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【第104号】「繊細な子ども『HSC』ってどんな子?」 市民活動グループほくせつマメの木 熊川 サワコ

2022年10月30日

ページ番号:549823

こだわりが強くて癇癪もちで、すねやすくて意地っ張り。 

正義感も強くて、白黒はっきりつけたがる。

完璧主義で、失敗したらこの世の終わり。 

人見知り、場所見知りで、席替えやクラス替えなど環境変化にとっても弱い。 

すぐに驚くビビりのくせに、急に哲学的なことを喋りだしたり、親の心を読んでみたり。

 

お子さんにこんな傾向があるのなら、繊細な子ども『HSC』かもしれませんヨ。

HSPとHSC


みなさんは、HSPをご存知でしょうか? 
最近芸能人が立て続けに「自分はHSPだ!」と告白し、ちょっとしたブームになってTV・新聞・雑誌などメディアで取り上げられるようになってきました。

HSPは Highly Sensitive Person の略で、「繊細さん」。 
HSCは Highly Sensitive Child の略で、繊細さんの子ども版。 「繊細な子ども」とか「ひといちばい敏感な子」と呼んでいます。

5人に1人の少数派


HSP・HSCはアメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が提唱した心理学の言葉で、生まれながらに“感情に対する繊細さ”と“刺激に対する敏感さ”を併せ持つ人の事です。 

このHSP・HSCは生まれ持った気質で、病気や障がいではありません。 HSCは大人になるとHSPと呼び名は変わりますが、気質が変わることはありません。

慎重で危機回避能力が高いHSP・HSCは、人種やジェンダーに関わらず5人に1人はいるといわれていて、100種類以上の生物にみられる、種が生き残るための戦略だとか。 

例えば、氷の張った湖を「大丈夫!」「いけるいける♪」とみんなで渡って氷が割れたら全滅しちゃいますよね。 「危ない」「やめとこ」と考える一群がいたからこそ、生き残れたというわけです。

ただ、常に生命の危機に直面していた原始時代とはちがい、現代、それも特に横並び重視の日本の学校や社会においては、HSP・HSCは神経質や気にしすぎなどマイナス評価されがちです。 

HSCのしんどいところ


脳が、細かな目の網のように“些細なこと”まですくってしまうので、強い刺激が苦手です。

*「触れるものに敏感」 チクチク、ざらざら、ベトベトや体を締め付けるのがダメ
*「ニオイに敏感」 タバコに香水や整髪料、香りをつける洗剤など、きついにおいがダメ
*「音に敏感」 騒々しいのが苦手、小さな音でも気になりだすと眠れない
*「味に敏感」 食べ飲み慣れない味が苦手、味へのこだわりがすごい
*「見えるものに敏感」 外光や蛍光灯がまぶしい、ごちゃごちゃを見ると疲れる
*「身体の内外の変化に敏感」 痛みに弱い、空腹・気圧などにも反応しやすい

高性能アンテナのような感受性は、他者の感情まで取り込んでしまいます。 

*ほかの子が叱られているのに、関係ない自分までドキドキ
*災害など、悲しいニュースで気分が落ち込む
*先生や親の顔色をうかがって、気を遣いすぎる
*自分のことは二の次にして、他人を優先してしまう
*場の雰囲気が悪いと、いたたまれなくなる
*その程度で?と周りが驚くような、些細なことで深く傷つく

ね、結構大変そうでしょ。 
さまざまな刺激と感情が飛び交う園や学校に行くだけで、HSCは疲れ果てることもあるのです。

ランとタンポポ

いつの間にかかわいい花を咲かせるタンポポは、踏まれても踏まれてもたくましく育ちます。 一方ランは、水・日照・温度など手をかけて環境を整えないと育ちません。 

 

「HSCはランの子どもたち」とも言われます。 

 

ランは生まれながらにランなので、「タンポポのようにたくましくなれ!」と育てても、ランがタンポポになることはありません。 

それを知らずに、多数派のタンポポになることを強要し続けたらどうなるでしょう。 少数派のランは花を咲かせないばかりか、枯れてしまうかもしれません。

 

原因不明の不登校の8~9割がHSCではないか、という説もあります。

HSCにはHSCにあった子育てが必要というわけです。

HSCをどう育てる?


幼いころから違和感を抱いていた筆者は、HSP・HSCの概念と出会えたおかげで、長年の謎が解けてずいぶん楽になりました。 大人はこの気質を理解すると、刺激対策を講じたり感情をコントロールするようになるからです。 

でも子どもは感じるままに、イヤ。 嫌い。 ダメ。 無理。 やらない。 いらない。

はたから見ると「わがまま」「我慢が足りない」「なんでできないんだ」って思っちゃいますよね。 
でもこの子はこういう気質なんだって分かると、HSCに合った子育てにシフトしやすくなるのです。 
 

良い環境で強みに変化


HSCは、良くも悪くも環境からの影響を“受け取りやすい”子どもです。 

HSCにとって、自分の感覚や感性をジャッジせず「そうなんだ」「そう感じるんだね」と受け入れてくれる人がいる、ありのままの自分を出せる環境がなにより大切です。 

良い環境下で受け取った「すき」「たのしい」「うれしい」「ここちいい」「きもちいい」「しあわせ」が心の引き出しにたまっていくと、「自分は自分のままでいいんだ」「失敗するかもしれないけれどやってみよう」に繋がります。 

プラスの体験を積み重ねることで、繊細さや敏感さは「よく気が付き、注意深く行動できる」「小さなことにも感動できる」「思いやりがあって、豊かな想像力がある」という強みに変化するのです。

一筋縄ではいかないけれど

とはいえ、HSCの子育ては一筋縄ではいきません。 

外見じゃわからないし、疲れるのに刺激を求めるHSCもいるように、何に繊細で敏感かは人それぞれ。 ただでさえ少数派なのに、HSCが十人いれば十通りの子育てがあるからです。

 

そこでオススメなのが、HSC子育てヒント満載の本を読むこと。 

 

子どもの心のお医者さん、大学の心理学の先生、HSCを育てた先輩ママらが書いたHSC関連本は、大阪市立図書館にも所蔵されています。(下記の参考をご覧ください。) 

 

“園や学校に読んでもらうページ”がある本で、先生に我が子のHSC気質を理解してもらえて助かったという親御様もいらっしゃいます。

 

「うちの子、育てにくいなあ」

「なんだかよその子と違うなあ」

 

もしかしてHSC!?と思ったら、まずは知るところから始めましょう!


参考:大阪市立図書館に所蔵されているHSC関連本 (2021/11/6現在)

 

エレイン・N・アーロン 著(アメリカの心理学者・HSP/HSC提唱者)     

『ひといちばい敏感な子 「個性」を生かして幸せな未来をつくるために親ができること』        

 

明橋大二 著(子育てカウンセラー・心療内科医)

『HSCの子育てハッピーアドバイス』

 

長沼睦雄 著(十勝むつみのクリニック院長・児童精神科医)

『子どもの敏感さに困ったら読む本 児童精神科医が教えるHSCとの関わり方』

 

串崎真志 著(関西大学大学院心理学研究科教授、博士(人間科学)・NPO法人寺子屋ひゅっげ副理事長)

『繊細な心の科学 HSP入門』

『繊細すぎてしんどいあなたへ HSP相談室』

 

杉本景子 著(公認心理師・看護師・保護司。 NPO法人千葉こども家庭支援センター理事長) 

『一生幸せなHSCの育て方 「気が付き過ぎる」子どもの日常・学校生活の「悩み」と「伸ばし方」を理解する』

 

長岡真意子 著(子育ち研究家&ライター)

『敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本』

『敏感っ子を育てるママの不安がなくなる本 「立ち直る力」育成編』

 

太田知子 著(「子育てハッピーアドバイス」イラスト担当・漫画家)

『HSC子育てあるある!うちの子はひといちばい敏感な子!』

 

斎藤暁子 著(心理カウンセラー HSC子育てラボ代表)

『HSCを守りたい』

 

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