【第113号】「保護者が子どもの未来のためにできること~ファシリテーションによる学びとは」 文部科学省CSマイスター・NPO法人みらいずworks代表理事 小見まいこ
2022年10月30日
ページ番号:594374
- 保護者の悩みとは?
- 子どもたちの考えを引き出して学びを深めていく「ファシリテーション」の手法
- 保護者自身の学びのあり方のアップデートを
保護者の悩みとは?
保護者の困り感や課題、親子の関係性に対するニーズを明らかにしようと、小中学生の保護者1863名の方よりアンケートにご協力をいただきました。(子育て悩み白書より 発行:みらいずworks/2023年3月)
そこで、子育てについて悩んでいるという保護者のみなさんは、63%いらっしゃいました。
悩みとしては、
1位「子どものSNSやゲームの使い方・遊び方に関すること」
2位「子どもの教育費の負担に関すること」
3位「子どもの勉学に関すること」
4位「子どもの将来や進路に関すること」
が上位にあがりました。
みなさんは、子育てのことで悩んでいますか?
悩んでいるとしたら、どんなことで悩んでいますか?
「親の時代とは異なる環境での子育てとなっており、戸惑うことが多い」
など、社会の変化による戸惑いや不安の声もありました。
私自身も、小学校1年生の子どもの親ですが、
社会の変化が大きい中、子どもの将来を見据えた時に、親としてどう関わることが最善なのか、
日々考えています。
「学校生活の事をあまり話してくれず、聞き出そうとしてもあまりこたえてくれない」
「子どもとの関わり方に悩んでいます」
「子どもが考えることから逃げがちなので、どんな言葉がけがよいのでしょうか」
など、子どもとの日常的なコミュニケーションや
子どもの考えや主体性を引き出す関わり方なども困り感の一つとして見えてきました。
子どもたちの考えを引き出して学びを深めていく「ファシリテーション」の手法
そこで、私も実践しており、おすすめしたいことの一つが、
子どもたちの考えを引き出して学びを深めていく「ファシリテーション」です。
ファシリテーションとは、直訳すると「促進する」、「容易にする」などの意味があり、
「グループによる活動が円滑に行われるように支援すること」などと辞書では定義されています。
他にもファシリテーションの定義はさまざまありますが、
「考えを引き出し、関わり合いを促す」ための考え方や技法と言うとイメージしやすいでしょうか。
ファシリテーションでは、一人ひとりの声や存在を大切にします。
あなたの存在が大事だよとまずは丁寧に「聴く」ことに取り組みます。
ただ、聴くだけでなく、
深める質問をすると、さらに子どもの考えや理由、体験などが見えてきます。
深める質問とは、
「どういうこと?」「たとえば?」「どうして?」「そもそも?」「ほかの考えは?」などのことです。
例として、私と娘のやりとりを一部紹介します。
娘:「今日、学校でどうしたらよいかわからないことがあったんだ」
私:「そうなんだー、どういうこと?」
娘:「友達が体育の授業で言い合いになって泣いちゃったんだよね」
私:「そっか、泣いちゃったんだ…どうして?」
娘:「ドッチボールのルールについて意見がわれてちゃって…」
私:「例えば、どういう意見だったの?」
…(略)…
私:「あなたは、本当はどうしたかったの?」
娘:「わからない。お母さんだったら、どうした?」
私:「お母さんだったら、二人の考えや気持ちをもっと聞いてあげたいな」
という感じで、娘のモヤモヤした気持ちを紐解き、その背景の考えや実際にあったことを本人が話したいように、話を聞いていきます。
私も、一人の人として自分の考えを言いますが、押し付けることはあまりせず、本人の意思を尊重したり、自己決定を促すように心がけています。
聞いてもらってよかったと終わることもあれば、本人が納得する解を導いて、次なる行動に移したりすることもあります。
こんな風に、丁寧に子どもの考えを聞いて、一緒に考えていくことが家庭でできるファシリテーションです。
トラブルが起きた時、悩んでいる時などに、
このようなコミュニケーションを積み重ねることで、子どもは自分で考え、解決策を導いていけるようになります。
また、「ちゃんと話を聞いてくれる」「私のことを尊重してくれる」と子どもが感じ、
親子の信頼関係も深まっていきます。
他にも我が家では、「どうしたら風邪をひかないか」「どこに旅行に行くか」など、みんなの意見を聞きながら、合意をしたり、解決したりしたいときは、ファシリテーションを生かした「話し合い」もしています。
保護者自身の学びのあり方のアップデートを
保護者のみなさんに対して、進路に関するニーズや困りごとを座談会形式でヒアリングしたことがありました。
そこでは、以下のような声があげられました。
「子どもの性格や将来を考えると、何が最善の選択なのかわからない」
「私たちの時代より入試が多様になって、大学に関することなど全てがわからない」
「親として、今の教育変化についていけていない」
そこから分かったこととしては、
〈保護者が歩んできた社会や得てきた学び〉と〈目の前の子どもたちが歩む社会やこれからの学び〉は異なる、という前提に立つことです。
その上で、保護者自身も社会の変化に合わせて、学んで変化していく必要があるということです。
私自身も親となって思うのですが、親として子どもと関わる方法や教育への姿勢(教育方針等)は、無意識のうちに自分が受けたものを再生産してしまうということです。
再生産するということは、昭和時代の価値観や考え方を、令和時代の子どもたちに無意識に押し付けてしまうということ。
もちろん、無くしてはならない価値観や次の世代にも受け継ぎたい考え方はあります。
『それらもきちんと自覚、認識した上で、これからを歩む子どもたちに必要なこと、学び、考え方を伝えていきたい』と私自身も1人の親として、考えています。
子育ては、保護者が自分の考え方や生き方を見つめ直すチャンスだと捉えています。
家庭でうまくいかないこと、悩みがあったら、むしろ自分自身を高める機会ととらえて、
学び直してみませんか。
親が変わることを恐れず、一生懸命学ぼうとしている姿を見せること、親が楽しそうに生きていること、子どもは、親の考え方・生き方を見ていますし、影響を受けています。
「親の姿を示すこと」。
それが実は一番の家庭教育ではないかと考えています。
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