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「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の解説及び審査の実例(5条)

2019年1月4日

ページ番号:438270

「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の解説及び審査の実例(5条)

解説及び審査の実例(条例第5条第1項)

本文の趣旨

  ヘイトスピーチを事前に規制をすることについては、憲法が保障する表現の自由の観点から慎重であるべきことや、表現内容がヘイトスピーチに該当するかどうかについてはその内容を確認しなければ判断できないことから困難であり、事後的な被害の拡大防止や救済が主とならざるを得ないものです。こうしたことから、この規定は、ヘイトスピーチに対する措置として表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表を行うこと並びにこれらの措置の対象とするヘイトスピーチ及び公表する事項を定めています。

【拡散防止の措置】

 表現内容の拡散防止措置としては、例えば、表現内容が施設に掲示されているような場合は、施設管理者への看板や掲示物の撤去の要請を行うことや、インターネット上に書き込みがなされている場合は、プロバイダに削除要請を行うことなどが考えられますが、事案の内容に即した適切な対応をとることとなります。

【認識等の公表】

 認識等の公表を行う目的は、ヘイトスピーチと認定した表現活動について、ヘイトスピーチに該当するものであるとの認識、事案の概要、表現内容の拡散防止のために講じた措置、ヘイトスピーチを行ったものの氏名又は名称を公表することで、大阪市がヘイトスピーチは人権侵害であり許さないという姿勢を対外的に示し、社会的な批判を惹起しその抑止につなげることです。

各号の趣旨・解説

各号の趣旨
   拡散防止措置や認識等の公表の対象とするヘイトスピーチについては、大阪市は一地方自治体であることから、大阪市の区域内ないし市民等に関わるものに限定することとしています。
第1号の解説

 大阪市の区域内で行われた表現活動については、条例第5条第1項の規定による措置等の対象となりますが、インターネット上の表現活動については、その表現内容が大阪市内において閲覧・視聴可能な状態であることをもって、大阪市内で行われた表現活動と認定されるわけではありません。仮に、大阪市内において閲覧・視聴できることのみをもって同号への該当性を認定するとすれば、全世界においてインターネットを通じて行われる表現活動のすべてが大阪市内で行われた表現活動に該当し、条例第5条第1項の規定による措置等の対象となることになり、同項各号の趣旨を没却することになってしまいます。

第2号のアの解説
 大阪市の区域外又は大阪市の区域内かどうか明らかでない場所で行われたもののうち、市民等に関するものであると明らかに認められるものについては、条例第5条第1項の規定による措置等の対象となります。

 「表現の内容が市民等に関するものであると明らかに認められる表現活動」とは、表現の主題が市民等に向けられた内容であると明確に認められる表現活動をいいます。

 例えば、表現の内容が、特定の人種・民族全般を指しているにすぎない場合は、「表現の内容が市民等に関するものであると明らかに認められる表現活動」にはあたりません。また、表現の中に大阪市や市内の地名が出てくるだけで、「市民等に関するものであると明らかに認められる表現活動」と直ちに判断するわけではなく、前後の文脈から判断することになります。

第2号イの解説

 大阪市の区域外又は大阪市の区域内かどうか明らかでない場所で行われたもののうち、市域内で行われたヘイトスピーチ(これ自体は条例第5条第1項第1号に該当します。)の動画等を、インターネット上のサイトに掲載すること等によって大阪市の区域内に拡散させる行為などについては、条例第5条第1項の規定による措置等の対象となります。

審査の実例

※個別具体の案件に対する審査の実例であり、類似した案件であっても、その表現活動全体の特徴によっては、過去の実例とは異なる判断がなされる場合も考えられますので、予めお含みおきください。

実例(具体例)

条例第5条第1項第2号イに該当する表現活動

平成25年に大阪市内で実施された特定の人種・民族に関するデモ・街宣活動をインターネットの動画投稿サイトに掲載し、条例の全部施行日(平成28年7月1日)においても不特定多数の者が視聴できる状態においていた表現活動

条例第5条第1項第1号に該当しない表現活動

インターネット上の短文投稿サイトにおいて投稿をしていた表現活動

(インターネット上の表現活動の実施場所を特定するためには、表現活動を行ったものに投稿した場所を問い合わせるだけでは足りず、表現活動を行ったものの回答内容が事実であるかどうかを確認するため、サイトの運営者や関係プロバイダからIPアドレス等の必要な情報を取得する必要がある。この点、サイトの運営者や関係プロバイダから投稿が行われた場所を特定するために必要な情報が任意に提供される可能性は非常に低く、仮にサイトの運営者や関係プロバイダから情報が得られたとしても、インターネット上のサイトへの投稿の多くが無線の通信端末機器により行われている現状に鑑みると、投稿が行われた場所を特定することは極めて困難であると考えられたため。)

条例第5条第1項第2号アに該当しない表現活動

インターネット上の短文投稿サイトにおいて、特定の人種・民族全般に関する表現を投稿していた表現活動

大阪市外で行われた街宣活動における発言の中に「大阪」という地名が出てくるが、大阪市の市民等に関すると明らかに認められる内容は見受けられない表現活動

「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の制定にふれているが条例に反対する立場を明らかにしているにすぎない内容の記事を、インターネット上に掲載していた表現活動

インターネット上に大阪市内で行われる予定の街宣・デモ活動の告知文書において、街宣・デモ活動の場所や最寄り駅名等に大阪市内の地名が掲載されていた表現活動

解説(条例第5条第2項)

趣旨

   同条第1項に規定する表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表は、表現の対象とされた特定人等である市民等からの申出によって行うほか、市に寄せられた情報提供を契機として職権で行うこともあることを定めています。

解説

    申出については、本市が措置の対象となる事案を把握するためのものであり、法律的に申出をする市民等に何らかの権利を設定し、本市に申出に対する応答義務を生じさせるものではありません。なお、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する申出等対応事務要領第8条により、市として自主的に申出人に対する結果の通知を行うこととしています。

   申出の方法については、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例施行規則(以下「条例施行規則」という。)第3条に定める様式(第1号様式)により、①氏名(法人その他の団体による申出の場合はその名称及び代表者の氏名)、②住所(法人その他の団体による申出の場合は事務所の所在地)③連絡先(電話番号・メールアドレス等の連絡先)を明らかにし、可能な限り、④表現活動の日時・場所・内容及び⑤表現活動を行ったものを明らかにすることを求めることとしています。また、申出人には、「特定人等であること」を表明して申出をしていただくこととなりますが、これは大阪市個人情報保護条例(平成7年大阪市条例第11号)第6条第2項本文で原則として収集が禁止されている人種又は民族に関する個人情報の収集に該当するものの、条例の規定の趣旨、目的から、当該個人情報の収集は、同条第2項第1号「法令等に定めがあるとき」に該当するものとして例外的に収集が認められることとなります。また、申出書には、大阪市個人情報保護条例第6条第3項で収集が禁止された第三者(表現活動を行った者、申出人でも表現活動を行った者でもない者(以下「その他の第三者」という。))や当該第三者に関する同条第2項に該当する個人情報が含まれることが考えられます。これらの情報のうち、当該表現活動を行った者の個人情報の収集は、表現活動を行った者に意見や有利な証拠の提出をさせる等の手続を行うなどの本条例の趣旨、目的から、大阪市個人情報保護条例第6条第3項第1号又は同条第2項第1号の「法令等に定めがあるとき」に該当するものとして例外的に収集が認められることとなります。また、その他の第三者の個人情報については、当該申出を行った方の一方的な意思により提供されるものであるとともに、条例の目的を達成するために収集せざるを得ないものであることから、大阪市個人情報保護条例第6条第2項第2号又は第3項第7号に該当し、平成7年10月2日付けで大阪市個人情報保護審議会が大阪市長あて行った答申第1号に照らし、例外的に収集が認められることとなります。                                                    

  申出要件は満たさないが、表現活動に関して市に寄せられる情報提供については、職権による措置の契機となるものではありますが、申出とは位置付けを異にするものです。情報提供についても、大阪市個人情報保護条例第6条第2項又は第3項に規定する個人情報が含まれることが考えられますが、上記と同じ理由により、例外的に収集が認められるものです。申出及び情報提供の具体的な方法は、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する申出等対応事務要領第3条及び第4条に規定するとともに、本市ホームページに掲載しています。

解説(条例第5条第3項及び第4項)

趣旨

  認識等の公表はいわゆる行政処分ではなく、大阪市行政手続条例の適用があるものではありませんが、認識等の公表によって、ヘイトスピーチを行ったものに何らかの不利益が生じる可能性もあることから、憲法が保障する表現の自由との関係を考慮し、公表に当たっては、市長が当該ヘイトスピーチを行ったものに公表しようとする内容及び理由を通知した上で、意見を述べ、自己に有利な証拠を提出する機会(以下「意見提出等の機会」といいます。)を付与しなければならないことを定めたものです。

解説

  条例第5条第3項及び第4項に基づく意見提出等の機会は、条例第9条第2項及び第3条に基づく大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」という。)による意見等提出の機会とは別に設けられているものであり、条例施行規則第4条に定める様式(第2号様式)により付与することとしていますが、これを行わない場合として、次の2点について定めています。

⑴ 「当該公表に係るヘイトスピーチを行ったものの所在が判明しないとき」について

  意見提出等の機会の付与手続は行政手続条例の弁明の機会の付与の手続に準じてとることになるところ、弁明の機会の付与の手続では不利益処分の名あて人となるべき者の所在が判明しない場合には弁明の機会を付与することの通知を公示による送達によって行うことができることとしています(大阪市行政手続条例第29条において準用する第15条第3項)が、認識等の公表に係る意見提出等の機会を付与する際にこの公示による送達の手続をとるとすれば、当該ヘイトスピーチを行ったものの氏名又は名称を公示することになり、結果として氏名又は名称を公表するのと同様の効果をもたらすことになるので、公示による送達の手続はとることができず、他に意見提出等の機会を付与することを通知する方法もありません。

  こうしたことから、当該ヘイトスピーチを行ったものの所在が判明しないときは、意見提出等の機会の付与をしないこととしているものです。

⑵ 「当該公表の内容が次条第3項の規定に基づき第7条の規定による審査会の意見を聴く対象とした公表の内容と同一であり、かつ、審査会において当該公表の内容が妥当であるとの意見が述べられたとき」について

  条例では、ヘイトスピーチに係る表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表をしようとするときは、当該措置及び公表の内容について、あらかじめ審査会に諮問してその意見を聴かなければならず(第6条第3項)、また、審査会は、諮問に係る事項の調査審議に当たっては、申出人又は表現活動を行ったものに意見等提出の機会及び口頭で意見を述べる機会を付与することとされています(第9条第2項及び第3項)。こうした手続を経て審査会の答申が行われ、市長が同答申に基づき認識等の公表をする場合には、本条第3項本文の規定によれば、市長として再度意見提出等の機会を付与することになりますが、公表の内容が審査会における調査審議の対象となったものと同一であり、かつ、審査会においてその内容が妥当であるとの意見が述べられた場合には、手続の簡略化の観点から、市長として改めて意見提出等の機会を付与することを要しないこととしているものです。

  なお、意見提出等の機会を付与する手続を省略できるのは、公表の内容が審査会に諮問しその調査審議の対象となった公表の内容と実質的に同一であり、かつ、審査会においてその内容が妥当であるとの意見が述べられた場合に限られ、審査会に諮問した公表の内容を実質的に変更すべきとの意見が述べられた場合には、改めて、公表しようとする内容について、意見提出等の機会を付与しなければなりません。

  意見の内容が客観的な記録となるよう書面の提出により意見を述べることを原則としています。本条の意見提出等の機会において例外的に口頭による意見陳述を認める場合とは、意見を述べる者が書面にできないような特別の事情がある場合に限られ、その場合であっても職員が書面に記録し、その内容について意見を述べた者に確認するという手続を踏まなければなりません。

解説(条例第5条第5項及び第6項)

趣旨

  表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表に当たっての留意事項と公表の方法について定めたものです。

解説

    ヘイトスピーチについては、公表することによって、ヘイトスピーチの問題に関する一般市民の理解を促進し人権意識を一層高揚させ、ヘイトスピーチの抑止につなげるという側面がありますが、安易にその概要を公表することによりその内容を知った人に誤った認識を与える可能性があるなど差別の拡散につながるおそれがあり、かえってこれを行ったものの意図・目的に沿うような事態になることも想定されます。こうしたことから、公表に当たっては、ヘイトスピーチと認定した表現活動をありのままに全て公表することは控える等の配慮が求められます。

    公表の方法については、大阪市のホームページに掲載することを基本とし、報道機関に対して公開する方法、広報紙に掲載する方法及び市役所その他市関係公署において閲覧に供する方法のうち、事案ごとに、公表の内容を勘案して市長が適当と認める方法で行います。

 

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