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【第119号】子育てや介護など複数のケアを担うダブルケアに寄り添う 君彩~kimidori~代表 宮内葉子

2024年3月25日

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ダブルケアってなぁに?


 ダブルケアとは子育て中に親などの身近な人の介護が重なることをいいます。
 さて、「ケア」と聞くとどんな様子を想像しますか?食事や排泄、入浴や着替えといったお世話だけではなく、相手を気にかけることなども、私たちは「ケア」であると伝えています。つまり、介護だけでなく、子育てにも多くのケアが必要とされます。子どものオムツを替えながら親の話し相手になったり、親の歩行の介助をしながら子どもの手を引き一緒に散歩するといったこともダブルケアです。
 遠距離介護であっても、施設に入所されていても、生活を支えるため、寄り添うために何度も訪問したり、福祉専門職とサポートの相談をしたり、様々なケアが必要です。
 子どもが小学生になっても中学生になっても、習い事の送迎や、思春期の心のケアなども必要。障がいのあるお子さんやパートナーにケアが必要という方もいらっしゃいます。
 最近は発達障害という言葉もよく耳にしたり、社会になじめずうつ症状を発症したり、若年性認知症という方もいらっしゃいます。実はこういった隠れた表面上はわかりづらい「ケアの必要な方」も多くいることも知っておいてください。

 内閣府の調査では、未就学児と親等への日常的な身体的ケアを行っているダブルケアを担う人は、全国に約25.3万人いるとされています。
 現実的にはダブルケアをされている人はかなりの数がいらっしゃるのではないでしょうか。
 2023年の関連調査では大学生以下の子を持つ10人に1人が子育てと介護の重い負担に直面しているとされています。※ソニー生命調べ

晩婚晩産が悪い?


 ダブルケアの背景には、晩婚化や晩産化が影響していると言われています。しかし全てを晩婚晩産のせいにはしないで欲しいのです。世の中には金銭的・精神的な余裕を持ってから結婚を考えたり、子どもを授かるタイミングはそれぞれです。早く出産することが必ずしもいいとは限らないし、例えば長い不妊治療を行ったのちに授かったと喜ぶご家庭だってありますよね。
 介護は突然やってくるということが多いです。2022年には全人口の3割が高齢者となりました。孫が祖父母のケアをするなどのヤングケアラー問題にも繋がります。家族が急なご病気や事故にあうなど、出産したと同時に介護が始まるケースも少なくありません。誰もがダブルケアに直面する可能性はあるのです。
 結婚したとたんに家族の介護が必要な状態になったことを想像してみてください。あなたは出産を諦めますか?それとも仕事をやめてダブルケアに専念しますか?
 こうしたことで少子化問題にもつながり、働き盛りの人材が離職することで企業の痛手にもなっているのが現状です。
ダブルケアに直面してもたくさんのサポートがあるから大丈夫だよと言える社会であってほしいですね。

ダブルケアで孤立しないで


 ダブルケアは十人十色で、ひとつとして同じものはありません。人によって大変さも違います。もちろんダブルケアでも上手く家族と担いあい、周囲のサポートを利用し、楽しく過ごされている方もいらっしゃいます。
 大変さって人と比べるものではありませんよね。周りはもっとしんどうそうだからと我慢したり、もっと頑張らなきゃ!と気持ちを抑えてしまった経験はありませんか?結果的に体調を崩してしまったり、睡眠の質が落ちてしまったり、ケアする人自身が倒れてしまうケースも少なくありません。
 家事も育児も介護も仕事も、頑張りすぎていませんか?身近な家族や職場に理解が得られず苦しんでいる方もいるかもしれません。
 私自身もダブルケアの状態から離職し、周りに相談することなく頑張りすぎて、孤独を感じていた時期がありました。
プレッシャーに耐えきれず当事者がパンクしてしまえば、虐待やネグレクトなど深刻な問題へと繋がりかねません。
 日々のケアの追われ、声を上げたり身近な仲間を見つけることは難しいかもしれません。そもそも相談するのが苦手だったり、結局自力で頑張ろうとしてしまうかもしれません。できるだけ自分の手でケアしたいという気持ちも尊重するべきだと思っていますし、必要なサポートを使いたくてもケアを受ける本人がサポートを拒否してしまうという場合もあるでしょう。
 ただ、決して1人で抱え込まないでください。1人じゃないことを知ってください。
 ダブルケアではない方も、まずは知ることからはじめてくださいね。どのような状況になっても慌てないでいられるように、常に情報は収集してください。
 もしもダブルケアに直面して困ったら、まずはお近くの地域包括センターに相談してみてください。私たちも居場所づくりや相談室を開催しています。
 ケアが必要な方やその家族、みんなが笑顔で暮らせるよう、みんなでダブルケアを考えてみませんか?

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大阪市 教育委員会事務局生涯学習部生涯学習担当社会教育・生涯学習グループ

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