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【第82 号】「知ってますか?外国にルーツをもつ子どもたちのこと その1」甲南女子大学 野崎志帆

2020年3月23日

ページ番号:494396

  コンビニエンスストアで、レジを打つ外国人の若者。学校のクラスで、友だちとふざけ合う外国にルーツをもつ生徒。スポーツ界で日本代表として活躍する「ハーフ」アスリートたち。そんな風景を目にすることが増えていませんか?

多文化な国ニッポンの「外国にルーツをもつ子ども」


  今、日本で暮らす外国人は増えています。少子化や高齢化によって日本の労働力が不足していることもその理由のひとつです。日本に暮らす外国人は、今や280万人、大阪市でも14万人近くの外国人が暮らしています。その割合は全国平均の2倍を超えます。国籍は日本でも、外国人の親や祖先をもつ「外国にルーツをもつ人」を含めれば、その数はもっと多いでしょう。


 今やさまざまな言語、文化、国籍、ルーツをもった人びとが、この国で働き、モノやサービスを買って日本の経済を担っています。そして、税金を納めて行政サービスを支え、それを利用し、家族をつくって地域に暮らしているのです。このコラムを読んでくださっている読者の皆さんの中にも、そんな背景をもつ方がいらっしゃるかもしれません。

  今回は、このような状況で地域や学校に増えている、日本語を母語としない「外国にルーツをもつ子ども」の現状がテーマです。そして、地域社会で彼らをともに支えるために、私たちができることについてお話ししたいと思います。

外国にルーツをもつ子どもはどんな困難を抱えてる?


  日本の公立小・中・高等学校等に通っている「日本語指導が必要な外国にルーツをもつ子ども」は、5万人を超えています(2018年5月1日現在)。特に日本に来たばかりの子どもは、授業内容を十分に理解することは簡単ではありません。また、日常会話は日本語でできる子どもでも、学習に必要な日本語を身につけるためには、かなりの努力ときめ細かな支援が必要だと言われています。


 彼らの困難は、「言葉の壁」だけではありません。なじみのない日本独特の習慣や文化などの壁があります。「みんなと同じ」であること、周りに合わせることを求める日本の文化の中では、まわりとは異なる自分の「見た目」やふるまい、名前が「日本風」でないことにストレスを感じることもあります。彼らが「みんなになじもう」と努力すればするほど、自分や親の文化を「恥ずかしいもの」と感じるようにもなります。

  そんな子どもたちの親も、日本の学校のしくみをよく知らず、日本語が十分にできなかったりすることで、自分の子どもの勉強や宿題を見てあげることができません。先生やほかの保護者ともコミュニケーションがスムーズに取れず、孤立してしまうのです。


  このような状況は、外国にルーツをもつ子どもの自己肯定感(自尊感情とも言います)や学習意欲を下げてしまうという問題もあります。子どもの自己肯定感は、ものの捉え方、課題にチャレンジしようとする態度、将来の見通し、心と体の健康、そして「学力」にも影響を与えると言われています。そのため、外国にルーツをもつ子どもの「学力」は低くなりがちで、高校進学も困難な状況にあります。

追いついていない日本の教育政策


  ときには、学校で学ぶこと自体をあきらめてしまい、不登校・不就学となってしまうこともあります。文部科学省が2019年に実施した調査によると、日本に住む6歳から15歳の外国籍の子ども約2万人が学校に行っていない可能性があることがわかりました。日本国籍の子どもにはめったに起こらない「不就学」が、外国籍の子どもにだけこんなに多く起こるのは、なぜなのでしょうか?外国籍の子どもは、希望すれば日本の学校に通えるはずなのですが、彼らには義務教育が課されていない(親が子どもを学校に行かせる義務がない)ことが背景にありそうです。



学校の支援体制も、地域によってさまざまです。これらの子どもが多く在籍している学校では、日本語支援を専門とする先生や、子どもの母語が話せる支援スタッフが配置されていることもあります。また学校以外にも、NPOやボランティアグループの学習支援教室などがある場合もあります。しかし、これらでさえ十分な支援とは言えず、このような環境で学べる子どもばかりではありません。


このような状況は、実は1990年代頃からすでに起こっていました。ところが、日本の教育政策は「日本語を話し日本文化を身につけた日本国民のためのもの」だとする方針は変わらず、外国にルーツをもつ子どもは“例外”として取り残されてきました。対応は自治体に任され、教育現場と子ども自身が頑張るしかなかったのです。

放っておいていい?外国にルーツをもつ子どもたち


  しかし、外国にルーツをもつ子どもも日本人の子ども同様に、将来の日本社会、地域社会を担っていく一員です。彼らがきちんと社会参加するためには、日本語が重要な手段になることは間違いないですし、生きていくためには基礎的な学力は必要です。それらを身につけていない彼らを見過ごすことは、彼らの人権を侵害するだけでなく、日本や地域社会全体にとっても大きな損失となります。また、日本とは異なる文化やことばを身につけた外国にルーツをもつ子どもは、グローバル化する世界の中で、日本と他国とを結びつけてくれる潜在力を秘めた存在でもあるのです。


  もしも子どもが、標準日本語と大阪弁、さらに外国語を使いこなすことができたら…素敵だと思いませんか?日本に暮らすすべての人が、多文化共生を実現する時代がもうやってきているのです。そのためにも、学校の中においても多文化共生を実現することは重要な課題なのです。そのために、市民一人ひとりができることはないのでしょうか?次の83号で考えてみましょう。

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