要望等記録制度指針
2023年4月1日
ページ番号:199370
令和5年4月改正版
この制度は、職員の職務執行に対する要望、要請等(以降、「要望等」という。)の内容を記録し、要望等の内容を正確に把握するとともに、組織として要望等の情報を共有化し、適正な対応を促すことにより、公正な市政の運営を図り、もって市政に対する市民からの信頼性を高めることを目的とする。
(職員の職務の執行に関する要望等の記録に関する規則(以降、「規則」という。)第1条)
1.職員の責務、役割
(1)職員の責務 (規則第4条第1,2項 関係)
・ 職員は市民全体の奉仕者であることを常に自覚し、市民等から寄せられる要望等に誠実に対応し、公平・公正な取扱いを行うことによって、市政に寄せられる市民等の信頼を高めなければならない。
・ 職員は不正要望等に応じてはならない。
(2)所管課長の役割 (規則第6条第1,2項、第7条第6項 関係)
・ 所管課長は、職員が要望等を受けた場合、常に公正な対応をとるよう指導する。
・ 所管課長は、職員より要望等の報告を受けた場合、内容などを検討し、対応方針を指示するものとする。
・ 所管課長は、すべての要望等を把握し、対応方針を決定する際、常に公正な判断をしなければならない。
・ 所管課長は、早急な対応が求められる要望等または日常的かつ定例的な要望等(以降「定例的な要望等」という。)で、 業務上の対応方針が明確なものを明らかにし、当該要望等に対し早急かつ正確に対応することを促すため、事前にその対応方針を課等(規則第2条第5項参照)に属する職員に周知徹底しなければならない。
・ 所管課長は、要望等の内容が所管業務の判断をこえる場合や重要な案件である場合は、必要に応じて局区長等に報告し、指示をうけるものとする。
・ 所管課長は、要望等を記録した文書を適切に保存しなければならない。
(3)要望等管理責任者の役割 (規則第13条第1,2,3項 関係)
・ 要望等への対応を円滑にし、統括管理を行うために、局区等内に要望等管理責任者を置く。
・ 要望等管理責任者は、次に掲げる事項を所管する。
要望等に関する調整及び連絡
要望等の公表に関する調整及び連絡
その他要望等に関して局区長等が必要と認める事項
・ 要望等管理責任者は局区等の庶務担当課長をもって充てる。(必要に応じて、要望等管理責任者を補佐する職員を設置してもよい。)
(4)局区長等(以下、「所属長」という。)の役割(規則第6条第3,4項、第7条第3項 関係)
・ 所属長は、所管課長より要望等の報告を受けた場合、内容などを検討し、対応方針を指示するものとする。
・ 所属長は、必要に応じて、要望等検討委員会を開催し、要望等の取扱いや公表内容を検討することができる。
・ 所属長は、必要に応じて、市長・副市長に要望等を報告し、指示をうけるものとす る。
・ 同様業務を行う事業所等をもつ所属長は、定例的な要望等で、業務上の対応方針が明確なものについて、各事業所 等において、同様の対応が図られるよう調整を行うこととする。
・ 区長は、定例的な要望等で、業務上の対応方針が明確なものについて、各区役所において、同様の対応が図られるよう調整を行うこととする。
2.体制の構築
(1)要望等検討委員会 (規則第6条第3項、第14条 関係)
・ 本制度の実施において、局区等に要望等検討委員会を設置する。
・ 本検討委員会は、委員長、副委員長、委員で構成する。
・ 委員長は所属長をもって充てる。
・ 副委員長及び委員は、局区等の職員のうちから委員長が指名する。
・ 委員長は、必要に応じて、本検討委員会を招集することができる。
・ 本検討委員会において、主に次の事項を検討、協議するものとする。
要望等の内容に関すること
要望等への対応に関すること
要望等の公表に関すること
その他必要と認める事項
・ 本検討委員会の運営については、要望等管理責任者が担当する。
(2)学識経験者その他市長が適当と認める者(規則第第6条第5項及び第8条第7項 関係)
・本制度の実施において、学識経験者その他市長が適当と認める者に意見・助言を聴くために、大阪市要望等に関する有識者会議(以降「会議」という。)を開催する。
・会議の委員は、第6条第5項及び第8条第7項に掲げる事項に関する学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから市長が指名する。
・学識経験者その他市長が適当と認める者は、次の事項について意見、助言を述べるものとする。
要望等への対応に関すること(第6条第5項関係)
不正要望等の判断に関すること(第8条第7項関係)
・本会議の運営については、政策企画室において処理する。
3.要望等
(1)要望者 (規則第2条第3項 関係)
・ 要望者とは、次に掲げる個人または団体とする。
(ア) 一定の公職にある個人、または、その職を退いた者(市会議員、府会議員、国会議員、一般職・特別職の公務員、その他公的な役職のもとで要望を行う者。その秘書も含む。)
(イ) 市民(市内在住または在勤、在学の者等)
(ウ) 法人、市民団体、経済団体、事業者団体、労働組合、職員団体 など
(エ) その他、本市行政に要望等を行おうとする者
(2)要望等の定義 (規則第2条第2項 関係)
・ ここで言う要望等とは、個人または団体の要望者から、本市職員の職務上の行為にかかわって、何らかの対応を求める要望、要請等の行為である。
・ 面談または電話による口頭の要望等を対象とする。
・ 市民から寄せられる要望等については、基本的に「市民と市政をつなぐ広聴ガイドライン」(市民の声)に基づき対応するものとする。
ただし、下記(ア)(イ)の何れかに該当する場合は、要望等記録制度により対応する。
(ア)要望等記録制度で対応するよう要望者が強く望んだもの
(イ)事務的に要望等記録制度を活用したほうが効率的なもの(定例的な要望等)
・ 各種団体から文書により寄せられる要望等については、基本的に「団体との協議等のもち方に関する指針」に基づき対応するものとする。
・ 公職者、団体から寄せられる要望等には、特定の個人、団体を指定して行われる意見・苦情、情報提供を含むものとする。
・ 公職者、団体から寄せられる要望等には、特定の個人・団体と同席して行われる意見・苦情、情報提供を含むものとする。
・ 現行方針に納得・了承し、取り下げた要望等を含むものとする。
(3)対象外の事項 (規則第3条、第5条第3項 関係)
・ 本制度においては、要望等の定義により、つぎの(ア)から(ケ)までの事項は記録の対象外とする。
(ア)法令、要綱等に基づき、記録される事項
(イ)本市職員が参加する公開の場で行われた要望等
(ウ)書面により提出された要望等
(エ)単なる事実または手続きの確認などの問合せ、相談
(オ)意見、苦情など (※)
(カ)市に寄せられる情報提供・通報 (※)
(キ)訴訟により係争中の事項または判決のあった事項
(ク)市政の運営に係わらない事項
(ケ)内部組織、関係諸機関からの依頼等
※ただし、公職者、団体から寄せられる特定の個人、団体を指定して行われる意見・苦情、情報提供は、要望等に含まれることから、対象外とはしない。
・ 職員は、記録の対象であるか、記録の対象外であるか判断に迷う場合は、その取扱については、課等の課長(担当等のリーダーである担当課長等)に報告し、組織として検討し、判断しなければならない。
・ なお、市民から寄せられた記録の対象外の事項であっても、要望者が本制度で対応することを強く望んだ場合は、要望等記録制度で対応する。
(4)記録の対象外と判断した場合の確認 (規則第5条第3項 関係)
・ 記録の対象外と判断した事項については、課等の課長がその判断に誤りがないか確認する。
・ 課等の課長による確認は、要望等を受けた職員が記録の対象外と判断した事項を課等の課長に報告することにより行う。
・ ただし、「(3)記録の対象外の事項」の(ア)(イ)(ウ)については、本制度以外で記録され、その運用において、課等の課長に報告されることから、その報告をもって本制度の対象外であることを確認したものとする。
・ 「(3)記録の対象外の事項」の(エ)については、単なる事実または手続きの確認であるため、課等の課長による確認を省くことができる。
・ その他、「(3)記録の対象外の事項」の(オ)(カ)(キ)(ク)に該当する日常的かつ定例的なもの等で、課等の課長が事前に記録の対象外と判断したものについては、課等の課長による確認を省くことができる。
・ 「(3)記録の対象外の事項」の(ケ)については、通常の一連業務として、その運用において、課等の課長に報告されることから、その報告をもって本制度の対象外であることを確認したものとする。
(5)不正要望等への対応 (規則第2条第7項、第8条第1,7項 関係)
・ 要望等を受けた職員は、要望等の内容が不正な働きかけである場合は、当該要望等の内容が不正な働きかけであることを要望者に対して示さなければならない。
・ 不正な働きかけとは、次のいずれかに該当する行為を求め、促し、または示唆することである。
(ア) 正当な理由なく、特定の者に対して有利な取扱いを行い、または、不利な取扱いを行うこと
(イ) 特定の者に義務にないことを行わせること、または、特定の者の権利行使を妨げること
(ウ) 執行すべき職務を執行せず、または、定められた期限までに執行しないこと。
(エ) 本市が当事者となる契約において、本市以外の契約の当事者に不当な利益が生じるよう契約の対価または条件を操作すること
(オ) 職務上知りえた秘密を漏らすこと
(カ) その他、法令に反する行為または公務員の職務に係る倫理に反する行為を行うこと
・ 要望等の内容が不正な働きかけであるかどうかが判断しがたい場合については、学識経験者その他市長が適当と認める者に意見、助言を求めることができる。
・ 不正な働きかけに対し、その要望等に応じて業務を遂行した場合、違法・不適正な行為となるとともに、「職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例」第3条違反ともなる。
4.記録
(1)記録対象の範囲 (規則第5条第1項 関係)
・ 3.(2)「要望等の定義」で定めるすべての要望等を記録することを基本とする。
(2)記録項目 (規則第10条 関係)
要望等を記録する文書(以降「記録票」という。)の記載項目については、次のとおりとする。
(ア) 要望等の受付日時、受付場所及び受付手法(面談、電話など)
(イ) 要望者の住所、氏名、連絡先等(団体にあっては、団体名、代表者 職氏名)
(ウ) 要望等の内容
(エ) 要望内容の確認の有無(内容提示、復唱、記名など)
(オ) 公表についての確認の有無(公表、公開対象となることの教示)
(カ) 対応職員の職・氏名
(キ) 回答が不要である旨の意思表示を要望者が行った場合には、その旨
(ク) 対応方針
※必要に応じて、「対応結果」の欄を設ける。
・ なお、記録項目については、業務内容に応じて、所管課長の判断により追加することができる。
・ 「記録票」は、対応方針等が明確な要望等であって、早急な対応が求められるもの又は日常的かつ定例的な要望等については、「定例要望等記録票」(別紙1)を、その他、対応方針の検討を要するものについては、「要望等記録票」(別紙2)をそれぞれ参考に整備を行うこと。
・ 公職者、団体から寄せられる特定の個人、団体を指定して行われる情報提供等で、対応方針が明確なものについては、「定例要望等記録票」を活用すること。
(3)記録内容の確認 (規則第5条第1項 関係)
・ 記録内容が職員の恣意的な解釈による記録とならないよう、職員は要望等の客観的な記述に努めるとともに、担当職員(所管課長)は要望者に対して、要望等の内容について確認を求める。
・ その際、要望等の内容については、公表の対象及び公文書公開の対象になることも説明する。
(4)要望等の取り下げ (規則第9条 関係)
・ 回答が終了する以前に、要望者が、本市の現行方針を納得・了承する等、要望等の取り下げがあった場合は、要望等記録票に取り下げがあった旨を記録する。
・ この場合、公表は行わない。
5.回答 (規則第7条第1,4,5項 関係)
・ 要望者への回答は、担当部署のみの立場で回答するのではなく、大阪市として回答を行う。
・ 要望等記録票に記録された要望等についての対応方針を、原則として、文書で回答する。
・ ただし、道路の補修や公園の樹木の剪定等、定例的な要望や急を要する場合、その他文書によらず電話等での回答が望ましいと考えられるものについては、口頭で回答を行うことができる。なお、要望者から文書での回答の要請があった場合は、後日、文書(記録票の写し等)を交付することができる。
・ これらの定例的な要望等で、業務上の対応方針が明確なものについては、所管課長に要望等の内容を報告する前にその対応方針を回答することができる。
・ その場合、所管課長は、回答した内容を定期的に点検し、確認しなければならない。
・要望者が回答不要と望んだ場合、また、匿名の要望や連絡先が不明な場合等で回答が困難な場合は、要望者への回答を省略することができる。(この場合、記録票の備考欄等にその旨を記録する。)
・ 回答は、要望等を受けた日から1か月以内に行わなければならない。
ただし、対応方針の決定に長期の時間(目安として1か月以上)を要し、要望者への回答が遅くなる場合は、対応方針の決定に長期の時間を要する理由及び対応方針を決定するための進め方、対応方針が明確になる見込み時期を要望者に回答する。
・ なお、上記ただし書の回答を行った後、対応方針を決定した場合は、改めて要望者に回答する。
6.保存 (規則第11条 関係)
・ 要望等への対応が完了した記録票は、課等で簿冊に編集し、公文書管理条例に基づき保存する。
・ 保存した記録票については、公文書公開の対象となるため、公文書公開請求があった場合は、情報公開条例及び大阪市個人情報の保護に関する法律の施行等に関する条例に基づき、適切に処理する。
7.公表 (規則第12条 関係)
・ 要望者に回答した要望等については、要望等の概要、対応方針の概要、要望者区分、担当部署等について定期的に公表する。ただし、道路の補修や公園の樹木の剪定等、定例的な要望等は、要望等の概要及び対応方針の概要ごとに対応件数などを一括して公表する。
・ 公表にあたっては、住所、氏名等の個人、団体等が特定される情報は掲載しない。
・ また、次の何れかに該当する場合は公表しない。
公表することにより、個人や団体の正当な利益を害すると認められる場合
個人や団体が容易に特定されるおそれがある場合
特定の個人や団体を誹謗・中傷する等の内容を含んでいる場合
8.その他(所管課等への伝達) (規則第5条第2項 関係)
・ 広聴窓口として位置づけられている区役所以外に要望等があった場合で、要望内容が当該要望等を受けた課等の所管業務でない場合については、要望等の内容に関する業務を所管する課等を要望者に紹介する。
・ ただし、要望者が、その場で要望等を行うことを望んだ場合は、当該要望等を受けた課等で、要望等の記録を行い、所管課等へ伝達する。
・ 広聴窓口として位置づけられている区役所に要望等があった場合で、要望内容が当該要望等を受けた区役所の所管業務でない場合については、所管課等へ伝達する。
・要望等の内容が当該要望等を受けた課等の所管業務であり、その対応方針を検討する中で、具体的な事例として他部署の所管業務に関することを合わせて検討する必要がある場合は、伝達には当たらず、他部署を交えて検討する。この場合、要望者への回答は、当該要望等を受けた課等が行う。
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