パブリック・コメント手続に関する指針(解釈と運用)
2023年12月8日
ページ番号:250542
第1 目的
この指針は、透明で開かれた市政を目指し、市民の意見・要望を積極的に市政に反映させるとともに、市民に対する説明責任を果たすため、本市が行うパブリック・コメント手続に関する基本的事項を定めることを目的とする。
(考え方と運用)
1 本格的な地方分権の時代を迎え、各自治体が自己決定・自己責任の原則のもと、社会経済環境の変化や市民ニーズに的確に対応した総合的な施策を企画し、市民とのパートナーシップにより実施することが求められている。そのため本市では、平成13年3月に新行財政改革計画を策定し、市民と協働して自立的・総合的に都市施策を企画・実施する分権型行政運営システムの構築を目指しているところである。特に、市民の視点に立った施策を市民と協働して推し進めていくためには、企画立案段階からの市民との協働、つまり市民の声を反映した施策の企画立案が重要である。
また、大阪市情報公開条例(第1条)には、「実施機関の保有する情報の一層の公開を図り、もって本市等の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市民の市政参加を推進し、市政に対する市民の理解と信頼の確保を図る」ことが条例制定の目的として掲げられている。
一方、第26次地方制度調査会の「地方分権時代の住民自治制度のあり方及び地方税財源の充実確保に関する答申」においても、地方行政におけるパブリック・コメント手続の幅広い活用が望まれるとされている。
こうしたことから、この指針は、本市が行うパブリック・コメント手続に関する基本的事項を定めることにより、本市施策の形成過程において積極的に情報を公開し、的確に市民意見を反映するとともに、これに対する本市の考え方についての説明責任を果たすことを目的とするものである。
2 この規定は、この指針の目的を定めたものであるから、この指針の解釈及び運用はこの規定に照らして行うものである。
第2 定義
1 この指針において「パブリック・コメント手続」とは、本市の計画等の策定過程において、案の段階で広く公表し、市民等からの意見・提言(以下「意見等」という。)を求め、寄せられた意見等に対する本市の考え方を明らかにするとともに、有益な意見等を考慮して本市としての意思決定を行う仕組みをいう。
2 この指針において「実施機関」とは、市長その他の執行機関をいう。
(考え方と運用)
1 パブリック・コメント手続とは、市民等に賛否を問うものではなく、本市が意思決定を行う際に有益な意見等を求めるものである。したがって、意見等を寄せる主体としての「市民等」は、市内在住・在勤・在学の市民を基本としつつ、本手続の対象となる計画、制度等の内容により、市民以外の者からの意見等についても受け付けることができるものとする。
2 市政全般においてパブリック・コメント手続を実施するため、議決機関である議会を除き、本市のすべての執行機関をこの指針の実施機関とするものである。
第3 パブリック・コメント手続の対象
1 実施機関は、次に掲げるものについて、パブリック・コメント手続を実施するものとする。
(1) 本市各施策の基本的な計画等の策定又は重要な変更
(2) 市民の権利を制限し、又は義務を課す制度等の制定、改廃で広く市民一般に適用されるもの
2 次に掲げる場合は、この指針の適用除外とする。
(1) 迅速若しくは緊急を要するもの又は軽微なもの
ただし、迅速又は緊急を要することを理由にパブリック・コメント手続を実施しなかったものについては、迅速又は緊急を要した理由について明らかにするとともに、制度の運用等、事後においても有用と認められるものについて市民等の意見等を聴くよう努めること
(2) 計画等の策定等に関し、意見聴取の手続等が法令等により定められているもの
ただし、当該法令等に基づく手続を行う際に、できる限りこの指針の趣旨に沿ったものとなるよう努めること
(3) 計画等の策定に関して本市の裁量の余地が少ないものその他計画等の性質上パブリック・コメント手続に適さないもの
3 実施機関は、1、2の規定にかかわらず、パブリック・コメント手続を行うことが必要と認める場合には、この指針による手続を行うことができる。
(考え方と運用)
1 本市の意思形成過程における透明性の向上など有益性の追求と、一方で、速やかな行政運営を確保する必要性とを総合的に勘案すれば、本手続の対象とするべきは、各施策分野における基本計画や基本方針等である。個々の事業内容については、各施策の基本的方針にしたがって企画立案されるものであり、それぞれの事業を推進する中で市民の意見等を取り入れていく工夫をしていくことが適切である。
しかしながら、個別の事業や制度に当たるものであっても、市民の権利を制限し、又は義務を課す制度等の制定、改廃については本手続の対象となるものであり、また市民の参画・協働にかかる制度を創設する場合など、積極的に市民の意見等を取り入れるべきであると考えられるものについても、できる限り本手続を実施するよう努めるものとする。
2 議会に上程する予算案、税等の徴収等の市民の権利を制限したり義務を課す条例案等の議案そのものは、議会の意思決定に係るものであり、執行機関が実施するパブリック・コメント手続の対象とはならない。ただし、議案の策定に先立って、執行機関において、計画等の大綱や制度の骨子を定める場合には、本手続を実施することとなる。
また、規則、要綱・要領の新設・改定については、別途定める「規則等を定める際の意見公募手続等に関する指針」に基づく手続きを実施することとなる。
3 法令の定める基準に従うことが求められる場合や施行の細目を委任されているにすぎない場合は、2(3)の「本市の裁量の余地が少ないもの」に該当する。
第4 公表内容及び公表手段
1 実施機関は、計画等(第3の規定によりパブリック・コメント手続の対象となるものをいう。以下同じ。)についての意思決定を行う前の適切な時期に、計画等の案を公表するものとする。
なお、公表の際には、計画等の趣旨及び目的並びに計画等の策定に至った背景についての説明を加えるものとし、関連資料もあわせて公表するなど、市民等が計画等の案の内容について十分理解できるよう留意するものとする。
2 実施機関は、次に掲げる方法等により、計画等の案等(1に規定する内容をいう。以下同じ。)を公表するものとし、市民等が容易に入手できるよう留意するものとする。
(1) 担当窓口での配架又は配付
(2) ホームページへの掲載
(3) 市民情報プラザでの配架
(4) 関係機関窓口での配架又は配付
3 実施機関は、計画等の名称、意見等の提出期間、案等の入手方法等について、ホームページ、本市広報媒体(各区広報紙等)、報道機関への情報提供などにより、市民等への周知を図るものとする。また、できる限り、当該パブリック・コメント手続の実施についての予告に努めるものとする。
(考え方と運用)
1 計画等の案の公表については、案の原文のみでなく、案の概要など理解しやすいものの添付に配慮するものとする。案の概要については、できるだけ視覚に訴える表現でA3サイズ1枚に収まるような分量が望ましい。
また、公表する内容が相当量に及ぶ場合は、それぞれの公表方法において全ての公表資料を備える必要はないが、その場合は、全ての資料を入手する方法を明示しておくことが必要である。なお、市民情報プラザや関係機関窓口への配架依頼に際しては、必ず配架期間を明示する。
2 実施機関は、2に掲げる方法のうち可能なものはすべて活用するものとし、また、計画等の内容により、関係団体への通知や説明、あるいは市民への説明会の開催など、できる限り、より多くの有益な意見等を収集するために必要な措置の実施に努めるものとする。意見等の提出が少ないと見込まれる案件については特に周知に努める必要がある。なお、ホームページへの掲載方法については、「ホームページ掲載にかかる運用マニュアル(パブリック・コメント手続)」に基づき行う。
第5 意見等の提出方法及び提出期間
1 実施機関は、次に掲げる方法等により、計画等の案に対する市民等からの意見等の提出を受けるものとする。
(1) 担当その他関係機関の窓口への提出
(2) 送付
(3) ファクシミリ
(4) 電子メール
2 1の規定により実施機関が意見等の提出を受ける期間は、計画等の案等の公表の日から1か月程度を目安として定めるものとする。
3 意見等の提出に際し、提出者に関する情報の記入を求める必要がある場合には、必要最小限の範囲にとどめるものとする。
(考え方と運用)
1 実施機関は、案等の公表の際に、意見等の提出方法について指定する必要があるが、市民等が容易に意見等を提出できるよう、例示のようにできる限り多様な方法を指定するものとする。多数の意見等が提出されることが見込まれる案件については、取りまとめの効率を考慮し、電子メールでの提出を推奨するなどの工夫を行う。また、電子申請・オンラインアンケートシステムも提出方法に指定する場合は、ホームページ掲載テンプレートの、ご意見募集様式のダウンロード欄に、電子申請・オンラインアンケートシステム該当ページへのリンク先を誘導するファイルを追加するなどして、市民等の便宜を図ること。(「ホームページ掲載にかかる運用マニュアル(パブリック・コメント手続)」参照)
2 本市から市民等へ十分な周知を図り、また市民等が計画等の内容を知ってから提出する意見等を取りまとめるための期間を確保する必要性がある一方で、行政運営の遅滞を招かないようにする必要性もあることを勘案し、意見等の提出期間は1か月程度を目安として、実施機関が定めるものとする。ただし、計画等の案の内容に照らし、極端に短い期間を設定することのないよう留意するものとする。
3 当該計画等の目的等に応じて、意見等の提出者に関する情報の記入を求める必要がある場合には、収集する情報を必要最小限の範囲にとどめるものとする。
第6 意見等の考慮義務
1 実施機関は、第5の規定により市民等から提出された意見等を考慮して、計画等についての意思決定を行うものとする。
2 実施機関は、提出された意見等の内容及びそれに対する本市の考え方並びに計画等の案の修正を行った場合はその内容を公表するものとする。
3 2に規定する公表は、原則として、第4 2で実施機関が採用した方法によるものとする。
(考え方と運用)
1 提出された意見等及びそれに対する考え方等の公表については、個別の意見等に対して回答するのではなく、類似のものをとりまとめて公表することができる。
2 実施機関は、提出された意見等を考慮して、計画等の案に反映させるべきものについては、しかるべき案の修正を行い、修正した点を公表する。また、反映させないと判断したものについては、その理由を明確にすることにより、市民等に対する説明責任を果たすものとする。
第7 適用に関する特例
審議会等(地方自治法第138条の4第3項の規定に基づき設置される附属機関及びそれに準ずる機関をいう。)においてこの指針に準じた手続を実施して策定した答申等に基づき立案した計画等については、実施機関は、この指針によるパブリック・コメント手続を行わないことができるものとする。
(考え方と運用)
1 「審議会等の設置及び運営に関する指針」(平成13年3月14日市長決裁)第6に規定されているように、今日、審議等への市民の意見・要望の反映が求められていることからも、特に重要な計画等については、審議会等の審議、検討の過程においてこの指針に準じた手続を実施するなど、市民等からの有益な意見等をより有効に活かせるよう、配慮するものとする。
2 この規定は、審議会等の答申等の作成過程においてパブリック・コメント手続に準じた手続を行った場合には、事務の重複を避け、速やかな行政運営を確保するため、本市としてのパブリック・コメント手続は省略することができることを規定するものである。なお、審議会等において審議を行ったということのみでは、この規定の適用はない。
第8 政策企画室長に対する報告等
1 各局長等は、当分の間、第4の規定に基づいて周知を実施するに当たってはその内容を、またパブリック・コメント手続の実施後にはその結果を、政策企画室長に速やかに報告するものとする。
2 政策企画室長は1に定める報告をもとに、本市におけるパブリック・コメント手続の実施状況の一覧を作成し、公表するものとする。
3 1に定めるもののほか、政策企画室長は、必要があると認めるときは、各局長等に対し、パブリック・コメント手続の実施状況について報告を求め、又は意見を述べることができる。
(考え方と運用)
1 この規定は、パブリック・コメント手続がこの指針に基づき適正に行われるようにするため、本市においてこの手続が定着するまでの間、各局長等は政策企画室長に対して本手続の実施に関する報告を行い、また政策企画室長は各局長等に対して必要な指導、助言を行うことを定めるものである。
2 1に定める報告については、各局長等は、周知に関しては別紙様式1により、また、パブリック・コメント手続の結果に関しては別紙様式2により、いずれも公表に先立って政策企画室長に報告するものとする。
なお、2の規定による実施状況の一覧の公表は、市民情報プラザにおいて市民等の閲覧に供するとともに、ホームページに掲載することにより行うものとする。
3 2に定める「実施状況」とは、案件名、意見等受付期間(受付期間終了の場合はその旨)、案等の入手方法及び担当部署名等、本市におけるパブリック・コメント手続の現状に関する情報をいう。
第9 施行の細目
この指針の施行について必要な事項は、政策企画室長が定める。
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