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【第90号】新しい時代を生きる子どもたちに求められるコミュニケーション力とは? その1 子どもたちが生きる「新しい時代」を考える  wmoon合同会社代表 福地 朋子

2022年10月30日

ページ番号:529387

社会は大きく変わりました。どこへ行っても、誰を見てもマスク姿の光景を見ると「これは夢なのでは?」と思うことが未だあります。マスク着用が義務化された世界。これまでは当然のように人に会っていた機会がなくなり「リモート」で画面越しに「人に会う」ことが日常になりました。私の担当する大学の前期授業は、すべてオンライン授業となり、学生たちに直接対面することなく成績評価をすることとなりました。誰にとっても未知体験ばかりの1年でした。「リモート」が一般化された今、学校の授業や仕事の会議だけではなく、飲み会などの交流やイベントまでリモート開催されるようになりました。

 

2020年を境に時代は変わった

「2020年を境に時代は変わった。常識は変わった。」世界中の人々がそう感じているのでないでしょうか。

過去を振り返ってみると、これまでにも大きな時代の変化はありました。水力や蒸気機関による工場の機械化が進んだ第一次産業革命。産業革命を機に人々の暮らしは大きく変化していきます。第二次産業革命では、電力を用いた大量生産ができるようになり(工業社会)第三次産業革命ではコンピュータやインターネットの登場(情報社会)第四次産業革命では、AI、ロボット、スマートスピーカーや自動運転などの最先端の技術の進化で、コンピュータと共生する社会になりました。今後の社会を、政府は(Society 5.0)と名付けています。                          
 

 子どもたちに関わるところでは、文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」の整備により、小学校、中学校、特別支援教育の義務教育課程にある生徒に一人一台の情報端末(パソコンやタブレット)と学校内に高速通信ネットワークが導入される予定です。当初、令和5年までに整備する予定が、緊急事態宣言による休校をきっかけに前倒しで導入されることになりました。学校ごとに利用頻度は異なるものの、この春以降、保護者のみなさんが授業参観で見る光景も大きく変わっていくことでしょう。

今の子どもたちはデジタルネイティブ


インターネットがある社会に生まれ、デジタルネイティブといわれる現代の子どもたちの多くは、様々なデジタル機器に触れてインターネットに繋がっていますから、学校でタブレットやパソコンを利用することにも抵抗は少ないと思います。子どもたちを見ていると、ゲームやSNSなどのサイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間を無意識に使い分け、友だちと交流しコミュニケーションをとっています。例えば「今夜、遊ぼう!8時にね。」と言ってオンラインゲームで待ち合わせをし、ゲーム内で遊びながら、宿題や明日の持ち物について話をしているのです。(マイク付きヘッドフォンをつけて)もう、デジタル機器やインターネットが子どもたちの生活に当たり前に存在する時代がやってきていると感じます。コンピュータの普及と最先端の技術の進化で、これまでの時代と比にならないくらいの速いスピードで、社会が変化していくと予測されます。子どもたちは「変化することが当たり前の時代」を「しなやかに生きる力」が求められます。

新しい学びに向かう子どもたち


昭和に生まれ育った私の子ども時代は、インターネットはありませんでした。学校で、先生に教えられたことを正確に覚え、テストで唯一の正解を書くことが求められていました。今はインターネットで検索すれば、どこにいても情報を得られます。情報の真偽を見極める力こそ必要ですが、学校に行かなくても様々な情報が得られるのです。情報や知識を得るより、得た情報や知識をどのように活かすかを主体的に考え、周りの人と考えを共有することで刺激や手掛かりを得て知見を広め、自分なりの解答を導き出す能力が求められています。試験問題に「あなたの考えを書きなさい」という出題が増えているのです。文部科学省のホームページを見ると、子どもの「主体的」で「対話的」で「深い」学びを推進しています。自ら「学ぶ」ことができる時代、私の息子たちもYouTubeなどインターネットの世界で多くのことを学び、私に様々な情報を提供してくれます。

学校のあり方にも変化が見られます。いわゆる偏差値による序列という価値観とは別に、例えば大阪市では、ものづくり、スポーツ、言語、芸術など、早くから興味・関心の現れやすい分野の才能を伸ばすことを目標としたり、民間の知見を活用した英語教育や国際理解教育に重点を置いた大阪市立の中高一貫教育の学校が登場して注目を集めています。(2022年4月より大阪府に移管予定)社会が変わる今、昭和・平成の保護者が子ども時代に受けた教育とは違う教育や子育てが必要だと感じている人が増えてきた証ではないでしょうか。

子どもたちに「新しい学び」が必要であることは、薄々わかっていても、家庭ではどのようにサポートすればいいのかわからないとお悩みのお声も聞きます。「○○しなさい」「××してはいけません」という一方的な会話を、ついしてしまう、と。保護者として子どもの幸せ願って言ってしまう「ひとこと」であると想像できますが、その「ひとこと」が子どもの考える機会と主体性を奪ってはいないか、今一度考えてみる必要があると思うのです。(第91号につづく)

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