【第135号】つながることから始まる発達支援 ―発達が気になる子どもを養育されている家族・保護者の方々へ― 臨床心理士 髙塚広大
2026年7月29日
ページ番号:684614

私は、普段、相談支援(どのような福祉サービスを活用すればよいか家族と一緒に検討)、療育・発達支援(児童発達支援や放課後等デイサービス)、保育所等訪問支援(学校や園での支援)など、福祉の現場で支援を行っています。
ここでは、「つながる」ことが難しく、しかし、とても大切であるということについて、私が日々感じていることを述べたいと思います。


就学後には、授業で45分間じっとしていられない・指示が聞けない(小1プロブレム)、小学3年生以降勉強が難しく、ついて行けない(9歳の壁)など、本人、あるいは、家族の困り感などをきっかけに専門機関(児童相談所・児童精神科など)に行き、その後、療育に通うようになる子ども達に多く出会います。
その一方、本人・家族・保護者の困り感は決して軽くなく本人も家族も困っている様子がうかがえるものの、なかなか支援につながることが難しい方々にも多く出会います。



本人自身は、学校の勉強を少しでもわかるようになりたい、しかし、うまく支援を求めることができない。
その背景は様々ですが、中学年・高学年以降、周囲の視線を気にしてしまい、支援を受けることへの拒否感が強いことが考えられます。
支援は本人の納得感が最優先されるべきでしょう。

子ども自身、日常生活を送る上で困り感はあるものの、支援を受けることに対し拒否的になる場合でも、まず、家族・保護者がSC(スクールカウンセラー)、保健福祉センター、相談支援事業所などに相談する、つながることが大切だと思います。

「あんたのことで相談しに行くねん」といった言い方ではなく、「私もどうすれば良いか一緒に考えたいと思っている」、「一緒に相談に行ってみる?どう?」と子ども自身の自己決定・意思決定を促す聞き方・伝え方をしていただけると良いのではないでしょうか。

ASD(自閉スペクトラム症)など神経発達症(発達障がい)の子の中には、知的な遅れがない子や軽度の遅れの子も多くいます。
保護者・家族が周りに相談することにより、それが子ども自身のモデリングになり、結果的に、子ども自身も周りに援助を求める援助要請(ヘルプ)スキルにつながることにもなるでしょう。
福祉の現場では、周りの人に上手く頼ることも自立であると考えます。
そういった意味でも、困った時に困っていることを発信できることは、支援する上で最も大切なことかもしれません。



ある通常学級在籍の子どもは、学校の勉強についていけなくなり、少しずつ登校渋りが始まりました。
その当時、特別支援学級・通級指導教室などの利用はしていませんでした。

本人には好きなキャラクターがありましたが、たまたま担任の先生も、そのキャラクターに詳しかったため、本人が登校出来た際には放課後に本人と一緒に、図書室でキャラクターについて語るなどしていました。
キャラクターに更に詳しい支援の先生も加わり、話が盛り上がりました。
本人とつながることを最優先していただいた先生方のお陰で、本人自身、少しずつ支援を受けることへの拒否感が下がりました。
本人の好きなキャラクターシールだけではなく、先生自身のオーダーメイドのプリント教材(キャラクター登場)も作っていただきました。

本人の思い・好きをいかに支援に取り入れるか、福祉の現場でも重視されていますし、自分のことを理解してくれる人、心の支えになる人(カリスマティック・アダルト)がいることの重要性を教えてくれたケースでした。

私が福祉現場でお会いする家族・保護者の方々(特にお母さん)は、日々、仕事・家事・育児などの多重役割を担っている場合が多く、更に、各専門機関へ奔走、疲弊しており、本当に支援者として頭が下がる思いになります。

そのような家族・保護者に会うたびに、まずは家族・保護者こそホッとする時間・場(家族のレスパイト、つまり、休息)が必要であると感じます。
移動支援(ガイドヘルパー)などを使って、子どもが好きな場所に行っている間、家族・保護者がゆっくり休めることも大切です。
地域の社会資源を活用し、より快適な家族生活、学校生活につながれば幸いです。


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