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平成27年第22回教育委員会会議

2022年9月1日

ページ番号:363961

平成27年第22回教育委員会会議

第22回教育委員会会議録

 

1 日時  平成27年9月8日 火曜日 午前9時30分~午前11時45分

 

2 場所  大阪市役所本庁舎屋上会議室

 

3 出席者

 大森不二雄  委員長

 林  園美  委員長職務代理者

 高尾 元久  委員

 西村 和雄  委員

 帯野久美子  委員

 

 山本 晋次  教育長

 寳田 啓行  教育次長

 大継 章嘉  教育次長

 沼守 誠也  教育監

 小川 芳和  総務部長

 多田 勝哉  教育改革推進担当部長

 三木 信夫  学校配置計画担当部長

 井上 省三  教務部長

 松本 勝己  生涯学習部長

 加藤 博之  指導部長

 岡田 和子  学力向上支援担当部長

 島田 保彦  インクルーシブ教育推進室長

 源  俊司  学校経営管理センター所長

 林田 国彦  教育センター所長

 大久保典子  中央図書館副館長

 松下 玲子  中央図書館利用サービス担当課長

 石田 智子  中央図書館利用サービス担当課長代理

 山野 敏和  教職員人事担当課長

 中野下豪紀  教職員人事担当課長代理

 橋本 洋祐  教務部担当係長

 忍  康彦  教職員服務・監察担当課長

 栗信雄一郎  教職員服務・監察担当課長代理

 有上 裕美  教務部担当係長

 川阪  明  総務課長

 松浦  令  総務課長代理

 東川 英俊  総務課担当係長

 ほか係員2名

 

4 次第

(1)大森委員長より開会を宣告

(2)大森委員長より会議録署名者に西村委員を指名

(3)議題

議案第166号 図書館における図書にかかわる貸出・閲覧の取り扱いについて

議案第167号 校長公募第二次選考結果について

議案第168号 職員の人事について【継続審議】

なお、議案第167号については、会議規則第6条第5号に該当することにより、第168号については、会議規則第6条第2号に該当することにより、採決の結果、委員全員異議なく会議は非公開として審議することを決定した。

(4)議事要旨

議案第166号「図書館における図書にかかわる貸し出し・閲覧の取り扱いについて」を上程。

松本中央図書館長からの説明要旨は以下のとおりである。

元少年A著、太田出版発行、『絶歌』の本市立図書館における取り扱いについて、大阪市立図書館における同資料の貸し出し・閲覧については、閉架書庫に配置すること、18歳未満の青少年には閲覧に供せず貸し出しを行わないこと、閲覧・貸し出し時に当該資料に係る事実経過及び取り扱いを記した別紙を挟み込むこととする。

 これまでの経過及び取り扱い理由について、『絶歌』は、平成9年に神戸市で起った連続児童殺傷事件の加害者が匿名で出版した手記であり、被害者遺族へ事前に連絡し了承を求めることなく出版されたため、被害者遺族が出版社に対し抗議し、回収を求めている。しかし本書は、発生当時大きな社会問題になった事件の関係資料であり、市民の関心も高く、市民の知る自由を保障するためさまざまな資料を幅広く収集し、市民に提供するという図書館の役割に鑑み、提供すべき資料であると考えられる。ただし、連続児童殺傷事件という大きな社会問題になった少年犯罪の加害者自身の手記であるということで、いまだ人格形成期にある青少年の健全な育成に及ぼす影響を考慮する必要があると考える。なお、青少年の定義については、大阪府青少年健全育成条例第3条第1号に準じ、18歳未満の者とする。

 また、当該資料に係る上記の事実経過、すなわち被害者遺族へ事前に連絡し、了承を求めることなく出版されたため、被害者遺族が出版社に対して抗議し、回収を求めているという事実を利用者に知ってもらうことは、利用者にとっても有益であると考えられる。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【大森委員長】  最初に申し上げておいたほうがいいと思うのですが、この件については、既に縷々かなり時間を割いて教育委員それから事務局を含めた非公式の協議を重ねてきております。その結果、こういう取り扱いの方針が議案として上がってきているということで、これは事務局のためにも申し上げておいたほうがいいかと思うのですが、事務局の最初の原案ではこの青少年への閲覧・貸し出しの制限というのは入っていなかったと。それから、別紙を挟み込むというアイデアも協議の過程で出てきたということで、事務局の原案としては閉架書庫に配置するという、相当数の他の自治体の図書館、公立図書館においてそういった取り扱いをされる自治体といいますか図書館も数多く見られた、そういう閉架書庫に配置という原案が示され、その後、さまざま委員の間で意見が出て、事務局も含めて協議した、到達した結論が本日のこの議案にあるような取り扱いの方針と、こういうことになっているわけでございます。

 そこで、この場できちんと各委員がどういう意見かということを明らかにしておく必要があると思いますので、どなたからでもお願いいたします。

【林委員】  図書館に置くかどうかということですけれども、やはり市民の知る自由を保障するという観点で、私は書庫に配置するということに関しては賛成の立場であります。

 閉架書庫ということ、閉架にするか開架にするかという部分でもいろいろ考えましたけれども、実際に本を読みまして、この本の内容がまずフィクションではないということですね。実際にあったことをご本人が縷々書かれているということは非常に重いことであると思いました。

 それと、もう1点は、彼の思いとか彼の考えが書かれている本なので、それがほんとうに正しいことかどうかというのはまた別の問題だろうなと思いながらずっと読みました。率直な私の思いでは、やはりこれはかなり青少年には大きな影響を与えるのではないかと感じました。自分がほかの友達とかとちょっと違うかもしれないと違和感を持ちながら生活している子どもは、結構少なくはないと思いますけれども、そういう子どもたちが大きな影響を受けてしまうのではないかと懸念をしまして、18歳未満の青少年には閲覧しないというふうにしてほしいというふうなことでお願いをしました。私の意見としてはそういうところです。

 また、被害者遺族に対しての配慮というのはもちろん考えたんですけれども、公的な立場として図書館という役割を考えたときに、全く貸し出しを行わないというのは違うのではないかと思った次第です。

【高尾委員】  私はこの議案について賛成する立場です。説明をいたしますと、表現の自由というのはその著者、内容によって制限を加えてはならないと、それについては慎重であらねばならないということは当然だろうと思います。多くの自由の中でも最も尊重されなければならない自由であるということがあります。

 ただし例外的なことがあって、明白なそこには問題を生じると、しかもそれが重大である場合、しかも一旦それが出てしまうと回復不可能な問題が生じるというふうな場合にはやはり制限が必要であると思います。

 この場合、それに加えてもう1つは、18歳未満者の健全育成のためにも時として制限を加える必要があるんだと思います。ただ、その制限については可能な限り限定された小さな制限に限るということになろうかと思います。

 18歳未満者の方に対する措置について言えば、基本的には表現の自由というのは結局その判断、内容についての、あるいはその本自体についての判断というのは多くの読者の方、市民の方に委ねられている事柄、その判断によって決しましょうということになっているんだと思います。ただ、18歳未満の方がその判断がきちんとできるかというと、やはりそうでもないところがあるだろうと。例えば18歳未満の者の中には、心身ともに非常に感受性豊かで柔軟性に富むと同時に、未成熟であって判断能力も十分でないという児童生徒も含まれており、その中で適切な配慮も受けられないまま成人と同様にこの書籍を貸し出し、あるいは館内での自由な閲覧ということに供することについては慎重な検討が必要ではないかと思います。

 そういった点から、表現の自由の原則というのを基本的に極めて尊重しつつ、しかし、18歳未満の方の健全育成のために必要最小限の措置をとるというのが一番いいのではないかと思って、この議案の趣旨に賛成しているというところです。

 付言すれば、18歳未満の方について完全にこの本を読むなと私どもが禁止しているわけではないので、その点はご理解をいただきたい。ただ、図書館としてはこういう措置をとりますということを述べたんだということになると思います。

【大森委員長】  いかがでしょうか。西村委員と帯野委員、ご意見はいかがでしょうか。

【西村委員】  特につけ加えることはありません。

【大森委員長】  帯野委員、いかがでしょう。

【帯野委員】  私も特にはございません。

【大森委員長】  それでは、私のほうから発言させていただきますけれども、この問題について考えるときには、やはり委員一人一人の個人の、あるいは人間としての道徳的ないしは倫理的な判断の次元といいますか、そういう次元の判断と、公立図書館で閲覧を制限する、しないとか、そういうことはある種、公権力の行使にかかわる行政としての行為の判断になりますので、その2つの次元というのはあまり混同しちゃいけないと、切り離して考えなきゃいけないと考えています。この本が道徳的にどうだからということだけで、我々、個々人として倫理的に判断するのは自由なわけですけれども、そういう個人的な感覚と、これが公権力の行使にかかわるということを考えたときには、やはりそこにある種の慎重さを要するわけで、なぜなら公権力の行使につきましては、当然憲法に保障される国民の自由、国民の権利の制約にかかわる論点、そうしたものの検討が不可欠となるからでございます。

 この地方公共団体が設置する公立の図書館における図書の提供は、基本的に自由な閲覧と自由な貸し出しを原則としなければならないというふうに、これは別に私が考えているというより当たり前の原則だと思うのですけれども、これは憲法の第21条の保障する表現の自由及びその派生原理というふうに最高裁の判例なんかは言っていますけれども、そこから派生する知る自由ですね、あるいは表現の自由及び知る自由の一部となります出版の自由及び出版されたものの閲覧の自由、これらを保障する上で、図書館の中でも公立図書館が果たすべき責務というのは極めて重要であるということは皆すぐ同意されることであろうと思います。

 ですから、一般論として言いますと道徳観念ですとか正義感ですとか、これは各自かなり違ってくる場合があるわけですが、そういったものから図書の中身を逐一評価して図書の収集、つまり図書館に入れるかどうか、買うかどうか、それから提供、つまり提供というのは閲覧や貸し出しということですけれど、閲覧に供したり貸し出したりするということですけれども、この図書の収集、提供を制限することに対しては極めて慎重でなければならないというふうに当然考えられます。

 この原則は、図書のジャンルの如何を問わない。すぐ思い浮かぶのは、政治的な内容の図書ですと主義主張、思想信条、そういうものにかかわるということで、一方的な自分の思想信条でもって図書館の職員がとか、あるいは公立図書館が取捨選択するというのはまずいなとおそらくぴんときやすいだろうと思うのですけど、別にジャンルを問わない。政治的な内容の図書とかそういうものに限らない。あと芸術作品ですね。芸術作品としての図書。これも芸術性がどうなんだということ、高い低いとか、あるいは芸術性なんてないとか、これも一々それぞれの図書館あるいは図書館の職員あるいは我々教育委員会が判断し出したら切りがないと。それからあと、もちろん科学や学問に関する図書もそうでしょうし、あるいは今般のこの図書、本日の議案に上がっている図書、こういったものをどう表現していいかですけども、どういうふうな図書であっても基本的には自由に収集・提供するということのそういう基本原則は変わらないだろうと思っているところでございます。

 憲法にかかわるということで申しましたので、参考資料として配付されておりますけれども、4つの判例がございますけれども、一つ一つポイントといいますか、当たってみたいと思います。

 まず、船橋市西図書館蔵書破棄事件。これは平成17年7月14日の最高裁の判決、判例でございますけれども、この時代はどこからの教科書でしたかね、いわゆるこれは「つくる会」と呼ばれている、「つくる会」系の教科書と呼ばれている教科書について、既に蔵書していたんですが、これを図書館の職員が破棄したという事件ですけれども、これに関する最高裁の判決において私が引用・言及したい部分というのは、「そして、公立図書館の図書館職員は、公立図書館が上記のような役割を果たせるように、独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負うものというべきであり、閲覧に供されている図書について独断的な評価や個人的な好みによってこれを廃棄することは、図書館職員としての基本的な職務上の義務に反するものと言わなければならない」というふうに最高裁によって判示されていると。この事件については図書館のポリシーとしてこういうふうな廃棄したよということではなくて、この職員の独断ということでの事件だったようですけれども、一職員にしろ、あるいは図書館、あるいは今般の議案に上がっておりますように、非常に重大な責任を負うような判断を必要とするものは管理機関であるところの教育委員会において判断するということはそういう制度であるわけで、一職員にしろ図書館にしろ、あるいは教育委員会にしろ、やはりこの「独断的な評価や好みによって」という部分は共通に参照すべき考え方じゃないかなと。これは廃棄の事件でありますけれども、廃棄に限らず、広く言えば収集・提供に当たってそういった独断的な評価や好みによってということはあらゆるジャンルの図書について避けるべきというか、行うべきではないというのが一般的な原則、考え方だろうとこの判例から読み取ることができると思うわけであります。

 それで、この表現の自由から派生すると言われているこの知る自由ですとか閲覧の自由、それがなぜそれほど大切なのかということ。それは別の判例ですね、よど号ハイジャック記事抹消事件の最高裁判例、これを参照してみたいと思います。

 具体的にいいますと、「およそ各人が自由にさまざまな意見、知識、情報に接し、これを摂取する機会を持つことは、その者が個人として自己の思想及び人格を形成・発展させ、社会生活の中にこれを反映させていく上において欠くことのできないものであり、また、民主主義社会における思想及び情報の自由な伝達、交流の確保という基本的原理を真に実効あるものたらしめるためにも必要なことである」というふうに述べた上で、その後、「それゆえ」とあります。「それゆえ、これらの意見、知識、情報の伝達の媒体である新聞紙、図書等の閲読の自由が憲法上保障されるべきことは、思想及び良心の自由の不可侵を定めた憲法19条の規定や、表現の自由を保障した憲法21条の規定の趣旨、目的から、いわばその派生原理として当然に導かれるところであり、また、全て国民は個人として尊重される旨を定めた憲法13条の規定の趣旨に沿うゆえんでもあると考えられる」と述べております。

 大きく言って個人ですね、国民一人一人、個々人の人格形成等、そのためにはそういった閲読の自由ということと、それから民主主義社会における思想・情報の伝達、交流の自由、その確保といったような2つの面から、この閲読の自由の意義といいますか、重要性、大切さを述べているということになろうかと思います。

 この最高裁判例の憲法解釈というのは、別の判例、これは傍聴メモ採取不許可国家賠償請求事件というものですが、この判決においても先ほどの判例の憲法解釈が踏襲されております。

 そういうことで、表現の自由及び知る自由、あるいは出版の自由及び閲読の自由というのは、極めて憲法が保障する自由と権利の中でも、基本的人権の中でも極めて制約に慎重でなければならない自由、自由権の一部というふうになるわけなんですけれども、ただし、これらの自由というものも一切制限の許されない絶対のものというわけではないということでございます。

 これは高尾委員のご発言の中にも同趣旨のことが述べられていたかなとは思いますけれども、これを最高裁判決で見ますと、今見ましたよど号ハイジャック記事抹消事件の判決文の中で、「しかしながら、このような閲読の自由は生活のさまざまな場面にわたり極めて広い範囲に及ぶものであって、もとより上告人らの主張するようにその制限が絶対に許されないものとすることはできず、それぞれの場面において、これに優越する公共の利益のための必要から一定の合理的制限を受けることがあることもやむを得ないものと言わなければならない」というふうにございます。そのようにこの最高裁の判決が述べているとおり、全くその制約が、その制限というのが絶対に許されないというものではないということ、そういった優越する公共の利益のための必要から一定の合理的制限を受ける、こういうこともあり得るということを、やむを得ないというふうなことを言っているということでございます。

 その上で、本議案に内容的に参考になるものとして岐阜県青少年保護育成条例事件の判例を参照したいと思いますけれども、これは青少年の健全育成と表現の自由及び知る自由が争点になった判例と言えるかと思いますけれども、この判例は、「2、本条例の定めるような有害図書が、一般に思慮分別の未熟な青少年の性に関する価値観に悪い影響を及ぼし、性的な逸脱行為や残虐な行為を容認する風潮の助長につながるものとして、青少年の健全な育成に有害であることは既に社会共通の認識になっていると言ってよい」というふうにした上で、「そうすると、有害図書の自動販売機への収納の禁止は、青少年に対する関係において憲法21条1項に違反しないことはもとより、成人に対する関係においても有害図書の流通を幾分制約することにはなるものの、青少年の健全な育成を阻害する有害環境を浄化するための規制に伴う必要やむを得ない制約であるから、憲法21条1項に違反するものではない」というふうに判示しているところでございます。

 この判決には、補足意見というのがついています。伊藤正己裁判官による補足意見がございます。今見た判決文自体は憲法解釈等について踏み込んであまり述べられていないのですが、この伊藤正己裁判官の補足意見というのはかなり踏み込んで詳細に検討されて述べられていますので参照してみたいと思うのですけれども、この補足意見は「この規制は憲法の保障する表現の自由にかかわるものであって」ということをはっきり言っているところであります。「この規制は憲法の保障する表現の自由にかかわるものであって、所論には検討に値する点が少なくない」ということで、こういう補足意見を述べておられるわけですけれども、憲法の保障する表現の自由にかかわるということを明確に述べた上で、これは明らかに青少年の知る自由を制限するものであると明確に述べておられます。

 ただ、だからだめと言って反対しているんだということではなくて、あくまで補足意見で、そのエッセンスとしては、結局青少年は成人あるいは大人と比べて青少年の精神的未熟さに由来する害悪から保護される必要があるため、青少年の持つ知る自由は一定の制約を受ける、そういう旨の見解をトータルでは示しています。

 結論的に言えば、青少年の精神的未熟さに由来する害悪から保護される必要があるということで、青少年の持つ知る自由は、成人と比べてということですが一定の制約を受ける、要約すればそういう趣旨の見解ということになろうかと思います。

 ですから、今般の本日のこの議案、図書館における図書の扱いにつきましても、自由な閲覧と貸し出しという図書館の役割における原則といいますか、この自由な閲覧と貸し出しという原則の例外を検討するに当たっては、以上の判例というものが参考になると考えているところでございます。

 ということで、本日のこの議案において示している取り扱いというものは、我々大阪市教育委員会としては、憲法の許容する範囲内の青少年に限定した閲読の自由あるいは広く言うと知る自由の制約ではあるけれども、その制約は憲法の許容する範囲内であろうと私どもは判断しているということでございます。

【高尾委員】  付随する事項なんですけど、大阪市立図書館の内規その他で今回の事案に照らしてきちんと整合性があるのかどうかまた点検していただいて、必要ならまた改めるという手続、もしあればお願いしたいと思います。

【松本館長】  それは今後ということで理解させていただいたらよろしいでしょうか。

【高尾委員】  そうです。

【松本館長】  わかりました。

【大森委員長】  何についての内規ですか。

【松本館長】  収集方針その他ということでございますね。

【高尾委員】  ええ。閲覧制限についての運用細目とか閲覧制限の内規が。

【松本館長】  ございます。チェックをしてみたいと思います。

【大森委員長】  そういう内規云々なんて発言で出た以上は、どういうものかわかればここで明らかにしておいたほうがいいんじゃないかと思うんですが。事務局のほうから、どういうものと説明いただけますかね。

【松本館長】  閲覧制限に関します内規でございますけども、まず目的といたしましては、必要事項を定めるということのほかに、考え方といたしまして、公共図書館の資料提供の自由を前提としつつ、必要最小限の閲覧制限をすることによりまして、図書館資料の適正な利用を図ること、これを目的としたものであるということを定めさせていただいております。

 具体的に閲覧制限をする資料でございますけども、閲覧を制限することができるとされている資料を列挙したものでございますが、人権またはプライバシーを侵害することが客観的に明らかなもの、わいせつ出版物であるとの判決が下ったもの、寄贈者または寄託者が一定期間公開を否とするもの、著作者の公表権を侵害して発行された資料で、公開することが著作者の意思に反するもの。

 その他、以下、手続的なものを定めさせていただいております。

【大森委員長】  これは日本図書館協会の図書館の自由に関する宣言で掲げているものに非常に似通っているものですね。人権またはプライバシー、わいせつ出版物、寄贈者云々、これは一致しているようですね。4番目の著作者の公表権云々は、これは独自ですかね。

【松本館長】  図書館の自由に関する宣言の中には入ってございませんが、このとおり読めば著作者の公表権を侵害するということで、公開することが著作者の意思に反するもの、要は公開してほしくないというものについては閲覧を制限すると、そういう趣旨でございます。

【大森委員長】  今般のこの議案の対象になっている図書というのは、この内規と関係するのかしないのかはいかがでしょうか。

【松本館長】  閲覧制限のこの内規に照らしますと、今回のいわゆる資料につきましては閲覧制限資料には当たらないと考えております。ですから、特例的な取り扱いをご検討いただいているというところでございます。

【大森委員長】  基本的に、先ほど日本図書館協会の図書館の自由に関する宣言と言いましたけど、それは配付されていないので、傍聴の方々は「何だろう、それは」と思われたかもしれないのですけれども、この日本図書館協会、まずこれは任意団体でしたか。

【大久保副館長】  公益財団法人です。

【大森委員長】  本市、大阪市立図書館も加盟といいますか、会員といいますか、なっているのですよね。全国の公立図書館がほぼ参加していると考えていいのでしょうか。

【大久保副館長】  そうでございますね。

【大森委員長】  この図書館の自由に関する宣言というのは、かなり資料収集の自由ですとか資料提供の自由というものをある意味ピュアに、純粋に追及されていて、例外は極力避けようという趣旨で一貫している宣言かなというふうに目を通して感じたんですけれども、大体そんな感じで読み方としては合っていますかね。

【大久保副館長】  そうですね。先ほど委員長からご質問があった件で、大阪市立図書館の(4)の著作者の公表権を侵害しての件なんですけれども、この自由の宣言の中では、「図書館は資料提供の自由を有する」の(3)で「寄贈または寄託資料のうち、寄贈者または寄託者が公開を否とする非公刊資料」という記載がございますので、それに近いものであると思われます。

【大森委員長】  それで、内規のほうの(4)に「著作者の公表権を侵害して発行された資料で、公開することが著作者の意思に反するもの」というのは、ここにないですよね。

【大久保副館長】  公開を否とするということでは重なってはおりますね。

【松本館長】  (3)につきましては、一定期間公開を否とするものということでございまして、(4)につきましては公開することが著作者の意思に反するということで、著作者の意思の変化がなければそのまま閲覧制限資料であり続けるものということかと思います。ですから、図書館の自由に関する宣言の先ほど申し上げました寄贈者または寄託者が公開を否とする非公開資料、これを2つに読み解いたような形ということになります。

【大森委員長】  この議案の本筋の議論にかかわることではないと思いますが、この図書館の自由に関する宣言というのは、やはり基本的には大事なことが書いてあるというふうに個人的には私自身思うわけです。

 今般のこの図書、議案の対象になっている図書について、この日本図書館協会は何か見解を出されていますか。簡単に見解の紹介をお願いします。

【松本館長】  2015年6月29日付で、まず、この図書館の自由に関する宣言につきましては、収集の制限を施行していないということ、制限については提供制限を行わないという原則を示した上で、例外的に提供制限があり得る3つの制限項目を示し、さらに提供制限を行うことがあり得る3つの要件、3つの制限項目と3つの要件を確認していると述べられた上で、その3つの制限項目と3つの要件ですけれども、まず3つの制限項目につきましては、人権またはプライバシーを侵害するもの、わいせつ出版物であるとの判決が確定したもの、寄贈または寄託資料のうち、先ほどのお話ですけども、寄贈者または寄託者が公開を否とする非公刊資料ということでございまして、その3つの要件につきましては、頒布差しとめの司法判断があること、そのことが図書館に通知されていること、被害者が図書館に対して提供制限を求めたときであることというふうなことをもちまして、本資料につきましては「本件は上記の提供制限要件には該当しないことを念のために申し添えます」ということで確認をされております。

【大森委員長】  ですから、簡単に言えば、収集もそれから提供もこの図書について制約すべきではないというか、条件は満たさないというふうな趣旨の見解を示しておられるということですね。

【松本館長】  はい、そうです。

【大森委員長】  わかりました。ですから、きょうの私どものこの議案、大阪市教育委員会の取り扱いの方針案というものは、収集する部分では日本図書館協会の見解と一致していると。他方で、提供のほうはやや判断を異にしているということになりますかね、青少年への制約の部分で。

【松本中央図書館長】  はい、そうです。

【大森委員長】  あと、閲覧といいますか、閲覧の前に図書をどこに所蔵するかということでの開架と閉架、これは基本的には図書館の裁量ということになるのですかね。

【松本館長】  収集・提供も含めまして、最終的には図書館の判断といいますか、裁量ということになってまいります。開架か閉架かということにつきましても同様です。

【大森委員長】  もちろんこの日本図書館協会の見解に何か法的拘束力があるわけでは全くないわけですから、各図書館、あるいは本日のケースのような場合にその管理機関である教育委員会に判断が上がってきているわけですけれども、その図書館ないし管理機関である教育委員会の判断、裁量に委ねられているということですよね。

【松本館長】  はい、そういうことでございます。

【大森委員長】  判断に委ねられているというのはどういう決定をしてもいいということではなくて、憲法との関係とか、それぞれの図書館ないし教育委員会が責任を持って判断すると、こういうことになろうかと思うのですが、私どもの判断としては、ですから、今の日本図書館協会の判断と一致する部分もあれば、必ずしも完全には一致しない部分もあるということになろうかと思います。

 もしほかにご意見がなければ続けますけれども、私個人としては、本日のこの議案のように例外的な取り扱いを決定することには躊躇がないわけではございませんでしたけども、最終的には委員多数のご意見に従うことといたしました。これは特に紹介した最高裁の判例の中でも岐阜県青少年保護育成条例事件の判決、そこで「社会共通の認識」というふうな言葉も使われておりますが、社会共通の認識ですね。おそらく現状からすると、この図書の取り扱いについて社会共通の認識があるのかどうかは必ずしも明らかではないんですが、そういうものに近いのは、私のそういう感覚よりはおそらく他の委員の方々のご意見のほうであろうと、とりわけこの青少年の保護の必要性、その論点についてはそういうことではないかと私自身も納得して、委員多数のご意見に従うことといたしました。

 しかしながら、先ほどの最高裁の判例の伊藤正己裁判官の補足意見ではないんですけれども、一人の委員として補足的に意見を申し上げさせていただきたいと思います。

 これは最終的に私自身も納得して本日の議案に賛成しているわけですが、あくまで補足ということなんですけれども、青少年の健全な育成に有害な図書というもの、これは岐阜県の条例の事件でそういう対象になっている事柄であるわけですけれども、岐阜県の事件の場合はこれはわいせつな図書にかかわる事件であったかと思います。有害というものはさまざまな有害というものがあり得るわけで、わいせつ、暴力というのが多くの場合、都道府県のこの種の条例ですね、青少年健全育成あるいは青少年保護育成条例、そういったものの対象になっているものとしては有害図書の指定というものが都道府県によって行われているということがあると思うんですが、その青少年の健全な育成に有害ということからすると、本日の議案においてもそういうことで一定の制約を、あくまで市立図書館における取り扱いにおける制約ということで課しているわけなんですけれども、さまざまな意味での有害、わいせつ、暴力にとどまらず、今般のこの図書のようなものも含めて、いろいろ探し出すとおそらく多数に上るんじゃないかという気もいたします。いろんな意味で、青少年の健全な育成に有害な図書というのは、網羅的に探せば多数に上るのではないかというふうに思います。これは全く個人的な見解ですけれども。

 しかしながら、私個人はそのようなことはすべきではないと考えています。要するにあらゆるものをリストアップして、これもわかりやすく言えば本日議案の対象になっている図書と同じぐらい、あるいはそれ以上に有害じゃないかというふうなものを網羅的に探し出せば、いろいろ候補といいますか、挙がってくるんじゃないかと思いますけども、私はそういうことはすべきじゃないと考えております。

 そういうことをすれば、憲法第21条第2項前段にいう検閲、検閲というのは絶対的に憲法によって禁止されているんですけれども、それには当たらないとしても、事前の抑制という、法律用語ではそう言っていますけども、事前の抑制としてかなりのことになって、その規制というのは非常にある意味、極めて慎重に検討しなければならないようなものになってくるんだと思います。

 本日の議案の中にも書いてございますけれども、「経過及び理由」の一番下の行に、「上記の特例的な取り扱いを実施する」と。あくまで特例であるということ。なぜ特例かと考えた場合に、やはりこの図書が今非常に、きょうの議案の対象になっている図書自体が、現在大きなある種、事件そのものが大きな社会問題になった事件であるということだけではなくて、この図書ないしはその出版自体が今大きな社会の問題といいますか話題になっているという状況、そういう現状において、やはりこの特例的な取り扱いというものを青少年の保護の観点からする必要があるかなということで、私も憲法上も許容範囲ではないかと思ったわけでありまして、あくまで現状におけるこの当該図書に限った限定的な特例としての扱いというふうに考えているわけでございます。

 ということで、この問題については、最初に冒頭に申し上げましたように国民の自由と権利にかかわる公権力の行使という側面がございますので、きちんと憲法にかかわる問題なんだという認識を持って本日の議案決定に臨んでいるということをやはり明確に明らかにしておく必要があろうと思っております。そういうことで、私としては、この議決に当たってこの議案の議決の趣旨をもう少し詳細に補足説明するということが望ましいのではないかと考えております。したがって、私の先ほど述べた個人的見解ではなくて、我々、私ども委員と事務局がこの本日のような議案に到達した共通の認識の部分を附帯決議として決定しておくということは意義があるんじゃないかと考えますので、ここで附帯決議の案を事務局から配付願います。

(附帯決議案配付)

【大森委員長】  附帯決議案となっていまして、最初の3行は、これはこの議案の議決に当たって補足説明するという趣旨の附帯決議ですよということが書いてあるだけです。

 その下の記、1番のところをごらんいただきたいんですが、「今般決定した18歳未満の者を対象とする閲覧・貸し出し制限は、当該図書がこれまでになく高い社会的注目を集める現状において、連続児童殺傷事件という大きな社会問題になった少年犯罪の加害者自身の手記が青少年の健全な育成に及ぼす影響に鑑み、当該図書のみを対象として必要最小限の特例的な取り扱いを行うものである」。

 次の段落には、「一般に人格形成期にある青少年は、いまだ知識、情報を取捨選択する力が十分に発達しておらず、図書等から受ける影響も大きいと考えられることから、有害な影響からの保護が必要となり、青少年の図書等の閲読の自由は一定の制約を受けるものと考えられる」とございます。この段落につきましては、先ほどご紹介した岐阜県の条例の事件の最高裁判決、この判例及びその伊藤裁判官による補足意見、その両方を見て整合するような文章になっているかと思います。これが1番。

 それから、2番でございますけれども、「他方、18歳以上の者に対しては、当該図書の提供、つまり閲覧・貸し出しを行うこととしたのは、公立図書館の第一の使命は、さまざまな図書、その他の資料を評価や好みにとらわれることなく幅広く収集し、住民に提供することにあると信じるからである」ということです。これは別の最高裁判例ですね、特に船橋市西図書館蔵書破棄事件の判例を参考にしてある文章でございます。

 その次の段落ですけども、「なお、閲覧・貸し出し時に挟み込む別紙に当該図書に係る事実経過を記すこととしたのは、事実経過を知ることは利用者にとって有益であると考えられるからであって、大阪市教育委員会または大阪市立図書館の見解を示すものではないということ」。これも大事なことかと思われます。

 そして、最後の段落として、「大阪市教育委員会及び大阪市立図書館は、今後とも憲法の保障する表現の自由及び知る自由(図書等の閲読の自由を含む)を尊重し、擁護する」と、かような文案になっておるわけでございます。

 以上、この議案の方針そのものには各委員から異議は出ていないので既に了解されているものかと思いますが、この附帯決議の文案につきまして何かご意見あるいはご質問があればお願いいたします。

【高尾委員】  基本的には賛成いたします。1つだけ補足をしておきたいと思います。1について、青少年に対する一定の制約ということですけども、青少年に対してもこういった表現を受け取る権利を含む表現の自由というのは基本的に尊重されなければならないということは、この文章の自明の前提としてあるということだけは確認しておきたいと思います。

【大森委員長】  それはおっしゃるとおりです。この場で文案、合意できれば、何かこの1の第2段落の始まりのところに今のご発言の趣旨を一言、二言つけ加えることは可能かと思いますけれども。私も見ますけどですね。岐阜県の条例の事件ですね。その中でも法廷意見のほうがあっさりしていてあんまり引用できるところがないんですが、伊藤正己裁判官の補足意見のほうには引用できる表現があったかと思うんですけど、青少年の知る自由というものも前提としてあるということですね。

【松浦代理】  岐阜県青少年保護育成条例事件3ページ、一番下の段落の1から3行目までですね。

【大森委員長】  「知る自由の保障の必要性は高い」。端的に言えば、憲法の保障する知る自由は青少年にもあるという。

【松浦代理】  その上ですね。「そして、青少年もまた憲法上知る自由を享有していることはいうまでもない」。

【大森委員長】  そうですね。「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることはいうまでもない」。これが使えそうですね。

 高尾委員、私としてはそれをここに入れたほうが、高尾委員のおっしゃるように我々の意図がより明確に伝わるんじゃないかと思うので、そうすると「一般に」の前に。

【西村委員】  「一般に、人格形成期にある青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが、しかし」、と続けたらどうですか。

【大森委員長】  ただ、ここはむしろ人格形成期云々というのはどっちかというと制約する理由として使っているので、「一般に」の前のほうがいいかなと思うんですけどね。「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが」、そのままこの伊藤裁判官のセンテンスをそのまま引用すればいいのかなと思ったんですけど、「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが、一般に人格形成期にある青少年は」というのでどうですか。

【松浦代理】  結構かと思います。

【大森委員長】  それでは、もう一度読み上げます。その上で委員の皆様のご意見を伺いたいと思うんですが、ここの1.の第2段落ですね、「一般に」で今始まっていますが、その前に挿入するのが、「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが、」、その後、ここに続ける。つまり、「一般に人格形成期である青少年は云々」というふうにつながっていくということで、高尾委員の今のご発言、ご意見を受けて、私としてはこの附帯決議そのものをそのように修正することが、附帯決議が目指している我々の議決の趣旨をより明確にすると、より明確に補足説明するということにプラスではないかと思いますが、いかがでしょうか。何かご意見はございますでしょうか。

【高尾委員】  知る自由というのは確かに使われているんですが、表現の自由のほうがよりわかりやすいのかなという気もするのですが、どうでしょう。事務局のお考えを聞いたほうがいいかなと。

【大森委員長】  青少年の立場からすると、表現の自由としますと、それは著者の側の自由になってきますけども。この場合は受け手のほうの知る、閲読する側の青少年ということで。

【高尾委員】  すいません、私の理解では表現の自由というのは非常に概念が拡張されていて、書くという表現、その表現行為だけではなくて、それに市民がアクセスしてその表現を受け取るということまで内容として含んでいるんだという、そういう理解をしておったんですけども。

【大森委員長】  ですから、それ、先ほど私も最高裁判例を引用といいますか、参照しました際に触れましたけれども、派生原理という言葉が使われていましてですね。つまり、表現の自由から派生する原理として閲読の自由というのが別の最高裁判決にありまして、それから、この最高裁判決の伊藤正己裁判官の補足意見の中では「知る自由」という言葉が使われていますね。私、「知る自由」という言葉がほかの最高裁判例に出ているかどうか確認できていないんですが、少なくとも判決そのものじゃなくて、伊藤裁判官の補足意見には「知る自由」という言葉が使われていると。ただ、ほかの最高裁判決にはちゃんと、「知る自由」ではないのですが、「閲読の自由」とかいうような言葉がその表現の自由等から派生すると、派生原理としてそれは保障されるという趣旨のことが書いてあるというので合っていますよね。

いわゆる表現の自由そのものというのは受け手の自由ではなくて、表現者、図書であればその著者の側の自由、権利というものにかかわる概念でありまして、そこから受け手の側の知る自由あるいは閲読の自由というものが派生するという、こういう論理を最高裁は展開しておるということなんですけど、納得いただけましたでしょうか。

【高尾委員】  2つ並べて使うという手が一番親切かもしれませんね。かぎ括弧で表現の自由、かぎ括弧で知る自由というのが。

【大森委員長】  わかりました。おっしゃるように「表現の自由」という言葉も使ったほうがいいというのはそうだろうと思いますので、表現の自由から派生する、あるいは表現の自由の派生原理であるというのを冒頭につけたらいいんじゃないですかね。

 つまり、先ほどの修正案、この判例の3ページの、「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが」とつけたんですね。その「青少年もまた憲法上知る自由」。知る自由の後に括弧書きで「表現の自由の派生原理」、括弧閉じるとしたらどうですか。そしたら、大体最高裁の伊藤裁判官の補足意見どおりじゃないですか。それでも結構ですけれども、「青少年もまた憲法上表現の自由及びそこから派生する知る自由を享有していることは言うまでもないが」というのでは。

【西村委員】  でも、そうすると著者の表現の自由をここで議論しているように誤解されるのでは。

【大森委員長】  おっしゃる意味はよくわかります。我々の意図は全然そういう意図ではないんですけれども、揚げ足を取られるような読み方をされると、「著者を擁護してるのか」みたいな、何かあらぬ読み方をされるおそれがあるということですよね。我々の意図は、別に著者とか云々とかいうことの評価に全くかかわりのない話で、あくまで受け手の側の自由に言及しているにもかかわらず、ここに「表現の自由及び知る自由」とすると、何か著者のことに言及していると、そういう誤解を生むおそれがあるということですよね。

【西村委員】  言及しちゃいけないということでもありませんが、ここでは借り手のことを言っているわけですよね。

【大森委員長】  ええ。ですから、西村委員、その場合、ここの憲法上知る自由、括弧「表現の自由の派生原理」括弧閉じるとすれば別に大丈夫じゃないですかね。

【西村委員】  ただ、それも入れる必要がないと思うのですが。

【大森委員長】  入れたほうがわかりやすいかなとは思いますね。この附帯決議に「表現の自由」という言葉は最後に出てくるんですけれども、いかがでしょうか。括弧書きであれば西村委員のご懸念のようなおそれはほとんどないかなと思いますけども。括弧書きであっても高尾委員のご趣旨は入りますよね。

【高尾委員】  一番下にきちんと書いてありますからね。

【大森委員長】  ただ、ここには表現の自由と知る自由の関係が説明はされてないですね。「及び」となっていますから、できれば「派生原理」と書いておいたほうが、憲法、憲法じゃない、憲法解釈に当たって最高裁の判決文をちゃんと参照したものであるということは明らかにできるかと思うんですけれども。

【西村委員】 私であれば、そういう場合だったら括弧で書くより注を入れます。最高裁判決について。でも、入れる必要ないと思いますけどね、ここで。最後に書いてあるからそれで十分だと思いますけど。

【大森委員長】  注を入れるべきというご意見ですか。

【西村委員】 もしそれをこの判例に基づいてこういうふうにしたということをはっきりさせようと思ったら、私だったら、そこに主眼があれば注を入れるということ。だから、べきだということではないですけどね。

【大森委員長】  知る自由が表現の自由から派生すると。表現の自由の派生原理として知る自由ないし閲読の自由があるということは、これはこれまで最高裁の複数の判決で出てくる話ですので、ここに配付させていただいた複数の最高裁判決に出てくることですので、特に引用とか注の形でするというのも何だと思いますので、ですから括弧書きで入れるか何も入れないかということで、別に私もこの点こだわることではないんですが、せっかく議論になりましたからはっきりどうするか決めなきゃいけないんですけれども、ですから繰り返しますと、何を決めていただきたいかというと、今の「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが、」というのを「一般に」の前に入れると。これは異議は特に出ていないと思いますが、そこに私としては何か入れるとすれば、「青少年もまた憲法上知る自由」の後に括弧書きで、括弧「表現の自由の派生原理」括弧閉じるというのを挿入して、「を享有していることは言うまでもないが」というふうにするか、今の括弧書き、つまり括弧「表現の自由の派生原理」括弧閉じると。よろしいでしょうか。

 では、この附帯決議の文案をもう一度確認しますが、キの1の第2段落の冒頭に「青少年もまた憲法上知る自由を享有していることは言うまでもないが、」を挿入すると。その後は、ここにあるとおり、「一般に人格形成期にある青少年は云々」と続くわけですが、この修正を施したいと思います。

採決の結果、委員全員異議なく、原案に附帯決議を付して可決。

 

議案第167号「校長公募第二次選考結果について」を上程。

井上教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

【井上教務部長】  第一次選考合格者の190名のうち、第二次選考合格者を約半数の94名とする。内外別では、外部は23名のうち8名を、内部は167名のうち86名を合格とする。

 

質疑の概要は次のとおりである。

【大森委員長】  合格者の中には、4人の面接員のうち1人でも、ぜひとも不合格とするべきと低い点数をつけている受験者はいますか。

【井上部長】  2人います。

【大森委員長】  この2人を面接された委員におかれては、何か懸念されるような側面はありましたか。

【林委員】  いずれも集団討論での言動から見れば、私は大丈夫だと思います。

【大森委員長】  もちろん大原則として、4人の面接員がつけた点数の合計を尊重するが、念のために会議で個別にチェックすることに意味があると思います。以上の確認で合格者はこれで良いのではないでしょうか。

【高尾委員】  三次選考のときには事前に資料をもらえるのですか。

【山野課長】  三次選考のときには、平素の勤務状況をお示ししている資料をご用意いたします。

【高尾委員】  総合的に判断する上からは、最終選考では受験申込書等を見られる方がいいです。

【大森委員長】  合格者数について、前年度との比較はどうですか。

【山野課長】  昨年度の応募者は、外部が144名、内部が348名です。昨年度の一次選考の合格者は、外部が58名、内部が178名で、昨年度の二次選考の合格者は、外部が15名、内部は112名でした。

【大森委員長】  外部については、昨年度は応募者が144名で二次選考合格者が15名だから、1割強の合格。今年度は67名の応募者に対して二次合格が8名だから、これも1割よりは多い。三次選考の受験者数は全体で減っていますが、三次選考の倍率は昨年度より低くなるのですか。

【山野課長】  若干低くなります。

【大森委員長】  今の話は校種全部の話だから、三次選考における合格者数の目安は、校種ごとに事務局で勘案するということですか。

【山野課長】  現在、校長の再任用等の意向調査を行っており、それらの調査結果を踏まえて大体の合格者数を算出し、三次選考のときには校種ごとに合格者数の目安をお示しさせていただきます。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

議案第168号「職員の人事について」を上程。

井上教務部長からの説明要旨は次のとおりである。

 小学校教員について、平成26年10月中ごろに課外活動用ギターを無断で持ち帰った以降、紛失したと考え長期にわたり返却を怠ったことについて、懲戒処分として減給3月を科すものである。

 

質疑の概要は以下のとおりである。

【高尾委員】  結局このギターの所有者は大阪市でよろしゅうございますか。あるいは所有者不明になっていて、管理者が大阪市ということですか。

【井上部長】  占有をしている意味で、管理者が大阪市です。過去在籍していた教諭も調べましたが、結果持ち主が誰かというのはいまだにわかっていないというところでございます。かなり古い物でして、随分前からあって持ち主かわからないということでございました。

【大森委員長】  所有者不明であっても、それは処分の量定に影響するものではないのですよね。

【井上部長】  はい。

採決の結果、委員全員異議なく、原案どおり可決。

 

(5)大森委員長より閉会を宣告。

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