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【第117号】家庭でできるSTEAM教育 STEAM CLUB代表 前川ゆきこ

2023年11月14日

ページ番号:611467

STEAM教育とは


 2020年にプログラミングが小学校で必修化され、それに関連して「STEAM教育」をちらほらと耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。
 一般的に、STEAM教育とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)を統合的に学習する「STEM教育」に、さらにArts(教養/創造性)を統合したものです。各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育手法で、これからの子どもたちの教育方針の主軸となってくるといわれています。
 「子どもたちに最先端の体験ができる場所やSTEAM教育を習わせたい」と、学校や近所の教室を調べてみても、日本ではまだ総合的に実践している場所はないかもしれません。私は、これから必要とされるスキルの習得をめざし、STEAM教育を身近で、気軽に実践できる場所としてSTEAM CLUBという施設を運営しています。

STEAM教育のめざすもの


 STEAM教育を噛み砕くと、「課題解決型で教科横断的な学び」のことです。これまでの学びは、国語、算数、理科、社会など知識を学び記憶して試験で点数を取って評価されてきました。
 現在、情報はほぼインターネットで検索できるので、記憶するのでなく、様々な情報を活用しながら、今ないものを作ったり、問題を解決したり、ディスカッションしたりする力を伸ばしましょうということです。
 学校の教科や授業スタイルががらりと変わるには、時間がかかると思いますので、家庭でも新しい学びとは何か、知識をアップデートし、実践することが大切だと考えています。

家庭でできる実践例


 これまで、家庭でも、私の教室でも、様々なSTEAM教育を実践してきました。家庭でも実践できて、効果が高いと感じる取り組みについて、ご紹介したいと思います。

1.プログラミング

 保護者世代では、プログラミングというと、英語や記号で書かれたものをイメージするかもしれません。今の子ども向けのプログラミング教材は、ビジュアルプログラミングという、言語すらないものや、ロボットを指示通り動かすものや、ボードゲームもあります。是非親子で一緒に、まず触ってみるのがおすすめです。

 プログラミングアプリ(ViscuitやScratchなど)は、ほとんどが無料で提供されていますし、スマホやタブレットで使えるものが多いので、ノーコストで始められます。例えば動物園に行った際のアウトプットとして、これまで作文や絵で表現していた内容を、プログラミングアプリを使って、絵を描いて動きをつけてみる。動画編集アプリを使って、ショート動画にしてみる。表現の幅を広げるのにテクノロジーを少しだけ使うのも1歩だと思います。小さいお子さんには、プログラミングに関する絵本もたくさん出ていますので、是非読んであげてくださいね。

2.親子でクッキング

 クッキングはSTEAM教育そのものとも言われており、非常に効果が高いです。クッキングをするとなると、材料を揃え、食材をカット、計量し、工程順に調理し、盛り付けする必要があります。ただクッキングをするだけでは、STEAM教育の効果は低いですが、以下のことに注力すると効果が一気に高まります。


  • 材料を揃える際に、どこ産の食材なのか調べたり、スーパーでお金のやり取りを子どもと一緒にする
  • 食材をカットする際、何回で切れるか試してみたり、何等分にするにはどうしたらいいか考える
  • 盛りつけ時にどんなデザインにするか、テーマはどういったものにするかを考える


少し大きいお子さんなら、使われている食材の化学式なども一緒に見せてあげると興味を持つかもしれません。楽しいクッキングの時間に、少しSTEAM教育の要素を入れてみると、知識や豊かさの幅がぐっと広がります。

3.3Dモデリング

 家庭でできるのか、疑問に思われる方もいらっしゃると思いますが、子どもたちにとってはハードルは非常に低く、人気のある領域です。3Dモデリングとは、3Dの立体をデザインするということです。買えば何でも手に入る便利な時代ですが、自分の必要としているものを自分でデザインして作って使うというのは、まさに新時代の感覚で、これから必要なスキルです。紛失したレゴブロック、ペン立て、花瓶など是非親子で作ってみては如何でしょうか。

 子ども向けのアプリ(TinkerCad)も提供されており簡単に始められます。アプリは無料で使えますし、3Dプリンターがあると実際にデザインしたものを印刷できます。

 3Dプリンターはコワーキングスペースなどで利用可能ですし、家庭用プリンターも安く販売されています。また、3DモデルはVRやAR、メタバースなどのバーチャル空間に配置したり、販売することもできます。

まとめ


 その他にも、工作やアート、科学実験など、おうちSTEAM教育に関する書籍や動画、サイト、アプリなど、たくさん公開されています。どの活動も保護者の知識(リテラシー)を最新にアップデートした上で、実践すると非常に効果が高まります。
 お子さんをよく観察し、何に興味をもっているか、常にアンテナを張り、興味を持ったタイミングで親子で取り組んでみてください。


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