスク、危険性と比較してどうだろうかということ。それから、その目的を達するのにほかに代替するような手段、より安全な手段がないのかどうか。そういったところの議論が1つはうまく理解できなかったということが正直言ってありました。

 それからもう1つは、これだけ効果があるというふうに喧伝されているにもかかわらず、どうしてそれは学習指導要領の中に入っていないのか。この学習指導要領の考え方というのはどんなものなのかなというふうに思いました。

 これは私個人の印象ですけども、事務局のほうから写真を提供していただきました。その写真を見てみますと、実際にピラミッドとかを構築されている写真ですけども、非常にうれしさを満面にたたえた親御さんの顔、それから子どもさん、それは全部の子どもさんじゃなくて、一部の子どもさんがうれしそうな顔をしているということ、そこら辺がこれまである意味広く支持されてきた理由なのかな、理由の一端を示唆するものなのかなというふうに思いました。

 もし、最初に事務局で、この点の教育効果という点について、あるいは学習指導要領との関連において、的確なご説明を改めていただけるならお願いしたいと思いますが。

【加藤指導部長】  まず、教育効果という点におきましては、組体操を構成する表現運動でありますとか体づくり運動、リズム運動といった一つ一つのことで得られる体力向上ということと、それから、その組み合わせであります組体操において、集団で1つのものをつくり上げる一体感、それから達成感が得られるということ。それからまた、そのことで得られた達成感、一体感が今後の学級集団であるとか学年集団の中で生かされていくということが教育効果だと考えております。

 学習指導要領の関係ですけども、確かに学習指導要領の中には組体操の記載はありません。それを構成する一つ一つの運動につきましては、先ほど申しましたような表現運動、あるいは体づくり運動、それからリズム運動などの個々が、体育の授業で実施する内容との関連があると思われます。

【大森委員長】  だからピラミッド8段とかタワー5段を体育の授業中にやっていい、ということにはならないですよね。

【加藤指導部長】  ピラミッドそのもの、タワーそのものを体育の授業でするということについては学習指導要領には記載されておりません。その基本的な運動については可能かと思います。

【大森委員長】  基本的運動というのは、要するに構成要素ですよね。だから、ピラミッド8段とかタワー5段そのものを体育の授業中に練習であれ8段上っていくと、タワー5段乗っかるということは、それ自体は体育の授業としては指導要領上不適切ということになるのでしょう。通知にそう書いてあるからそういう見解のはずですけどね。

【加藤指導部長】  具体的な記載がございませんので、どのあたりまでの組み合わせが可能かというのはわかりません。

【大森委員長】  事務局が通知の中身をきちんと説明できないようじゃ困ると思います。今のは、はっきりとだめだと言えなきゃいけないじゃないですか。議案資料の2ページに書いてあることはそういうことじゃないのですか。これらの運動を構成要素として組み合わせ発展させた組体操そのものを、体育・保健体育の授業の中で取り扱うことは不適切と書いてあるわけですから。組体操そのものを体育の授業でやるのは不適切というふうに通知そのものに書いてあるわけですから、ピラミッド8段、タワー5段というのは組体操そのものにほかならないでしょう。当たり前のことの確認を求めているだけなのに、ちょっと今の答えはいかがなものかと思います。

教育効果という話があるのですけれども、報道等を見ると、それは子どもも保護者も完全に意見が分かれているのですね。本市どうなんだと言われれば、本市の子どもや保護者にアンケートをとるしか証明することはできないと思いますけど、現実問題、各種報道とか、あるいはインターネット上の情報とかを見ると、基本的にはこの問題については賛成と反対、賛否が分かれていると、ピラミッドやタワーをすることについてですね。

 賛成派は、今、話題にあったような達成感とか一体感ということを強調されるわけですけれども、そういうものを味わっていない子どもも多数いて、何でそんな極限みたいなことを強制されなきゃいけないのかと内心、不満・不安に思っている保護者もたくさんいると。他方で、素直にといいますか、感動している保護者の方々もいるということで、これは完全に意見や価値観が分かれる問題なのですね。

 特に、一体感とかいっても、これでないと得られないような一体感というのは何だろうと。これは個々人の価値観にもかかわるので、非常に言葉は悪いのですけど、集団主義的なもので、これは私の価値観ですから、最初に言いましたように人それぞれの価値観によって違ってくるのですけどもね。私が言いたいのは、あまりすごい、私自身が感動するようなものではないと私は思っているので、だから、それに感動を覚える人もいれば、私みたいに感動を覚えない人間もいるので、それはやはり報道等を見ても、保護者でも子どもでもそういう感覚、意見というのは分かれると。そういう事柄について、相当危険なことをやっていいのかと、その危険に見合う、ほんとうにそれが教育効果なのかということですね。

 体づくり、体力づくりあるいは運動能力の育成という面では、もしそれがほんとうに子どもたちに必要なものであれば学習指導要領に組体操そのものが載っているはずなので、そうではない以上は、体づくり、運動づくりのために必要なものということには位置づけられていないと。もちろん、体育その他を通じて体力や運動能力がつけば、結果として組体操というものを安全にやれるベースができるのかもしれませんけれども、ただ、あくまでベースなので、組体操そのものを安全に留意しながらやるには、やはり組体操そのものの練習というものが欠くべからざることになるかと思います。

 これ、非常に恐るべき実態だと思うのですね。議案資料の7ページを見ると、細かい数字がいっぱい並んでいる表なのですけれども、組体操というのは、一番下の準備運動等の2つ目に体操(組体操)というのがございますけれども、平成25年中のこの数字、データのうち、組体操というのは6,349件の負傷データ。組体操において発生していると。これは小学校ですけども、小学校の場合、組体操が3番目に多い。跳び箱が一番多いですね。跳び箱が1万5,296、バスケットボールが1万3,883、それに次いで組体操が6,349と。これ、運動会の演目ですから活動時間は本来はるかに短いはずにもかかわらず、負傷等の事故が3番目に多いという状況が1つです。

 もう1つは、この6,349という組体操の負傷等のうち、ほとんど全てと言っていいと思うのですが、6,343件は教科の体育の時間に時間に発生していると。つまりこれは何を意味しているかというと、学習指導要領上位置づけがないということで、通知文にも書きましたように、組体操そのものの練習は教科の体育の時間ではなくて特別活動の時間にやらなきゃいけないはずなのに、全国の負傷事故の状況を見ると、ほとんど全てが体育の時間中、つまり練習中に発生しているということに、この統計が正しければそういう意味になろうかと思うわけです。

 つまり、全国各地で学習指導要領上適切でないことが行われていると言わざるを得ないと思うのですけれども、文部科学省に事務局のほうから照会していただいたんですが、何か要領を得ないというか、奥歯に物が挟まったような回答しか返ってこないと。最初は、学校行事である運動会のために体育の授業があるのではないと。それはどういう意味なのと突き詰めると、体育の時間中に組体操、運動会の練習のためのようなことをやるのは適切じゃないみたいな回答が返ってきたかと思えば、それより後のほうでは、組体操という言葉がそもそも指導要領に記載がないので、組体操についてはコメントできないとかいうお答えもあったりして、この実態を文部科学省はごらんになって、いいというのか、問題があるというのか、はっきりすべきだと思います。なのに、はっきりさせない。それは結局、全国でこうやって指導要領上問題がある実態がずっと続いているのを、ある意味、気がつかなかったのか放置していたのかわかりませんが、その問題を直視したくないのかなというふうに勘ぐられてもしようがないと思うのですね。

 ですから、一自治体の大阪市が問い合わせても、お上ですから何かきちんとした答えがいただけないと。ぜひメディアの皆さん、明快な見解を、組体操は記載がないからコメントできないじゃなくて、組体操、現実に大阪だけのデータで見ても、ピラミッド8段、9段、タワー5段というデータがあるわけですけれども、こういうピラミッドやタワーを組体操というわけですけれども、これについて体育の授業でやっているということについて、どうなんだと。指導要領に記載がないからコメントできないじゃなくて、全国でそういうことが行われているということについて、問題、課題があるのか、別に何も問題ないのか、文科省の見解をはっきりしてほしいなと。

 大阪市、一自治体が聞いても何か核心を外して、問題があるようにも解釈できるけども、はっきりとそうは言わない。組体操そのものについてはコメントできないとおっしゃるという状況なので、大阪市、自治体だときちんと対応していただけないので、メディアが明快な文科省の見解を求めてほしいなと。仮にこの議案について報道されるメディアがいらっしゃるとすれば、文科省にぜひ明快な見解、お答えを引き出していただきたいなと。それは我々本市のためだけじゃなくて、やはり全国のためにもそれは必要なことじゃないかと。

 要するに、何でもかんでも危険を排除すればいいのかという乱暴な議論もあるのですけど、それはいくら何でもむちゃくちゃな議論で、先ほどの大人の労働者で2メートルという話もありましたけれども、それが法規的に直接適用されるものではないにしても、保護者や子どもでも見解が分かれる、感覚が分かれる中で、あやふやな教育効果のためにこんな危険な状況というのはどうなんだと。しかも指導要領上適切でない、不適切というものを放置しておいて大丈夫なのかという総合的な判断の問題なのですけれども、大阪市としては、文科省がおっしゃる奥歯に物が挟まったような言い方ではあるけども、それを総合すると、そもそも指導要領の趣旨からすれば、こういうふうに通知文にあるような解釈しかあり得ないのではないかと、明確化すればということですけども。

 ということで、安全性の問題と指導要領上の問題、この通知に書いてあるから言わずもがなのことではありますが、各学校において校長先生におかれては、指導要領上、体育の授業中に組体操の練習はできないわけですから、そうすると、相当特別活動において、練習中そのものが事故を発生しやすいわけですけれども、練習時間がほんとうにとれるのかということを十分慎重に判断いただいて、特別活動時間中にとてもじゃないけれども安全な形で練習できないと、練習時間中の安全性、それから本番での安全性、両方を含めて、とてもじゃないけど体育の授業を使わなきゃやれないということであれば、これはやめていただくという意味だということをきちんと認識していただけるように周知いただきたいと思います。

【加藤指導部長】 この通知文の趣旨を十分現場のほうに周知してまいりたいと思っております。

【大森委員長】  ちなみに、この通知文そのものの文案を文部科学省にお見せしているのですよね。特にこの文案を、今残っている文案ですけど、ここはおかしいから修正してくれという、そういう意見はなかったですよね。

【加藤指導部長】  この通知に対するコメントはございませんでした。

【大森委員長】  ということは、もし問題があれば、当然のことなんですけど、文部科学省はこの通知文、文章をごらんになっているので、これは違うと、指導要領に言及しながらこんな間違ったことを書いてもらっちゃ困るということがあればご指摘があるはずですから、問題はないというふうに考えています。

【西村委員】  この組体操は全員が参加するので、好きな人も嫌いな人も、運動能力がある人もない人も一緒にやらなきゃいけないので、事故が起きるという側面もあると思うのです。クラブ活動で好きな人たちがやるところなら別ですが、学校でやる以上はそういったものは、極力事故が起きない範囲でやるのが適当だと思います。

【林委員】  さまざまなご意見とか議論が出ましたけれども、これを機会に、先ほど最初のときに述べましたように、運動会という会の性質、晴れの場であるということと、子どもたちの達成感、充足感を味わわせる、また教育効果、体力向上という教育効果を満たす組体操以外のほかの取り組みも、この際ですから、それぞれの学校現場で検討していただいて、私は組体操だけがそれを充足するものであるというふうには思いませんので、さまざまな取り組みがあっていいと思いますので、ぜひとも研究してつくり上げていっていただけたらなと思います。

【大森委員長】  今の林委員のご提案、ぜひ、今年の秋の運動会には間に合わないかと思うのですけれども、来年度の運動会・体育大会に向けて、ぜひ現場と一緒に検討いただきたいなと思います。運動会・体育大会が晴れの場であることはそうなので、そこにおいて体育の授業の成果がそのまま、特別な練習時間を要しなくても、何か別のものができないのかと。

 今でも安全性についてさまざま言われていても、まだ学校現場、教師向けの雑誌や本では華々しく、「大盛り上がりの運動会 華の組体操&応援団指導」とかいうような特集が掲載されており、また「組体操絶対成功の指導ブック」などがあって、もちろん安全についての記述がないわけではないのですが、例えば単行本の場合ですと、この本の場合ですと、ステップ8ということで安全面の確認というのが1ページ書かれていますけれども、これだけの本の中で、安全確保についての記述というのはそんなに多くないと。

繰り返しになりますけれども、指導要領上、体育の授業中に組体操そのものを練習しないということになると、ほんとうに安全確保できるのかどうかと。できないという断言まではできないからこういう通知の文面になっていて、全面禁止という根拠まであるのかということもあって、せめて上限は設定しようという我々の議論での結果になっているわけですけれども、他方で、特別活動の時間中に組体操を仮にやる場合どれぐらい練習時間がとれて、通知文にあるように、体育の授業を使わずにやる練習でほんとうに安全性が確保できるのかどうかという不安も非常に覚えます。

 ですから、現場においてもやはり不安を覚えられるのであれば、やめていただくという判断をしてくださいというのが、慎重に検討し、実施するか否かについて校長が責任を持って判断することというのはそういうことなので、絶対できないとまでは言い切れないからこういう表現になっているのですけども、今般のこの通知を受けて、学校現場で受けとめていただいて、それで今年度、この秋の運動会・体育大会を安全にやっていただくということと、それから、来年度の運動会等に向けてどうするかと。いっそのこと、別に教育委員会が通知しなくても、もう組体操をやめて、林委員が提案されたような何か別のより安全で、かつ、組体操みたいに意見や見解が子どもや保護者の間で分かれるものではないもので、体力づくりあるいは達成感とかいうものが確保されるようなものをぜひ検討してほしいなと思うのですが、次年度に向けていかがでしょうか。

【加藤指導部長】  先ほどご指摘ございましたように、現場の声も聞きながら、現場とともに、この件につきましては検討を重ねていきたいなと思っております。

【大森委員長】  繰り返しになりますけど、これ、体育の授業中に練習しないということ、そうなると、それでも安全が確保できるのかというのをほんとうに慎重に判断いただいて、今まで体育の授業で練習していたから何とか安全性を確保できたけどもという、そういう学校あるいはそういう実態があるのであれば、それはこの上限規制を守ってということじゃなくて、もうやめていただくという判断を当然していただけるものだと思うのです。やるかやらないかというのは、要するに、今までやられている学校でも、やらないという選択肢も含めて、きちんと安全第一で検討いただきたいなと思います。

【高尾委員】   やはり安全ということを考えますと、ピラミッドだけを取り上げると、246校中19件の事故が起きている。中学校でいいますと、49校実施中の6件の事故が起きているということで、やっぱり現実として非常に重いのではないかというふうに思っております。

 あとお願いしたいのは、いま一度、同様のことがないのかどうか、学校として点検をしていただけたらと思います。例えば組体操の一部分だと思うのですが、倒立というのも、今、議論はピラミッドとタワーが主だったんですが、倒立でも結構事故が起きているなという感じがします。これはどこに原因があったのか。もし共通項として防げるものがあるなら、それも改めて知らしておいたほうがいいのではないか。決して全てをやめろと言っているわけではないのですけども、いま一度、点検して、事故をより少なめる、最大の教育効果を上げるということを考えていただきたいと私は思います。

【帯野委員】  なかなかはっきり判断ができないような、例えば指導要領に位置づけがないので授業中に練習することが不適切か否かということ、ご説明を聞いているとはっきりしていない部分もあります。ただ、それにもかかわらず、この時期にこういうものが議論されたということの背景には、これも推測なのですが、おそらく行き過ぎた高さ競争みたいなものがあったのかなと。であれば、確かにこういう事故数がありますので、安全確保という意味で注意喚起することは、方向性として正しいことであると思います。

 ただ、おそらく今委員長のおっしゃったことが現場に伝われば、またこの通知文が現場に行けば体育の時間中に練習できないわけですから、組体操、ピラミッドは、これを実際に運動会で実施する学校は相当少なくなるのではないかと思いますので、もう少し学校の自主性というところでは、私自身は、高さ制限まで設ける必要があるのかどうか。この意思が伝われば学校が自主的に判断するのではないかと思います。

 もう1つ、我々として注意しなければいけないのは、校長のリーダーシップの確保ですね。ある程度やっぱりこれだけの注意喚起をして、その上で安全確保を十分に行った上でするのかしないのか。これは校長の権限というか、責任の範囲で決める余地を残したほうがよいのではないかと思いますので、私はこの安全性を留意するというこの通知文を出すこと自体はよいと思うのですが、上限を設けるところまで縛るのはちょっといかがなものかなという意見はございます。

【大森委員長】  今の帯野委員の段数の規制の問題ですが、それでは校長の責任、権限ということであれば、大人相手に各事業所において、会社だったらその経営者が責任と権限において判断すればよくて、2メートルという一律の規制は要らないという話にもつながっていくと思います。生命とか身体の安全にかかわるような問題というのはやはり一定の基準というものが必要で、それは各所の現場のトップのトップマネジメントに任せればいいという話とは違う話なのですね。

 だから、5段とか3段でもほんとうに大丈夫なのかという議論も逆に当然あるわけで、そういう中で何にも目安を示さなければ、これはほんとうに現実問題、安全確保を十分やりましたと言って8段、9段を続けるということだって、それこそ校長の判断ですということで続いてしまうわけですね。それでほんとうにいいのかということであって、それは注意喚起だけすれば行政の責任を果たすという、だから組体操という言葉は使いたくないという文科省さんみたいな責任回避であって、やはりそれは何でもかんでも現場のトップの判断という話じゃないわけでね。

 2メートルというのも、5段、3段でもこれは守れていないのですよ。それでも、ともかくまさに高さ競争みたいになっちゃっている。競争の感覚があるのかどうかわかりませんけどね。現実問題、8段、9段とかになっちゃっている現状を何とかしなきゃということで、これはやはり上限規制というものは必要だということでやっているわけで、何でも現場のトップの判断ですというのは、命とか安全にかかわる問題は大人の世界だってそうなっていないし、公共性の高い学校教育じゃなくて、民間事業者についてもそういうことは現場に委ねられていないわけですから、ちょっとそれは違うなと思いますので、明確に発言させていただきます。

【帯野委員】  わかりました。ただ、このことにあまり時間的にこだわるつもりはないのですが、やはり労働者の安全性というのと体育、学校における授業というのは少し違うと思うのですね。労働者の作業中の安全確保というのは法で定められて当然のことでありますし、経営の中ではやっぱり現場主義、現場に委ねる、現場に責任を持たせるという考え方がありますので、この問題に限らず、校長の権限と責任というのは、我々は常に考えていかなければならないだろうなとは思います。

【大森委員長】  校長の権限と責任というのは私が常に一番強調していることでございまして、それは、こういう安全性に係る話を曖昧にするような権限、責任ではなくて、前回の会議で決めたような、いじめに対してきちんと対処するとか、あるいは、学力向上のために学校としてやれることをきちんとやる、創意工夫すると、そういうところにこそ校長の主体的・自立的なイニシアチブを発揮してほしいのであって、つまり安全性の部分、これはやはり行政として一定の基準なり何なりというものを示さなきゃいけない。

 労働安全の世界と教育の世界はもちろんイコールではないというのはおっしゃるとおりです。しかし逆に言うと、子どもの教育活動というものも、西村委員のご発言にもあったように、これは言ってみればある意味強制なのですね。労働者の労働も雇用されている以上は、それを強制というのかどうか、要するに、労働契約の中で労働そのものをするというのは言ってみれば契約上の義務であるということですけど、学校の場合は契約でもないわけですね。

 そういう中で、要するに労働安全衛生規則で守られている状況よりも危険な状況があるということは、学校教育だからやむを得ない、体育だからやむを得ない、あるいは運動会だからやむを得ないということになるかというと、同じものではないけど、より緩やかでいいという理屈もなかなかないのではないかなということがありましてね。そういった懸念がある一方で、現状はもうそれをはるかに超える高さに至っているこの現状を、せめて、いくら何でもと言われないような高さを上限で示しつつ、やるかやらないかも含めて、学校として安全第一で慎重な判断をお願いするということは、私はバランスがとれた判断だというふうにこの通知案については思っております。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

報告第8号「平成27年度全国学力・学習状況調査、大阪市の結果概要について」を上程。

岡田学力向上支援担当部長からの説明要旨は以下のとおりである。

大阪市と全国の平均正答率について、平成26年度は24年度と比べ、小学校は算数B問題を除いて全国との差がやや広がっている。また、中学校は、全ての教科で差が縮小している。

 平均正答率の対全国比経年比較について、小学校では、国語B問題においてわずかな改善が見られたが、他の教科においては、昨年度より若干差が広がっている。小学校は、今回、全国との差が一番大きかった理科において、全国1に対して本市は0.926であり、0.1ポイントの差の中に全ての教科が入っている。一方、中学校は、全ての教科で昨年度より大きく改善した。

 平均無回答率は、小学校において、国語A問題で0.4ポイントに差が広がったものの、全ての教科で1ポイントの差の中に入っており、おおむね全国並みとなっている。特に算数B問題においてはマイナス0.6ポイントとなっており、これまでよりも児童生徒の学習意欲が高まったのではないかと考えられる。また、中学校においては全ての教科で大きく改善した。おおむね全国並みとなり、昨年度までは全ての教科で1ポイント以上の差があったが、本年度は理科も含めて全て1ポイントの差となっている。

 正答数分布は、小中学校ともに、全ての教科においておおむね全国と同傾向の形になっている。

 児童生徒質問紙調査結果の概要であるが、学習に対する意識については、「国語が好き」「国語の授業はよくわかる」という質問に対して、肯定的な回答をした児童生徒の割合は、26年度と比べて小中学校ともに増加しており、中学校では全国平均に近づいている。算数・数学については、26年度と比べ、小学校では増加しており、中学校ではやや増加している。理科については、全国との差はあるが、前回実施の24年度と比べ、小中学校ともに増加している。生活状況や自尊感情については、「朝食を毎日食べている」という項目について、「している」「どちらかといえば、している」と肯定的な回答をした児童生徒の割合は、26年度と比べ、小学校では大きな変化は見られないが、中学校では増加している。それ以外の「自分には、よいところがある」「家で、学校の授業の復習をしている」「学校のきまりを守っている」という項目では、26年度と比べ、小学校ではやや増加しており、中学校では顕著に増加している。

 学習規律について、「よく行った」「どちらかといえば、行った」と肯定的な回答をした学校の割合は、26年度と比べ、小中学校ともに増加しており、小学校では全国平均を上回っている。家庭学習の充実について、肯定的な回答をした学校の割合は、26年度と比べ小中学校ともに大きく増加している。授業研究を伴う校内研修の実施回数は、26年度に比べ小中学校ともに大きく増加し、全国平均を大きく上回っております。特に年間15回以上のところでは、大きく上回っている。

 「学校全体の学力傾向や課題について、全教職員の間で共有している」について、26年度と比べ、小学校では肯定的な回答をした学校の割合が増加している。中学校では、「よくしている」と回答した学校の割合が増加している。

 教科ごとの分類・区分別集計結果、及び成果や課題であるが、小学校国語について、国語A・Bともレーダーチャートは全国とほぼ同じ形で重なっている。この結果は、小中学校とも全ての教科においても同様である。国語Aでは、「話すこと・聞くこと」や「読むこと」等の項目で低い値を示しているが、「書くこと」の項目で、大阪市は86.2%、全国86.0%で、全国より少し高い数値となっている。国語Bでは、Aほど顕著ではありませんが、「書くこと」や「記述式」等の項目で低い値を示している。

 小学校算数について、算数Aでは、「量と測定」や「図形」等の項目で低い値を示している。算数Bでは、「数学的な考え方」「記述式」の項目で低い値を示している。

 中学校国語について、国語Aでは、「書くこと」と「書く能力」の項目で低い値を示している。国語Bでは、「書くこと」「書く能力」「記述式」も含むが、この項目で低い値を示している。

 中学校数学について、数学Aでは、各分類・区分別の平均正答率はおおむね60%で、バランスのよい状況となっているが、「関数」と「資料の活用」の項目でやや低い値を示している。数学Bでは、「関数」や「資料の活用」等の項目で低い値を示している。

 小学校理科について、知識の問題は、「地球」と「観察・実験の技能」の項目で低い値を示している。主として活用の問題は、「物質」と「記述式」の項目で低い値を示している。

 中学校理科について、主として知識の問題は、「観察・実験の技能」の項目で低い値を示している。主として活用の問題は、「地学的領域」の項目で低い値を示している。

 全体では全国との差が縮小したところもあり、改善が見られたが、全国平均を上回ることができない状況であった。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【大森委員長】  今般、大阪府教委のほうでこの全国学テの結果を内申点の府の統一基準に取り込む形で活用するという方針のもとで実施された中で、小学校のほうが非常に残念な状況が続いているわけですけれども、中学校のほうの特に数学、それから国語、成績が今までにない改善を示しているということですね。この点をどういうふうに考えるのかということ、これは大阪府全体の傾向とほぼ同様でございますけれども、この点をどう考えるかということ、これが私としてはご意見、ご発言いただきたいトピックの1つであります。

 もう1つご発言いただきたいのは、もちろん中学校についてもまだ全国との差は顕著にあるわけですから、そこをどうするかということはございますが、特に小学校について効果的に学力向上を図っていく、本日のこの会議時間の中で細かい議論まではいきませんが、大きな議論はせめてしておく必要があるかなと、これが2つ目のトピックであります。

【西村委員】  全体的な印象では、正答率が低かったり、正答率が高かったかという分野は、全国と大阪が大体同じです。全国が弱いところは大阪も弱い。これはやはり今の指導要領とか教科書のあり方を反映しているのだと思います書くことが弱いとか、図形が弱いとかは従来から言われていることですよね。

 細かく見ていくと、小学校だと数と計算、量と測定、図形、数量関係、特に数学的考え方が弱いとか、こういうのがよく言われていたことですけども、国語では書くことが弱いとかですね。そういうのが全国と大体同じところが弱いというのは、こういうところが弱いから特別何かしなきゃいけないとか、今後はそういうのがあってもいいんじゃないかと思うのです。

【大森委員長】  今般の中学校における数学、国語の改善状況というのをどう考えるかということについては、これは府教委の全国学力調査結果を各学校の評定平均の設定において活用するという方針、これの影響があることは、これはどう考えても誰が見てもそれは影響があると。それをどう捉えるかということですけれども、これはほんとうに正直ベースの議論が必要だと思います。やはり全国学力調査への取り組みの真剣度というのが、少なくとも大阪府、大阪市、本市も含めた大阪府において、真剣度が向上するだけでこれだけ点数が変わるということをあらわしているのだと思います。

 ですから、ある意味、全国の都道府県別の順位が文科省のほうから公表されておるわけですけれども、これは学力による差というものを反映しているのはもちろんそうなのですが、それと同時に、そこには真剣度、真面目度の要素というのが、これは科学的な立証は難しいのですが。どこの県も大阪と同じように、子どもたちなり学校なりが真剣に学力調査の本番の日に臨むということで初めて、ある意味、学力だけによる都道府県別の状況というのがわかると思うのですね。

 そういうことからしても、今般の方針というのは、学力状況を把握するという目的にとっても何ら全国学力調査の趣旨に反するものでなくて、むしろその趣旨実現に貢献しているということが言えるのかなというふうに思います。

 それと、我々としてはやむにやまれぬ状況だったのですが、方針決定自体が、府教委の方針決定、それから、それと連動した我々大阪市教委の方針決定が遅かったわけですけれども、結果として学力調査本番の府教委の方針決定が10日前ということで、現実問題としては、いわゆる世上よく言われるようなテスト準備ということは、皆無とは言いませんけども、ほとんどやる余裕はない中で、本番の調査に臨む真剣度の向上だけでこれだけ結果も変わってくるということが1つわかったのではないかと思います。

 ということは、今後、これは中学校に限らない、小学校もそうですけれども、いかに真剣に取り組んでいただくかということと、今後、きちんと学力調査ということも念頭に置いて学力向上の取り組みをやれば、要するに、事前準備だとか何とかというのは教育上よろしくないみたいな議論がマスコミを含めてあるようなんですけれども、現実問題、全国学力調査に出てくる学力は、全国学力調査に向けて勉強して身につくものはにせの学力で、そんなものは一切頭に置かないで、それで身につくのがほんとうの学力だなんて、そんなことはあり得ないと思うんです。要するに、全国学力調査の結果が向上すれば、それは何がしかの学力の向上を反映しているのであって、ですから、ほかの自治体等々では大阪よりももっとシステマティックに過去問とか類似問題とかに取り組んだりしているところもあるやに聞きます。そういうことも別に何か批判、非難されることではなくて、それによってやっぱりこの学力調査結果が上がるというのは、それは何かしらの学力が身についているということを示すものだと私は思うわけです。

 ですから、今般、そういう意味での調査に向けた準備といいますか、そういうものはない中でも、調査当日の真剣度だけでもこれだけ上がると。ぜひ今後は、中学校だけではなくて小学校も含めてですけれども、この全国学力調査というものに向けた取り組みというものを具体的に充実していく必要があるなというふうに思っていまして、特に小学校の場合は何年か前から沖縄県がすごく向上していて、今回も小学校につきましては沖縄県の成績は非常にいい状況を依然として保持されていたかと思いますけれども、大阪が参考にすべきは、もちろん秋田県とか福井県も参考にすべきですが、同時に、こうやって顕著に向上させた県が具体的にどういう取り組みをなさっていて、取り組みの何が成果に結びついているのかという分析ですとか、そういうことをきちんと現地で調査、聴取し、データもいただける範囲でいただいて、そういったことをぜひ事務局にやっていただきたいなと。

 すぐ思いつくのが、小学校で顕著な改善をなさった沖縄県、それから、かねてより上位にあるということでたびたび報道されて、今回もそうですけど、福井県とか秋田県ですね。ほかにも参考になるような都道府県があれば、そういうところに出張していただいて、データ等は事前に入手できるものは入手されて、出張時点ではきちんと事前に質問なり調査なりすべき事項を整理されて出張していただいて、ぜひ大阪市の取り組みの参考になるような調査というものを他の自治体からしていただきたいなと。それで、それをきちんと我々教育委員にも教育委員協議会の場でまず報告いただいて、何が参考にできるかと。逆に言えば、本市の改めるべき点は何かとか、そういうことも含めて検討をしていきたいと思いますので、きちんと調査いただきたいなと思います。

 まず早急に他の自治体の調査というものは少なくともやっていただきたいと思うし、あと、大阪市内で、今後、教育委員協議会で事務局の皆さんと我々で議論していきますけど、成果を上げているような学校があれば、それもぜひ、もちろん他の自治体以前の問題として、どういった取り組みが成果を上げているか、きちんと情報共有して分析してやっていきたいと思います。

【西村委員】  先ほど、全体のことを発言しましたが、これが弱いとから、弱いところを強くしようと言うだけではだめだと思うのですよ。基本的なところでできていないのは何かと見るべきだと私は思うのですけど。

 小学校国語の場合だと、国語Bで「書くこと」弱いのですけど、国語Aを見ると、「読むこと」「読む能力」が低いですよね。基本的な問題で、読むことができていなければ、いきなり書くことというのはなかなかできない。読むことも大切だということが基本です。

 小学校算数ですと、B問題から見ますと、「数と計算」や「量と測定」「図形」「数量関係」「数学的考え方」が弱いですけど、数と計算、それと「図形」ですけども、基本ですよね。、こういう基本的なところが弱いということがやっぱり十分に学力が上がっていないことだと思います。

 中学校の国語Bを見ますと、やはり「書くこと」「書く能力」がすごく低い。「読むこと」はそれに比べたらできているのですけど、でもそれでも60台ですよね。ということは、「読むこと」が低いから「書くこと」は特に低い。

 中学校数学の場合だと、数学Bで「図形」「関数」「資料の活用」、ここら辺が40台です、特に関数が低い。「数と式」はどのくらいかというと60ですよね。数と式というのは基本で、それができないから関数も低いし、それと「図形」。もちろん資料の活用も大切ですけど、時間をかければできることで、全てにわたる基本というと、「数と式」だと思います。

 理科のほうは、B問題の「物質」「地球」が弱い。中学校理科は、B問題のほうですけど、やはり「物理」が弱くて、「地学」と「物理」は同じような部分がありますから、全般的に、物理的なところは特に弱い。そういうところが基本で、そういうところに力を入れれば全体が上がるのではないかと。

【大森委員長】  つまり、西村委員のおっしゃることから論理的帰結として、今、指導要領や教科書に基づいてそのとおりやっていると全国と同じ傾向で、そういうところが弱いと。ということは、逆に言うと、今までどおりの教科書に沿った授業に加えて、弱い部分を何か特別の補助教材等を使いながら強化すれば、ほかの都道府県はそういうことをやるところが仮に少ないとすれば、弱いところこそ顕著にひょっとしたら成果が学テの点数にも反映されるような向上につながるかもしれないという、そういう意味ですよね。

【西村委員】  はい。ただ、弱いところにも基本と応用ということがあるので、基本的なところにもっと時間を使う。弱いところを全部となると、やはりだめだと思います。

【大森委員長】  弱いところのうち、基本のところについて教科書に沿ってやっているだけでは十分でないというデータということですね。ですから、そこを逆に大阪市が特別の取り組みを基本的かつ弱いところをやれば、成果が出やすいといいますか、基本ですから、ほかのところの向上にもつながるかもしれないということですよね。

 ですから、そういう具体的なところもぜひ混ぜて、そして他の自治体における取り組みとか、あるいは大阪市内の顕著な効果を見せているような学校があれば、そういうところも含めて、総合的にぜひ学力向上策のところを年内にも見直すべきじゃないかなと思います。

 と申しますのは、来年度から予算が仮に必要となれば、早急に予算の要求というものも検討していかなきゃいけないと思いますし、特に小学校の場合、中学校と違って、中学校の場合は今般、府教委のほうは全国学テの活用ですけど、本市においてはこの10月に本市の統一テストをやりますし、それから2年生、1年生では府教委のほうのチャレンジテストもございますし、節目節目で学力把握できるし、子どもや学校、先生も、そういう節目、目標を目がけて、目標があって勉強するというふうなあれがあります。他方で、小学校のほうは現状そういうものがないですよね、6年生の全国学テを別にすると。いかがですか。

【岡田部長】  統一的なテストというものは学力調査だけです。

【大森委員長】  ですよね。ですから中学校の状況とかなり変わってしまう。中学校は、とにかく3年生、2年生、1年生とある種節目ができてきます。それで、よくマスコミや教育学者の間で、そういう学力テストではかるような、その結果を向上させるというのは本末転倒だみたいな議論があるのですけれども、それでは学力調査、学力テストって何のためにあるかといったら学力をはかるためにあるので、はかってみたらそれが向上したというならこんないい話はないわけですね。学力の全てじゃないとかって、そんなことを言ったら、どうやって測定するのですかという話ですからね。

 やっぱりそれは子どもにとっても学校にとっても教師にとっても、あるいは保護者にとっても、そういう節目なり目標なりがあったほうがいいに決まっているので、何か学力テストではかられる学力というのは偽物で、本物の学力は別にあるんだみたいな議論がまかり通っているのは全く滑稽で、意味がわからない話だと思いますね。

 そういう中で、非常に遺憾な社説が最近ありましたけど、8月27日の読売新聞の社説が、大分前に出た朝日新聞の社説と同様といいますか、細かい中身が一致しているかどうかは別として、「大阪府の入試利用は疑問だ」という社説のタイトルで、非常に悲しくなるような社説の中身で、特に、不勉強なのか不誠実なのかちょっとわからないのですが、「内申点の絶対評価は大阪府以外の都道府県では既に実施している。府教委の対応のおくれが今回の問題の背景にある」と。これ、社説の文言をそのまま引用して発言したのですけれども、府教委の対応のおくれが今回の問題の背景にある、大阪府以外の都道府県では既に実施しているって、あたかも46都道府県では絶対評価の内申点が何の問題もなく行われているかのような、そういった一文がその社説の中にあるのです。これ、「大阪府の入試利用は疑問だ」の論旨を構成する重要なセンテンスだと思うので引用したのですけれども、悲しくなりますね。

 と申しますのは、そもそも、たしか読売も報道されていたかと思いますけれども、府教委のほうで公表された「調査書に記載された評定の現状について」ということで、これは具体の自治体の名称は伏せてありますけれども、他の自治体における評定のばらつきというものが、とてもじゃないけど常識的に考えてあり得ないような不公平な評定のばらつきが10年ほどたっても絶対評価の内申点において残っていると。学校間の評定のばらつき等、信じがたい不公平入試、こういう実態が公表されていて、それにもかかわらず、社説を書かれる方はご自身の紙面にどういう報道があったかも御存じないのか、御存じないとすれば不勉強、御存じの上でこういうことを書かれるとすれば不誠実ということになると思うのですけど、ちょっと信じがたいと。

 あと、社説の文言の中には、「二、三教科の結果を用い全教科を対象に評価する内申点を調整することにも疑問が残る」と。これ、文部科学省の専門家会議も同様な何かご指摘があったかと記憶していますけれども、これも専門家かどうかわかりませんけれども、ご指摘そのものは素人みたいな意見でして、要するに、統計学的にきちんと府教委のほうでは検証して、二、三教科であっても全教科の内申点平均の基準に活用できるということを統計学的に検証、確認済みなので、そのことについても、これはかなり難しい話なのでしようがないかもしれませんが、この点についても不勉強だなと思っております。

 とにかく、まず、内申点の入試への活用というもの、これはやはり真剣に取り組むということにおいて、当日本番、これは誰が考えても否定はできない、我々もというふうに私自身は思っていますし、それで、これからは全国学力調査にしろ、あるいは大阪市統一テストにしろ、あるいはチャレンジテストにしろ、そういうテストとか学力調査を1つの目標として節目として頑張るぞというのは本来の教育ではないみたいな、そういう議論はやめにして、ほかの自治体も大阪どころじゃない、ほんとうにシステマティックに取り組んでおられる自治体もあるわけですから、そういったものも参考にしながらきちんとやっていきたいなと。

 それで、特に小学校については今申し上げたように節目もないので、どうするかということをきちんと検討して、今の西村委員のご指摘のような専門的な部分とか、あるいは目標、節目をどういうふうに学校に持ってもらうかとか、そういうことも含めて、年内にはきちんとこの調査結果を受けた対策というのも考えなければならないと思います。

 これは今回、中学校がわりと顕著な改善があったわけで、小学校は非常に無念な結果に終わっていますので、これは対策というものをもう一度ゼロベースで見直して検討して議論して、合理的な対策というものを打ち立てていく、その際、もし予算が必要であれば予算の要求というものも検討していく、そういうことを取り急ぎやらなきゃいけないんじゃないかと私自身は思っています。

【岡田部長】  今のご意見を受けまして、これから詳細の分析が始まりますので、その辺も踏まえた結果をもってまた考えてまいりたいと思います。

【大森委員長】  現状でいいと思っていないでしょう。

【岡田部長】  思っていません。

【大森委員長】  ですよね。それと、いいかげん習熟度別少人数授業を主眼に置いた対策、それだけで何とかなるということにはならないというのが、この何年間で特に国語、算数・数学について明らかになってしまっていると思うのですね。ですから次のステップというものが必要だと思うのですけども、そこら辺のご認識はいかがですか。

【岡田部長】  習熟度別少人数授業も含めまして、さまざまな施策を今回もずっと打ってまいりますので、総合的に打ってまいります。

【大森委員長】  習熟度別少人数授業をやらないという意味じゃないですよ。だから、今までのものでこのまま続けましょうというのでは済まないでしょうということを言いたいのです。

【岡田部長】  改善をしてまいります。

【大森委員長】  改善というのは、今の枠組みでということですか。

【岡田部長】  今回、概要版で出たところです。まだ詳細な分析はできていませんので。

【大森委員長】  詳細も何も、小学校は改善していないわけですからね。それで、今の取り組みを続ければ何とかなるということにならないというのは、それはもう明らかではないですか。

【岡田部長】  継続していくものと改善していくもの、2つの合わせわざと思っております。

【大森委員長】  ごめんなさい。改善というのは何ですか。要するに、今やるものを続けるというのは継続でしょう。改善とは。

【岡田部長】  今後、これから考えていく、今、大森委員長がおっしゃった、さまざまな対策の見直し等も含めてと思っております。

【大森委員長】  改善という言葉は、通常、言葉として役所が使うと、新しいことをやらないという意味ですよ。そういう意味じゃないでしょう。

【岡田部長】  必要に応じて、していかなければいけないと思っております。

【大森委員長】  だから、もちろん何が必要かというのをこれからよく議論して検討しなきゃいけないのですけども、ただ、これ、現状でいいということにならない。現状のこの調査結果がいいということだけじゃなくて、現状の取り組みを続ければ何とかなるということはもう言えないと思うのですよ、何年もこれでほぼやってきているわけですから。ですから、きちんとそこは新しい取り組みも含めて本格的な見直しというものが必要だと思うのですけれども、いかがですか。

【山本教育長】  私ども、何も今の施策の体系にこだわるとかいうことはありませんので、基本的に、まず現状、課題を見つめて、どこに問題点があるかを洗い出して、必要な施策を一番合理的な順序で打っていくという形で整理をさせていただきたいと思いますので、そのあたりの具体的な議論をさせていただいて、その中で成案としてまとまったものから、当然、一番近い予算に上げていくというのが、当たり前といいますか、当然のことだと認識しておりますので、よろしくお願いいたします。

【大森委員長】  ですから、この場できちんと議論して確認したかったのは、要するに具体策じゃないのですね。何らかの手を打たなきゃいけないという認識をこの場で最低限共有しなきゃいけなくて、やはりこの状況を見ると、これは本格的に見直しの検討が必要だなと思うわけですね。

【林委員】  委員長が言われていましたように、中学で大きく改善したというのは、真面目に生徒が取り組んだという部分は大きいかとは思いますが、一方でちょっと注目したいのは、生徒質問紙、学校質問紙の結果ですけれども、小学校に比べまして、中学のほうは生徒質問紙においてもわりとよい方向に向かっていますし、学校自体もやはり非常に研究授業を、それは小学校も同じですけれども、非常に打っているという部分、あと学習規律におきましては、中学校は小学校に比べてかなり改善していると。やはりその辺のところの成果というのが、真面目に取り組んだおかげで大幅に結果が上がったので、ちょっと隠れてしまっているところがあるのではないかと思います。

 同じ条件下で受験したのは大阪府ですので、今回のまとめでは全国との比較になっていますけれども、大阪府との比較において、もしかしたら大阪市で頑張っている部分が浮き彫りになるところもあるのではないかなと。それは詳細な分析が必要だと思いますけれども、もしあるのであれば、そういうところも次の詳細に検討したところで見せていただきたいかなというふうに思います。

 やはり何が効果的であって、どの施策がだめだったのかという検証は必ず必要だと思っています。昨年度も特に課題のある学校に対して非常に手を打っておりますけれども、そこの成果がきちんと出ているかどうか。それはまた学校別の結果になると思いますけれども、その辺のところもしっかりと分析をして、次回には見せていただきたいと思います。

 あと、大森委員長がおっしゃっていた小学校をどうするかという部分ですけれども、真面目に受けていただければ小学校も上がるのではないかと私は想像しますけれども、真面目に真剣に受けるというモチベーションをどうつくるのかというのは、また1つアイデアがあればいいのかなと思ったりもしますし、また違うチャレンジテストにかわるようなテストなどを考える。それは競わせるのではなくて、子ども一人一人の力って随分と違いますので、それをきちっと検証するためのテストというところで、そういうものも1つあっていいかもしれないなというふうには私は個人的に思っています。特に小学校は非常に伸びていく時期ですので、一人一人の伸びを保護者としても把握したい、子どももそこをちゃんと自覚して、自分の足りていないところを頑張るというところで、うまくつながっていければいいのかなと思ったりもしております。

【大森委員長】  今のご発言の続きですけれども、大阪においては、中学校については結果として、特に大阪市においては、3年生、2年生、1年生と、内申点への活用うんぬんということを別にしても、一人一人の子どもの学力の状況を把握するということが可能になると。1年生、2年生はチャレンジテスト、3年生は大阪市統一テストによって可能になる、把握ができるようになると。それで、小学校の場合には当然のことながら入試だとか内申点だとかということになりませんので、そういうことで的外れな批判を受けるというおそれもないかと思うのですけれども、それでも試験とかテストそのものを目のかたきにするメディアとか教育学者もいらっしゃるので、それでも批判を受けるかもしれませんが、やはり入試とか内申点とかじゃなくて、小学校の場合には1年生から6年生まで6学年あって、1、2年生はともかくとして、3年生あたりからは毎年の子どもたち一人一人の学力というものをある程度客観的に把握する仕組みというのがないとだめだと思うんですね。

 ほかの自治体でそういう取り組みをされているところもあるだろうと思うので、それもちょっと調べていただいて、先ほど、全国学テの関係で、小学校について顕著なということで向上された沖縄県とか、あるいはずっと上位を維持されている福井県、秋田県という例を挙げましたけれども、小学校における各学年子ども一人一人の学力状況、そしてその子どもが学年を上がるにつれてどういうふうに学力向上なり何なりしているということを把握される学力把握の取り組みをされている自治体、これは都道府県単位ではなくて、ひょっとしたら市町村単位かもしれませんが、あるいは東京都だったら区ということになるかもしれませんが、どこであれ、そういうことをされている自治体というのを事務局のほうで調査していただいて、小学校における学力把握、そして、ある意味、子どもや保護者、そして教師や学校にとっては節目、目標みたいなものにもなるというものを検討したほうがいいのではないか。

 6年生の4月に全国学テがあって、それ以前はブラックボックスでございます、全国学テをやってみたら都道府県の順位はこうでございますということが一体どれだけ、この調査目的にいろいろ立派なことが書いてあるのですけれども、大阪府教委においては非常に具体的な活用方法というものを学テについて打ち出されたわけなんですけれども、全国的に見て、この学テというのが活用をどの程度されているかというと若干疑問もあるわけでして、小学校の話に限っても、やはり6年生4月で把握するだけでは全くもって不十分だと思います。この場では私のほうはそれぐらいにして、今後、そういう問題意識を持って教育委員の間、そして事務局との間で議論、協議、検討というものをやっていきたいなと思っております。

【西村委員】  中学校は成績が向上したのですけど、といってもまだ全国平均より下ですから、まだまだやることがあると思います。小学校の成績は上がって、それがしばらくして中学校に影響して中学校も上がるというなら永続的ですけれども、中学校だけが上がるということはやっぱり限界があると思います。小学校が上がらないと、やっぱりほんとうに上がったことにならない。

 全国平均より下だということで、それが何を意味しているかというと、下支えができていない、底上げができていないということだと思うのです。成績の低い学校を上げることができていない。それから、同じ学校の中で成績が低い子を上げることができていない。もちろん全体に伸ばすことも重要、できる子を伸ばすことも重要だし、それと同じぐらいに、やっぱり底上げも必要だと思いますね。それができていないということのあらわれだと思います。

 それから、小学生の場合に、その子たち一人一人がどれだけ伸びたかということをチェックするシステムが個人の先生以外にないというのはやっぱり問題だと思うのです。それをチェックするのはいつやったらいいかというと、各学年の終わりにやるべきだと思うのですね。1年間の最初のときに比べてその子がどのくらい伸びたかということをある程度客観的にはかるためには、学年の最後がいいと思います。6年生だと中学入試とかいろいろ問題があるかもしれないですけど、5年生まではそれができると。それがどれだけ底上げができたかということも、そこで先生方も、それから校長先生も、みんなが客観的に見ることができるということですね。ぜひそういうことはやってほしいと思います。

【大森委員長】  ですよね。それは各先生任せでもなければ、学校任せでもないですよね。学校を超えて、要するに、突き詰めると教育委員会として大阪市として、何かしら共通するような学力状況を把握してほしいということを検討しないと。

【西村委員】  そうだと思います。だから、客観的な情報を与えてこそ保護者も安泰するのだと思います。抽象的で一般的でいいところを伸ばそうだと、それは大切ですけど、やっぱり具体的な評価が必要だと思います。

【大森委員長】  特に、林委員が一番お詳しいと思うのですけども、小学校のほうは既に絶対評価に変わって久しいじゃないですか。ですから、ほんとうの学力がどうだろうというのがわからないままに中学に入っちゃうという状況があるんじゃないかと思うんですね。全国学テを6年生にやりますけども、少なくとも5年生までの間できちっと把握できていない状況というのは非常に危ういと思うのですけれども。ですから、できると思っていたのに、中学校へ入ってみたらそうじゃなかったみたいなこともあるんじゃないかと思うんですが。

【林委員】  それは中1ギャップの1つの要因になっているということはあると思います。

【帯野委員】  私としては、あくまでも概要ですので、分析結果を聞かせていただいてから、そのときに自分としてのコメントをしたいなと思っています。多分そのときに詳しく聞いてからになると思うのですが、成績もさることながら、やっぱり小学校の子どもたちにもっと自分に自信を持たせてあげたい、そういうところで何か我々として取り組むべきところが大きな課題があるのではないかと思います。どうやって小学校の子どもにもっともっと自分に自信を持って、将来の夢を持ってもらえるような仕組みづくり、それは学力テストの調査のような簡単なものではないかもしれないけれども、長期的にできる取り組みを私はぜひ考えていきたいと思っています。

【高尾委員】  私は極めて単純で情緒的なことしか申し上げられないのですけれども、中学校の生徒、先生の頑張りに対しては、よくやったというふうに率直に言いたい、その努力はやっぱりたたえたいと思います。その裏にはやっぱり、目に見えないけど、岡田部長の叱咤激励などもかなりあったのだろうと思います。というのは、23年度ぐらいの実態ってもっとひどかったのですよね。それに比べたら、ほんとうに刮目すべき成果、比べるとまだという制約はありますけども、今年度、中学生は伸びてくれたなというのが実感です。

 非常に楽観的でという批判を受けるかもしれませんが、非常に興味を持ったのは、やっぱり中学校の生徒さん、先生の方に、何かそこに意識変化が起きたのではないか、何か変わったものがあったのではないかなと。どんなものが中学校の校長先生やら教職員の皆さんに影響を与えたか、子どもたちに影響を与えたか、これはすごく私は興味深いと思っています。

 それからもう1つは、やっぱりテストに対する、私自身もそうですが、これまで何か後ろめたさみたいなものがあって、点数をつけて順序をつける、これは教育上まずいのではないかというところがあったのですけど、結局そうじゃないのではないかと。学力調査についても、やっぱり利用できるところは利用しないと、活用すべきは活用しないともったいないじゃないかという気がするのですね。

 自分自身、教科書を読んでわからないじゃないですか。問題を解いて、なるほど教科書はここを言いたいから、ここをここへ使わせたいからこの問題で向うも使っているんだなとか、あるいは問題を読むことによって、あっ、教科書はここを言いたいんだということがわかるような、教科書記述と問題との総合的な作用というのが結構ある。そうすると、かなりテストというのは有効性があるんじゃないかと、理解のために。点数ばっかり皆さん注目される。生徒さんなんかが、俺、悪かった、よかったという、そういうところから早く脱しておられると思うんですけども、ぜひ違うところがあるというのを見て、積極的にやっぱり取り組んでいただいたらいいんじゃないかなと。

 それから、小学校ですけど、これまた楽観的で申しわけないのですけども、僕は決して悲観はしていなくて、好きだとかわかるとかという指標も上がっていますし、やり方によっては、これはまだそんなに悲観すべき事柄ではないと思います。

 今後ですけど、たくさんありましたように、優れた取り組みというのを紹介していただきたいなと。前々から指摘されておることですが、各学校それぞれ非常に地味というか自己主張されないので、どこの学校がどういう取り組みというのがなかなか表に出てこないですね。ぜひそれは紹介していただきたいなと思います。形式的には実態を映さない場合があるので、ほんとうに実態を踏まえた上で分析を加えてみたらどうなのかということをやっぱりやっていただければ、非常に見えてくるのではないかなというふうに思いました。

【大森委員長】  大分前に、学校内で学力向上を看板にした組織、名称は委員会であれ何であれ、そういうのがない学校が多いということを問題提起させていただいて、たしか事務局のほうで各学校に、そういう組織をつくって組織的な取り組みをしてもらうようにというのを各学校へ言ったと記憶しているのですけども。

【岡田部長】  去年ですね。各つくれるところはつくっていただいております。

【大森委員長】  それでお聞きしたいのは、その後、組織の機能状況というのは何か体系的に把握はされていますかね。

【岡田部長】  去年の夏につくり始めていただいて、今年4月には全部つくって、そこの中に研究部等が全部入った中で、学力調査のことも話し合いする、施策のこともどう使うかというのは今やってもらっているところで、その結果としての把握はまだしていないところです。

【大森委員長】  ではその機能状況をぜひ把握していただいて。というのは、そういう組織を設置する前ですけども、校長公募に応募された教頭先生の話を聞いても、なかなか組織的にそういう学力向上のための方策いかん、どうするかというふうな、学校の外から見れば当然やっているだろうと思われることがきちんと全校的に議論されていない、あるいはそういう雰囲気がないというのが、少なくとも何人かの教頭さんとかから聞いてもそれが平均的なようにしか見えないので、それが組織設置によってどの程度変わっているのかということをきちんと把握する必要があると思うのですね。

【岡田部長】  この調査結果の詳細が出た後に、校長のほうからヒアリングを予定しております。

【高尾委員】  各校に学力向上委員会というのはつくっておられないのですか。

【岡田部長】  名称はそうではありませんが、小学校、中学校で異なった形でつくることはあったんですけれども、そこで、大森委員長がおっしゃるように、全国のこのことを受けて、学校の中の向上策を全教職員で周知できているかというところでは100%でございませんでしたので、それを去年、通知しております。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第165号「市会提出予定案件(その26)」を上程。

小川総務部長からの説明要旨は以下のとおりである。

児童生徒の学習環境を早期に整え、学校生活のさらなる充実を図るため、学校の校舎、設備等について必要な補修を行うための補正予算として、校舎等特別補修事業に3億5,000万円を計上するものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【林委員】  対象の学校が小学校290校、中学校130、計420校ということになっているのですけれども、ほぼ全ての学校に対して補修が行われるということでしょうか。

【小川部長】  はい。来年度、再来年度に統廃合予定の4つの小学校以外の、小中学校全校を対象とします。築50年未満の工事という形で、学校の校舎はいろいろ校舎ごとに建設年次が異なっておりますけど、大体全ての学校で対象になる校舎がございます。今後、これまでから教育委員会に出されている申請なりもございますので、そういったものも勘案しながら、基本的には全校で実施することになると思います。

【大森委員長】  これは学校の要望の強いものですよね、今回の補正によって修繕するものというのは。

【林委員】  学校の要望に応じて修繕もされていくと思うんですけれども、やはりきちんと十分にコミュニケーションをとっていただいて、学校のニーズにきちんと応じた修繕ということをぜひとも心がけていただきたいと思っています。やはりコミュニケーションがとりにくい、もしくはなかなか要望が伝わらないという話もちらちら聞くことがありますので、担当の方もいらっしゃると思いますけれども、ぜひともしっかりとニーズを把握して、専門的な知識でできるできないというのはもちろんあると思いますし、予算の問題もあると思いますので、そこら辺のところをしっかりとお願いしたいと思います。

 あと、やっぱり学習環境がいいということは非常に児童生徒に与える影響が大きいので、ぜひとも早急にやっていただきたいと以前から思っておりましたので、今回の件は非常に私としてはうれしく思っています。

【大森委員長】  そのコミュニケーションというのは、保護者と学校との間とかじゃなくて、校長と教育委員会担当者との間のコミュニケーションですか。

【林委員】  そうです。

【小川部長】  今後、各学校といろいろ申請内容も含めて協議させていただきますし、ご意見もお伺いしますけども、学校の実情をよく我々も勘案しながら、この事業効果を最大に生かすように対応していきたいと思っています。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

(5)大森委員長より閉会を宣告。

SNSリンクは別ウィンドウで開きます

  • Facebookでシェア
  • Xでポストする

探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先

大阪市 教育委員会事務局総務部教育政策課企画グループ

住所:〒530-8201 大阪市北区中之島1丁目3番20号(大阪市役所3階)

電話:06-6208-9014

ファックス:06-6202-7052

メール送信フォーム