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都市大阪にふさわしい博物館のあり方について(平成28年10月5日)

2023年9月11日

ページ番号:378021

議題

(1) 都市大阪にふさわしい博物館のあり方について

会議要旨

(1) 都市大阪にふさわしい博物館のあり方について

  • 博物館のめざすべき姿について取りまとめた「大阪市ミュージアムビジョン(案)」について決定するとともに、地方独立行政法人がビジョン実現に適した経営形態であることを確認した。
    なお、今後パブリックコメントを実施する際には、ビジョンの趣旨や目的などを丁寧に説明することとした。

議論内容

経済戦略局より資料に基づき説明。

 

◆主な議論

【田中副市長】

  ミュージアムビジョンという名前を聞くと、市内にある国立や民間のミュージアム全てを含んだものを想像してしまうが、実際には市立のミュージアムのビジョンとなっている。市内にある他の博物館を入れた分析や役割分担などを踏まえたうえで、市立ミュージアムが担うべき役割や方向性が決まってくるのではないか。その説明が必要である。

  例えば、教育機能をどう考えるか、サービス機能をどうするかなど、色々な利用者のニーズに対して5つの博物館ですべてを背負わなければならないのか、あるいは役割分担をして、もう少し方向性を絞っていくということもあり得る。

  今後のスケジュールを見ると、今、伝えた内容が前段であった方がいいと思うが、それが難しいのであれば、パブリックコメントの説明の中で、ミュージアムビジョンはこういう考え方のもとでこういうことに焦点をあてたものという説明がなければ非常に混乱を招くことになる。

 

【経済戦略局】

  今、ご指摘のあったとおり、ミュージアムビジョンについては、本市が所有している美術館、博物館についてのみ議論いただいたという経緯があり、その他の博物館等の役割等を踏まえた機能の分担については付していない。

  一方で、この美術館、博物館などは都心の中のセンター機能になっていて、エンターテイメント性や機能性の面でも非常に重要な役割を担うので、そのあたりを一旦整理したうえでパブリックコメントを実施していく。

 

【鍵田副市長】

  博物館というのは学芸員をはじめ人材が肝である。今は指定管理ということでなかなか優秀な人材は確保できないということであるが、出来るだけこのビジョンをもとに、市民や議会などへ説得する努力をし、早く安定した経営形態にするのが第一である。

今、田中副市長が言われたことも非常に大事で、大阪府でもミュージアム構想を策定している。それらを参考資料として付けておき、議会については、ビジョンに掲げている経営形態を前提に議論していこうということを議員は理解しているので、この資料でいいかと思うが、市民は突然ビジョンが出てきて、何の意見を言えばいいのかわからなくなる。パブリックコメントの説明のときに、大阪市の博物館のもつ経営形態が議論になっていて、その議論の前提となるビジョンですよというように、何のためのビジョンなのか、初めて見る市民にとってわかりやすいような説明が必要である。

 

【経済戦略局】

  平成18年に我々が導入した指定管理者制度について、課題があると説明させていただいたが、当初、指定管理者制度は2年で始めていて、その主な目的がコストを下げるということであったと聞いている。そういう意味では運営の裁量性や学芸員の採用、育成などの実態もあり、この間は地方独立行政法人化に向けて様々な課題に対処しながら取り組んできたところであるが、今回、市民にとってミュージアムビジョンという新しいフレーズが出てくることになるので、違和感を感じることがないよう、これまでの経緯など入れながらご説明していきたい。

 

【経済戦略局】

  具体的にはマネジメントというか展示物もかなり違い、対象としている方もほとんど違うが、そういったものを一体的にやろうというのも指定管理者制度の目的であった。それをもう少し機能的に全てアピールできるかということを考え、どのような経営形態が必要なのかというところから考えたので、バラエティに富んだ6館をどのように集約化するかといった観点から作ったというところをパブリックコメントの説明に入れたい。

 

【中尾副市長】

  先ほどの説明にあった収支のところで、平成17年度から10年間で約5億円減らしているという努力は認めるが、同様にこの資料の中でこれからも資産一括管理や業務改善を図っていくなどと書かれている。何よりも6館を一括管理することによって集約、統合のコスト面のメリットがでてくる前提があると思い、それを聞いたところ、そのメリットは難しいというコメントであった。19億4600万円という収支差をさらに縮めていくことについて、本当に難しいのか。

 

【経済戦略局】

  地方独立行政法人化をして、直ちにコスト面などでのメリットが出るかというと非常に難しいと思う。一方で、経営と運営を一体化することによって様々なサービスの提供あるいは有償サービスの提供、行政では出来なかったような民間事業者との連携による収益などがある。今後、制度設計をしていく中で組織をどのようにするのか、また地方独立行政法人の経営と各館の運営を連携させることで相乗効果を図っていくのかなど、平成29年度から30年度にかけて制度設計をしていく。その中で我々がどこまで収益等の伸びしろを図るかという話になる。

 

【中尾副市長】

  気になるのは、今回の資料の中で「増収する」「効率化で経費の削減を図ります」と書いている。これを読むと誰もが今まで以上に収益がアップするように思う。先ほどの説明のように当分収益を見込んでいないというのは言い過ぎではないのか。

 

【経済戦略局】

  14ページをご覧いただきたいが、現状の課題や様々な可能性を考慮したときに地方独立行政法人化が経営形態としてふさわしいということになると、我々の作業として制度設計、中身の作りこみをやっていかなければいけないと考えている。この中でおそらく今までになかったようなマーケティング機能や購買機能、自分たちがやっている事業の外出しなど、効率を図っていくような組織ができて、そこで経営計画が出来上がってくる。当然、今、副市長がおっしゃったことは我々も想定しているが、今の段階でそれを数値に落として、例えば何パーセントの削減があった、何パーセントの増収を図っていく、ということを実現していくという内容はまだ記載できていないのが現状である。

 

【中尾副市長】

  東京都や横浜市は指定管理者を単独指名で選んでいるが、東京都と横浜市が地方独立行政法人化をしない理由は何かあるのか。

 

【経済戦略局】

  東京と横浜はもともと指定管理者制度を導入しているが、非公募でやっている。東京では地方独立行政法人化すると、資産管理までを地方独立行政法人でしないといけないようになるのが重荷になると考えられている。今後、8年後、10年後なりに期限を迎えてもその時にまた延長されるであろうという推測のもと、安定的な経営ができると考え、その方式をとられていると聞いている。

 

【経済戦略局】

  とくに東京の場合は文化財団という財団法人がある。市民ホールを含め、かなり広いものを一括管理しており、我々のような博物館だけという経営管理をするのではなく、市民サービスも含めた部分もやっているので、そういった意味で地方独立行政法人化はなかなか難しいとも聞いている。確かに長期化すれば、一定は安定するが、8年目9年目になって、次の10年になり保証があるので新たに戦略を打てるかというと、そこは少し難しいというようなことも聞いたので、我々としては指定管理の長期化というよりも地方独立行政法人で経営し、そこが責任をもって進めていくということを考えている。

 

【鍵田副市長】

  指定管理者制度の根本の思想として、他都市の事例でよくあるように指定管理者制度という方法をとりながら、非公募で外郭団体や第三セクターなどを引っ張って指定管理者にすれば一つは非常に安定しているように見えるが、本来の指定管理者制度の趣旨からすると違う。

 

【政策企画室長】

  専門人材について、指定管理者制度でいくと契約の学芸員が増えてきていることが一つの課題であるということであるが、地方独立行政法人化すれば固有の法人で学芸員を雇うということになるので解消できるという意味か。そうであれば、結局、適当な時に投資や人材を確保しなければならないということであれば、交付金という形でお金がかかってくるという裏返しにも聞こえる。そのあたりはデメリットやメリットを比べたうえでどちらを選ぶかという選択の問題ということになるのか。指定管理者制度の方がお金は切り詰めることができるが、博物館的には人材などへの適切な投資もできなくなり博物館の使命が果たせないため、2つを天秤にかけた結果、地方独立行政法人化がいいということなのか。

 

【経済戦略局】

  博物館の指定管理者制度では、行政が書いた運営の仕様に基づいて執行するということが大原則になる。今、政策企画室長から話のあった運営の経済性については、独立行政法人化すれば採算がとれて、負担がなくなるということではないと思っている。ビジョンの3ページのところに現状と目標を掲げているが、大阪が所有している市立の美術館、博物館は素晴らしい資産であるが、これを利用する方々としてアクティブシニアが増えたり、海外のお客様が増えたり、また、もともと市立美術館や東洋陶磁美術館は公園のセンターピースにあって、これを維持または磨き上げていかなければいけないとなったときに、もっと先鋭化していって、市民に対してのサービス、大阪へ訪れる方へのサービス、そして学識度もさらに高めていくために、学芸員に対する行政からの支援も必要になると思う。一定、行政の負担が継続することを想定し、それをベースに指定管理者制度ではできなかったような多様な経営のテクニック、スキルを活用して全体的にサービスを上げていきたいという思いである。

 

【政策企画室長】

  資料の中でも、全て地方独立行政法人がカバーするのではなく、民間委託すべきところは民間委託という役割分担をしながらやっていくので、そのあたりのメリットを活かしながら進めていくということか。

 

【経済戦略局】

  そうである。契約形態に裁量性が生まれる。例えば、清掃や何らかのサービスの提供や、お越しになられた方が寛ぎいただいたり、飲食ができるスペースを外部に出してみたり、全体的にはサービスレベルが高くなる。公共施設を訪れている方々と、公共が求めている意識と何らかのギャップが出てきていると思うため、皆さまを支えるサービスを提供できる施設にするために、ぜひこの経営形態をとりたいと考えている。

 

【経済戦略局】

  美術館に来られるときは作品を見るだけでなく、作品を見た間にレストランでお茶飲んだりし、最後はミュージアムショップで何かを買って帰られるというのが一連の行動になっている。経費の削減はかなり底に来ているが、国の方で議論されているのは、もっと民間に入ってきてもらい、サービスショップやレストランを充実させることで民間における雇用機会拡大にも繋がるし、それでもって収入を上げてトータルコストを下げていくというような議論がされている。民間の力を借りるところは十分に借りていきたいと考えている。そのうえで、民間が入っていただく中で指定管理者制度のように5年であれば、投資期間が短すぎてなかなか投資ができないということになるので、ここでは地方独立行政法人化のなかで、無期でできるという長期間のなか投資も民間にしていただけるような仕組みにしていきたい。

 

【人事室長】

  人材の確保ともう一つ、博物館の館蔵品や展示品の問題がある。地方独立行政法人化の議論を検討される中で、地方独立行政法人化によって今と比べて良い人材を集めることができるのか。また、大阪市という看板で館蔵品等を集めてきていると思うが、看板が変わったときに影響は出ないのか、そのあたりは議論の中で検証されていると思うがどうか。

  

【経済戦略局】

  館蔵品については、寄贈いただいたものや大阪市が独自の予算で購入したもの、あるいは多くのコレクションについて寄託を受けているものもある。一定法的な整備も必要だと思っている。全館蔵品に対しての価値も含めた整理がまだできていないので、制度設計の中で慎重に取り扱っていきたい。

 

【経済戦略局】

  人材については、指定管理者のもと期間に制約があるので有期での雇用になっている。地方独立行政法人化すれば、無期で安定的な雇用ができる。学芸員の話をきくと、経営方法の種別というよりも、自分たちがしたい仕事を安定的にできる環境をつくってもらうことが一番能力を発揮できることに繋がるということであった。地方独立行政法人化することによって、そのような人材が安定的に働くことのできる環境ができるので、より良い人材が確保できると考えている。

 

【市政改革室長】

  市政改革プランの立場で、資料2の5ページにある「めざす方向」にある方向性の4つ目について、「トップのマネジメントの下、職員意識の高揚や業務改善が図られる体制であること」という項目あるが、地方独立行政法人化することでよりやりやすくなるということはわかるが、例えば美術館の状況を見ても、天王寺動物園の入場者が大変増えているということもある。昨年度より必ずしも入場者数が多くなるということはないが、現状の体制の中でも、市民サービスの向上やこども青少年局、教育委員会との連携など、様々やっていくことがあると思うが、その点はどのように考えているのか。

  

【経済戦略局】

  今、例に挙げられた市立美術館について、単体だけで議論するだけではなく、サービスヤードとしての計画の中、建設局との連携含め、天王寺動物園・公園エリアで回遊してもらえるというような視点からも我々も地方独立行政法人化を検討してきた。地方独立行政法人のもとでサービスヤードをどう活用していくかなどを検討していただければと考えている。民間を入れて、自由な発想でやっていきたい。

 

【経済戦略局】

  デトロイト美術館展は23万人来館ということで、メディアからも大変な好評をいただいて、有料入場者が8割ということで非常に高い結果となった。市民の65歳以上の方々にも有料で入場いただいたりもしているが、やはり企画をしっかり立てるとこういう結果になると大変勉強になった。経営と運営を一体化し、時には民間の力を借りて取り組んでいくことが大事。また、これを機に本市が所有している施設について、経済的にも市民サービスにおいても改革に貢献できると考えている。

  

【市長】

  資料2参考4の20ページにある学芸員の構成について、これまでも議論で出てきているが、人材は非常に大事である。人材の年齢構成を見たとき、本市施設の年齢構成は40代~50代が全国と比べると多い。つまり若い世代が入ってきていない。なぜそのようになっているかという分析と、地方独立行政法人化することでどのように改善され、どう変わっていくのかを教えてほしい。     

 

【経済戦略局】

  現状、学芸員は60歳定年である。本来、若い人を募集することになるが、博物館協会では5年の期間で指定管理を受けているため、6年目以降の仕事を保証できず、5年以内の有期の短期採用になっているのが原因である。今後、地方独立行政法人化すれば無期での採用ができるため、年齢構成が次第に若返っていくと考えている。

また、特別展などをやる場合に3・4年前から準備をしているが、そこにも弊害があり、5年の雇用期間の最初の方に企画すれば、その時点で指定管理を受けている団体の雇用期間内の実施となるため問題はないが、契約後4・5年目で3・4年後の企画をするということになれば、実施の段階で管理団体が変わっているということにもなり、不安定な企画になる。この点も、地方独立行政法人化で安定してより良い大型企画ができるようになると考えている。

 

【政策企画室長】

  定年退職で辞められた後、新規補充せずに契約学芸員で補充しているが、その契約学芸員が高齢ということか。高齢者比率が非常に高いという現状があるのか。

 

【鍵田副市長】

  この資料は常勤の職員を示されていて、有期の人も入れると若い人も少し増えるということか。

 

【経済戦略局】

  有期も入っているが、若い人とともに60歳となった人を再雇用で短期雇用するということもあり、高齢化の原因となっている。        

 

【市長】

  美術館というのは世界の都市のどこを見てもそうであるが、都市の魅力を高めるのに非常に重要な施設である。大阪には5つの市立美術館、博物館があるが、中身のポテンシャルが高い。それをどのように展開していくか、どう展示していくか、どう広報していくか。

また、レストランであったり、民間の賑わい施設であったり、そういったものを充実させていく必要がある。そのためには経営形態が関わってくることとなるが、やはり経営と運営が別々というのは良くない。大阪市の経営に任せて、経営と運営、責任の所在がねじれているような現象になっている。どうすれば多くの人が施設に来てくれるかという視点が手薄になってしまう。国際化が進む中、都市部のど真ん中にこれだけのものがあるので、そういった観点が非常に重要で経営と運営の一体化を進めていく必要があると考えている。地方独立行政法人化し、経営責任をもって長い目で戦略的にミュージアムを見てもらう、運営してくことが大事である。

  パブリックコメントを実施するうえで、これまで美術館、博物館は役所がやっているというイメージがあるが、市民の皆さんにはこれからの美術館や博物館はどういったものが求められるかなども聞いてほしい。サンフランシスコの近代美術館ではレストランやショップなど、人々が集まるために非常に努力されている。アメリカという特殊性があり、寄附という制度を重んじているため、日本のマネジメントとは異なるかもしれないが、経営をしっかりやろうという考えが滲み出て、人も集まっている。それが世界の潮流である。大阪の美術館、博物館は地方の郊外に建てられているわけではなく、都市のど真ん中にあるということで、他の賑わい施設と違う。様々なビジネス、人が集中しているところでもあるので、そういった経営感覚と運営を一体化して、美術館、博物館をトータルで考えてもらいたい。展示であったり、企画であったり、広報であったり、集客であったり、ショップであったり、様々なことを一体運営してほしい。そういった経営もしなければ、そういった発想も生まれてこないので、その観点からもこの方針で進めてほしい。市民の皆さんや議会の皆さんに意見を問う時も、これからの美術館、博物館はどうあるべきか、そういった意見も集約してほしい。

 

【政策企画室長】

パブリックコメントの実施にあたっては、今指摘のあったことを入れることを前提とし、それ以外の件についてはこれで決定とする。

参考資料

戦略会議資料(平成28年10月5日)

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