【第83 号】「知ってますか?外国にルーツをもつ子どもたちのこと その2」甲南女子大学 野崎志帆
2022年10月30日
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前の82号では、日本で暮らす外国にルーツをもつ子どもたちの抱える問題と、日本の教育政策の課題についてお話ししてきました。
随分前から日本はもう外国人無しには成り立たないことがわかっているのですから、これから長期的な視点に立ち、日本に暮らす外国人や多様な背景をもつ人びとを日本国民と同じように大切にし、新たな教育政策の枠組みをデザインしていく必要があります。しかし制度が状況に追いついていないからといって、手をこまねいているわけにもいきません。なぜなら、「子どもの成長」は待ってはくれないからです。
そこで、私たち市民一人一人が明日からできそうなことを挙げてみたいと思います。
大阪の「人情とおせっかい」が、外国人親子を救う!
*明日からできることその一。
「〜人(じん)」ではなく、名前をもつひとりの人間として接し、相手の言語や文化にグイグイ関心を持ってみてください。異国の地で自分の文化に関心を持つ人に出会うと誰だって嬉しいものです。そして異なる文化を尊重する大切さを、外国にルーツをもつクラスメイトのいるお子さんにも、ぜひ教えてあげてください。
*明日からできることその二。
学校で外国人の保護者を見かけたら、勇気を出して笑顔で声をかけてみてください。笑顔が相手に与えるメッセージは、万国共通です。言葉が通じなくても、ジェスチャー、表情、大阪弁だけでコミュニケーションをとることを面白がってみてください。気持ちは、けっこうノリで伝わるものだということを信じてみましょう。
*明日からできることその三。
難しい日本語をなるべく避けて、「やさしい日本語」を使うだけで、かなり理解できる外国人もたくさんいます。コツは、できるだけ簡単な表現の単語を並べて、一文を短くすること! ただし、子ども扱いはNG。相手には相手の言語や文化があることに敬意を払いましょう。日本語を知らなかったり日本に慣れていないだけで「子ども扱い」するのは違いますよね。
*明日からできることその四。
あなたが暮らす地域に、外国にルーツをもつ子どもの学習支援教室や外国人の支援団体や相談窓口はありますか?そういう情報を調べておいて、必要に応じて教えてあげましょう。一緒に行ってみようと声をかけて、どんなところか様子を見に行ってもいいかもしれません。気にかけてくれる人がいる、それだけで、彼らにとっての不安のハードルは随分低くなります。
*明日からできることその五。
地元に、外国人を支援する団体や学習支援教室があれば、そこでボランティアにチャレンジしてみてはどうでしょうか?「国際派な親の背中」、子どもに見せてみませんか。ボランティアをして国際交流する中で、あなたの地域の課題、国の課題が見えてくるかもしれません。さらに、一市民としてできることはないか考えてみましょう。
外国にルーツをもつ市民のあなたが、外国人親子を救う!
*あなただからできることその一。
外国にルーツをもつ皆さんの中には、最近日本に来た人や、何世代にも渡って日本に暮らしている人、日本語を問題なく話せる方などさまざまな人がいるでしょう。それでもあなた方の中には、彼らと少しでも思いを共有できる方、彼らにとって「心強い先輩」になれる方がいるかもしれません。あなたの経験を生かして、ぜひ彼らを応援してください。
*あなただからできることその二。
皆さんが大切にしている自分の文化について、また外国にルーツをもつ市民としての日本での経験について、機会があればぜひ学校の子どもたちに話してあげてください。それは、日本の多文化共生のために、すべての子どもたちにとって大切なことだからです。
多様性を尊重する日本は、きっとあなたにもやさしい社会
外国にルーツをもつ子どもが、日本に馴染もうとすればするほど、「自分よりも日本語が十分に話せない親」を恥ずかしく思ったり、人前で親と母語で話すところを見られないようにしたり、他のクラスメートとは異なる自分の名前を嫌がり「日本人風の名前がほしい」と言ったりするのは、なぜなのでしょうか。それは、子どもを取り巻いている社会が、彼らの経験や言葉、文化を大切にしておらず、多様性を尊重していないからです。彼らが、日本のことも彼らのルーツのことも、両方大切にできれば一番いいと思いませんか?
そして、大切にされていないのは、彼ら外国にルーツをもつ子どもの文化だけでしょうか?年齢、性別、出身地、性的指向、職業、障がいの有無など、私たちは一人一人本当は違うのに「大切にされていないこと」は他にもあるかもしれません。日本の子どもの自己肯定感は、ほかの国の子どもと比べてとても低いのだそうです。あなたや、あなたのお子さんは、自分らしく自信をもって、自由に生きられていますか?もしかすると、多様性を尊重する(ちがいを大切にする)日本を求めているのは、決して外国にルーツをもつ子どもだけではないのかもしれません。
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