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【第105号】「スマホ時代を生きる子どもたちと共に~その1~」甲南女子大学 冨田幸子

2022年3月17日

ページ番号:562481

1 ネット・スマホを考える原点

現在、私は大学で教職等を担当していますが、ネットやスマホの問題に向き合うようになったのは約10年前、中学校教員時代です。その頃、生徒会では「いじめをなくそう」という活動を毎年のように取り組んでいました。生徒会顧問だった私は、生徒の周りでどんないじめがあるかを知るには、生徒と話しあえる関係が大切と考えていました。生徒会としてどのような活動ができるか、放課後の時間帯を使い、生徒会メンバーとよく話をしたものです。

10年ほど前から、生徒から知らされるいじめの実態が大きく変わってきているのを感じました。掲示板・裏サイトなどいわゆるネットでの書き込みが横行し、2011年にLINEが世に登場するようになると、その思いは一層強いものになりました。仲の良い友達同士のグループだけでなく、学級LINE、学年LINEなどが次々と作られ、子どもたちは、その中に入ることは自分が認知された証になるかのように参加していました。その広がりはまさに一気という言葉がふさわしく、これから、ネット・スマホの問題は子どもたちの生活に良くも悪くも大きな影響を与えるだろうと確信しました。

2 超スマートに移行する社会のなかで


最近Society5.0という言葉をよく耳にします。これは日本が目指すべき未来の社会の姿を示したもので、超スマート社会といわれています。ここ数年の間、インターネットのおかげで、世の中は便利なものであふれるようになりました。東京オリンピックの選手村には、自動運転ならぬ無人運転の車が走りました。東京駅には、品物の購入にレジを必要とせず、店の出口付近で無人決済するコンビニがあります。外国語ができなくてもそれを補助してくれるツールもでき、これからの旅行のあり方も変わっていくでしょう。
こうした超スマート社会への移行を「コロナ禍」という状況が一気におし進めたのも事実です。小・中・高校でもオンライン授業が可能になり、各学校の校長先生からは「コロナで学校は大変だけれども、一点だけいいことがあるとするなら、学校のネット環境が一気に進んだことです。ICT授業もしやすくなりました」という話をよくお聞きしました。生徒会が中心になり、全員が所持するタブレットを使い、お互いのノートを見合う「ノートコンテスト」というアイディアに満ちた企画が実施された学校もありました。一人一台の端末を持つGIGAスクール構想の下、現場では様々な工夫をしながら有益な使い方を取り入れている先生方もたくさんおられます。まさに学習活動の進め方にも変化が起こっているのです。


こうした流れは、コロナが収まってもなくなることはないでしょう。むしろどうすれば新しい機能が簡単に活用できるかを探りながら、私たちの生活に加速度的に根付いていくように思います。とはいえ、こうした超スマート社会に欠かせないネット・スマホは便利だからどんどん使いましょうという簡単なお話にはなりません。便利の裏にある影の部分を知っておかないと様々なトラブルやリスクにつながるのも事実です。
スマホ所持は低年齢化しています。自分が子どもの時から携帯が存在し、スマホ・ネットの活用に長けている世代が保護者となっている昨今です。学校や社会の大人たちが、自律した生活を送るのはまだ少し先という子どもたちに、どう寄り添うかが一つのカギです。今回は子どもたちを取り巻くネット・スマホの問題のうち「ネット依存」、「SNS上での書き込み」の二点を取り上げてお話しします。


3 ネット依存とどう向き合うか


依存は、自分一人では立ち直れない、いわゆる病気という理解がいります。2019年5月にWHO(世界保健機関)がゲーム障害を病気と認定し、今年の2022年度より診察には保険適用されるようになりました。コロナ禍でなかなか外出できない、人と会うのを控えようという今の状況は、子どもたちのネットの長時間使用に拍車をかけているのではと危惧されます。
学校においても、ネット・ゲーム依存はよく質問される事柄の一つです。学期末の懇談で「息子が全くゲームを止めないので先生どうしたらいいでしょう」と相談される先生も多いと聞きます。ネット依存については、専門家である神戸大学医学部の曽良(そら)先生に教えていただいたことがあります。先生によると「ゲームをする中で快感刺激が長期間にわたり繰り返されると依存症が形作られ、週30時間以上のネット・ゲーム使用は危険域」ということのようです。
では、ネット依存にならないためには何をすればいいのでしょう。曽良先生が言われる対策は①ネットの使用時間を決める。②ネットの使用時間を記録する。③三度の食事と入浴を欠かさない。④ネット・ゲーム以外に夢中になれることを見つけるという4点です。


ある日の講演後、保健室の養護教諭の先生が質問されました。「今日の先生のお話はもっともなんだけど依存になっている子が記録をつけるのは難しいと思うんですよ。どうしたらいいんでしょう」。鋭い指摘です。ゲーム漬けの子どもは、三度の食事も家族との会話もままならない状況にあるかもしれません。そんな生活リズムが崩れた中で、記録を付けるのはかなりハードルの高い作業です。だからこそ、必要になってくるのが家族の支援です。家族が本人に代わり、パーフェクトな形でなくても記録を残していくことで、本人の状態を認知する材料になります。家族は使用時間が一気に減るような早急な結果を求めるのではなく、たとえ15分でも減った時には評価するなどの声掛けが大切です。ダイエット中の人が毎日体重計にのりそれを記録していると、たとえ500グラム減っても「今日はちょっと頑張った私!」と認知し、次のモチベーションに繋げていく話に似ています。依存になる一歩手前の子どもたちには、とにかく家族が粘り強く寄り添うこと、支援が必要です。そして何より依存予備軍にならないためには、学校や家庭の中に本人が楽しんで頑張れるリアルな場がどれだけ築けているかがポイントになります。
(【第106号】「スマホ時代を生きる子どもたちと共に~その2~」に続く)

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