合邦辻閻魔堂の閻魔信仰習俗
2023年12月22日
ページ番号:611887
合邦辻閻魔堂の閻魔信仰習俗
がっぽうがつじえんまどうのえんましんこうしゅうぞく
分野/部門
無形民俗文化財
所有者(保持者)
宗教法人 西方寺(さいほうじ)
所在地
大阪市浪速区下寺3丁目
紹介
合邦辻(がっぽうがつじ)閻魔堂は、浪速区下寺に寺地を構える、融通念仏宗の西方寺境内の閻魔堂である。合邦辻は、四天王寺の西に位置し、奈良街道と下寺町筋が交差するT字の辻(つじ)で、大坂市中の南端にあたる。学校辻とも称し、四天王寺の学校があったところとも、合法辻とも称し、聖徳太子が物部氏と仏法の争論を行った場所ともいわれる。また、安永2年(1773年)初演の 文楽・歌舞伎の演目である『摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)』の舞台となった。都市の周縁は、死者の暮らす世界との境界と重ね合わされ、死者供養と関連する閻魔像などがまつられる。合邦辻閻魔堂も、そのような事例につながる死者供養の信仰の拠点である。18世紀末の地誌『摂津名所図会』では、石造の閻魔像がまつられ、信仰を集めている様子が、挿図に描かれているが、その閻魔像は先の戦災で失われ、現在は、昭和63年(1988年)に新調された像がまつられる。閻魔の頭を撫(な)でてから自分の頭をさすり、次いで閻魔の胸から腹にかけて撫(な)でおろし、自分の体にも同様にして、これを数回繰り返すことで頭痛が治る、という習俗が、現在も伝わり、近隣だけでなく、近畿一円から信者が、忌日供養などに参拝に訪れる。市域にのこる死者供養の信仰習俗で、貴重な民俗文化財である。
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