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【第96号】「生きる教育」その2~「性」を学ぶことは「命」を学ぶこと  大阪府子ども家庭サポーター 辻 由起子

2022年10月30日

ページ番号:531205

知ることで未来が変わる


 
前回のコラムで、『子どもが落ち着いた!学力が上がった!』大阪市立生野南小学校の教育プログラムを紹介させていただきました。

ポイントは、心を育てる「国語科教育」と、命や体の大切さを伝える「性教育」の2本柱で行われていることです。

前回は「国語科教育」について説明させていただきました。
今回は「性教育」について説明をさせていただきます。

そもそも性教育って、何?

「性教育」

どんなイメージがありますか?

 

恥ずかしい、よくわからない、…そう答える人が多いです。

なぜなら日本は性教育が遅れているため、親世代も習っていないからです。

 

世界の性教育は「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が基準です。

 

日本では、第二次性徴や生殖機能など、科学的知識を伝えるのが性教育だと思われがちですが、世界の性教育は、生命尊重、望ましい人間関係とコミュニケーション能力、自他の個性尊重など、全人的に学ぶための広義の「包括的性教育」が行われています。

 

近年、ようやく日本でも広義の取り組みが進んできました。

性教育は究極の人間教育

「命を大事にしなさい」

「自分を大切にしなさい」

 

大人からそう言われても、子どもは何をどう大事にしたらいいかわかりません。

そもそも大人も習っていないから、子どもにどう伝えたらいいかわかりません。

 

命は「性」から始まります。

「性」の知識がないと命そのものを理解することが難しくなります。


例えば、「お腹が痛い」「頭を殴られた」と周りに伝える時に、「お腹」「頭」という言葉とその意味を知っているから、周りに伝えることが出来ます。

では次に、

「性器を触られた」
「性器を見せられた」

こんな時はどうでしょう?

あなたは周りの人にすぐに相談できますか?
「恥ずかしい」「パニック」「言えない」「何が起こったかわらかない」
そんな気持ちが先に来ませんか?

日本は長年、狭義の性教育しか行われてこなかったので、性に関する話題がタブー視されています。

触れてはいけない話題だと感じていると、人には言えなくなります。

「命を大切に」と子どもに伝えるなら、性教育は必須です。

何から、どうやって伝えたらいいの?


「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」では年齢別学習目標と主な内容が提示されています。

日本でも発達段階にあわせて行うこととされています。

生野南小学校では全学年で発達段階にあわせた伝え方をしていますが、小1と小5を例に説明させていただきます。

まず、小1では「プライベートゾーン」について学びます。
プライベートゾーンにはルールがあることを先に知っておかないと、
被害にあった時に、「おかしい」と気付けないですし、言葉と意味を知らないと何が起こったか伝えることができません。

「頭が痛い」と伝えるのは、「頭」と「痛い」という言葉の意味を知っているから伝えることができます。


「性器を触られた」
「性器」という言葉と、他人に触られることはルール違反だということを先に知っておかないと、伝えることができません。

性にまつわる話は「恥ずかしいから言ってはいけない」という状態をつくってしまうと、子どもが被害にあっても話してくれません。

小5では「恋愛」について学びます。
架空のカップルを班ごとにつくり、「仲良しおでかけプラン」をつくります。

自分たちでつくるストーリーの中で、お互いが楽しい時間を過ごすにはどうすればよいのか
考えます。

しかし、次の授業時間までに、先生が全てのカップルを破局に向かわせます。

「大好きだったのに、なんで?」
児童と一緒に考えます。

何が原因で気持ちがすれ違ったのかな?
どうすれば仲良しに戻れるかな?
班ごとで話し合ってもらいます。

「話し合う」「こういう行動がダメだった」「こういう伝え方をすればよかった」など、子どもたちから、あらゆる人間関係をより良く築くためのヒントが沢山出てきます。

授業の中で、行き過ぎた愛は支配(デートDV)であることを学びます。

「小5で!?」と驚かれる保護者もいますが、ベネッセ教育情報サイトが2012年12月に行った調査によると、男女交際の経験があるのは、4年生では2.7%、6年生では13.7%となっています。小学4年生から6年生にかけて、約5倍に増えています。


先手必勝で正しい知識を伝えないと、「知らなかった」という理由で、DVの加害者にも被害者にもなるおそれがあります。

ある年で児童がつくった仲良しおでかけプランは、全てにデートDVが含まれていました。
子どもは大人を見て学ぶので、ドラマやアニメのストーリーを真似しているだけなのですが、相手を支配すること、相手の気に入るように振る舞うことを、愛だと勘違いしていました。

あなたが大切に育てたお子さんが、将来、誰かの身勝手で「モノ」扱いされないように。
先手必勝で正しい知識を伝えてあげてください。

正しい知識は人生を守る


知識がないことで起こる「しまった!」が、知ることで「よかった!」に変わります。

今ならお子さんの未来を変えることができます。

政府は令和2年6月に全国の教育委員会に通知を出しました。一部抜粋します。

『子供を性暴力の当事者にしないための生命(いのち)の安全教育の推進』
① 生命(いのち)の尊さや素晴らしさ、
② 自分を尊重し、大事にすること(被害者にならない)、
③ 相手を尊重し、大事にすること(加害者にならない)、
④ 一人一人が大事な存在であること(傍観者にならない)、
のメッセージを、強力に発信し続けることが重要である。

全国に先駆けて大阪市が取り組んできた「性・生教育」を、政府も参考にしています。

「性」を学ぶことは、「命」を学ぶことです。
「命」を学ぶことで子どもの心が安定し、未来を守ることができます。

 

お役立ちHP

『生野南小学校 本校の研究』

http://swa.city-osaka.ed.jp/swas/index.php?id=e671493&frame=frm58ec2db3bd210別ウィンドウで開く

『「こころ」と「からだ」のしあわせブック』

https://shiawasebook.jimdosite.com/別ウィンドウで開く

 

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