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【第95号】「生きる教育」その1~思いを言葉で伝える   大阪府子ども家庭サポーター 辻 由起子

2022年3月17日

ページ番号:531081

子どもが落ち着いた!学力が上がった!


 全国の教育関係者が視察に訪れる小学校が大阪市にあるのをご存知ですか?

注目されているのは生野南小学校で、「生きる教育」と名付けられて平成26年に始まった教育プログラムです。
6年間で暴力が消え、学力が全国平均以上に向上したことで、国もその取り組みを参考にしています。

暴力がなくなる → クラスが落ち着く → 授業に集中できる → 学力が上がる → 保護者も安心

プラスのサイクルができました。

このプログラムのポイントは、心を育てる「国語科教育」と、命や体の大切さを伝える「性教育」の2本柱で行われていることです。

今では大阪市全域で「性・生教育」という名称で取り組まれています。

暴力を言葉に


人は思い通りにいかないことがあると、暴力を用いることがあります。
暴力は殴る・蹴るだけではなく、暴言や、「物にあたる」「無視する」など、暴力的な態度も含まれます。

暴力を用いてもトラブルは解決しません。さらに事態がこじれるだけです。
人は「言葉」を用いてトラブルを解決できる生物ですが、言葉がうまく伝わらないと、暴力を使って自分の気持ちを表現することがあります。

かつて校内暴力が多発していた生野南小学校では、まずは徹底して「言葉の力」を育んでいきました。

自分の思いや考えを言葉にして相手に伝えることができれば、暴力を使わずにすみます。
心を言葉で伝え合うことが出来るようになると、人間関係が良好になります。

『ムカつく!』とキレるのではなく、『〇〇で困っています』と相手に伝えることができると、一緒に解決方法を考えることもできます。

学力を伸ばすには国語力から


皆さんはこんな経験をしたことはないですか?

『役所から届いた書類。
どこに何を書いたらいいか、さっぱりわからん』
私は何度もあります(笑)

わからない事があるとイライラします。
やる気も起きません。

『わかる!』『できる!』『おもしろい!』という、わくわくする気持ちが起きないと楽しむことができません。

勉強がおもしろくなくなる理由は「わからない」からです。
わからない言葉を使って、わからない説明をされるからです。

学力を測定する試験は「国語」で書かれています。
学校からのお手紙も「国語」で書かれています。

だからまずは「国語」が大切。

・(自分が)伝えたいことを伝える。
・(相手が)伝えたいことを理解する。

言葉を持つ人間だけが使いこなせるスペシャルなチカラです。

思いを言葉で伝える


子どもに、ついこんなことを言っていませんか?

『ちゃんとして!』
『何回言ったらわかるん!?』
『なんでそんな事をするん!?』

私は軽く見積もっても1,000回は娘に言ってきました(笑)

言うたびにお互いが不機嫌になり、状況が悪化していきました。

今の私ならこういう伝え方をします。

『こないだ、〇〇をやっても、うまくいかへんかったやろ?次はこうしてみない?
『こないだはお母さんの伝え方が悪かったのかもしれん。〇〇という説明ならわかるかな?』
『お母さんはそれをされると嫌な気持ちになる。だからやめてほしい』
『〇〇をやりたくなったんやな。でもな、それはあかんことやから、絶対にやったらあかん』

相手に伝わるように、相手が理解できる言葉で、冷静に伝えます。

怒鳴っても相手が嫌な思いをするだけです。
子どもは自分なりに納得すると行動が変わります。

生野南小学校校長先生の言葉です。

『苦痛やストレスを極力与えずに指導した方が、効果がある』

『そうして、分かったことが、自分の思いを伝えることができる子どもを育てることが第一
だということでした。
そのためには、子どもたちが、言葉で思いが伝わり、うなずきや相槌をしてもらいながら受け止められる経験を重ねることが必要だということでした。』

子どもの行動には全て理由がある


子どもが暴れる時。
子どもが嫌だと言う時。
大人から見て「問題」と感じる行動を取る時。

そこには全て理由があります。

大人は社会のきまりや時間の方を優先してしまい、子どもの訴えを聴かずについ強い口調で言うことを聞かせようとする時があります。

子どもはそんな経験を重ねてしまうと、自分の思いを言葉で伝えることをあきらめてしまいます。

『どうせ大人は、自分の話を聞いてくれない』

そして、周りの大人が『自分を大切にしなさい』『将来のことをちゃんと考えなさい』と、いくら伝えても、『どうでもいい』『自信がない』という状態になってしまいます。

心を大切にするために、まずは、心を表現する言葉を知ることからです。

『かなしかったね』
『くやしかったね』
『うれしかったね』
『たのしかったね』

周りの大人が、目には見えない心の状態を言葉で説明することによって、子どもは自分の心を知ることができます。

風邪をひいた時に『今日は熱があるから休もうね』というのと同じで、心の状態を知ることで自分をコントロールできるようになっていきます。

自分の心を大切にできるようになると、他人の心も大切にできるようになります。
他人の心を大切にできるようになると、人間関係が良好になります。

人は一人では生きていけないので、良好な人間関係を築けると、より良い人生を歩んでいくことが出来ます。

大阪市が「性・生教育」を通して、生きる土台に必要な心のチカラを育むことを大切にしていることが少しは伝わったでしょうか?

「性・生教育」2本柱のもう一つ。
命や体の大切さを伝える「性教育」については別の機会にお伝えしたいと思います。(【第96号】につづきます)

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