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【第107号】「子どもも大人も性が多様である中を生きる大事なひとり~その1~」にじいろi-Ru(アイル)田中一歩

2022年10月30日

ページ番号:562518

多くの人の「あたりまえ」にあてはまらない自分は「おかしい」


「ぼくな、男の子のことが好きやねん。。。」と泣きながら話してくれた4年生のあの子。
「小さいころから自分のこと女の子半分、男の子半分って思ってたけど、その話をしたら、それはおかしい!って言われて、ずーっと自分のことおかしいと思ってきてん。」と話してくれた6年生のあの子。
「みんなはぼくのこと女の子って思っているけれど、小学校4年生の時から自分のこと男の子って思っていた。」と教えてくれた中学生のあの子。
「わたしは女の子やのに、おちんちんあるから男の子やろ!っていう子がいるねん」と教えてくれた4歳のあの子。
にじいろi-Ru(アイル)の活動の中で出会った子どもたちは、自分の大事なキモチをボクたちに話してくれます。

「生まれてきたときの外性器のカタチで割り当てられた性がその人の性である。」そして「誰もが異性を好きになる」それが「あたりまえ」と思い生活してきた人、今もそう思っている人もいるでしょう。ボク自身がそのひとりでした。

割り当てられた性は「女の子」、自分のことを「男の子」と思っているボク。「女の子」として学校に通っていたボクが好きな人は「女の子」として存在している子。「あたりまえ」にあてはまらない自分のことを「おかしい」と思っていました。ボクはこのことを大人になるまで誰にも言いませんでした。

ボクは大人になって、いろんな人との出会いの中で「性の在り方(セクシュアリティ)」「性の多様性」について知りました。そしてやっと、自分は「おかしくない」と思うことができました。

「性の在り方(セクシュアリティ)」「性の多様性」とは


ひとりの人のセクシュアリティを表すために4つの要素があるといわれています。①生物学的性、身体のかたち。②性自認、自分の性をどうとらえているかということ。③性表現、社会のなかでどんなふうに自分を表現して生きていきたいかということ。④性的指向、誰のことを好きになるか、また好きにならないかというさまざまな好きのかたち。
この4つの要素がひとりの人の中にあって、ひとりの人の性があります。100人いれば100通りの性があるといわれ、これを「性の多様性」と言います。そして性が多様であることはとても自然なことであり、このことは性科学の研究で証明されています。

日常生活の中で刷り込まれていく「あたりまえ」


しかし、今、ボクたちが生きている社会、子どもたちが生きている社会(家庭・園・学校)はどうでしょう。性別は「女・男」のふたつで、誰もが異性を好きになるといった「あたりまえ」を前提にされている会話、生活がまだまだたくさんあります。

電車に乗っているとこんなやり取りが聞こえてきました。
こども「なぁママ、なんでママはゆびわしてるん?」
おとな「これのこと?これはね、大好きなパパからもらってん。だからね、ずーっと大事にしてるんだよ。」指輪をしている手を子どもに見せながらいいました。
こども「ふ~ん。ゆびわとらへんの?」
おとな「うん、取らないよ。だって大好きなパパからもらった指輪やもん。Aちゃんは男の子やから大人になって好きな女の子ができたらその女の子に指輪あげるんだよ。」
こども「わかったぁ!」
3歳ぐらいの子どもと、たぶんそのお母さんだろうなぁと思うふたりのやり取りです。とっても仲良しなんだろうなぁって感じのふたりで、お母さんは子どものことがかわいくってたまらないって感じでした。とても幸せそうなやり取りですが、こんな日常会話や、漫画、テレビ、絵本などの中で子どもたちは「人は恋愛するのがあたりまえ」「異性を好きになることがあたりまえ」という情報を刷り込まれていくんだなぁと思いました。同時に「同性を好きになる」ということに対しての否定的な情報も子どもたちはいろんな場面で得ています。
そんな社会にある「あたりまえ」を刷り込まれていく中で、自分の「性自認」や「性的指向」が多くの人の「あたりまえ」と違うと自覚した子どもたちは、最初に紹介した子どもたちのように誰にもそのことを言えなくなってしまいます。そして、自分自身のセクシュアリティを「おかしい」と否定してしまいます。また、多くの人の「あたりまえ」にあてはまっている子どもたちは、あてはまらないともだちのことを「おかしい」と排除していく現実があります。

その子のセクシュアリティはその子の大事なもの


すべての人が性についての情報を得たうえで、どのような性を生きるか、自分がどのような存在でありたいか、誰が好きで、誰とどんな関係を結んで生きていきたいか、自分で決めるものだと思っています。もちろん、子どもたちにとっても同じことが言えます。そのためにも、まずは大人が、「性の在り方(セクシュアリティ)」「性の多様性」について深く知ることがとても大事なことだと思っています。

そしてもうひとつ大事なことは、誰かのセクシュアリティを誰かが勝手に決めることはできないということです。親であってもわが子のセクシュアリテイを勝手に決めることはできません。その子が自分自身の性をどうとらえているのか(女?男?どっちのキモチもする?どっちかわからないなど)、またどんな表現を大事にしたいのか(1人称は?髪型は?好きな色は?服装はどんなのが好き?など)、どんなひとを好きになるか、好きにならないなど。その子のセクシュアリティはその子の大事なものだからです。
(【第108号】「子どもも大人も性が多様である中を生きる大事なひとり~その2~」に続く)

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