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区役所職員の地域団体の固有事務への従事に関する調査報告について

2024年2月8日

ページ番号:462739

調査結果の報告

 区長会議では、大阪市公正職務審査委員会から大阪市長に対して区役所職員の地域団体の固有事務への従事について平成30年2月15日付けで意見書(第29‐99‐1号)が出され、調査対象となった中央区役所の事案の是正や、他の区役所も含めての検証等を行ってきました。
 その調査結果をまとめましたのでお知らせします。

Ⅰ 意見書の具体的な内容

(中央区役所に関するもの)

1.中央区長は、引き続き地域団体Yなどの団体固有事務の整理を進め、速やかに是正を図られたい。また、中央区長は、地域団体と連携・協働して施策・事業を推進する際には、各主体との役割と業務分担を明確にし、職員が地方公務員法の趣旨に抵触あるいは逸脱することがないよう徹底されたい。

2.中央区長は、中央区役所が自らの組織判断で団体固有事務への従事を是正することができなかった事実に鑑み、組織マネジメントの課題を十分に認識し抜本的改善に取リ組まれたい。

 (全区役所に関わるもの)

3.市長は、中央区役所の団体固有事務についての是正状況を、適宜モニタリングされたい。また、他の区役所で本件と同様の事例その他区役所と地域団体との関係において不適正な事例がないか、あらためて検証し、必要に応じて適宜是正されたい。

4.行政目的を達成するためには、区役所は地域団体との緊密な連携・協働が必要であり、職員は地域団体から様々な要望を受け、支援を求められることがあると考えられることから、市長は、区役所と地域団体との適切な関係を維持、確立するために、区役所と団体との関係につき、職員の判断の根拠となるようなできる限り明確な基準を文書化する措置を講じられたい。

  • 大阪市としては、意見書が出されて以降、中央区役所においての是正や他区も含めた全区的な関与の実態の調査検証等を進めてきたところである。

Ⅱ 中央区役所における是正状況等について(上記意見1、2への対応)

  • 意見書で指摘された内容への中央区役所における対応については、以下のとおりである。(意見3を踏まえ、中央区役所の取組みについては、市民局区政支援室がモニタリング等し、確認している)

【意見書で指摘された団体固有事務への対応について】

  • 地域団体Xの団体固有事務については、平成29年度から、事務を団体へ移管し、区役所職員が当該事務を行うことはなくなっている。
  • 地域団体Yについては、意見書での指摘事項以外にも不適切な事例があった(指摘事項と合わせて計13事例)が、意見書の指摘事項以外のものも含めて平成30年度以降事務を団体に移管して、是正が図られている。
  • また、その他職員個人が任意に加入している地域団体Zについても、職員の関与を減らすため、団体から事務を外部へ委託する等の対応が進められている。

【意見書での指摘以外に判明した不適切な事例及びその対応について】

[調査検証の手順、「不適切な事例」の考え方]

  • Ⅲで示す全区役所における実態調査・検証のとおり

[事例と是正状況] 9団体 51事例(上記地域団体Yを含むと64事例)

  • 9団体において、不適切な事例があった(51事例)が、1団体(18事例)は団体が解散したため、職員が団体の事務へ従事することはなくなっており、残りの団体については、事務を団体へ移管するなどし、すべて是正が図られている。

【中央区役所における取組】

  • 平成30年4月以降、区長が課長会議や中央区内部統制連絡会議において、本件意見書の内容を改めて周知し、抜本的是正に向け取り組む方針を伝え、区役所全体として取り組んでいくことが確認された。そのうえで、区長と団体を所管する課長が個別に面談し、定期的に進捗状況を把握したうえで、上記是正が進められてきた。
  • 引き続き、職員が地方公務員法の趣旨に抵触あるいは逸脱することのないよう、区長会議(区政支援室)と連携を図りながら、取り組んでいくこととされている。

Ⅲ 全区役所における調査・検証について(上記意見3への対応)

1 全区役所における実態等について

  • 意見書を受け、平成29年度に実施された「外形的に地域団体の事務へ従事しているとみられる可能性のある事案」についてすべて対象として、中央区役所を含む各区役所から報告を求め、それら事案を一定の基準に当てはめながら、職員が当該団体の事務に携わることが適切なもの、不適切なものの仕分けを行った。
  • 特に中央区役所に対しては、全区役所に行った調査やその内容のフィードバックと合わせて、別途、個別にヒアリングを行うなどし、関与の実態や是正状況の把握を行ってきた。
  • 各区役所からは、「外形的に地域団体の事務に従事しているとみられる可能性のあるもの」についてすべて報告することとしたため、個別の事案として、延341団体についての1,467件の事例が報告された。
  • 最終的には「意見4」にあるように、「職員の判断の根拠となるような具体的な基準」を文書化することが必要であるが、今回の「仕分け」に際しても、「本市職員が従事できる事務」として以下(1)~(3)の項目を整理し、勤務時間外に職員が自らの意思で、地域団体の事務に従事した21事例以外の個々の事例をあてはめたところ以下の状況であった。(今回の調査・検証は職務専念義務の観点から行ったものであるので「勤務時間外」のものは、「その他」として区分した)
【本市職員が従事することが適切であるもの】(1,299事例)

(1)本市が本来実施すべき事務(274事例)

 ア 地域団体が開催する会議等の場における本市の施策・事業の説明や協力の依頼、啓発等(25事例)

 イ 地域団体又はその役員等に対する本市としての表彰(15事例)

 ウ 本市が委嘱を行っている者から構成される団体が行う委嘱業務に係る事務支援及び連絡調整(98事例)

 エ 地域団体の自主的な活動に対する助言・相談対応など(22事例)

 オ 上記ア~エ以外の本市の事務(114事例)

(2)本市以外の行政主体が委嘱を行っている者から構成される団体が行う委嘱業務に係る事務支援及び連絡調整で、本市以外の実施主体との協議によって、本市が実施することが可能とされているもの(349事例)

(3)地域団体と連携・協働して実施する事業における役割分担に基づき本市が担うこととされている事務(676事例)

2 不適切な事例について

  • 全体の事例数(1,467事例)から、勤務時間外に職員が自らの意思で、地域団体の事務に従事した21事例を差し引いた1,446事例のうち、上記類型に当てはまらないもの(147事例)は、地方公務員法上の職務専念義務との関係で適切とはいいがたいものであり、その概要は以下のとおりであるが、これら147事例については、当該事務を相手方団体へ移管する等により、現時点では、各区役所においてすべて是正が図られている。

(1)地域団体が主催する懇親会に関する事務に従事していた事例(2区17事例)

(2)地域団体の予算書・決算書等帳簿類の作成等に従事していた事例(3区15事例)

(3)任意団体(ここでは、地域団体のうち、「本市が委嘱を行っている者から構成される団体」、「(国など)本市以外の行政主体が委嘱を行っている者から構成される団体」以外の団体を指すものとする)が主催する総会、大会、役員会等にかかる事務に従事していた事例(8区89事例)

(4)任意団体の構成員名簿の調整管理に従事していた事例(1区5事例)

(5)その他、本来地域団体が自ら行うべき固有事務に従事していた事例(5区21事例)

Ⅳ 調査により明らかになった課題と今後の進め方(上記意見4への対応)

  • 「本市による委嘱業務に関する事務」、「本市以外の行政主体からの委嘱業務に関する事務」、「地域活動に関する事務」といった地域団体の事務の性質の違いやこれに伴う職員の関わり方の違いを、本市職員が理解することが必要である。意見4で示されている、「職員の判断の根拠となるような基準の文書化」については、各区役所の実態も踏まえ、職員の判断の根拠となるような明確な基準を早急に策定し、各職員へ周知するとともに、今後も引き続き上記基準が遵守されているか適宜モニタリングを実施し、再発防止を図っていく。
  • 地域団体と連携・協働した取組については、本市として、それを実施する施策上の必要性や、分担する業務内容の妥当性を十分検討したうえで意思決定を図る必要があり、今後とも常にそれを意識し、実施内容や役割分担等の整理を図っていく。
  • また今回の調査検証は主に職務専念義務の観点からのものであるので、職員の勤務時間外(休日や年次休暇中含む)の行動については、「不適切な事例」には分類しなかったが、任意団体の事務負担を軽減させることを目的に、勤務時間外に団体の事務に恒常的に従事することは控えるべきである。その際の留意点等についても、上記文書化の中で示していくこととする。

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