【第72号】「親子でストレスに強くなりましょう その1」 フェリアン 津村 薫
2022年10月30日
ページ番号:464022
ストレスって?
ストレスは心や体が刺激を受けて、「何とかしなくちゃ」という状態になることをいいます。柔らかいボールをイメージしてみてください。ボールを少し押せばペコンとへこみますね。手を離すと、すぐに元の形に戻ります。
でも、あまりにも強い力で押したり、ずっと押し続けたりすると元に戻らなくなります。ボールに空気を入れると中からの空気の力で元に戻ることができますが、ストレスもこれに似ています。
また、まったく刺激がない、へこむことのない生活というのも張り合いがなく、刺激も成長もないことになります。適度なストレスがあるから、人生は豊かにもなります。
ただ、ちょっとしたストレスなら多少へこんでも、しばらくすると立ち直れますが、それが長期に渡ったり、大きすぎるストレスだと立ち直れなくなります。
そうならないために、内的な力、ストレスとうまくつきあう力をたくわえる必要があります。そのためにはストレスのことをよく知ることが大切です。
訳がわからないまま、事態に振り回される状況は、とてもストレスですよね。でも、「こう考えればいいのか」「こう受けとめればいいんだな」と思えることで、人は乗り越えることができやすくなります。ストレスとうまくつきあうためには、ストレスのことをよく知ることが、とても大切です。
予防と早めの対処が一番です
ストレスで心身の調子が悪くなることは珍しいことではありません。
体が風邪をひくように心が風邪をひくことがあります。
普段から体調管理を意識したり、うがいや手洗い、マスクをするなど予防に気をつけているのが何よりですが、それでも風邪をひいてしまうことはあります。
その場合も安静にしたり、温かくするなど早めに対処することで風邪をこじらせないで早めに治すことができます。ストレスも同じように予防のためにどうすればよいかを知ること、ストレスに気づいた時の手立てを知っておき、早めに対処することが大切になります。
また、ストレスを感じるのはその人が弱いからではありません。「自分にはストレスがないです」と思っている人の中には自分のストレスに気づけていない人が多くいます。
気づけなければそれが積もりに積もり、限界に達した時にぽきんと折れることが起こります。
ストレスを感じやすければ、いち早くそのサインに気づいて対処ができます。「うちの子は神経質で」「私はちょっとクヨクヨしすぎで」などと思っていませんか。
ストレスを感じている自分を受け入れられることは、その人の強さです。
「ストレスだ」などと言っていないで、頑張ること、努力をすることが大切だという考えもあります。頑張ること、努力することから成長すること、達成できることも大切なことですが、同じように、大人も子どもも休むこと、ストレスと上手につきあうことは大切です。ただ、がむしゃらに頑張るだけでなく、時には休んだり、ストレスとうまくつきあえるからこそ、困難を乗り越えたり、努力し続けることもできます。
ストレスのしくみについて知りましょう
1.心身の調子
2.ストレッサー(ストレスの要因)
3.ストレス反応(心身に生じる変化)
4.考え方、受けとめ方
がストレスのプロセスです。
1については、子どもがいたずらをしたり失敗をしても許せる時と、声を荒げたくなる時があるように、同じ出来事でも怒ったり怒らなかったり、気になったり気にならなかったりするのは、あなたの心身の状態が関係しています。体調不良の時はストレスへの抵抗力も弱まっています。逆に体調が良いと、同じことがストレスにならなかったり、ストレス反応が出にくいのです。
2は、さまざまなストレスの要因となる出来事のことです。人間関係だけでなく、たとえば暑いとか寒いとか、ものすごい騒音や悪臭などもストレッサーとなりますが、意外にも入学、卒業、妊娠、出産、新築、就職など「おめでとう」と言われることもストレッサーになることがあります。
新しい環境に慣れないといけなかったり、これまでの人間関係と離れたり、体調の変化とつきあうなど、おめでたいことではあっても生活上の変化になじんでいくためにはエネルギーが必要です。だから、何か生活上の変化が起きた時には意識してストレスとうまくつきあうことを心がけましょう。
3は、ストレスによっていろいろな反応が生じることをいいます。身体的反応、精神・心理的反応、行動的反応があります。睡眠の問題や、疲れやすさ、食欲不振や体調不良を起こしやすくなる、肩こりやめまいなどです。子どもにも同様に腹痛や嘔吐、下痢、食欲の変化や頭痛、微熱、眠れなかったり、これまでなかったおねしょやおもらしをすることもあります。
4は、私たちはいろいろな出来事に出会った時に、ある人にとって強いストレスとなることが、別の人にとっては大してストレスにならないことがあります。
たとえば「子ども時代の成績なんて、そんなに気にしなくても大丈夫」という人にとって我が子の成績は頭痛の種にはならないでしょうが、「自分自身も子どもの頃、勉強勉強と親に厳しく言われて育った影響なのか、どうしても我が子の成績が気になって仕方がないんです」という人の場合はストレッサーになりやすくなります。
・嫌なこと、不安なことであるかどうか
・対処できるかどうか
・言動や結果に対してどう捉えたか
これらがストレスに関係の深い考え方、受けとめ方です。
次のコラムで具体的なストレス対処について考えていきましょう。
引用参考文献
窪田容子・津村薫『親子でストレスに強くなる方法』三学出版
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