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【第54号】「一人っ子のよさを伸ばして育てる」 明治大学文学部教授 諸富祥彦

2019年3月20日

ページ番号:377819


一人っ子を育てる親が抱えがちな悩みや心配事があります。

「うちの子、一人っ子だからわがままになるんじゃないでしょうか」「打たれ弱い子になるんじゃないでしょうか」といった悩みです。

一人っ子の親御さんが抱えがちな、こうした悩みについて考えてみました。

一人っ子はわがまま?


一人っ子の親御さんは、子どもが「わがまま」になっているのではないか、と懸念を抱いていることが多いものです。しかし、実際には「ひとりっ子=わがまま」なんて、全く根拠のない考えです。

一人っ子はたしかに、一人で過ごす時間に慣れている分、マイペースにはなりがちです。しかし、それはわがままなのではありません。「わがまま」と「マイペース」は違うのです。むしろ、親の愛を勝ち取るために、きょうだいと競い合うことがない分だけ、「我」の強くない子になりやすいものです。ここは、一人っ子の利点です。

一人っ子は何もしなくても親の愛を独占できるため、きょうだいがいる子よりも「自分は親から愛されている」と感じることができやすいものです。これは、自己肯定感の育ちにつながります。

子どもが複数いる親は、優劣をつけるつもりはなくても、無意識のうちにきょうだいを比べてしまうことがあります。その結果、子どもの心に「私は兄よりも愛されなかった」というような「きょうだい間の劣等感」が植え付けられてしまうこともあります。このようなコンプレックスを一生引きずって、自己否定の気持ちを抱え込んでしまう人もめずらしくありません。

一人っ子には、「きょうだいと比べて自己否定してしまう」というこのリスクがありません。これは大きいです!ほかのきょうだいと比べられることなく、親からの愛情を一身に受けることで、自己肯定感を得ることができるのは、一人っ子ならではの利点です。

また、レジリエンスといいますが、「自己肯定感」がしっかり育っていれば、苦境に立たされた時にもポジティブな考え方で乗り切ることができることが多いです。安定して幸せな人生を歩める可能性が高いのです。

一人っ子はかわいそう? 

もう一つ、一人っ子の親御さんが悩んでいることは、「きょうだいがいないとさみしいですよね。かわいそう」と人からよく言われてしまうことです。

では、一人で過ごす時間が多い一人っ子は、ほんとうにさみしい、かわいそうな子なのでしょうか。

それは大人の思い込みにすぎません。むしろ、ひとりでいる時間は、クリエイティビティを高める絶好の機会です。

子どもは、一人で過ごす時間に、思考や空想を自由にめぐらせて、自分の内面世界で豊かに遊んでいるのです。科学者やのちに独創的な仕事を果たす多くの人が、ひとりでの空想の世界に遊んでいたようです。それは非常に有意義な時間です。寂しくてかわいそうだなんて思わないで下さい。

友達とのコミュニケーションが苦手でも、親のちょっとした工夫や働きかけで補うことができる


きょうだいがいると、ものの取り合いなどの衝突が日々発生しますから、お互いに折れ合って妥協のしどころを学ぶことができます。一人っ子は自分のペースを崩されるような理不尽な経験をしません。そのために、他人と上手に人間関係を築くのが苦手という面はあるかもしれません。

しかしそれはちょっとした工夫で、補うことができます。

きょうだいは「初めて出会う他人」ともいわれます。ひとりっ子は他人に出会うのがちょっと遅いだけで初めは遅れをとっているように見えるかもしれませんが、親が意識的に同年代の子と触れ合う機会を増やしてみて下さい。早い時期から保育園などに通わせて集団生活を送ることで、「疑似きょうだい」を作ることもできます。

一人っ子のお子さんが、園などで、既にいるお友達と一緒に遊びたいけど仲間に入れてもらう方法がわからない場合もあるでしょう。そういう時には、親御さんが自ら、お友達の中に入っていって「何しているの?」「いれて」と声をかけてみるといった、具体的な行動のモデルを示してあげるといいでしょう。

いかがでしょうか

一人っ子はかわいそうな存在ではないこと、むしろ、きょうだいがいる子以上にしっかりと「愛されている」という思いを抱くことができやすいこと、ちょっとマイペースだけど、自己肯定感の基盤をしっかり持って、素直にスクスクと育つことができやすいことが伝わったでしょうか。

親としては、一人っ子であることをあまり心配しすぎず、愛情いっぱいに接してあげることが一番です。


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